
「保湿をしっかりしているのに、顔の赤みがなかなか治まらない」、実は肌の赤みにはタイプが2種類あり、それぞれで使うべきスキンケアが異なります。間違ったケアを続けていると、頑張れば頑張るほど赤みが悪化してしまうことさえあるのです。
赤みの原因は「乾燥」か「皮脂過多」か
肌の赤みが起きている方は、大きく2つのタイプに分けられます。
乾燥肌タイプ :肌の水分が不足し、バリア機能が低下することで炎症が起こり、赤みが生じます。肌がカサカサしていて引っ張られるような感覚があり、乾燥を自覚しやすいのが特徴です。
脂性肌タイプ: 皮脂が過剰に分泌され、その皮脂が刺激となって炎症を引き起こし、赤みが出ます。肌の表面はテカテカしているにもかかわらず、内側では水分が逃げている状態——いわゆる「インナードライ」になっていることが多いです。
「インナードライ」の落とし穴
問題なのは、脂性肌タイプの方が自分を乾燥肌だと思い込んでしまうケースが多いことです。皮脂が多くてもバリア機能が低下すると、肌の内側から水分がどんどん蒸発してしまいます。そのため「乾燥している」と感じて、しっとりタイプの化粧水や乳液でたっぷりと油分を補おうとしがちです。
しかしこれは逆効果です。脂性肌の方が油分の多いスキンケアを重ねると、皮脂が補充されてしまい、炎症がさらに悪化します。赤みが引かないどころか、どんどんひどくなってしまう悪循環に陥ってしまうのです。
また肌の内部が乾燥すると、それを補おうとして皮脂が過剰に分泌される、いわゆるインナードライの状態に対して、乾燥を防ぐためにクリームを塗るべきだという考え方がありますが、これは避けた方がよい対処法です。そもそも乾燥肌の人は皮脂を分泌する機能自体が低いため、どれだけ乾燥してもインナードライにはなりません。インナードライを感じている人の多くは、実際には普通肌か脂性肌であり、水分を保持する能力が低い一方で皮脂を分泌する機能は保たれているために、乾燥を感じながらも皮脂が多いという状態になっているのです。
そのためインナードライの人が本来行うべきなのは、クリームで油分を足すことではなく、水分を保持できなくなっている原因を見極めたうえで水分を補うことです。水分を保持する能力が落ちる大きな要因の1つに、細かい炎症の存在があります。皮脂が肌の表面で酸化して炎症を起こしたり、皮脂に含まれる不飽和脂肪酸が肌に再吸収されて炎症を引き起こしたりすることが多く、この状態でさらに油分を加えると炎症を後押ししてしまう可能性があるのです。
そこでおすすめなのは、クリームを重ねる代わりに、グリチルリチン酸やトラネキサム酸など抗炎症作用のある成分を含んだ、なるべく油分の少ない化粧水や美容液を使うことです。あわせて、ヘパリン類似物質やセラミド、水分保持を助けるライスパワーNo.11のような成分を、みずみずしいテクスチャーのアイテムで補っていくとよいでしょう。特に皮脂の分泌が増えやすい夏場は、インナードライを感じてもクリームを重ねて足すことは避けるようにしてください。
乾燥肌にも脂性肌にも共通して大切なこと
タイプが違っても共通しているのは、どちらの赤みも根底に「炎症」があるという事実です。ですから赤みケアの基本は次の2ステップになります。
- まず炎症を抑える(抗炎症成分を使う)
- 次に、油分に頼らず水分を届ける(水分保持力を高める成分を使う)
乾燥肌の方はこれに加えてバリア機能の修復(セラミド配合アイテムの活用)も有効ですが、脂性肌の方がセラミド配合の油分が多いアイテムを使うと、再び皮脂を補充することになりかねないため、油分が少なく水分供給に特化したテクスチャーを選ぶことが重要です。
これまで長く使われてきたセラミドは、バリア機能が低下した肌の隙間を埋める役割として優秀な成分ですが、油分を含むテクスチャーのものが多く、脂性肌の方には向かないことがあります。そこで近年、皮膚科領域で新たに注目されている保湿成分が「ペンタバイティン」です。
保湿成分「ペンタバイティン」とは
トウモロコシ由来の天然成分
ペンタバイティン(化粧品成分表記では「異性化糖」と表記されることが多い)は、トウモロコシ由来の天然成分です。その特徴は水分を磁石のように引き寄せ、離さないこと。この性質から「モイスチャーマグネット(水分の磁石)」とも呼ばれています。
なぜ肌に馴染みやすいのか
