
詳しい理由はこの後の本文で解説しますが、まずは自分に合う日焼け止めのおおまかな目安を確認しておきましょう。
選び方の軸になるのは「どんな場面で使うか」です。通勤や買い物といった日常使いであれば、SPF30・PA++以上のもので十分に足ります。一方、屋外レジャーやスポーツなど長時間日差しを浴びる場面では、SPF50・PA++++に加えて、汗や水で落ちにくいウォータープルーフタイプを選ぶと安心です。運転中や在宅ワーク中でも、UVAは窓ガラスを通り抜けて肌に届くため、室内だからと油断はできません。
もうひとつの軸が「肌悩み」です。赤みが出やすい方や敏感な方は刺激の少ないノンケミカルタイプを、シミや肝斑が気になる方は可視光線まで防げる色付き(ティンテッド)タイプを選ぶ、というのが基本の考え方になります。ここから先で、その理由と選び方のポイントを順番に見ていきます。
なぜ日焼け止めが必要なのか——紫外線と肌への影響
肌の老化の8割は紫外線が原因
肌の老化(シワ・たるみ・シミ)には遺伝的な要因もありますが、その約8割は紫外線によるものだと研究で示されています。10代・20代に浴びた紫外線のダメージは蓄積し、30代以降にシミや肌荒れとして表に出てきます。学生時代に屋外の部活動をしていた方は、そのダメージが後から現れてくるケースが少なくありません。
紫外線の影響はシミやシワにとどまりません。長期的には皮膚がんのリスク増加、白内障の進行促進、免疫力の低下など全身への影響も報告されています。だからこそ日焼け止めは夏だけでなく1年中、曇りの日も、室内でも使用することが基本となります。
ただし紫外線には免疫調整やビタミンD合成という良い面もあります。とはいえ悪影響の方が圧倒的に大きいため、適切な対策を続けることが重要です。
紫外線の種類——UVAとUVBの違い
太陽から届く紫外線には、主にUVBとUVAの2種類があります。
まずUVBは、地表に届く量こそ少ないものの、エネルギーが強く表皮に強いダメージを与えます。日焼けによる赤みや痛み、シミの直接的な原因になるのがこのUVBで、肌が真っ赤になるほど日焼けしている状態は肌にとって非常に良くありません。このUVBを防ぐ力を示す対策指標がSPFです。
一方のUVAは、地表に届く量が多く、雲や窓ガラスを透過して届くという厄介な性質を持っています。UVBよりも肌の奥深く、真皮にまで届いてコラーゲンやエラスチンを破壊し、たるみやシワを引き起こします。じわじわと時間をかけて作用するため見落とされがちですが、老化への影響という点ではむしろUVAの方が深刻とも言えます。このUVAを防ぐ力を示す対策指標がPAです。
見落とされがちな第三の脅威——「可視光線」
近年、皮膚科学の分野で新たに注目されているのが可視光線です。可視光線は太陽光線全体の約44%を占めており、紫外線(3〜7%)をはるかに上回る割合で降り注いでいます。特に波長400〜450nmの短波長可視光線(ブルー〜バイオレット域)は、色素沈着(シミ・くすみ)や酸化ストレスを引き起こすことが研究で明らかになっています。
ある研究では、415nmの可視光線をアジア人(肌タイプ3〜4)に照射したところ、強い色素沈着が生じ3か月以上継続したことが報告されています。また可視光線による影響は、肝斑がある方やアジア人・黒人など色素が多い肌タイプほど起こりやすいことも分かっています。
SPFとPAだけでは可視光線を防ぐことはできません。これが「SPFだけで日焼け止めを選ぶのはもったいない」と言える最大の理由です。
SPFとPAの正しい理解
SPFの意味——「強さ」ではなく「持続力」
SPF(Sun Protection Factor)はUVBをカットする力を示す指標です。よく誤解されていますが、SPFの数値は「防御力の強さ」を表すのではなく、「効果が持続する時間の目安」と理解するのが正確です。
具体的にはSPF1あたり約20分の防御効果があるとされ、SPF50であれば理論上1000分(約16時間)の効果に相当します。ただしこれはあくまでも理想的な条件下での数値であり、実際には汗や摩擦で落ちていく点に注意が必要です。
選ぶ目安としては、通勤や室内勤務が中心の日常生活であればSPF30程度で十分です。プールや海水浴、スポーツなど長時間屋外で活動する場合や、大量に汗をかく場合はSPF50以上が望ましいでしょう。子どもには肌への負担が少ないSPF15〜20程度が安心な選択となります。
