
炭水化物(糖質)中心の生活がもたらす危険性を指摘した論文がランセットという医学雑誌に掲載され世界中が衝撃を受けました。
この研究は世界18カ国、合計13万5千人を対象として10年かけて食事のバランスと死亡や生活習慣の関係を調査したものです。結論は炭水化物の摂取量が多いグループほど死亡率が高いということです。また脂質の摂取量が少ないほど死亡率が高く、脳卒中の発生率も高いことも分かっています。
また、カロリー制限がダイエットにも血糖値のコントロールにも良いというのは間違った考えです。糖質が肥満と糖尿病の原因であり、痩せるためには糖質制限をする以外の方法はあり得ません。
炭水化物(糖質)で太る理由
太るのは脂肪が原因であり、カロリー制限をすることが必要という常識がありますが、これは間違った結論が世界中に広まった結果です。アメリカの糖尿病学会では、現在は糖質こそ肥満と糖尿病の原因であるとの見方に修正されています。
糖質を必要以上に摂ると、その余ったブドウ糖はグリコーゲンに替えられ、筋肉や肝臓に貯蔵されていきます。そして貯蔵できなくなると脂肪として体内に溜め込みます。つまり糖質を摂りすぎてブドウ糖が余ると太るのです。
逆に糖質を制限するとエネルギー源であるブドウ糖が不足しますが、脂肪(β酸化作用)を燃やしてエネルギーとして使います。結果として痩せていくのです。
古来、人は脂質やタンパク質を摂って生きるようにできていたはずなのに、特に糖質の過剰摂取により肥満や糖尿病などの生活習慣が多発するようになったのが現代人の特徴です。
また糖質が辞められない理由は、脳にあります。糖質を摂って血糖値が上昇すると、ドーパミンやセロトニンが放出され、脳が快楽を得ます。この脳の快楽によって、体が糖質を必要していない時でも、糖質を求めてしまいます。これを糖質中毒と言い、脳が快楽のために糖質を摂ること命令して、自己制御できなくなるのです。
糖質制限しても体に悪影響はありません。人の体は糖質がなくても、筋肉や肝臓に摂り込まれていたグリコーゲンを分解して、ブドウ糖に戻して血中に放出しエネルギー源とします。それが無くなると、中性脂肪がエネルギーとして使われ、一部がブドウ糖として血中に戻されます。この中性脂肪が使われることで痩せていくのです。
注意するべき点は、ダイエットのため、フルーツジュースを朝一杯だけ飲んでいる方いらっしゃいますが、その含まれる果糖はGI値が低いにも関わらず、肝臓でしか代謝できないという性質があります。つまりその他の糖に比べて太りやすいということです。そのため食物繊維などの有効成分と一緒に摂取することが必要なのですが、フルーツジュースにした時点で食物繊維が失われているため、研究によると糖尿病のリスクが上がることが指摘されています。
糖質制限する時に注意する点
糖質を制限する時に、糖質を減らす分、タンパク質と脂質を沢山摂ることが必要です。その時にプロテインなどの人工的な大量のタンパク質を飲むべきではありません。摂りすぎてしまうと腎臓に負担がかかります。なるべく普段の食事から摂るようしましょう。特にタンパク質よりも脂質を6割程多く摂るように心掛けましょう。
糖質制限をして体調不良になってしまうケースの殆どは、糖質制限しただけで、タンパク質と脂質の量が変わらないため、体に必要なエネルギーが不足してしまうからです。しかしながらどの程度の糖質制限するが良いのかは、個々の生活環境などバラバラなため、不調気味だなと思ったら糖分を補給するなどしてまずは試しながら糖質制限することをオススメします。
また、糖質制限により、肉や脂質の食事量が増えて、コレステロールが高くなるという俗説もありますが、これも間違った考え方です。研究によれば、肉や脂質の摂取量が増えても、糖質制限することで、悪玉コレステロールの値が、善玉コレステロールに対して相対的に低くなることが分かっており、むしろコレステロール値は改善するのです。またコレステロールの大部分は肝臓でつくられるため、沢山食べても肝臓がそのバランスを調整してくれ、コレステロールが上昇することはありません。
ダイエットと低血糖
