加齢につれて、横から見た時のフェイスラインの変化、ほうれい線が気になるなど以外でも、お顔が大きくなったと感じる、目と顎の長さが変わったように感じるなど、その原因の多くはお顔のたるみです。たるむと縦のラインが長く見えるため、それが老けて見える原因になります。
たるみの原因は、ハリがなくなること、結合組織が痩せてしまうなどがありますが、最も影響が大きいのは筋肉が関係しています。また一度たるんでしまったお肌を元に戻すことは難しくなります。そのためたるみ予防は20代後半から始めることをオススメします。
今回は、お顔のたるみにつながるNG事項を紹介します。
お顔のたるみにつながるNG事項
日焼け(光老化)
まず一つ目は「日焼け」です。日焼けはシミだけでなくたるみの原因にもなります。この紫外線による肌老化が、老化の3大要素の1つの『光老化』です。加齢による肌老化は全体の2割程度で、残りの8割が「光老化」で起きるとも言われています。
太陽光線は適度に浴びることで、ビタミンDを生成し、骨を丈夫にするなど健康維持に役立ちますが、長時間、直接的に浴びすぎた場合はお肌にダメージを与え、シワ・たるみ・シミなどの原因になってしまいます。
この光老化の原因となる紫外線(特にUVA)は、お肌の真皮層という部分まで達して、ハリや潤いなどの元となる、コラーゲンやエラスチンにダメージを与えてしまいます。よって光老化が進行すると、白く透きとおった肌・うるおい肌・ハリ肌を維持することが難しくなります。
また最新の研究で、パソコンやスマホから発せられる「ブルーライト」が光老化を引き起こしていると指摘されています。例えば、「ブルーライトと肌細胞に関する研究結果(日本ロレアル株式会社)」によれば、ブルーライトによって肌の色が変化したり色素沈着を起こしたりといった事例が報告されており、ブルーライトがシミやくすみの原因となることが判明しています。
紫外線(酸化)
金属にサビが出たり、りんごが黄色く変色したりするように、お肌も『酸化』してしまいます。お肌の『酸化』の原因は、エネルギーを作る際に廃棄物として生成された活性酸素によって引き起こされます。
『酸化』を放置してしまうと、お肌に大切なコラーゲン繊維が破壊され、ハリ・ツヤが失われ、たるみに繋がります。またお肌のターンオーバーの周期が遅くなるため、メラニン色素が溜まり、シミやソバカス、肌荒れの原因にもなります。
もちろん、細胞内にあるSOD(抗酸化酵素)が活性酸素による酸化ストレスから身体を守る働きをしますが、加齢とともに抗酸化作用の力は徐々に低下します。さらに活性酸素が増えてしまう要因としては、紫外線、喫煙、飲酒、ストレスなどが原因と言われています。
飲む日焼け止めだけ
飲む日焼け止めの効果は、他の日焼け止めに比べて低いのをご存知でしょうか。基本的に飲む日焼け止めは、塗る日焼け止めの補助的な役割を担うものです。飲むだけで日焼けをしないというものではありません。日焼けをしたダメージの回復を早くする、日焼けによるダメージを少し抑える程度のものです。もちろん実験結果には、肌の赤みを抑えたなどありますが、それをSPFに換算すると大体1か2ぐらいしかありません。
一方で飲む日焼け止めの多くには、ポリフェノール、ビタミンAなどの抗酸化作用が高い成分が入っています。そのため紫外線による炎症や酸化を抑えてくれる効果が期待できます。例えば日焼けで炎症が起こると、メラノサイトが刺激されメラニンがつくりだされ、褐色から黒くなっていき皮膚の細胞に受け渡されていくという一連の流れをブロックするような成分が入っています。また日焼けは酸化を引き起こすため、活性酸素を除去する抗酸化作用のある成分、例えばビタミンC、リコピン、アスタキサンチンなどが入っています。多くが紫外線の刺激から肌を保護するのをサポートするものです。
いずれにせよ、紫外線対策をしっかりした上で、飲む日焼け止めを補助的に用いることが正しい使い方です。
間違った強いマッサージ
次が「間違った強いマッサージ」です。カッサでリンパの流し、グリグリと肌に摩擦を与えながらするなど、毎日血行促進のためや、お顔のむくみを取るために過度にマッサージしていませんか?
