日常生活でできるシワの予防としては、日焼け止め、お肌の保湿を徹底すること十分な睡眠を取ること、ストレスを貯めないこと、バランスの取れた食事を意識することなどがあります。
ちなみにバランスの取れた食事については、オーストラリアにあるニューカスル大学の研究によると、参加者総数4,741人、27件の研究データを調査した結果、野菜や果物を食べれば食べるほど顔のシワが減ることが分かっています。ビタミンやポリフェノールがお肌に良い効果をもたらしてくれ、特にビタミンCが豊富な果物とオリーブオイルがシワに有効であることが分かっています。
シワ予防のための栄養素
プロバイオティクス
タンパク質と脂質、炭水化物という3大栄養素に加えて、それらにビタミンとミネラルを入れた5大栄養素の重要性が注目されていますが、それらに並んでもう1つ付け加えて6大栄養素と呼びたいものがあります。それがプロバイオティクスです。
プロバイオティクスは、乳酸菌のように私たちの腸内環境にとても良い影響を及ぼしてくれる細菌たちのことになります。もちろん乳酸菌だけではなく、他にも私たちの腸に良い影響をもたらしてくれる細菌はたくさんあるため、そういったもののことを総合しプロバイオティクスと呼んでいます。ちなみに似た言葉にプレバイオティクスというものがありますが、こちらは乳酸菌を始めとする腸内の善玉菌の餌になる食品成分のことを言います。
一方で、私たち日本人は欧米型の食事、加工食品、食品添加物などによって腸が汚染されていると言われており、腸内環境が悪化することで特に気になる影響に、お肌のトラブルが挙げられます。最近、お肌が荒れている、ニキビとかがやたら出てきた、そんな方はおそらく腸内環境が乱れていることが原因です。
私たちの腸は全長10m近い吸収器官であり、腸内環境が乱れて悪玉菌が優位になると悪玉菌によって発生した毒素がどんどん吸収されていくことになります。吸収された毒素は、全身の血流に乗ってお肌の細胞に運ばれ、ニキビやシミと といった数々のお肌のトラブルを引き起こしてしまうのです。逆にプロバイオティクスを摂取することで腸内環境を改善すれば、それだけで多くの方が悩んでいる肌トラブルのほとんどが改善するということになります。
実際、プロバイオティクスとプレバイオティクスの摂取によってシワが減少したという研究結果も報告されています。このプロバイオティクスは、いつどの 食べ物から摂取するのかという2点が非常に重要になります。プロバイオティクスは生きている善玉菌をそのまま体内に取り入れる行為のため、 いつどの食べ物から摂取するのかを間違えれば全くプロバイオティクスの効果がなくなってしまうばかりか、むしろ腸内環境に悪影響を及ぼしかねません。
このプロバイオティクスは、朝に植物性の発酵食品から摂ることが何よりも重要です。まずは時間帯ですが、プロバイオティクスは朝食前に摂取するのがポイントです。プロバイオティクスの効果が最も発揮できる条件は、食前そして 胃酸が少ない、この2つであると言われています。食後や食中にプロバイオティクスを摂取したとしても胃腸は消化吸収の働きに忙しく、せっかくの善玉菌が腸に定着しづらいと考えられています。食前であれば腸がお休み中の状態になっているため、蠕動運動がそこまで激しくなく、食べたプロバイオティクスがきちんと腸に住みついてくれます。
ただし、食前にはプロバイオティクスが直接胃酸にさらされてしまうというデメリットがあります。プロバイオティクスは他でもなく菌という生き物であるため、胃酸によって消化されてしまえば当然死滅します。そのためプロバイオティクスを摂取する際は腸が休止しており、かつ胃酸が少ない朝飯前を狙うのが効果的です。
そしてプロバイオティクスは、植物性の発酵食品、中でもお勧めできるのは蜂蜜豆乳ヨーグルトと納豆です。植物性発酵食品として代表的なものにはキムチなどがありますが、ヨーグルトや納豆であればさっぱりしていて胃もたれもせず、朝1番の食事としては最適であると言えます。実はこれら豆乳ヨーグルトや納豆に含まれるプロバイオティクスは、植物性乳酸菌と呼ばれ、遺産で比較的分解されづらいタイプの乳酸菌であることが知られています。プロバイオティクスとして最も有名な牛乳、ヨーグルトに含まれている乳酸菌は動物性乳酸菌であり、こちらは最近そのほとんどが胃酸によって分解されてしまうことが 分かってきています。
