円皮鍼(えんぴしん)で小顔・美肌効果

    美容効果の高い美容鍼ですが、一般の方でも利用でき、美容鍼と同じような効果が得られる「円皮鍼(えんぴしん)」という置き鍼があります。円皮鍼は、小さなシールに小さな鍼が付いていて、シールを肌に張るだけで、肌に刺激を与えることができます。

    円皮鍼を刺して皮膚に小さな傷を付けると、身体はその傷を治そうとして、そこに血液を集めます。血液の循環が良くなることで、顔色が明るくなります。

    また、気になるシワの部分に貼ると、血行が良くなることによって、肌のハリを出してくれるコラーゲンやエラスチンなどの生成を促進します。結果的に血流や新陳代謝がアップし、シワのケアになり肌全体に美肌効果が現れます。さらにツボを適切に刺激することによってリフトアップ・小顔効果も得られます。

    円皮鍼(えんぴしん)
    円皮鍼(えんぴしん)

    円皮鍼は、かぶれにくいことも大切です。また円皮鍼を顔に使うときは、初めての方は鍼長0.3mmのものが痛みなく効果も期待できるので良いでしょう。

    お顔に円皮鍼(えんぴしん)を貼る場所

    筋肉やツボを考えて的確なポイントに貼ることで美肌になるだけでなく、お顔のたるみ・むくみにも効きます。マストで抑えたいツボは以下になります。

    お顔のたるみにも効く

    マストで押させるツボ

    ツボ番号位置効果
    ①翳風(えいふう)耳たぶ裏の耳の付け根と、顎の骨との間にある窪んだ所リンパが集まる節の近くのツボを刺激することで血流がしっかり促されます。ターンオーバーも促進され、美白効果までも期待できます
    ②迎香(げいこう)小鼻の脇。鼻筋が通り老廃物の排出を促すことでほうれい線が目立ちにくくなります
    ③巨髎(こりょう)目尻の下の頬の骨あたり頬の引き締め効果があり、リフトアップやほうれい線の改善が期待
    ④下関(げかん)口を開けると現れる穴の上顎のコリが軽減することができ、顔の血流がよくなります。頬のむくみやほうれい線にも効果的なので、たるみが気になる方におすすめ
    ⑤太陽(たいよう)眉尻と目尻の中央からやや後ろの窪んだ所顔のたるみや目のむくみを解消し、目元がパッチリ開きます。目の疲れや、眼精疲労からくる頭痛にも効果的
    ⑥陽白(ようはく)眉山から指1本上額のたるみやシワを薄くし、目元を大きく見せることができます
    ⑦  口角から指2本横の口角下制筋口角を上げることで、リフトアップ・小顔効果を得られます

    円皮鍼(えんぴしん)の相乗効果

    お顔の鍼は、表面に出ている症状を治す「標治(ひょうち)治療」、身体の鍼は、体調や体質の悪いところを治す「本治(ほんち)治療」と言います。美容鍼コースの多くが、お顔と身体の両方に鍼治療を行うのは、身体の血液などの循環が悪いと、お顔にも影響するためです。そのお顔と身体のつながりは「ツボ」と「経絡」のつながりを知ることで理解できます。

    「ツボ」は、私たちの身体全体に流れるエネルギー(気、血、水)の通り道である「経絡(けいらく)」上にあります。「ツボ」は停車駅、「経絡」は線路と言われ、体全体に各路線があり、その繋がりを考えることで効果的な貼り方ができるようになります。

    円皮鍼は、気になる顔のシワや身体のコリに貼るだけでも刺激を与えられますが、東洋医学の「ツボ」と「経絡」の流れを押さえると、美肌効果や身体全体の調子をより整える効果も期待できます。

    経絡(けいらく)

    例えば、胃腸のリズムをととのえ、口もと、目のまわりを引き締め、ストレス解消のツボとして有名なのが「足三里(あしさんり)」です。

    足三里(あしさんり):ひざのお皿のすぐ下、外側のくぼみに人さし指をおき、指幅 4 本そろえて小指があたっているところ

    足三里(あしさんり)

    足三里はたくさんの方が昔から愛用されていたツボで、あの松尾芭蕉も長旅のケアとして足三里にお灸をしていたと記されています。私たち鍼灸師も迷ったときは足三里というくらい重宝しているツボです。

    マグレインでセルフケア

    円皮鍼と同様な効果がある商品に「マグレイン」があります。マグレインは、7mmの円型テープの中央に1mm強の金属粒を固定したもので、コリや痛みのある局所(ツボ)に貼付すると刺激を持続的に与え、鍼や灸と同様の作用をします。

    マグレイン

    マグレイン の金属粒が肌に触れて酸化し、その肌への刺激が、血流を良くします。マグレインにも種類があり、「円錐粒」は先端が尖った形状をしているため、ツボに対して強い刺激を与えられるため、鍼治療と似た効果が期待できます。円皮鍼もマグレインも通常の鍼治療と同様に「血行の促進」による効果が期待され、貼っておくだけで以下のような効果があります。

    • シミの改善
    • 肌の弾力があがる
    • 顔色が良くなる
    • 目のクマの改善
    • むくみの改善による小顔効果
    • 皮膚のたるみ など

    円皮鍼・マグレインで美容鍼効果を持続させる

    円皮鍼・マグレインは手軽に扱える一方で、その効果は緩やかに作用するため根本治療(本治治療)には向いていません。そのため、より美容鍼の効果を望む方は、鍼灸院の通院と自宅での円皮鍼を掛け合わせることをおすすめします。鍼灸院で美容鍼を受け、次回来院までの日常生活の中、円皮鍼・マグレインでツボをアプローチすることで、美容鍼の持つ効果をより長く維持することができます。また、鍼灸師に正しい貼り方や、症状に合ったツボを教えてもらうことで、安心・安全に円皮鍼・マグレインをお使い頂くことができます。困ったこと、不安なことがあれば遠慮なくご相談ください。