糖質制限という言葉が一般的になり、血糖値が上がりすぎるのはダイエットだけでなく、健康に良くないこともご存知であると思います。血糖値が上昇によって、インスリンが分泌され、その反動で低血糖になってしまう血糖値スパイクが様々な問題を体に引き起こします。
一方で、インスリンは血糖値を下げるだけでなく、脂肪を蓄積するという働きがあります。糖質制限ダイエットは、血糖値を上げないようにすればインスリンが出ずに太らないというものです。しかし低血糖状態は、体を動かすために必要なエネルギー源が少なくなってしまった状態であり、低血糖になると体は食欲を強めたり、無駄にエネルギーを使わないように代謝を下げたりしてしまいます。
つまり、血糖値は上がりすぎるとインスリンが過剰に分泌されて脂肪が付きやすくなり、血糖値は下がりすぎると食欲や代謝が乱れて痩せにくくなる関係があります。多くの人が血糖値の上がり過ぎには気を使いますが、実は血糖値の下り過ぎによって食べ過ぎてしまうことがダイエットに失敗する原因になっていることがあります。
糖質制限で夜間低血糖
このように適度な血糖値の上昇は、食欲を抑えたり代謝を上げたりすることにも繋がります。そのため血糖値を適正範囲内で抑えるということが大切です。
具体的には、約80mgから140mg/dLの間が低血糖と高血糖の問題が起こりにくい血糖値の範囲です。例えば血糖値が60から70になると、甘いものへの欲求、冷えやイライラなどの低血糖の症状が現れます。逆に高血糖になると糖化や酸化のリスクが高くなると言われています。
そして、ダイエットにおいて問題なのが、夜間低血糖です。その通り寝ている時に血糖値が下がってしまう状態ですが、夜中に目が覚める、歯ぎしりをする、悪夢を見るといった問題が起こります。なぜなら低血糖は、体にとって危機的な状況なため、それを回避しようと体を興奮させるアドレナリンが作られて、体が緊張状態なります。つまり夜間低血糖になると睡眠の質が低下します。その結果、食欲と代謝に関わるグレリンとレプチンというホルモンのバランスが崩れて、食欲や代謝が乱れてしまいます。
バランスの良い食事と睡眠
タンパク質や脂質、食物繊維には血糖値を抑える働きがあり、例えばタンパク質や脂質には血糖値を抑えるインスリンの分泌を促す働きがあります。そして食物繊維には、糖の吸収を緩やかにするという作用があり、糖質単体で食べるよりもタンパク質や脂質食物繊維を一緒に取る方が血糖値の上昇は緩やかになります。
一方で、寝不足やストレスが血糖値のコントロールに関わるコルチゾールの分泌を不安定し、血糖値が上がる原因になります。寝不足やストレスを受けると、コルチゾールがたくさん作られますが、そのコルチゾールを作る副腎という臓器が疲弊して、やがてコルチゾールを作らなくなります。このように寝不足やストレスによって血糖値が不安定になることが多く、睡眠を改善するだけで血糖値が安定することが多くあります。
さらに、ビタミンとミネラル不足が血糖値に影響しています。ビタミンC、B、亜鉛、マグネシウムは血糖値のコントロールのために重要な栄養素です。これらの栄養素は不足しやすく、かつコルチゾールの産生に深く関わっています。コルチゾールは腎臓の上にある副腎というところで作られています。寝不足やストレスなどによって低血糖になると、脳から副腎にコルチゾールを作る司令が届き、血糖値が上がります。その副腎の働きに必要な栄養素がビタミンC、B、亜鉛、マグネシウムの4つです。
甘いものを食べたい理由
甘いものを欲する原因は、カロリー不足です。食べる量が少なくてカロリーが不足していると甘いものを過剰に欲するようになります。なぜなら体は手早くエネルギー不足を解消したいからです。基本的にカロリー計算は必要ないですが、カロリー不足の可能性がある人は、カロリー計算をするようにしましょう。
また、過度な糖質制限、もしくは太るからと夕食の炭水化物を抜くと甘いものを食べたくなります。なぜなら体は、カロリーが足りていても、糖質が不足していたら甘いものを欲するからです。糖質制限して、タンパク質や脂質をしっかり取っていても、主なエネルギー源は糖質です。さらに糖質制限で、低血糖になると甘いものを過剰に欲するようになります。低血糖の症状には、異常な空腹や手足の冷え、イライラ、脱力感、夜中に目が覚めるなどが挙げられます。