そして蜂蜜豆乳ヨーグルトと納豆に共通するメリットとには、プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方が含まれているという点です。例えば蜂蜜にはオリゴ糖、そして納豆には食物繊維が含まれ、これらはいずれも腸内の善玉菌の餌になります。
食物繊維
納豆に含まれる食物繊維がプレバイオティクスとして腸内の善玉菌の餌になりますが、食物繊維はこのようなプレバイオティクスとしての働きだけではなく、他にも様々な働きによって腸内環境を改善してくれる効果があります。そのため最近では食物繊維がタンパク質などと並ぶ6大栄養素の1つとして数えられることもあります。
ですが私たち日本人の多くが深刻な不足状態に陥っているという大問題があります。全年代で比較して、最も食物繊維の摂取量が少ないのが40代です。日本人の1日の食物繊維の摂取目標は20g程度とされていますが、40代の平均摂取量は17g程度にと留まっています。目標値の20gはあくまでも健康を維持するために最低限これ必要ですという食物繊維の量で、本来理想的な摂取量は24g以上とも言われています。
この不足している7gの食物繊維を補うためには、レタスを2玉丸ごと食べてもまだ足りません。毎日7gの食物繊維が不足している状態が長期に渡って続けば、様々な病気を発症するリスクは高まり、当然老化も加速してしまいます。
このため食物繊維を摂る時に大切なのが、食物繊維の量と質です。食物繊維は海藻やキノコ類に多く含まれていることが知られています。例えば私たち日本人にも手に入りやすい食べ物の中で最も食物繊維が多いのは、キクラゲです。キノコ類の仲間であるキクラゲは100gあたり57gもの食物繊維を含んでおり、100g あたり1.3gしか食物繊維が含まれていないレタスに比べ40倍になります。
また日頃不足している食物繊維を効率的に補う方法は、普段食べているものを食物線維入りの食べ物に置き換えてしまうことです。具体的な例は、白米を玄米に置き換えるという方法が挙げられます。一般的に玄米の食物繊維量は白米 の4.5倍であると言われ、玄米を食べるだけでも相当な食物繊維を確保することができるでしょう。
また、食物繊維について意識するべきなのが食物繊維の種類です。実は。一口に食物繊維と言ってもセルロースやペクチン、グルコマンナンなど非常に様々な種類があることが知られています。食物繊維は、大きく分けて水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の2つに分けることができます。そして健康のためには、これら2つの食物繊維をバランスよく摂るということが必要です。なぜならばこれら2つは同じ食物繊維でありながら、その働きが全く異なるからです。
水に溶ける水溶生食物繊維の場合は、便にぬめりを持たせて便通を良くしてくれ、小腸での糖の吸収を緩やかにしたり、コレステロールを吸着して体外に排泄するといった働きあります。一方で水に解けにくい不溶性食物繊維は、便の傘を増して、腸の蠕動運動を刺激するとともに様々な有害物質を吸着して体の外に出してくれる働きがあります。
例えば、キノコ類は食物繊維の量が圧倒的に多いですが、そのほとんどが不溶性食物繊維です。そのためキノコ類ばっかり食べていると、むしろ便秘がちになってしまう恐れもあります。そのため健康のためには不溶性食物繊維が含まれているキノコ類だけではなくて水溶性食物繊維が含まれているワカメなどの海藻類も積極的に摂取するのが大切です。
