あなたにとっての「美肌」の条件はなんでしょうか。
- ツヤのあるお肌
- 透明感のあるお肌
- 肌理(キメ)の整ったお肌
- 潤いのあるお肌
- ハリのあるお肌
など、これらすべてが「美肌」の条件でしょう。このような「美肌」のためには、バリア機能とターンオーバーを維持することが大切です。
お肌には、外からの刺激の侵入や、体内の水分の過剰な蒸散を防ぐためのバリア機能があり、一端を担うのが角質細胞間脂質です。角質細胞間脂質は角層内で角層細胞同士の間を埋めている脂質のことで、主にセラミド(50%)、脂肪酸、コレステロールで構成されます。細胞と細胞をしっかりと接着し、肌内部の水分が蒸発するのを防ぐバリアの役割を担っています。
角質細胞間脂質は、水分と油分が交互に重なり合ったミルフィーユ状の構造になっており、これをラメラ構造と言います。その厚さは僅か0.02mmで、その中に10層程度の層状のラメラ構造ができています。
ラメラ構造とバリア機能
お肌の潤いは、このバリア機能によって保たれています。バリア機能は、皮脂膜、天然保湿因子(NMF)、角質細胞間脂質(セラミド)の3つの働きによって成り立っています。
肌が健康で、または若い世代では、皮脂膜やNMFも十分にあり、ラメラ構造が乱れておらず、お肌の水分はしっかり保持されています。
しかし、お肌のバリア機能は、大気の乾燥や外部の刺激、肌内部の乾燥や健康状態などで低下、ラメラ構造も乱れます。
肌のスキンケアの基本は保湿ですが、他の要素も意識して、年代別のエイジングケアを行うことが必要になります。
ラメラ構造とターンオーバー
お肌にとって大切なバリア機能以外にも、新陳代謝であるターンオーバーがあります。バリア機能とターンオーバーがともに正常であれば、ツヤ感のある肌理(キメ)の整ったお肌が手に入れるでしょう。
しかし、それを理想的な状態に保ちつづけることは難しいです。なぜなら、加齢に伴うターンオーバーも遅くれ、睡眠不足や角層の保湿不足、肌の代謝を促進するビタミン、ミネラル、アミノ酸の不足、飲酒や喫煙、運動不足、便秘、さらにはストレスや女性ホルモンなどの内的な要因が常に変化してターンオーバーにも影響を与えるからです。
つまり、角質細胞間脂質のラメラ構造を健やかに維持するためには、スキンケアと同様にアンチエイジングを意識した生活習慣がとても大切になります。
角質ケアとターンオーバー
角質が厚くなると毛穴を塞いでしまい、一応で皮脂が多い人は皮脂が毛穴に詰まってしまい、これらによってニキビができたり、毛穴が開いてしまうことが起こります。また加齢とともに皮膚のターンオーバーが遅くなり、角質はどんどん厚くなっていきます。
ターンオーバーが遅れ、古い角層がずっとあると言うことは、例えばメラニンなどを含んだものも、中々肌表面に出ていかないということになるため、シミが濃く見えたりということに繋がります。
一方で、角層が厚くなると新しい細胞が生まれにくくなります。肌は表皮の一番下の基底層から肌の新しい細胞が生まれ、成長して角質となって剥がれ落ちます。その成長する時に、水分を維持するような細胞間脂質やセラミドを産生しながら成長します。つまりターンオーバーが遅いということは、このセラミドや細胞間脂質も十分に作られなくなるため、乾燥や肌理の乱れに繋がります。
肌タイプに合わせて自分に合った角質ケアすることを日常的に取り入れていると、ターンオーバーが常に良いサイクルなり、細胞間脂質も作りながら、成長するということになるため、肌のツヤやハリ感が生まれやすい状況になります。
角質ケアのためにはピーリングなどもありますが、美容鍼灸の効果は、自然治癒力によって細胞の代謝を上げ、ターンオーバーサイクルの乱れが整うことです。更に血行が促進されることで、お顔のむくみやくすみ、筋肉の緊張緩和によってたるみやコリの予防、小顔効果など様々なお肌のトラブルに同時にアプローチが可能です。
