
体脂肪が増えるメカニズムは、食事で摂ったエネルギーが消費されずに余ると 余ったエネルギーは肝臓で合成されて中性脂肪になります。この中性脂肪が血液中を流れて、体の全身にある脂肪細胞に蓄えられると体脂肪が増えて肥満に繋がります。結局、肥満の原因は食べすぎが大きな原因です。
白色脂肪細胞とリバウンド
ちなみに体脂肪は皮下脂肪と内臓脂肪の総称の言葉です。皮下脂肪は皮膚のすぐ下の皮下組織にできる脂肪のことで、内臓脂肪は胃や腸などの内臓の周りに蓄積した脂肪のことです。一般的に女性は、皮下脂肪がつきやすく、男性は内臓脂肪がつきやすい傾向があります。ちなみに女性ホルモンのエストロゲンが内臓脂肪の蓄積を防ぐことが分かっています。更年期でエストロゲンが急激に減少すると女性も内臓脂肪がつきやすくなるから注意が必要です。
体脂肪は脂肪細胞に蓄積しますが、脂肪細胞には2種類あり、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞分けられます。白色脂肪細胞は全身に多く存在し、余分なエネルギーを蓄積する役割を担っています。特に脂肪がつきやすい下腹部や太ももに白色脂肪細胞が多く存在しています。一方、褐色脂肪細胞は首や肩甲骨、鎖骨など限られた部分に存在し、ミトコンドリアを豊富に含んでいるため、脂肪を燃焼し、熱を作り出す役割があります。褐色脂肪細胞は、加齢とともに減少するため、褐色脂肪細胞の減少が中年太りの原因の一つになります。
一方で、白色脂肪細胞は飢餓状態に備えて脂肪を蓄積しているだけではなく、糖尿病や動脈硬化を抑えるアディポネクチンや食欲を抑えるレプチンなどの善玉ホルモンを分泌しています。しかし白色脂肪細胞が肥大化して肥満になるとアディポネクチンの分泌が低下し、食欲を抑えるレプチンが効きにくくなり、生活習慣病を促進するホルモンを分泌されます。
このような悪玉ホルモンは内蔵脂肪での影響が大きく、内臓脂肪が増えすぎると心血管疾患や脳血管疾患の発症リスクを高めたり、糖尿病、高血圧、動脈硬化を引き起こします。また食べ過ぎて白色脂肪細胞に中性脂肪が貯まりすぎると脂肪細胞が肥大するだけでなく、細胞分裂して数を増加させます。脂肪細胞は、基本的には美容整形でしか除去することはできないため、肥満を経験した人は、白色脂肪細胞の数が多くなっているため脂肪を蓄積しやくなっているため、結果リバウンドしやすい体になっているのです。
効率の良いダイエット
運動すればすぐに痩せると思っている人がいますが、実は脂肪を落とすために運動するという考え方にはズレがあります。多くの研究や専門家が示しているものに体重管理の80%は食事で決まるという考え方があります。つまりどれだけ運動しても食生活が乱れていれば痩せることはなく、逆に運動をサボったとしても食事さえ気をつけて、バランスの良い食生活をすれば体は脂肪を貯めずに変化していきます。当然、私たちの体は毎日食べるもので作られており、筋肉も脂肪も全ては食べたものから作られます。そのため脂肪を減らすためには、まずは食事の質を見直すことが最優先です。
また大切なのが、体重が減少することと脂肪が減少することは同じではないことです。この違いを知らずにダイエットを続けている人が少なくありません。例えば極端なカロリー制限や糖質制限は、短期間で体重は確かに減ります。しかし、それは体内の水分が減ったり、筋肉が減ったり、脂肪が減ったわけではなく、また筋肉が減ると代謝が落ちて、結局リバウンドしやすい体質になってしまいます。
そのため筋肉はしっかりキープして脂肪だけを効率的に減らすこと必要であり、高タンパク質をしっかり摂ることが大事です。タンパク質は筋肉の維持と修復を助けるだけでなく、消化する際に多くのエネルギーを使うため自然と代謝がアップします。さらにタンパク質は満腹感を長持ちさせます。おすすめの食材には、鶏肉、卵、豆腐、ギリシャヨーグルト、サバやマグロなどの魚、大豆製品が挙げられ、摂取目安は体重1kgあたり1.6から2gが目安になります。
一方で、食事の習慣とタイミング他にも見落としてはいけないのが、間食や夜食です。なぜなら太る本当の理由は、インスリンというホルモンが関係しており、食事で糖質を摂ると血糖値が上がり、血糖値を下げるために肝臓からインスリンが分泌されます。このインスリンが血中の糖分を脂肪に変えて体内に蓄積させます。つまりインスリンは血糖値を下げるだけでなく、脂肪を蓄える働きもします。間食を頻繁にするとインスリンが常に高い状態になり、体は常に脂肪蓄積モードになってしまいます。さらに危険なのが夜食です。代謝が低い夜に夜食を食べると脂肪蓄積モードに入ってしまいます。
