
自律神経を整えて体の内側を整えることが美しさに繋がるのは、自律神経を整えることで血流が改善し、さらに腸内環境も大きく改善するからです。逆に血流や腸内環境が整えれば、自律神経も整い、イライラ、気分の落ち込み、頭痛、肩こりもなくなります。
体のエネルギーには血の質と量が大きく関係しています。運動したり、お風呂に入ったり、睡眠がなぜ大事なのかは、血流を良くするためと言っても過言ではありません。しかし私たちは血流を良くしようとはあまり思うことは少ないのではないでしょうか。
老化の原因も、体の不調の原因も血流が悪くなることで引き起こされます。体調が悪いと気分が滅入る、生理前にはイライラして感情が抑えられない、一方で朝スッキリ目覚めると明るい気持ちで1日が始まるなど、これらは心と体の結び付きがあり、血流が大きく関係しています。血流はすべての細胞に酸素や栄養を届けているだけではなく、脳やホルモンを通じて心の活動を支えています。
世の中には様々な美容法が溢れていますが、最も大切なのは自分の体の内側から整えて綺麗にしてあげることです。つまりいくら高価な化粧品で外側だけ取り繕っても内側がボロボロならば意味がありません。自律神経を意識して、内側から綺麗になりましょう。
血流が一番大事
私たちの体には37兆個の細胞があると言われており、その全てが元気に活動し続けるためには酸素・栄養・水分を運んでくれる血液が大事な役割を担います。また細胞から排出された二酸化炭素や老廃物を回収する大切な役割があります。
その通り道が血管ですが、その通り道がボロボロになっていたり、大きな石が置かれたりしていれば酸素や栄養の供給不足が起こります。さらに血管は血液だけでなく、体の臓器をコントロールしているホルモン(インスリン、メラトニン、セロトニン、ドーパミン)や免疫細胞(白血球など)を運んでいます。血管は健康を維持し、体のリズムを整えてくれる重要な基盤なのです。
血管年齢を測定して、結果の状態を判断することができますが、ある程度「冷え」によっても判断できます。「冷え」に悩まされている場合には、血管が弱り、血液がうまく運ばれていない可能性があります。また野菜中心の食生活や長期的なストレスを放置していることでも血管が弱くなっていることがあります。
野菜は健康に良いのですが、極端に野菜ばかり食べていてタンパク質が不足すると血管が弱くなります。実は血管は筋肉であり、筋肉はタンパク質を栄養源としています。健康のために肉や油を避ける食生活によって血管が栄養不足になり、硬くなってしまうことで血流が悪くなり心臓や脳の病気を引き起こすことが分かっています。つまり血管を強くするためには、タンパク質をしっかり摂取することが必須です。
一方で長期的なストレスは、血管を弱らせる要因の1つです。ストレスによって体が常に緊張していると、特に筋肉にエネルギーを運ぶために血圧が上昇し、筋肉以外への栄養供給が後回しになり、体の末端部分に十分な血液が行き渡らなくなり、手足の冷えにつながります。また血糖値を下げるインスリンの効き目が悪くなり、血糖値が高く維持されてしまい、それが全身のあちこちの血管を傷つけてしまいます。
自律神経と血流の関係
自律神経とは、自分の意思で動かせない心臓や血の流れなどの動きを司る神経です。自律神経は24時間休むことなく、血流、消化、体温調整などをコントロールしています。血流を良くすることが健康の要であり、血流をコントロールしている自律神経を整えてあげることが健康の鍵を握っているとも言えます。
自律神経は交感神経と副交感神経があり、アクセルが交感神経、ブレーキが副交感神経になります。交感神経が優位になると、血管が収縮し心拍数と血圧が上昇します。心身ともに興奮状態になり、まさにアクセルを踏み込んだ状態になります。一方で副交感神経が優位になると、血管が緩み心拍数や血圧が低下します。興奮にブレーキがかかり、リラックスした状態になって休憩モードや睡眠モードに至ります。
この両方がしっかり機能した状態が、自律神経が整った状態で、昼は交感神経が優位になってバリバリ働く、夜は副交感神経が優位になってぐっすり眠る、この状態こそが自律神経が整った状態です。逆に昼間なのにやる気がでないのは交感神経が活性化していない状態で、夜なのに眠れないなどは副交感神経が活性化していない状態です。
こんな状態であれば、いつもだるい、眠れない、なんとなく調子が悪いというなぞの体調を抱えることになります。なんとなく調子が悪いのは自律神経のバランスが乱れている状態です。その不調は、自律神経が乱れているから整えてくださいという体からのサインでもあります。自律神経の乱れが体に悪影響を与える最大のデメリットが血流の悪化です。
