
暑くなってくると体の臭いが気になる方は、汗をかくのを避けたいと思っているかも知れませんが、その汗自体がどういう風に変化するかによって臭いの元になります。そのため適切なケアで臭いを減らすことができます。また一般的に男性よりも女性の方が6から8倍香りに敏感と言われています。
汗、皮脂、殺菌が臭いの原因
基本臭いは、汗と皮脂と汚れが混ざった時に出てきます。その臭いは、皮脂が酸化した臭い、雑菌が増殖することよって臭いが発生するということが分かっています。そのため汗をかいたなあと思うときに制汗シートなどで小まめに拭くことが大事です。
ただし、シャワーなどの頻繁に洗うということオススメできません。なぜなら私たちの肌には常在菌が存在し、常在菌が皮脂を分解して、それによって肌の大切なバリア機能の要になるものを作ってくれるからです。その他にも常在菌はPHを分解して酸性に傾け、肌のバリア機能を保つという働きがあります。また常在菌の中には、その皮脂とか汗を分解したときに嫌な臭いや香りを発生するものがあります。洗い過ぎによって肌の常在菌のバランスが崩れてしまったりするとこのようなことが起こります。
そして、汗をかいた時に通気性の悪いものを着ていると、そこで蒸れて臭いが起こるということがあります。そのため汗を吸うようなタイプの下着をつけるとか、通気性の良いものを着ることが臭いを防ぐということにもなります。
一方で、頭皮の臭いが気になるという方も多く、これは皮脂が増えることによって起こります。皮脂は汗と違い、皮脂が酸化することよって臭いを発します。また皮脂が沢山あることで雑菌が増えて臭いの原因となります。まずは皮脂をしっかり落とすということが大事です。最近は湯シャンが流行っていますが、頭皮が脂っぽくって匂いが気になる方は、皮脂は落ちづらいので洗浄剤を使って皮脂を流すことが大事です。ただし取り過ぎる事もあまり良くないため、予洗いをしましょう。予洗いはシャンプーする前にお湯で頭皮や髪の毛を先に洗ってあげることです。もちろん油は取れないですが、汚れが先行して落ちるため、洗浄剤の頭皮への刺激を最小限にすることができます。
さらに、体の洗うとき耳を洗うのを忘れる人がいます。耳は立体的になっているため、皮脂が溜まりやすく臭いの元になります。
一方でお口の臭いが気になる方が増えています。特にマスクすることによって口呼吸になるとお口が乾燥し、唾液が出にくくなり雑菌が増える原因になります。お水を小まめに飲むことで口臭は軽減されると思いますが、それでも臭いが気になる方は、歯周病が隠れている可能性があります。
臭いのピークは30代、40代
臭いはおじさんやおばさんに特に多いというイメージがあると思いますが、臭いは実は30代や40代の女性でもかなり出ています。臭いの原因は汗、皮脂、蒸れで、これらの臭いは30代ピークということが分かっています(ロート製薬の研究)。なぜなら10代とか20代に出ていたスイート臭という若い人特有の香りが30代から減ってくるからです。
例えば、赤ちゃんから良い香りするのは、ラクトンと呼ばれる成分が出ているからです。10代では、ラクトンC10とラクトンC11が1:2に出ていますが、残念なことに20代ではこのラクトンC10はほとんど少なくなり、ラクトンC11だけになります。そして30代になるとどちらもほとんど出てこなくなります。
ラクトンで有名なのが、Guerlainというブランドの香水であるMITSOUKOです。1919年に発売されてからのロングセラーの香水です。トップノートがベルガモットの香り、ミドルノートがローズやジャスミンの甘い香りです。この香水には、ラクトンの香気成分が含まれ、この成分が初めて合成された香水がミツコと言われています。
ストレス臭
