美容鍼とセルフケアでくすみ・クマを改善

    美容鍼とセルフケアでくすみ・クマを改善

    目元は皮膚が薄く、毛細血管の色がそのまま浮き出て目立ちやすいため、クマが目立ちやすい部分です。近年の様々な研究では、毛細血管は加齢と共に衰え、毛細血管そのものの数が減ることが分かっています。その結果、 肌の老化(シミ、たるみ、くすみ、クマなど)の原因に繋がります。

    また、夕方になると、自分の顔の黄ぐすみ具合に驚いたことありませんか。皮脂が「酸化」することでお顔はくすみますが、特に「糖化」も肌をくすませる原因です。「糖化」とは、食事から摂取してエネルギーに変わったあとに、余った糖がタンパク質や脂質と結びつき、タンパク質が変性・劣化する反応です。簡単に言えば糖の過剰摂取によって肌くすみにつながります。

    目元のクマの原因と見分け方

    目元のクマには、大きく分けると3つに分けられます。

    1つ目は、肌の老化などでコラーゲンが減少すること、目の周りの筋力が低下することで、たるみやシワが生じ、影になって黒っぽく見える状態が黒クマです。クマの悩みのほとんどがこの黒クマです。黒クマの原因は、眼球を守るための眼窩脂肪が年齢とともに前に飛び出してしまうことで目の下が膨らんで、その下が影になるためです。

    ただし、黒グマの中には、後天性真皮メラノサイトーシスとうアザの一種が考えられるものがあります。この場合は、全体的にボヤッと黒や茶色に見えたり、鼻の脇にも色素がある場合があります。茶グマのようにスキンケアで改善することが難しいクマです。

    また眼窩脂肪が飛びだす理由は、①眼球を支えるロックウッド靭帯が年齢とともに緩むため、眼球が下がりその下を支えている眼窩脂肪が前に飛び出してしまう。②眼窩脂肪を抑えている皮膚や眼輪筋、眼窩隔膜、靭帯が年齢とともに緩み、その結果眼窩脂肪が飛び出す。③年齢とともに骨が萎縮するため後ろに骨が下がり、頬の脂肪も下に下がります。そのためクマの下のボリュームが無くなりより段差が付き影クマになってしまうことです。

    黒グマのほとんどの理由が加齢によるものであるため、眼窩脂肪の飛び出しはそのままにして、むしろ凹んでいる方を膨らませる必要があります。頬の脂肪が下垂して骨が下がり眼窩脂肪が飛び出してしまうので、頬の辺りにハリを持たせて、リフトアップさせて影を目立たなくすることが有効です。

    このたるみによる黒クマは、一番改善しにくいですが目元にハリ感を出して影になっている部分を目立たなくすること、そしてこれ以上たるみを進ませないようにすることがポイントになってきます。まずはハリを持たせるために乾燥させないようにして潤い成分をチャージすることが大切です。円皮鍼や針状美容液などで対策しましょう。

    また加齢が影響しているので化粧品でエイジングケアをしたり、頭皮がたるむと目立ちやすくなるので頭皮ケアをして下さい。黒クマの見分け方は、上を向いた時に骨の中に納まって、影がなくなれば黒クマです。

    2つ目は、睡眠不足などで、目のまわりの血行不良が原因でできる青いクマ。青いクマは目の周りの毛細血管の流れが滞り、血管が青っぽく透けている状態です。また眼輪筋が透けている場合もあります。眼輪筋が透けている場合は、皮膚が薄くなり眼輪筋が押されてしまうことで表面から透けて見えて青っぽく見えると言われています。赤っぽく見える場合は赤クマです。冷えや疲労が原因なので血行を良くしましょう。青クマは血流を良くすることで薄くなります。

    血行不良による青クマ対策のポイントは、血流を良くするということと、血管にアプローチするようなスキンケアを使うことです。一方で、しっかりと睡眠をとるということも大切です。睡眠不足が続くと目の周りの血行が悪くなりますし、体の冷えがあると血流が滞るので青クマの原因になるため、インナーケアが非常に大事になってきます。