実は、筋肉と骨の間には、両者を接着するリガメントという靭帯があり、この靭帯は、マッサージすると引張力が働き伸びます。毎日をマッサージで皮膚が常に伸ばされた状態になると、この靭帯が伸びきって戻らなくなります。このようにたるみケアのために引っ張ることで靭帯が伸び、結果としてたるみにつながってしまいます。
間違ったダイエット
以外なのが「間違ったダイエット」です。太るとお顔に脂肪が付きますが、痩せるとその脂肪がなくなります。しかし一度伸びた皮膚は元に戻らないため、それがたるみになります。また脂肪が付くとそれだけ重くなるので皮膚がたるみます。つまり痩せたり太ったりというリバウンドをするようなダイエットは、太っても痩せてもたるみの原因になります。
また、間違ったダイエットによって、栄養不足(カルシウム不足)や女性ホルモンのバランスが崩れることでお顔の骨が痩せる原因となります。実際には加齢と共に、骨は薄くなり小さくなるのですが、皮膚は小さくならないため、同じようにたるみの原因になります。お顔の骨は40代前後から小さくなり始めると言われています。
年齢と共にお顔の脂肪が無くなり頬がこけて、皮膚が余りたるみにつながります。特に過度なダイエットで、お顔の筋肉が衰え、脂肪が無くなり、栄養不足で骨が痩せることにもつながります。そのためお顔の体重増減はなるべく避けるべきです。
過度な日焼け対策
過度な日焼け防止が顔のたるみに繋がる場合があります。お顔のたるみの原因の1つに骨が薄くなることが挙げられます。加齢により骨が薄くなる(小さくなる)と皮膚との間にスペースが出来てしまい、その余りによってたるんでしまいます。
この骨が薄くならないようにするためにはビタミンDが必要です。ビタミンDは日光に当たることで体内で産生されます。日焼けは間違いなくシミやシワの原因になることは明らかなのでお顔にはUVケアは必須ですが、体の全てで日光を遮断してしまうとビタミンD不足に骨が薄くなりたるみになってしまいます。どの程度日光を浴びれば1日に必要なビタミンDが摂れるかは、ネットでシュミレーションが多く上がっているので参考にしてください。
無表情
最後が「無表情」です。口角を上げる筋肉(口輪筋、口角挙上筋)に比べて、口元から鎖骨のあたりまでにある広頚筋は大きく、何もしなければ、大きな筋肉ほど引っ張る力が強いため口角が下がります。
また口角下制筋という口角を下げる筋肉があり、これらの筋肉は、年を重ねると硬くなることが分かっています。さらに下がる力によってたるみになります。よって、常に笑顔で上に引っ張るように意識することでたるみ予防になります。
また、過度な筋トレもたるみにつながります。お顔のトレーニングがリフトアップになると聞いたことがあるかもしれません。例えば頬周りをリフトアップするために、小頬骨筋や大頬骨筋を鍛える器具が昔流行しましたが、下唇下制筋やオトガイ筋、広頚筋が鍛えられることで、下に引っ張る力が強くなりたるみにつながります。
このように硬くなった筋肉を緩めてあげるとシワやたるみが改善しますが、逆に筋トレして筋肉を収縮させることでシワやたるみになるのです。
寝る前にスマホ(ブルーライト)
寝る前に、スマホなどを見ない方が良いというのは、ブルーライトが脳を覚醒させる作用があり、さらに自律神経が乱れる原因になると言われているからです。私たちには時計遺伝子が体内にあり、光の刺激によって睡眠や覚醒(寝つきや目覚め)のタイミングを調整する大事に役割があります。
同じようにお肌にもPer-1と呼ばれる遺伝子があり、夜にお肌の修復を上手くできるようにしてくれる遺伝子です。睡眠中に、お肌の炎症を起こす原因であるフリーラジカルを除去してくれるこの遺伝子ですが、ブルーライトの光によってその機能が低下するということが分かっています。つまり夜になっても肌の修復が上手くできずに、特に目元の炎症に大きく影響するのではないかと考えられています。
スマホ焼け
テレビやパソコンなどを長時間見続けることは、実は老化を促進してしまう危険性があります。その理由は、テレビやパソコンの液晶画面から出ているブルーライトによって光老化する可能性があるからです。
主に紫外線を浴びることで老化が進むことを光による老化、すなわち光老化と言います。例えば紫外線を含む日光を長時間浴び続けていると肌に大量の活性酸素が生まれます。そして活性酸素によるダメージが蓄積していくと肌のシワになり老化が進みます。また肌の見た目が劣化するだけでなく、活性酸素は正常な細胞を癌細胞に変化させる作用まであります。つまり紫外線を浴び続けることで皮膚癌の発症リスクが高まってしまったり、目がダメージを負って白内障を患ってしまったりと紫外線を浴び続けることで老化や病気が促進されてしまいます。
