年齢と肌の変化

    年齢と肌の変化

    2025年までに更年期に達する人は、世界人口の約11億人にもなると言われています。そのような中でも大きな変化が肌の変化です。例えば肌にボリュームがなくなり、皮膚が薄くなることを感じる方が多くいらっしゃいます。

    このように感じるのは、まずはホルモン分泌に関して大きな変化が起こるからです。更年期と聞くと女性ホルモンのエストロゲンが減少することはご存知かも知れませんが、ホルモンの分泌量が減るという中でテストステロンが非常に多く必要であることはあまり知られていません。

    テストステロンは、皮膚を構築してコラーゲンを維持するために必要なものです。つまりテストステロンとエストロゲンが共に減少することで、コラーゲンが失われ、ツヤのある肌を保つために必要な周りの線維についても大きな影響が現れます。ちなみにエストロゲンよりテストステロンの減少幅は大きくなります。元々テストステロンは、女性に多く分泌されているわけでないので、減少すると影響が大きいことになります。

    また、更年期になると肌の乾燥や痒みが起こる原因も、テストステロンやエストロゲンの減少が大きく関わっています。そのため40代前後ではツヤのある肌を保てていたのにも関わらず、急激に皮膚のボリュームが下がってしまうという経験をする人がいます。そのため重要なのは、更年期に入る前から準備することが大切になります。

    若返りホルモン「テストステロン」

    40代を過ぎて急激に老ける大きな原因の1つにテストステロンの不足が挙げられます。テストステロンは、男性ホルモンという名前が付いているため、女性には関係ないと思われていますが、テストステロンは女性でも分泌されています。

    このテストステロンは、別名「若返りホルモン」とも呼ばれ、私たちの肌や心や体に大きな影響を与えています。また現代人のテストステロンが過去の人たちに比べて急激に低下しているという研究もあり、その理由には環境汚染物質の悪影響が挙げられています。例えばプラスチックの添加剤、食品から摂取する農薬や添加物、缶詰の内側のコーティング剤に使われているビスフェノールAといった化学物質が、私たちのホルモン分泌に悪影響を及ぼすということが知られており、こういった物質により現代人のホルモンバランスが乱れていると指摘されています。

    また、テストステロンが低下してしまう原因として、過剰なストレスが挙げられます。実はストレスは直接的にテストステロンの分泌を妨げ、テストステロンの低下を招いてしまいます。ストレスホルモンであるコルチゾールが長期間に渡って分泌され続けるとテストステロンの生成が抑制され、体の老化が進み、活力の低下や疲労感、さらには精神的な不安やうつ症状にまでつがることもあります。その他にも肥満、睡眠不足、食生活の乱れもテストステロンの減少の原因となります。

    一方で、生活習慣病であるメタボリックシンドロームは、テストステロンの低下と強く関連していることが研究で示されています。肥満の増加は、特に男性においてテストステロンレベルを低下させる要因になっています。

    特に睡眠不足は、テストステロンの減少を招きます。テストステロンは、主に深い眠りに入っている間に作られており、睡眠が不足すればテストステロンを作る時間が短くなり、その分テストステロンは減少してしまいます。また睡眠不足になるとストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が増加し、そしてこのコルチゾールがテストステロンの生成を妨げてしまいます。特に1日の睡眠時間が6時間以下の人は、テストステロンに大きな影響があると研究でも明らかになっています。

    そして食生活の乱れもテストステロンの低下を招きます。乱れた食生活で栄養が不足していれば、テストステロンを作る材料がなく、当然作れるわけもありません。

    加齢に伴って女性が感じる心身の変化

    体の健康と同じく、心の健康も大切です。 特に幸福感は正しい食事によって簡単に得ることができます。なぜなら私たちの心の幸せは、あくまでホルモンという化学物質が決めているためです。そしてこのホルモンは毎日食べている食事に大きく左右されます。

    私たちの幸福感は、ドーパミン、セロトニン、オキシトシン、エンドルフィンの4つのホルモンによってつくられています。これらを「幸せホルモン」と呼び、私たちが食べたものから作られ、また食べ方によっても分泌量が変わってきます。

    ドーパミンは別名「歓喜のホルモン」や「意欲のホルモン」と呼ばれ、セロトニンは「精神安定ホルモン」、オキシトシンは「愛情ホルモン」、エンドルフィンは「多幸ホルモン」とも呼ばれています。これら4つのホルモンがバランスよく分泌され、全身に行き渡ることが重要です。

    加齢に伴って女性が感じる心身の変化には、女性ホルモンが大きく関係しています。ホルモンの役割は、体内で分泌される物質で様々な器官や組織をコントロールすることです。特に体のリズムに大きな影響を与えるのが女性ホルモンです。

    また、自律神経と同じく、女性ホルモンは身体への影響が強く、どちらかが乱れるともう片方も乱れてしまいます。40代以降の女性が感じる心と身体の変化には、自律神経と女性ホルモンが大きく関係しています。女性ホルモンは、脳(脳下垂体)から命令を受けた卵巣が女性ホルモンをつくります。つくられた女性ホルモンは血管から血液に入り、全身を巡り、身体を調整します。そして様々な器官や組織をコントロールし、体のリズムに大きな影響を与えます。

    この女性ホルモンは「エストロゲン」と「プロゲステロン」の2種類あり、生理~排卵前に多く分泌されるエストロゲンはお肌にハリや艶を与え、美肌ホルモンとも呼ばれています。一方で、排卵~生理前に多く分泌されるプロゲステロンは、肌荒れを引き起こします。

    美肌ホルモンの「エストロゲン

    エストロゲンは、妊娠に不可欠な卵胞を受精卵へと成長させるホルモンですが、骨の密度を保ち、血管を強くして動脈硬化を防ぐ役割、また血圧やコレステロールをコントロールする作用もあります。また心と身体のバランスを整えるために、自律神経は非常に大きな役割を持っていますが、エストロゲンが減少すると自律神経のバランスが乱れてしまいます。

