砂漠肌という言葉は乾燥によって引き起こされる肌の状態を表すものです。この言葉自体は専門的な医学用語ではなく美容業界やメディアによって広められたものです。乾燥肌、脱水症状、角質層のダメージなどいくつかの異なる症状が砂漠肌に関連し、肌の乾燥は角質層が弱まることで起こる現象です。
肌を一軒の家で例える
皮膚は表皮、真皮、皮下脂肪の三層から成り立っており、表皮の一番外側にあるのが角質層で、この層は主に死滅した皮膚細胞、角化細胞と脂質から構成されています。皮膚の構造を理解するには家を建てるプロセスを想像すると理解しやすいです。
家の壁が角質層、レンガが角化細胞、セメントが脂質になります。角質層と角化細胞は新しい皮膚細胞が上がってきて最終的に死滅する過程で硬く、平らになった細胞になります。これらの細胞は、しっかりと隣り合わせで積み重ねられ壁を形成しています。一軒の家は壁とレンガだけでは作ることができず、それを結合させるセメントが必要になり、それが資質です。
脂質は主にセラミド、コレステロール、遊離脂肪酸から成り立っており、これらは角化細胞の間に入り込み、まるでセメントがレンガを結合させるように角化細胞をくっつける役割をします。脂質がなければ角化細胞はしっかりと結合せず、外部から細菌やウイルスが侵入してしまいます。角質層が弱まると肌も外部環境や有害物質に影響を受け やすくなり、その結果乾燥や肌トラブルが引き起こされる可能性が高くなります。
角質層は防壁機能以外にも水分の保持、pHバランスの維持の役割も果たしています。角質層には天然保湿因子と呼ばれる成分と皮脂が含まれており、これらは水分を肌内部に閉じ込め、乾燥を防ぐ役割を果たします。特に天然保湿因子は水分を吸収して保持する能力が高く、肌から水分が蒸発するのを防ぎ、潤い感のある角質層を形成しています。
また、皮膚の健康維持にはpHバランスがとても重要になってきます。pHバランスは体内の酸性度とアルカリ度のバランスのことを指し、食べ物などで調整可能です。一般的に人間の皮膚のpHは5.5程度の微酸性で、このpHレベルを維持できていると皮膚は自然な微生物層を保つことができます。細菌やウイルスの成長を抑制し、皮膚から体内への侵入を防ぐことができます。皮膚の微生物層は表面にいる微生物集団のことを指し、この微生物たちのバランスが整っていると皮膚の健康を保つことができます。
角質層が弱まる主な原因は、乾燥、寒冷、紫外線、不適切なスキンケアの4つが挙げられます。角質層は水分を保つ機能が高く、その水分が乾燥によって失われると皮膚全体の健康に悪影響を与えます。乾燥した環境に晒されると天然保湿因子は、その機能を十分に発揮できず、その結果角質層が硬くなり、割れやすくなります。
また寒冷な気温は、皮脂腺の活動を低下させ、皮脂の生成を減少させます。皮脂は角質層に存在する脂質の一部で、水分を保持し、外部からの刺激や病原体の侵入を防ぐ役割があります。寒冷によって皮脂が減少すると皮膚が荒く敏感になる可能性が高くなります。皮脂が少なすぎると角質層のバリア機能も低下しやすくなります。
一方で、紫外線は皮膚DNAにダメージを与え、コラーゲンとエラスチンの分解を促進します。この結果、皮膚は早期老化の兆候を見せ、角質層もその影響を受けます。紫外線によって生成されるフリーラジカルは、皮膚細胞と脂質に酸化的ダメージを与えることがあります。
フリーラジカルは、紫外線、放射線、大気汚染、喫煙などの刺激で生成されるもので、フリーラジカルが過剰に生成されると体内で酸化ストレスが高まり、この酸化ストレスが角質層のバリア機能に対しても悪影響を及ぼしてしまいます。さらに紫外線は皮膚の炎症反応を引き起こし、これが皮膚のバリア機能の低下を招く可能性もあります。
