
健康や老化の観点から血管の重要性が注目されており、血管の状態がそのまま見た目にダイレクトに影響します。血管が若々しい人は見た目も若々しく、血管が老化している人は見た目も体も老化していきます。実際にも実年齢よりも若々しく見える人は血管年齢が若いということが分かっています。
例えば、血管の壁が若々しく弾力性に富んでいて、血管が良好な状態に保たれている人は、人体のあらゆる器官や臓器に十分な量の血液を送りこむことができます。その結果、血液を必要としている様々な臓器がいつまでも健康に働き続けることができます。
この血管年齢が大幅に老け、全身の血管がみるみる老化する悪い習慣があります。健康に気にしている方でも、血管を意識していないのであれば健康に気を使っているとは言えません。血管に関する病気は血管を健康的に保つことで防ぐことができます。
いつまでも若々しさを保つこと、アンチエイジングの鍵は血管が握っていると言っても過言ではありません。シミやシワ、肌の乾燥、ツヤなどは年を重なるとともに悩みにつながりますが、それでも最大限老化のスピードを遅らせることが可能であることが様々な研究で明らかになってきています。
血管が老化する悪い習慣
お酒(アルコール)を飲む
習慣的にお酒を飲む方は血圧が高くなり、慢性的に血圧が高い場合には、血管に常に負担が掛かり、血管の壁にダメージ加わり、血管の柔軟性が失われて硬直し、動脈硬化の原因にもなります。またお酒は少量でも死亡率が上昇することが大規模な研究によって結論付けられています。過度な飲酒は、肝臓の機能低下、栄養素を分解する機能も低下、血中の中性脂肪が増加、血液がドロドロになり、血管の老化が促進してしまいます。
糖質と炭水化物でお腹ポッコリ
年齢とともにポッコリお腹が気になる方は、それは内臓脂肪を溜め込んでいるからです。内臓脂肪は肝臓や腸などの臓器の周りにある体脂肪であり、内臓の位置を固定する役割があります。内臓脂肪の蓄積と動脈硬化には密接な関係があり、内臓脂肪が蓄積するとアディポネクチンという動脈硬化を防いでくれる物質が減少し、その結果全身の血管に負担が掛かり、血管が老化し始めます。また内臓脂肪は、高血糖、糖尿病、高血圧、がん、認知症、加齢臭を引き起こす原因になると言われています。ちなみに寝る前の食事は体の構造上、食べたものが内臓脂肪として溜め込まれやすくなります。
内臓脂肪を落とす方法は、糖質制限と低炭水化物ダイエットです。内臓脂肪を激増させるのは糖質と炭水化物であり、太る原因を減らすことが第一です。研究では、太り過ぎの男女69人に8週間の炭水化物ダイエットを行なってもらうと、低脂肪ダイエットに比べて、内臓脂肪を10%、総脂肪を4.4%減らせることが示されました。つまり脂肪が太る原因ではなく、糖質と炭水化物こそが太る原因なのです。ただし厳しすぎる糖質制限は失敗の可能性が高いため、白い炭水化物(白米)を茶色い炭水化物(玄米)に変えてみましょう。
そして中強度以上の有酸素運動が内臓脂肪を減らす効果があることが分かっていますが、まずは散歩やウォーキングなどの軽い運動から初めてみましょう。
慢性的なストレス
適度なストレスや一時的なストレスではなく、慢性的なストレスが悪いストレスです。人間関係に悩む、常にプレッシャーを感じるなどの慢性的なストレスにそもそも私たちの体は対処するようには出来ていません。
私たちの祖先は、猛獣に襲われて危機を脱するために、副腎からコルチゾールが分泌し、血圧や血糖値が急上昇してエネルギーを生み出す仕組みが体には備わっています。このように一時的な大きなストレスによって火事場の馬鹿力を発揮するように体の仕組みがありますが、現代のように長く続く慢性的なストレスには対処できず、副腎は常にコルチゾールを分泌して働き続けることになります。休むことなく働き続けた結果、機能が低下して、副腎疲労という状態になり、脳と体にダメージが蓄積し、免疫システムの異常による炎症、メンタル疾患、全身の血管への悪影響が及ぼされます。
慢性的なストレスによってコレステロールや活性酸素が増加し、血管にダメージが及びます。またストレスによって赤血球同士がくっつきやすくなり血液がドロドロになります。また交感神経が過剰に働き、血管が収縮、血圧が上昇して血管がダメージを受けます。
血液を綺麗にする食べ物
血液はあらゆる種類の物質(酸素、ホルモン、糖、脂質、ミネラル、ビタミンなど)を体の隅々の細胞まで運ぶという重要な役割を持っています。そして私たちの体には毒素や老廃物をしっかり除去して血液を浄化する「肝臓」「腎臓」があります。つまり肝臓と腎臓の機能を高めて上げることが健康的な体づくりにつながります。その機能を高めるためにしっかりとサポートしてくれる食べ物を摂ることが大切です。