そしてテレビやパソコンの液晶画面から出るブルーライトは、紫外線と似た波長を持った光です。よってブルーライトを長時間浴び続けていると紫外線を浴び続けている時と同じく、肌の細胞がダメージを追い、肌の老化や病気につがるということが明らかになっています。実際に2020年に発表されている研究論文では、ブルーライトを浴びた直後にメラニン色素が増えたとの結果が出ています。ブルー ライトは、目に悪いというイメージを持っていると思いますが、目に対するダメージだけじゃなくて肌全体に活性酸素を発生させ、肌の色素沈着や老化、病気などを引き起こしてしまうことになります。
近年では「スマホ焼け」という言葉がある通り、ブルーライトを浴び続けることで肌が黒ずんだり、シワやたるみの原因になってしまうことは明らかです。しかもブルーライトを浴びることで睡眠ホルモンのメラトニンの生成が抑制されてしまい、質の良い睡眠が取れなくなるという大きなデメリットも存在しています。
例えば、寝る前に布団の中でスマホを眺めている人は、寝る直前にブルーライトを浴びることで体内のホルモンバランスが崩れ、生活サイクルが乱れてしまいます。その結果、本来であれば睡眠中に分泌される成長ホルモンがきちんと分泌されず、老化がさらに進んでしまうといった状態になってしまいます。
簡単にできる対策としては、テレビやパソコンなどの液晶画面にはブルーライトをカットできるフィルムを付けるなどもありますが、2023年に医療専門のデータベースに掲載された研究論文によると、ブルーライトカットのメガネをつけても睡眠の質が改善されなかったり、眼精疲労の改善効果がない可能性があるという指摘もあります。ブルーライトの有害性を避けるには、テレビやパソコンを見続ける習慣自体を見直して、できるだけブルーライトを浴びない生活を心がけることが大切です。
間違った光老化対策
肌の光老化は、紫外線を長年浴び続けることによって引き起こされる肌の老化です。加齢によって起こる老化は皮膚が薄くなるのに対して、光老化は、子供の頃から浴びた太陽光線の総量が関係し、紫外線への防御反応の結果、皮膚が厚くゴワゴワになり、色が濃くなるという特徴があります。また肌の真皮で肌のハリを保つ弾性繊維が破壊されてしまうのも光老化の特徴です。弾性繊維が破壊された結果、皮膚のたるみやシワができます。このように紫外線を浴びた量によってシワ、たるみ、くすみ、シミが生じやすくなります。
しかしながら、紫外線は健康を維持するために必要不可欠なものです。例えば紫外線を浴びることで体内ではビタミンDが生成されますし、体内時計を調整してくれる役割もあります。つまり光を浴びなさすぎるのも、浴びすぎるものよくないと言うことです。
紫外線はUV-A,B,Cの3つに分けられ、私たちの体に影響のあるのはUV-AとUV-Bです。そしてUV-Bの方が日焼けを起こす力が600から1000倍強いです。UV-Bは肌の浅い所で炎症を起こしやすく、水ぶくれや強い炎症反応によって色素沈着が残りやすいのが特徴です。これに対してUV-Aは肌の炎症や色素沈着を起こす可能性は低いですが、波長が長いため、肌の奥まで到達して、長期的に浴びると光老化の原因につながります。
日焼け止めには、紫外線吸収剤と紫外線錯乱剤が使われており、紫外線吸収剤は主にUV-Bに効果を発揮し、紫外線を吸収して熱エネルギーを排出することで、紫外線を防御してくれる効果があります。しかし紫外線を吸収して化学反応を起こすので、肌が弱いとかぶれる可能性があります。
一方で、紫外線錯乱剤は、酸化チタンや酸化亜鉛が主な原料になり、UV-A,Bの両方に効果があります。金属成分の小さな成分が光を跳ね返すことで紫外線を遮断してくれます。
これらの日焼け止めには、SPFとPAの表記があり、SPFはUV-Bに対する効果を表しており、この数値が高いほど紫外線の防御効果が高いと思われています。もう一方のPAは、UV-Aに対する防止効果を表しており、一般的に+が多いほど効果が高いと考えられています。
実際はSPFと皮膚に届く紫外線の防御率の関係性を調べた結果、SPF15の日焼け止めでもUV-Bを93.3%防御できており、SPF30では96.7%、SPF45で97.8%、SPF50は98%と、SPF15以上でその効果はほとんど変わらない結果となっています。ここで問題になるのがちょっと効果を高くするため紫外線吸収剤や錯乱剤を大量に使う必要があることです。つまり肌を守るために日焼け止めを塗っているのに、その日焼け止めによって肌に負担が生じてしまうのです。
よって、どの高い防御率を持つ製品を選ぶかよりも、小まめに塗ることの方が遥かに重要です。効果が高そうなもの一度塗れば良いのではなく、表記の量よりも多めにたっぷりと均等に、2から3時間ごとに小まめに重ねつけを意識することが大切です。アメリカ食品医薬品局(FDF)では、SPF15の日焼け止めを、日に当たる15から30分前につけ、2時間ごとに塗り直すことを推奨されています。
日焼け止めを使わない!?
