顔のたるみを改善する習慣

    顔のたるみを改善する習慣

    人は無表情でいる時、顔の筋肉いわゆる表情筋が使われず、ハリを感じられない顔になっています。人は年を取ると筋肉が硬くなりますが、硬くなった表情筋は重力でだんだん下がってしまいます。特に広角から首につながっている筋肉が下がってしまうと顔のたるみが目立つようになります。

    そもそも表情筋は顔の皮膚を支える土台のようなもので、その筋肉が無表情の 影響で衰えていけば皮膚を支えきれなくなり、顔のたるみにつながってしまうのはごく自然なことです。無表情で表情筋が衰え、年を取ることでさらに硬くなってしまう負の連鎖になってしまいます。また無表情は表情筋だけでなく顔の血行も悪くなり、脂肪や水分などの老廃物が蓄積しやすくなる原因にもなります。

    表情筋を動かすためのポイントは口角を上げることです。いつもほんの少し広角を上げた表情をキープするように意識し、姿勢を正して顎を軽く引いた状態を保つとさらに効果的です。一方で、お肌や心の健康のためにも笑顔でいることが大事え、人と話をすると笑顔になる機会も増えるから人と会話をすることを心がけることが良いでしょう。

    お顔のたるみの原因

    加齢とともに肌トラブルを避けては通れなくなります。特に更年期を迎える50歳前後になると肌トラブルが顕在化します。その原因は加齢と女性ホルモンの減少です。たるみに関して何も対策しないままであれば老化が加速します。また肌トラブルは加齢によるものが多いですが、たるみの原因は皮膚の表面が加齢で緩むだけではなく、皮膚の表面を支えている深層の組織が変化することも関係しています。

    私たちの顔は骨、筋肉、皮下組織、真皮、表皮の5つの層から成り立っています。皮膚は真皮、表皮のことで、たるみの原因に大きく影響を及ぼすのが骨、筋肉、皮下組織、皮膚です。1つ目のたるみの原因は、皮膚の弾力成分の減少が挙げられます。皮膚は真皮と表皮に分けら、皮膚の真皮層と呼ばれる部分の構造の変化が肌をたるませる原因になることが分かっています。まず皮膚は表皮、真皮、皮下組織の3つの層から成立っており、ベッドに例えると表皮はシーツやベッドマット、真皮はクッションとスプリングに当たります。

    このうち最も厚みがあって肌の弾力や潤いに関係しているのが真皮です。真皮は、コラーゲンやエラスチンなどの繊維からできており、例えるとコラーゲンはゼリーのイメージで肌の柔らかさを維持する繊維状タンパク質です。エラスチンはバネのイメージで肌の弾力を維持する繊維状タンパク質で、それら繊維の隙間を水分を保持するヒアルロン酸などが埋めています。コラーゲンやエラスチンが変性すると脆くなって切れやすくなり、そして衰えた繊維は表皮を支えられずたるみとなって現れます。

    コラーゲンやエラスチンは加齢によって減少し、それと共に真皮はどんどん薄くなります。10代と50代とでは真皮の厚さが1mm違うと言われており、特に紫外線ダメージが蓄積することで変化してしまいます。紫外線は、真皮にあるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を破壊や変成させて、肌のハリを保つ成分を産生する繊維芽細胞も損傷させてしまいます。よって肌全体を支える力が弱まり、たるみが生じます。このような光老化は加齢による老化とは質的に違い、紫外線を浴びた時間と強さに比例するとされています。

    また加齢で真皮に影響を及ぼすのが、女性ホルモンのエストロゲンです。このホルモンは肌の弾力性を保つコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸生成に関わっています。特に40代以降急激に分泌が減少してしまい、これらを産生する繊維芽細胞も損傷または機能低下が起こります。つまり肌の老化には、加齢による老化と日光の紫外線による光老化があり、年々肌細胞を新しく作るスピードも遅くなるため、肌が緩んできます。