ペンタバイティンは、肌の角層や表皮の細胞に存在する「糖類」に構造がよく似ています。肌の水分を維持するためには、アミノ酸・ヒアルロン酸・コンドロイチン・グリコシルセラミドといった糖類が重要な役割を果たしていますが、ペンタバイティンはこれらの糖類に分子構造が類似しているため、角層細胞に存在するケラチンのタンパク質と結合しやすい性質を持っています。
つまり、水分を抱えたまま角層細胞にピタッと吸着する——これがペンタバイティンの最大の特徴です。しかも洗顔や水で洗い流しても落ちにくく、潤いを長時間キープできます。
「糖化」するのでは?という疑問
「糖類が肌のタンパク質にくっつく」と聞くと、老化の原因として知られる「糖化(コラーゲンの劣化)」と同じことが起きるのでは?と心配になる方もいるかもしれません。実際にこれは重要な視点です。
しかしペンタバイティンと通常の糖化は、結合の強さがまったく異なります。糖化は一度くっついたら離れない「強い共有結合」によって起こるのに対し、ペンタバイティンの結合は磁石のような「緩い水素結合」です。磁石が着いたり離れたりするように、ペンタバイティンは適度に肌に吸着しながらも、ターンオーバーとともにきちんと離れていきます。肌に蓄積して糖化を引き起こすような性質は持っていないため、安心して使用できます。
ペンタバイティンは正しい組み合わせが大切
「ペンタバイティンさえ使えば赤みが解決する」というわけではありません。
赤みの根本には炎症があります。そのため、ペンタバイティンで水分補給をするだけでなく、抗炎症成分と組み合わせて使うことが効果を引き出す鍵です。
抗炎症成分として代表的なものには、アラントイン・グリチルリチン酸・甘草エキスなどがあります。これらで炎症を鎮めながら、ペンタバイティンで水分を補う——このダブルアプローチが、赤みケアの理想的な形です。
スキンケアのステップとしては、以下のような順番が基本になります。
- 抗炎症成分で炎症を鎮める(グリチルリチン酸・甘草エキス・アラントインなどを含むアイテムを使う)
- ペンタバイティンで水分を吸着・補給する(油分が少なく、水分供給に特化したテクスチャーを選ぶ)
- 必要に応じてセラミドでバリアを補修する(乾燥肌の方は油分の少ないセラミド配合アイテムを加える。脂性肌の方は油分が少ないものを選ぶか省略する)
肌のタイプ別ケア
乾燥肌の方 抗炎症成分+ペンタバイティン(水分補給)+セラミド(バリア修復)の組み合わせが有効です。
脂性肌・インナードライの方 抗炎症成分+ペンタバイティン(水分補給)が基本です。油分の少ないテクスチャーのアイテムを選ぶことが重要で、しっとりとした重い乳液や油分の多いクリームは避けましょう。セラミドを取り入れる場合も、できる限り軽いテクスチャーのものを選んでください。
セラミドを使っているのに赤みが改善しない方 油分が邪魔をしている可能性があります。ペンタバイティンを中心とした水分補給型のスキンケアに切り替えてみることを検討してみてください。
赤みケアの「落とし穴」を避けるために
肌の赤みに悩む多くの方が、保湿を頑張れば頑張るほど改善しないという経験をされています。その理由の多くは、「自分の肌タイプに合っていないスキンケアを続けている」ことにあります。
赤みケアで最も重要なのは次の2点です。
① 自分の肌タイプを正しく見極める(乾燥肌なのか、脂性肌によるインナードライなのかを確認する)
② 炎症を抑えながら「油分」ではなく「水分」で保湿する(ペンタバイティンのような水分吸着型の成分を抗炎症成分と組み合わせて使う)
「油で蓋をする保湿」ではなく「水分を引き寄せる保湿」へ。この考え方のシフトが、長年悩んできた赤みを根本から改善する第一歩になるかもしれません。ぜひ自分の肌の状態を改めて見直した上で、スキンケアの成分選びを見直してみてください。
酒さとはどんな病気か
酒さは、皮膚に何らかの炎症が起こることで血管が拡張しやすくなり、顔が赤くなったり火照ったりする病気です。真の原因はまだ完全には解明されていませんが、免疫反応や血管の過敏性が関係していると考えられています。酒さはかつて日本では比較的まれな疾患とされていましたが、ここ15年ほどで急速に患者数が増加して
主な症状は次の通りです。
- 顔の赤み・火照り感:特に頬・鼻・額・顎に現れやすい
- ピリピリ・ヒリヒリとした灼熱感:かゆみとは少し異なる、熱いような感覚
- ブツブツ(丘疹や膿疱):ニキビに似た小さな吹き出物が繰り返し現れる