    青クマと黒クマは混在していることが多いため、黒クマのケアをすることで青クマも良くなることがあります。いずれも血流を改善してあげることが大事です。

    3つ目が、加齢でターンオーバーが遅くなり、くすみなどが色素沈着(メラニン)している状態で、乾燥などが原因で茶色くなる茶色いクマです。アイメイクを落とす時や痒い時などに目を擦ったり、メイクを十分に落とさないことで、皮膚の色素沈着や角質の肥厚が生じるので、アイメイクを落とす時や痒い時などに目を擦ったりしないように気をつけましょう。

    特に20から30代のアイメイクが好きな方は、アイメイクを落とす時に間違った落とし方をしていることに多く見られるのが色素沈着系の茶クマです。メイクを落とす時に、一番良いのはアイメイクリムーバーやメイクリムーバーでゴシゴではなくて、たっぷりつけて優しく落とすということが大切です。パッと洗いたいっていう人は、摩擦レスで洗えるクレンジングをオススメします。

    また日焼けなどによる炎症性の色素沈着は、メラニンが活発になっているため、美白効果のあるスキンケアで改善する効果が期待できます。

    どのクマなのかは、目尻を横に引っ張ることで見分けることができます。

    • 色が薄くなった→黒グマ
    • クマの色が動かない→青グマ
    • 皮膚と一緒に動く→茶グマ

    いずれも、血行を良くすることでクマやくすみが改善し、肌の透明感につながります。むくみによる黒クマ、血行不良の青クマは美容鍼で対応が可能です。ただし目の下にメラニンが沈着する茶クマは基本的に完全に消すことは難しいため、肌への摩擦行為を控えることが大切です。

    黄ぐすみの原因

    「糖化」も肌をくすませる原因ですが、さらに「糖化」は、内臓機能の低下、動脈硬化、白内障など、さまざまな病気を引き起こす原因になります。

    「老化」と「病気」の原因になる「糖化」ですが、糖の過剰摂取をさけて、血糖値を急激に上げすぎないことが大切です。くすんだお肌は実際よりも疲れて老けてみえてしまうので、お肌がくすむ原因を知ってしっかりと対策していきましょう!

    くすみの原因は主に以下の4つです。

    • 色素沈着(シミやそばかす含む)
    • 血流不足
    • 乾燥肌
    • 肌のキメが粗い

    しかし、年齢によって原因やその程度は異なってきます。

    年齢原因要因
    20代  肌の乾燥 血行不良夜更かし、食生活が乱れなどの原因で血流が悪くなり、また古い血液が停滞
    30代~40代  肌の乾燥(小じわ) 血行不良 毛穴の開き ハリの減少乾燥していてツヤのない肌は、光が当たったときの反射にムラができて肌がくすんで見える
    40代以降  肌の乾燥(小じわ) 血行不良 毛穴の開き(キメ) 肌のたるみ シミ・色素沈着頬のたるみは毛穴を広げ、目元のたるみは目の下に影ができ、シミなどの色素沈着で、肌の色が暗く見えてしまう

    すべての年代に共通していえることは「肌の乾燥」と「血流が悪い」ことです。

    黄ぐすみは睡眠不足

    肌が黄色く見えるのは、実は睡眠不足が原因かも知れません。美白しても、糖化ケアをしてもなんとなく黄色く見えるのは慢性的な睡眠不足が関係しています。寝不足が続くと肌の水分量が低下するので、シートマスクなどで角層に水分を補うことも大切ですが、それでもくすみが取れない場合は寝不足をまずは改善するべきです。

    肌の黄色味に関係しているのが、赤血球をつくるビリルビンという色素です。赤血球を構成するビリルビンは肌(表皮)でも増加したり、減少したりすることが分かっています。

    無睡実験(1日寝ない被験者)では、睡眠を取らない場合にビリルビンが増加し、さらに1日寝ないだけで5日間に渡り増加及び蓄積することが確認されました(SK-Ⅱより)。つまり睡眠不足が続くことが黄ぐすみの原因になります。また4時間程度睡眠が慢性に続くと同じく肌のビリルビン量が増加することが分かっています。