ストレスが体臭の原因になります。ストレスが溜まる交感神経優位になり、発汗が促されます。また交感神経優位になると口の中は乾き、雑菌が増えて口臭の原因になることがあります。
このストレス臭は、資生堂の研究員が発見し2018年に発表された匂いで、まだ解明されていない部分が多くあります。研究では緊張状態にある人から同じ匂いがすることが突き止められており、交感神経が優位になっていたり、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが唾液中に増えることで生じると考えられています。
この発見は2017年に発表した「ノネナール(加齢臭)が皮膚ガスとして皮膚表面から放出されている」という知見に続く皮膚ガスの研究成果です。
実は私たちの皮膚からは様々なガスが排出されており、この皮膚ガスは体の表面から発生する揮発性の物質の総称のことで、匂いのない二酸化炭素から臭いのあるアンモニアまで様々なものが含まれています。例えば皮膚ガスは体調や加齢、食べ物などによって変化することが知られていましたが、緊張によっても変化することがストレス臭の存在によって明らかになりました。
現在、ストレス臭の主要成分はジメチルトリスルフィドとアリルメルカプタンの2つであるところまで突き止められています。これらを抑える技術が開発されれば、ストレス臭を抑制できるようになるかもしれません。
体臭は生活習慣で決まる
特にお肉を食べことが多い方は体臭がきつくなります。これはお肉に代表されるようなカロリーが高いものは、汗腺の働きを活発にするからです。またニンニクや香辛料も同じで、もともとニンニクには硫化アリルと言うニオイの元になる成分があり、それが体臭として出てきてしまうことがあります。
逆に、これを食べるとニオイがなくなる食べ物はありません。よく言われるのが果物を食べるとその果物の臭いで体臭がよくなると言われていますが、可能性ゼロではないかも知れませんが確実ではないです。
また、甘い物を食べるとビタミンB12っていうビタミン群を消費します。ビタミンB群は皮脂分泌を調整するビタミンでもあり、甘いものを食べると消費されて分泌が逆に調整できなくなってしまいます。そうなれば元々30代40代というのは、皮脂の蒸れ感などが頭皮に出てくる年代になるので、甘いものを食べ過ぎてしまって皮脂分泌が過剰になって、頭皮の臭いの原因になってしまう可能性あります。
このような食習慣がどのように体臭に影響するかを調べた研究があります。マッコーリー大学では、体臭が変化する原因を突き止めるために食事を調べられました。その内容は様々な食生活をしている男性に、48時間白いTシャツを着てもらい、この間はシャワーや香水を禁止して、1時間軽く運動をしてもらいました。その後、そのTシャツを18から30歳までの女性に臭いをチェック(食生活によって良い臭い、魅力的、健康的などの項目を10点満点で採点)してもらいました。
その結果、肉を食べる人は臭いが強くなる傾向があったり(健康的な人の匂いは、肉を食べるとクサくなるのではなく、良い匂いが強くなる)、野菜やフルーツを食べる人の方が良い匂いだったり、良質な油、卵、豆腐を食べる人は良い匂いに変わったことが挙げられています。つまり健康的な人ほど、魅力的かつ多くの人に好まれやすい匂いになることなどが分かっており、体臭を改善してくる物質を食事から吸収できと考えられています。さらに精製された炭水化物によって体臭がキツくなることも分かっています。つまり炎症を起こしやすい食生活をすることで体臭がクサくなるのです。
逆に、腸内環境と便通を整えることで、体臭が抑えられることができるということが分かってきています。食べ物が腸の中で分解される時に、臭いのもととなるガスが出ます。便秘や便通が悪くなると腸にガスが溜まり、腸がその毒素を吸収し、これが体臭の原因になると言われています。
加齢臭は体の酸化
