お顔のシワを増やすAGEs

    お顔のシワを増やすAGEs

    シワ、たるみ、乾燥などの原因の一つが糖化(AGEsの蓄積)です。肌だけでなく、内臓にもAGEsは蓄積します。このAGEsは、紫外線、酸化ストレス、高血糖下などで体の中で産生されるだけでなく、食事に由来するAGEsのうち約6~7%が、体内に残ると言われています。AGEs(advanced glycation end products)は、タンパク質と糖の化合物である終末糖化産物で老化物質として知られています。

    人の体の中で最大の臓器は、肝臓や脳ではなく肌でその大きさは約3kgにもなります。それらがお互いに血液が循環して関連しています。肌がキレイな人は腎臓や肝臓などの内臓の働きが良いとも言えます。つまりお肌をキレイにしていきたいのであれば、同時に体の内側から整えて行く必要があるのです。

    シワの原因

    どうして肌にシミやシワができるのかは、強い毒性を持ち老化の原因とされるAGEs(終末糖化産物)にあります。2007年にロレアルの研究所で、肌のシワ・シミの原因はAGEsだと証明した論文が発表されました。この論文がきっかけとなりAGEsを抑えることが、シミ・シワを防ぐことに繋がると考えられています。

    シワになるメカニズムは、肌の真皮にAGEsが溜まると、真皮の構造を乱れ、真皮が凸凹になるため、表皮が引っ張られシワになります。つまり真皮にAGEsをできるだけできないようにすることが肌の老化を抑えるために大切なことです。

    また、AGEsは真皮のコラーゲン線維や弾性線維に蓄積するだけでなく、表皮にも蓄積し、加齢とともにより多くのAGEs (CML:カルボキシメチルリジン)が蓄積されることが示されています。これは加齢によって活性酸素の生成が多くなるためと考えられていますが詳しくは解明されていません。

    これらAGEsを抑えるためには、まず紫外線ケアが必要です。紫外線が当たるとAGEsが多くでき、シワになりやすいことが分かっています。さらにAGEsを増やさない為に見落としがちなのが擦らないことです。シワになりやすいのは、基本的には動く部分のため、シワを防ぐために表情筋をマッサージする事が良いと言う方もいますが、シワの原因は多くは真皮の構造が乱れることにあるため、過度に擦るマッサージやローラーなどはオススメしません。

    シミの原因もAGEs

    今までシミは主に紫外線によってメラニン色素が生成され、沈着してできるとされていましたが、最近の研究ではシミはメラノサイト(メラニン色素)ではなく、AGEsがメラニンの産生を促すという研究報告があります。

    シミの元になるメラニンは表皮の基底層にあるメラノサイトによってつくられますが、糖化によりAGEsコラーゲンが肌に蓄積すると、同様にメラノサイトを刺激してメラニン産生を促すことが分かっています。つまり紫外線だけではなく、AGEsも直接シミの原因になります。

    このAEGsは私たちの体をつくるタンパク質を攻撃して、本来の機能を低下させる働きがあります。特に害を受けやすいのがコラーゲン線維です。コラーゲンは肌の弾力やハリを保つ上で大事な役割を担っていますが、AGEsによって酵素分解せず、古くなり、機能が低下したコラーゲンがいつまでも体の中に居座り続けるようになります(15年以上も体内に留まる)。もちろんAGEsを処理する仕組み(マクロファージ)が体の中にはありますが、同時に新しいコラーゲン線維の一部を処理してしまいます。それを修復するために過剰につくられてその機能を損なうという負のスパイラルに陥ります。

    たるみの原因もAGEs

    シワ、たるみ、乾燥などの原因の一つが糖化(AGEs蓄積)です。肌だけでなく、内臓にもAGEsは蓄積します。このAGEsは、紫外線、酸化ストレス、高血糖下などで体の中で産生されるだけでなく、食事に由来するAGEsのうち約6~7%が、体内に残ると言われています。AGEsは、タンパク質と糖の化合物である終末糖化産物で、老化物質として知られています。

    肌が老化する原因は2つあり、1つが加齢によるもの、そしてもう1つが光老化です。前者には、①ミトコンドリアの機能低下、②活性酸素による細胞障害、③テロメア短縮による細胞老化などがあり、これらはお互いに悪影響を及ぼし合いながら、肌老化の誘因となっていることが分かってきています。

    一方の光老化の典型的症状は、初期段階ではシミが目立ち、その後皮膚が弾力を失い、表皮が菲薄化してシワ・たるみが目立つようになります。研究では70歳の肌は、20歳代の表皮に比べ、より多くのCML(カルボキシメチルリジン)が蓄積されている事が明らかになっています。その原因として示唆されているのが、活性酸素の生成です。例えば、老化した肌が乾燥した状態なるのは、角層を剥離する酵素の活性低下により、角質が厚くなった為に起こる現象ですが、これは酵素タンパクがAGE化すれば活性低下につながることが挙げられています。