その他にも、不適切なスキンケアが原因で角質層が弱まることもあります。例えば、アルコールや界面活性剤が多いスキンケア商品を使用すると角質層が弱まることがあります。スキンケア製品に含まれるアルコールは皮脂を素早く除去し、清潔感を与えることができますが、その作用によって角質層の天然の脂質まで除去されてしまい、水分が蒸発しやすくなるため、肌から水分が飛ぶと乾燥し、かさついた印象の肌になってしまいます。
一方の界面活性剤は、油と水をなじませるための成分で、強い洗浄作用が角質層にダメージを与える可能性があります。特にラウル硫酸ナトリウムやラウレス硫酸ナトリウムは刺激が強く、人によってはピリピリとした痛みを感じることもあります。さらに荒いスクラブや強い酸性、強いアルカリ性の製品も肌にダメージを与える可能性があります。
これらが角質層に影響を与え、その結果として敏感肌になることもあります。不適切なスキンケアは、角質層のバリア機能に複数の面で影響を与える可能性があり、それが長期になると乾燥肌、敏感肌、アレルギー反応など様々な問題を引き起こす確率が上がります。適切な製品選びやスキンケア方法の知識が肌の健康を維持する上で重要になってきます。
間違ったフェイシャルパックの使い方
お風呂の後や寝る前などに、お肌にしっかりと保湿クリームを浸透させる目的でフェイシャルマスクをつけていらっしゃる方も多いでしょう。確かにフェイシャルマスクには効果があり、お肌の細胞にしっかり水分を浸透させて細胞の瑞々しさを保ってくれる商品も存在します。
ですが、フェイシャルパックやマスクも使い方を間違っては全く無意味なものになるばかりか、お肌がボロボロになってしまう原因になります。フェイシャルマスクやパックの使い方で一番注意しなければいけないのが、長時間パックをつけてしまうことです。パックやフェイシャルマスクには必ず使用時間が書かれています。そのような使用時間を超えてマスクやフェイシャルパックを使うと、お肌の最も外側にある角質層という部分がふやけていてしまいます。
角質層は、皮膚の最も外側にある死んだ細胞の塊です。皮膚のターンオーバーにおいては、内側から新しい細胞が供給されることで外側の細胞が死んで脱落していきます。この脱落する直前の層が角質層です。角質層は、お肌を保護するために重要な働きを担っています。角質とはお肌の最も外側にあり、私たちの見た目を左右するのはまさしく角質の健康状態であると言えるでしょう。
この角質層は死んだ細胞であり、自己修復能力がないため傷ついてしまった角質は決して修復することはできません。また角質等は血液が届かないため放っておくとどんどん水分が失われてしまいます。そのため外側からケアをして保湿してあげる必要があります。
フェイシャルマスクやパックによって角質に水分を供給してあげることで、皮膚の表面が瑞々しく保たれますが、長時間使いすぎると角質層が水分でいっぱいになってしまいます。そして角質が水浸しになってふやけてしまいます。角質層は死んだ細胞の塊であり、血管が通っておらず水を供給できないのと同時にすでに供給されてしまった水を回収することもできません。そのため一度角質がふやけてしまうとふやけてそのままになり、ふやけてブヨブヨになってしまうと角質が剥がれやすくなり、皮膚が損なわれてしまいます。そうなればフェイシャルマスクを貼っている部分は、湿度が高くカビや細菌にとって最も繁殖しやすい絶好の環境になります。
また長時間のシートマスクは、逆に水分が肌から蒸発し乾燥肌になってシワやたるみなどの肌トラブルの原因を一気に加速させます。例えば夜にシートマスクをして乾ききるまで顔につけたり、シートマスクをしたまま寝たりする人もいますが、それは全くもって逆効果です。
水分は一度肌に浸透してもより乾燥しているところへ移動する性質を持っているため、一定時間が経過すると肌へ入れた水分は 乾いたシートマスクの方へと出て行ってしまいます。
夜遅くのスキンケアvs睡眠
