ダイエットとタンパク質の関係

    ダイエットとタンパク質の関係

    これまで数多くのダイエット方法に失敗してきたという方いらっしゃると思い ます。そういった方に足りなかったものは正しい知識です。日々データと睨めっこして、あの食品は栄養が豊富だとか、鶏肉はタンパク質が豊富だからなど 計算しながら最適な栄養バランスを実現しようと努力しています。しかし以下のようなことが分かっています。

    1. 加工食品が乏しいときは摂取カロリーの多くをタンパク質が占め、総摂取カロリーは低くなる。一方で加工食品が豊富な時は摂取カロリーに占めるタンパク質の割合が低下し、総摂取カロリーは高くなる。
    2. 一定量の食物繊維量は食欲のストッパーの役割を果たしている他、食物繊維比率が高いことで他の栄養素の比率が希釈され味が薄くなる。逆に食物繊維が排除された加工食品は味が美味しく食欲に歯止めがかからなくなり、ついつい食べ過ぎてしまう。

    運動はカロリーを消費するためにではない

    体重の維持には、糖質の摂取量やカロリー量、脂質の摂取量など様々なものが考えられる かもしれませんが、その中でもタンパク質の摂取量と運動量が重要な要素です。多くの人は 摂取カロリーよりも消費カロリーが上回れば良いと、ダイエットの表面的な計算式に気を取られ、食事制限で摂取カロリーを下げたり、運動で消費カロリーを増やすことばかりを考えてしまいます。ですが食事制限や偏食によってタンパク質の摂取量が不足すると体内の 筋肉が減少してし、筋肉が減るということは基礎代謝が下がるということになります。

    人体の24時間における総エネルギー 消費量の割合のうち、基礎代謝は6割から7割を占めているため、どれだけ体を動かそうと基礎代謝が落ちていては十分にエネルギーを消費することができません。この基礎代謝を増やす唯一の方法が筋肉量を増やすことです。また基礎代謝は、加齢によっても低下してしまうため、意識して維持することが大切です。

    また、ダイエットのための運動というと長時間のランニングのような高強度の有酸素運動を想像する人が多いかもしれませんが、運動はあくまで筋肉を成長させるためにあります。実は、一般の方々の筋肉合成には、ウォーキング程度の軽い有酸素運動で十分です。もちろん可能であればスクワットや体幹トレーニングを行うのも良いでしょう。

    ですが何よりも先にとにかく心がけるべきことは歩くこと、通勤だけでも十分な運動が可能です。階段の下りだけでも、実は太ももやふくらはぎをしっかり鍛えてくれる理想的な運動です。また電車の中では立ったままかかとを上げてふくらはぎを鍛えるなど、隙間の時間でエクササイズすることも大事です。これらは消費カロリーに換算すれば大したことはありませんが、筋肉の維持には大きく役立ちます。運動目的は、消費カロリーを増やすことでもなく 適度な筋肉量を得ることを忘れないようにしましょう。

    運動と同時にタンパク質を摂る

    筋肉が増えることは同時に意識しなければならないことが適切なタンパク質の摂取です。基本的には1日体重かける1gをざっくり摂りましょう。これはお肉を体重かける1g摂れば良いという話ではありません。例えば鶏胸肉であれば、その重さの約20%がタンパク質です。

    また、タンパク質摂取の観点から1日に必要なタンパク質摂取量を1日3食3 等分に分けて摂取することが大切です。タンパク質は一度に代謝できる量が決まっており、まとめて摂っても余ると排泄されます。そのため、小まめ摂取する必要があります。16時間断食を実践している人であれば食事可能な8時間の間に、ヨーグルトやチーズ、納豆、ゆで卵といった気軽に摂取できるタンパク質源を利用し、小まめにタンパク質を補給するようにしましょう。

    タンパク質のダイエット効果

    糖質とタンパク質は1gあたりのカロリー が4kcalなのに対し、脂質の1gあたりのカロリーは9kcalです。つまり脂質と比べるとタンパク質のカロリーは半分以下です。さらに糖質と比べてもタンパク質は、血糖値を上げにくいことが挙げられます。

    血糖値の急上昇は、血糖値スパイクと呼ばれ肥満の原因となってしまいます。さらにタンパク質は、食べ物を消化、吸収、分解する際に消費されるエネルギーが糖質や脂質に比べて抜群に高いという性質も持っています。その消費エネルギーを食事誘発性熱酸性(DIT)と呼びますが、タンパク質におけるDITの値は糖質の5倍、脂質の30倍にもなります。