交感神経が過剰に活性化すると血管が収縮して血液の流れが悪くなります。さらに副交感神経の働きが低下していると、血流が改善されず脳や内臓まで悪影響を与えます。そして血流が悪くなると、だるい、疲れやすい、便秘、肌荒れ、免疫力の低下が発生して病気に罹りやすくなります。血液は私たちの体の細胞の一つ一つに栄養と酸素を届ける、極めて重要の役割を担っており、血流が悪くなれば栄養が届かなくなるため、全身のあらゆる器官に不具合が生じます。この血流の流れをコントロールしているのが自律神経なのです。
同じ年齢なのに若々しく見える人、老けて見える人、その違いに自律神経が深く関係しています。自律神経のバランスが良いと質の良い血液が体の隅々まで届き、健康状態を良好にしてくれ、見た目も若々しく内面もハツラツするはずです。
また自律神経は消化をコントロールしているため、その働きによって十分な栄養を吸収できることになります。効率よく栄養を吸収できるようになれば、血液の質が上がり、肌や髪に栄養が行き届き、ツヤやハリを保ってくれます。肌荒れやシミは老廃物が一つの原因であり、血流がスムーズであれば老廃物の排出もスムーズに行われるようになります。
なぜ血流が心と体の悩みを解決するのか
血流はサラサラが良い、ドロドロは悪いというのが一般的なイメージです。しかし血流が悪い女性の多くはドロドロしていて血が流れないのではなく、不足しているから流れが悪くなります。この場合は血流サラサラではなく、血流不足を補うことをしなければ、不調は改善しません。いくら食物やサプリで栄養を補おうとしても、体を温めて血管を拡げようとしても、そもそも体に血が不足すれば全身に栄養が届かないのですし、血流改善の効果を実感できなくなります。世の中の血流改善方法のほとんどは血を増やして血流を良くするための方法ではないと感じます。
西洋医学では血流は全身に酸素や栄養を運ぶ働きをするとしていますが、東洋医学では、血が不足していることを「血虚」とし、あらゆる婦人科疾患を引き起こすと考えられています。また「血虚」は血が不足しているだけでなく、血液中の栄養やホルモンを含む、血の質が悪くなっているとも考えます。
例えば、ある女性の健康相談では不調の症状に薬を処方しても、改善が見られませんでしたが、タンパク質の栄養剤を処方したところ症状が大きく改善されたということがあります。つまり不調は病気や老化が原因だったのではなく、血液不足に原因(質の低下)がありました。
このように現代人に多く見られるのが、血の原料となるタンパク質の不足です。血液中のタンパク質は、タンパク質でできている赤血球以外に、アルブミンとして存在します。アルブミンは若々しさや長寿に深く関係しており、余命の予知因子とも言われています。
血流不足の代表が貧血ですが、血流が少なくなると脳への十分な酸素が運ばれなくなり、脳の働きが低下し、うつ病に似た症状が現れます。そして精神科を受診して、必要のない薬を処方されて依存してしまうといったことも起こりかねません。さらに幸せホルモンのセロトニン、やる気ホルモンのドーパミンなどの脳内の神経伝達物質は血流に左右されており、それらをつくるには鉄分が欠かせず、脳に鉄分を届けるためにも良質で十分な量の血流が大切になります。
一方で、血が十分つくれない体質によって無気力や、血が不足することで不安になり、血が流れない場合はイライラするなどの負の感情が生まれてしまいます。
副交感神経を上げる方法
自律神経のバランスを整えるためには、副交感神経を上げることが大切です。自律神経のバランスや働きは、加齢とともに乱れるようになり、例えば若い頃は徹夜しても副交感神経がしっかり働いて体力を回復させてくれていますが、歳を取ると副交感神経の働きが低下するため簡単にリカバリーすることが難しくなります。
自律神経のバランスが整った状態というのは、交感神経と副交感神経のどちらも強く働いている状態であり、加齢によって副交感神経の働きが低下するので、同じバランスで働いてもらうために副交感神経を上げるというアプローチが必要になります。特に40代以上では、アンチエイジングのためにも副交感神経を上げることが極めて重要です。また現代人にとって世の中は交感神経を刺激するスマホ、ストレス、人間関係などばかりで、どうしても交感神経が優位にならざる得ない状況にあります。
笑顔になる習慣
副交感神経に働いてもらう方法として、朝起きたときに「笑顔になる習慣をつける」というものがあります。この朝の笑顔が自律神経を整える最速の方法であると言われています。その根拠は、笑うとセロトニンという幸せホルモンの分泌量が増え、心を安定させてストレスを減らします。実は作り笑いでも脳が錯覚して、この幸せホルモンを分泌することが分かっています。つまり口角を上げてにっこり笑うと表情の変化を脳が察しして副交感神経が活発になるのです。特に朝の自律神経のバランスは、その日の調子に大きく関わるため、朝笑顔でスタートすることができれば、自律神経のバランスを良好に保てるでしょう。