夜遅くのスキンケアと睡眠のどちらを優先すべきだと思いますか。本来、優先すべきは睡眠です。例えば、赤ちゃんは1日何時間も寝て、そして寝る前にスキンケアなんかやっていません。しかいs、どんな赤ちゃんでも、ぷるんぷるんでマシュマロのようなお肌をしています。つまりスキンケアと睡眠とでは大切なのは睡眠です。ですからお肌の健康のために、睡眠を犠牲にしてまでも夜遅くのスキンケアをするのは本末転倒になってしまいます。
もちろん、お化粧した顔のまま寝てしまってはお肌が呼吸できなくなって、ニキビを始め様々な肌荒れの原因になってしまうので、化粧を落としたり顔を洗うといった最低限のケアは必要でしょう。ですが睡眠時間を削ってまで、夜遅くまで美容液を塗ったりするのは正解ではありません。お肌の汚れを落としたら軽く保湿してさっさと寝てしまうのが一番です。
お肌というのは寝ている間に修復されていきます。睡眠不足になってしまうと 修復される時間がなく、お肌の傷や汚れが貯まってしまいます。お肌の傷や汚れがたまったままでは、その上にスキンケア用品を塗り重ねたところで意味がありません。あくまで美容や健康の土台は、睡眠と良質な食事であり、スキンケアは二の次であるということを覚えておいてください。
クレンジングオイルの使い過ぎ
クレンジングオイルは毛穴の汚れを落としてくれますが、あまりにもゴシゴシと使いすぎると汚れのみならず私たちの皮膚の表面にある大切な皮脂も落としてしまいます。皮脂はたくさんありすぎると皮膚が油まみれになってテカテカしてしまいますが全くないのも問題です。
皮脂は私たちの角質を乾燥などから保護してくれる大切なバリアです。ですがクレンジングオイルをゴシゴシ使いすぎると、このような皮脂が剥がれて皮膚のバリア機能が失われてしまいます。そうすることでお肌がカサカサになってしまいます。またクレンジングオイルのみならず一般的な洗顔石鹸にも注意が必要です。
顔の表皮というのは非常にデリケートで、指の腹を立ててゴシゴシ洗ってしまうと皮膚が傷ついてしまいます。そのため洗顔をする時はしっかり泡を立てて、指ではなく泡で顔を触ってあげるぐらいの優しい洗顔を心がけることが重要です。
また丁寧すぎるクレンジングも問題です。クレンジングにかける時間は1 分くらいがベストと言われています。力を入れずに指の腹で軽く押さえる程度の優しいタッチで指を動かす程度で十分です。そして1分程度でさっと洗い流してクレンジングは終了し、アイメイクなどの落ちにくい箇所はポイントリムーバーなどを使ってクレンジングの時間を短くするように工夫しましょう。
同じ年齢なのにいつまでも若々しく見える人
年齢の割に圧倒的に若く見える人は骨格や遺伝の問題もありますが、何よりも彼らの生活習慣が大きな影響を与えていると言われています。昔は美人だったのに老け込んでしまう人がいる一方で、年を取って美しくなっていく人がいます。年を重ねるに連れて遺伝の影響がどんどん小さくなり、生活習慣や食習慣の影響が大きくなったからこそ起こる現象です。
若い頃は生まれ持った素晴らしい遺伝子だけでなんとかなっていた人であっても年を取るにつれて、長年の悪い生活習慣の蓄積には抗えず老け込んでしまいます。だからこそ生活習慣に力を入れて若返りを目指すことによって周りの人に圧倒的な差をつつけることができます。
老化を促進する脂肪細胞
老化に対する遺伝の影響はわずか20% 前後しかなく、老化スピードには大きな個人差があります。ニュージーランドで行われた老化研究では、26歳から38歳までの約950 人を対象に12年間、生物学的年齢を使った研究がされました。結果を言うと同じ年齢の人でも33歳もの生物学的年齢の差があり、生物学的年齢が高い人は体の中が老化し、見た目も老けて見えて、体機能も低下していました。同じ年齢でもこれだけの差がある原因は、慶応大学医学部がイギリスのニューキャッスル大学との共同研究チームで、2016年に行った研究によって判明しています。