    40歳を過ぎると、エストロゲンの分泌量が減少するため、骨密度が低下し骨の質も劣化して骨が脆くなります。女性特有の骨粗しょう症は、50歳以上の女性の約24%がこの病気になるといわれています。エストロゲンとよく似た働きをする大豆由来成分エクオールを摂取することで、骨粗しょう症の減少を食い止めることができることが分かっています。

    またエストロゲンは肌や髪の潤いを守ってくれ、女性らしさを引き出すホルモンでもあります。このように女性の美しさや健康はエストロゲンによって守られています。

    肌荒れの「プロゲステロン

    プロゲステロンは妊娠のために子宮内膜を整えたり、基礎体温を上昇させる働きがあります。主に妊娠を継続させる働きを担い、その他にも美容や健康に重大な影響を与える作用があります。

    例えば、体脂肪や血糖値の数値を下げる、利尿作用、体内のホルモンバランスの調整など、その働きは様々です。また腰痛や腹痛、イライラなど、生理前に体に変化が現れるのは、プロゲステロンの影響だと言われています。

    プロゲステロンは、エストロゲンとともに月経と連動し、約28日の周期で分泌されるホルモンです。生理がはじまって約2週間経つと排卵が起き、この時に増えるのがプロゲステロンです。プロゲステロンは受精卵着床のための子宮内膜を整え、基礎体温を上昇させる働きを担い、妊娠を維持するために働いてくれます。

    一方で、体内に水分を保つ作用があるため、体がむくんだり、その他にも肌荒れ、腰痛や腹痛、イライラなどの不安定な精神状態をつくり出します。つまり生理のサイクルによって調子や気持ちが浮き沈みする原因となります。

    ホルモンバランスの乱れ

    生理周期の中でプロゲステロンの分泌が急激に多くなる時期を「黄体期」、エストロゲンの分泌が盛んな「卵胞期」と呼びます。この2つのホルモンの分泌量に急な変化(ホルモンバランスの崩れ)が生じることで、気持ちが不安定になったり、気分の落ち込みやイライラを感じやすくなります。

    また、体温が高めになるため、眠気やだるさを感じる方もいます。さらに肌荒れが起きやすくなり、胃腸の調子が悪くなる方も多いため、吹き出物やにきびが出来ることもあります。

    このように女性ホルモンの分泌量の変化は、自律神経にも影響しその結果、自律神経自体のバランスも不安定になってしまいます。自律神経の乱れによるホルモンバランスの乱れは、手足の冷え、生理不順、更年期障害、便秘、生理不順、ほてり、不妊症、倦怠感、イライラなどの様々などの様々な不定愁訴の症状に繋がります。

    年齢に伴い、女性ホルモンのバランスをコントロールすることが難しくなり、自律神経も乱れやすくなります。女性ホルモンは、30歳半ばまで、分泌は活発に続きます。しかし40歳を過ぎるころになると、分泌量は減少していきます。次第に生理の周期が不規則になり、やがて50~55歳頃に閉経を迎えます。この閉経前後の10年間が「更年期」と呼ばれ、ホルモンバランスが急激に変化するため、心と身体に不快な症状が起こりがちになります。

    女性ホルモンは、年齢とともに減ってくるのは仕方のないことですが、女性ホルモンのバランスが崩れた時に、自分の体に何が起きるのかということについて考え、対処していくことが必要です。 まずは女性ホルモンを上手くコントロールするために「バランスの良い食事」「良質な睡眠」「身体を積極的に動かす」ことを心がけましょう。

    更年期障害について

    更年期とは女性ホルモンが急激に減り始めるまでの期間のことで閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた10年間と定義されています。閉経年齢には個人差がありますが、更年期は誰にでも訪れます。日本人の閉経年齢は平均50.5歳になっており、よって多くの人は45歳頃から55歳頃が更年期に当たります。更年期に現れる症状は以下のようなものがあります。

    • 顔のホテリ/のぼせ/発寒などの血管に関する症状
    • 疲労感/目眩/動悸/頭痛/肩こりなどの身体的な症状
    • 不眠/イライラ/不安感/うつ気分など精神的な症状

    これらの症状は、女性ホルモンを分泌する卵巣と分泌を指令する脳のバランスが崩れることで引き起こされるものです。また環境的な原因が起因することもあります。更年期は親の介護、子供の反抗機や進学、独り立ちなど生活環境が変わりやすい時期です。職場での責任の増大、転職なども含めたストレスがかかりやすい年齢であることも疲れやすさにつがることことがあります。

    このようにエストロゲンが減少することがあっても若い頃は、脳が卵巣に分泌を流すように指令を出していたためエストロゲンの量は保たれていました。しかし加齢とともに、卵巣の機能が低下するとエストロゲンの分泌も低下し、そのような状態が繰り返されるうちにホルモンバランスや自立神経のバランスが乱れ、イライラやほてりなど様々な不調が起きてしまうのです。

    このようにエストロゲンの減少により心と体に様々な不調が起きますが、食事と運動習慣の見直しをすることで更年期症状を抑えることができます。

    筋力の低下

    まずは50 代になると高齢期へ向けて体の機能が少しずつ低下します。特に筋力は40代頃までは横倍ですが、50代を超えると男女ともに大幅な衰えが見えてきます。筋力低下が起こると腰痛や五十肩といった不調や、つまづきやすくなったり、疲れやすいといった症状が出てきます。このような全身の筋肉量や筋力低下によって身体能力が落ちた状態のことをサルコペニアと言います。このサルコペニアが多く見られるのは65歳以上ですが、50代のうちからしっかりと体の機能にも意識を向けておくことも大切です。

    閉経による心の変化

    閉経には個人差もありますが、大体45歳から55歳くらいと言われています。人によって程度は大きく異なりますが、更年期にはホットフラッシュ、のぼせや発汗、動悸、頭痛、冷え、眩暈、イライラ、不安感、落ち込みなど心身に様々な症状が現れます。また更年期や閉経前は月経に様々な変化が起こることもあります。ただし不正出血は病気が原因になっている可能性もあるため、月経異常が長引く場合は早めに病院に受信することが大切です。