朝の動作をゆっくり行う
朝の過ごし方によって1日の自律神経の働きが大きく変化します。自律神経は夜中に副交感神経の働きのピークを迎えて、明け方に交感神経優位に徐々に切り替わります。朝バタバタ過ごしてしまうと、副交感神経の働きが必要以上に下がることで自律神経が乱れ、その不調を1日中引きずってしまうのです。だから朝は落ち着いて、ゆっくり動いて、ゆとりのある朝を過ごすことが必要になります。
スムーズにオフモード
家に変えれば、すぐに疲れて寝転ぶのは自律神経にとってはあまり良いことではありません。なぜなら急な環境の変化に自律神経は切り替えられないからです。急激な変化は、交感神経が緊張して上がるため、そんな状態ですぐにリラックスモードに切り替わることができません。家に帰ると何もしないのは単に疲れているのではなく、自律神経がオフモードに切り替わっていない可能性が高いです。
そんな自律神経を切り替える方法として、家に帰ったら一つだけ必ずすることを決める「一個の法則」が有効です。例えば帰宅した時に、明日の服を用意することを決めれば、行動に起こした時に必ず他の事柄(靴をどうしようかとか)がいくつか重なります。そうすることで体を動かしながら少しずつ環境に体を慣らしつつ、着替えてゆっくりソファに座るなどをしていくことで徐々にリラックスモードに切り替わっていきます。他にも帰宅してからシャワーを浴びて、着替えて、ソファに座るなどのルーティンを決めておくことも有効です。
また、強い怒りやイライラは自律神経にはデメリットしかありません。イライラなどで乱れた自律神経は3時間は乱れたままになると言われています。もちろん時にはイライラしてしまうこともありますが、小さなイライラのうちに解消することが大事になります。
空腹の時間が大切
多くの方は、お腹が空いていても空いていなくても決まった時間に食事します。そのため空腹の時間がなくなるため、血流が悪くなる原因の一つになります。食事後90分経つと胃は空になりますが、消化活動するときよりも、この時に胃の収縮は強くなります。以後、その強い収縮は90分に1回起こり、15〜30回程度行われます。この強い収縮が胃腸の食べ物カスや剥がれた粘膜を掃除する役割があります。
勘違いするのがこのギューとお腹が鳴るのは、お腹が空いているのではなく、胃腸が掃除している合図なのです。こまめに食事してしまうと胃を掃除する時間がなくなり、食べ物カスが胃に残り、腸壁が汚れたままになるため、胃腸の働きが低下し、消化力が弱くなり、十分な栄養が吸収できなくなります。また温度が37度ある体内では食べ物はすぐに腐ってしまいます。そのため胃もたれ、胸焼け、消化不良を起こし、逆流性食道炎を引き起こすこともあります。
空腹の時間をしっかり作ることで、胃の健康が保つことができ、血の量をしっかり増やすことのベースになることが分かるでしょう。
睡眠時間が大切
睡眠は血管にも大きな役割を与えています。夜寝ている間に1日中働いていた血管も休憩状態に入ります。しかし睡眠の質が悪かったり、十分な睡眠時間が確保できていない場合には、血管が十分に休むことができず、どんどん疲れ果てて老化へ繋がっていきます。
また、寝ている間に、傷んだ細胞を修復したり、疲労を回復させてくれる成長ホルモンが分泌されます。このホルモンによって傷ついた血管も綺麗に修復されますが、睡眠時間が足りたくて成長ホルモンが十分に分泌されないと血管の修復ができずに血管の老化が加速してしまいます。
そして全ての臓器を結びつけるのが血管であり、若々しく、健康的な血管を維持することができれば、ほとんど全ての生活習慣病のリスクを下げることができます。このように血管や血流のためにも、全身の健康のためにも睡眠時間はしっかり確保しましょう。
東洋医学で診る「血流が悪い」
血流が悪くなるのは、①血が作れない、②血が足りない、③血が流れない、の3つが原因です。またこの3つの原因には順番があり、それ順番に合わせて改善に取り組む必要があります。この3つを東洋医学では、①気虚体質、②血虚体質、③気滞瘀血体質とします。これらの体質合わせた不調の解決法を考える必要があります。
①血が作れない「気虚体質」
血が作れないことで、血が不足し、血流が悪化するそもそもの原因を引き起こします。血が作れなくなる理由は、胃腸の不調にあります。胃腸が弱っているとその機能が十分に発揮できず、何を食べても栄養を吸収することが難しくなります。そのためまずは胃腸の不調を改善していくことが一番目にしなければならないことです。