紫外線対策として日焼け止めを欠かせませんが、日焼け止めの使いすぎによるリスク、ビタミンD不足などが良く言われています。
日焼け止めの使いすぎによるリスク
実際に日焼け止めに含まれる特定の成分が、アレルギーやホルモンの乱れ、光毒性、免疫抑制神経毒性など、様々な副作用を引き起こすとされています。ただし、より詳しく見てみると、ホルモンの乱れが確認されたデータをまとめた論文では、利用されている成分の量が市販の日焼け止めに含まれる量と比べて比較にならないほど高いことが分かっています。
このように日焼け止めの使いすぎによるリスクが報告されているが、動物実験や細胞レベルでの結果だったり、成分のよさを過ぎたりする研究もあるため、日焼け止めによるリスクと紫外線によるリスクを個人で比較することが大切です。
もちろん日焼け止めによる害がゼロだとは言い切ることはできませんし、人間だけでなく、環境にも影響を与える成分が入っていることもあります。ただし紫外線による害を上回るのかどうか、この判断も個人によって変わるでしょう。
ビタミンDの不足
ビタミンDは日光で生成できますが、実は日本人の98%がビタミンD不足であるとされています。その理由の一つとして、日本では美白を重視する傾向が強く、多くの人が紫外線対策を徹底していることが挙げられます。ビタミンDが不足すると、筋肉痛や筋力低下、骨の痛み、気分の落ち込み、慢性的な疲れ、骨折リスクの上昇、小児における発達の遅延、うつ病、2型糖尿病や心血管疾患のリスク増加など、様々な影響があります。
また、ビタミンDには認知症予防や風邪、インフルエンザ予防、がんリスク低下、妊娠確率の向上などの健康効果もあります。そしてメルボルン大学の研究を見てみると、40歳以上の113人を対象に、日焼け止めとプラセボの効果を比較したところ、ビタミンDの増加はどちらも確認されています。つまり定期的に日焼け止めを使用しても十分な日光を浴びることでビタミンDを生成することが可能であることが示されています。当然日焼け止めを塗っても、体全体に塗ることはなく、頭皮からも紫外線は入り込むので、ビタミンDを生成することができます。また15分ほどで必要なビタミンDを生成できます。
日焼けした時のケア
紫外線の中のA波は、真皮に届いてコラーゲンとかエラスチンを切りますが、私たちは気づかない変化です。一方で日焼けして赤くなる時は、B波が表皮に炎症を起こす、いわゆるサンバーンと言って火傷みたいな感じになります。そのような状態での応急処置は、火傷と同じように冷やすことが大事です。直ぐにできる方法が物理的に冷やすことです。
その後、お家に帰り、赤み、ヒリヒリ感、ほてり感が続いているのであれば軽い火傷、つまり炎症を起こしているサインになります。こう言った場合は、スキンケアでは抑えられる可能性が高いため、皮膚科を受診した方が良い可能性があります。
赤みはあるけど、ヒリヒリ感はないという状態であれば、もちろん肌の奥で炎症を起こっていることは確かなので、まず抗炎症作用のある化粧水などを使いましょう。ただし美白の有効成分があるような美容液やシートマスクは、炎症がある時には、逆に刺激になるため注意しましょう。
できればグリチルリチン酸、アラントインが入っているものがおすすめです。またトラネキサム酸は、美白の有効成分でもありながら抗炎症作用があるものもあります。このような成分が入った刺激が少ない化粧水やシートマスクで、まずは炎症を抑えることが大事です。
紫外線を浴びたから美白を使いたいと思う方は多いと思いますが、火傷をすると乾燥し、バリア機能が低下して炎症が助長されてしまうので、まずは美白ではなく炎症を抑え、抗炎症と水分を与えることが大事です。炎症が治まってから美白のものを入れていくことが無難です。
次の日にヒリヒリ感などが無くなったら、そこからは集中して美白の有効性を使いましょう。既に日焼けによってメラニンは作られているため、メラニンの生成を抑えるよりも、メラニンの排出を促進する、ターンオーバーを促す、メラニンが黒くなるのを白くするものを使っていただいた方が良いと思います。例えばビタミン Cの誘導剤、デクスパンテノールなどが配合された美白化粧品を使いましょう。