    ターンオーバーは、肌の1番外側にある表皮で起こっており、肌を作る細胞が一定の周期で生まれ変わることで外からの刺激を守っています。真皮も新陳代謝によって生まれ変わり、表皮の厚さは0.2mmに対して真皮の厚さは1.8mmもあります。新陳代謝の周期は、表皮よりも長く、3から5年かかると言われています。加齢によって周期が遅くなるといつまでも古い角質が肌に残り、それがゴワゴワになり弾力が失われたるみにつがってしまいます。

    2つ目のたるみの原因は、皮下脂肪の増減や移動です。食事や生活習慣によって顔の皮下脂肪が増えると筋肉が支えきれなくなり、たるみが生じます。皮下脂肪が年齢を重ねることによって代謝機能の衰えで肥大化し、逆に今まで皮下脂肪がついていた部位から脂肪がなくなってもたるみが起こってしまいます。皮下脂肪が元の位置から下に移動、つまり下垂することが原因で、重力の影響により下方向へ落ちてしまいます。特に額やこめかみ、目の下、頬は皮下脂肪の移動が起きやすい部分です。フェイスラインや口元は、垂れ下がってきた皮下脂肪によってたるみを感じやすく、これによって起こるのがほうれい線、ゴルゴライン、マリオネットライン、首のたるみ、目元のクマです。代謝機能を上げて皮下脂肪の肥大化を防ぐことが大事です。

    3つ目のたるみの原因は、筋肉の衰えです。年齢を重ねると年々筋力が低下するのは、顔の筋肉も同じです。顔には30種類もの筋肉があり、総称して呼ばれる表情筋が衰えてきます。筋肉の減少や衰えで皮下脂肪や皮膚を支えられずたるみにつながります。また後頭部から背中にかけて広がる僧帽筋という筋肉が衰えることも顔のたるみに影響すると言われています。背中や首の筋肉をストレッチなどで伸ばしたりすると、筋肉が柔らかくなり、たるみが生じるスピードを緩やかにできるはずです。

    4つ目のたるみの原因は、骨密度の減少です。顔の骨は土台として筋肉や皮下脂肪、真皮、表皮を支えています。顔のたるみは骨密度の低下も原因の1つと言われています。加齢によって体だけでなく顔の骨も骨密度が減ってしまいます。骨密度が減少すると顔の骨も骨痩せが起こり、顔も体と同じように骨によって支えられているため、骨痩せが起こると見た目に様々な変化が現れます。例えば骨痩せにより顔の筋肉を支える人体が緩むと表面の 皮膚がたるみます。また眼窩と呼ばれる眼球の入っているくぼみの骨の縁が大きく広がり、目がくぼみます。また頬の骨が痩せると目頭の下から頬の中央あたりの斜め下に入るゴルゴ線がくっきりし、ほうれい線も一層深く、くっきりします。さらに顎の骨が痩せると二重顎になりやすく、首にもシワができます。

    ちなみに、骨密度の低下は手足腰に限らず全身の骨で起こりますが、顔の骨から始まると言われています。顔の骨は体の骨より痩せて脆く、特に目の周りなどの上顎の骨密度は40歳過ぎると低下し、目の下のたるみの原因になります。また骨は古い骨が壊されて新しい骨に生まれ変わる新陳代謝を日々繰り返していますが、この新陳代謝のバランスが崩れると骨がスカスカな状態になり骨密度が低下します。

    その骨が生まれ変わりに大きな影響を与えるのが女性ホルモンのエストロゲンです。エストロゲンは骨を壊す働きを抑制しますが、女性は年齢と共にエストロゲンの分泌が減少してしまいます。そのため骨を壊す働きが活発になり、骨を作るスピードが追いつかなくなります。それに伴って骨密度も20歳頃をピークに下がり始め、50代になるとぐっと低下していきます