    さらに食欲を抑える効果もあり、食べ応えがあって腹持ちが良い特徴があります。つまり脂質の半分以下のカロリーで血糖値を上げにくく、食べるだけで消費するエネルギー量が多いため、 脂肪を燃焼しやすく食欲を抑える効果もある、まさにダイエットのための栄養素です。ちなみにDITという数字はよく噛んで食べるほど増加する性質があります。タンパク質摂取と合わせてよく噛むという習慣を忘れないようにしてください。

    タンパク質が重要な理由

    そもそもタンパク質の研究は100年前から行われており、私たちの体の約6分の1がタンパク質でできていることが分かっています。男性では16から18%、女性では14から16%を占めています。さらに体を作っているタンパク質に様々な種類があり、例えば筋肉を構成するアクチンやミオシンは、体を動かす役割を担っています。血液中のヘモグロビンや血清アルブミンもタンパク質の一種で、体中の細胞への酸素や栄養成分の運搬、血液の浸透圧の調整などの役割を果たしています。また美肌を維持するためのコラーゲンや髪の毛の材料のケラチンもタンパク質の一種です。

    さらに、体は60兆もの細胞でできていて、毎日数億を超える細胞が死んでは新たに生まれ変わっており、その細胞はタンパク質でできています。一方でタンパク質摂取量が不足、もしくは一定のタンパク質摂取量を保たないと筋肉量の 低下リスクが高くなると分かっています。

    このように欠かすことできないタンパク質は、現代人の摂取量が全然足りていないという事実があります。特に日本人のタンパク質の摂取が不足しており、厚生労働省が発表した日本人の食事摂取基準によると、タンパク質の目標量を満たしていない人がかなりいたことが分かっています。2021年の調査では、タンパク質の目標量 に対し全ての年代で摂取不足の人の方が多く、全体で不足し てる人の割合だけど約7割もいました。タンパク質の摂取量は1990年代までは 上昇していましたが、現代では1950 年代と同じくらいに低下しています。

    タンパク質不足の一つの理由は食事量の低下があり、ダイエットをしてる人は もちろん、年齢を重ねると食が細くなってしまう人もタンパク質不足になりやすい傾向があります。

    一方で、多くの女性がタンパク質不足に陥っていることの理由を探るために日本ケロッグ合同会社が20代から50代の女性を対象に、タンパク質に関する意識調査をした結果があります。調査によればタンパク質の重要性はほぼ全員の女性が認識していましたが、実際に摂れていると答える人は過半数でした。

    また、タンパク質は体に蓄えらず、つまり一度の食事でまとめて摂ることができないため、1日の食事でバランスよく摂取する必要があることです。この調査から分かったことは約3人に2人の女性がタンパク質は常に分解されることを知りませんでした。さらにタンパク質を毎食摂る必要があることも知らない人が約60%もいました。このようにタンパク質摂取に対する知識不足が、一つの原因であることが浮き彫りになりました。

    タンパク質の種類

    実はタンパク質は食品によって様々な種類のタンパク質があります。単純な分類であれば、動物性タンパク質と植物性タンパク質があります。また食べたタンパク質は全て体内で栄養になるわけではありません。タンパク質によっては結構な割合が利用されずに排出されてしまいます。排出されず体内で有効に活用された割合を正味タンパク質利用率と言います。そして動物性タンパク質は 植物性に比べて正味タンパク質利用率が高くなります。効率的にタンパク質を取るなら動物性タンパク質が良く、さらに言うと同じ動物性タンパク質でも牛肉の正味タンパク質利用率67%、魚肉だと80%になります。

    しかし、タンパク質は細かく分類すると数種類アミノ酸を含んでおり、含まれるアミノ酸の種類によってタンパク質の効果も変わります。

    そのため、植物性や動物性に拘らず、タンパク質を含むいろんな種類の食品を バランスよく摂取するのが良いと言われています。動物性なら牛肉、鶏肉、魚、卵、ヨーグルトなど、植物性なら豆腐豆乳など大豆製品、豆類などが挙げられます。さらにタンパク質は食べて体内に溜めることができないため、毎日毎食しっかり摂取することが大切です。