そのため実践して欲しい食事ルールがあり、それが1日3 食を決まった時間にしっかり食べる、食間は最低4時間開ける、寝る3 時間前には食事を終えることです。この 3 つのルールを意識するだけで脂肪を貯めにくい体に変化していきます。
体脂肪を10%落とす条件
体脂肪はつきやすくて落ちにくく、その脂肪を燃焼するためには筋肉や肝臓に貯蔵されたエネルギー源を使い切らないと落ちません。食べたものは体内でブドウ糖に分解され、エネルギーとして消費されます。そして消費されなかったブドウ糖は筋肉や肝臓にグリコーゲンという形で貯蔵されます。しかしそれでも余ってしまったブドウ糖は、脂肪細胞に中性脂肪として蓄えられます。なぜならグリコーゲンはすぐにエネルギーとして取り出すことができるからです。
ただし、これは運動する際など便利ですが多くは貯蔵できず、一方で脂肪細胞はエネルギーを取り出すには少し使い勝手が悪いものの、いくらでも貯められます。つまりグリコーゲンはすぐに使われるエネルギー源で、脂肪細胞は貯蔵用のエネルギーとして使われているのです。そのため体脂肪を減らしたい場合は、グリコーゲンを使いきらなければならず、そして脂肪細胞のエネルギーを使うしかない状態にすることで脂肪を燃焼できるようになります。
ただし、普段と同じ食生活しながら少し運動した程度であればグリコーゲンだけで済み、脂肪燃焼させることは難しくなります。つまり脂肪燃焼させることが難しい理由の1つには、脂肪のエネルギー量が多いことが挙げられます。体は食べ物に含まれるエネルギー産生栄養素からエネルギーを生み出し、体を動かすために消費していますが、このエネルギー賛成栄養素とは、体のエネルギー源となる炭水化物、脂質、タンパク質の3つの栄養素の総称です。
また、炭水化物は糖質と食物繊維の総称で、糖質は 1gあたり4kcalのエネルギーを持ち、糖質は体内でブドウ糖や果糖という単糖に分解され、体を動かし脳を機能させるためのエネルギー源になります。この糖質は体内にグリコーゲンとして貯蔵されますが、貯蔵できる臓器や量が限られており、糖質を過剰摂取し貯蔵できる量を超えた場合は、体脂肪の蓄積に繋がります。
一方で食物繊維は、エネルギー源ではなく血糖値を調節したり、排便を促したり、様々な生理作用に関わっています。食物繊維は1日あたり20g程度以上の十分な摂取が必要とされています。
そしてタンパク質は多数のアミノ酸が結合したもので、炭水化物や脂質にはない窒素を含む物質です。タンパク質は1gあたり4kcalのエネルギーを持ち、基本的には体を作る材料として重要な物質です。脂質は脂肪酸を含む物質の総称で、多くは中性脂肪として存在しており、脂質は1gあたり9kcalのエネルギーを持つため、少量で多くのエネルギー源となります。
また、細胞膜やホルモンの材料となり、エネルギー源として利用されなかった余剰分は体脂肪として蓄えられます。さらに脂質は貯蔵エネルギーとして体の保温などに使われ、高エネルギーを持つため長時間の運動では重要な栄養素です。
人の体は半分以上を締める水分を除くと、タンパク質と脂質の割合が多い構成になっており、食事から摂取する栄養素の中では糖質と食物繊維を合わせた炭水化物の割合が多くなります。しかし人の体を構成する成分の体組成では糖質は1%未満と僅かしかありません。なぜなら糖質が優先的にエネルギー源として使われ、過剰な分は脂肪として蓄えられるからです。このように糖質やタンパク質より脂質をエネルギーとして蓄えれば効率が良く、脂質は他より約2倍の1gあたり約9kcalと効率の良いエネルギー源を作り出してくれることが分かります。
さらに体の中に摂り込まれた糖質は1gあたり約3gの水分が結び付くため、つまり糖質は水に解け、重量がさらに増すが脂質は水に溶けため、重量は変わらないとすると同じ量のエネルギーを蓄えるのに脂質なら1gで済むのが、炭水化物では6gにもなります。このことから炭水化物はすぐにエネルギーに使われ、脂質は効率よくエネルギーを貯める働きをすることが分かります。つまり脂肪がエネルギーを多く蓄えていることは、それだけエネルギーを消費しないといけないことになり、体脂肪を減らすためには脂肪細胞のエネルギーを多く消費して脂肪を燃焼させることが必要になります。