    顔のたるみの3大原因の1つは骨

    顔のたるみの3大原因の1つは骨です。年を取ると骨が小さく萎縮するため、その上の皮膚がたるむ原因になります。

    そして皮下組織と筋肉がたるみの原因です。まず骨や筋肉の上に重なっているのが皮下組織ですが、その中でも脂肪が重力により下がっていくことで顔のたるみも連動して起こります。そもそも土台がしっかりしていないとたるみの抜本的な改善にはつながりません。その土台がまさに骨と筋肉です。

    その顔の筋肉が衰える原因が、加齢と使ってないことが原因になります。顔の筋肉は加齢による衰えとして、40歳くらいを過ぎた頃から筋肉を構成する筋繊維の本数が減少していく 傾向にあり、使わなければ体の他の部と同じく弱ります。また顔の筋肉は皮膚と一体化しているため、筋肉が弱ったり衰えたりすることで皮膚がたるみ、シワも増えやすくなります。またほうれい線が深くなったり、フェイスラインが垂れてきたり、口角が下がったり、マリオネットラインやゴルゴラインが目立つようになってしまいます。

    それにも関わらず多くの人が意外に知らないのが、顔の筋肉は意識しないとあまり使われないことです。そもそも表情筋は約30種類以上もあること分かっており、表情筋はあくまでも総称で、多くの人が顔の筋肉を表情筋と一括りにして間違った顔トレをすることで、逆にたるむ人もいます。顔の筋肉には鍛えると顔が引き上がる筋肉と鍛えると逆に固くなり顔を引き下げる筋肉があります。

    鍛えるべき筋肉と緩ませるべき筋肉

    青い文字の筋肉がまさに鍛えると顔が引き上がる筋肉で、赤い文字の筋肉が固くなりやすい顔を引き下げる筋肉です。赤い文字の筋肉は鍛えると硬くなるため、筋膜を剥がすべき筋肉です。

    表情筋

    代表的な顔が引き上がる筋肉は、頭から顔を引き上げる側頭筋や頬を引き上げる頬筋(きょうきん)と大・小頬骨筋、口元を引き上げる口角挙筋や口輪筋、そして顔を顎から引き上げる舌筋群があります。一方、顔を引き下げる筋肉は、硬くなると額をたるませる前頭筋や目をたるませる上眼瞼挙筋、食い縛り癖で固くなり、顎の歪みや顔のたるみを招く咬筋、そして顔を引き下げる、首の胸鎖乳突筋や広頚筋などが代表的な筋肉です。

    たるみ改善のために鍛えるべき筋肉

    フェイスラインを引き上げるために必要な鍛えるべき筋肉は側頭筋です。まず側頭筋をしっかりと指で捉えたまま、できるだけ上にぐっと引き上げてそのまま90秒キープしましょう。耳の上に両手の親指以外の4本の指を当ててみて、そのまま噛む動きをしてみると動くのが側頭筋です。1日1回90秒、1週間続けてみましょう。

    次に両手を頬に当てて、顔を少し中央に寄せ引き上げて「う」の口を作りましょう。次に手のひらで顔を引き上げたまま、歯を合わせて口角を引き上げるようにして「い」の口を作りましょう。「う」と「い」の口の2つです。声を出しながらゆっくりと10回繰り返すだけで、頬や口元のたるみが改善できます。さらに口角の高さも揃うため顔の歪みの改善にもなります。

    ちなみに4、50代女性の顔のたるみの悩みの1つに頬のこけたるみがあります。舌を頬の内側に当てて、外に向かってグっと押して30秒キープし、これを左右各1回ずつするだけで頬筋や口輪筋のヨレが回復し、こけたるみが改善していきます。

    たるみを悪化させている顔を引き下げる筋肉

    上目瞼挙筋や眼輪筋はまぶをたるませる原因になり、耳下腺筋膜は顎のたるみを引き起こす咬筋を覆う筋肉のため、フェイスラインを上げるにはこの筋膜を剥がすことが重要になります。筋膜は正しい方法でつまむだけである程度剥がれますが、筋膜剥がしをする時は肌に負担がかからないようにオイルやクリームを塗って摩擦を避けることが大切です。