目元のたるみを予防する
最近、広告で目にするのが塗るだけで目元のたるみが改善されたという化粧品です。たるみを化粧品で改善することは難しく、マッサージで脂肪を移動させたり、筋肉で抑えることも考えられなくはないですが、効果を得るのは難しいでしょう。またグリグリするような摩擦をかけながらの誤ったマッサージによって炎症を起こし、その結果肌のハリ感がなくなる、皮膚が薄くなってしまうという結果になるケースもありあます。
このように間違ったケアでたるみを悪化させてしまうことがあるため、正しい知識を身に付けましょう。
目の下のたるみの改善は難しい
加齢と共に目立つようになる目元のたるみ、目の周りのぷっくり感を直したいという相談を多く受けます。しかし一度たるみになってしまうと、化粧品やマッサージだけで改善することは医学的にはあり得ません。また目元に移動した脂肪を自力で元に戻すことは基本的に化粧品やマッサージだけで改善することは難しいです。
なぜなら、目の下の骨の空洞には眼窩脂肪(がんかしぼう)というクッションが、若い頃は、この脂肪が前に出ないように肌のハリによって抑え込まれています。しかし加齢によって目の下のハリがなくなることで、この脂肪が抑えられなくなりたるみの原因になるからです。さらに目の下のぷっくりを放置してしまうと、皮膚が伸びてしまため、元に戻すことは難しくなります。
ぷっくりを化粧品で予防する
化粧品などでできることは、これ以上ぷっくりすることを防ぐことです。早め早めのケアが必要で、アイクリームだったり、目の周りにハリ感を持たせるレチノール(ビタミンA)やニールワン(ポーラ)、あとはナイアシンアミド入りのスキンケア商品でアイケアをすることができます。
しかしながら、これらはあくまでも予防であり、これ以上症状を進めない対策です。過度な期待はせず、皮膚が伸びきる前に当院にご相談頂ければと思います。
もちろん中には化粧品で簡単に改善されましたという方も少なからずいると思いますが、あくまでも個々の状態によって変化するため、必ずしも全員に同じ効果が期待でるものではありません。
たるみ予防のフィコシアニン
科学的に証明された肌のたるみを止める方法としては、フィコシアニンを使用することが挙げられます。フィコシアニンは、スピルリナという水生シアノバクテリアから抽出される青色の色素のことです。この物質は、強力な抗酸化作用を持ち、最近の研究では肌のたるみ改善に効果的であるとされています。
フィコシアニンには、フリーラジカルの害から肌を守る効果があることが科学的に証明されています。フリーラジカルとは、環境的ストレスや紫外線などによって体内で発生する物質です。フリーラジカルが増えすぎてしまうと、肌細胞、脂質、タンパク質を攻撃し、老化を促進します。フィコシアニンは体内の炎症反応を抑制する働きもあり、たるみだけでなく肌質改善にも効果的が期待できます。炎症は肌の老化を促進し、コラーゲンやエラスチンの分解を引き起こしてしまうため、炎症を抑制することは美肌を目指す上でも重要なことです。
また、いくつかの研究ではフィコシアニンがコラーゲンの生成を促進することが示されています。コラーゲンは肌の弾力と強度を保つタンパク質で、これが維持されることで肌はハリを保つことができます。その大切なコラーゲン生成をサポートするのがフィコシアニンです。またフィコシアニンには、繊維芽細胞の増加と活動化を促進する効果もあります。
繊維芽細胞は、皮膚組織の細胞の一つでコラーゲンやエラスチンといった抗張力繊維を生成し、この繊維が皮膚の強度と弾性を維持するために必要不可欠なものです。また繊維芽細胞は皮膚の修復過程にも重要な役割を担います。
例えば肌が損傷を受けた時、繊維芽細胞は活性化され、新しい細胞や組織を作るためにエクストラセルラーマトリックスを生成します。エクストラセルラーマトリックスは、細胞間の接着剤、もしくは支持係のような役割があり、細胞外の空間を満たしたり、細胞の行動を調節し、細胞とその環境を整えるの役割があります。つまり繊維芽細胞を活発化させることは、肌のたるみ改善に効果だと言えます。