老化しない人に共通する特徴が、体の中の炎症レベルが低いことです。体内の炎症レベルを見れば老化のスピードが予測できることが分かっています。つまり炎症を抑えることこそが老化の進行スピードを送らせ、いつまでも若々しくいるために最も重要なことになります。特に慢性炎症が原因として挙げられており、組織障害が長期的に起こり、ホルモンバランスの乱れや免疫機能の低下など、様々な全身疾患とも深い関わりがあります。
そもそも急性炎症の場合は、怪我や感染などで、対象部分に白血球が集まり、その集まった白血球が炎症性サイトカインと言う物質を出し、さらに多くの白血球を呼んで細菌や異物を排除しようとします。それに比べて慢性炎症は怪我や感染が必須ではなく、例えば肥満時の脂肪組織でも起こる可能性があります。余分なエネルギーを摂取して体内に脂肪が蓄積されると、脂肪組織を構成する脂肪細胞1つ1つが大きくなり、脂肪細胞から脂肪分解によって放出された飽和脂肪酸に引かれて白血球が集まります。そして炎症が起こって炎症性サイトカインが放出され、さらに白血球が集まり、急性炎症と同じような状態になってしまいます。
さらに炎症性サイトカインの働きで脂肪細胞に含まれる遊離脂肪酸が放出され、血流に乗って全身に運ばれて他の臓器や組織にも慢性炎症を波及させます。血管に慢性炎症が波及すると動脈効果の原因になり、膵臓ならインスリン分泌が低下して糖尿病の発症につながります。このように慢性炎症は全身に影響して色々な病気の引き金になってしまいます。
炭水化物の摂り過ぎ
炭水化物は体にとって大切なエネルギー源であることに間違いはありませんが、炭水化物というのは私たちの体にダメージを与えて老化を促進させてしまう可能性があることが分かってきています。特に炭水化物の摂り過ぎは、肌にダメージを与える可能性があります。なぜなら炭水化物を摂取することによって血糖値が高くなり過ぎ、高い血糖値は老化を加速させ、肌にも悪影響を与えることが分かっています。
特に、女性を対象にした研究では、炭水化物の摂取量が多いとシワができたり、皮膚がたるんでしまうリスクが高まるとされています。炭水化物の摂取量が50g増えるとシワのリスクが約1.3倍になってしまいます。これは高血糖によって肌を支えるコラーゲンが損傷するためです。血糖値の上昇し、高血糖な状態は活性酸素の増加や体内の糖化現象など様々な老化を引き起こしてしまいます。その結果、コラーゲンが損傷されれば、多くの肌の問題を引き起こす可能性があります。
老け見えのポイント
老けて見えるポイントは3つに集約されます。それは顔全体のたるみ、目のシワ、ほうれい線です。
顔全体のたるみ
老け顔に見えるたるみが出てきてしまう主な原因は 3つのポイントがあります。1つ目が顔を形作る土台である骨が痩せてくることです。年を取るにつれて骨は減少し、特に顔の骨は減りやすい部分です。骨が減るとそれを支えていた皮膚や筋肉が余ってしまい、結果としてたるみが生じてしまいます。
そして2つ目が顔の骨と皮膚をつぐ靭帯の緩みです。これは最近の研究で明らかになった事実で靭帯が緩むことが皮膚のたるみに影響を与えることが確認されています。
そして3つ目は、顔の脂肪の減少です。顔の脂肪が減ることで皮膚が余ってしまい、たるみが目立つようになります。特に年齢を重ねるほど細い人の方が老けて見えるようになってしまうのは、この顔の脂肪の減少が原因です。
目のシワ
目のシワが目立ってしまうと疲れた印象になり、途端に若々しさが失われ、老けて見えるようになってしまいます。特に注意しなければいけないのは目の下のシワと目尻のシワです。目尻や目の下にシワができるのは、その部分の皮膚が薄くてデリケートだからです。皮膚が薄いことは、それだけ乾燥しやすくシができやすくなります。
また現代生活はパソコンやスマートフォンを使う時間が長く、目の周りの血行が悪くなることも多いです。血行が悪くなれば栄養や酸素が行き届かなくなってしまい、老廃物も回収されなくなり、それだけ老化が進みやすくなってしまいます。研究によると目の下、目尻のシワを改善するだけで見た目が10歳程度も若く見えることが明らかになっています。