    シワをつくる食事

    紫外線や擦らないこと、喫煙をしないこともシワを抑えるために大切ですが、最も大切なのがAGEsを多く含む食品を食べないこと、糖質を上げない食事を心がけることです。

    AGEsを多く含む食品の多くは、高い熱を加えた揚げものや焼いた食品になります。どうして高い熱を加えた食品にAGEsが増えるのかは、メイラード反応にあります。この反応はアミノ酸と糖が加熱によって起こる反応で、香ばしい風味と焼き色がでます。

    特に注意しなければならないのは、フライドポテトとポテトチップスです。ジャガイモを120度以上の高温で加熱して揚げると、AGEsの一種であるアクリルアミドという発ガン性物質ができるという事が分かっています。さらに神経障害や脳症を引き起こす神経毒性を有することも分かっています。また同じように発ガン性が指摘されているのが亜硝酸塩です。ハムやソーセージ等に使用される食品添加物です。

    どうしても揚げものや焼き物を食べたい場合は、レモンをかけて下さい。レモンに含まれるクエン酸がAGEsを減らす働きがあります。また肉はカルノシンが多く含まれる鶏むね肉を選ぶことで、活性酸素を取り除き、AGEsを抑えることが期待できます。

    小顔ローラーのデメリット

    小顔ローラーは、一時的にむくみを取り小顔にする効果はあると思いますが、その効果は永続的な効果ではありません。むしろデメリットの方が多いように思います。

    ローラーで慢性的に皮膚を刺激するため、メラノサイト(メラニン色素を産生する細胞)によって色素沈着を起こしてお顔の黒ずみの原因になります。特に目の下から頬にかけて肝斑ができやすく、刺激をすることによって濃くなってしまいます。ご来院された方へ問診すると、ローラーを毎日しているとおっしゃられる方がいます。

    また、皮膚の表面を継続して摩擦するとコラーゲン繊維が破壊されたり、お顔を支える組織が破壊されて、シワやたるみの原因になります。また過剰な摩擦によってお肌にシワがより、それが定着するようになります。このような家庭用で使う美容機器の多くは、エビデンスがはっきりしたものがないので注意が必要です。

    コラーゲン神話

    お肌にコラーゲンが良いということで、化粧品の成分にコラーゲンが入っているものを選ぶ方がいらっしゃいます。しかしコラーゲンは非常に大きい分子構造を持ち、肌に吸収されることはありません。

    分子量が500以上のものは皮膚を通らないということは生化学的にも分かっており、コラーゲンの分子量は約30万あることからも分かると思います。コラーゲンが入っているというイメージのため化粧品に無駄に入れているとしか思えません。

    老け見えの人は体も老けている

    当たり前のことかもしれませんが、老けて見られる人は体も老けている可能性があるという研究が沢山あります。例えば顔に現れる老化のサインと心筋梗塞の発症率との相関関係を示した論文や、British Medical Journal(世界5大医学雑誌の一つ)に掲載された70歳以上の双子の老化の関係を調べた論文などがあります。
    外見に表れる老化の一つがシワですが、シワはAGEsの蓄積が関与しており、肌の真皮のコラーゲン、エラスチン等の細胞外基質がAGEs化を受けると、肌ツヤやハリがなくなり、弾力性も損なわれて、シワの原因となります。そしてAGEsが肌に蓄積しているのであれば、同じように内臓にもAGEsが蓄積して老化が加速していると考えられます。

    血液中のブドウ糖が増え、高血糖状態が長く続き、過剰になった糖がタンパク質や脂質と結びつく「糖化」は、AGEを大量に産生します。AGEは体にとって異物となるため、白血球が排除しようとする際に炎症が起こります。その炎症は、体のあちこちで不具合を起こし、例えば血管で起これば動脈硬化、骨で起きれば骨粗鬆症、目で起きれば白内障や網膜症、ドライアイなどを引き起こす可能性があります。また糖化による炎症は腎臓にも影響し、糸球体の毛細血管を傷つけて穴をあけてしまいます。さらにこのAEGは10年以上に渡り体内に溜まる性質があります。つまり少しずつ蓄積されて体の不具合を起こす原因になるのです。

    美容鍼でAGEs対策

    美容鍼は紫外線などによってダメージを受けた真皮層にダイレクトにアプローチすることができます。そのアプローチによって、本来の自己治癒力が働き、傷を修復していく過程でコラーゲンやエラスチンが豊富に産生されて、お肌にハリや潤いを取り戻してAGEs化を防ぎます。

    また、血流やリンパの流れも改善し、お肌のターンオーバーを正常化することで、酸化によって破壊されたコラーゲンなどの美肌成分を増やし、お肌にハリ・ツヤを取り戻すことができます。

    ただし日常の中、日焼け止めクリームをこまめに使用することや、食生活において抗酸化作用があると言われているビタミンCやビタミンE、ポリフェノールやミネラル成分を含む食べ物を食べることも大切です。この小さい積み重ねが、将来的に大きな差となって現れてきます。これらは明日からでも出来ることですので、是非実践して頂けたらと思います。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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