
食前に適切な水分を摂取することは、食欲抑制の観点からとても良いことが分かっています。高齢者を対象とした研究では、食事30分前に500mlの水を飲むことで、摂取カロリーを13%減らすことができたという報告があります。食前に水を飲むことで胃液を薄めてしまうため消化に影響があるというのが定説でありましたが、研究では200mlの水を摂取することで水を飲んでから1分後に胃酸のpHが4上昇(胃酸が薄くなる)しましたが、3分後にはpHは元の状態に戻るため、消化液を薄めたり、消化を妨げることにはならないと結論付けられています。
食前にレモン水を飲む
レモンにはクエン酸が多く含まれ、胃酸の分泌を促し食べたものの消化を助けてくれる作用があります。またクエン酸には疲労軽減効果もあるため疲れているときほどレモン水を飲むことが有効です。また2021年にはクエン酸には消化管収縮を助ける効果があり、それが効率良く消化を行うに役立っているのではないかと考えられています。
また、食前に飲むレモン水は脳の満腹中枢に作用し、食欲を減らす効果が期待できます。これはレモンの香りが酸味や交感神経を活性化する効果あるからと言われています。特に香り成分であるリモンネンは、交感神経を刺激する力が強いと言われています。
交感神経が活性化することで空腹ホルモンのグレリンが減少し、満腹ホルモンのレプチンの分泌が促進されます。その結果、満腹中枢が刺激され、食欲をある程度抑制してくれます。早食いすると満腹感を感じる前に必要以上に食べてしまうのは、満腹中枢への刺激が遅れるためです。レモン水による刺激にも、満腹中枢への刺激は同様に遅くなるため、食前に飲むことがベストタイミングです。
一方でレモン水には、代謝を高める効果も期待できます。レモン果汁には脂肪から分泌されるホルモンである「アディポネクチン」を活性化する働きがあります。このホルモンは痩せホルモンとも呼ばれ、分泌が多いと運動と同様の脂肪燃焼効果が得られます。さらにクエン酸は、クエン酸回路の働きによってミトコンドリアの活性化を促して代謝を上げることが分かっています。また2021年の研究では、レモン果汁に含まれるポリフェノールやクエン酸が食後の血糖値上昇を抑制する効果があるのではないかと示唆されています。
他にもレモンに含まれるビタミンCは、活性酸素の除去やコラーゲンやホルモンの産生を促進する役割も期待できます。また動物実験になりますが、レモンのフラボノイドに抗がん効果や抗菌、抗ウイルス効果があることも証明されています。さらに腸壁に穴が空いて血中に毒素が流れ込む状態のことをリーキーガットと言いますが、レモンにはリーキーガットを改善する効果があることも分かっています。また胃酸分泌の促進の働きのあるクエン酸には腎結石の予防にも役立つことが分かっています。
レモン水の注意点
レモンに含まれるクエン酸には、歯のエナメル質を侵食する可能性があります。食前に飲むくらいでは問題はありませんが日常的に飲む場合は、クエン酸が口内に残る時間が長くなるためエナメル質が溶けてしまう可能性があります。また胃酸の分泌を促す効果も、食前や食事中、食後であれば効果が期待できますが、それ以外では胃酸の過剰分泌に繋がり、胸焼けなどを起こしかねません。
レモン水の作り方は、水200mlに対してレモン半分の果汁を絞って入れましょう。無農薬栽培のオーガニックレモンを皮ごと水に入れて寝かせてから飲むこともオススメです。因みにレモンの白い皮の部分にはエリオシトリンと呼ばれるポリフェノールが含まれており、筋肉の老化抑制や活性酸素の除去にも役立ってくれます。
起床後にお水を飲む
起床後の水分を摂った方が良いのは、睡眠中に汗として体から流れ出た水分を補給するだけでなく、体内の水分が不足すると血管がダメージを受けて血管老化が進み、その結果全身の老化につながるからです。また消化管を刺激することで、消化管の活動を司る副交感神経を刺激することができます。朝は副交感神経優位な状態から交感神経優位な状態に切り替わる時間帯ですが、水分を摂ることで過剰に副交感神経が低下し過ぎるのを防ぐことができます。注意点としては、胃にある程度の重みを与えないと刺激にならないため、300mlほど飲むことが推奨されています。
朝一杯のお水よりも良いと言われているのが常温の炭酸水です。朝は胃が空っぽな状態なので、起きてすぐに炭酸水を飲むと重さで胃が下がり、その下を通る「横行結腸」を刺激することができます。この刺激によって腸の蠕動運動を促すことができますが、炭酸水の気泡によってさらに蠕動運動を引き起こしてくれます。他にも炭酸水には、血流が促進されて酸素や栄養が全身に行き渡り老化を予防してくれる効果、疲労回復効果、ダイエット効果などが挙げられます。ただしレモン水と同様に常用すると虫歯の可能性があるため注意しましょう。
痩せるためには口臭ケア
痩せることと歯を磨くことの間には、密接な関係があります。口の中が汚い人は、太りやすくなることが分かっています。例えば、私たちの口の中には様々な菌が存在しており、最近の研究では口の中の悪玉菌が食べ物や唾液と一緒に腸まで運ばれて腸内環境に影響を及ぼしているということが分かっています。
代表的な口の中の病気である歯周病は、脂肪肝や糖尿病とも深いつながりがあるとされており、歯周病によって炎症が起きるとサイトカインという物質が生まれ、この物質がインスリンの働きを阻害して血糖値を上昇させることが分かっています。さらに糖尿病になれば、歯茎の毛細血管が脆くなって歯周病がさらに酷くなるというな負のスパイラルに陥ってしまいます。
ポイントは、起きた直後と寝る直前は必ず歯を磨くということが推奨されています。なぜなら太る原因の歯周病菌は寝ている間に増えやすく、朝起きて歯を磨かないまま食事をしてしまうと食べ物などと一緒に歯周病菌が体内に入り込んでしまうからです。
また、歯を磨くだけでなく、舌を磨くことも大切です。口の中には沢山の細菌が住んでいますが、一番繁殖しやすい場所が舌の上です。舌には食べかすや微生物などが付着して細菌が増殖してしまい、口臭の原因にもなるため専用の舌ブラシを使って舌磨きも行いましょう。
脂肪を落とすための運動
脂肪を落とすためには、適度な運動がおすすめです。脂肪を燃焼させるためには、激しい運動ではなく、重要なのは運動の組み合わせです。運動には有酸素運動と無酸素運動の2種類がありますが、痩せるためには、両方の運動が必要です。
なぜなら有酸素運動は脂肪を燃焼させますが、無酸素運動は筋肉量を増やし、基礎代謝を上げて太りにくくするという効果があるからです。つまりそれぞれの運動にはそれぞれの役割があるということです。
そして無酸素運動の代表が筋トレで、そのポイントは下半身の筋肉を鍛えてあげることです。なぜならば下半身には、大きな筋肉がいくつもあり、全身の筋肉の約7割が集中しているからです。そのため下半身の筋肉を鍛えることで、最も効率的に筋肉を増やし、最も効率的に基礎代謝をアップさせることができます。その下半身の筋肉を鍛えるためは、スクワットが一番おすすめです。
一方で、有酸素運動には、激しいランニングをする必要はなく、歩くだけでも十分です。ただしウォーキングをする時は、背筋をまっすぐ伸ばし、歩幅をいつもより広く取るように多少の負荷を掛けてあげましょう。1日20分を目標にウォーキングしましょう。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。