そして、睡眠不足も甘いもの欲する原因になります。なぜなら寝不足は、食欲に関わるホルモンのバランスを崩してしまうからです。食欲は、レプチンと呼ばれる食欲を抑えるホルモンとグリリンと呼ばれる食欲を強めるホルモンのバランスによって作られています。寝不足になるとレプチンが少なくなってグレリンが増えてしまうということが明らかになっています。また寝不足になると自律神経のバランスが崩れて低血糖になりやすく、疲れやストレスも感じやすくなり、甘いものを欲するようになります。
一方で、女性は鉄不足には注意するようにしましょう。鉄は、炭水化物や脂質などの栄養素からエネルギーを作り出す過程で必要不可欠なミネラルであり、エネルギー源となる食べ物をたくさん食べてもそれがエネルギーに変換されなければエネルギー不足になります。
さらに、亜鉛不足も甘いものを欲する原因になります。なぜなら亜鉛が不足すると味覚が鈍り、刺激が強い甘味が欲しくなります。例えばサラダなど味が薄いものにドレッシングなどをドバドバとかけているなどは、亜鉛が不足している可能性が高いです
最後に疲れ、不安、ストレスも甘いものを欲する原因になります。なぜなら体や脳は疲れをエネルギー不足と解釈するからです。慢性的に疲れを感じている人は、疲れて甘いものを食べている可能性が高いです。不安やストレスも甘いものを欲する原因の一つになります。なぜなら甘いものを大量に食べると、一時的にストレスや不安が軽くなるからです。甘いものを大量に食べるとドーパミンが脳内で作られ、モヤモヤやイライラが軽くなります。さらにドーパミンだけでなく、幸せホルモンのセロトニンの分泌を促すことが分かっています。
コーヒーと甘いスィーツで太る
コーヒーに含まれるカフェインの作用に基礎代謝が上がる効果があります。カフェインを摂取すると交換神経が刺激され、基礎代謝が促進されます。標準的な運動量の場合最もカロリーを消費するのは基礎代謝であり、基礎代謝は1日の総消費カロリーの約60%を占めています。つまり基礎代謝を上げることがダイエットに大切なことになります。またカフェインは脂質の代謝を促進すると言われています。
そして、コーヒーにも食べ合わせがあります。コーヒーには、甘いお菓子が合いますが、それは良くない組み合わせです。実は甘いものは食べ過ぎると中性脂肪に変わりますが、カフェインは糖質がエネルギーに変わる前に中性脂肪に変えてしまう働きがあります。その結果、血液がドロドロになり、その上に苦みのあるコーヒーと甘いものの組み合わせは、甘いものを食べ過ぎてしまう可能性も高くなることが分かっています。またチョコレートにもカフェインが含まれており、カフェインの摂り過ぎになる可能性もあります。
そしてコーヒーに相性の良い食べ合わせがバナナです。バナナにはビタミンB、必須アミノ酸、食物繊維など様々な栄養が入っており、コーヒーと一緒に摂取することで便秘が解消する効果が期待できます。他にも代謝がアップして美肌効果もあります。他にも豆類(ナッツ、ピーナッツ、落花生、アーモンドなど)、特にアミノ酸のアルギニン酸が豊富な食品と一緒に摂るのが良く、体脂肪の減少に効果的です。
甘いものに依存する理由
糖質の過剰摂取は、体内の慢性炎症、片頭痛、不眠症、歯周病、心臓病、免疫低下、腎障害、不安やイライラ、糖尿病などありとあらゆる不調を引き起こす原因になります。糖質が恐ろしいところは、体へのダメージがゆっくりと進み、気がついたら糖尿病になっていた、老化が進んでいたなどなど取り返しのつかない事態になって始めて気づくことでしょう。
この糖質は、中毒になる可能性が非常に高い物質と言われ、アルコールやニコチンなどの依存性物質と同じように、脳や神経を変化させてしまう物質です。糖質は、薬物と同じように欲求や快楽を司る神経伝達物質のドーパミンを脳内に溢れさせます。ドーパミンは心地いい気持ちにさせてくれるため、その快楽を忘れることができずさらなる欲求を満たそうとドーパミンの分泌を求めて、糖質を取りたいという衝動にかられてしまいます。