②血が足りない「血虚体質」
気虚体質を改善し、血が作られるようになると、血が増えていきますが、女性には生理があり、毎月100mlをも血液を失い常時貧血にならざる得ない状況にあります。このため血液の原料となる鉄分が不足し、婦人科トラブルの多くが、この「血虚体質」から生じています。その他にも血色が悪い、カサカサ乾燥する、シワが出やすくなるなどの老化も加速しますし、「血虚」を改善しない限りは、どんなに高価な化粧水や美容クリームを使っても効果は実感できないでしょう。
③血の巡りが悪い「気滞瘀血体質」
血を増やしても血流が良くならないのは「気滞瘀血体質」です。その原因はストレスにあり、ストレスによって脳からストレスホルモンが分泌されることで全身の血管が収縮して血流が流れなくなります。血流が悪くなると、ドロドロ血液では高血圧を引き起こし、スカスカ血液では低血圧を引き起こします。いずれも体の細胞に栄養が行き届かなくなる原因ですが、スカスカ血液は「気虚」「血虚」が改善されると自然と良くなることが多いです。
多くの女性が生理前に感情が激しくなるのは、脳内のセロトニンが生理前に一時的に減少するために引き起こされることが分かっています。そのため胃腸の働きを良くして、血量を増やすことができれば幸せホルモンの生成量を増やすことができるため、PMS(月経前症候群)の症状を緩和することができます。
最近の脳科学の研究では、脳内の幸せホルモンが増えるとストレスを感じにくくなることが分かっています。ストレスが減れば、血管の緊張がほぐれ、血流が良くなり、心も体も調子が良くなるという好循環が生まれます。
美容鍼灸で血流を改善
老け見えの大きな原因は、血流が悪くなっているからかもしれません。血流が悪くなると肌と髪の状態に影響し、ハリが失われくすみやシワが気になるようになります。また下半身に余分な脂肪がつきやすくなったり、太りやすくなったりします。血流が悪い状態から抜け出すためには、最高レベルの状態で自律神経のバランスを保ち整えることが必要です。
自律神経の大切な働きが血管のコントロールです。副交感神経が活発になると血管が拡張してスムーズに流れるようになります。しかし加齢とともに血管は老化し、硬くなりしなやかさを失います。自律神経を整えるインナーケアこそが、本当の意味で美しく健康的に生きるために必要なことなのです。例えば肌のターンオーバーを促してあげることが美容にとって重要ですが、血流がよければターンオーバーはスムーズになります。だからこそ自律神経を整えて血流をよくすることが、顔色が良い、血色が良いことにつながるのです。
美容鍼には自律神経を整える作用があります。血流が良くなれば、細胞の隅々まで栄養を運ぶことができ、さらに老廃物をしっかりと回収してくれるため肌のトラブルが改善されます。またターンオーバーも促進され、顔色のハリやツヤも蘇ります。さらに多くの女性が悩む「冷え」の原因も血流の流れが悪いことから生じているため、血流がよくなれば体の末端まで熱エネルギーが届けられるようになるため冷えの改善にもつながります。
自律神経に目を向けて、体の内側から健康的になることができれば、自ずと美容にも影響し、肌が美しくなれば、それが心の状態へ大きな影響を与えます歳を重ねたからこそ生まれる美しさがきっとそこにはあるはずです。
インディバで血流を改善
血流を促進する習慣を毎日の生活の中に取り入れることが非常に重要です。その血流を促進する最も簡単で効果的な方法が体を動かすことです。とは言え、運動する時間がなかなか取れない方には、インディバによるマッサージも有効な方法です。
インディバによるマッサージによって全身の血流が促進し、血管内皮細胞の機能が改善されることが研究でも分かっています。またマッサージを受けることで、セロトニンやオキシトシンといった私たちの気分を良くしてくれる物質が増え、さらにストレスホルモンであるコルチゾールが減ることも分かっています。
マッサージに行って定期的に血流を促進してあげる習慣なら気軽に継続できる思う人も多いはずです。家族など親しい人とマッサージを交代でするとマッサージされる側もする側もオキシトシンが分泌されることが分かっています。
また、インディバで頸動脈が通る首を温めるということも非常に有効です。さらに首を温めることで自律神経が整い、体調が良くなるという効果も期待できます。さらにサウナなども上手く活用することで全身の血流が促進され、血管を鍛えることができます。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。