
目のまわりには眼輪筋というまぶたを支える筋肉が一つしかありません。また私たちの目の周りには衝撃から守るために眼窩脂肪という脂肪に覆われており、加齢により目元の筋力が落ちると、この脂肪を支えられなくなり目元がたるみます。
また、目元の筋力(眼輪筋)が衰えると、目の周りの眼窩脂肪(がんかしぼう)の膨らみが目立つようになります。この筋力(眼輪筋)は、1日平均20,000回もまばたきを繰り返していますが、腕や足の筋肉と同様に、加齢によって弱くなります。
さらに、パソコンやスマホなどで長時間目を酷使している場合には、瞬きの回数も減り目の筋力が低下し、目の周りの筋肉が緊張して血流が悪くなり、筋肉の衰えが加速して老化が早まるといわれています。さらに頭の凝りや血行不良も目元のたるみの原因に。このように目元の毛細血管が血行不良に陥ると、血液の色が透けて見えるためにクマができ、乾燥すると小ジワも目立つようになります。
また、加齢や紫外線などの影響で、肌の弾力を支えるコラーゲンやエラスチンなどの組織が衰えて、肌の弾力が低下し、ハリが失われてしまいます。特に目元は皮膚が薄いため、たるみが目立ちやすくなります。
一方で、加齢に伴う目元の筋力の衰えや紫外線のダメージ、乾燥といった原因のほかに、骨がやせてしまうといった構造的な問題もあります。加齢で顔の骨が小さくなることで、その上に元々あった脂肪や皮膚が余り、それがたるみとなって現れます。
【最新研究】目元のたるみの原因
目の下のぷっくり感やクマを改善するために目元の脂肪を取る(脱脂)が人気ですが、スキンケアなどで何とかしたいという希望も多く聞きます。
目の周りは他の部分と違い、目元の皮膚の下にすぐ筋肉があり、その下に眼窩脂肪があります。眼窩脂肪は目の周りをクッションのように覆っており、目元の皮膚のハリ感が落ちたり、その脂肪を抑えている筋肉が衰えると目元がぷっくりと膨らんできたりします。
この眼輪筋の衰えは全身の筋肉と同じように起こりますが、最新研究では、眼輪筋は衰えるだけでなく繊維化というものを起こしていることが分かっています(2022/7 POLA)。
実は30代ぐらいから加齢とともに繊維化が起こり、繊維化が起こると筋肉が薄くなり、さらに伸び、しなやかさが無くなります。この繊維化は眼輪筋にも起こり、繊維化によって動きが悪くなります。さらに目を動かさないようにすることも繊維化が進む原因であることも分かっています。スマホなどで瞬きの回数が減り、ドライアイの原因になっていると言われていますが、瞬きをすることが目の健康だけでなく、眼輪筋にも大事なことです。
繊維化は加齢とともに進むことは仕方ないことですが、それを抑える機能も私たちの体には備わっており、脂肪幹細胞由来のTSG-6と言う物質が筋肉の繊維化を抑えることが分かっています。この物質は繊維化した筋肉(タンパク質)を分解して再生する機能があり、再生医療分野でも注目されています。つまりこのTSG-6が増えれば、眼輪筋自体の繊維化を抑制できるのではないかと考えられて化粧品などにも応用されています。
目元のたるみを目立たなくする
目元のたるみを目立たなくする方法は以下の3つです。
- コラーゲンを増やす(LED美顔器、散鍼、インディバなど)
- 目元の血行や筋力の回復
- 僧帽筋をほぐす
LED美顔器は色の種類によって効果が異なります。赤色LEDの効果はコラーゲンの生成を促進し、肌の弾力アップの効果があります。ただし目元は皮膚が薄く、内出血する可能性が高くなるため、通常は美容鍼(散鍼)を刺すことはあまりしません。
インディバの深部加熱によって、眼窩の奥の方の細胞の温度を上昇させて眼輪筋の疲労をとり除き、血流を改善することで、筋肉の衰えを改善し、目の下のたるみやふくらみを軽減します。またインディバの高周波によって肌の真皮に働きかけ、肌の弾力を支えるコラーゲンやエラスチンなどの生成を促し、肌の弾力アップ、ハリを取り戻します。
次にパソコンやスマホなどで、目を酷使して凝り固まった筋肉には、目元用パッド(パルス)を使い、目元の筋力(眼輪筋)を細かく振動させます。目の周りの筋肉がほぐれると、血行が促進され目の下のたるみが解消されます。