    垂れ下がってきたまぶを引き上げて目を大きくする筋膜剥がしは、上目瞼挙筋と眼輪筋の筋膜を剥がすことがポイントです。まず眉尻を親指と人差し指で軽くつまみ、そして5秒そのままキープします。そこが終わったら眉毛を6分割し、徐々に内側に指を移動させ、6箇所で同じことを繰り返します。それぞれ5秒キープし、眉頭まで終わったら次は反対も同じように繰り返しましょう。これを1週間続けるだけで前より引き上がったまぶたを実感することができます。

    フェイスラインのたるみが気になる場合は、耳下腺筋膜を剥がします。まず耳の前のエラの上あたりを両手の親指と人差し指で痛くない程度の強さでつまみます。そのままの状態で内側に折りたたみ、表面の筋肉の癒着を剥がすイメージでつまみ、5秒そのままキープします。そして頬の下あたりまで何か所か同様につまみ、左右両方行い、1日1回するだけで フェイスラインアップします。

    また、顔の引き上げ効果に大きく関係するものの1つに舌が関係しています。舌には舌筋群と呼ばれる筋肉があり、この筋肉が顔を引き上げるために大きな役割を果たしています。加齢と共に舌筋群が衰えると下が喉の奥に落ち込む「舌根沈下」が起き、顔のたるみの大きな原因になります。予防のためには、まず頭の後ろに手を組んで、顎を引き上げます。これだけでも喉の奥に落ち込んでいた舌筋が引き上がり、フェイスラインが引き上がることが実感できるはずです。そして、そのままの姿勢で舌を鼻先につつけるようなイメージでなるべく上に伸ばしてそのまま1分キープして下さい。

    目の下のたるみに大きく影響する筋肉

    目の下のたるみに大きく影響する筋肉が側頭筋です。側頭筋は、頭の側頭部に大きく広がる耳の上にある筋肉です。この側頭筋は、食べ物を咀嚼(そしゃく)に使われることから咀嚼筋とも呼ばれます。ストレスによる食い縛りや目の使いすぎ、姿勢の悪さなどで凝り固まりやすいと言われています。

    さらに側頭筋は、目の筋肉や頬の筋肉とつがっているため、硬くなることで引き上げる力が弱まり、目元のシワやたるみなどに大きく影響する筋肉です。ちなみに簡単に側頭筋が凝り固まっているかどうか、すぐに分かるチェック方法があります。この3つに当てはまるなら間違いなく側頭筋は凝り固まっているはずです。

    • 頭皮を指でつまむ
    • 手をグーにして生え際などをグリグリすると痛い
    • 頭皮に弾力がなく柔らかい

    そして、もう1つ目の下のたるみに大きく関係する筋肉が、目の周りの眼輪筋です。眼輪筋は収縮することでまぶたを閉じる役割や目の下にある眼下脂肪が垂れ落ちないように抑える働きをしてくれています。この眼輪筋が硬くなったり、収縮が弱くなってしまうと眼下脂肪を抑え込むことができず、目の下がたるんでしまいます。

    目の下のたるみを撃退する方法

    骨格と筋肉の根本的な原因からアプローチして目の下のたるみを撃退する方法には、4つのステップがあります。

    STEP1(頬骨の調整)

    まず1つ目のステップは、初めに頬骨を調整します。頬骨が下がってくることで目の下のたるみを強めるので、まずは頬骨の調整が必要です。頬骨は外に広がりながら下がっていく傾向があるため、外側に広がっている頬骨を内側に抑えて調整します。また頬骨を抑えて調整する手が重要です。手のひらの母指球と 小指球の間で頬骨を抑えていきます。反対の手は同じように母指球と小指球の間の部分をこめかみに置いて、左右の手で顔を抑えます。その状態で5秒押えたらゆっくり離す、これを3回繰り返します。