ダークチョコレート
ダークチョコレートは、カカオ含有量が70から85%以上のチョコレートのことです。抗酸化物質を始めとした様々な栄養素が豊富に含まれ、特に食物繊維は100gあたり約11gも含まれており、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、カリウム、リン、亜鉛、セレンなどのミネラルも豊富に含まれています。さらにオリーブオイルなどに含まれる健康的な脂質であるオレイン酸が含まれています。
さらにダークチョコは血流を改善し、血圧を下げる可能性があることが研究で明らかになっています。含まれるポリフェノールの一種であるフラバノールは、血管内皮細胞を刺激して一酸化窒素の生成を促し、血管を柔らかくしなやかに保ち、増加した一酸化窒素によって血流を促進し血圧を低下させる効果があります。
その他の研究では、健常な男女21名に高フラボノイドチョコ、低フラボノイドチョコのいずれか46gを2週間食べてもらい、血管のしなやかさがどう変わるかを調べたところ、前者は血管のしなやかさが増していることが分かっています。
グレープフルーツ、りんご
グレープフルーツに含まれる抗酸化物質が肝臓をダメージから守る役割を担い、その結果肝臓の機能が高まり、血液を綺麗にする作用が促進されることが期待されています。またグレープフルーツに含まれるクエン酸が腎臓のカルシウムと結合して体外へ排出してくれ、腎臓結石の発症リスクを減らすことも示唆されています。
さらに、食物繊維、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質が豊富に含まれ、栄養価の高い果物であるにも関わらず、最もカロリーが低い果物のひとつです。定期的に食べることで糖尿病につながる可能性のあるインスリン抵抗性を防いでくれることも示唆されています。ただし外国産の柑橘類には農薬や防腐剤が多く使われているため、避けるようにしてください。
りんごにはペクチンという水溶性食物繊維が大量に含まれており、血糖値をコントロールすることに役立つと言われています。血糖値が高いと腎臓にダメージを与える可能性があるため、血糖値を抑えることは腎臓の健康に間接的にプラスの影響を与えてくれます。
リンゴに含まれるフラボノイドは、体内の炎症を軽減し、心臓の健康を維持することが示されている化合物です。また1日に1つのリンゴを食べると2型糖尿病を発症するリスクが28%低くなるという大規模なレビューもあります。
緑茶、ブラックコーヒー
緑茶にはポリフェノール(カテキン)が豊富に含まれていることが有名ですが、具体的にはエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)という物質に抗酸化作用があり、体内でのフリーラジカルの形成を減らし、細胞や組織をフリーラジカルのダメージから守ってくれます。また緑茶に含まれるアミノ酸のL-テアニンは、抗不安作用を持つ抑制性神経伝達物質(GABA)の活性を高めてくれる働きがあり、リラックス効果が期待できます。
一方で緑茶の消費と肝臓がんのリスクを調査したメタ分析によると、緑茶を飲むと肝臓の健康が改善され、肝臓の脂肪が減少したことが分かっています。ただし緑茶には農薬の問題があるため、無農薬で育てられた茶葉を選びましょう。
40から69歳の男女約9万人を約10年間追跡調査した日本の研究では、コーヒー摂取と肝がんの発生率との関係を調査したところ、ほぼ毎日飲む人は発生率が半分に減少し、1日5杯以上飲む人は4分の1まで低下したことが分かっています。このメカニズムは解明されていませんが、炎症を和らげる作用によって肝炎の進行を防ぎ、肝がんを予防しているのではないかと考えられています。またクロロゲン酸などの抗酸化物質が含まれており、肝がんの予防に効果的であった可能性が示唆されています。
青魚
鮭、イワシ、マグロ、秋刀魚などの青魚に含まれるオメガ3脂肪酸が多く含まれ、血中の中性脂肪を低下させて血圧を下げる効果があります。中性脂肪と血圧が低下すれば、肝臓と腎臓にも良い影響を与えることができ、間接的に肝臓と腎臓の健康にもつながります。
また、含まれるEPAは血液をサラサラにしてくれる効果が認められており、EPA含有量が多い青魚のランキングは1位が鯖、2位秋刀魚、3位マグロです。ぜひ鯖缶を活用してみましょう。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。