最後に、僧帽筋が加齢により硬くなったり緊張したりすると、筋力が弱まり、必然的に顔がたるんでくるため、美容鍼やリンパマッサージで血流の流れを促進してコリをほぐします。
僧帽筋をほぐすのは、頭皮が1ミリたるむと顔が1センチたるむといわれるくらい、頭皮のたるみは顔に深く影響しているからです。僧帽筋は、首の後ろ側から、肩を通って腰の上まで続く大きな筋肉で、後頭部で頭皮を引っ張っているほか、首の前面で顔の筋肉を支えています。
お顔を集中的に対策しても、すぐに戻ってしまうのは、頭皮と、それを引き上げている背中に続く筋肉の僧帽筋凝り固まっていたり衰えたりしているからです。
50代、60代でも、スポーツマンは顔のたるみが少なく、引き締まった顔をしている人が多いのは、僧帽筋が運動によって柔らかく、しなやかになっているからです。
目元のたるみは、ある程度年齢を重ねたら出てくるのは普通のことです。けれども、日常的にケアすることで進行のスピードを緩めることはできます。また、猫背気味で姿勢が悪いと、僧帽筋が凝りやすく、衰えやすくなります。
また、基本的なことですが、バランスのいい食事を摂り十分な睡眠などの、規則正しい生活を心がけた上で、今回ご紹介したケアを取り入れて下さい。また正しいスキンケアや紫外線対策をしていただくのが効果的です。
お家でセルフケア、目の下・上まぶたのたるみに効くツボ
目の下のたるみは、眼力を鍛えたり、頭皮の血行を促すことで進行を遅らせることができます。目元のたるみを改善するには、目元だけでなく、頭皮もアプローチしましょう!
美容鍼の効果を持続させるための「お顔のセルフケア」をお伝えします。1日1分のツボ押しで、より輝くための肌づくりを!
目の下のたるみに効果的なツボ
目の下のたるみの原因は、眼瞼挙上腱膜のゆるみ、眼輪筋や前頭筋の萎縮が主な原因です。特に上眼瞼下にある眼窩脂肪体が前方に押されて、目の下が押し出されることで起きています。
ポイントは、眼輪筋や前頭筋の拘縮や萎縮を緩和して眼瞼挙筋が弱くなってしまうことを改善することです。そのためツボは目の上部にあり、攅竹(さんちく)や上上明(かみじょうめい)が効果的です。
- 攅竹(さんちく)/眉頭
- 上上明(かみじょうめい):眉毛の真ん中から5mmほど下、その骨の上

目力がなくなり、たるんだ疲れ顔に効果的なツボをご紹介します。
- 球後(きゅうご):目の中央と目尻の間にある骨のくぼみ
- 絲竹空(しちくくう):眉尻
- 魚腰(ぎょうよう):眉毛の真ん中
目尻のシワを改善してくれる「球後」と、目のだるさや重さを解消する「絲竹空」と「魚腰」。

上まぶたのたるみに効果的なツボ
目がちいさくなってしまったと感じる時に効果的なツボをご紹介します。
- 攅竹(さんちく)/眉頭
- 魚腰(ぎょうよう)/眉毛の真ん中
- 絲竹空(しちくくう)/眉尻
「攅竹」「魚腰」「絲竹空」は上まぶたをリフトアップさせてくれるツボ。

目の周りの血行を促すツボ
目の周りの血行を促すツボをご紹介します。
- 四白(しはく):正面をまっすぐ見た時の黒目の真下の骨の縁の真ん中から指一本分下がった窪み
- 承泣(しょうきゅう):正面をまっすぐ見た時の黒目の真下、目の下の骨ぎわ

頭へ向かう血行を良くしてくれるツボ
また目と関係のある首の天柱(てんちゅう)、頭へ向かう血行を良くしてくれる風池(ふうち)もおすすめです。
- 天柱(てんちゅう):首の後ろの髪の生え際で、二本の太い筋肉の外側の窪み
- 風池(ふうち):首の付け根の骨の両外側、髪の生え際にあるくぼみ

お顔のツボ押しは、イタ気持ちいい程度、毎日1分、不調の時は控えましょう!
目元のたるみでお悩みの方は是非、当院にお越し下さい。東洋医学の知識を基に、お客様一人ひとりに合わせた方法で、お悩みの改善が出来るよう全力を尽くすことをお約束します。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。