肌タイプ別の乾燥肌対策
角層には、細胞間脂質とNMN(天然保湿因子)があり、この2つがしっかりと細胞と細胞を繋ぎ合わせ、その上に皮脂膜が覆うことによって、肌のバリア機能が保たれると水分が逃げなくなります。つまり皮脂膜、天然保湿因子、細胞間脂質の3つが全体的に少ないのが乾燥肌になります。逆に天然保湿因子や細胞間脂質が普通にあり、皮脂だけが多い、もしくは天然保湿因子や細胞間脂質が少なく、皮脂が多いことによってあまり乾燥を感じない方もいます。このような人たちに向けた保湿成分とこれらが3つとも足りない人の保湿は全く違います。
例えばインナードライは、乾燥して皮脂が沢山出てしまって、内側がドライになっている状態と思われるかもしれませんが、そもそも乾燥している人は皮脂の分泌は多くなりません。皮脂腺が活発であれば乾燥をあまり感じません。なぜなら皮脂が膜を張るため乾燥を感じないからです。もちろん内側ではバリア機能が多少低下していたり、被れたりすることはあるかもしれませんが、ベースに乾燥があり、ここから皮脂分泌が活発になることはありません。
つまり皮脂テカの人は、皮脂は多いので油の成分は極力少なくして内側を潤すことが大事で、細胞間脂質や天然保湿因子を補う必要があります。例えばインナードライなので乳液もクリームもしっかり塗っていますという人は、油分系のものを加えることはあまり良くありません。一方で本当に乾燥肌の人は、油分もあるクリームや乳液を選ぶべきで、まず細胞間脂質や天然保湿因子もどちらも補ってあげることが大事になります。
その中で大切なのが細胞間脂質の1つであるセラミドです。肌のラメラ構造になっていることが細胞幹脂質が保たれていることになるため、セラミドをしっかり補っていくことが大事です。また天然保湿因子の大部分はアミノ酸でできているため、しっかりアミノ酸を行き渡らせることで天然保湿因子が増えることになります。セラミドとアミノ酸は同じようですが、セラミドは細胞間脂質、アミノ酸は天然保湿因子と覚えておきましょう。
一方で、ヘパリン類似物質は細胞間脂質を増やすため、セラミドに似た成分になっていますが、血行促進作用もあり、肌荒れを防止してくれます。また水に溶けやすい成分であり、親水性と言い水を引っ張りやすいところもあるため、天然保湿因子を作りながら水もしっかりと引き込む成分です。
また、日本で唯一肌の水分保持能力の改善が認められている成分のライスパワーナンバー11は、基底層に働きかけてターンオーバーを正常化し、細胞間脂質を作っていくことができます。実はナイアシンアミドも保湿の成分になり、細胞間脂質を増やしていく効果が認められています。美白、肌荒れ防止、保湿、シワ改善などのオールマイティ成分です。アミノ酸、ヘパリン類似物質、セラミド、ライスパワーナンバー11のようなすぐに浸透するものではないですが、少しづつ保湿効果を高めていくことができます。特に脂性肌の人にはおすすめで、皮脂が過剰な分泌も抑えてくれ、細胞間脂質は作ってくれるだけでなく、余計な皮脂は抑えてくれることができます。
乾燥肌の人には、アミノ酸、セラミド、ヘパリン類似物質、ライスパーナンバー11のクリームタイプやバームタイプがおすすめです。皮脂テカの方はナイアシンアミド、ライスパワー、セラミド、アミノ酸、ヘパリン類似物質がおすすめで、ここで注意してもらいたいのが油分があまり入っていないものを使うことです。油分が入ったようなものだと皮脂が過剰になってしまうので、保湿って書いてあるものでも乾燥肌が使うタイプではなく、化粧水タイプに留めておくことがおすすめです。
保湿と言うと必ず水と油を混ぜると考えるかもしれませんが、細胞間脂質や天然保湿因子を作ると言う観点から選び、テクスチャーが油分が多いのか、水分タイプなのか分けて考えると間違いない保湿ができると思います。冬は乾燥が気になるので自分にあった保湿をして、肌をしっかりと守りましょう。