- 鼻瘤(びりゅう):進行すると鼻の皮膚が盛り上がって変形することがある
- 目の症状:結膜炎のような充血やピリピリ感が伴う場合もある(眼型酒さ)
また炎症が慢性的に繰り返されることで、肌のバリア機能が低下しやすいといわれています。バリア機能が低下すると、肌の内部から水分が蒸発しやすくなり、表皮の最外層である角層の水分量が低下しやすくなります。酒さの方の中には皮脂の分泌量が少ない方もいれば多い方もいますが、角層の水分量が低下しやすい点は共通しており、これがバリア機能低下につながりやすいとされています。
さらに、酒さの方は肌のpHがアルカリ性に傾きやすいことも指摘されています。健康な肌は通常弱酸性に保たれていますが、アルカリ性に傾くと肌表面の常在菌のバランスが乱れやすくなります。さらに、肌がアルカリ性に傾くとカリクレイン5(KLK5)というプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)が活性化しやすくなり、これが角層を分解してバリア機能の低下をさらに招くと考えられています。
こうした背景から、酒さの方は刺激に敏感になりやすく、ちょっとした刺激で赤みやヒリヒリ感、ほてりが悪化する方が多くいます。つまり、酒さの方のスキンケアは「超敏感肌」として対応していく必要があります。
単なる赤ら顔と酒さの違い
顔が赤くなる原因はさまざまあるため、「赤いだけ」で酒さと判断することはできません。ただし、以下の特徴を参考に自分の症状と照らし合わせることはできます。
酒さに特徴的なサイン
ピリピリ・灼熱感がある:単なる赤ら顔の方は赤みはあっても不快な感覚を伴わないことが多いです。一方で酒さは赤みに加えて、ピリピリ感・ヒリヒリ感・熱いような感覚が混在するのが特徴です。湿疹のように「かゆい」というよりも「熱い・刺すような」感覚がメインになる場合、酒さが疑われます。
1日の中で変動がある:酒さは特定のトリガーによって症状が悪化したり和らいだりする波があります。以下の状況で顔が赤くなったりほてったりする場合は要注意です。
- お風呂・シャワー後など、熱を受けた後
- 紫外線を浴びた後
- 熱い食べ物・辛い食べ物を食べた後
- アルコールを摂取した後
- 気温の変化や屋内外の温度差
かゆみよりもピリピリ感が強い:湿疹やアトピーではかゆみが主症状ですが、酒さはかゆみよりも灼熱感・刺激感が主体です。「かゆい」というより「ヒリヒリ・ピリピリする」という表現が近い場合は酒さを疑う一つの手がかりになります。
酒さと混同しやすい他の疾患
赤みが出る皮膚の病気は酒さ以外にもあります。
- 単純な赤ら顔(血管の走り方による体質的なもの)
- 接触性皮膚炎(化粧品や金属などへのアレルギー反応)
- アトピー性皮膚炎・湿疹
- 脂漏性湿疹(皮脂の多い部位に起こる炎症)
これらとの鑑別は難しいことも多いため、最終的な診断は皮膚科医に委ねることが必要です。「赤いから酒さだ」と自己判断して対処を始めることは避けた方がよいでしょう。
酒さを放置するとどうなるか
酒さは自然に治ることはほとんどなく、適切に対処しなければ少しずつ悪化していくのが一般的です。放置した場合に起こりうる変化には次のものがあります。
症状の進行:最初は赤みだけだったものが、やがてブツブツ(丘疹・膿疱)が目立つようになることがあります。
鼻瘤の形成:進行した酒さでは鼻の皮膚が線維化・肥厚して盛り上がり、外見的な変化(鼻瘤)が生じることがあります。
認知症リスクとの関連:酒さの方は将来的に認知症になるリスクがやや高まる可能性を示すデータも報告されています。これは炎症が皮膚だけでなく全身に影響している可能性を示唆しています。
早期から適切に対処することが、症状の進行を防ぐためにも重要です。
スキンケアの基本ポイント
- 洗顔:できるだけ優しく行う。酒皶の方は肌がアルカリ性に傾きやすいため、弱酸性の洗顔料を選ぶのがおすすめ
- 保湿:肌質に合ったアイテムを選びつつ、できるだけシンプルな処方を選ぶ
避けたほうがいい成分
アルコール・メントール
清涼化粧品と呼ばれる、使用時にスーッとする使用感のアイテムに配合されていることがある成分です。角層にある脂質を溶解し、バリア機能を低下させる可能性があるため、酒さの方は基本的に避けたほうが無難です。
香料
特定の香料を指すわけではありませんが、酒さの患者さんでは香料が刺激になってしまうケースが多々あります。基本的には無香料の化粧品を選ぶことをおすすめします。
