免疫ビタミンの健康効果

    免疫ビタミンの健康効果

    ビタミンCは水溶性ビタミンの1つで、哺乳類の多くの動物は体内に酵素を持っており、ぶどう糖からビタミンCを合成することができます。しかし人などの一部の動物は、その酵素を持っていないためビタミンCを合成できません。そのため食事からビタミンCを摂らないといけません。

    また、ビタミンCはアスコルビン酸とも言われ、体内では通常還元型のL-アスコルビン酸、もしくは酸化型のL-デヒドロアスコルビン酸の形で存在しています。またビタミンCは科学物質でもあり、他の物質と化学反応を起こす性質を持っています。例えば骨や腱などを結合するタンパク質であるコラーゲンを生成する際にもビタミン Cが必要で、体では化学反応が起こってコラーゲンが合成されています。そしてコラーゲンは肌や骨、血管などの組織を作るのに必要であるため、ビタミンCが足りないとコラーゲンも不足して血管が脆くなって 出血しやすくなるリスクも出てきます。

    他にも、日焼けによるシミを防ぐ効果、ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑える、体の細胞を守るなど役割があり、つまり抗酸化作用で体の免疫力を高めて細菌やウイルスの侵入を防ぐ効果があります。また抗酸化作用により老化を進めてしまう活性酸素を減らす効果、鉄分の吸収を促進して貧血を予防するにも役立ちます。

    このビタミンCが沢山含まれている食べ物としてアセロラが断トツです。100gあたり1700mgもあります。そして青汁もビタミンCが豊富で、100gあたり1100mgあります。一般的には柑橘類やトロピカルフルーツ、野菜類などもビタミンCが多く含まれています。

    そしてビタミンCを含むビタミン類は、私たちの健康に不可欠な微量栄要素です。私たちが健康な生活を送るためには毎日の食生活でバランスよく十分な栄養を摂る必要があります。例えば炭水化物、タンパク質、そして脂質は身体を動かすエネルギーや身体の様々な組織を作ることに利用されています。そしてそれらの栄養素を体内で活用するために必要となるのがビタミンやミネラルといった微量栄要素です。

    ちなみにビタミンとミネラルは微量栄要素、炭水化物、タンパク質、脂質は多量栄要素とも呼ばれます。またミネラルは 1日あたりの必要量によって、多量ミネラル 7種類と微量ミネラル9種類に分類されています

    ビタミンは体内で十分な量を合成できないため、食事から摂取する必要があり、ビタミンはエネルギー産生栄養素のタンパク質、炭水化物、脂質とは違い、人体の機能を正常に保つために必要な有機化合物です。そしてビタミンには様々な種類があり、食品に含まれている栄養そのうちビタミンと呼ばれているものには13種類があり、それぞれが体内で特定の役割を果たします。

    これらは脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンの2つのグループに分けられ、脂溶性ビタミンは水に溶けにくく、油脂やアルコールに溶ける性質を持ち、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKが該当します。

    水溶性ビタミンは水に溶けやすく、油脂に溶けにくいビタミンC、ビタミンB1ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、この9種類が水溶性ビタミンです。ビタミンC以外はまとめてビタミンB群と呼ばれます。

    脂溶性ビタミンの特徴

    ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持に効果があり、視覚に関わる色素タンパク質の生成、身体の成長などに関わっています。豚や鶏のレバー、ウナギなどの動物性食品に多く含まれています。あとビタミンAの前駆体であるプロビタミンAとして人参やほうれん草などの緑黄色野菜に含まれています。

    ビタミンDは、骨の健康を支え、カルシウムの吸収を促進するため、ビタミンDが欠乏すると筋肉痛、筋力低下、骨の痛みを起こすことがあります。他にも倦怠感や頭痛、脱力感、さらには認知障害を発症することがあります。世界で最も権威のある科学雑誌ネイチャーによるとビタミンDが欠乏すると肝不全、腎不全、吸収不全、感染症、心筋梗塞、妊娠中毒、不妊症、骨粗鬆、膠原病が増えると言われています。