目の周りが乾燥しやすいからシワができやすいため、乾燥自体をしっかり改善することがポイントです。特に乾燥肌の人はシワができやすく、さらにシワが深くなりやすいため注意してください。乾燥肌を改善するには、まず自分の年齢にあったスキンケア製品を選ぶことが大切です。まず自分の肌が乾燥肌などか脂性肌なのかをしっかりと理解することが大切です。
乾燥肌と脂性肌の見分け方は色々ありますが、簡単には洗顔後に何もしないで10分ほど待って肌の状態を確認するという方法があります。乾燥肌は全体的に突っ張り感があり、脂性肌は全体的にべたつきがあります。自分が乾燥肌であると分かった人は、シワのケアが非常に重要になります。スキンケア商品を選ぶ際も肌が必要とする保湿成分が含まれている化粧水や乳液が良いです。高い保湿力と肌のバリア機能を支える能力があるものを選びましょう。
ほうれい線
ほうれん線は、普段の生活習慣によってできやすくなるということを知っていますか。実はこのほうれい線ができやすくなる2大原因は肌の乾燥と猫背です。肌の乾燥という点に関して言うと乾燥肌の人の方がほうれい線が深くなりやすいというデータがあります。ほうれい線は、人々が笑ったり話したりする時によく動く部位であり、これは表情を作るための自然な肌の動きです。しかし肌が乾燥していると肌の柔軟性が低くなり、表情を作るたびに小さなシワができやすくなってしまいます。そしてその小さなシワが重なってほうれい線になっていきます。それが繰り返されると時間と共に肌に深く刻まれてしまうのです。そのため意識して改善しなければいけないのは肌の乾燥です。
一方のほうれい線の原因の1つの猫背に関しては、あらゆる点において老けて見える原因を作ってしまいます。猫背になることによって顔が下向きの重力を受けてしまい、たるみやすくなりほうれい線が深くなってしまうということが明らかになっています。最近は自宅にいる時でもずっとスマホの画面を見つめている人が多いため、ストレートネックになり、自然と猫背になってしまっている方も非常に多くいらっしゃいます。
姿勢が悪いと体全体の血流も悪くなり、疲れやすくなることもあります。また人々とのコミュニケーションにおいても猫背の姿勢はよりふけた印象を相手に与えてしまいます。
砂漠肌を改善する
白湯
砂漠肌を改善する飲み物の1つが白湯です。白湯は単純に水を沸騰させた後に冷まして飲む非常にシンプルな飲み物です。体内での吸収がスムーズで、特に朝一番に白湯を飲むことで体内に溜まった老廃物の排出が促されます。白湯を飲むと体が温まり、血行が促進されます。血行が良くなると皮膚細胞に必要な栄養素と酸素がしっかりと運ばれ、健康な皮膚を維持しやすくなります。
白湯は純粋な水分補給としても優れており、白湯で水分補給することで皮膚の水分バランスが保たれ、乾燥からくる皮膚トラブルを防ぐことができます。白湯には体内の老廃物を排出するデトックス効果もあり、老廃物が体内に溜まるとそれが血液に混ざり全身を巡ることになり、その結果血液の質が低下し、全身の細胞にも悪影響を与えます。
特に皮膚は外界と直接接触する臓器であり、その健康状態は内側からも大きく影響を受けます。血液の質が低下すると皮膚に必要な栄養素や酸素が十分に供給されなくなり、その結果皮膚の健康が損なわれる可能性が高くなります。
さらに、白湯は消化器系にも優れた効果をもたらし、消化器系が正常に働くと吸収される栄養素が皮膚にもより効率よく供給されます。白湯は一気にたくさん飲むのではなく、少量をこまめに飲むようにしましょう。一気にたくさん飲むと体がそれを処理するのに時間がかかり、水分が適切に吸収されない可能性があります。少量ずつ飲むことで血行が緩やかに改善され、皮膚や他の臓器への栄養供給が均一に行われます。
腎血流がアップする白湯