    性ホルモンの減少による体調変化

    50代は男女ともに更年期を迎える年齢で、これまで分泌されていた性ホルモンが減少することで体調や心に変化が起こります。男性の場合、20代をピークに男性ホルモンのテストステロンが緩やかに減少します。一方、女性の場合は閉経と共に女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少します。そのためこの年代になると更年期症状や更年期障害に悩まされることも少なくありません。特に男性は女性より長引くことがあります。

    肌のバリア機能低下で敏感肌に

    年を重ねると皮脂、天然保湿成分(NMF)や細胞間脂質という3つの保湿因子が少なくなり、肌のバリア機能が低下します。肌のバリア機能が低下すると肌が乾燥しがちになり刺激に敏感な状態になります。これらの変化は顔だけでなく体にも起こり、体が乾燥してひび割れができやすくなります。

    また、顔のシワやシミの増加によって50歳になって急に老けたと年齢を感じる人も多くなります。年齢を重ねると肌のターンオーバー周期が遅くなり、メラニン色素や古い角質が肌に留まりやすくなってシミにつながってしまいます。さらに年齢を重ねると肌のハリや弾力を保っているコラーゲンやエラスチンが減少し、たるみやシワが気になるようになります。

    髪のハリやコシの低下

    女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンの2つのホルモンがあり、エストロゲンは髪のハリ、コシ、艶、頭皮の血流や潤いに、プロゲステロンは髪の成長に関わっています。また50代以降は、性ホルモンが減少することで髪のハリやコシの低下、ボリュームダウンや抜け毛、薄毛が気になり始める人が多くなります。

    基礎代謝が減り太りやすくなる

    50 代になると筋肉量が減り、筋肉量が減ると基礎代謝量が低下するため太りやすい体になってしまう。筋肉量や基礎代謝の低下は、更年期太りの原因の1つです。当然、肥満になると見た目が気になるだけでなく生活習慣のリスクが高くなります。

    また、50代は特に筋力低下を感じやすい年齢で、次のような症状がある場合筋力が低下している可能性があります。

    • 前よりも姿勢が悪くなった気がする
    • 肩や背中が丸まった感じになっている
    • ぽっこりお腹が気になる
    • 胸の位置が下に下がった気がする
    • 腰痛がある
    • 何もないところで良くつまづくようになった

    さらに、50代の筋力低下によって骨盤底筋の筋力が衰えると尿漏れにつがることもあります。次のセルフチェックリストで骨盤底筋の衰えを確認してみましょう。

    • 腰痛がある
    • 出産経験がある
    • 猫背になっていることが多い
    • 長時間座っていることが多い
    • 重い荷物を持つ機会が多い
    • トイレで力むことが多い
    • 運動の習慣がない
    • くしゃみをした時にドキッとしたことがある

    この中に4つ以上当てはまる場合は要注意です。早いうちから骨盤底筋を鍛えるトレーニングや体操を取り入れていくのがおすすめです。

    更年期で注意すべき4つの食品

    日頃の食事によっては更年期症状を悪化させる可能性もあり注意が必要です。更年期の女性にとって避けたい食べ物の1つがカフェイン、アルコールです。カフェイン、アルコールを摂取することによって更年期症状を引き起こす原因となる場合があり、更年期症状が頻繁に起きてしまったり、症状がひどくなってしまったりするケースも多いとされています。

    2つ目が精製された糖質です。ほてりなどの更年期症状は血糖値の変動が大きい場合や内臓脂肪が多いことでインスリンという血糖値を調節するホルモンが効きにくくなる場合に起こりやすくなります。そのためメタボリックシンドロームの女性に起こりやすい傾向があります。つまり血糖値を急激に上げてメタボの原因になりやすい砂糖や白米、小麦粉などの精製された糖質の過剰摂取には注意が必要です。

    3つ目は、高脂肪食品の過剰摂取には注意が必要です。高年期になるとコレステロールなどを調整していたエストロゲンの分泌が減少するため、脂質異常症の発症リスクが上がります。脂質異常症とは中性脂肪やコレステロールなどの脂質代謝に異常が発生している状態のことです。脂質上昇そのものには特に自覚症状はなく、見た目が変化したり、痛みなどを感じたりすることはありません。

    しかし血中のLDLコレステロールが高い状態で血管の内側を覆っている細胞に傷がつくと、損傷した部分からLDLコレステロールが入り込みやすくなります。このような状態が繰り返されると動脈効果によって動脈の柔軟性が失われ、血液の流れに合わせてスムーズに動脈が伸び縮みできなくなり高血圧の原因になります。場合によっては血栓ができて血管が詰まったり、血流に耐え切れずに動脈が破裂したりする場合があります。また心筋梗塞や脳梗塞といった疾患に発展するリスクも高く、非常に危険です。

    4つ目が高塩分食品で、特に高塩分食品を摂取しているほど骨密度が低下していたというデータがあります。ナトリウム摂取量が1日2000mg以上になると閉経後の女性の骨粗鬆症リスクが増加することが分かっています。

    更年期に向けてビタミンAと抗酸化物質を摂る

    その一つが、更年期に向けてビタミンAをしっかり摂ることが大事です。なぜならビタミンAと抗酸化物質は、更年期と共に訪れる様々な肌変化に対処できるからです。もちろんビタミンAや抗酸化物質だけで全てをカバーすることはできず、またこれらを単独で摂っても十分ではりません。しかしビタミンAと抗酸化物質はDNAレベルでエストロゲンやテストステロンと共に機能を発揮し、特に欧州の専門家の多くがビタミンAは老化によってもたらされる急激な変化を防止するために不可欠なものであると考えています。

    またこれらに加えてペプチドを摂り入れることも推奨されています。ペプチドを摂り入れることでコラーゲン・エラスチンの産生を促すことができると考えられています。少なくとも肌のコラーゲンは18種類以上あるため、出来るだけ多くのコラーゲンを守ることが必要です。