    ビタミンEは、細胞膜に存在し健康維持を助け、さらに抗酸化作用があるため細胞を損傷から守ります。様々な食品に含まれているため、極端に偏った食生活をしていない限り不足することは稀だとされています。

    ビタミンKは、血液の凝固に必要で、骨の健康を維持するのに役に立ちます。

    また食事から摂取する他に腸内細菌によっても合成されます。またビタミンEと同じで健康で一般的な食生活をしていればビタミンKが不足することはまずないと言って良いでしょう。

    水溶性ビタミンの特徴

    水溶性ビタミンのビタミンCは、皮膚や粘膜の健康維持に関わり、植物性食品からの鉄の吸収を促進する他、抗酸化作用があり、免疫系の機能を支えています。ビタミンB1は糖質代謝などの補酵素として働き、エネルギーの産生に深く関わっています。白米やパンなどが中心の食生活では、ビタミンB1不足の症状が起きる可能性が高くなり、ビタミンB1が足りなくなって引き起こされる病気に脚気があり、ビタミン欠乏症の1つで、ビタミンB1の不足によって心不全と抹消神経障害が起きる病気です。

    ビタミンB2には、糖質、脂質、タンパク質のエネルギー代謝や脂質代謝の補酵素としての役割を担っている他、皮膚や粘膜の健康維持にも関わっています。

    ビタミンB6は、体内でタンパク質、アミノ酸代謝に深く関わっている他に、赤血球のヘモグロビンの合成や皮膚や粘膜を健やかに保つ効果があります。そしてビタミンB12は、アミノ酸や脂肪酸の代謝の補酵素として働いており、赤血球の形成にも関与しています。

    ビタミンB群のナイアシンは、別名ビタミンB3で糖質、脂質、タンパク質から細胞でエネルギーを産生する際に働く酵素サポートしています。またビタミンB5とも呼ばれるパントテン酸は、様々な食品から摂取でき、補酵素の材料としてエネルギー代謝に関与しています。そしてビオチンの別名は、ビタミンB7 あるいはビタミンHで、健康な皮膚や髪、爪を維持し、炭水化物と脂質の代謝を助ける働きがあります。ビオチンもまた一般的な食生活では不足することはないとされています。

    リスクのあるビタミン(研究段階)

    ビタミンA

    ビタミンAは、動物実験では皮膚がん、乳がん、肝臓がん、結腸がん、前立腺がんなど様々ながんに効果があるとされています。しかし研究では、ビタミンAが入っている状態と入ってない状態この2つを目隠し試験で2種類のグループに分けて投与する実験が行われたところ、実際に乳がんの家族歴のある人たち に行ったところ、閉経前の人に対しては乳がんのリスクが低下しましたが、進行性の乳がんに対しては効果がありませんでした。また別の実験では、肺がんの発症率が28%、全死亡率が17%上がってしまいました。さらにイギリスの情報データサービスによれば、ビタミンAのサプリメントを毎日飲んでいた人は、がんの死亡率が16%も高かったことが分かっています。

    葉酸とビタミンB12

    この2つ のビタミンは、虚血性心疾患や脳卒中、認知症の改善に効果があるとされていますが、別の研究ではエビデンスがなく、がんを増やす可能性が指摘されています。

    ノルウェーで行われたコホート研究によれば、葉酸とビタミンB12を摂取している人と摂取していない人で分けて調査したところ、非摂取グループのがん罹患率が8.4%だったのに対して、摂取グループは10%でした。つまり葉酸とビタミンB12を摂取することによるがん罹患率は19%増加したことになります。

    さらに死亡率は、非摂取グループが2.9%に対して、摂取グループが4%となりました。そして葉酸とビタミンB12の非摂取グループの総死亡率は13.8%、一方摂取グループの方は16.1%でした。つまり全体の死亡率でも16.7%上昇しています。

    高容量ビタミンC

    アメリカのがん専門クリニックによってビタミンCの効果について比較研究が行われており、大腸がん、胃がん、膵臓がん、肺がんなどの末期がん患者に対して高容量ビタミン療法を提案しました。