さらに、糖質を食べると血糖値が急激に上がってしまうため、血糖値を一定に保とうとインスリンが分泌されます。インスリンは急上昇した血糖値を下げて糖質を細胞内に取り込ませてエネルギーに変換する働きをしてくれます。しかし糖質を摂取しすぎるとインスリンは、満腹を感じるホルモンであるレプチンをブロックし、何度もブロックされるとレプチン抵抗性を引き起こし、満腹を感じられなくなってしまいます。その結果、毎回の食事で食べ過ぎてしまうようになります。
一方で、余計に分泌されたインスリンは、脂肪の燃焼を止めて、脂肪を蓄積し始めるという厄介な作用まであります。だからこそ糖質制限の一番の効果は、内分泌系の働きを正常に戻すこと、つまりレプチンとインスリンの働きを元通りにすることに他ならないのです。
体内の糖質の量を減らせばインスリン値が正常に戻ります。インスリン値が正常に戻れば、レプチン抵抗性が解消されて満腹を感じるようになり、自然と食べ過ぎになることをやめることができます。このような糖質制限のメリットは多くのダイエット本で述べられていますが、糖質の依存性に対する対策についてはほとんど触れられていません。糖質依存から抜け出すには行動を変えていく必要があります。
糖質制限を続ける技術
糖質依存は、物質への依存と行為への依存の2つの依存があります。前者は、ドーパミンを分泌してくれる白いご飯や麺類、甘いお菓子などのおいしい食べ物に対する依存のことです。後者はなんとなく冷蔵庫を漁ってしまう、朝にコンビニに 立ち寄るのが習慣になっている、仕事帰りにコンビニでスイーツを買うなど、その行為自体に依存してしまっていること状態のことです。
そもそも、糖質制限が続かないのは、自分の意思の弱さではなく、糖質が神経伝達物質や内分泌系に作用して依存性を発揮してしまう物質だからです。糖質制限を続けるためには、単純な意志の力で行うのではなく、テクニックが必要となってききます。
一度、甘いものを食べたくなったら、糖質を食べるまで収まらないような気がしてきますが、実は糖質依存の症状は一時的なものです。大抵の場合、数十分もすれば甘いものを食べたい、ラーメンを食べたいと言った糖質への渇望は消えていきます。その最も効果的なテクニックは、額や首を冷したり、腹式呼吸を行うことです。
大きな不安やストレスを抱えている時、私たちは本能的な行為に走ってしまい、糖質という簡単に不安やストレスを解消してくれる依存性のある食べ物に頼ってしまいます。この時に、不安やストレスを食べ物に頼らずに解消するためには、心を落ち着かせる神経系である「副交感神経」を活性化させることが必要になります。副交感神経を刺激することで、血圧と心拍を抑えるホルモンが分泌され、欲望に逃げることなく気持ちを落ち着かせることができます。その副交感神経を刺激するテクニックとして有効なのが、冷たさを使うことです。
例えば、冷たいタオルを額、首、まぶたなどに押し当てると血流が脳や心臓に集まり、呼吸や心拍が落ち着き、呼吸や心拍が下がってくると、興奮状態の感情が落ち着きリラックスすることで、暴飲暴食をしたいという気持ちも薄れてきます。
また腹式呼吸を組み合わせることで副交感神経を活性化させることができます。
それでも糖質制限にチャレンジ
日本食は健康的というのも間違った考えです。36年間に渡り日本各地の長寿者が多い村と短命者が多い村を調査した東北大学近藤名誉教授によると、白米を沢山食べているほど短命であると著しています。
効果的に糖質を抑える最も簡単な方法はご飯、パン、麺類などの主食を食べないことです。肉や魚などのタンパク質を多く含む主菜を食べること、オススメは余分な脂肪のない赤み肉です。和牛の霜降り肉のように人工的に太らせたお肉はNG、魚は刺身などシンプルに食べるのが正解です。また豆腐のような植物性タンパク質の大豆製品を摂りましょう。