    また、更年期には肌のヒアルロン酸量の喪失も起こってきます。ビタミンAはヒアルロン酸に対して促進する働きがあり、そのヒアルロン酸の産生を促すためにはペプチドも必要になります。もちろんビタミンAは過剰に摂取するべきではありませんが、細胞に働きかけるためには不足するビタミンAを摂らなければいけません。

    このビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持に効果があり、豚や鶏のレバー、ウナギなどの動物性食品に多く含まれています。またビタミンAの前駆体であるプロビタミンAとして人参やほうれん草などの緑黄色野菜に含まれています。ただしビタミンAのサプリメントを毎日飲んでいた人のがんの死亡率が16%も高かったことが分かっているため、過剰に摂らないこと、そして食物から摂り入れることを大切にしましょう。

    また抗酸化力の強い食べ物にサーモンが挙げられます。サーモンの赤い色はアスタキサンチンという天然色素によるものです。このアスタキサンチンは他の抗酸化物質に比べて、強力な抗酸化作用があり、酸化ストレスによる細胞の損傷を防ぎ、老化現象を遅らせる効果が期待できます。

    更年期対策は漢方

    更年期は約10年という長いスパンで訪れるため、利き目が緩やかで継続しやすい漢方もおすすめです。漢方の元となる中医学の考え方では卵巣や副腎、心臓をひっくるめて腎という臓器になります。

    代表的な漢方は3種類あり、加味逍遙散(かみしょうようさん)はイライラや精神不安、のぼせ、肩こり、冷えによく、状態としては体が弱く、疲れやすく、血の巡りが悪く、血の量も少ないタイプの人におすすめです。

    桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は、むくみや頭痛、のぼせ、イライラなどの症状に良く、基本的に体格がよく、赤ら顔の人に起こりやすい症状で、血の巡りが悪い他、水も体内で滞っている方におすすめです。

    当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、むくみ、頭痛、目まい、肩こり、冷え症、皮膚の乾燥に役立ち、筋力が少ないため疲れやすく、冷え症がひどい人に有効だと言われています。

    更年期に摂るべき栄養素

    大豆イソフラボン

    更年期に食べるべき食材は、大豆イソフラボンです。大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをする成分です。大豆製品には食物繊維やオリゴ糖、カルシウムも豊富な健康食品です。更年期障害を始め、糖尿病、脂質異常症、骨粗鬆症など大豆イソフラボンは多くの症状を改善する作用があるとされています。コレステロールを下げ、腸内環境を整えてくれるだけでなく骨にも良いので高年期の女性には最適な食品です。大豆イソフラボンは、豆腐や納豆、枝豆、味噌などの食品に多く含まれており、大豆が畑のお肉と言われている通り、豆類の中でもタンパク質が多く、その上必須アミノ酸も豊富で低カロリーなのに栄養が豊富です。

    特に自律神経を整えるにはタンパク質が重要で、タンパク質はセロトニンの材料になります。セロトニンの分泌は自律神経のバランスを整える上で大切です。またタンパク質は筋肉の材料ですが、高年期になるとタンパク質から筋肉を合成する能力が衰えます。つまり筋肉を維持するには若い時よりも多めにタンパク質を摂取する必要があります。また筋肉は加齢による代謝の低下を軽減する 働きもあり、体内で使われている糖の7割は筋肉で消費しているため、代謝の維持には筋肉が重要になります。

    Eビタミン

    ビタミンEは、活性酸素を取り除く働きのある脂溶性ビタミンです。健康維持や疾病予防に欠かせない栄養素の1つで、エストロゲンを分泌する卵巣の働きを促し、ホルモンバランスを調整してくれるビタミンです。落花生やアーモンド、ほうれん草、ブロッコリー、かぼちゃ、アボカド、オリーブオイルなどに多く含まれています。

    またビタミンEは、ビタミンAやビタミンCと一緒に摂るとより効果的であることが分かっています。ほうれん草は、ビタミンEと共にビタミンCも含まれているので特におすすめです。

    ビタミンD

    ビタミンDは、免疫機能を支える重要な栄養素で脂溶性ビタミンに分類されます。カルシウムの吸収を促し、カルシウムの血中濃度を高めたり、必要なカルシウムの排出を抑制したりするなど骨には欠かせない役割があることで知られています。

    女性ホルモンのエストロゲンが減少すると急激に骨密度が減っていくため、積極的にビタミンDとカルシウムを含む食品を摂取することが重要です。最近ではビタミンDが筋力維持に役立つビタミンとしても注目され、高齢者の強弱体質の対策にもなり、寝たきりを防ぐためにも必要な栄養素とされています。ビタミンDは。イワシなどの魚類、椎茸や舞茸などのキノコ類、たまごなどに多く含まれています。

    ビタミンK

    あまり聞き慣れないビタミンKですが更年期の症状に非常に効果的です。ビタミンKは、骨にカルシウムを沈着させる働きがあります。乾燥わかめ、納豆、ほうれん草、ブロッコリーといった食べ物に豊富です。骨密度を増加させるにはカルシウムも大切ですがビタミンKも意識的に摂りましょう。

    ビタミンB群

    ビタミンB群は、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミン B6、ビタミンB12、ナイアシン、ビオチン、パントテン酸、葉酸の8種類です。ビタミンB 群は互いに強力し合い、エネルギー代謝をアップさせる働きがあります。特に代謝が低下する更年期には積極的に摂りたい成分です。

    ビタミンB1は、豚、ヒレ肉、ごまなど、ビタミンB2は焼きのり、レバー、ウナギなど、ビタミンB6 はニンニク、バナナチップス、マグロに多く含まれています。摂り方のポイントは、ビタミンB群は水に溶ける性質があるため1度に多量を摂取しても尿で排出されてしまうので、効率よく摂取するには小まめに補給するのがポイントです。

    更年期を含め、これさえ食べていれば良いというような魔法の食品はありません。いかに日々バランスの良い食事ができているかがとても大事です。五大栄養素と言われる炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルを満面なく適量に摂取することが理想です。