体脂肪の減らし方
痩せようと思って食べる量を減らしたり、運動をしたりしても少し体重が減ったと思ったらまた元に戻って全然痩せないと思っている方は、まずは体脂肪と体重は分けて考えなければいけません。例えば体重は、その日計った時間や前日に食べたものや水分量によって変動します。特に水分を保持しやすい炭水化物を多めに食べた時は体重が増加傾向にあります。つまり体重は増えているけど体脂肪は減っていた可能性もあります。
体脂肪を落とす大原則が、摂取カロリーを消費カロリーより少なくすることです。摂取カロリーを減らすとどうして体脂肪が落ちるのかは、人の体はエネルギーが不足すると脳が脂肪を分解してエネルギーを作れという命令を出すからです。
アドレナリンなどの脂肪を分解するホルモンが分泌されると、脂肪が分解されて体脂肪が落ちるようになります。もちろん運動で消費カロリーを上げることで脂肪を落とすことも可能ですが、運動の消費カロリーは意外と少ないため、食事で摂取カロリーを抑える方が効果的です。例えば体重50kgの人が30分間のウォーキングで消費できるカロリーは、約92kcalで、これはバナナ1本分のカロリー、コンビニのおにぎりだと約半分にしかなりません。
具体的にどのくらいの摂取カロリーにしたら良いのかは、基礎代謝よりも多く、 消費カロリーよりも少ないカロリーにすることです。基礎代謝は心臓を動かす、呼吸、体温を保つなどの生きていくのに最低限必要なエネルギーのことです。それに対して消費カロリーは基礎代謝に加えて、NEATや食事や運動などで使ったエネルギーを合わせたものです。NEATは、非運動性熱産生のことで運動以外の日常生活活動による消費エネルギーのことです。例えば通勤や買い物を徒歩で行く、階段を使う、犬の散歩をするといったものです。割合としては基礎代謝が60% 、NEATが25%、食事誘発性熱産生が10% 、運動が5%です。
また、早く痩せたいなら摂取カロリーは基礎代謝よりも少なくした方が良いと思うかもしれませんが、それは体を壊すだけでなく、肌や髪もボロボロになります。なぜなら基礎代謝よりも少なく設定してしまうと脳は命の危険を感じて、体が少ないカロリーで生きていけるように基礎代謝を低下させ、省エネモードになります。基礎代謝が下がると、少しの食事でも消費カロリーを上回るようになります。つまり痩せにくい体になってしまいます。
具体的にどのくらいのカロリーを摂取したら良いかは、男性か女性か、身長や運動強度によっても変わってきます。そして1日に落とせる脂肪の量は 100g程度が限界だと言われています。体脂肪を1キロ落とすのに必要なカロリーは、 7200kcal、1日100g の脂肪を落とすなら消費カロリーよりマイナス720キロカロリーに設定することです。しかし実際1日に 200gの脂肪を落とすのはかなり食事を制限することになり、長期間の継続が難しくなるため1日50gのマイナス 360kcalを設定すると良いでしょう。1日 50gの脂肪なら1ヶ月だとマイナス 1.5kgになります。一方で、1ヶ月に落として良い体重の目安は自分の体重の5%までです。60キロの人だと 1か月に落として良い体重は3キロまでです。
ビタミン、ミネラル、食物繊維不足で太る
ビタミン、ミネラルはタンパク質、脂質、炭水化物の分解や合成を助ける働きがあります。不足するとこれらをエネルギーに変換できないため、体内に蓄積してしまい体脂肪を増やす原因になります。また食物繊維は便秘解消や血糖値を緩やかにしてくれ役割があります。腸内環境が悪い人は肥満になりやすいと言う研究があり、血糖値の急上昇、急降下といった乱高下が食欲を乱す原因にもなります。一汁三菜の主食、主菜、副菜、汁物を揃えた定食型の食事にすることで栄養バランスが整いやすくなります。
一方で食べ過ぎを防ぐポイントは、沢山噛んで一食あたり20分程度をかけて食べることです。なぜなら食事をしてから脳の満腹中枢に信号が伝わるまでに20分かかるからです。また睡眠不足になると食欲を抑制するレプチンの分泌量が減少して食欲を増進するグレリンの分泌量が増加します。その結果、食事量が増えてしまうので、最低でも7時間以上は睡眠時間を確保することが大切です。
なぜ年を取ると太りやすくなるのか
内臓脂肪と皮下脂肪