ちなみに水溶性食物繊維も大きく分けて果物や野菜に含まれるタイプのものと昆布やワカメといった海藻類に含まれるものに分けることができます。果物や 野菜に含まれるタイプの食物繊維としては、リンゴに含まれるペクチンが代表的で、高い腸内環境の改善効果があることが知られています。一方で海藻に含まれるタイプの水溶性食物繊維としては、アルギン酸やフコイダンが有名です。
バランスの良い食物繊維を摂取するためには次の3つを意識して食べるのが最も効果的です。①不溶性食物繊維をたっぷり含むキノコ類、②アルギン酸やフコイダンをたっぷり含む海藻類、③ペクチンが豊富なリンゴと摂る、この3つを意識しましょう。
脂質
脂質は、他の栄養素に比べて圧倒的にカロリーが高いのが特徴でgあたりのカロリー量は、糖質のおよそ2倍程度であると言われています。実は、私たち現代人の多くが脂質不足に陥っていて、代わりに糖質過剰になってしまいがちであるという現実があります。脂質と糖質のどちらが体に悪いのかというのはしばしば議論の的になりますが、科学的には糖質の方が圧倒的に不健康であるということが分かっています。
なぜならば脂質と一口に言っても脂質には良い脂質と悪い脂質がある一方で、糖質には良い糖質などなく基本的に悪い糖質しかありません。あらゆる糖質には血糖値を上げて、糖尿病を引き起こすリスクや糖化によって老化を促すなど、切りがないほどのたくさんのリスクが存在しています。一方で良質な脂質が持っているリスクといえば高カロリーと胃もたれ程度のもので脂質にはそれらのデメリットを圧倒的に上回る数々の健康効果があります。
私たち現代日本人の平均エネルギー摂取量は、食べ物がなかった戦後直後よりも低いことが分かっています。このように摂取カロリーが少なければ体が飢餓状態に備えるために、エネルギーの消費を下げるようになります。エネルギーの消費が下がれば当然、代謝が悪くなり細胞の活動量も減ってしまうことになります。細胞の活動量が減れば筋肉の運動からお肌のターンオーバーに至るまで、ありとあらゆる全身の新陳代謝が弱まってしまい、体がどんどん老化して しまう方向に傾きます。
さらに飢餓状態に備える体は、糖質の吸収率を上げてしまうので活動量が減るのと合ってどんどん太りやすくなるというデメリットもあります。このように実はカロリーの不足によっても肥満のリスクがあるというのは知らなかった人多いと思います。このような事態を避けるためには多すぎず、そして少なすぎない適量の良質なカロリーを日々摂取するというのが重要になります。
ビタミンDとカルシウム
ビタミンDとカルシウムは、ビタミンとミネラルという別々のグループの栄養素になりますが、実はこの2つは一緒に摂取することで初めて効果を発揮します。もっと言えばビタミンDとカルシウム、そして日光の3つが揃って初めて意味があると言えるでしょう。
これら3つが揃うことによって発揮される健康効果は、骨を丈夫にして健康を保つことになります。カルシウムは他でもなく骨を構成する最も重要な成分ですが、このカルシウムを吸収するためには活性化したビタミンDが必要です。そしてビタミンDを活性化するためには日光が必要で、結果的に骨を強くするためには、ビタミンD、カルシウム、 日光この3つの要素が不可欠なのです。
これら3つのどれか1つでもかけてしまえば、骨の材料であるカルシウムが吸収できず骨がどんどん衰えてスカスカになっていくことになり。骨がスカスカになれば、当然シワやたるみの原因である骨痩せにつながっていきます。
42,024人を対象としたイギリスの研究によると、BMIが10%上昇するごとに血中のビタミンDの濃度が平均で4%減少してしまうことが分かっています。つまり肥満になるとビタミンDが不足するということになり、肥満になれば骨に余計な負担、関節に余計な負担をかけるだけでなくビタミンD不足によって、さらに骨痩せのリスクが高まってしまうと言えます。
ちなみにビタミンDはカルシウムの吸収効率をアップしてくれるだけではなく、私たちのメンタルに重要なセロトニンという幸福ホルモンを調節する役割も持っています。そのためビタミンDを積極的に摂取することは骨を強くするのみ ならず、メンタルを整えて心の 健康にも非常に効果的です。メンタルが低下していると顔の表情も暗くなり、どんどんシワが増えてしまいます。