    参加者のうち半数に高容量ビタミンC 療法を行い、もう半数にはビタミンCの入ってない療法を施しました。しかしビタミンCを投与しようとしまいと寿命には、ほとんど代わりがなかったことが分かっています。

    さらに同クリニックは大腸がん、肺や肝臓に転移した患者に対し同じ実験を行ったところ、ビタミンCの大量投与グループの方が早く亡くなってしまいました。つまり高容量ビタミンCのがん抑性効果はないのが結論になっています。結局のところ病気になってから治そうとするよりも病気になる前の予防が大切です。

    ビタミンE

    ビタミンEは、抗酸化物質であり細胞へのダメージも防ぎ、虚血性心疾患や心臓病の予防効果もあるとされていますが、実は科学的根拠はないとも言われています。また加齢性黄斑変性や白内障などの目の疾患に利き目があると言われていますが、別の研究ではエビデンスがないとされています。

    また出血性脳卒中は増加すると見られており、そして1日400 IUつまり267mg以上ビタミンEを摂取した場合、前立腺がんのリスクが上がると考えられています。さらに目隠し試験の結果、ビタミンEの単独併用は全死亡リスクが増加するという結果が出ています。

    ビタミンD

    ビタミンDは、カルシウムの吸収を手助けしたり、骨の健康を維持する一方で、ビタミンDは、がんの罹患率や死亡率を下げる可能性があるビタミンとして研究されています。最近の研究で、ビタミンDの適切な血中濃度が、がん患者の全死因死亡及びがん特異的死亡のリスクを低減させることが示されています。

    例えばビタミンDが不足するとがんの死亡率が1.7倍に増加する研究があります。逆にビタミンDの摂取量が十分なら、がん患者の死亡率が0.5倍に下がるという別の研究もあります。またビタミンDサプリを毎日摂取したグループは、プラセボグループに比べてがんの種類に関係なく、がん死亡率が12%低く、70歳以上では17%低下していたという研究結果もあります。

    他にも、血清25-ヒドロキシビタミンDの値が、75nmol/Lまで高くなると全死因死亡及びがん特異的死亡のリスクが優位に低減しています。このように様々な研究が、ビタミンDとがんについて相関関係があることを示しています。

    一方で、国立がん研究センターもビタミンDの血中濃度が下がれば下がるほどがんの罹患率が上がると考えています。具体的には、40 nmol/L以上が充分で、40 nmol/L以下が不足し、20 nmol/L 以下だと欠乏症にあたり、この状態ではがんの罹患率が1.4倍になった人もいます。

    このビタミンDが豊富な食品は、天日干しの椎茸、焼きクラゲ、魚類ならシャケやイワシ、他には卵黄などが挙げられます。また直射日光が皮膚に当たるとコレステロールからビタミンDが生成されるため日光浴でもビタミンDが得られます。

    ビタミンCと一緒に摂るとリスクのある添加物

    安息香酸ナトリウム

    安息香酸ナトリウムは、様々な食品に使われている人工添加物で、酸型保存量に分類されています。食べ物が腐るのは細菌やガビなど微生物が増殖するからであり、食品を長持ちさせるために、その微生物の増殖を抑えるために食品に含まれている保存量です。そして保存量には、酸型保存量と非酸型保存量の2種類があり、酸型保存量は酸性の強い食品で効果を発揮するものです。具体的には、安息香酸ナトリウムを始め、ソルビン酸やプロピオン酸など、それらの酸型保存量は食品の酸性が強いと分子の状態で存在し、その状態が保たれていると食品についた微生物の細胞膜が通りやすくなります。つまり微生物の細胞内に入り込むと、微生物の増殖で重要な代謝作用をブロックして増殖を抑えます。

    一方、非酸型保存量は食品の酸性の度合に左右されず効果を発揮します。代表的な非酸型保存量はナイシンです。ナイシンは、微生物の細胞膜に穴を開けることができ、そこから微生物が生存や増殖するために必要なアミノ酸などが流れ出て、生存も増殖もできなくなります。

    安息香酸ナトリウムは、食品の腐敗を防ぐ防腐剤保存量として広く使われており、アメリカでは米国食品医薬品局の規定で安息香酸ナトリウムは、一般的に安全という分類に入っています。また国際的な安全基準の規定でも1日で体重1kg あたり647から825mgの摂取なら人体に影響がないとされています。