    また、年期障害の要因は複合的であるため、食生活だけで100%改善、予防できるものではありません。生活のリズムを整え、良質な睡眠、適度な運動、ストレスを貯めないなど日常を健康的に過ごすようできることから少しずつ更年期障害に備えることが大切です。

    テストステロンが減少すると現れる症状

    メンタルが急速に悪化

    テストステロンが減少してしまえば、メンタルは急速に悪化し、やる気や活力、モチベーション、そして生きる気力も失われていきます。これは単なる気分の問題ではなく、体内のホルモンバランスが乱れることで心身の健康に深刻な影響が及んでいるサインです。

    そんな時に頑張らなきゃダメだなどと自分を無理やり鼓舞して意思力で頑張ろうとしている人いるかもしれませんが、テストステロンが不足していればエネルギーが湧いてこないため、頑張れるはずがありません。テストステロンは、私たちのエネルギーの源であり、前向きな姿勢や自己肯定感を支える重要なホルモンです。

    またテストステロンは気分の安定や集中力、さらには意欲にも関わっており、テストステロンの低下がうつや不安感を引き起こす原因となることが多いです。特にテストステロンが減少するとストレスに対する耐性が低下し、感情のコントロールが難しくなることがあります。これによってストレスやプレッシャーに対し過剰に反応してしまうことが増え、生活全般に影響を及ぼすこととなります。また集中力の低下や記憶力の低下もテストステロン減少の1つのサインです。

    疲れやくなる

    テストステロンの減少は、筋力と体力の低下に直結します。テストステロンは筋肉の維持や発達に不可欠なホルモンであり、テストステロンが減ってしまえば当然筋肉量は減って体力は落ちていきます。特に運動不足の現代人にとって、テストステロンの減少は筋肉量が急激に減少してしまう1 つの原因となっています。これによって疲れやすくなるだけでなく、日常生活でも体力不足を感じやすくなるでしょう。

    また、筋肉量の減少は基礎代謝の低下を招きます。つまりテストステロンが少ないと脂肪がつきやすくなり、体型の変化に加え、心臓病や糖尿病といった生活習慣病のリスクも高まってしまいます。

    骨密度の低下

    多くの人は骨に関してはカルシウムやビタミンDを意識しますが、テストステロンも骨の健康に大きく関与しています。テストステロンが低下すると骨が弱くなり、骨粗鬆症のリスクが高まります。

    また、テストステロンが減少すると姿勢が悪くなりやすいです。テストテロンの不足が引き起こす骨密度の低下によって骨が脆くなり、姿勢が崩れやすくなります。特に中高年になると背中が丸まって腰が曲がってくることもあり、これも老けた印象を強めてしまいます。

    見た目が衰え、老化する

    急激に見た目が老けたと感じる方は、テストステロン不足が大きな原因の可能性が高いです。テストステロンは、筋肉や体型、そして肌の質感にまで影響を与えるまさに若さのホルモンとも言える存在です。

    テストステロンが不足すれば筋肉量は低下し、引き締まった体からたるんだ体になります。また筋肉が少なくなることで基礎代謝は低下し、太りやすくなってしまいます。またテストステロンは、私たちの肌の状態にも大きな影響を及ぼしています。

    テストステロンが不足すると肌は乾燥しやすくなり、ハリや艶が失われます。これによってシワやたるみが目立つようになり、急激に老けた印象を人に与えてしまうことになります。またテストステロンは皮脂の分泌を調整し、肌の潤いを保つ役割も果たしており、その減少は乾燥肌を引き起こす原因になってしまいます。

    さらにテストステロンが不足すると精神的な活力は失われ、疲労感や無気力感が増し、これによって表情が沈み、全体的に活力のない外見になってしまいます。自信の低下や気分の落ち込みが続くと自然と姿勢も悪くなり、顔の表情筋も使わなくなるためシワが増える原因ともなります。

    テストステロンを増やす食品

    牡蠣や牛肉などの亜鉛を含む食品

    まずテストステロンを増やしたい時には、亜鉛を補給する必要があります。亜鉛は、テストステロンを含むホルモン生成や、その代謝に直接関与している重要なミネラルです。またテストステロンの生成をサポートする酵素を活性化してくれたり、テストステロンの分解を抑えてくれたりと亜鉛は、テストステロンと深い関係にあります。

    そのため亜鉛不足はテストステロンレベルの急激な低下を引き起こす可能性が あります。特に40代以降の方、ストレスを受けている人々は亜鉛の欠乏がテストステロンの低下の原因になりやすいため、亜鉛を意識的に摂取していくことが必要です。

    実際、研究によっても亜鉛がテストステロンを作るために非常に重要なミネラルであることが知られています。例えば亜鉛欠乏症の男性に亜鉛補充をした場合、テストステロンのレベルが顕著に上昇することが分かったという研究もあります。また亜鉛が不足するとテストステロンの生成が抑制され、逆に亜鉛を補給することでテストステロンのレベルが回復することを示した2009年の研究なども比較的有名です。

    もちろんサプリによって亜鉛を補給するという方法もあるとは思いますが、天然の食材から摂取しましょう。亜鉛が豊富に含まれている食材としては、牡蠣には亜鉛が多く含まれているため効率的に亜鉛を補うことができます。また牡蠣には良質なタンパク質も豊富に含まれており、体に必要な9種類の必須アメノ酸を全て含むタンパク質源です。

    そして テストステロンを増やす上でタンパク質を摂取することは重要です。なぜならばテストステロンの分泌量は、筋肉が多ければ多いほど多くなることが分かっているからです。そして筋肉を付けるためには、タンパク質の摂取が欠かせません。

    そして牡蠣以外の亜鉛が豊富に含まれている食材としては、牛肉が挙げられます。そして牛肉の中でも、特に赤肉は亜鉛が豊富で日常的に摂取しやすい食品の1つでしょう。ステーキやローストビーフなど、脂肪分が少ない部位に亜鉛が多く含まれています。また豚レバーも亜鉛を多く含み、鉄分やビタミンAも豊富です。珍しいところでは、かぼちゃの種も亜鉛を多く含む植物性の食品です。