PAの意味
PA(Protection grade of UVA)はUVAをカットする力を示す指標で、+から++++までの4段階で表示されます。日常生活ではPA++以上を、屋外での活動が多い場合はPA+++〜++++を選ぶことが推奨されます。
SPF・PA以上に見るべき選び方のポイント
カット波長——可視光線まで防げるか
日焼け止めを選ぶうえでは、紫外線(UVBとUVA)だけでなく、シミや肝斑に影響する可視光線までカットできるかどうかが重要です。この点で最も効果的なのが「色付き日焼け止め(ティンテッドサンスクリーン)」です。
色を生み出す顔料の中でも特に注目されているのが酸化鉄です。酸化鉄の粒子が鏡のように光を反射・散乱させることで、紫外線だけでなく波長400〜500nm帯の可視光線までカットしてくれます。研究でも、色付き日焼け止めは色なしのものと比べて肝斑の色素沈着を有意に抑えたことが報告されています。
BBクリームは基本的に酸化鉄を含んでいるため、可視光線対策として有効です。透明・ホワイトタイプの日焼け止めしか使いたくない方は、「可視光線カット」「ブルーライトカット」と表記された製品を選ぶとよいでしょう。また酸化亜鉛(ZnO)も、UVBからUVA、さらに可視光線の一部までと非常に幅広い波長をカットできる優秀な成分です。
肌タイプへの適合——「ケミカル」か「ノンケミカル」か
日焼け止めは、紫外線を防ぐ仕組みの違いによって、「紫外線吸収剤(ケミカルタイプ)」と「紫外線散乱剤(ミネラル・ノンケミカルタイプ)」の2種類に大きく分かれます。
ケミカルタイプは、紫外線を化学反応によって吸収し、エネルギーに変換して防ぐタイプです。仕上がりが軽く白浮きしにくいという利点がある一方で、敏感肌の方には刺激になることがあります。
これに対してノンケミカル(ミネラル)タイプは、酸化亜鉛や酸化チタンといった無機物が紫外線を物理的に反射・散乱させて防ぎます。肌への刺激が少なく、肌が不安定なときや酒さ・アトピーの方に向いています。白浮きしやすいものが多いのが難点でしたが、最近は改善された製品も増えています。
こうした特性から、敏感肌の方や肌荒れ中の方、酒さの方にはノンケミカルタイプをおすすめします。また、ニキビができやすい方や毛穴が気になる方は、「ノンコメドジェニックテスト済み」と表記された製品を選ぶと、毛穴詰まりのリスクを軽減できます。
剤形(テクスチャー)で選ぶ——続けやすさも大切なポイント
日焼け止めは中身の成分だけでなく、剤形(テクスチャー)によっても使い心地と続けやすさが大きく変わります。どれだけ性能が高くても、塗り心地が好みに合わなければ毎日は続きません。
しっとり保湿しながら使いたい乾燥肌の方には、なめらかに伸びるミルクやクリームが向いています。ベタつきが苦手な脂性肌の方には、さっぱりとした使用感のジェルが快適です。髪の生え際や背中など手の届きにくい部分には、広範囲に手早く塗れるスプレーが便利で、日中メイクの上から塗り足したいときには、手を汚さないスティックやパウダーが重宝します。
特にスプレー・スティック・パウダーは手を汚さずに塗り直しやすいため、外出先でのこまめなUVケアに向いています。「毎日ストレスなく続けられるか」という視点で剤形を選ぶことが、結果的に日焼けを防ぐ一番の近道になります。
耐水性——汗や水に強いかどうか
屋外活動が多い方、スポーツをする方、汗をかきやすい方にとっては、ウォータープルーフ(耐水性)であるかどうかが、SPFの数値以上に重要になります。
どれだけ高いSPFの製品を塗っていても、汗で流れ落ちてしまえば意味がありません。プールや海ではウォータープルーフのものを選び、そのうえで塗り直しも徹底しましょう。
肌悩み別おすすめ日焼け止め
赤み・炎症が気になる方に
肌の赤みの多くは、慢性的な軽い炎症が根本にあります。そこに紫外線が当たるとさらに炎症が悪化するため、抗炎症成分が配合された日焼け止めを選ぶことが重要です。
注目したい成分はグリチルレチン酸ステアリルです。炎症抑制作用が強く、油に溶けやすいため乳液タイプのUVに配合されることが多い成分です。炎症を抑えることでメラニン生成も抑制されるため、美白効果も同時に期待できます。あわせて、サゴ(西谷椰子)エキスのように細胞壁を強化してバリア機能を整える成分が配合されているものだと、より効果的です。
