
コラーゲンはお肌にとって大切なものですが、そのコラーゲンは30種類以上もあり、どれもこれもお肌にとって効果が高いというものではありません。そこでコラーゲンの基礎知識を復習しましょう。
まず、コラーゲンはタンパク質(アミノ酸)であり、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、リシンが主な組成成分になります。またコラーゲンは存在する場所によって違いがあり、ローマ数字でⅠ〜Ⅴ型コラーゲンという風にローマ数字で表します。代表的なコラーゲンの特徴は、次の通りです。
Ⅰ型コラーゲン | 体内で一番多く、骨や皮膚(真皮)に含まれ、骨や皮膚を形成し、弾力性を発揮する働きがあります。 |
Ⅱ型コラーゲン | 関節や軟骨に含まれ、眼の角膜などの成分です。 |
Ⅲ型コラーゲン | 主に臓器(血管や内臓)に含まれ、組織に柔軟性を与えます。また組織を再生するはたらきがあり、傷が治る過程の初期の段階で大きく増え、やがてI型に置き換わることで治癒が進むと言われています。 |
Ⅳ型コラーゲン | 主に皮膚に含まれ、基底膜に存在し、皮膚の表皮と真皮をつなぎとめます。 |
Ⅴ型コラーゲン | 血液や胎盤、平滑筋に含まれ、Ⅰ型、Ⅲ型が含まれている組織にも微量に含まれます。 |
ベビーコラーゲンが大切
赤ちゃんの皮膚が柔らかくて気持ちいいのは、Ⅲ型コラーゲンが20%も含まれているからです。Ⅲ型コラーゲンは、Ⅰ型コラーゲンは比較的硬くて伸縮性が小さいのに対して、繊維が細くて柔らかいことが特徴です。つまりⅢ型コラーゲンは柔らかくてお肌のハリに大きな影響を与えます。またお肌の再生や修復の機能を担い、さらに水分保持力が高いため肌の潤いや瑞々しさを保ち、透明感のあるお肌をサポートしてくれます。
しかし、中高年になるとⅢ型コラーゲンは、10%に減少します。お肌の若さの指標にⅢ型:Ⅰ型比率があり、赤ちゃんの時に1:1だった比率は40代、50代と年齢を重ねると1:10になってしまいます。
さらに、Ⅲ型コラーゲンはⅠ型コラーゲンよりも早く減ってしまうため、美しい素肌のためには、このⅢ型コラーゲンをキープすることが大切であることが分かっています。このコラーゲンを補うためには、卵の鶏卵殻膜が有効で、これを含む化粧品がⅢ型コラーゲンを優位に増やすと考えられています。研究においても、目尻のシワが減少したりしています。
Ⅲ型コラーゲンの減少で現れるサイン
資生堂の研究では、Ⅲ型コラーゲンの減少でお肌の柔らかさも失われていくことが報告されています。
例えば、Ⅲ型コラーゲンの減少で真皮最上部の乳頭層において、肌全体のハリが失われ始めるよりも若い30代前後から肌内部のハリ(強度)の低下が始まり、ハリ(強度)の均一さが失われることが分かっています。さらに肌内部のハリ(強度)の不均一さは、肌表面の小さな凹凸を引き起こし、肌の見た目にも影響することが明らかになっています。
それ以外にも年齢を重ねると肌表面の皮脂の減少、表皮の角質層にある水分、セラミド、天然保湿因子の減少が起こります。そのため年齢を重ねると、バリア機能やターンオーバーの低下が起こりやすくなります。
一方で、真皮ではⅠ型コラーゲンやⅢ型コラーゲン以外でも、ヒアルロン酸、エラスチン、プロテオグリカンが減っていきます。そのため、お顔のたるみだけでなく、ほうれい線、顔のシワ、たるみ毛穴、目の下のたるみやクマなどのエイジングサインが目立つようになります。
コラーゲンを増やす食べ物
スピルリナ
スピルリナは地球で最も栄養価の高い食品の1つと言われており、アフリカの塩水湖などに生息する螺旋型の青緑色の藻類です。50種類以上の健康・栄養バランスもつ食べ物であるためNASAでは宇宙食としても研究開発が進められています。
具体的にはすべての必須アミノ酸、オメガ3脂肪酸、ビタミンB群、鉄分が含まれています。中でもスピルリナの60%以上は、コラーゲンの構成要素であるアミノ酸でできています。つまりコラーゲンをつくる材料となるアミノ酸(グリシン、プロリン含)が豊富に含まれているため、お肌に良いと言われています。またスピルリナにはフィコシアニンという抗酸化物質が豊富に含まれており、細胞の抗酸化作用を活性化するのを助け、フリーラジカルを除去するのに役立ち、肌のシワにつながる肌のダメージを防いでくれることが2014年に行われた研究によって判明しています。