    目元のセルフケア

    色素沈着のクマであれば、アイメイクを落とす時にゴシゴシしないようにするだけでも改善します。またやっかいなのが目元の皮膚が薄くなることによって血管が透け、その結果として青クマができることです。血管が透けてしまうのは、目元の皮が薄くなっていく「菲薄化」が原因です。肌の表皮と真皮のどちらも薄くなってしまうと菲薄化は起こります。

    また、表皮は基底膜から細胞が生まれ、潤い(細胞間脂質)を作りながらターンオーバーをしていくため、この表皮が薄くなることで乾燥も起こってきます。つまり表皮が薄くなる菲薄化が起きると皮膚が薄くなってクマができるだけではなく、目元の乾燥も起こります。もちろん加齢だけでなく、紫外線などによって基底膜にダメージが加わって起こります。

    一方で、真皮も紫外線によって、コラーゲンやエラスチンを作る繊維芽細胞にダメージが加わってしまうだけでなく、真皮のダメージが基底膜を通じて表皮にまでダメージを受けることが分かっています。逆に表皮のダメージは真皮にも連続していくことが分かっているため、表皮のケアだけでなく真皮のケアも必要になります。クマに関するあらゆる症状を抑えるために真皮と表皮のどちらもケアすることが重要になります。

    このような目元の菲薄化にアプローチする成分がスプリングミントです。特に表皮にアプローチする成分で、老化細胞(SASP)の増殖を抑えることが分かっています。ちなみに老化細胞が真皮で多くなると、繊維芽細胞が壊れてコラーゲンなどが産生されなくなります。他にも真皮にアプローチをする成分として、セイヨウハッカ葉エキス、寝不足などで目元の血流が低下すると青クマが出来やすくなるため、血流を促進するグルコシルヘスペリジン、インドナガコショウ果実エキスなどがあります。これらの成分が配合された化粧品でクマのケアができます。

    美容オイルで油焼け

    美容オイルが難しいのは、オイルの種類が多く、種類によって使い方が全く違うことです。またオイルを塗るだけでは乾燥することを知らない方もいます。オイルは保湿剤の一種ですが、保湿(エモリエント)と付いているため勘違いしやすいですが、肌から水分の蒸発を防いで水分を保持して肌をダメージから守る働きが役割です。そのため肌の水分量を増やすことができないため、化粧水や乳液で保水(ヒューメクタント)してあげることが必要です。私たち日本人は皮脂が多くて、水分量が少ない肌質の方が多いと言われているため、保水が大変重要になります。

    一方で、油焼けは、肌や髪につけたオイルや化粧品などの油分が、太陽光の紫外線や熱の影響で酸化して、肌に刺激を与えてバリア機能を不安定化させます。肌は弱酸性で、皮膚の常在菌との均衡が保たれているところに酸化したオイルなどがあれば、常在菌のバリア機能が乱れ、結果的に肌にダメージを与えてシミやくすみの原因になります。

    また、プチプラコスメの中には、粗雑な精製度の低いオイルもあります。オイル自体も高温や湿度に弱く、酸化しやすい特徴があるため、それらのオイルを使うと肌トラブルの原因となります。いずれにせよオイル美容液は上級者向けのスキンケアアイテムのため、その特徴をしっかり理解することが大事です。

    麹甘酒でくすみ・クマの改善

    老けて見える要素の1つに目の下のクマがあります。クマができる要因は様々ありますが、一番効果が高いのが血行と代謝の改善です。その改善に麹甘酒が有効であるとの研究があります。

    麹甘酒には350種類以上もの栄養素が含まれ、その栄養が血液をサラサラにして血行を改善してくれる可能性があります。また含まれる食物繊維やオリゴ糖が腸を整えて代謝機能の回復効果も期待できます。

    これらを明らかにしたのは、森永製菓が実施した甘酒に関するテストです。肌荒れに悩む40から60代の女性モニターへ甘酒を朝晩2回、1ヶ月継続して飲んでもらうと目の下のクマが明るくなった報告が発表されています。なぜ麹甘酒が目の下のクマを明るくするのかのメカニズムは解明されていませんが、血行の改善と老廃物の排泄が促されたと考えられています。他にも肌の乾燥を防ぎ、モチモチな肌を保つ美肌効果が確認されています。

