
世の中に栄養価の高い食べ物は沢山ありますが、その中でも完璧な栄養価を持ち、抗酸化作用と抗炎症作用により体の内側から若返えらせ、「食べる美容液」とも言われ、腸や肝臓を整えて健康的な体づくりを支える食べ物がアボカドです。
完璧な栄養価「アボカド」
アボカドは、世界一栄養価が高い果物としてギネス認定されるスーパーフードです。健康的な脂質、カリウム、ビタミンE、食物繊維、カルシウム、亜鉛、18種類の必須アミノ酸、14種類以上のミネラル、ビタミン類などが豊富に含まれています。特に脂質にはオレイン酸やリノール酸などの一価不飽和脂肪酸が含まれており「森のバター」とも言われています。さらにオメガ3脂肪酸も多く含まれています。
この脂質は体に良い油で体の内側から若返らせてくれます。また食物繊維も豊富で、アボカド1つに約14gも含まれています。この食物繊維と脂質がたっぷり含まれているため、満腹感を与えてくれて食べ過ぎを防いでくれます。
体の内側からケア
アボカドには、沢山の抗酸化物質と抗炎症物質が含まれています。例えばポリフェノールやカロテノイドなどは、老化を促進させる活性酸素から私たちの身を守り、老化の引き金となる炎症を抑えてくれる働きがあります。
他にもビタミンC、ビタミンE、フェノール化合物、ルテイン、カロテンなどの抗酸化・抗炎症物質が大量に含まれており、慢性疾患のリスク減、老化を抑制、認知機能の改善、心臓の健康を維持してくれることが様々な研究によって認められています。例えばルテインやカロテンなどのアボガドに含まれるカロテノイドは、強力な抗酸化作用を持ち、多くの慢性疾患のリスクを高めてしまう酸化ダメージから私たちを守ってくれます。
食べる美容液「アボカド」
アボカドには、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が含まれており、悪玉コレステロール値を下げる作用があり、血液をサラサラにしてくれます。血液の流れが良くなれば酸素や栄養を体の隅々まで運ぶことができ、体の各細胞で発生した老廃物を回収することができ、その結果、内側からお肌がキレイになります。また血液がサラサラになることで動脈硬化や高血圧の予防効果も期待することができます。さらに含まれる良質な脂質は、肌の乾燥を内側から防ぐ働きがあります。
一方で、皮膚や粘膜の健康維持に役立ち、肌荒れを防ぐビタミンBや、シミやそばかすの原因となるメラニン色素が作られるのを抑え、肌の弾力を保つビタミンC、そして抗酸化力のあるビタミンEなどが多く含まれます。さらに不飽和脂肪酸、ビタミンE、ルテインなどの抗酸化物質の作用により、お肌だけでなく髪の毛の健康も保ってくれます。また含まれるカリウムには、むくみを解消する効果があり、老廃物の排出することにも役立ちます。
美肌には外側からのケアも大事ですが、体の内側が乱れていては本当のキレイにはなりません。しっかりと含まれる食物繊維によって腸内を整えてあげましょう。
実際にアボカドの持つ美肌効果が確認された研究を紹介します。700人の日本人女性を対象とした2010年の研究では、皮膚の状態と脂肪の摂取量の関係が調べられています。その中でアボカドに含まれる脂肪のような健康な一価不飽和脂肪酸を大量に摂取すると皮膚の弾力性が高まり、シワが減少することが分かっています。また2011年の研究では、アボカドは日焼けによるダメージや炎症から肌を保護するのに役立つことが示されています。つまりアボガドは体の内側から塗る日焼け止めとも言えます。
腸をキレイにする「アボカド」
腸は健康や美容にとって重要なものであり、アボカドに含まれる食物繊維が腸内環境を整えてくれます。食物繊維は食べ物を消化管内に移動させて、腸内の微生物のエサとなるため、腸の健康維持に欠かせない栄養素です。
近年、多様な自然な食品を摂ることで腸内環境の多様性を確保することが重要であるとされています。しかし世界の食料供給量を見ても、12の植物と5つの動物種だけで約75%占めており、食品の多様性が全くない状況になっています。結果的に同じものばかり食べており、腸内細菌の多様性を失っていることになります。
アボカドは腸内細菌の多様性を増やすことに貢献することを示す研究があります。肥満163人の成人を対象にした研究では、男性で毎日175g、女性で毎日140gのアボガドを12週間摂取した人たちは、対照群と比較して細菌の多様性が増加していることが確認されています。さらにアボカドを摂取したグループでは、フィーカリバクテリウム、ラクノスピラ、アリスティペス菌が多く見られ、これらは全て酪酸を含む短鎖脂肪酸を生成してくれる菌です。短鎖脂肪酸によって大腸内のpHが酸性に傾き、善玉菌が増えて悪玉菌を抑制することができます。また大腸のエネルギー源となり炎症を抑える、免疫力の向上、便秘の改善、アレルギーの抑制、ダイエット効果、コレステロールの減少などが期待できます。
一方で、日本人の食物摂取量の基準(2020年)では、18から64歳は男性1日21g以上、女性18g以上が推奨されていますが、ほぼ全ての年代で不足しています。しかしアボカド1つで約14gの食物繊維が含まれています。
まとめると、アボカドに含まれる必須ビタミン、ミネラル、化合物は体の炎症を抑え、腸の多様性を改善し、重要な栄養素を供給してくれる果物です。
肝臓が健康になる「アボカド」
肝臓は、体内の老廃物や毒素をろ過して排出し、脂肪を代謝してエネルギーを作り出し、余分な栄養素を貯蔵して必要な時にそれを取り出して使用するなどの役割を担っています。またホルモンバランスを維持することや、脂肪の分解を助ける胆汁を分泌して、食物からビタミンやミネラルの吸収を助ける働きがあります。
2015年に、非アルコール性脂肪肝疾患の人が、バランスの取れた食事に加えてアボカドを適度に摂取することが、体重を減らすことと、全体的な肝機能検査の改善に関連していることを発見しました。この研究以外にもアボカドが健康に良いことを示している研究は多数あります。
また、含まれる不飽和脂肪酸、抗酸化物質、19種類の必須ビタミンは肝臓を病気やダメージから守り、代謝を高め、肝機能を強化することに役立ってくれます。さらに含まれる脂肪酸は、脂肪とタンパク質の消化に伴う副産物である「トリグリセリド」の分解を助けてくれる働きがあります。中性脂肪はほっておくと肝臓にダメージを与えるため、アボカドの脂肪は代謝を促進する力と肝臓を保護する力を両方兼ね備えています。
「アボカド」の食べ方
まずは完熟していないアボカドは食べないようにしましょう。なぜならアボカドに含まれる健康に良い脂肪酸は、アボカドが熟すにつれて多くなるからです。皮が黒く柔らかな熟したアボカドを選びましょう。反対にバナナは熟す前の緑色の方が健康に良いことも覚えておきましょう。バナナは黄色くなるにつれて、レジスタントスターチが糖質に変わり甘くなるからです。
気をつけて欲しいのは、アボカドはトマトやレモンと組み合わせて食べないようにすることです。レモンとアボカドの消化速度が大きく違うため腸にとってあまり良くありません。消化速度が大きく違うと、結果的に腸全体の流れが遅くなり、長期に渡って食べ物が腸内に留まってしまいます。同様にトマトも同じです。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。