また、2019年に行われた研究では、スピルリナはコラーゲン生成に重要な役割を果たしている真皮繊維芽細胞という細胞成長因子を増加させることが示唆されています。
たまご
たまごには、コラーゲンの材料となるアミノ酸が豊富に含まれ、特に卵白部分に多く含まれています。2015年に行われた研究によると、卵の卵殻膜が皮膚の老化を抑制し、紫外線ダメージから守る可能性が示唆されています。また肌が新しい細胞に生まれ変わるのを助けてくれる栄養素であるビタミンB群、ヘム鉄、亜鉛、ビタミンAが含まれています。
卵は高コレステロール食品として知られていますが、長年の研究によりコレステロールは9割が肝臓でつくられ、食品から摂れるのは1割に過ぎないことが分かっています。
葉物野菜
ビタミンCを多く含むフルーツなどは、コラーゲンの合成に欠かせないものですが、コラーゲンの合成には亜鉛と銅も必要です。亜鉛は補因子として作用し、銅はリシルオキシダーゼ酵素を活性化してコラーゲンを成熟させることによってコラーゲン生成を促してくれます。これらを全て含んだ食べ物がケールやほうれん草などの葉物野菜です。他にもケールなどに含まれるクロロフィルは皮膚のコラーゲンの前駆体を増加させることが示されています。
魚介類
魚介類には天然のコラーゲンが多く含まれており、牛や豚のコラーゲンより効率的に吸収されて効果が高いという研究があります。またオメガ3脂肪酸であるEPAやDHAが多く含まれています。
お肌にはゼラチンパウダー
健康にとって、血液の流れを正常に保つことが大切です。私たちの体が活動的に動かせるのは血液が酸素と栄養を常に運んでくれるからです。
人の体で一番多いのが水分で60から75%です。次に多いのがタンパク質で15から20%です。そのタンパク質の内、約30%がコラーゲンです。コラーゲンは全身の至るところに分布しており、体にとって不可欠なタンパク質です。特に皮膚には体内の全コラーゲン量の40%が存在し、20%は骨や軟骨に、残りは血管や目などに存在しています。仮にコラーゲンが不足すれば、その影響が顕著に現れるのが毛細血管です。
このコラーゲンが十分に作られるためには、ゼラチンパウダーを積極的に摂ることが大切です。市販されているゼラチンパウダーの多くは無添加で、袋に小分けされており、価格も安く、どこのスーパーにも売っているため、毎日摂りやすいでしょう。
私たちの皮膚は表皮、真皮、皮下組織から成り、この内真皮には、コラーゲンが繊維状になったものが大部分を占めています。真皮にはヒアルロン酸だけでなく、血管、リンパ管など肌の健康を保つための重要な器官が多数存在しています。ゼラチンパウダーを摂取すると、消化管で消化・分解されてグリシンやプロリンなどのアミノ酸になり、皮膚の細胞に運ばれて、吸収されて、それを原料にコラーゲンが作られ真皮に供給されます。その結果、しっとりハリのある肌が蘇ってくるでしょう。
美容鍼でコラーゲン生成を促す
お肌は表皮層、真皮層、皮下組織に分類され、特に重要なのが表皮の下にある真皮層です。真皮は、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸、線維芽細胞からなっており、その7割がコラーゲンを占め、肌の弾力を決めるといわれています。また線維芽細胞は、お肌がハリや弾力を保ち、みずみずしくあるためのコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などの成分をつくりだす大切な役割を担っています。この3つの成分は、肌を構成する3大要素とも言われています。
この線維芽細胞が活発に働くことで、これらの成分の新陳代謝がスムーズに行われるのですが、この線維芽細胞を美容鍼で活性化させてあげることが美肌づくりに欠かせません。
美容鍼によって刺激を与えると細胞は傷つけられたと認識し、その部分を修復するため、線維芽細胞が増殖します。そして自分の細胞でコラーゲンなど肌にとって大切な成分の生成を促すことができます。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。