シミ・シワが気になる方に
ナイアシンアミド(ビタミンB3)を配合したUVは、シワ改善と美白の両方に働きかける成分として近年特に注目されています。さらに、DNA修復に関わる成長因子(IGF-1R)を増やすアルニカエキスと組み合わせた製品なら、UVケアをしながら肌の回復力も高めてくれます。
また、汗や熱で薄くなるはずの膜が紫外線を受けることで逆に厚くなる「光架橋技術」を搭載した製品も登場しており、塗り直しが難しい場面でも防御力が維持されやすいという、革新的なアプローチも実用化されています。
肝斑・色ムラが気になる方に
前述のとおり、肝斑には可視光線対策が特に重要です。ロングUVAをカットする独自フィルターと、酸化鉄を配合した色付きタイプ(ティントタイプ)の組み合わせが、最も効果的とされています。
肝斑部分のメラノサイトは普段から過剰に興奮した状態にあるため、可視光線が当たるとさらにメラニンを大量に産生してしまいます。赤茶色みを自然にカバーしながら可視光線まで防げる色付き日焼け止めは、肝斑に悩む方にとって一石二鳥のアイテムと言えます。
ニキビ跡・毛穴・凹凸が気になる方に
肌に凹凸がある部分は日焼け止めを均一に塗りにくく、紫外線にさらされやすい状態にあります。それが炎症後色素沈着を悪化させ、ニキビ跡が長引く原因になります。だからこそ、凹凸がある方こそしっかりとUVを塗ることが重要です。
具体的には、硬めのゲルカプセルが凹みだけでなく盛り上がった部分もフラットに覆う「UVカプセル処方」の製品や、クリームイエロー系の色で赤みを自然にカバーしながら皮脂を吸着してくれるタイプが特に向いています。
くすみ・疲れた顔が気になる方に
慢性炎症によって肌表面の微細な凹凸が増え、光の反射が乱れることで、肌の透明感が失われていきます。トラネキサム酸・グリチルリチン酸・パンテチン酸などの成分で表皮・真皮の慢性炎症を抑えながら、肌表面を光学的に滑らかに整えるフォアフラットゲルが配合された製品なら、メイクアップ効果と肌ケア効果を同時に発揮してくれます。
ハリの低下が気になる方に
コラーゲン産生細胞に働きかけてハリを生み出すプロキシランを豊富に配合した、美容クリーム並みのUVクリームが、特にロレアルグループ系ブランドから展開されています。さらに、紫外線が当たってDNAがダメージを受ける前に先回りしてブロックするという次世代テクノロジーも登場しており、エイジングケアとUVケアを同時に行いたい方に最適な選択肢となっています。
正しい塗り方と日焼け止めにまつわるよくある疑問
正しい量と塗り方
日焼け止めは、量が不足していると本来の効果を発揮できません。正しい量を使うことは、SPFの数値を上げることよりも重要だと言えます。
顔に塗るときは、パール粒1個分を手のひらに取り、額・両頬・鼻・顎の5か所に点置きしてから、指の腹で均一に優しく広げます。これを2回繰り返すことで、効果が安定します。体に塗るときは、容器から直接、腕や脚に直線を描くように出してから、手のひらで螺旋を描くように均一に伸ばしていきます。
このとき絶対に避けてほしいのが、ゴシゴシとこすりながら伸ばすことです。摩擦はメラニンを生成する刺激になり、日焼け対策のために塗った日焼け止めが、かえってシミを増やす逆効果になってしまいます。指の腹で優しく均一に伸ばすことが鉄則です。
塗り直しはいつ、どのくらいすればいい?
どんなに数値の高い日焼け止めでも、汗や皮脂、衣類とのこすれによって、時間とともに少しずつ落ちていきます。効果を保つためには、屋外では2〜3時間おきの塗り直しが基本になります。
特に汗をかいたり水に触れたりした後は、耐水性タイプであってもタオルで拭いた時点で落ちていると考え、早めに塗り直しましょう。メイクをしている日中は、パウダータイプやUVカット効果のあるミストを使うと、化粧を崩さずに重ねられます。「朝しっかり塗ったから大丈夫」ではなく、日中にこまめに足していくことこそが、シミやたるみを防ぐ確実なUVケアにつながります。
塗り忘れがちな部位
意外と塗り忘れやすいのが、唇と頭皮です。
唇は乾燥や黒ずみの原因になりやすい部位です。顔・体用の日焼け止めではなく、UVカット機能付きのリップを使いましょう。また頭皮は、パサつきや抜け毛、切れ毛の原因になります。手を汚さずに広範囲を守れるスプレータイプの日焼け止めが、手軽で効果的です。
日焼け止めはどうやって落とすのが正解?