抗酸化物質
脂質が老化を未然に防ぐ栄養素であるとすれば、抗酸化物質は老化してしまった細胞を蘇らせる栄養素であると言えます。抗酸化物質というのは一言で言えば細胞の錆を取ってくれる物質のことです。シミやシワを始め、体の中のありとあらゆる老化は有害な活性酸素によって細胞が錆びつくことで起こります。逆に錆を取ってあげれば老化した細胞が蘇り、全身を若々しく保てるということになります。
抗酸化物質には、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノールなど様々なものがありますが、地球上で最強の抗酸化活性を誇る物質は天然のアスタキサンチンであると言われています。アスタキサンチンは、シャケやエビなどが持つ赤色の天然色素で、その抗酸化力は若返りビタミンと呼ばれるビタミンEの1000倍とも言われています。
オリゴ糖の美肌効果
甘いものを食べすぎると肌荒れの原因になる理由には、皮脂が過剰に分泌されること、ターンオーバーが乱れること、皮脂細胞の老化が挙げられます。この中でも皮脂の過剰分泌は、ニキビの原因になります。甘いものに含まれる糖質が脂肪に置き換わり、余分な分が皮脂として出てしまうと過剰な皮脂になります。皮脂が過剰に分泌されると毛穴を詰まらせ、健康な肌にまでトラブルが起こります。
さらに甘いものにより血液がドロドロになっていれば、肌細胞にもうまく血液が行き渡らない状態になり、肌細胞に血液が行き渡らないと酸素や栄養不足になり肌のターンオーバーが促されなくなり、新しい細胞が作られず皮膚が老化してきます。
さらにAGEsが産生されれば、当然皮膚の細胞にも影響し、シミやそばカスの原因になってしまいます。他にもAGEsは肌の潤いや弾力を壊し、シミやたるみの原因となります。
しかし甘いものを絶つのは強い意思が必要なので、砂糖をオリゴ糖に置き換えましょう。オリゴ糖は甘味があっても血糖の上昇も緩やかで、AGEsも産生させません。また血流を促進させ、ターンオーバーを促す作用があり、さらに腸内環境を整え悪玉菌が作り出す毒素を減らすため美肌効果が期待できます。
ちなみにオリゴ糖の1日の摂取目安は10g程度のため、体に良いからと言って使い過ぎないようにしましょう。またオリゴ糖は食品からも摂取でき、おすすめの食べ物はバナナと蜂蜜です。
バナナには、レジスタントスターチが含まれており、このレジスタントスターチがオリゴ糖に似ている作用があります。レジスタントスターチは難消化性で糖質として吸収されません。そしてレジスタントスターチは善玉菌の餌になることも分かっています。また蜂蜜はオリゴ糖が含まれる天然の食材であり、たくさんの種類のオリゴ糖が含まれています。
また砂糖は、ダイエットの大敵で、砂糖を摂取することで血糖値が一気に上昇し、血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌されます。そして血糖が中性脂肪に変化してしまい肥満などの原因になります。
しかし砂糖のような甘味があるオリゴ糖は、難消化性であり吸収されにくいため、血糖値も上昇しにくく、腸で吸収されなければ当然脂肪も作られません。つまり血糖値が上がらなければ肥満にもなりません。さらにオリゴ糖を摂ると、善玉菌の中でも短鎖脂肪酸という体に良い脂肪酸が作られます。短鎖脂肪酸は、脂肪の蓄積を防ぎ、代謝を上げる働きがあります。
シワがない人の習慣
一般的にお顔のシワやたるみを防ぐには、20代後半からのケアが必須です。お肌のシワやたるみを自覚できるのが35歳前後からと言われています。そのため、人によっては30代に入ってから急に老けたと言われたりするのは、お肌のシワやたるみを防ぐケアをしっかり行って来なかった可能性があります。
年齢を重ねることによる肌のシワやたるみは、コラーゲンネットワークやエラスチン繊維、ヒアルロン酸など、お肌の水分保持を助ける物質が減少することが主な原因です。その他にも健康上の問題やライフスタイルの問題が肌のたるみの原因になることもあります。例えば紫外線のダメージは、その代表例でしょう。