    麹甘酒の原料となる米こうじには、皮膚の主成分の1つであるアミノ酸が含まれ、肌の保護機能を担います。グルコシルセラミドは肌の角質層のセラミドのもとになる成分であり、このセラミドが多ければ多いほど肌の水分量が多くなることが分かっています。そしてN-アセチルグルコサミンは、コラーゲンやヒアルロン酸の合成を促し、肌のバリア機能を改善する効果があると言われています。さらにアミノ酸の一種であるエルゴチオネインは、ビタミンEの約7000倍もの抗酸化力があるため、美容とアンチエイジングをサポートする働きに注目が集まっています。

    注意点として、市販の麹甘酒を購入する場合には「砂糖不使用」「アルコール0%」の麹甘酒を選んでください。摂取の仕方として、味噌汁200mlに大さじ1杯、コーヒー180mlに大さじ2杯、ヨーグルト100gに大さじ1杯入れるなど簡単な方法でまずは毎日「麹甘酒」を使うことに慣れましょう。

    美容鍼(+パルス)でくすみ・クマを改善

    美容鍼は、化粧水やエステなどでは届かない肌の真皮層を刺激することで、美容に欠かせないコラーゲン繊維やヒアルロン酸、エラスチンなどの生成を促します。また新しい皮膚がつくられることで肌のターンオーバーが促進される効果が期待できます。

    さらに、お顔を巡る血液は必ず首を通ります。そのため美容鍼でお顔の血流を良くしても、首コリがあったり、耳周りや鎖骨周りのリンパがつまっていると、またすぐにくすんでしまいます。

    大人のSTK(シワ・たるみ・くすみ)コースでは、リンパドレナージュ(顔・デコルテ)によって、リンパの流れを活性化させて、不要な異物や老廃物を流しながらゆるめていきます。

    黒グマの原因は、コラーゲンの減少と目の周りの筋力の低下によるたるみなので、目元の周りの筋肉(眼輪筋・側頭筋・前頭筋)に鍼やパルスをすることで、血流改善や筋肉の弾力を取り戻すことで黒グマを改善することができます。

    青グマの原因は、冷えや疲労なので、お顔だけでなく、体全体の血行を良くするため、美容温熱治療器や全身の鍼によって体調を整えていきます。また自律神経の乱れによっても血行は悪化するため、自律神経の乱れを整えるツボを使って、血流を改善していきます。またパルスを目元にすることで、滞った血流を改善して青グマを改善していきます。

    茶グマの原因は、目を擦ることや、メイクを十分に落とさないことによる皮膚の色素沈着なので、他のクマと同じく、パルスによって、肌のターンオーバーを促して茶グマを改善していきます。     

    当院では、目元には美容鍼でなく、電気パルスを使います。理由は、目元は皮膚が薄く内出血しやすいからです。また顔全体の筋肉や経絡の繋がりから各クマを改善するアプローチを致します。

    クマ・くすみのツボ

    顔に新鮮な血液を送るためには、翳風(えいふう)を刺激して慢性的な首のコリを改善すると肌色全体が明るくなります。顔のくすみを解消して若々しく保つためには、血流が滞りなく流れていることがひとつのポイントになります。また身体の水分バランスを調整し、冷えや疲労回復のある水泉(すいせん)で、肌の潤いを取り戻しましょう。

    翳風(えいふう)

    翳風(えいふう):耳たぶの後ろにある、口を開けると丁度くぼむ部分

    水泉(すいせん)

    水泉(すいせん):足の内くるぶしの出っ張りから指2本分斜め後ろ下

    続いて、目の周りの血行促進や美白にも効果的な四白(しはく)、陽白(ようはく)をズーンと響くくらいの強さで押してください。

    四白(しはく)陽白(ようはく)

    四白(しはく):黒目の真下の骨の縁から指1本分さがったくぼみ部分

    陽白(ようはく):眉の中央から指1本分上の部分

    ぜひ知識を持って自分の大切な身体を癒やしてください。

    【本コラムの監修】

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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