白湯もリンゴ酢と並び腎臓に負担をかけると一般的に言われていますが、これは一度に大量の薄い液体を摂取することで大量の尿を作らなければならなくなるためです。ですがコップ一杯の白湯を小まめに摂取するのであれば、むしろ適度な利尿作用によって体内の老廃物が洗い流されて腎臓の働きが活発になることが知られています。また温かい白湯を飲むことで熱効果によって血管が広がり、腎臓の血流が豊かになるというメリットも挙げられます。
ただし、これらの効果はいずれもしっかりと温めた白湯に限った話で、どんな場合も冷たい水を飲むのはお勧めできません。昨今ではジバリングという有害な体の震えを誘発することから、熱中症の時でさえも冷たい水を与えないのが良いという考え方も広まりつつあります。冷たい水は胃腸を冷やして深部体温を急速に下げて血管を収縮させてしまいます。そうなれば当然血圧が上がるので高い血圧で大量の水分が腎臓の血管に流れ込むことになってしまいます。あくまで水を飲む時は白湯にして少量を小まめに飲むように心がけるか、常温で飲むことを心がけましょう。
朝起きたらコップ1杯の白湯を飲む
私たち人間は意外と寝ている間に水分を大量に失っており、起きた瞬間に水分を補給しないと体内の水分量が不足して血液がドロドロの状態で長い時間を過ごすことになってしまいます。血液がドロドロの状態というのは血の巡りが悪くなっているため、全身の細胞に栄養や酸素が運び込まれません。
また、水を一気に飲むことはお腹の中で一種のシグナルとなり、腸が活動を開始します。腸は我々の体において非常に長い部で約9mもあります。その長い道のりで食べ物や水分が順調に進んでいくためには腸の動き、いわゆる蠕動運動が必要になります。この動きが弱まると食べ物や水分は腸内で滞りがちになり、その結果便が硬くなってしまいます。
硬くなった便はさらに腸の中で水分を吸収し、そのまま腸の壁にへばりついて残ってしまいます。これがいわゆる宿便になり、消化器系全体の働きを悪くしてしまいます。宿便が溜まるとそれがさらなる腸の働きを妨げ、便秘や消化不良を引き起こす可能性が高まります。
さらに便秘が長引くと体内で有害な物質が蓄積するリスクもあり、健康に悪影響を及ぼすことも考えられます。
また水を一気に飲むことは腸を刺激し、交換神経を優位にするためにも非常に重要です。なぜなら睡眠から目覚める朝は自律神経のスイッチタイムです。寝ている間、副交換神経が優位になっていて体はリラックスし、修復作業をしています。しかし朝目覚めると活動的になるための交換神経が優位になります。この切り替えが自立神経のスイッチタイムですが、このタイミングで重要なのが腸の動きです。腸を適切に刺激し、自立神経を整える効果が朝一杯の水にあります。
当然ながら朝一の水分補給に、コーヒーはNGです。コーヒーには利尿作用があるため水分補給という目的には適していないからです。さらに起きてすぐカフェインを摂取すると体内のホルモンバランスが乱れてしまうという研究もあります。
食べたら15分以内に歩く
食事の後15分以内に歩くというのは非常に良い習慣です。なぜなら食後すぐに動くことで血糖中の急上昇を防ぐことができるからです。食事に糖質を摂った場合には15分から30分程度で血糖値が上がり、このタイミングで歩くことで筋肉が糖をエネルギーとして消費し、血糖値が急激に高くなるのを避けることができます。血糖値の上昇を運動によって抑えてき人と血糖値が上がるがままにしてきた人とでは長期的に見れば老化スピードに大きな差がつきます。
また、筋肉を使うことが目的のため、特にウォーキングではなくスクワットなども有効です。スクワットを2分するだけでも血糖値の上昇を抑えることができると分かっています。
週2回の筋トレ
筋トレを週に2回取り入れることは健康を維持し、見た目を若々しく保つためにとても大事なことです。特に30歳を過ぎたら足腰の筋肉は年に1%ずつ自然に減少していくということが分かっています。つまり筋トレを意識的に行わないと足腰というのはどんどん痩せ細っていってしまいます。