紫外線は当然シワの原因になりますが、紫外線以外でそもそもシワの原因は筋肉を動かすことによって生まれます。常時慢性的にその刺激を加えることで皮膚が寄れて、それが繰り返されることで皮膚に線が付きます。このような状態になった皮膚を顕微鏡で見ると分かりやすいです。
例えば、肌のハリや弾力を保つコラーゲンは、トロポコラーゲンというものが細胞で作られて、それが外に分泌され「コラーゲン繊維」という3本の螺旋に編み込まれたものです。そして筋肉の動きによる慢性的な刺激によって常に折れ曲がったりさせているとコラーゲン繊維が断裂して、そこの部分にシワが寄ってしまう状態になります。またコラーゲンに加え肌のハリや弾力を保つ上で重要な役割を担っているエラスチンの量は、25歳頃をピークに年齢と共に緩やかに減少し、40歳を過ぎると急激に減少します。
また、ほうれい線や目の下のくぼみのシワは、重力によるたるみが原因のシワです。同じシワでも、これらのシワは重力によって上の肌がたるむことで下にシワ寄せが来てできるシワです。もちろん肌にはターンオーバーがあるため、元に戻る可能性はあり、折り紙のように曲げた線は、伸ばせばある程度は戻ります。ただし強く折ってしまうともうどれだけ伸ばしても元には戻りません。それと同じで肌のシワが軽いうちは、また回復して伸びて元に戻る可能性はあるので、シワが予防する良い習慣を身に付けることが大事です。
水を小まめに飲む
シワが寄って、その寄り跡が肌についてシワになる状況は、肌の真皮の部分に水分が足りておらず、コラーゲン繊維が折れてしまって回復できない状況になっています。年齢が若い時は真皮に厚みもあって、保水力もあるからため特に問題はありません。しかし年を取ってくると真皮は薄くなってきて保水力も低下します。保水力が低下してくると肌が折れ曲がってシワが出やすくなり、また年を取ると肌が乾燥しやすくなるのもこのような理由があります。もちろんスキンケアで保湿は大事ですが、皮膚の水分量を増やすには外から塗るよりも飲んで補給した方が効果的です。
実は皮膚は非常に強い臓器で、多少血液が回らなくても生きていける組織です。そのため体は体内の水分量が少なくなるとまず皮膚から吸収しようとします。つまり水分不足は皮膚から起こります。
肌に水分を行き渡らす目安になる研究データは既にあり、お水を1日1L飲む場合と2L前後飲んだ場合を比較した結果があります。結論は2L前後飲んだ場合の方が肌の水分量はアップすることが分かっています。お水を飲むことは、ダイレクトに皮膚の水分量を増やすことになるため、1日1.5Lから2L 前後を目安にシワ予防のためにも小まめにお水を飲みましょう。
睡眠と寝方を整える
皮膚は、表情ジワでも分かるように同じ圧がずっとかかり続けると圧迫されてシワができます。例えばうつ伏せに寝ているとおでこに圧がかかって、そこにシワができやすかったり、同じ方向で寝続けて頬に圧がかかると布団と触れる部分だけにシワができたりします。ちなみにこめかみにできるシワは睡眠ジワとも呼ばれています。肌にシワができないようにするためには圧がかからないように仰向けで寝るのが理想です。
また、睡眠をしっかり取ることもシワ予防には大事です。年齢が若い頃は心臓やリンパのポンプ機能がよく働いているため、多少睡眠時間が短くても体内の水分は全身を駆け巡ってくれます。しかし年齢が進むにつれて足がむくみやすくなったり、顔が干からびてくることはよく起こります。なぜなら睡眠時間が短く、起きている時間が長くなると体は起き上がった状態になるため、顔の水分も重力でどんどん下に落ちます。このように顔の水分不足を防ぐためにも、顔に水分が返っていくように睡眠時間をしっかり確保することは大事になります。
研究では睡眠時間は、8時間が理想と考えられています。その研究では、同じ人で比較して8時間以上寝た時と5 時間ぐらいしか寝てない時の写真を撮り、シワや表情、顔色などを比較しました。すると5時間ぐらいしか寝てなかった参加者は、8時間以上寝た時よりも45%もシワが増えていました。さらにシミも13%増、赤みも8%増になり、睡眠不足は肌が老化していくことが分かっています。