    卵黄などの良質なコレステロールを含む食材

    従来のコレステロールを多く含む食品を摂取すると、血中のコレステロール値 が上昇し、心臓病のリスクが高まると考えられていました。しかし近年の研究によって食品から摂取するコレステロールが、血中コレステロール値に与える影響はそれほど大きくないことが分かってきています。人間の体内で必要なコレステロールの大部分は肝臓で合成されています。食事から摂取するコレステロールの量が少なければ、肝臓が不足分を補うためコレステロールをより多く合成します。

    逆に食事からのコレステロール摂取量が多い場合は、肝臓はコレステロールの合成を抑制します。つまり体は食事からのコレステロール摂取量に応じて、肝臓でのコレステロール合成量を調整するため、食品からのコレステロールの摂取は血中コレステロール値にそれほど大きな影響を与えないと考えられています。

    例えば卵は非常にコレステロールが高い食材として知られていましたが、卵を摂取したとしても血中の悪玉コレステロールは上昇せず、心臓病のリスクとも無関係であることが分かっています。むしろ卵は、善玉コレステロールを増やすことで心血管の健康に良いのではないかということも最新の研究によって明らかになってきています。

    また、コレステロールは健康的に生きていく上で大切な栄養素なんで、コレステロールは細胞膜の形成に必要であり、体内でホルモンやビタミンDを作る際 にも使われています。また脂肪の消化を助ける胆汁酸の生成にも関与しています。

    一方で、コレステロールを過剰に制限すると、むしろテストステロンが減少してしまいます。適度にコレステロールを摂取することは、テストステロンを増やすためにも大切なことです。卵黄は、コレステロールを豊富に含む食材でテストステロンの生成に重要な役割を果たします。卵黄に含まれているコレステロールは、体内でテストステロンの生成に使用され、適度に摂取することでテストステロンレベルを維持向上させる効果が期待できます。

    実際、研究によるとコレステロールの適度な摂取がテストステロンの生成を促進することが報告されています。また卵を毎日摂取したグループでテストステロンレベルが上昇したという研究もあります。

    そして卵の他には、牛肉などの肉類もおすすめです。またラム肉もコレステロールが豊富で、テストステロンの生成に役立ちます。さらにラム肉には、亜鉛やビタミンB群も含まれています。これらもテストステロンの生成に役立ってくれます。

    鮭やサバなどのビタミンDが豊富な食品

    ビタミンDは体内でテストステロンの生成に重要な役割を果たしています。特にビタミンDの欠乏は、テストステロンレベルの低下と関連があり、ビタミンDを十分に摂取することで、テストステロンの分泌を促進することができます。実際、2011年の研究ではビタミンDサプリメントを摂取した男性が、血中のテストステロンレベルが顕著に上昇したことが示されています。

    ビタミンDが豊富な食材の代表が鮭です。鮭はビタミンDが豊富な上に、オメガ3脂肪酸の一種であるEPAやDHAなどの良質な脂質を多く含んでいます。オメガ3 脂肪酸は、抗炎症作用があり、ホルモンバランスを整えるのに役立ちます。オメガ3 脂肪酸は体内の炎症を抑え、細胞膜の流動性を高めることでホルモンのシグナル伝達がスムーズに行われるようにサポートします。またテストステロンの生成をサポートする酵素の働きを助けることで体内のテストステロンの維持向上に役立ちます。

    鮭以外にビタミンDが豊富な食べ物としては、鯖が挙げられます。特に脂が乗った鯖には、ビタミンDと共に健康的な脂肪が多く含まれ、オメガ3も摂取できます。鯖以外にもイワシもビタミンDとオメガ3脂肪酸が含まれています。

    エキストラバージンオリーブオイル

    エキストラバージンオリーブオイルが健康に良いことは、多くの人が知っていますが、テストステロンにも効果的です。エキストラバージンオリーブオイルには、健康に良いとされる一価不飽和脂肪酸、主にオレイン酸や多くの抗酸化物質ポリフェノールやビタミンEが含まれています。これらの成分はテストステロンの生成をサポートするだけでなく、全体的なホルモンバランスを整える効果があります。

    また、2013年にエキストラバージンオリーブオイルのテストステロンに対する効果に関する研究が行われ、健康な若年男性にエキストラバージンオリーブオイルを毎日摂取させ、その後のテストステロンレベルの変化を観察しています。研究に参加した若年男性は、1日あたり約25mlのエキストラバージンオリーブ オイルを摂取しました。

    この期間は3週間に渡り、実験前後テストステロンのレベルを測定しました。3週間後、参加者のテストステロンレベルが平均 17.4も増加したことが確認されています。また2020年に行われた別の研究では、エキストラバージンオリーブオイルを多く摂取している男性は、テストステロンレベルが高い傾向にあり、さらにホルモンバランスの改善が確認されています。

    運動と睡眠

    運動することでテストステロンが増えるという研究は、多数報告されています。また筋トレのような無酸素運動の方が効果的であることが分かっています。もちろん、ウォーキングやヨガのような有酸素運動であってもテストステロンは、分泌されます。

    睡眠に関しては、睡眠不足がテストステロンの生成に強く影響を与えることが複数の研究で知られています。7から9 時間程度の良質な睡眠がテストステロンレベルを最適に保つ上ではベストな時間です。逆に睡眠不足はテストステロンレベルの低下につながります。特に睡眠時間が5時間くらいになってしまえば、テストステロンが10%から15%低下してしまうことが分かっています。さらに慢性的な睡眠不足が続いているグループでは、テストステロンのレベルが20% から30%低下し、活力の低下、筋力低下が確認されています。

    ミネラルの大切さ

    ミネラルは私たちの体内に存在する鉱物のことで、5大栄養素の一つに数えられます。ミネラルは人の臓器や組織の反応を円滑に働かせるために必要な栄養素です。このミネラルは体の中で作ることができないため、食物から摂取する必要があります。ミネラルをしっかり摂ることができているかが、私たちの健康を大きく左右することになります。