日焼け止めは「塗る」だけでなく、「きちんと落とす」ことも肌を守るうえで大切です。石けんで落とせるタイプなら通常の洗顔でかまいませんが、耐水性の高いウォータープルーフタイプは専用のクレンジングを使いましょう。落とし残しは、毛穴づまりやくすみの原因になります。
とはいえ、ゴシゴシとこすって落とすのは禁物です。摩擦は色素沈着を招き、せっかくのUVケアが逆効果になりかねません。クレンジングをやさしくなじませ、ぬるま湯で丁寧に洗い流すことを心がけてください。
曇りの日や室内でも日焼け止めは必要?
必要です。赤みの原因になるUVBは曇りの日には弱まりますが、たるみやシワを引き起こすUVAは、雲や窓ガラスを通り抜けて肌に届きます。曇りの日はもちろん、窓際で過ごす室内や運転中も、UVAの影響を受け続けていると考えてよいでしょう。天気や場所を問わず、一年を通してUVケアを続けることが大切です。
SPF50を毎日使うと肌に負担になる?
大切なのは数値の高さそのものよりも、自分の肌に合った処方を選ぶことです。数値が高くても、敏感肌向けのノンケミカルタイプであれば、毎日使っても負担になりにくい製品は多くあります。逆に、日常使いであれば無理に最高値を選ぶ必要はなく、SPF30前後のもので十分です。肌質と使う場面に合わせて選び分けましょう。
化粧下地とは別に、日焼け止めも塗るべき?
UVカット効果のある化粧下地は便利ですが、下地だけでは肌全体に必要な量を塗りきれず、防御力が不足しがちです。日焼けをしっかり防ぎたい場合は、日焼け止めを塗ってから下地を重ねる使い方が確実です。時間がない朝でも、少なくとも紫外線を浴びやすい顔まわりだけは、日焼け止めを先に塗っておくと安心です。
去年の日焼け止めを使い回してもいいか
答えはNOです。日焼け止めは一度開封すると酸化が始まり、放置すると品質が低下して雑菌も繁殖します。古い製品を使い続けることで肌トラブルにつながることもあるため、その年のシーズン中に使い切ることを習慣にしてください。
日焼けしてしまった後のケア
日焼けした後は、速やかに冷却することが大切です。保冷剤などを布に包んで患部に当て、あわせて水分補給をしっかり行いましょう。痛みが強い場合は、少なくとも24時間以内に皮膚科を受診することをおすすめします。
UVケアをすでに始めている方へ——やり直しはできる
「若い頃に無防備に日焼けしてしまった」という方でも、諦める必要はありません。レーザー治療や美白化粧品など、すでに蓄積したシミやダメージにアプローチできる手段は、現在数多く存在します。過去のダメージを取り戻しながら、今日から正しいUVケアを始めていくことが大切です。
ロングUVAとは何か
日焼け止めといえば紫外線から肌を守るための基本アイテムですが、最近注目されているのが「ロングUVA」という存在です。紫外線にはUVBとUVAがあり、その中でも波長が長いロングUVAは肌の奥深くまで届き、コラーゲンやエラスチンを壊してしまうことが分かってきています。
紫外線は波長の長さによっていくつかの種類に分けられます。波長が280から320ナノメートル程度のものがUVBで、これは波長が短いぶん肌の表面である表皮に炎症を起こすタイプの紫外線です。一方、320から400ナノメートルの長い波長を持つのがUVAで、その中でも特に380から400ナノメートルあたりの、より波長が長いものをロングUVAと呼びます。
波長が長くなるほど肌の奥深くまで到達してダメージを与えるため、UVAの中でも320から350ナノメートルほどは比較的カットしやすい一方、360から400ナノメートル付近は長らく対策が難しい領域とされてきました。だからこそ、この領域をきちんとカットできるかどうかが、これからの日焼け止め選びの新しい基準になってきているのです。
なぜ今ロングUVA対策が求められているのか
紫外線対策といえばこれまでは肌が赤くなる炎症や、日焼けによる即座の黒ずみを防ぐことが中心でした。UVAについても肌の奥に影響を及ぼすことは以前から知られており、対策の必要性が徐々に広まってきました。しかし近年になって、UVAの中でもさらに波長の長いロングUVAが真皮にまでダメージを及ぼす存在として話題になり、これに対応をうたう日焼け止めも登場するようになっています。
紫外線対策自体は多くの人にとってすでに当たり前の習慣になっていますが、ロングUVAという新しい切り口が加わったことで、同じ日焼け止めでも中身の違いに目を向ける必要が出てきたといえます。
ロングUVAをカットできる日焼け止めの見分け方