    次は下がってきている頬骨を上方向へ調整します。同じように手は母指球と小指球の間の部分で抑えます。頬骨を抑えた上で、反対側の手は側頭部に置いて、右手を斜め上方向に押します。この側頭部に置いている左手で受け止める感じにしましょう。これも同じように5秒抑えたらゆっくり手を離す、これも3回繰り返します。

    STEP2(側頭筋上の皮膚をほぐす)

    次の2つ目のステップでは、筋肉にアプローチします。まずは側頭筋の上にある皮膚を動かしていく必要があります。それは側頭筋の上にある皮膚を事前に動かすことで、その後に筋肉を緩めるアプローチがより効果的になります。特に側頭筋がガチガチに硬い人は、皮膚の癒着が起きている可能性が高いため、このステップ2は大事です。

    まず3本の指で側頭筋の上にある皮膚をつまんでいきます。うまくつまめない場合は5本の指で真ん中に皮膚を集める感覚でやると動かしやすくなります。つまむところは大体の場所で良く、動かしていって痛気持ちいい箇所を中心にゆっくり20秒皮膚をつまんで動かしましょう。

    STEP3(側頭筋を緩める)

    ステップ3で側頭筋を緩めます。側頭筋を緩める時の手は猫の手、つまり第1関節と第2 関節の間の部分を使って緩めます。緩める反対側の側頭部の後ろ側 を手で支えながら右側の側頭部をグリグリとほぐします。目安は20秒程度で十分です。

    STEP4(眼輪筋のトレーニング)

    最後の4つ目のステップは、眼輪筋のトレーニングです。ここまでの3つのステップは目の下のたるみを消す方法の準備段階です。眼輪筋はまぶたを閉じる役割の他に、目の下にある眼下脂肪の塊を抑えるという重要な役割があります。この眼輪筋が硬くなったり、収縮が弱くなることで眼下脂肪を抑え込むことができず目の下がたるみます。

    まず眉の部分を人差指で水平に押さえ、そのまま上に引き上げてキープし、この状態で目を閉じます。目を閉じて5秒キープ、それから目をしっかり開けてさらに5秒キープ、これをワンセットとして1日5 回から10回を目安に行いましょう。

    たるみある人に足らない栄養素

    顔にたるみがある人には、共通してある栄養素が足りていません。たるみに効く栄養素は主に5つあります。

    大豆イソフラボン

    大豆イソフラボンは名前の通り、大豆に含まれており、女性の肌の健康に多くの恩恵をもたらす成分です。この物質は体内のエストロゲンと似た役割を果たします。エストロゲンは肌の水分や弾力を保つホルモンであり、加齢とともにそのレベルは減少していきます。更年期になると分泌量が激減するため、大豆イソフラボンは女性ホルモンをサポートしてくれるため、特にこの時期の女性には助かる成分です。

    ただし大豆イソフラボンは安全とされていますが、過剰摂取はホルモンバランスに影響を与える可能性があります。妊娠中や授乳中の場合は医師と相談が必要です。また大豆イソフラボンには皮脂分泌を抑える作用もあるため、ニキビ対策効果も期待できます。

    大豆イソフラボンを最も大量に効率よく摂取できる食品は納豆です。納豆は発酵させた大豆で大豆イソフラボンが非常に高い濃度で含まれています。さらに発酵によって生じる酵素の作用で栄養素がより体に吸収されやすい形になっています。納豆1パックには大豆イソフラボンが20から40mg程度含まれており、製造方法や大豆の品種によっても変わりますが50g程度の納豆であれば大きく差が出ることはないでしょう。納豆は、ビタミンK2、プロテイン、食物繊維なども豊富で、毎日納豆を食べると肌のたるみ改善だけでなく体調の改善効果も期待できます。

