研究によると老け顔の人は若々しい顔の人より、早く亡くなるリスクが高いという結果があります。この研究デンマークで行われたコペンハーゲンシティハートスタディと言う追跡調査で明らかになりました。
この調査では、心臓病や脳卒中などの病気と人々の生活環境がどう関係しているかを調べました。その中で老け顔の特徴と健康状態の関連性も調べています。この研究では約2万人の人を対象に、35年間も追跡調査を続け、長期間に渡って大勢の人を追跡したため老け顔と健康の関係について信頼性が高いと言われています。
例えば、驚くべきことに老け顔の人は心筋梗塞のリスクが57%も高くなり、心臓病全般のリスクも39%上昇する結果となりました。これらは老け顔の特徴が体の内部で起きている変化 を反映しているからと言われています。このような結果にとなるのは、例えば皮膚のハリが失われるのは体内のコラーゲの減少ですが、そのコラーゲンの減少が血管の弾力性にも影響を与え、弾力性が失われることは動脈硬化のリスクに繋がります。つまり見た目の変化が体の中の変化を表していることになります。そのため、この研究結果は老け顔を単なる美容の問題として片付けるのではなく、健康の重要なサインとして捉えるべきことを示しています。
老け顔と病気の関係
研究では、前頭部の髪が薄い人は、40%も心臓病のリスクを上げることが分かっています。これは男性ホルモンの影響が大きく、またまぶたの黄色腫瘤や耳たぶのシワも特徴に挙げられています。その他にも目の下のクマや頬のたるみ、首のシワも健康リスクと関連があることが分かってきています。
当たり前ですが、目の下のクマは慢性的な疲労や睡眠不足、ストレスなどと関連している ことが多く、長期的に見ると免疫機能の低下や心臓病のリスク上昇につがる可能性があります。また頬のたるみなどは、体内のコラーゲンやエラスチンの減少を示していることが多く、皮膚だけじゃなく血管の弾力性にも関係しているため、たるみが進行すると動脈効果のリスクも高まる可能性があります。
もちろんこれらには遺伝的な要素もありますが、生活習慣の影響も大きいです。例えば喫煙や飲酒、ストレス、不規則な生活が老け顔を加速させる要因になります。そのため生活習慣を改善すれば老け顔も予防でき、適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレス管理が大切になります。
一方で、髪が薄くなると心臓病のリスクが上がるのは、男性型脱毛症のメカニズムに関連しているからです。男性型脱毛症は、主に男性に見られる症状ですが女性にも影響することがあります。これは男性ホルモンの一種ジヒドロテストステロン(DHT)が関係しているからです。
特にストレスを受けると副腎から男性ホルモンであるアンドロゲンが沢山分泌されて髪が薄くなるのが加速します。そしてその髪の薄さと心臓病の関係には複雑な関係があります。髪が薄い人は、男性ホルモンレベルが高いと言われ、そして高い男性ホルモンレベルは心臓病のリスクを上げる可能性があります。そのため髪が薄くなるのを防ぐには、ストレス管理や適度な運動、バランスの取れた食事が効果的で、特に亜鉛やビタミンB群を含む食品を摂るのが良いでしょう。
一方でまぶたの黄色腫瘤は、主に悪玉コレステロールが関係しており、体内のコレステロール代謝に問題があると血中のコレステロールが増加してしまいます。そして重要なのが体内のコレステロール処理能力です。特にLDLレセプターという悪玉コレステロールを取り込む仕組みが重要で、LDLレセプターは、簡単に説明すれば体内のゴミ処理システムのようなものです。これがうまく働かないと悪玉コレステロールが血管内に溜まります。それが目の周りにできますが、それはマクロファージという細胞が関係しているからです。
マクロファージは余分なコレステロールを取り込んで皮膚の下に蓄積し、特に目の周りは皮膚が薄いため黄色く見えやすくなります。これを防ぐには、食生活の改善と運動が基本であり、特に飽和脂肪酸を控えめにして、青魚やオリーブオイル、アボカド、ナッツ類などで不飽和脂肪酸を摂りましょう。
耳たぶのシワと病気の関係
フランク徴候は、全身の血管の状態を反映しています。耳たぶの血管が硬くなるととシワができやすくなります。実は耳たぶの血管は冠状動脈と似た構造をしており、冠状動脈は心臓を養う重要な血管で、心臓の表面を王冠みたいに覆っています。その血管と構造が似ているため、耳たぶの状態を見ることで心臓の血管の状態も推測できます。
研究によるとフランク兆候がある人は、冠動脈疾患のリスクが約3倍に上がります。もちろん年を取れば誰でもシワができますが、早くからシワができる人や特に深いシワがある人は注意が必要でしょう。
老化と歩く速度
研究によると歩く速度が遅い人は寿命が短い傾向がありました。特に50代で歩く速度が遅い人は、10年後の死亡リスクが高くなります。なぜなら歩く速度は全身の健康状態を反映しており、筋力、心肺機能、神経系の状態など様々な要素が関わっているからです。
他にも握力も重要な指標になります。握力が弱い人は心臓病やの中のリスクが高くなります。握力は全身の筋力を反映しており、筋力が低下すると代謝も悪くなり、様々な健康リスクが高まります。
一方で腰の曲がりは医学用語で「亀背(きはい)」と言い、これも健康リスクの重要な指標なります。研究によると2年間で身長が5mmも縮むと死亡リスクが6%も上がります。これは骨密度の低下を示す重要なサイであり、骨密度が低下すると骨折のリスクが高まるだけでなく、内臓の機能にも影響を与えます。特に日本人は、ビタミンDが不足しているため、適度な日光浴とビタミン Dを含む食品の摂取が大切です。
老け顔は遺伝の影響!?