    一方で、安息香酸ナトリウムは医薬品としても使われており、アミノ酸に結合する作用があるため、尿素回路異常症の治療薬や統合失調症の療法に効果があるという研究もあります。

    またクランベリーやビルベリーなどのベリー類には多く含まれており、一般的な食材にも含まれています。他にもサラダドレッシングや炭酸飲料、ジャム、漬け物、キャビア、マーガリン、シロップ、醤油など、そしてフルーツジュースなどの飲料水、栄養ドリンクにも使われています。

    実はフルーツジュースや栄養ドリンクは糖分などの栄養成分が入っているため細菌が繁殖しやすくなります。つまり成分の上からも腐りやすい食品でもあり、腐らせないためにも防布剤として安息香酸ナトリウムが入っています。

    確かに微量なら人体に影響がないというデータがありますが、安息香酸ナトリウムは完全に無害ではありません。安息香酸ナトリウムを2%、5%ほど入れた2種類の餌を用意してラットの動物実験をした研究があります。それによるとその2種類の餌を4週間ラットに与えて飼育したところ、5%の餌を与えたラットの全部が尿失禁、過敏状態、痙攣などを起こして死亡しています。

    そして安息香酸ナトリウムと食べ合わせとして危険なのがビタミンCです。ビタミンCも安息香酸ナトリウムも化学物質ですが、ビタミンCと安息香酸ナトリウムが反応するとベンゼンという物質ができます。ベンゼンは発がん性物質であり、京都大学の論文「環境毒性物質とヒトがん原遺伝子との反応による発がんとその予知」で、その発がんするメカニズムが解明されています。安息香酸ナトリウムとビタミンCが一緒に摂取されると、ベンゼンが生成されることは以前から分かっていて、実際にイギリスでは清涼飲料水からベンゼンが検出されて問題になったこともあります。ベンゼンは体内で異物として残り、特に骨髄に影響を与えることが指摘されています。

    日本では食品のベンゼンに法定の基準値ありませんが、WHO飲料水ガイドラインではベンゼンに関して10 ppbというのが基準値として目安になっており、それを超えてベンゼンが検出された食品があった場合、厚生労働省は販売業者に分析結果を通知して回収の要請を行うことになっています。

    とにかく添加物の項目に安息香酸ナトリウムが書いてあれば、その食品は避けること、飲み物を買う場合は水や無糖の炭酸水を選ぶこと、そうやって安息香酸ナトリウムが含まれていないものを選んで摂取量を減らすことが大切です。

    加工肉を食べるならビタミンCも摂る

    亜硝酸ナトリウムは、主に食品保存量として使われ、食肉品の色保ち、ボツリヌス菌などの有害な細菌の繁殖を抑える効果があります。しかし亜硝酸ナトリウムの摂取にはいくつかのリスクがあります。

    亜硝酸ナトリウムの毒性は、主に2つの側面があります。まず1つ目は、血液中のヘモグロビンに対する影響です。亜硝酸ナトリウムが体内に入るとヘモグロビンがメトヘモグロビンという物質に変化します。メトヘモグロビンは酸素を運ぶ能力がなく、つまり血液が酸素運べなくなってしまいます。これが進行するとメトヘモグロビン血症という状態になり、体内の酸素供給が不足してしまいます。その主な症状としては頭痛、めまい、息切れなどが挙げられます。

    2つ目は、亜硝酸ナトリウムがニトロソアミンという発がん性物質に変わる可能性があることです。亜硝酸ナトリウムが胃の中でアミンと反応するとニトロソアミンが生成され、このニトロソアミンは強力な発がん性物質として知られていて、長期間に渡って摂取すると癌のリスクが高まります。

    実験では、動物にニトロソアミンを投与すると肝臓や胃にがんが発生しやすくなることが確認されています。そのため人間も同様にニトロソアミンを長期間摂取すると癌のリスクが高まると考えられています。つまり亜硝酸ナトリウムが多く含まれる食品を大量に摂取することはリスクがあります。