そして、体脂肪はつきやすくて落ちにくく、年齢と共にさらに増加する傾向があります。なぜなら基礎代謝量が減少することが 1 つで、加齢と共に筋肉は減る上に運動をしない人が増えるからです。基礎代謝量のうち大きな割合を占めるのは筋肉で、ほとんどの人は筋肉量が減少してしまうのに気づかず、若い頃と同じような食事をすると食べすぎや飲みすぎの状態からカロリー過多となり、それが体脂肪となって蓄積されます。若い頃と体重がさほど変化ない人でも筋肉量が落ち、代わりに体脂肪が増えていことが多くあります。
特に仕事の忙しさなどから食事を抜くなどの不規則な食生活をしていると、体が危機感を持ち、食事から得たエネルギーを脂肪分として蓄えようとし体脂肪が増えます。そもそも体脂肪とは、体の脂肪のことを表し、内臓脂肪と皮下脂肪の総称です。よく耳にする体脂肪率とは体重に占める体脂肪の割合を表したもので、体脂肪の量を測る重要な指標です。
一方の内臓脂肪は、腸や肝臓などの臓器や筋肉に絡みついたように蓄積した脂肪であり、内臓脂肪が蓄積した体型の特徴は男性に多く、お腹がぽっこりした形からりんご型肥満とも呼ばれていいます。これは食べすぎや飲みすぎ、運動不足、ストレスなどによって溜まりやすいです。また運動習慣がない人は筋肉量が少なく、エネルギー消費も低下するため、内臓脂肪が増えやすい傾向があります。さらに内臓脂肪は血圧、血糖値、中性脂肪の値にも異常が出やすくなります。
そして皮下脂肪は、皮膚の下の皮下組織に蓄積する脂肪のことで、外的刺激から体を守るクッションの役割や寒いところでも体温を維持するといった働きもしています。皮下脂肪が蓄積した体型の特徴は、皮膚と筋肉の間に蓄積し、指でつまむとぷよぷよする、お尻や太もなどの下半身や二の腕やお腹回りなどを動かさないところに集中してつきやすいのが特徴です。脂肪が多い体型を洋なし型と言って男性よりも女性に多いとされています。
元々女性の体は脂肪が多く、脂肪は女性ホルモンの分泌にも不可欠なものとなり、それが女性らしい体のシルエットを作る他、妊娠や出産に備えたり、臓器を守るために役立っているため、体脂肪を減らしすぎると生理が一時的に止まったり、骨粗鬆症のリスクが高まるなどの悪影響が出てしまいます。痩せたいと思っても体脂肪が20%以下に低くならないようにしましょう。
この皮下脂肪が増加する原因には、炭水化物やタンパク質などエネルギー量の多い食事を好む他にも、日常的に間食をする、運動をする習慣がない、デスクワークが多くあまり体を動かさないなどが挙げられます。こうした条件に心当たりのある人は、消費するエネルギー量よりも摂取するエネルギーが過剰になる、つまり皮下脂肪が増えやすいライフスタイルにつがっている可能性が高いです。
私たちは食べ物を食べてすぐに使われなかったエネルギーは、中性脂肪になって蓄えられます。そして中性脂肪が再びエネルギーになるかでリパーゼという酵素が働き、中性脂肪は脂肪酸とグリセロールに分解されます。そして分解された脂肪酸は血中に排出され、代謝の要となるミトコンドリアに運ばれます。ミトコンドリアに運ばれた脂肪酸は、エネルギーの源になるATPに変換され、最終的に二酸化炭素と水に分解されます。
年を取ると太りやすくなってしまうのは、この中性脂肪がエネルギーに変わる過程で変化する大きな理由が4つあるからです。まず1つ目はリパーゼを活性化するのに必要なのが成長ホルモンですが、これが年を取ると減り、そもそも中性脂肪が分解されにくくなるからです。
さらに同じように2つ目の理由として、脂肪酸がミトコンドリア内に運ばれる時にカルニチンというアミノ酸が必要になりますが、これも年を取ることで合成の量が減ります。さらに3つ目にATPを作る時に、コエンザイムQ10と鉄が必要になってくるのですが、コエンザイムQ10も年を取ると減ってしまいます。最後にもう1つ避けられないのが代謝の要となるATPを作り出すミトコンドリアの減少と質が低下してしまうからです。
このように私たちは年を取るごとに代謝が落ちてしまい、中性脂肪が体に溜まりやすくなっていき、体脂肪として蓄えられやすい体質になってしまいます。つまり年齢を重ねるほど基礎代謝を上げる努力をしていかないと、私たちはどんどん太りやすい体質になってしまい、さらに上手くエネルギーが作られなければ疲労の原因になったり、脳卒中や糖尿病のリスクが上がってしまいます。
基礎代謝を上げる方法