東洋医学で診る「脂性肌」
皮脂の分泌を多くすれば乾燥肌、敏感肌は無くと考えている方が多くいます。そのように思われるのは、乾燥がベースにあり、乾燥するから皮膚のバリア機能が低下し、外敵刺激が入ることで痒みや赤み、肌の不調を感じるからでしょう。一方で敏感肌にもベースには、乾燥があるため、皮脂を補うケアが必要ですが、実は皮脂の量が少ないだけではなく悪玉化してしまうことが肌トラブルの原因になることが分かっています。
例えば頬は乾燥しているのに、Tゾーンはテカテカしているため、皮脂と水分が過剰に分泌されていると思われてTゾーンの洗顔を入念にされている方がいらっしゃいます。しかし乾燥している部分があるのに、他がテカっている状態の多くは水分量が不足していることです。つまり皮脂を取り除くのではなく、水分量を増やして、皮脂と水分量のバランスを取ることが大事です。
一方で脂性肌は、乾燥肌と真逆と考える方が多くいますが、実は皮脂腺から分泌される皮脂量と角層の水分量が多くなった状態です。しかし脂性肌でも乾燥している場合は、脂性乾燥肌(オイリードライ肌)になります。また脂性肌の特徴には、顔の鼻筋付近に皮脂量が多く、ニキビや吹き出物、毛穴が目立つなどが挙げられます。
東洋医学では、脂性肌を脾胃の機能低下によって痰湿(過剰な水分の停滞)や湿熱 (湿と熱の停滞)が生じることで現れると考えます。例えば脂質や糖質の多いものを食べ過ぎる、アルコール類の摂り過ぎは痰湿を体の中に長期渡って溜め込むため、それらが熱化して顔から漏れ出すことや、吹き出るとして考えられます。
一方で五臓六腑の中でも「肝」は、特にストレスの影響を受けやすいため、肝の機能低下による気の停滞である「肝鬱気滞」が原因として考えられます。そのため、脾胃や肝を補い、熱を取り除く、補血や補陰するケアが必要になります。
肌が老化してシミやシワができる原因
肌が老化してシミやシワができる原因には、紫外線、酸化、糖化、乾燥、刺激、睡眠不足が挙げられます。この中でも肌の老化の80%の原因は紫外線とも言われています。
紫外線
紫外線にはUVAとUVBの2種類があり、この2つは波長が違うため肌へのダメージも変わります。 UVAは波長が長く、肌の奥の神秘まで届き、エラスチンやコラーゲンにダメージを与えます。その結果、ハリや弾力が失われてシワやたるみといった肌の老化現象につながります。
表皮は0.1から0.3 ミリの厚さで、中が4層に分かれています。表皮と真皮の間ぐらいにあるのがメラノサイトという色素細胞です。またメラニン色素は、紫外線によるダメージから肌を守る働きを持つ色素です。紫外線を浴びるとメラノサイトでメラニンが作られ、それが表皮に出てくることでバリア機能を果たしています。
UVAは、このメラノサイトを刺激し、メラニンを誘発し肌を黒くさせます。このUVAにガラスを通り抜けてくるため、屋内だからとケアを怠っていると知らない間に影響を受け、しかも日焼けの後のピリピリとした痛みがないのが特徴のため、全く気付かずにいる 場合が多いことがあります。その結果長い時間をかけて肌に影響を及ぼすことになります。
一方でUVBは、波長が短く、肌表面の表皮に強く作用し、肌表面の細胞を傷つけ、やけどのような炎症を起こします。UVAに比べて波長が短く、肌の奥まで届かない分、表面のダメージが強く、シミやそばかすの原因になります。肌には古い角質が剥がれ落ちるターンオーバーという機能がありますが、加齢やストレス、生活習慣の乱れなどで活性酸素が増え、メラニンが剥がれ残ることでシミとなります。