物理的な角質ケア(スクラブ・洗顔ブラシなど)
スクラブや洗顔ブラシによる物理的な角質ケアは摩擦になりやすく、バリア機能の低下をもたらしやすいため避けましょう。
ピーリング成分(AHA・BHA)
化学的な角質ケアにあたるピーリング成分にも注意が必要です。特にグリコール酸に代表されるAHA(αヒドロキシ酸)や、サリチル酸に代表されるBHA(βヒドロキシ酸)は、酒さの方では刺激になるケースがあります。もちろん濃度にもよりますが、角質ケアをしたい場合は、グルコノラクトンに代表されるPHA(ポリヒドロキシ酸)のような、比較的刺激の少ないピーリング成分がおすすめです。
アルカリ性の石けん
正常な肌であれば、石けんを使っても肌はすぐに弱酸性に戻るため問題になりにくいのですが、酒さの方は元々肌がアルカリ性に傾きやすいため、アルカリ性の石けんを使うことでバリア機能がさらに低下する可能性があります。
強い界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)
ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)のような洗浄力の強い界面活性剤も、肌のバリアを低下させる可能性があるため注意が必要です。比較的肌への負担が少なく刺激になりにくいのは、アミノ酸系の洗浄成分です。洗顔料やボディウォッシュを選ぶ際は、弱酸性かつアミノ酸系の洗浄成分を使っているものをうまく活用するとよいでしょう。
ヘパリン類似物質
ヘパリン類似物質は、抗凝固因子であるヘパリンに類似した構造を持つ高分子です。抗炎症作用に加え、肌の中で水分を抱え込むヒューメクタント(吸湿性保湿成分)としての保湿作用があり、乾燥を伴う皮膚症状(アトピー性皮膚炎など)に対してよく処方されます。代表的な製剤としては、医療用医薬品のヒルドイド®や、市販のヘパリン類似物質配合アイテムがあります。
一方で、ヘパリン類似物質には血行を促進する作用があり、酒さの方の中には赤みやほてりが悪化してしまう方が一定数います。特に毛細血管拡張型(赤みが主体となるタイプ)の酒さの患者さんでは、ヘパリン類似物質は避けたほうが無難と考えられます。
なお、同じヒューメクタントでも、ヒアルロン酸やグリセリンについては酒皶の赤みを悪化させるという報告は特にないため、安心して使用できます。
おすすめの成分
セラミド
セラミドは肌のバリア機能を担う角層細胞間脂質の主成分で、肌本来のバリア機能を高める作用があります。セラミドだけでなく、同じ細胞間脂質であるコレステロールや脂肪酸もバランスよく配合されている製品を選ぶと、より効果的です。ナノカプセル化されたセラミドは、肌の奥までアプローチしやすいというメリットもあります。
ナイアシンアミド
ナイアシンアミドはビタミンB3の一種で、さまざまな肌への効果が期待できる成分です。その一つに、セラミドの産生を促す効果があることが分かっています。刺激になりにくい成分のため、敏感肌である酒さの方にも比較的使いやすいといえます。
ただし、市販品の中にはナイアシンアミドが高濃度配合されているものもあり、高濃度の場合は刺激を感じる可能性があります。水性の成分で比較的どんなアイテムにも配合しやすいため、化粧水やクリームなど、自分に合った濃度のものを選んで取り入れるとよいでしょう。
パンテノール
パンテノールはプロビタミンB5のことで、保湿作用や抗炎症作用が期待できる成分です。保湿に関してはヒューメクタント・エモリエント(油性の保湿成分)としての効果があるとされ、肌のバリア機能の改善が期待できます。最近は市販品でも配合されているアイテムが少しずつ増えている印象です。
抗炎症成分(アラントイン・グリチルリチン酸・トラネキサム酸)
代表的なものに、アラントイン、グリチルリチン酸、トラネキサム酸があります。中でもトラネキサム酸は注目したい成分です。トラネキサム酸には抗プラスミン作用があり、炎症を抑えて血管の透過性を抑える効果があります。
つまり、酒さの赤みを改善する効果が期待できる成分といえます。それだけでなく、肌のpHを改善する効果や、経表皮水分蒸発量を抑えてバリア機能を改善する作用があることも報告されています。こうした効果が報告されている研究では、トラネキサム酸の濃度がおよそ5〜10%で行われているケースが多いため、市販の2%程度の処方よりも、やや濃度の高い5%程度のものを選ぶとよいでしょう。