加齢臭は自分では気がつくことが難しく、匂いは自分で思っている以上に周りに影響を与えるものです。加齢臭の原因には、体の酸化が挙げられ、さらに糖尿病、高血圧などの生活習慣病予備軍になっている可能性があります。特に注意しなければならない加齢臭の原因は油の酸化です。
私たちの体を構成しする細胞の一つ一つを覆う細胞膜は油でできており、油は免疫力を高めたり、エネルギー源となったり、他にも重要な役割を担う必須の栄養素です。体に必要な油は、主にオメガ3系とオメガ6系の脂肪酸から合成されるリン脂質、タンパク質、コレステロールで作られています。またオメガ3やオメガ6は体に必須のエイコサノイドの原材料にもなります。エイコサノイドは、血小板の凝集、動脈壁や気管支の収縮・弛緩、血液の粘度など体内のあらゆる調整を担う非常に大切な物質です。しかしオメガ3とオメガ6は体内で作ることができません。そのためオメガ3とオメガ6は必須脂肪酸と言われています。他にもオメガ9という重要な脂肪酸もあります。
この3 種類は、魚や植物由来の油に多く含まれており、不飽和脂肪酸としてくくることができます。そしてオメガ3とオメガ6は1対4の比率で摂ることが望ましいです。なぜなら現代の食生活ではどうしてもオメガ6に偏りがちとなり、オメガ3が不足するからです。このオメガ3はサバやイワシといった青魚や海藻、豆類に多く含まれています。一方でオメガ6はゴマ油、菜種油、コーン油など家庭でも外食でも多用されている油に含まれています。
逆に摂っていけない脂肪酸は大きく二つに分けることができます。一つはバターやチーズ、ラードといった動物性の脂肪酸です。これらは飽和脂肪酸と言い、体内でも固まりやすく大量に摂取すれば血液がドロドロになったり、動脈硬化を促進します。そして絶対に摂ってはいけないのが、トランス脂肪酸です。トランス脂肪酸は自然界に存在しない油で、植物油を工業的に加工して固形にしたものです。トランス脂肪酸は糖尿病をはじめとして、心臓疾患や脳卒中などの生活習慣病の一因と指摘されています。
また、同じ種類の油であっても使う条件次第で良い油にも悪い油にもなります。例えばオメガ3、オメガ6、オメガ9の不飽和脂肪酸には酸化しやすいという欠点があります。中でも最も酸化しやすいのがオメガ3です。
青魚が当たりやすいのは、大量に含まれているオメガ3が酸化して古くなるからです。酸化した魚は、独特の嫌な臭いを発します。酸化した油を取り込むと、体の防御反応として嘔吐や下痢といった症状が起きることもあります。
さらに酸化しやすいのはオメガ6で、170度で急速に酸化が始まります。170度は揚げ物の温度で、菜種油やコーン油など一般的にオメガ6の油で食材を揚げているため、根本的に揚げ物には問題があると言えます。このように揚げ物は酸化した油まみれの食べ物です。一方でオリーブオイルに多く含まれているオメガ9は、240度で酸化が始まりますが、酸化しにくいため、炒め物はオリーブオイル、ゴマ油は仕上げの香り付けが安全な食べ方です。
加齢臭の原因は酸化ですが、体が酸化する原因に活性酸素にあります。酸化した油、つまり酸素が結びついた脂肪の分子は過酸化脂質と呼ばれる毒性の強い物質となります。これが体内に取り込まれると活性酸素が発生して周囲の細胞を酸化させてしまいます。
細胞が酸化すれば、血管や細胞の機能が損なわれて 破壊されて、さらに活性酸素は細胞内にも侵入して細胞の核にあるDNAを傷つけてしまいます。そして細胞が変異するとがん細胞へと変化します。
特に40歳を過ぎると酸化に対する抵抗力が低下し、体内で過酸化脂質が増えるとノネナールという物質が皮膚に発生します。このノネナールこそが加齢臭の原因となります。つまり加齢臭が発生している時点で、体中は活性酸素で溢れる状態です。