また、脂質はエネルギー源だけでなく、細胞膜の生成としても欠かせない要素です。良い脂質として、不飽和脂肪酸の「オメガ3」と「オメガ9」の摂取が推奨されています。オリーブオイルや青魚に多く含まれていますので、野菜類と一緒に食べましょう。
更年期メタボ
同じものを食べていても、なんだかお腹周りだけが太くなってきた気がする。それは更年期メタボかもしれません。実は私たちの体はホルモンによって影響されていて、特に女性は更年期と呼ばれる閉経前後の5年間とその後10年間ぐらいは、体の変化が起こりやすくなります。例えばお腹回りが大きくなったり、太りやすくなったりするのも更年期の症状の1つです。
そして更年期は、卵巣機能が徐々に衰え、女性ホルモンの分泌が低下し、様々なことが起こるのが更年期障害です。女性ホルモンのエストロゲンがお腹回りのぽっちゃりにも関係し、女性は内臓脂肪よりも皮下脂肪に貯めやすい傾向があります。また更年期になり女性ホルモンが低下すると内臓脂肪にもつきやすくなってきます。
特に食べてエネルギーが余ると内臓脂肪になりやすい傾向があるため、同じように食べていたとしても、年齢的に代謝も落ち、さらにエストロゲンも低下するので皮下脂肪ではなく内臓脂肪につきやすくなってお腹回りが大きくなってきます。
さらにお腹周りだけが太るだけではなく、これによって動脈効果が進むことが挙げられます。エストロゲンが下がると皮下脂肪から内臓脂肪型になるだけではなく、血管が硬くなっていってしまいます。そして内臓脂肪が蓄積しやすなり、血管が硬くなってくると血圧が上がったり、コレステロールの中でもLDLコレステロールという悪玉のコレステロールが増えるようになってきます。その結果、悪玉のコレステロールが硬くなった血管に貼りついてしまって硬くなった血管を一生懸命押し出そうとして、また血圧が上がってしまう負の連鎖になってしまいます。
このように更年期になりエストロゲンが下がると血管が硬くなってしまいます。元々エストロゲンはコレステロールから作られますが、エストロゲンが少なくなることはコレステロールが余ることになります。この余ったコレステロールが血管に蓄積してしまうことになり、さらに動脈効果が進んでしまうことになります。
また、閉経前は骨粗しょう症を防ぐためにカルシウムを摂りましょうと言われており、エストロゲンが下がることによって骨密度も低下していくためカルシウムも必要です。しかし、例えば牛乳や小魚はコレステロールも多い食材です。特に小魚はコレステロール値が上がりやすい食材でもあり、例えばシラス50gに含まれているコレステロールは125gもあり、卵1個分ぐらいと言われています。つまり小魚ばかりを食べていると、実はLDLのコレステロールという悪玉のコレステロールが増えやすくなってしまいます。
また、ナッツも油という意味ではやっぱり多くなってきます。食べすぎてしまうことによってコレステロールが上がるので体によかれと思って食べすぎてしまわないように気をつけましょう。
一方で、運動することも大切なことですが、運動自体は内臓脂肪を低下させてはくれますが、コレステロール自体はそれほど下げないと言われています。つまり運動だけではなくて食事も大事なので、両方を一緒にしていくことが大事です。
食事については、LDLコレステロールを下げるのは食物繊維と言われており、食物繊維をしっかり摂ることによってコレステロールが減り、血糖値の急激な上昇を抑えることができます。特に食物繊維の中でも発酵性の食物繊維は脂肪の代謝が上がると言われています。この発酵性食物繊維は、酪酸、酢酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を作り、この短鎖脂肪酸が脂肪の代謝を促し、内臓脂肪型に移行していくのが抑えてくれる可能性があります。
もちろん食べただけで内臓脂肪がなくなる、痩せるわけではないですが、皮下脂肪から内臓脂肪に貯めやすくなっているものをある程度は抑えてくれる可能性はあります。また発酵性の食物繊維自体が食事量をしっかりとコントロールして満腹感を得やすいので、うまく発酵性の食物繊維を利用して皮下脂肪から内臓脂肪に行くものを抑えたり、食べすぎを予防することができます。