初期治療は日常生活の見直しから
ごく軽症の場合は、薬を使わずに日常生活の工夫だけで症状が落ち着くことがあります。酒さを悪化させる「トリガー」をできるだけ避けることが基本の対策です。
紫外線を避ける
紫外線は酒さを悪化させる最大のトリガーの一つです。日焼け止めを毎日習慣的に使い、直射日光を避けることが重要です。ただし日焼け止め自体が刺激になる方もいるため、刺激の少ない製品を選んでください。
熱いもの・辛いものを控える
熱い飲食物や辛い食べ物は血管を拡張させ、酒さの症状を悪化させます。食事の温度にも気を配り、熱々のものは少し冷ましてから口にする習慣をつけましょう。
入浴の方法を見直す
熱いお湯への入浴は顔の血管を強く拡張させるため、症状が出やすくなります。熱めの湯船に長く浸かることは避け、ぬるめのシャワー中心に切り替えることが有効です。
刺激の少ない化粧品を選ぶ
アルコール(エタノール)や香料を含む化粧品は皮膚への刺激が強く、酒さを悪化させることがあります。「低刺激」「敏感肌用」「アルコールフリー・香料フリー」の製品を選ぶことが基本です。スクラブや角質ケアなど物理的な刺激も避けましょう。
アルコールの摂取を控える
飲酒は血管を拡張させるため、酒さのトリガーになりやすいことが知られています。症状が気になる時期は量を控えることが望ましいです。
酒さは繰り返しやすい
酒さの治療で注意したいのが、一度良くなっても再発しやすいという点です。治療によって症状が落ち着いても、その後再び悪化するケースが少なくありません。
たとえば、数年間症状が落ち着いていたにもかかわらず、夏場に紫外線を多く浴びたことで再発したというケースはよく見られます。再発率の正確なデータはまだ確立されていませんが、臨床的な実感としては一度改善した方の約半数が何らかの形で再発を経験するとみられています。
このことからも、酒さは「治療で治す」ことと同時に「悪化させるトリガーを日常的に管理し続ける」という継続的なアプローチが重要な疾患です。
酒さに対する鍼灸治療の可能性
鍼灸治療が酒さに有効という研究報告
近年、中国およびアメリカにおいて、酒さに対する鍼灸治療の有効性を示す研究が発表されています。薬物療法に代わる代替療法として、鍼灸が新たな選択肢として注目されつつあります。その一例として、次のような症例が報告されています。
52歳の女性が酒さの診断を受け、抗真菌薬やステロイド軟膏による治療を試みましたが、十分な効果が得られませんでした。その後、薬剤を一切使用しない状態で週3回の鍼治療を受けたところ、鼻周囲の紅斑と丘疹が大幅に改善。毛細血管拡張症やかゆみに関連する症状は完全に緩和し、治療後6か月間にわたって再発は見られませんでした。
この研究は、鍼灸治療が酒さに対して有効である可能性と、その効果が血流の改善に関連している可能性を示唆しています。
酒さと体質の深い関係
酒さは単なる皮膚の赤みにとどまらず、全身の体質と深く結びついていることが多くあります。酒さが出やすい方には、次のような体質的な傾向が見られます。
- のぼせ・ほてり(熱が上りやすい)
- 貧血・立ちくらみ
- イライラ・情緒不安定
- ホルモンバランスの乱れ
- 自律神経の不調
これらはいずれも、体内の「熱」が上昇しやすく、血流や気の巡りが滞りやすい体質と関係しています。表面の赤みだけをケアしても改善しにくいのは、こうした体質的な根本が整っていないことが一因です。
当院の鍼灸アプローチ
当院では、酒さに対してお顔への局所治療と全身の体質改善を組み合わせた施術を行っています。お顔のツボへの鍼 顔面のツボに鍼を施すことで、赤みや毛細血管拡張などの体表の変化に直接アプローチします。
全身のツボを使った体質改善 熱を下げ、冷えや滞りを解消するための鍼・お灸を用いて、のぼせやほてりの根本にある体質を整えます。自律神経やホルモンバランスの調整、免疫力の向上も同時に図っていきます。体の内側から整えることで、変化の実感が生まれやすく、効果が持続しやすくなるのが鍼灸治療の大きな特徴です。酒さの赤みや火照りにお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
【コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

