加齢臭を発生させないようにするためには、動物性タンパク質と動物性脂肪を なるべく取らないようにすることです。特に唐揚げなどの揚げ物は、動物性タンパク質と動物性脂肪を酸化した油で揚げるため、過酸化脂質たっぷりの食べ物です。また重要なのが体の酸化を食い止めてくれる抗酸化物質を多く含む食べ物、つまり野菜を積極的に食べること加齢臭の予防に大切です。
おならが臭い原因
おならの平均回数は、1日20回ぐらいと言われています。おならには、大きく分けて2つの発生の仕方があります。一つ目は飲み込んだ空気がおならとして出るパターンです。空気を飲み込むとある程度はゲップとして出ますが、ゲップとして出なかったものが腸の方まで行き、おならとして出る事があります。もう一つは腸の中で腸内細菌が食べ物を分解発酵してガスを発生させて、それがおならを発生させるということがあります。
1つ目のパターン多いのが、ドカ食いや早食いすると食べる時に一緒に空気を飲み込んでしまい、それがおならになってしまいます。また炭酸水やビールなどを飲んでいると、ゲップで出ないものがおならの原因になります。
もう一つのパターンは、通常は大部分の栄養素(糖質、タンパク質、脂質)は小腸で吸収されますが、何らかの要因で消化吸収されなかった場合、ある程度は大腸の方へ向かうことが挙げられます。大腸には沢山の腸内細菌がおり、腸内細菌の餌になって分解されてガスが発生します。そのガスの大部分が無臭のメタン、水素、二酸化炭素です。
これら以外のガス、例えばアスパラガス、ブロッコリーなどに多く含まれる物質の「ラフィノース」は消化が悪く、消化吸収されなかったものが大腸に行ってそこで 腸内細菌の餌になって発酵して臭いガスが出るということがあります。また主に肉などの動物性タンパク質を大量に食べた時に大腸でアンモニアを発生、臭いガスが発生することがあります。
何れにせよドカ食い、早食いをすると大量の食べ物が一気に入ってくるので小腸で吸収されにされにくくなり、消化吸収が不十分のまま大腸の方に行って腸内細菌の餌になって発酵してガスが出る事が起こります。そのため、よく噛むことで咀嚼されて、口の中でアミラーゼなどの消化酵素が分泌され、咀嚼によっても消化液が反応します。
一方で、日本人に乳糖不耐症の人が多く、牛乳、ヨーグルトなど乳製品は、通常であれば乳糖はラクターゼという酵素で分解されて吸収されます。しかしラクターゼという酵素は赤ちゃんの時はしっかりあるのですが、加齢とともに減り、特に日本人は大人になるとラクターゼの量が減って、乳糖不耐性になりやすいと言われています。乳糖不耐症の人が乳製品を大量に摂取すると、ラクターゼで分解されなかった乳糖が大腸で腸内細菌の餌になって分解されてガスを 発生させるということがあります。
それ以外では、多いのが過敏性超症候群です。過敏性腸症候群は、緊張したりストレスを感じたりとかするとおならを大量に発生させたり、下痢や便秘になったりします。
また機能性胃腸症、クローン病、潰瘍性大腸炎、強皮症などの膠原病、糖尿病の方などもおならが多くなります。特に糖尿病によって細い血管がダメージを受け、腸が働かなくなることがあります。このような特定の病気の場合には、お医者さんで治療することが大事です。
特にFODMAP食は、特定の人にとっては小腸で吸収されにくいため、その中で食べ物が浸透圧で水を引き込んで下痢をしたり、消化管の蠕動運動が亢進して腹痛がしたり、大腸で腸内細菌の餌になって分解、発酵してガスが出ると言われています。具体的にFODMAPには、ごぼう、ニンニク、アスパラガス、ネギ、玉ねぎ、きのこ類、納豆、キムチ、ヨーグルト、牛乳、チーズ類、小麦、大麦、ライ麦、大豆、とうもろこし、りんご、スイカ、桃、なし、ジュース(果糖ブドウ糖液糖)などが挙げれます。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。