    円皮鍼でたるみ・小顔になる

    足裏や身体のツボはよく知られていますが、お顔にも多くのツボがあります。お顔のツボは美容に効果があるとされ、約50カ所もツボがあります。その中でも特にお顔の筋肉との関係性が強い3つのツボがあり、これらのツボを押すことで筋肉が敏感に反応して効果が表れやすくなります。

    頬のシワ、たるみ、くすみの解消は「巨髎 (こりょう)」

    小鼻の両脇、頬骨の最も高い場所のすぐ下にあるツボ

    頬のシワ、たるみ、くすみの解消は「巨髎 (こりょう)」

    お顔全体のリフトアップは「率谷(そっこく)」

    耳全体を前に折り曲げて耳の穴をふさいだとき、折った耳の上端が当たるところから、指の幅2本分上の所

    お顔全体のリフトアップは「率谷(そっこく)」

    フェイスラインがすっきりする「天容(てんよう)」

    耳たぶからフェイスラインを指でなぞっていくと下あごの骨の角があり、その首側の場所

    円皮鍼でシミ対策

    シミができる仕組みをまず理解しましょう。まず紫外線によって、角質や表皮の細胞に炎症を伝えるエンドセリンという成分が生じます。そしてメラノサイト(メラニン色素をつくる細胞)に指令が伝わり、チロシナーゼという酵素が活性化して、そこにあるチロシンという成分からメラニン色素がつくられます。そのメラニン色素が濃くなってメラニンができ、そのメラニンが筋子状(メラノソーム)に大きくなり表皮の細胞に受け渡されます。それがシミとなってお肌に現れます。

    ポイントは肌の細胞からエンドセリンという成分がメラノサイトへの刺激になることによってシミ生成のスタートになるということです。さらに過剰な紫外線や加齢などでオートファジー機能が失われると、紫外線が当たってなくてもメラノソームがエンドセリンを増やし、シミをつくり出す負のスパイラルがあることが研究で分かっています。

    出きてしまったシミを消す、薄くすることは美容鍼であっても難しいですが、円皮鍼によって血流を促進することで、シミを作らないお肌のベースをつくることは可能です。紫外線の強くなる季節、先回りしてシミ対策をしましょう。

    美肌には血行をよくすることが大切です。血行が悪くなると老廃物の排出が滞り、肌にも栄養も届かなくなります。円皮鍼・マグレインで血行を促進して美肌を目指しましょう!

    シミ・肝斑に効果的な美容内服

    シミや肝斑、日光黒子(老人性色素班)、脂漏性角化症、ADMなど沢山の種類のシミあり、美容鍼灸のような自然治癒力を活かして治療することが難しい場合は、現代美容医療の力を借りて、ピコトーニング、シミ取りレーザー(ピコスポット)、ゼオスキン治療などで一気に治療して、アフターケアをしっかり行いながら、美容鍼灸などでシミを予防していく方が良いケースがあります。

    シミの予防では、美容内服や医薬品でケアすることも一般的になりつつあります。シミ・肝斑に効果的な美容内服としてメジャーなものに、トラネキサム酸、シナール、パントテン酸、ハイチオール、ユベラがあります。

    トラネキサム酸は、肝斑に特に効果があり、紫外線や女性ホルモンの影響でプラスミンという物質を抑える効果があります。このプラスミンによってメラノサイトは活性化し、メラニンが過剰に産生されることで肝斑が悪化するため、これらを防ぐのがトラネキサム酸です。古くから内服されていて安全な薬の一つですが、例えば脳梗塞、心筋梗塞、血栓傾向のある人、またはピルを内服している人は内服できません。また妊娠・授乳・妊活中の人も控えて頂いた方が良いと思います。このトラネキサム酸は市販でも購入できるため、知らずに飲んでいる方も多いため、必ず注意点を確認して内服していくことが大切です。

    シナールは、ビタミンCとパントテン酸カルシウムが配合されており、ビタミンCはメラニン色素を抑え、さらに黒くなったメラニン(黒色メラニン)を還元して無色化していきます。その他の効果として皮脂分泌を抑え、ニキビの改善やコラーゲン生成も促進し、シワの改善や肌質改善を期待できます。抗酸化作用のある水溶性ビタミンであるため、あらゆる肌老化を防いでくれます。シナールは大きな副作用がなく安全性が高いですが、稀に胃の不快感、気持ち悪さ、吐き気、お腹を下す方もいます。

    パントテン酸は、別名ビタミンB5と呼ばれ、皮膚の健康維持を助ける働きがあります。

    ハイチオールは、Lシステインが主成分で、ビタミンC同様にメラニン色素の生成を抑え、黒色メラニンを還元化して無色化します。さらにターンオーバーを正常化してくれることで、溜まったメラニンを体の外へ押し出す効果もあります。シナールと同様にお腹を下したり、稀に腹痛が出る方がいます。

    ユベラの主成分はビタミンEで、血流を促進して皮膚の代謝を上げ、ターンオーバーを促進する働きがあります。シミやそばかす、くすみなどを改善してくれます。また抗酸化作用によって紫外線のダメージから皮膚を保護して、新しいシミをできにくくする効果があります。胃の不快感、便秘、下痢などの胃腸症状が出る場合があります。

    トラネキサム酸以外は大きな副作用がなく、安全性が高いですが、体に合わなければすみやかに内服を中止しましょう。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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