筋肉は血糖を溜めるタンクのような役割があるので、筋肉が少なくなると血中の糖を溜め込む場所がなくなり、そのまま血中に糖が漂い続けて血糖値が上がってしまう可能性が高くなります。逆に筋トレで筋肉を増やしてあげれば血糖値が安定します。その結果AGEsの生成も抑制することができます。
筋トレをするのに高度な器具や専門のトレーニングなどは必要ありません。胸やお腹太ももといった大きな筋肉をターゲットにする簡単な運動、例えば腕立て伏せ、腹筋運動、スクワットなど自宅でできるもので十分です。運動量もそれほど多くは必要なく、15から20回を3から4セット、合計で約15分疲れる くらいまでやれば良いでしょう。
夜を静かに過ごす
睡眠の質と老化は深く結びついています。その睡眠の質を決定付けているのが夜をどう過ごすかということです。なかなか寝つけない、明け方に目が覚めるといった睡眠の問題は、実は体の中で交換神経が活発になっている証拠です。この交換神経は、体を活動的に保ちますが、交感神経が強く働きすぎると体内で活性酸素が増えやすく、さらにAGEsも溜まりやすくなります。特に夜間交換神経を働かせすぎると日中よりもより多くの活性酸素やAGEsが体の中で発生してしまうことが明らかになっています。
自立神経には交換神経の他に副交換神経というブレーキのような働きをする神経もあります。夜になるとこの交換神経が働いて体を落ち着かせ、リラックスさせる役割がありますが、交感神経があまりにも強く働いていると副交感神経の働きが弱まってしまいます。その結果、夜も落ち着かず、質の良い睡眠が取れなくなってしまいます。
本来であれば副交換神経が優位になるべき夜に交換神経が活性化すると、それだけであなたの体には強烈なストレスがかかってしまいます。するとストレスによってさらに交換神経が活発化し、体内での酸素消費が多くなり、活性酸素がたくさん作られてしまうという悪循環になってしまいます。さらに交換神経が活発化し、活性酸素が作られる時に体内ではAGEsも大量に発生します。
活性酸素が多くなると体内の細胞が傷つき炎症が起こり、さらにAGEsが作られることで体が自然に活性酸素を除する力、つまり抗酸化機能が弱まってしまいます。そして活性酸素の働きが強くなって炎症がさらに広がり、その炎症自体が、また新しいAGEsを作る原因になり、活性酸素とAGEsが体の中に溢れ返ってしまいます。
部屋の電気をなるべく暗めにして、落ち着いた音楽をかけながらゆったりとした時間を過ごす、そのような本来の人間のDNAに即した生活を夜に行うことが大事です。もちろん初めはそこまで完璧な生活を送ることは多くの人にとって難しいかもしれません。ですがなるべく光を浴びずに過ごすとか、なるべくスマホを触らないようにするなどできることはたくさんあるはずです。
一方で、睡眠の質を低下すること以上に問題な行為が睡眠不足です。睡眠不足が続くと体と脳に炎症が広がります。そして脳にAGEsが溜まり、うつ病が起きやすくなったり、悪化したりすることが分かっています。特に12歳から18歳の学生を対象にした日本の研究でも明らかになっています。
睡眠時間が5時間程度の学生は7時間半から8 時間半寝る学生よりもうつ病を発症するリスクが3倍以上に高くなる結果が出ています。このうつ病に関しては特にAGEsが溜まって脳で炎症を受けることが原因とされています。またこの炎症は他にも問題を引き起こしてしまいます。
脳に炎症が広がることによって睡眠の質が低下し、眠りにくくなることも明らかになっています。つまり睡眠不足が睡眠の質の低下まで引き起こしてしまうのです。睡眠の質は脳の健康やうつ病、注意力、認知症にも大きく影響を与えるだけでなく寝不足や夜間の過度な脳への刺激は、脳の炎症を引き起こし、その炎症がさらに睡眠の質を下げるという悪循環にもなることを忘れてはいけません。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。