ダイエットと言えばジョギングのイメージがありますが、有酸素運動といった 運動をわざわざする必要はありません。普段運動していない人がジョギングをしたところできつくて継続することは難しいでしょう。また過去に糖質制限をしていて、結果としては痩せなかった方は、もしかしたら基礎代謝が落ちていて消費カロリーが低い可能性があり、食事制限をしても痩せられない体質になっているかも知れません。そのため基礎代謝を上げて消費カロリーを増やすようにしないといけません。
基礎代謝を上げるには、筋トレか褐色脂肪細胞を活性化させることです。効果的に痩せるには筋トレは必須です。食事制限をすると体脂肪が落ちるだけでなく筋肉も落ちてしまいます。基礎代謝全体の約22%を骨格筋が占めており、筋肉を大きくすることで基礎代謝を上げることができます。さらに筋トレを行うと筋肉からイリシンとホルモンが分泌され、イリジンは白色脂肪細胞を褐色化させ、褐色化した白色脂肪細胞はベージュ脂肪細胞と呼ばれ、脂肪を燃焼してくれます。特に筋トレは下半身を鍛えることが大事で、下半身の筋肉は全身の約60から70%の割合を占めていると言われるからです。この大きな筋肉を鍛えることで手っ取り早く基礎代謝を上げることができます。
一方の褐色脂肪細胞を活性化させる方法に寒冷刺激を与えることが挙げられます。具体的な方法はサウナで体を温め、冷水で体を冷やすことです。また家でできる方法なら、湯船をいつもより少し熱めにして体を温めてからシャワーで水をかけると良いでしょう。また褐色脂肪細胞を活性化させるには、肩甲骨のストレッチがおすすめです。肩を回すだけでも良いし、両手を上に上げるだけでもかまいません。
また、褐色脂肪細胞を活性化させる食べ物があります。例えば緑茶のカテキンが褐色脂肪細胞内にあるミトコンドリアを活性化させます。コーヒーに含まれるカフェインが褐色脂肪組織の熱産生機能を高めることが確認されています。スパイスでは、唐辛子のカプサイシンとカプシエイトが細胞を活性化し、生姜のジンゲロールも褐色脂肪細胞を活性化させてくれます。何れも体を温めてくれる食べ物です。サバ、いわし、サンマなどの青魚に含まれるEPAとDHAのオメガ3脂肪酸が褐色脂肪細胞を活性化させるだけでなく、白色脂肪細胞をベージュ脂肪細胞に変えてくれます。青魚以外にも、くるみやエゴマ油に含まれる脂質も同じオメガ3脂肪酸です。
体脂肪を減らす運動
そして体脂肪を減らすためのおすすめの運動は定期的に30分ほどの散歩することです。体脂肪を落としたい人は、30分を目安に軽く息が弾み、汗ばむぐらいの運動強度で散歩すると良いでしょう。定期的に運動することで体に溜まった体脂肪をエネルギーに変え、効率的に脂肪を落とすことができるようになります。
さらに運動によって接取した栄養素を徐々に脂肪に変えていく酵素の働きを弱めることができます。つまり定期的に運動を続けることによって、脂肪の合成が鈍くなり太りにくい体へと変化していきます。加えて定期的に運動をするとインスリンの働きも改善します。
運動不足になると余ったブドウ糖をグリコーゲンまたは中性脂肪に合成させるインスリンの機能が低下し、その結果ブドウ糖を効率的に合成することができず、血糖値の上昇をもたらします。血糖値の上昇が起こると血糖値の上昇を抑えるためのインスリンの分泌が増え、増えてしまった量のインスリンが脂肪の分解を抑制してしまいます。そこで定期的に運動することでインスリンの働きを改善し、脂肪を分解しやすい体を作られます。
ちなみに散歩などの酸素運動は、15分から20 分以上しないと脂肪が燃焼されないと聞いたことがあるかも知れませんが、実はこの15分から20分の根拠は、グリコーゲンを使い切るまでの時間と言われています。実は有酸素運動はグリコーゲンが優先的に使われるだけで、脂肪も一緒にエネルギーとして使われるのですが、運動を始めてすぐは脂肪のエネルギー消費は少ないです。つまり効果的に体脂肪を減らすためには15分から20分以上運動することが良いことになります。
また散歩も大事ですが、基礎代謝を上げるためにやはり筋トレは必須になります。人が 1 日に消費するエネルギーは大きく分けて3つあり、1つ目が基礎代謝で人間が安静な状態で生命活動を続けていくために必要となる最低限度のエネルギーです。これは心臓を動かす呼吸をするなどに必要なエネルギーで1日の消費エネルギー全体の60%を占めます。
2つ目は生活活動代謝で生活や運動など自ら動くことによって消費されるエネルギーです。どれだけ運動するかによって変化しますが、1日の消費エネルギー全体の30%と言われています。3つ目が食事誘導性代謝で、食べ物を消化吸収するために必要なエネルギーです。食べるものによって消費エネルギーは異なりますが、1 日の消費エネルギー全体の10%です。