東洋医学で診る「中年太り」
東洋医学では、中年太りの原因を体のバランスやエネルギーの流れの乱れと捉えます。具体的には中年太りを陰陽のバランスの乱れ、つまり体のバランスを陰と陽の相互作用として捉えます。陰は体の内側に位置し、陽は外側に位置します。例えば陽性のエネルギーが過剰になると内臓脂肪が増加しやすくなり、気の滞りや血の滞ることによって引き起こされると考えます。この気の滞りや血の滞りは、ストレスや不規則な食生活、運動不足などが原因です。これによって体の新陳代謝が低下し、脂肪が蓄積されやすくなります。
また、東洋医学では脾の働きが消化吸収や体内の水液循環に重要な役割を果たすと考えます。脾の機能が低下すると食べ物の消化吸収が不良になり、水分代謝が乱れて体重増加につがるとされています。
一方で、体の冷えも中年太りの原因の1つとして考えられます。体が冷えると代謝が低下し、脂肪の蓄積が促進されます。また冷え症の人は食欲が増進しやすく運動不足になりやすい傾向があります。
このような中年太りは様々な研究が行われており、実は中年太りは加齢に伴って太りやすくなる現象ですが、そのメカニズムは不明でした。この研究では、脳の視床下部にある神経細胞の構造が変化することで中年太りが引き起こされているのではないかと探られました。
研究グループはラットを用いて代謝や摂食を調節する脳の視床下部の神経細胞ニューロンに着目し、特に抗肥満機能を持つ「メラノコルチン4型需要体(MC4R)」の細胞内局在が加齢によってどのように変化するのかを調査しました。このMC4Rは脂肪が蓄積するにつれて太ってきているという情報を受け取り、代謝を促したり食べる量を減らしたりする指令を出すタンパク質です。研究グループは、MC4Rを可視化できる信頼性の高い抗体を用いて調査した結果、MC4Rが視床下部ニューロンのアンテナ構造に局在し、その一次繊毛が加齢に伴って退縮することを明らかにしました。
局在一次繊毛の退縮は、過栄養状態で促進され、ラットが摂取する餌の量を制限すると抑制されました。この研究成果は、肥満の根本的な原因に迫るものであり、肥満に起因する糖尿病などの様々な生活習慣病の未病段階での予防法や画期的な治療法の開発につがることが期待されています。
東洋医学で診る「太りにくい体づくり」
人の身体を構成し、全身を巡る3つの要素が「気•血•水」です。
- 「気」は、元気や気力などの生命エネルギーのことで、神経機能を担います。
- 「血」は、全身を巡って栄養を運ぶ血液のことを主に指します。
- 「水」は、水分の代謝や免疫系など血液以外の体液のことです。
東洋医学では、太りにくい体づくりは「気•血•水」のバランスを整え、代謝を活発にすることで、脂肪がつきにくくなり太りにくい体になっていくと考えます。
「気•血•水」は中医学的には五臓(肝・心・脾・肺・腎)と合わせて考える必要があり、複雑な仕組みの上に成り立っています。例えば「食べること(脾胃の機能)」や「呼吸すること(肺の機能)」で「気」がつくられます。食べ物が消化されたものから「水」がつくられ、消化されたものと「気」から「血」がつくられます。つくられた「血」は「肝」に蓄えられ「心」の働きで全身に巡り、「水」は「肺」の働きで同じく全身に巡ります。最終的に水は「腎」から排泄され「血」は肝に入り、睡眠中に浄化されます。
このサイクルの中で、胃腸の働きが悪いと、体の脂肪を燃焼させる働きも低下してしまいます。つまり胃腸が弱いと基礎代謝が低下して、返って太ってしまうことさえあるのです。また肝臓には、食物から吸収された栄養素をからだが利用しやすい形に分解・合成する「代謝」の機能があり、肝臓の疲れも太ってしまう原因となります。
東洋医学で胃腸は「脾」、肝臓は「肝」です。「脾」や「肝」の働きを高めることは脂肪を燃焼しやすい体づくりに効果があります。
太りにくい体づくりのための代謝
太りにくい体づくりには、代謝を意識する必要があります。代謝は生きて行くのに必要なエネルギーを作り出すことですが、消費されるエネルギーを上げることで太りにくい体質になります。代謝には生活活動代謝、食事誘発性熱産生、基礎代謝の3種類があります。