    またビタミンと同様に他の栄養素がスムーズに働けるようにサポートしてくれたり、体内の器官や組織が正常に機能するように調節したりといった役割があります。例えば海草やバナナなどに含まれるカリウムには、体内の水分量を整える役割があります。藻類に含まれるクロムにはインスリンの分泌を助け、血糖値を下げる働きがあります。

    体を構成する要素は、酸素、炭素、水素、窒素で約96%を占めています。残りの4%が元素を総称してミネラル(無機質)になります。このミネラルの中でも健康を維持するのに欠かせない16種類の必須ミネラルがあります。必須ミネラルは、主要ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素)と微量ミネラル(鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン、コバルト)の2つに分けられます。

    このうち必要量が多い7種類を多量ミネラル、少ない9種類を微量ミネラルとして分類しています。さらにこの16種類の内の13種類については厚生労働省より摂取量の基準が示されています。

    健康のためには、これらのミネラルをしっかりと摂る必要がありますが、農業のやり方の変化、環境汚染などによって土壌のミネラルが減少しており、ミネラル不足の野菜が多くなっています。例えばほうれん草に含まれている100mg中の鉄分は、1950年には13mgあったものが、2015年には2mgへと減少しています。そのほかの人参や大根などの野菜でも80%も減少していることが分かっています。実際に現代人の栄養解析をすると鉄、亜鉛、マグネシウムなどのミネラルが不足している人が多くいることが分かっています。さらに農作物のミネラル不足だけでなく、加工食品の蔓延も問題視されています。

    ミネラル不足を解消する塩

    これらを解消するため非常に身近で、かつ豊富にミネラルを含んでいるものが塩です。塩は生活習慣病の元凶のように扱われていますが、減塩も行きすぎると、ナトリウムの欠乏につながり、低血圧や無気力につながります。そもそも血圧が高くなるのを防ぐために減塩するのは、ナトリウムの過剰を防ぐためです。つまり大切なのは減塩ではなく、塩の選び方です。

    食塩のほとんどはナトリウムであり、一方で海水からつくられる自然塩には「にがり」が含まれており、マグネシウムやカリウムなどが豊富です。そのほかにも、亜鉛、鉄、銅、マンガン、ホウ素、クロムなどが含まれている自然塩もあります。これらの微量なミネラルが豊富に含まれた自然塩は、体内のミネラルバランスを整え、ホルモンバランスの乱れを修復してくれます。

    さらに生物がエネルギー代謝のために最初に使われたミネラルが鉄です。その後の進化の過程の中で、マグネシウムやビタミンB,Cを利用してエネルギー代謝ができるようになっていきました。つまり鉄はすべての生物のエネルギー代謝において根幹になるため、鉄が不足すると、他のミネラルを使った代謝も滞ってしまいます。

    またマグネシウムは、体のすべての細胞や骨に存在して、代謝をはじめとするあらゆる生命活動に関与している重要なミネラルです。神経系や筋肉の収縮、健康な骨や歯の形成などの役割を担い、体内の酵素反応に欠かせません。そして人の活動エネルギーであるATPをミトコンドリアで作る上での最重要ミネラルです。鉄はもちろん、マグネシウムが不足している状態ではエネルギーが生み出せません。

    カルシウムのイライラを和らげる作用

    日本人の多くはカルシウム不足になっており、厚生労働省のデータによると成人男性の推奨摂取量は750から800mg、成人女性は650mgですが、実際の摂取量はこれを大きく下回り、成人男性20歳から59歳までの平均摂取量はおよそ450mg、特に20代女性の平均摂取量は約396mgと非常に低い状態になっています。

    カルシウムが不足すると骨密度が低下し、骨折しやすくなるだけではなく、カルシウムは正常な筋肉の収縮に関係しているため、不足すると筋肉の痙攣が起こることがあります。またカルシウムは血圧にも関連しており、不足すると血圧の上昇を招いてしまいます。さらに神経伝達が上手くできなくなり精神的な不調が現れることがあります。逆にカルシウムを摂取すると骨や歯の形成と維持、筋肉の収縮、神経伝達、血液凝固などに寄与します。カルシウムを多く含む食品は、乳製品、魚介類、大豆製品、野菜や海藻類です。

    またカルシウムはマグネシウムやリンとともに骨と歯を作り、丈夫に育てるミネラルです。体内ではカルシウムの99%が骨と歯に貯蔵され、残り1%は血液や細胞の中に存在します。血液や細胞の中にカルシウムが含まれているのは、心臓をはじめ全身の筋肉を正常に収縮させるというとても大切な働きをしています。

    実は、血液中のカルシウム不足が生じた場合、骨や歯に貯蔵されているカルシウムが溶け出して不足分を補うという優れた仕組みがあります。また小魚や海藻類、大豆製品などに豊富なカルシウムですが、実はそのままでは体への吸収があまりよくありません。そのためカルシウムの吸収を助ける働きをするビタミンDと一緒に摂取することがお勧めです。ビタミンDは、キノコ類や魚などの食事から補いことができますが、15分間の日光浴により体内で合成することも可能です。

    カルシウムは緊張やイライラを和らげる作用もあり、多機能で優れたミネラルです。しかし過剰に摂取してしまうと、高カルシウム血症よる便秘、吐き気、尿結石、急性腎不全などを引き起こす原因となりかねません。食事から摂りすぎてしまった場合は心配しなくても大丈夫ですが、健康のためにとカルシウムのサプリとビタミンDのサプリを一緒に取る習慣があるような場合は、過剰摂取になっていることもあるため要注意です。

    カルシウム不足には「牛乳」ではなく「運動

    健康のために牛乳を飲む理由に、毎日カルシウムを補うことを考えている人が多いでしょう。また乳製品にはカルシウムが豊富に含まれているから骨が強くなるというお話を聞いたことあると思いますが、乳製品を取っているからと言って骨が強くなるとは限りません。

    実際、カルシウムを多く摂取している国にいる人ほど骨折のリスクが高いということが知られています。また病気の予防という観点では乳製品を摂取している人ほどリスクが高くなる疾患もあれば低くなる疾患もあります。例えば乳製品の摂取量が多いと脳卒中や糖尿病のリスクが低いということが報告されています。逆に前立腺がんのリスクが高くなることも指摘されています。