    タンパク質の効率的な摂取方法

    まずはよく噛むことが大事です。あまり噛まないで食べ物が細かくなっていないと充分に消化しないまま大腸に行ってしまいます。消化しきれないタンパク質は、大腸で悪玉菌の餌になり、消化不良を起こせば腹痛の原因になることもあります。また噛むことの効果で交換神経系がよく働いて消化管の働きも活発になるためタンパク質の吸収率を上げることにも繋がります。

    また、ビタミンB6を一緒に摂ることも大事です。ビタミンB6はタンパク質の吸収を助ける効果があります。当たり前ですが、バランスよく食べることも大事であり、ビタミン B6以外にもビタミンB2、ビタミンCなどの栄養素はタンパク質の吸収を助けてくれます。

    さらにタンパク質は一度に大量に摂るのではなく、何回かに分けて摂取することで吸収率が上がります。1回の食事では40から50gと言われており、それ以上食べても栄養にならないため、小まめに分けて摂ることが大事です。

    そして、タンパク質を最も吸収しやすいタイミングは運動した後の1時間以内です。この時間はアミノ酸の消化吸収のゴールデンタイムとも言われており、タンパク質からできたアミノ酸が吸収され、筋肉に運ばれる量が3倍増になります。

    高タンパク質食で体重減少

    高タンパク質食で体重が減少することを示すある実験が行われています。まず10人の大学生をスイスのアルプスにある山小屋に連れて行きます。そこで被験者は、最初の2日間は肉、魚、卵、乳製品、パン、果物、野菜などのビュッフェから好きなものを好きなだけ食べることができます。食べたものは全て計量され、食品成分表をもとに各食品のタンパク質、炭水化物、脂肪の含有量が計算されます。各被験者が撮ったすべての食事と軽食について、全てのデータが記録されていきました。

    3日目と4日目に被験者は、2つのグループに分けられ、食品の選択肢を狭められました。一方のグループは肉魚卵、多少の低脂肪乳製品、少量の果物と野菜からなる高タンパク質食のビュッフェを提供され、もう一方のグループは、パスタ、パン、シリアル、デザートからなる低タンパク質、炭水化物、高脂肪食を与えられました。この時も全ての被験者は与えられた食事を好きなだけ食べることができました。食のカロリーと主要栄養素の含有量が記録されました。その2日間が終わると、続く2日間ではまた全員が全ての食品を含む最初のビュッフェに戻され実験終了となりました。

    被験者が自由に食事を選択できた第一段階では、タンパク質のカロリー比率は約18%でした。つまり総エネルギー摂取量のうち18%が、タンパク質由来のエネルギーだったことです。多くの研究から世界中の人々のタンパク質のカロリー比率の標準値は 15%から20%であることが判明しており、18%は標準的な値であると言えます。

    注目すべきは、被験者が高タンパク質食のグループと高炭水化物、高脂肪食のグループに分けられた第2段階の結果です。第2段階では被験者全員が自由選択段階と同じタンパク質の摂取比率を維持しました。高炭水化物、高脂肪食だけを与えられたグループは、タンパク質の摂取ターゲットを達成するために自由選択段階に比べて摂取カロリー35%を増やさなければならず、他方高タンパク質食だけを与えられた被験者は、摂取カロリーを38%減らしました。つまりタンパク質に対する食欲が食品の総摂取量を決定していることが明らかになったのです。

    タンパク質が不足しているもののエネルギーが豊富な食環境では、人はタンパク質の摂取ターゲットを達成しようとして炭水化物と脂肪を過剰摂取します。逆に高タンパク質食しか得られない場合は、炭水化物と脂肪を過小に摂取します。身体活動で消費されるカロリーが不変であると仮定すれば、高炭水化物、高脂肪食はやがて体重増加を招き、高タンパク質食は体重減少につながります。

    いずれにせよどんな場合にも最優先されたのはタンパク質の摂取です。これこそが私たち食欲に影響を及ぼすタンパク質の力です。ここから分かることは、極めてシンプルでバランスの良い食事を摂取するとともに最重要で意識すべきなのはタンパク質の摂取量が少なすぎる状態を避けなければならないことです。つまりタンパク質の摂取量が少なければ、その分、炭水化物や脂質を摂りすぎてしまうことになります。結果として肥満や生活習慣病など、現代人を悩ませている多くの病気を発症してしまう可能性が高まってしまいます。