生活活動代謝は、日常生活の中で体を動かすときに消費されるエネルギー代謝のことです。1日に消費されるエネルギーのうち、約30%が生活活動代謝です。日常生活の活動量を上げるため、なるべく歩くこと、テレビを見ながら腹筋するなどの「○○しながら運動する」ことを意識してみましょう。
食事誘発性熱産生は、簡単に言うと食事によって栄養素が分解される時に、そのエネルギーが消費される過程で体が温かくなることで発生します。1日に消費されるエネルギー量のうち食事誘発性熱産生は約10%です。最も効果的なのは、よく噛んで食べることです。よく噛むことで満腹感を得られるだけでなく、代謝を上げてくれる効果もあります。
そして、最も重要なのが基礎代謝です。1日に消費されるエネルギー量のうち、約60%と大きな割合を占めています。基礎代謝の約30%は肝臓や腎臓といった内臓が占め、次に筋肉が占める割合が20%前後です。つまり、肝臓や腎臓といった内臓を労わり、運動などで筋肉をつけていくことが大切です。特に肝臓が占める基礎代謝量は全体の21%と高く、基礎代謝を上げるために肝臓をケアしましょう。
就寝3時間前には食事を終えるようにして、寝ている間に肝臓を含めた内臓をしっかり休ませてあげることを心がけましょう。 と、内臓の中でも大きな割合を占めています。肝臓は代謝、解毒、エネルギーの貯蔵、胆汁の生成・分泌と様々な働きを担っているため、知らず知らずのうちに肝臓を疲れさせていることも。基礎代謝を上げるためには、肝臓を疲れさせないことも大切です。
代謝が上がる抹茶
抹茶と緑茶は原材料の茶葉の種類はほとんど同じですが、抹茶の方が手間暇かけてつくられているため、抹茶1杯に含まれる抗酸化物質は緑茶約3カップ分相当となり、健康効果がさらに高いことが知られてきました。この抗酸化物質は体の酸化を予防し、細胞の損傷を減らし、慢性疾患を予防してくれる効果があります。
一方で減量のためのサプリメントを見てみると緑茶抽出物と書かれているものが多いように、抹茶や緑茶の痩せる効果が知られています。実際、研究でも代謝を促進して、エネルギー消費を増やし、脂肪燃焼を促進するのに役立つことが示唆されています。適度な運動中に緑茶抽出物を摂取すると脂肪燃焼が17%増加することも確認されており、サプリでもプラセボと比較して24時間のエネルギー消費が大幅に増加したことも分かっています。さらに緑茶が体重を減らし体重減少を維持するのを助けてくれるという研究も数多くあります。
さらに抹茶に含まれる「リパーゼ」という脂肪の分解を促進する酵素の働きを活性化させる働きがあり、その働きによって体内の脂肪が分解され、エネルギーとして消費されるようになります。また食物繊維も多く含まれているため、腸内環境を整えてくれるとともに、血糖値の上昇をゆるやかにしてくれて太りにくい体質づくりができます。このようにダイエットに強い味方になるのが抹茶です。
ただし、1日2杯(474ml)までにしておきましょう。なぜなら農薬や土壌汚染リスクがあるためです。どんなに体に良い食べ物や飲み物でも適量を摂取することを心がけましょう。
太りにくい体づくりのツボ
太りやすい理由には「脾」の消化作用が関係しています。そのため、まずは体調を整えるツボで「脾」の働きを高めて、食べたものがきちんと消化されることで、健康的で美しい体を保ちましょう。
血の巡りをよくする
三陰交(さんいんこう):内くるぶしから指4本分、上にいったところの骨ぎわ。

胃腸の働きを回復
足三里(あしさんり):膝の下の外側のくぼみから、指4本分下がったところ。

消化機能を整える
曲池(きょくち):ひじを曲げたときにできるシワの、親指側のきわ。
肝臓の疲れを取る
肝兪(かんゆ):背中の真ん中から、指2本分ぐらい外側の位置。

もちろん本格的に痩せたい方は運動を取り入れることがベストです。ぜひダイエットのサポートとしてご活用ください。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。