定期的な運動
一方で、お肌のシワやたるみを防ぐためには、定期的な運動が肌の老化を防ぐことが知られています。週に2回から4回ぐらいは運動した方がベストで、1回の運動は30分から1時間ぐらい、もちろん筋トレや激しい運動する必要はなく、散歩ぐらいのレベルでも全然構いません。
実際、研究によると心肺機能を発揮するような運動、主に骨格筋からインターロイキン1号と呼ばれるホルモンの放出が促されます。これがおそらく皮膚に変化をもたらしているという仮説があります。つまりホルモンレベルで、お肌の老化を防げることになります。
また軽度の皮膚のシワやたるみを予防するには、基本的にはレチノール化合物を含む化粧品を探すと良いでしょう。レチノイドは強力な抗酸化物質で、コラーゲンの生成を促進する可能性があると言われて、これは肌からも吸収される非常に珍しい成分です。局所的にシワやたるみやすい場所に塗ると皮膚の老化対策になります。ただし専門家の間では意見が分かれており、レチノイドが肌のターンオーバーを促進して肌を綺麗にしてくれる可能性がありますが、既にたるんでしまった皮膚を引き上げられるかどうかは何とも言えないとも言われています。またアメリカ皮膚科学会は、ほとんどのレチノールではないファーミング製品は、基本的には保湿になるだけで意味ないという風に言っています。
シワ改善は完成形へ(資生堂)
年齢とともに肌の悩みには、ハリのなさ、たるみ、シワ、くすみ、緩み、毛穴など、これら悩み全般にコラーゲンが大きく関わっています。肌の構造は、角質、表皮、真皮に分かれ、コラーゲンに大きく関わっているのが真皮です。
真皮の70%はコラーゲンでできているため、コラーゲンがしっかり整っている場合は、ハリのある肌となりますが、加齢とともに生産性が落ちて弾力や強度が低下し、形が変わってしまったりすると言われています。そのためコラーゲンが減少するとハリがなくなって艶ができにくくなるので、肌の土台であるコラーゲンにアプローチすることが大事になります。
一方で資生堂のシワ研究の最前線情報によると、シワのある肌とない肌の違いには、肌の内側と外側の硬さのギャップがあることで肌の表面の角層が硬いとシワができやすいことが分かりました。
シワ取りアイテム
レチノールクリーム
レチノールは、ビタミンAの一種でスキンケアの商品によく使われている成分です。お肌を綺麗に保つために大切な成分で、細胞を元気にして、お肌の生まれ変わりを早めてくれます。
ミシガン大学の研究では、高齢者に週2、3回 0.4%レチノール配合のクリームを使用してもらった結果、肌のコラーゲンとヒアルロン酸の量が向上し、このクリームを使用した人々は使用していない人たちと比べて顕著にシワが減少し、肌の質感も滑らかになる効果が観察されています。またレチノールはシワを減らすだけでなくお肌をプルプルにしたり、シミを薄くしたり、毛穴のつまりやニキビを防ぐ効果もあると言われています。
ただし、レチノールを使い始める時は様子を見ながらゆっくりと始めるのが良いでしょう。なぜならレチノールは肌への刺激が強い場合があり、最初は週1から2回でスタートして、お肌の様子を見つつ徐々に使う回数を増やしていくのがおすすめです。良い成分であっても人によって合う、合わないがあります。
またレチノールは夜に使うのが一般的です。日中は紫外線で効果が落ちやすく、お肌が敏感になりやすいため夜のケアに取り入れるのが良いでしょう。日中にレチノールを使うとお肌が日焼けしやすくなるのでSPF30以上の日焼け止めをしっかり塗ることが大切です。そしてレチノールは乾燥しがちなので保湿はしっかりと、お肌の乾燥や皮が向けるのを防ぐために保湿剤の使用を忘れずしましょう。
ビタミンC美容液