基本的に紫外線は一年中振り続いていますが、天気や季節、1日の中の時間でも量は変化します。紫外線が冬より夏の方が多いのは一般的ですが、その中でもUVAは冬でも夏の半分は出ています。UVBは4月から9月頃が多く、冬は夏の1/5 程度、時間は朝7時から次第に出始めて9時 には急増し、10時から14時が一番多くなります。また天気でも変化し、晴れの日を100%にするとしたら 曇りの日は約65%、雨の日は20%と言われています。
ちなみに人によって肌体質が違うため、日焼けをしても赤くなる人もいればならない人もいます。特に赤くなるのに黒くならない人は、メラニンがほとんど生産されない体質であり、紫外線を浴びると光老化が進行しやすいとも言えます。他にも子供などの背の低い人は地面からの照り返しの紫外線の影響を受けやすく、大人よりも多くの紫外線を浴びていることになるため注意が必要です。
酸化
身体のサビと言われる酸化は、酸素と物質が結びついて起こる化学反応です。酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す行為やミトコンドリアが酸素をエネルギーの生成に活用するのも酸化反応であり、生物が生きていく上で大事なものになります。しかし肌酸化は活性酸素が体内の鉄分とくっ付くことで起こり、体に悪影響を及ぼします。活性酸素は、肌の健康維持に重要な働きをするタンパク質やDNAを傷つけ機能を低下させてしまいます。
活性酸素が増える原因には、タバコやストレス、他にも偏った食生活や過度な飲酒は活性酸素増幅させます。まだ若い肌であれば活性酸素を除去する免疫機能が高く、活性酸素をすぐ除去して肌を健康に保ってくれます。しかし長い間酸化ストレスを受けていたり、年を重ねると活性酸素を除去する機能が低下するし、除去できなかった活性酸素は体内で蓄積され、細胞を攻撃して体の内側から肌機能を低下させます。これによってコラーゲンやエラスチンが減ったり、メラニン色素が増えてシミやしわたるみにつながります。
糖化
身体の焦げと言われる糖化は、食事で摂りすぎて余った糖質がタンパク質や脂質と結びついて細胞を劣化させる現象のことです。これによって老化促進物質のAGEsが作られ、黄色のくすみの原因になったりもします。これはタバコや食事のように体の外で作られて、体の中に取り入れていることもあります。体の中に一度でもAGEsが入るとなかなか排出されることがなく、いろんな臓器を傷つけ老化さ、糖化により皮膚のハリを保つコラーゲンやエラスチンが作りにくくなり、肌の不調として現れてきます。
一方で肌の悩みが多く出てくるのは40代頃からと言われています。肌悩みランキングでは、シミ、シワ、たるみが1位から3位になっています。40代で肌悩みが出てくるのは肌が劇的に変化し、人によっては急速に肌が衰えることもあります。
特に40代になるとホルモンバランスが顕著に変化します。分泌される女性ホルモンは生涯でティースプーン一杯ほどだと言われており、30代前半をピークに 40代を過ぎた頃から大幅に減少し、50代 になるとほぼ分泌されなくなります。
さらにホルモンの減少に加え、体に蓄積するとすべての肌悩みや全身の不調を引き起こす物質がAGEsです。AGEsは血管に付くと動脈硬化、骨に付くと骨粗鬆症、目に付くと白内障のリスクが上がり、肌に関しては真皮に溜まるとコラーゲンやエラスチンを攻撃し、たるみ、くすみ、シワの原因となります。
必要以上に脂質や糖質を摂ってしまうと体内に溜まり、その体内に溜まった糖を分解するときにAGEsが作られます。この焦げ付きを糖化ストレスといって、これが引き起こすのが慢性炎症と呼ばれるものです。この慢性炎症が皮膚に起こることでシワやたるみが引き起こされてしまいます。
乾燥、刺激
メイクのノリにも大きく影響する乾燥は美肌の大敵の一つです。乾燥に大きく関わってくるのが肌の一番外側にある表皮の角質です。これは角質細胞や細胞間脂質が隙間なく並ぶことで肌のバリア機能が働き、水分が蒸発するのを防いでいます。でもスキンケアがきちんとできていなかったり、年齢によるバリア機能の低下で乾燥肌になることもあります。基本的に角質内の天然保湿因子のNMFや皮脂は年齢とともに減少します。