このことから運動による消費エネルギーは30%しかなく、闇雲に運動しても効率が悪く、例えば体重60kgの人が週に1回30分軽く走っても200から300kcalしか消費しません。今日は運動したからと言って食事量を2 倍にすれば当たり前に太ってしまいます。さらに体脂肪1kg減らすためには約7000kcalを消費する必要があります。
まずは毎日の消費するエネルギーを底上げするためにも基礎代謝を上げることが大事です。その基礎代謝を上げるには筋トレが効果的で、筋肉は脂肪の約3 倍のエネルギー消費量があります。筋肉の基礎代謝は1kgあたり1日13kcalに対し、脂肪の基礎代謝は1kgあたり1日4.5kcalになります。つまり筋肉を増やすことで運動なしでも勝手に消費カロリーを増やせることに繋がります。特にお勧めする筋トレはスクワットです。下半身の筋肉は全体の筋肉量の約70%を占めており、下半身を鍛えることで効果的に基礎代謝を上げられます。
お腹などの部分痩せはできない
お腹周りが痩せるには、一般的に3から6ヶ月かかると言われています。1日 100gの脂肪を落とす人は約3ヶ月、1日50gの脂肪を落とす人は約6ヶ月です。ただ1日100gを落とすことは継続が難しいでしょう。何れにせよ、お腹の皮下脂肪を落とすのは長期戦であることを理解して、無理なくダイエットを継続させることが大事です。
また、脂肪には内臓脂肪と皮下脂肪の2種類あり、内臓脂肪は腸などの内臓の周りに蓄積した脂肪でつきやすく落としやすいことが挙げられます。一方の皮下脂肪は皮膚のすぐ下の皮下組織にできる脂肪で、一度つくとなかなか落ちません。なぜなら皮下脂肪は内臓脂肪と比べて脂肪を分解する細胞の数が少ないからです。そして脂肪の減る順番は、個人の体質にもよりますが、多くの人はふくらはぎ、二の腕、肩周り、太もも、お腹、お尻といった血流量が多い場所から脂肪が分解されます。一番気になるお腹の皮下脂肪は、最後から2番目に落ちるようになっているため、ダイエットを始めて4から6ヶ月頃にやっとお腹が痩せてきます。
皮下脂肪を落とすためには、摂取カロリーを基礎代謝より高く、消費カロリーより低く設定することです。運動を頑張っても、ご飯をたくさん食べると痩せることはできないし、脂肪を燃焼する食べ物や飲み物で痩せやすい体になったとしても摂取カロリーが消費カロリーを上回っていると痩せることはできません。
また、運動だけで痩せるより食事の方が効率よく痩せることができます。実は運動は、思っているよりカロリーを消費しません。例えばペンシルベニア州立大学の研究でも実証されており、食事のみと食事に有酸素運動を加えて3ヶ月で落ちた体重を比較しました。結果は食事のみはマイナス6.3kgに対して、食事と有酸素運動ではマイナス6.8kgでした。つまり有酸素運動を加えても体重はほとんど変わってないことになります。
一方で、お腹の皮下脂肪を落とすために腹筋を鍛えている人は多いですが、実際のところ部分痩せはできません。人間の体には特定の脂肪だけを減らすような機能は存在しません。南イリノイ大学の研究では、お腹周りのエクササイズを行うだけではお腹の脂肪は減らないことが分かっています。
筋トレをするなら大きい筋肉を刺激できるスクワットが良いでしょう。効率よく筋肉量を増やしたいなら、まずは正しいフォームで行うことが大事で、正しいフォームでないと筋肉への負荷が軽くなってしまいます。回数は、1種類のトレーニングを8から12回、もしくは約40秒間行える負荷にすると筋肉がつきやすくなって消費カロリーを増やせます。
また、ながら食べをすると摂取カロリーが増えることが分かっています。研究では、食事に集中するグループとスマホを使用しながら食事するグループ、本や新聞を読みながら食事をするグループに別れて食事を摂ってもらいました。気を散らすことなく食事するグループと比べて、スマホを見ながら食事をしたグループは10%、本や新聞を読みながら食事をしたグループは14%も摂取カロリーが増加していました。これは食べることに意識が行かないことが原因と言われています。何かをしながら食事をすると咀嚼回数が減り、早食いにつながってしまい、その結果、満腹中枢が刺激される前に食事が終わり、満足感が得られず余計に多く食べてしまうからです。