ビタミン C美容液がなぜシワに効くのか、その理由に抗酸化作用が挙げられます。ビタミンCは、紫外線や環境汚染など外からの刺激でできるフリーラジカルに強く対抗する抗酸化物質です。フリーラジカルは、お肌の老化を早めるため、ビタミンCはこれを中和して、お肌の老化を遅らせてくれます。
次に、コラーゲンの生成を助けることも理由として挙げられます。コラーゲンはお肌の弾力や強度を保つタンパク質で、ハリや若さを保つのに欠かせません。ビタミンCは、コラーゲンの合成を促進することが科学的にも証明されており、これがお肌の弾力を向上させ、シワやたるみを減らす助けになります。さらに ビタミンCは、お肌の色調を整える効果や炎症を和らげる効果、お肌のバリア機能を強化する働きもあります。
このビタミンC美容液を買う際に注目するポイントは大きく3つあります。まずはなるべく水分を含んでいないものです。水分量が多い方が肌に馴染みそうですが、水分が含まれているとビタミンCが酸化しやすくなり、その効果が低下する可能性があります。水分が少ない製品の方が、ビタミンCがより長持ちし、効果を保つことが期待できます。水分量が確認できない場合は、フェルラ酸やトコフェロールなど酸化を防いでくれる成分が配合されているものを選びましょう。
そして2つ目のポイントはビタミンCの含有率です。1番効果的だと言われているのはビタミンC含有率が20%のものです。実はビタミンCは、この濃度がお肌にとって最も良いバランスだと考えられています。ただし人によってお肌の質や感じ方が違うので実際に使う前にパッチテストをしてみましょう。
3つ目のポイントは、パッケージです。ビタミンCは、光や空気に触れると簡単に酸化する性質があります。酸化するとお肌への良い効果が減ってしまうため、ビタミンCを長持ちさせるために暗い色のガラス瓶や空気と触れ合わないポンプ式の容器で成分を光や空気から守れる工夫がされたパッケージの製品を選ぶのがおすすめです。
ヒアルロン酸美容液
ヒアルロン酸は、しっかり効果も実証されており、ルートヴィヒマクシミリアン大学が行った研究では、目の周りのシワに悩んでいる30歳から60歳までの女性76人を対象に、ヒアルロン酸クリームを1日2回、60 日間に渡って塗布してもらいました。
その結果 ヒアルロン酸クリームを塗った場所は、塗っていない場所と比較して、皮膚の水分量と全体的な弾力性が顕著に向上し、シワの深さがプラセボを使用した場所と比較して大きく改善していました。ちなみに実験では、クリームが使用されていましたが、クリームやパックよりも美容液の方が速攻性が高いのでおすすめです。
また、ヒアルロン酸には、肌の上でしっかり保湿をしてくれる高分子ヒアルロン酸とお肌の奥までしっかり浸透してくれる低分子ヒアルロン酸がありますが、シワを改善したい時は、両方含んでいる商品が良いでしょう。またお肌に優しい製品を選ぶことも大切で、アルコールフリー、無香料、非コメドジェニックなどお肌に優しいものを選ぶと安心でしょう。
ナイアシンアミド
ナイアシンアミドは、細胞を活性化にする作用の他、コラーゲンの産生を促すことでシワを予防する作用も知られています。その他にもくすみの原因であるメラニンの産生を抑えたり、抗炎症作用があるといわれています。このナイアシンアミドは、ビタミンB3の一種になります。ナイアシンアミドは、比較的小さい分子のため肌を透過し、肌の幹細胞まで辿り着く可能性が高いと考えられています。
そして、ナイアシンアミドを含む保湿剤によってシワを改善する効果があることが確認されています。なぜならナイアシンアミドによって肌に含まれる線維芽細胞でコラーゲン合成量が増えるためと考えられています。
ナイアシンは食品からも摂取できますが、トリプトファンからも合成できるビタミンです。実は体内でのナイアシンアミドは、酵素の働きを補助し、エネルギー産生、脂質やアミノ酸の代謝などに関わっています。ナイアシンを多く含む食品には、100gあたり黒米8.2g、玄米3.6g、赤米6.9g、発芽玄米6.4g、かつお(24g)、胸肉(27g)などがあります。ただしナイアシンアミドは水に溶け出すため、調理法や摂食法を工夫し、無駄なく摂取するよう意識するのがよいでしょう。