一方でスキンケアの順番や種類があるにも理由があります。化粧水には水分補給、美容液は特定の悩みの集中ケア、乳液は水分が蒸発しないように蓋の働きがあります。順々に働きが違うものを丁寧にやることで効果が出るものです。
他にも日々のスキンケアで逆に刺激を肌に与えている可能性もあります。顔の洗い方やスキンケアのやり方が雑になり、ゴシゴシ洗ったり、擦ってしまっしていることもあります。自分で行う顔マッサージもあんまりお勧めできません。よく顔マッサージすると小顔になったり、血流が良くなるから顔色が良くなるとやられている方がいますが、過度なマッサージによって顔にある皮膚繊維がプチプチ切れてしまっています。そうすると維持機能が低下して、シミやたるみができやすくなります。
他にもしっかりメイクを落としたいからとオイルのクレンジングを使うのも注意しましょう。オイルクレンジングは洗浄力が高いため、物によって顔の皮脂まで取ってしまう可能性があります。その日のメイクの濃さや肌を確認してオイルクレンジングを使うべきか判断しましょう。
睡眠不足
睡眠は体を修復する大事な時間でもあり、寝ている間に脳や体の疲労回復をしています。特に皮膚は毎日新陳代謝をして細胞分裂が活発に行われている場所かつ毎日紫外線を浴びてダメージを修復しようと働いている場所でもあるため、いかにしっかりと睡眠をとるかが肌の調子にも関わってきます。
この細胞を修復してくれるのが成長ホルモンです。成長ホルモンには、新陳代謝を促す働きがあり、睡眠時に一番多く分泌されていると言われています。しかし睡眠不足が続いてしまうと成長ホルモンの分泌量も減少し、新陳代謝が滞ります。そうなると肌の細胞分裂が進まずターンオーバーが遅くなってメラニンが肌に残りシミやくすみになります。
ターンオーバーは、年とともに遅くなり、それに加えて睡眠不足が加わるとせっかくスキンケアを頑張っても肌自体が再生しないから意味がありません。他にも寝不足が続くと真皮にある繊維芽細胞の働きも弱くなります。繊維芽細胞はコラーゲンやエラスチンを作り、肌の健康を維持する細胞で、これが弱まると肌のハリに重要な成分が少なくなり、肌から水分がなくなって乾燥やごわつきにつながります。
ちなみにコラーゲンというのは食べ物で摂っても肌に直ぐ効果が現れるわけではありません。コラーゲンは表皮の下の真皮の部分に、エラスチンやヒアルロン酸とともにあります。そのコラーゲンを生み出すのが繊維芽細胞で、しっかり血液を使って栄養を送り送り込むことで、コラーゲンを作り出してくれるようになります。またゆっくりとした運動をした後、ゼラチンとビタミンCを摂取すると肌弾力がアップするという研究結果があります。
スキンケアの誤解
成分量が多いほど効果が高い!?
美容成分がたくさん入っているほど良いような宣伝がされることが多いですが、スキンケア成分には適切な量があります。そのパーセンテージが高ければ高いほど良いと言われると、実はそう言ったことはなく、肌質にもよります。例えばビタミンCは、高濃度のものが売りになっていますが、敏感肌の人には刺激になったりします。またビタミンCも、それがピュアビタミンCなのかビタミン Cの誘導体なのかによっても、そのパーセンテージは変わります。他にも、レチノールも純粋のレチノールなら1%でも肌に刺激なります。一方で0.1%でも効果はあり、逆にレチノールの誘導状態であれば1%でも高濃度になります。
いずれにせよ肌質によっても適切なパーセンテージものがあり、さらに何と混ぜるかにもよります。その成分単体であれば良いパーセンテージだったとしても、化粧品は様々な構成要素があり、一概には1%以下だから意味がないと言うことにはなりません。
スキンケアは全部同じ量!?