そもそも私たちの食欲は脳の視床下部にある摂食中枢や満腹中枢によってコントロールされています。この満腹中枢は脂肪細胞のレプチンから信号を受け取ることで働きますが、ダイエットによって脂肪細胞が減少するとレプチンの分泌量も減るため、普段食べている量では満腹中枢が働かなくなり、結果いつもと同じ量を食べているのにお腹がいっぱいにならず食べ過ぎてしまいます。
このように痩せれば痩せるほど食欲を我慢するのが難しくなる事は様々な研究で明らかになっています。例えばロックフェラー大学の研究では、人間の食欲は喉が渇いて水を飲みたいという欲求と同等以上に強いということも分かっています。つまり自然と食欲を抑える方法を知らなければ痩せるのが難しくなります。
ダイエット成功のための2つの条件
ダイエット成功のためには、体脂肪を減らして体重を落とすこと、そして筋肉量を増やすことです。当たり前のことですが、意外と実践できている人は少ないです。体脂肪を落として筋肉を増やす、この2つの条件を同時に満たさないといくら運動を頑張っても痩せない状態に陥ってしまいます。
まずは、意外かもしれませんが短い有酸素運動です。有酸素運動は長くやらないといけないと思っている人が多いです。この短い有酸素運動は消費カロリーを稼ぐためにするのではなく、食欲をコントロロールするために行うことを理解することが大事です。そもそも有酸素運動の消費カロリーは、例えば4km走ってもおにぎり1個分に過ぎません。一方短い有酸素運動で食欲を抑えることができることは研究でも明らかになっています。
オーストリアのインブルック大学の研究によると15分の早歩き程度の短い有酸素運動で、女性の97%が食欲を抑えることが確認されています。これに対して長時間の有酸素運動は食欲を乱して太りやすくなることが、米ネブラスカ大学 の研究で分かっています。具体的には45分の長い有酸素運動をすることで、被験者の摂取カロリーは10%も増えています。また効率的に痩せるためには、インスブルック大学の研究では、食事30分前に15分だけ早歩き程度の短い運動を取り入れることが実証されています。
さらに、サイクリングやマシンを使った高い有酸素運動では、食欲が乱れることに加えて筋肉量が減ってしまいます。もちろん時間の長さや負荷のかけ方次第で効果的な場合はありますが、専門的な知識や経験を持っていない一般の人がその点を踏まえて実践することは難しいでしょう。
筋肉量が落ちることを明らかにした研究があり、米ウエイクフォレスト大学が運動なしのダイエットと強度の高い有酸素運動のダイエットを行った場合の筋肉量の減少量を比較しています。その結果、ダイエット中の強度の高い有酸素運動は筋肉を著しく落としてしまうことが分かっています。つまり多くの方が勘違いしている強度の高い有酸素運動は、綺麗に痩せるためには向いていないダイエット方法になります。これらからウォーキングこそが筋肉を維持し、さらに食欲をコントロールしながらカロリーを消費でき、綺麗に脂肪を落とせる運動になります。
綺麗に痩せられる強度の高い筋トレ
筋トレには、強度が高い、低いがあり、軽い負荷の筋トレを延々としている人をジムで見かけますが、これは全く無意味です。強度の低い筋トレの効果がない理由は、それは「漸進性過負荷(ぜんしんせいかふか)の原則」にあります。この原則は、毎回同じ負荷の筋トレでは筋肉は成長しないということを意味して います。同じ筋トレでも強度を上げるためには、まず回数を徐々に上げること、例えば10回3セットを基本にして、クリアできたら次は12回3セットにするといった感じで、徐々に負荷を上げていき、そして重量で負荷を上げていくことも忘れずしましょう。
まず何から始めればいいか分からない人は、どんな種目でもいいから家でできる筋トレを週に2回を目標に習慣化しましょう。具体的には足とお尻の筋トレならワイドスクワット、それからヒップリフト、お腹の筋トレならレッグレイズ、胸と二の腕の筋トレならプッシュアップなど、この辺からトライしてみましょう。
東洋医学で診る「体脂肪」
体脂肪を減らすためには血行を良くすることもとても重要です。東洋医学では瘀血は万病の元と言い、最も避けるべき状態の1つと考えます。この瘀血とは、血液の流れが滞った状態を意味し、普段はスムーズに流れている血液が何らかの原因によって流れが悪くなった状態です。東洋医学における血は、血液や体液だけでなく血液中に含まれている栄養素含んでいます。また瘀血になると肩こりや頭痛、重い冷えやのぼせなどが現れやすくなります。