インディバやパルスで目元のたるみ改善
スキンケアでハリ感を保つことを考える。それでも進行するようなら、これ以上悪化しないようにインディバや美容鍼(パルス)など、それでも悪化してしまった場合には美容外科施術(脱脂術)の順番で考える必要があります。
目の周りの皮膚はとても薄いため、摩擦もダメですし、美容鍼も通常は刺鍼しません。大手美容鍼灸院でもほとんどは目元には刺鍼しません。他の部分よりも丁寧に扱わなければ、内出血などの原因になります。
当院でも目元には刺鍼はしませんが、代替治療として目元のパルス治療とインディバによるアイケアを推奨しております。
摩擦になりやすいマッサージではなく、インディバの高周波によって血行を促進することで、目元の血行が改善し、肌の新陳代謝を促します。また目元用パッド(パルス)を使い、目元の筋力(眼輪筋)を細かく振動させることで、目の周りの筋肉がほぐし、血行を促進することで目の下のたるみが解消へ繋がります。いずれにせよ、血行促進によって、コラーゲンの生成を促し、肌の弾力アップ、つまりハリ感を取り戻すことができます。
美容鍼でたるみ予防
前述した口周りの筋肉も含めて、お顔には22種類の表情筋があります。美容鍼で、これらの表情筋に刺鍼することで、硬くなった筋肉はほぐし、たるんでしまった筋肉は引き締めていきます。また美容鍼は、肌の真皮層にある肌の弾力をアップさせるコラーゲンやエラスチンなどの成分生成を促進します。
一方で、ほうれい線は、頬の筋力低下とその脂肪ポケットに溜まる老廃物の重みによって皮膚がたるむことから生じます。その脂肪ポケットを刺激することで、血行改善し老廃物の排出を促すことができます。老廃物の排出を促せば、脂肪ポケットが軽くなり、たるみが緩和されシワを薄くすることが可能です。他にも、首や肩、頭皮、顔のこりを改善することで様々な効果を短時間で実感できます。
さらに美容鍼は紫外線によってダメージを受けた真皮層にダイレクトにアプローチすることができます。そのアプローチによって、本来の自己治癒力が働き、傷を修復していく過程でコラーゲンやエラスチンが豊富に産生されて、お肌にハリや潤いを取り戻して光老化を防ぎます。
また、血流やリンパの流れも改善し、お肌のターンオーバーを正常化することで、酸化によって破壊されたコラーゲンなどの美肌成分を増やし、お肌にハリ・ツヤを取り戻すことができます。ただし日常の中、日焼け止めクリームをこまめに使用することや、食生活において抗酸化作用があると言われているビタミンCやビタミンE、ポリフェノールやミネラル成分を含む食べ物を食べることも大切です。
この小さい積み重ねが、将来的に大きな差となって現れてきます。これらは明日からでも出来ることですので、是非実践して頂けたらと思います。
お顔のセルフケア(口のまわりのたるみ、頬のたるみ)
美容鍼の効果を持続させるための「お顔のセルフケア」をお伝えします。年齢と共に気になるのがたるみ。顔のどこか一箇所がたるむのではなく、顔、目の周り、頬、口まわり、フィイスラインなどお肌に弾力がなくなることが原因です。
頬のたるみに効果的なツボ
頬の肉全体がさがってしまってハリがない時に効果的なツボをご紹介します。
- 迎香(げいこう)/小鼻の脇のくぼんだところ
- 巨髎(こりょう)/瞳孔から真下の頬骨の下
- 四白(しはく)/瞳の中央から指1本分下がったところ
「迎香」はシミ、シワ、むくみの解消に役立つ美肌のツボ。
「巨髎」は、ほうれい線、「四白」は小顔等に効果的なツボ。
口のまわりのたるみに効果的なツボ
口角が下がると疲れた顔にならないように効果的なツボをご紹介します。
- 承漿(しょうしょう)/顎の真ん中で唇の真下
- 地倉(ちそう)/口角の外側
「承漿」は唇のゆがみを正し、「地倉」は下がった唇をリフトアップするツボ。
お顔のツボ押しは、イタ気持ちいい程度、毎日1分、不調の時は控えましょう。1日1分のツボ押しで、より輝くための肌づくりを!
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。