スキンケアには、化粧水、美容液、乳液の流れがありますが、全部同じ量を顔全体につけている方がいます。実は肌は油分が多いところ、乾燥するところが違います。そのため同じ顔の中でも目の周りは乾燥し、Tゾーンは皮脂が多いので、顔全体に乳液もクリームも付けるとなると、Tゾーンのところにニキビができたり、顎の方にニキビができたりします。その場合、Tゾーンは乳液は塗らない、目の周りはクリームを塗るなど、顔のどこにどういう悩みがあるかでスキンケアを分けた方が良いでしょう。
また、化粧水、美容液、乳液,クリーム塗ってと思う方もいますが、肌に浸透する量は決まっているので、たっぷり乗せても浸透しません。あれこれ入れていくことが本当に良いとは限らないので、シンプルにして浸透させることも大切で、肌質によっては重ねることによってニキビや毛穴が気になることになります。
肌が慣れて効果が感じられない!?
スキンケアを変えて、効果が出ているものの、次第に肌が慣れて効果が感じられなくなり、使う意味がないって考えられる方がいます。しかし効果がなくなったわけではなく、それは肌が変わってきたサインです。スキンケアをすることによって肌のターンオーバーが正常化したり、必要な保湿が肌に行き渡るとその効果が感じにくくはなってきます。一方で使い続けることによって肌は持続的になっていきます。ここで肌が慣れたから効果ないと思って止めてしまうと、別のスキンケアを使うと、それが初めからスタートになったりします。もちろん新しいスキンケアを使うことによってプラスになることもありますが、逆効果でマイナスになることもあります。
スキンケアの効果が感じられなくなったイコール肌が慣れてしまっても、効果がなくなったと感じるのであれば、その効果が肌の中で持続していることでもあります。
スキンケアの順番は化粧水から!?
スキンケアで、最初に油分が含まれたものを入れた方が良いお肌もあります。それは乾燥肌の人です。肌は油と水分のラメラ構造で、1番上は油分が乗っており、外からの水分を浸透しないようになっています。そのため1番最初に化粧水を入れても実は弾くようになっています。しかし洗顔しているので、ある程度油分が取れて水分が入るようになったり、化粧水自体も肌に馴染むようになっています。
基本は化粧水を入れて角層に水分を入れてから、足りない油分を入れていくイメージですが、そもそも油分が足りないお肌の人は角層に水分を入れるルートが少なくなっています。
また、同じ油分でも蓋をする油分と水を通す油分は全然違っており、例えば先行乳液や導入オイルは、水分を通しやすい道を作る油分です。例えばバームオイルなどの蓋をするような目的のオイルでは、逆効果になります。一方で先行乳液とか導入オイルは、逆に乾燥肌の人はそれを入れることによって保湿感が増すことにもなるので乾燥肌、化粧水の入りが悪い人は、油分系のものを最初に使うことも良いでしょう。
油分は、膜を張るイメージがありますが、油の種類によっては膜を貼らずにむしろ肌に馴染みが良くなって、次の化粧水や美容液の浸透を良くするものもあります。乾燥したなと思う時には、そういった乳液からスタートして頂くことも大切です。
韓国流スキンケア
韓国では「化粧水と乳液はいらない」と良く言われますが、全ての人に適しているとは言えません。例えば脂性肌の人は毛穴が開いて見えたり、ニキビができやすく、化粧水と乳液も油分が多めなスキンケアアイテムのため、このようなスキンケアアイテムは油分過多になるため減らした方が良いので、それを踏まえて化粧水はいらない、乳液はいらないなどの選択が必要になります。
スキンケアの基本は、肌の水分量アップさせてから油分を加えるですが、基本的に美容液は水分も油分も入っており、クリームに関してはほぼ油分です。そのためこの2つだけでだと油分が多くなり過ぎます。そのため美容液とクリームのみで問題ない方は、乾燥肌の方、もしくは乾燥する地域に住んでいる方です。