    食欲を狂わせる加工食品

    タンパク質が不足している食事では、炭水化物と脂肪を過剰摂取して太り、逆にタンパク質が十分取れる食事の場合は少食となり、痩せることができます。本来人間を含めた動物は十分な食料がある時には自分にとって最適な栄養バランスで食事を摂取できるはずです。しかし私たちは、脂質や炭水化物を食べ過ぎてしまうような偏った食事ばかりを摂ってしまっています。

    アルプスの山小屋の実験では、人の食欲がタンパク質比率を操作することで食べる量をコントロールできることが分かります。これらは加工食品メーカーにとって好都合な真実です。このことを示す研究が、アメリカ国民保険栄養調査に参加した9042人の被験者の食事データを検証して明らかになっています。

    その分析の目的は超加工食品の摂取量の違いが、アメリカ人の食生活に与えている影響を調べることでした。この時もタンパク質摂取量を横軸に、炭水化物と脂肪の摂取量を縦軸にとってグラフを作成しました。するとデータはほぼ完全に垂直線上になりました。つまり食事に占める超加工食品の比率が上昇するにつれて、タンパク質が総摂取カロリーに占める割合が18.2%から13.2%に低下したことが分かりました。つまり加工食品が乏しいときは摂取カロリーの多くをタンパク質が占め、加工食品が豊富な時は摂取カロリーに占めるタンパク質の割合が低下したことになります。

    また、この実験では総エネルギー摂取量は加工食品の比率が低い場合で低く、加工食品の比率が高い場合に高いことが分かりました。どのグループもカロリーに関わらずタンパク質ターゲットを達成するまで食べ続けることが分かりました。加工食品メーカーは、中毒性のある低タンパク質食をつくり、私たちはその策略に乗せられて食べる量を増やしてしまっている可能性があります。

    一方である実験では、タンパク質の他に繊維量が増えるのに伴って、食べる量を増やすことも分かっています。その理由は食物繊維を加えたことでタンパク質と炭水化物が希釈され、これら2つの栄養素の摂取量を維持しようとして食べる量を増やすことが考えられています。しかし食物繊維の量が一定レベルを超えると食べる量を増やさなくなり、つまり体内の食物繊維量が腸の処理能力の上限に達したことが示されています。このことは一定量の食物繊維が食欲のストッパーの役割を果たしていることを意味します。作物が機械によって加工される際、多くの食物繊維が取り除かれます。つまり食物から繊維を取り除くのは食欲のブレーキを切ってしまうようなものです。

    超加工食品とは、タンパク質比率が低いがゆえに食べ過ぎてしまう上、食物繊維を排除することで食欲のブレーキが解除された食品で、食品加工メーカーにとっては最高の商品です。

    加工食品のタンパク質を減らす理由

    食品加工メーカーが、タンパク質を減らす理由は他にもあります。タンパク質をケチると製造原価が安くなります。このことを調査するために、アメリカと オーストラリアのどちらの国でも買える106品目の食品 選んでそれぞれの価格と栄養成分を記録した調査があります。

    このデータをもとに脂肪、炭水化物、タンパク質の含有量が各食品の価格にどれだけ寄与しているかを計算しました。どちらの国でも脂肪含有量は食品価格にほとんど影響を及ぼしませんでした。他方タンパク質が多いほど食品の価格が高いことが分かりました。また水化物が多く含まれる食品ほどを価格は安いことも分かりました。この結果から加工食品のメーカーがなぜタンパク質をケチり、炭水化物と脂肪を大量に添加しているのは明らかです。それによって生存原価を抑えることができるだけでなく、タンパク質量を下げることは消費者の食欲を操作して過食させることもできます。

    さらに食物繊維比率の低い超加工食品の配合にはより強力なメリットがあります。それが味です。ある研究では、繊維を多く含む餌と少ない餌のどちらかを選ばせるとバッタは繊維が少ない餌を選びました。なぜなら繊維が多いと栄養素が希釈されるからです。栄養素の中には、タンパク質や炭水化物のみならず食べ物に旨味を与える成分や風味を与える塩なども含まれます。つまり繊維の比率が低いと食べ物は美味しくなります。

    このことから超加工食品の繊維含有量を減らすことがなぜメーカーの利益になるのかがよくわかります。繊維が少なく、脂肪と炭水化物が多い加工食品は美味しく、選びがちになります。おまけにタンパク質をあまり含まないため製造原価が低く安いです。このように低タンパク質、 低繊維、低価格の3拍子が揃った食品は食べ過ぎてしまうのです。

    本コラムの監修】

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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