体の血液の循環をよくするためには、玉ねぎやネギ類、納豆、お酢、青魚、野菜全般などを摂取が必要です。また瘀血は血液が滞った状態を意味するため、体を温めて血行を促進するものもおすすめです。
また内臓脂肪が蓄積されていくと血液中のLDLコレステロールや中性脂肪が増え、動脈効果のきっかけを作ることになります。動脈は元々はとてもしなやかで淀みなく血液を流すことができますが、しかし生活する中で住居のパイプに汚れが溜まるように体の中でもいろんな生体的な変化が起き、この生体的変化でだんだんと血液の流れが阻害される現象が起きます。それがいわゆる動脈効果です。動脈効果は、動脈の血管が硬くなって弾力が失われた状態で、内臓脂肪が溜まると動脈効果のきっかけになり、様々な疾患につがるから注意しましょう。
体脂肪を減らす飲み物
ハブ茶
ハブ茶には、アントラキノン誘導体やビタミンAが含まれており、アントラキノン誘導体がコレステロール値を低下させる作用を持ちます。中性脂肪や悪玉コレステロールが増えると血液が粘り気を持ち、血液がドロドロになってしまいます。他にも便秘や高血圧の改善、眼性疲労や目の健康維持、動脈効果の予防や疲労回復に期待できます。また肝臓のデトックスや胃腸機能の改善、更年期障害の改善などの効果高能が期待できます。
どくだみ茶
どくだみ茶は、高血圧の要因となるナトリウムを排出するカリウムが含まれ、余分な塩分を排出してくれます。余分な塩分を排出して血圧を下げる働きにより高血圧を予防する効果が期待できます。またフラボノイドの類であるクエルシトリン・ルチンクエルセチンには、毛細血管を強化する働きがあり、血流の流れをよくするため血液に関する疾患予防が期待できます。また血流が改善されることによって肩こりの解消と冷え性の改善が期待されます。
他にも含まれるケルセチンには、抗酸化作用や美肌効果があり、コリンには脂肪肝を予防する効果、ルチンには生活習慣病の予防する効果や免疫力を向上する効果があります。さらにどくだみ茶の苦みに、更年期のイライラや症状を抑えリラックスできるという働きもあります。
ごぼう茶
ごぼう茶は、食物繊維成分であるイヌリンと血中の糖や脂肪に作用するサポニンという成分を主に含んでいます。イヌリンもサポニンも水に溶け出すため、ごぼう茶を飲めば手軽に有効な成分を摂取できます。
水性食物繊維であるイヌリンの働きにより、食後に起こりやすい血糖値の上昇を抑える効果が期待でき、またイヌリンは中性脂肪を下げる効果があると言われています。一方のサポニンは血液の状態を良くする効果や酸化・脂質吸収を抑制する働きがあります。
このように体内に不要な老廃物を溜め込まないように食物繊維を摂り入れること、血液中に糖や中性脂肪を増やさず血液サラサラの状態を保つことは健康的な体作りの大事なポイントです。
皮下脂肪に効く飲み物
皮下脂肪に効く飲み物は、小豆茶、黒豆茶、トウモロコシのひげ茶です。特にむくみ自体がそのまま脂肪になることはありませんが、むくみやすい人は脂肪がつきやすいと考えられています。むくみの原因となる運動不足や血行不良は長く続くと脂肪の蓄積を招きます。さらにむくみは老廃物が溜まっている状態のため、脂肪が落ちにくくなって悪循環に陥りやすくなります。
小豆茶と黒豆茶は、むくみの改善効果に優れていますが、むくみを予防するには体内の水分を正常に保つ必要があります。小豆茶に含まれるカリウムは血液中のナトリウムのバランスを取って塩分をコントロールする効果があり、サポニンには体内の水分バランスを調節する働きがあり、むくみ予防には効果的です。
またサポニンが中性脂肪の値を下げ、利尿作用を促し、余分な水分を排出してくれます。またあずき茶にはダイエット時に不足しがちな糖質や鉄分も豊富に摂ることができます。
黒豆茶には血液を増やしてくれる鉄分や血流をアップさせてくれるアントシアニンが含まれます。貧血が改善されて血流がアップすれば冷え症も改善します。この冷えは肌荒れや便秘、むくみなど様々な不調を引き起こしてしまうため、黒豆茶を飲む習慣をつければ体の隅々まで血液が行き渡るようになります。
そしてトウモロコシのひげは、南蛮毛と呼ばれ利尿作用により体内の余分な水分や塩分を排出する働きがあります。そして高血圧やむくみを予防する効果に役立ちます。また利尿作用により体内の老廃物や毒素を排出できるためデトックス効果も期待できます。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。