老け顔は、確かに遺伝的な要素もありますが、環境要因の影響が大きいことが分かっています。双子を対象にした研究では、遺伝的背景が同じ双子でも老け顔の方が死亡リスクが高いという結果となりました。これは環境要因や生活習慣の重要性を示しています。例えば喫煙、過度の日光浴、ストレス不規則な生活が老け顔を加速させる要因になります。
また、細胞レベルでも違いがあることが分かっており、それがテロメアという部分です。テロメアは細胞の染色体の末端にある部分で、細胞分裂の度に短くなります。テロメアは、細胞の寿命を決める目印のようなもので、研究によると老け顔の人はテロメアが短い傾向がありました。
老けるストレス、若返るストレス
20代30代であれば、それほど老化のスピードは変わりませんが、40代50代を超えてくるとそれはもう信じられないほど大きな差となって現れてしまいます。実は、近年多く方が推奨しているような予防医学的、節制的健康法は老化を逆に進めてしまう可能性があることが分かってきています。これは簡単に言うと我慢する健康法です。もちろんそれらの健康法自体がダメだというわけではなく、老化を進めてしまう原因に我慢をすることで起こるストレスが大きな原因になるからです。
実はストレスの中にも老けるストレスと若返るストレスがあり、老けるストレスはメンタルに影響するストレスで、そして若返るストレスは何らかの目標に向かって努力している時に味わう精神的な緊張感です。そして、心が疲れるストレスを日常的に感じている人は、見た目も老けているという研究結果があります。
その原因には、ホルモンバランスの崩れが挙げられます。メンタルの悪化は、コルチゾールを増やし、これが引き金となって脳から神経ペプチドの一種であるサブスタンスPを吐き出します。サブスタンスPは体内に炎症を引き起こす働きがあり、肌や臓器を攻撃します。そしてやがて全身の機能が低下を始めて、高血糖や肥満、アレルギーなどのリスク増加に繋がります。そのため我慢することで起こるストレスで老化が進むことになります。
一方で若返るストレスは、自分にとって役に立つ目標に向かってエネルギーを注いでいる時に味わう精神的な不快感です。実はこの不快感こそが重要で、人間の脳のシステムは本気でゴールに向かう場合に、この不快感を与えるようになっており、その不快感による効果をホルミシス効果と言います。これは多すぎれば有害ですが、少なければ有益に働く作用です。つまり新しいことへの挑戦は、不安もあり緊張もしますが、それが自分にとって良いと思われることへの挑戦であれば、その不快感がホルミシス効果となって若返りに繋がります。
【最新研究】老化は44歳と60歳に急激に進む
アメリカスタンフォード大学が44歳と60歳前後で急激に老化が進むという研究結果を発表しました。この研究では、25歳から75歳までのアメリカに住む男女108人を対象に、血液、皮膚、排泄物を3ヶ月から6ヶ月おきにサンプルを採取し、約1年から最長7 年ほど血液や腸・皮膚の細菌を調査した結果となっています。その結果44歳頃と60歳頃に機能不全につながる生体分子の変化が確認されました。
今までの研究は、皮膚の老化を追いかけていく研究でしたが、今回のスタンフォード大学の研究は、その遺伝子の変化が確認されています。そのため体の中でそれらの細胞がどういう風に反応しているのかを見ているのが1つの特徴で、さらにもう1つの特徴として腸内細菌層を見ています。つまりその人がどういうものを食べているか、どのような生活習慣があるのかが今までの老化研究と全く違う部分です。
この研究結果では、44歳前後に急激な老化が起こるのは、心血管疾患、脂質代謝の減少、アルコールの分解がしづらくなることが挙げられています。また60歳頃では、体内で免疫調節、腎臓機能、酸化ストレスに関わる分子に変化が起きていることが分かっています。その結果、がん、リュウマチ、そして動脈硬化、脳梗塞など、血糖値の上昇による糖尿病のリスク上昇などが挙げられます。
特に酸化ストレスは、体の中が酸化することで細胞が傷つけられる現象で、酸化ストレスが増えているということは、細胞の老化が加速していると考えられます。また炭水化物の代謝に関わる分子にも変化があるということは、肌などの老化が44歳頃と60 歳頃に2回加速するという研究結果になっています。ちなみに今までの研究は、老化は一定の速度で進んでいくと考えられていました。
老化スピードと酸化
このように老化を進めてしまう原因に体の酸化が挙げられます。この酸化の原因になってしまうのが細胞の炎症です。私たちの体を構成している37兆個の細胞は細胞膜によって包まれており、炎症は細胞膜に傷ができた状態のことで、細胞膜が傷ついてしまうと細胞内に大量の活性酸素などのフリーラジカルが侵入して体を錆び付かせ老化が進んでしまいます。
そしてこの炎症を起こしているものが慢性型のアレルギーです。慢性型アレルギーは急性型アレルギーのようにすぐに分かりやすい症状が現れるわけではなく、なかなか気づきにくいです。実際に腸の炎症を引き起こしたり、細胞膜の炎症によって酸化が進んだり、細胞内に栄養が届きにくくなっていたりします。そのため慢性型のアレルギーを起こす食べ物を避ける良いでしょう。もちろん検査をした方が慢性型アレルギーは正確に判明しますが、検査をしなくても自分の体の声にしっかりと耳を傾けることができれば食物アレルギー は発見できます。
例えば食べたものを全部書きとめ、体がだるいとかなんとなく気持ちが悪いといった感が あった時に数時間前に自分が何を食べたのかをチェックすれば良いでしょう。気になる症状になる前にいつも同じものを食べているようであれば、それが自分にとってアレルギーを引き起こす食べ物である可能性が高いと言えます。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。