AHA配合のピーリング剤
AHAとは、アルファヒドロキシ酸の略称で、主に果物や乳製品などの天然成分 に含まれています。ブリティッシュコロンビア大学などが出している論文によれば、AHAはお肌に塗ることで色々な肌トラブルを改善してくれる効果があることが分かっています。特に紫外線でお肌が老化してしまった時、例えば細かいシワやお肌のザラつきを改善する効果があります。
具体的な研究で言うと、サトウキビから抽出されるAHAのグリコール酸や発酵乳製品に含まれる乳酸を使ったピーリング治療がシワを目立たなくしたり、グリコール酸を使った治療で、肌のコラーゲンが増えて若返りの効果があったことが報告されています。
AHAは、肌の色素沈着やニキビ治療にも効果があるって言われており、肌の色を均一にしたり、お肌の感じを良くしてニキビを予防したり、ニキビ跡を目立たなくする効果があります。そしてAHAについての新しい研究も進んでおり、例えばアーモンドに含まれるAHAのマンデル酸は他のピーリング剤よりもお肌に優しくて、敏感肌の方にも安全な治療方法として注目されています。
AHAは、グリコール酸や乳酸といったいくつかの種類があり、それぞれ効果やお肌への優しさが違うため、自分のお肌のタイプや何を期待しているかに合わせて選ぶのが大事です。また濃度に関しては、濃いほど効果も強いですがお肌への刺激も強くなり、特に敏感肌の方やAHA製品を初めて使う方は低めの濃度から始めて見るのがおすすめです。
そして、AHAは酸性の環境でしっかりと働くのですが、pH値が低すぎるとお肌に刺激が強くなりすぎてしまい、高すぎると効果が弱まります。そのためpH値が3.5から 4.0くらいの製品が効果と安全性の良いバランスだとされています。
またAHAだけでなく、保湿成分や抗炎症成分が入っている製品を選ぶとお肌に優しくて良いでしょう。同じく光や空気に弱いので遮光容器に入っていたり、空気と触れにくいパッケージの製品のものの方がより良いでしょう。
ペプチドクリーム
ペプチドは、アミノ酸が短く繋がったもので、2つのアミノ酸がくっついてるものをジペクチドと呼び、3つが繋がったものをトリペプチド、4つ繋がったものはテトラペプチドと呼びます。アミノ酸がシワに効果的なのは、2002年にアメリカの皮膚科学会の研究会議で発表された研究によると、ペプチドがお肌をピンと引きしめたり、コラーゲンの生成を刺激したりする効果があることが証明されたからです。これをきっかけにペプチド配合のスキンケアが多数販売され始めました。
フランスの世界皮膚科学会で発表された研究では、スキンケアで最も一般的に使用されるペプチドでマトリキシルとも呼ばれるパルミトイルペンタペプチド-3を使用したもので、35歳から55歳の93人の白人女性を対象に12週間に渡る実験を行ったところ、ペプチド配合の製品は肌によく馴染み、プラセボと比較してしやシワや細かい線の減少に優位な改善が見られています。
また皮膚に効果がある別のペプチドのパルミトイルテトラペプチド-7を使用した研究では、45 歳から80歳の60人を対象に12ヶ月に渡って調査をしたところ、このペプチドの長期使用により顔のシワの出現が減少することが判明しています。
他のシワ改善に特化したペプチドとしては、アルジレリンっていう成分があり、これが筋肉の動きを穏やかにすることで笑ったり、眉を潜めたりする時にできる表情ジワを予防することができます。つまりボトックスのような効果があると言われており、特に目の周りや額の細かいシワに効きます。
一方で、コッパーペプチドっていう銅を含んだペプチドは、お肌の修復を助けたり、コラーゲンやエラスチンの生成をサポートします。抗炎症作用もあり、お肌の再生を助けることでシワを改善します。他にはパルミトイルトリペプチドやパルミトイルオリゴペプチドなどもシワや小じわを目立たなくするのに向いているペプチドです。
【コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。