    この亜硝酸ナトリウムの使用は、各国で厳しく規制されており、日本では食品衛生法により亜硝酸サナトリウムの使用量は食品1kgあたり0.07g以下と定められています。

    そしてニトロソアミンは、亜硝酸ナトリウムが特定の条件化でアミンと反応して生成される物質です。具体的には、亜硝酸ナトリウムが胃の中に入ると胃酸と反応して亜硝酸に変わります。この亜硝酸が食物中のアミンと反応するとニトロソアミンが生成されます。特に焼肉やベーコンなどの高温で調理された食品にはアミンが多く含まれているから注意が必要です。

    このニトロソアミンの生成を抑えられる1つの方法は、ビタミンCを一緒に摂ることです。ビタミンCは亜硝酸ナトリウムとアミンが反応するのを阻止する働きがあります。そのため加工肉を食べる時には、新鮮な野菜や果物を一緒に摂ると良いでしょう。ビタミンCが多く含まれる食品には、オレンジやレモン、ブロッコリー、パプリカなどがあります。

    免疫ビタミンの健康効果

    白米では取り入れられないものが免疫ビタミンです。玄米は白米より栄養学的に良いと言われるのは、玄米は白米に比べてビタミンが2倍から5倍、ビタミンEは14倍あり、特にビタミンEはたくさん含まれています。一方、ミネラルは白米に比べて約2 倍から5倍、食物繊維に至っては6倍も含んでいます。そして白米では摂り入れられないものが免疫ビタミンです。

    免疫ビタミンとは

    免疫ビタミンは、私たちの皮膚とか粘膜の表面にはいつも巡回を行っているマクロファージ、または樹状細胞がいます。この細胞は巡回をして、異物が付くとこれを捕まえたり、攻撃して食べたりします。これを自然免疫と言います。一方でマクロファージ樹状細胞は獲得免疫と言い、見つけた侵入者を体全体に指名手配をする役割も担っています。

    その中でT細胞は、ウイルスやバイ菌が細胞の中に潜んでいる時に、その細胞ごと全部破壊するような役目をしています。またB細胞は、敵に対する抗体を準備して、一斉にそれで攻撃します。これを獲得免疫と言います。実は自然免疫は絶えず巡回していて、外敵がいると、それを無差別に捕まえているのではなく、病原菌を見分けていることが分かっています。これがToll様受容体(TLR)と言います。

    これはハエは、汚い中で生活していてもカビが生えてきません。体にカビが生えれば死んでしまいますが、このカビを撃退していたのがToll受容体(TLR)の表面にあるリセプターです。そして私たち哺乳類にもToll様受容体(TLR)があることが分かっています。その中のTLR4が細菌の外膜を認識していることが明らかになっています(2011年ノーベル賞)。

    実は、がんに対しての受容体も存在しており、炎症が生じている細胞から漏れてきたタンパク質に対して攻撃するように私たちの体を守ってくれています。これを免疫ビタミンと呼びますが、ビタミンの定義は微量で私たち体の生理機能や代謝を調節して栄養素です。しかも私たちの体の中では生成されない必須栄養です。

    この免疫ビタミンは、玄米、葉物野菜、根菜類、海藻類に含まれています。植物が生きている周りには、たくさんのグラム陰性菌(色素で染まりTLR4に結合する)がおり、グラム陰性菌が細胞の外膜の破片(LPS)が付着しています。そしてマクロファージや樹状細胞の受容体に結合すると外敵がやってきたと判断して撃退します。一方でグラム陽性菌(色素に染まる)にはペプチドグリカンという細胞膜を持っており、その一部が受容体にくっつくと免疫反応を発揮します。このように、これらの食べ物には免疫ビタミンが付着しているため、そういうものを食べれば、免疫力が上がって健康になれることになります。

    そして白米は、LPSが付着している米ぬかを全部取り去ってしまうため、このLPSはほとんどついていません。しかし玄米であればLPSが付着しています。根菜であれば、なるべく皮を剥かずにそのまま泥を落として調理し、葉物はできることなら生で頂いた方がより効果が高くなります。もし農薬を使っていると、このグラム陰性菌が全て死滅しているため、故に農薬を使ってない無農薬野菜を摂る方が免疫ビタミンの免疫力がアップすることになります。