例えば韓国での乾燥対策の基本は油分となり、化粧水よりも美容液を入れて油分のクリームを足すことが大事になるでしょう。一方で高温多湿の日本だと肌に皮脂が詰まってしまったり、逆に自分の皮脂で黄くすみが起こってしまうことも繋がります。美容液とクリームは、水分と油分のバランスで言うと油分が多めのため、皮脂テカ、ニキビの方には止めた方が良いと思いますが、乾燥が気になる方はクリームと美容液ですごく肌が良くなることもあります。いずれにせよ肌質と住んでいる場所や季節(乾燥)によって使い分けることが必要です。
一方で、ケアの手順を省けば省くほど美肌になると言われるのも間違いではないと思います。なぜならいくつも重ねたからといって成分がそれだけ入るわけではなく、それによって触ったりとかすることで過剰になってしまうこともあるため、シンプルケアでも全然良いでしょう。なぜ化粧水があって、乳液や美容液クリームがあるかと言うと、高温多湿の状態では、油分を入れるよりは水分である程度下地を作ってあげて美容成分が入りやすいようにしてから入れることが大事だからです。
乾燥肌の人であれば最初から油分を入れても良いですが、化粧水を入れて次に美容液、もしくは乳液かクリームでも良いでしょう。肌的には水分と油分のバランスが整っていることが大事で、必ず化粧水が絶対ではないですが、肌が極端に乾燥肌以外の人でも、水分を入れてあげる方がなんとなく好きという方も多いと思います。
もちろん必ず化粧水を使わなくてはいけないということではなく、水分が足りないか、それとも油が足りないかを見て、自分は化粧水を使うべきか、乳液やクリームだけで良いのか、足し算引き算をしてみましょう。どんな人でも絶対に化粧水を使って、乳液を使って、美容液を使って、クリームを使わないといけないわけではありません。
例えば顔を洗った後にちょっと突っ張る人は乾燥肌の人が多いと思うので、油分が多いものを使っても良いですが、ニキビや毛穴の詰まりが気になる、皮脂が気になる人は、なるべく皮脂が多いようなスキンケアアイテムは減らした方が良いので、それを踏まえて化粧水はいらない、乳液はいらないなどを選択してみましょう。
美容鍼でラメラ構造を整える
ラメラ構造は、肌がターンオーバーを繰り返す過程の中で作られるため、ラメラ構造を整えるには正常なリズムでターンオーバーを繰り返すことが必要になります。
肌が正常にターンオーバーを繰り返さなければ、特に肌の保湿成分であるセラミドが減少し、肌が乾燥したり外部からの刺激で荒れたりしてしまいます。
美容鍼は、お顔の筋肉に刺激を与えることで血流やリンパの流れが良くなり、老廃物が流れて、肌の血行促進や新陳代謝を促し、ターンオーバーを整える働きがあります。
また、美容鍼は真皮層まで働きかけるため、肌の水分保持にも重要な役割を果たすコラーゲンやヒアルロン酸を産出し、内側から潤いある肌を作り出し、乾燥対策になります。
美容鍼で皮脂をコントロール
乾燥肌や混合肌にも有効なのが美容鍼です。お顔の鍼刺激によって血行を改善し、肌の隅々まで潤いを行き渡らせる効果があります。一方でオイリー肌と呼ばれる、皮脂が出すぎているようなお肌にも美容鍼は効果があり、出すぎている皮脂を抑え、お肌のバランスが整えることができます。また皮脂腺を刺激して分泌を抑制したり、皮脂と雑菌によって起こった炎症(ニキビ)を抑える効果が期待できます。
美容鍼は、特に気になる部分に確実にアプローチができ、肌の調子を良い状態でキープできるため、根本からの肌質改善することができます。さらに鍼刺激は自律神経にアプローチすることが出来るため、ホルモンのバランスを整えることができます。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。