    タンパク質

    タンパク質は体の多くの機能に不可欠な栄養素であり、肌の健康においても重要な役割を果たします。肌の主要な構成成分のコラーゲンとエラスチンは、タンパク質から生成されており、これらは肌の弾力性と強度を維持するために必要な物質です。これらが足りなくなると肌はたるみやすくなり、特にアミノ酸のリジンとピロリンはコラーゲンの生産に不可欠なアミノ酸になります。

    リジンはコラーゲン繊維の形成に助け、プロリンはコラーゲンの三重螺旋構造の安定化を助けます。これらのアミノ酸が不足するとコラーゲンの質自体が低下し、結果として肌のたるみやシワが進む可能性が高くなります。

    リジンとピロリンは動物性食品に特に豊富ですが、一部の植物性食品にも含まれていますが、植物性食品だけでこれらのアミノ酸を十分に摂取するのは難しいからバランスの良い食事が必要になります。アミノ酸は、タンパク質を構成する成分で、抗体の生成にも必要になり、肌のバリア機能を強化することで外部ダメージにも強くなります。

    例えば同じ紫外線量を浴びた人でも、肌のバリア機能の高い人と低い人とではダメージが違います。肌のバリア機能が高いと肌を保護する能力が上がり、肌の健康維持もしやすくなります。さらにタンパク質は細胞修復にも関与していて、傷や炎症があった場合にはその回復を助けます。タンパク質がしっかり摂取できていれば傷跡やニキビ跡が残りづらくなります。

    タンパク質は不足すると健康問題が起こる一方で、過剰摂取は腎臓に負担をかける可能性があります。成人女性であれば1日に40g、成人男性であれば約65Gのタンパク質摂取が推奨されています。ただし活動レベルや健康状態によって必要な量は変わり、運動習慣のある人や筋トレをしている人はこれ以上にタンパク質を摂取する必要があります。

    鶏胸肉は、タンパク質を効率よく摂取できる食品で100gあたり約30gのタンパク質が含まれています。鶏胸肉には人間の体では合成できない必須アミノ酸も含まれています。鶏胸肉の適量や頻度は活動レベルや健康状態によって変わってきますが、150gから200gの鶏胸肉を摂取すると1日に必要なたんぱく質の大部分をまかなうことができます。タンパク質は他の食品からも摂取することが多くなるため、鶏胸肉だけでタンパク質を摂ろうとする必要はなく、他の栄養素もバランスよく摂取することが大事です。

    食物繊維

    食物繊維は大きく分けて水溶性と不溶性の2つのタイプがあり、それぞれが異なる機能を果たします。水溶性繊維はコレステロールや糖の吸収を抑制する作用があり、不溶性繊維は便通を良くして消化器系の健康を維持する作用があります。

    これらの食物繊維が腸内で果たす働きは体全体、そして肌にも良い影響を与えます。食物繊維は腸内細菌の環境を改善し、腸内細菌の活動を活性化させます。腸内細菌が健康だと栄養吸収が効率的に行われ、肌に必要なビタミンやミネラルがしっかり供給されるため、栄養の行届いた肌にはハリが生まれやすくなります。

    さらに食物繊維は毒素の排出を助け、便通がスムーズにする働きがあり、体内の不要な物質や毒素が効率的に排出され、肌トラブルの予防につながります。特に便秘が解消されると肌のくすみやニキビその他の炎症が改善されやすくなります。

    また、腸内環境が良好になると免疫系の強化にもつながります。強い免疫系は、肌の自然なバリア機能を高め、外部からの刺激や感染に対する防御力を向上させます。腸内環境を整え体の内側から肌をきれいにするためには、食物繊維の摂取も必須です。