    ビタミンC化粧品の優れた点

    ビタミンCがたっぷり配合さらていることで人気なのがドクターシーラボのVCエッセンスローションとロート製薬のメラノCCです。

    メラノ CCは有効成分として、3-O-エチルアスコルビン酸、グリチルリチン酸2Kなどの抗炎症のものが入っており、3-O-エチルアスコルビン酸というビタミンCの誘導体がシミを抑制し、美白の有効成分が入っているため、美白化粧水になっています。ただ中身を見てみると、その他の成分でアスコルビン酸、つまりピュアビタミンCが入っており、有効成分としてはビタミンC誘導体にピュアビタミンCを加えて作られています。

    シーラボのVCエッセンスローションは、まず入っているビタミンCがAPPSというビタミンCになっています。これもビタミン C誘導体の1つで、メラノCCが水溶性であるのに対し、水溶性でもあり脂溶性でもある両親媒性と呼ばれるビタミンC誘導体に、3-O-エチルアスコルビン酸も入っています。何も共通いしているのは、3-O-エチルアスコルビン酸が配合されており、ピュアビタミンCか、APPSという両親媒性のビタミンC誘導体に違いがあります。

    ピュアビタミンCは、抗酸化力も高く、皮脂の抑制効果、それ自体に美白効果も高くなります。しかし安定性(肌に入っても酸化してしまう)が良くなく、また肌への浸透という意味ではなかなか浸透しづらいこともありました。そこで考えられたのがビタミンC誘導体で、誘導体にすると肌に浸透しやすくなり、肌の奥まで届けられるようになります。また浸透だけではなく、ビタミンCが力を発揮できる場所に届き、しっかり働くことも可能となります。

    このようにビタミンCは、その還元力の強さにより、通常を肌に乗せた時にすぐにその力を発揮してしまうため、肌の奥に入った時に力を出すようにビタミンC誘導体が開発されました。また安定させたり、浸透させるためにビタミンC誘導体としていろんな飾りをつけるので、肌に入った時に私たちが持っている酵素によって、その飾りを切ることで初めてアスコルビン酸になり、肌の奥で力を発揮します。

    このアスコルビン酸には活性する部位が2つあり、それがリン酸エステル結合とエステル結合(パルミチン酸)です。前者のリン酸を外すのがフォスタファーゼという酵素で、後者がエステラーゼという酵素です。何も角層や表皮にたくさん存在しており、初めて2つの結合が外れてAPPSがアスコルビン酸になって働くのです。

    一方でメラノCCは、アスコルビン酸をしっかり入れているのに安定する技術が入っています。通常ピアビタミンCにアスコルビン酸を入れると活性が落ちていきますが、安定性をさせてきちっと肌に届けることが出来ます。

    APPSに関しては、ビタミンC誘導体の中では若干安定性が悪くなりますが、それを安定させていることと、高濃度に入っていることがポイントです。ちなみにアスコルビン酸とAppsは、倍以上値段も違います。

    これらを踏まえて、ピュアビタミンCは活性が強いため、例えば紫外線によって炎症が起こった場合、肌がメラニンに作れと指令を出している時には適しています。また皮脂や毛穴が気になる人、シミを予防がほしい人、中でも皮脂が多い系の毛穴の人には断然良いでしょう。

    一方でAPPSは、浸透が奥まで届きます。アスコルビン酸が真皮まで届かなければコラーゲンやエラスチンの産生は促されません。そのためAPPSが高浸透型と言われる理由は、肌の中にある酵素によって外されるため、アスコルビン酸という形で肌の奥まで届くところです。特に肌のハリに効き、またナイアシンアミドが入っているので美白にもつながります。そのためシミよりは全体的な透明感に良く、ナイアシンアミドで表皮のくすみ、メラニン系をケアして真皮にAPPSが届いてコラーゲンやエラスチンを増やして、全体的に透明感を上げます。さらにハリがなくなってできるようなたるみ毛穴にも良いでしょう。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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