    さらに最近の研究では骨密度を増やすために重要なのは、カルシウムをたくさん摂ることではなく、運動であることが分かっています。特に日本人は戦前から野菜、海藻、小魚からバランスよくカルシウムを摂っていたため、丈夫な骨になるようにと不自然な牛乳という飲み物に頼る必要はありませんでした。しかし戦後粉ミルク育児や学校給食により牛乳を強制されるようになり、牛乳を飲み続けた人に骨粗鬆症が激増しました。

    そもそも日本人は、ラクターゼという酵素を持っていないことにより牛乳を飲んでも過剰なカルシウムは吸収されず、体内で様々な悪さを働いたり、排泄されるだけです。また残念ながら牛乳を飲めば飲むほど体内からカルシウムが脱落、骨密度が低下し、骨がもろくなってしまうと言うデータがあります。

    例えば、世界で最も牛乳の消費量が多かったノルウェーの骨粗鬆症患者は日本人の5倍にも上ります。他にもアメリカ、スウェーデン、フィンランド、デンマークなど日本の何倍も牛乳を飲む国では、それに比例して骨粗鬆症が多いのが事実です。

    牛乳が骨粗鬆症を引き起こしてしまうのは、主に二つの理由があります。一つは、牛乳は体内で酸性になり、それを中和するために骨からカルシウムが溶け出すからです。

    一方で、血液は弱アルカリ性に保たれており、動物性タンパク質を多く含む牛乳や乳製品を過剰に摂取すると体内で大量の酸性物質が生じ、血液が酸性寄りに傾いてしまいます。すると体は生命の危機を感じ、それを中和するためにやむを得ず骨や歯にストックされたアルカリ性であるカルシウムイオンを溶かして血液中に送り込みます。つまり体を丈夫にしようと牛乳を飲めば飲むほど血液が酸性 に傾き、カルシウムが骨から持って行かれてしまうのです。

    またカルシウムを骨から引き出す時、カルシウムは尿中にも排出されます。大量のカルシウムが血中に侵入し、血液中のカルシウム濃度が急激に上がってしまうと様々な害が出てくるため、体は速やかに余分なカルシウムを腎臓から尿として排出します。

    こうしてカルシウムを摂るために飲まれているはずの牛乳が、返って体内のカルシウムを減らしてしまうのです。もちろんカルシウムは、全く摂らないのもいけないため、摂りたい場合は牛乳ではなくて、体に悪さをせずにゆっくりと吸収できる大豆製品、野菜、海藻類、魚介類といった自然な食物を食べるようにするのが良いでしょう。

    葉酸について

    葉酸はビタミンB9のことで葉物野菜、ブロッコリー、レタス、アスパラガス、アボカドなどに豊富な栄養素で、レバーやえんどう豆にも含まれています。葉酸は性別や年齢に関係なく健康に寄与するものだと考えられており、DNAやRNAなどの拡散やタンパク質の合成を促進、赤血球の生成や細胞の生産、再生も手助けします。

    特に胎児の正常な発育をサポートすることが知られています。ただし、細胞の生産を手助けするため癌細胞の生産も手助けしてしまうことが知られています。実際、葉酸を抑制する薬が癌や関節リウマチ、乾癬などの自己免疫疾患の治療薬として使われています。

    テキサスA&M大学でのマウスを使った研究では、葉酸レベルが低い方が年齢に応じた代謝の切り替えがスムーズに行われる結果でした。つまり年を取ると葉酸は少ない方が良い結果となっていますが、葉酸が少ないことによるデメリットがあります。

    葉酸を抑える薬を老齢のマウスに投与してどうなるか調べると、貧血になりました。葉酸の健康効果に赤血球の生成の促進がありますが、葉酸が足りなくなると血が足りなくなるのもその通りです。しかし老齢のマウスでは、葉酸が足りなくなっても貧血の兆候が出てこなかったのです。つまり年を取れば少量の葉酸でも必要十分になります。

    また葉酸は、心血管の健康が保てるというデータもあります。葉酸が足りなくなると血管がダメージを受けて心臓病になると言われており、年齢が高くなっても葉酸が多い方が心臓病の予防になると言われています。しかし今回のマウスの研究結果であれば、葉酸が少ない方がスムーズな代謝になり、貧血の兆候も見られなかったため葉酸は無理に摂る必要はないのが今回の研究の結論になるでしょう。

    また、今回の研究データによれば葉酸が少ない方がIGF-1というホルモンの量が少なく、このホルモンが少ないと癌のリスクが下がることが知れられています。例えばフランスでの研究では、100歳以上の人たちの遺伝子変異を見た結果、葉酸代謝が欠損している遺伝子を持っている人たちが多く、つまり葉酸が欠乏しやすい体質の方が長生きできる傾向にありました。

    女性ホルモンの分泌を促すツボ

    女性ホルモンを分泌させるために、深い眠りを促すツボを紹介致します。

    風池(ふうち):後頭部にある髪のはえぎわ

    風池(ふうち)

    失眠(しつみん):かかとの真ん中

    失眠(しつみん)

    成長ホルモンをしっかり分泌させることで、肌の代謝が促進され美しい肌へと導きます。ぜひ活用してみてください。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

    関連記事

    1. アンチエイジングには『ごぼう茶』『オートミール』

    2. 痩せるために冷えを改善する

    3. 体調不良は腸のカビ!?

    4. シミの新常識

    5. 栄養学の基礎知識

    6. EMSだけでダイエット!?

    7. 不調と慢性炎症の関係

    8. 肌老化を招くスキンケア

    9. 痩せ願望は緩やかな体重制限で

    10. ダイエットにカロリー計算は不要

    11. 食べる日焼け止め

    12. 炭水化物(糖質)で太る理由

    13. ダークチョコレートとバナナ

    14. 整腸剤の選び方

    15. メンタルとタンパク質の関係