    ごぼうは100gあたり約5gの食物繊維が含まれていて、この量は多くの野菜や穀物よりも高いです。ごぼうは根菜類で、土の中で成長する過程で、多くの栄養素を吸収し様々な種類の繊維を形成します。食物繊維は植物細胞の主要な構造成分であり、ごぼうの形と強度を維持するために必要な成分です。ごぼうに含まれる食物繊維は不溶性食物繊維で、腸内の働きを促し、消化を助け、腸内環境を整え、肌の健康にも貢献してくれます。

    ビタミンC

    ビタミンCは、抗酸化剤として広く認識されており、肌の健康は特に重要な役割を果たします。ビタミンCは水溶性で、汗や尿で排出されやすい上に体内で溜めることができないため、小まめに摂取しないとあっという間にビタミンC不足になってしまいます。

    ビタミンCを体内で貯蓄することができない理由は、その科学的性質にあり、水溶性ビタミンは水に溶けやすく、過剰に摂り込まれた場合には、主に尿として排出されます。これは水溶性ビタミンが脂溶性ビタミンとは異なり、脂肪組織に貯蓄されにくいからです。一部の動物は、ビタミンCを体内で合成する能力を持っていますが、人間の場合は持っていません。ビタミンCの合成も貯蔵もできないため、食事から毎日摂取する必要があります。

    ビタミンCの抗酸化作用は、紫外線や摩擦などの外部要因からくる自由基のダメージを中和してくれます。自由基は不安定な分子で、体内で酸化反応を引き起こし、細胞の老化やDNAの損傷を引き起こし、肌の劣化を早めてしまいます。ビタミンCの抗酸化作用によって、これらの有害な影響を最小限に抑えることが期待できます。

    また、ビタミンCはコラーゲンの生産にも必要な栄養素で、コラーゲンは皮膚を構成する主要なタンパク質であり、肌の弾力とハリを保つ役割を果たします。ビタミンCが不足するとコラーゲンの生産が減少し、肌のたるみやシワが進行する可能性があります。

    カムカムは南米のアマゾン地域原産のフルーツで、2から3cmの丸い実をしています。カムカムのビタミンC含有量は他のフルーツと比べて非常に高く、100gあたり2000mg以上のビタミンCが含まれています。カムカムは生のまま販売されることは少なく、乾燥させてパウダー状にしたものが多いので、スムージーやジュースに混ぜて摂取したり、調味料として使用したりするのが一般的です。

    鉄分

    鉄分は体内で様々な働きをしており、その中でも酸素輸送は大きな役割です。鉄分はヘモグロビンと呼ばれるタンパク質となり、これが赤血球内で酸素を結合体の各部に運びます。細胞が酸素を効率よく摂り込める環境が整うと細胞の代謝が活発になり、その結果新しい皮膚細胞が生成されやすくなり、肌のターンオーバー周期が整います。これによって肌は健康な状態を保ち、たるみやシワの予防にもつながります。さらに鉄分は肌のバリア機能を高めることにも貢献し、外部からのダメージに対する抵抗力を高めます。

    鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類の形態があり、ヘム鉄は主に動物性食品に含まれていて約15から35%が体に吸収されるとされています。非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれていますが吸収率が低く、約2から20%程度しか体に吸収されません。鉄分摂取にもバランスが大事で、過剰摂取は過酸化脂質の生成を促進したり、体内の酸化ストレスを高める原因となり、酸化ストレスは細胞の損傷や老化を加速させてしまいます。

    牛レバーには鉄分が非常に豊富に含まれていて、なおかつヘム鉄であるため吸収率が高くなります。牛レバーの鉄分含有量は100gあたり約6mgから7.5mgの鉄分が含まれています。成人女性に推奨される鉄分の摂取量は1日あたり約15mgから18mgとされているため、牛レバーを100g食べると1日に必要な鉄分の約40から50%を摂取することが可能です。ただしレバーにはビタミンAも多く含まれており、過剰摂取には気をつける必要があります。ビタミンAを過剰摂取すると体内で毒性を示し、健康を害する可能性があります。

    本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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