ロングUVA対策を掲げる日焼け止めを選ぶ方法は大きく二通りあります。ひとつは、ロングUVAをカットできることを明確にうたっているブランドを選ぶ方法です。たとえば大手化粧品グループの中には、370から400ナノメートル前後までを独自のフィルターでカットできる紫外線吸収剤を持っているところがあり、こうしたブランドは比較的安心して選ぶことができます。
ただし400ナノメートルに近い領域まで完全にカットすることは非常に難しく、その技術を持つグループであっても、日本国内で販売されている製品にはまだ反映されていないのが実情です。
もうひとつの方法は、単独のフィルターに頼るのではなく、複数の紫外線吸収剤を組み合わせることで400ナノメートルに近い領域までのカットを目指しているブランドを選ぶことです。国内メーカーの中には、ロングUVAという呼び方ではなく独自の名称でこの効果をデータとして示しているところもありますし、大きく打ち出してはいないものの同様の工夫をしているメーカーも存在します。ブランドごとに表現の仕方は異なるため、パッケージの説明をよく確認することが大切です。
白浮きしやすい日焼け止めが安心な理由
日焼け止めに配合される紫外線防御成分には、紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の二種類があります。散乱剤は酸化チタンや酸化亜鉛といった粉状の成分で、紫外線を跳ね返す働きを持ち、特に波長の長い紫外線を反射するのが得意です。かつての日焼け止めは白浮きしやすくベタつきやすいという印象がありましたが、それは散乱剤の配合量が多かったことや、油性の処方が中心だったことが理由です。
最近では散乱剤を微粒子化したり、水に溶けやすい処方にしたりする技術が進み、白浮きやベタつきを抑えながら高い効果を出せる製品が増えています。とはいえ、酸化チタンや酸化亜鉛がしっかり配合されている製品ほど白浮きしやすい傾向は今も変わらないため、シャカシャカと振ってから使うタイプや、成分表示でこれらの含有量が多いことが確認できる製品は、ロングUVAをカットしている可能性が高いと考えてよいでしょう。
近年は酸化亜鉛が毛穴に詰まりやすい、肌に合わないといった理由で敬遠されがちで、酸化亜鉛フリーをうたう製品も増えています。成分表示は基本的に配合量の多い順に記載されているため、酸化亜鉛が表示の後ろのほうに書かれている製品は配合量が少なく、ロングUVAを十分にはカットできていない可能性があります。酸化亜鉛が肌に合わないという人は無理に使う必要はなく、複数の吸収剤を組み合わせてロングUVA対策をうたっているメーカーの製品を選ぶという方法もあります。
ロングUVA対策が必要とされる科学的な根拠
ロングUVA対策など不要ではないかという意見もありますが、これを裏付ける研究はすでに存在します。2022年に国際的な学術誌に発表された研究では、340から400ナノメートルというロングUVAの波長だけを取り出した特殊な光源を使い、人の細胞や皮膚モデル、実際の人の肌に照射する実験が行われました。その結果、大量の活性酸素が発生することが確認されています。
活性酸素は肌の脂質を酸化させたり、たんぱく質を変性させるカルボニル化と呼ばれる反応を引き起こしたりすることが分かっており、これは肌の焦げつきや変性につながる現象です。さらに、ロングUVAを浴びることでコラーゲンやエラスチンを分解する酵素であるMMPの働きを高めるシグナルが強まることも確認されています。2014年に発表された別の研究でも、真皮の線維芽細胞でコラーゲンの破壊が進むという結果が示されており、こうした積み重ねがロングUVA対策の根拠になっています。
肌の赤みや黒ずみだけでは判断できない
日焼け止めの効果を検証する際、多くの場合は肌が赤くなるかどうかというUVBの反応や、日光に当たった直後に黒くなる即時黒化と呼ばれる反応が指標として使われます。しかしコラーゲンやエラスチンの破壊は、こうした短期的な反応とは違い、何年もかけて少しずつ蓄積していくダメージです。そのため、赤みや即時黒化が出ないからといって、ロングUVAを十分にカットできているとは限りません。
ロングUVAによる真皮へのダメージは、場合によっては数十年という長い時間をかけて肌の老化として現れてくるものです。目に見える変化がすぐに出ないからこそ、後になって後悔しないよう、日頃からしっかりと対策をしておくことが大切だといえます。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。



















