世の中に栄養価の高い食べ物は沢山ありますが、その中でも完璧な栄養価を持ち、抗酸化作用と抗炎症作用により体の内側から若返えらせ、「食べる美容液」とも言われ、腸や肝臓を整えて健康的な体づくりを支える食べ物がアボカドです。アボガドがなぜ美容に良いのかを知る前にお肌の構造を理解しましょう。
お肌構造を理解する
お肌の状態が変化する原因として考えられるのは、まずはターンオーバーが上手くいっていないからです。そしてターンオーバーが上手くいかないのは、血管の状態が関係しているかも知れません。私たちの肌を形成している細胞はいくつもの層からできており、大きく3つに分けて表皮、真皮、皮下組織の3層の構造をしています。
そして私たちが直接触れることができるのが表皮、その表皮の中でも角質層と呼ばれる1番上の層です。その厚さは約0.02mmしかありません。この表皮自体は4 層から成り立っていて、外的刺激から皮膚そのものを守る重要な働きをしています。そして俗に言う美しい肌は、この表皮内の水分と油分がバランスよく保たれている状態のこと、つまり表皮は美しい肌を決定付ける点で最も重要な層であると言えます。
表皮を理想の状態にする要素としては、表皮内でターンオーバーが正常に行われていることです。肌の下層で作られた細胞は少しずつ上層に押し出され、肌の表面に移動しやがて垢となって剥がれ落ちます。このターンオーバーは肌の細胞が生まれてから角質層に上がるまで通常約2週間から4週間かかります。ただし年齢や様々な理由によって、この周期が乱れると肌の状態が悪くなり始めます。その結果、肌荒れや肌の老化が進みシミが増えることもあります。逆に言えばターンオーバーが正しく行われれば、若々しく健やかな肌を保てることになります。
一方で、皮膚の本体とも言える真皮は表皮の下にあり、表皮の老化に一番関係が深い場所でもあります。真皮はその大部分を占めるコラーゲンやエラスチンで肌を支え、その形や弾力を保っています。その機能を低下させないために重要なものこそ真皮全体に張り巡らされている血管です。血管は真皮全体に分布しており、非組織にある動脈や脈につがっています。そして血管の中でも毛細 血管という細い血管が、表皮や真皮の細胞などに栄養や酸素水分を運んでいます。また必要な栄養などを送り届けるだけでなく老廃物や二酸化炭素運び去る働きもあります。
血管の中でも毛細血管の状態が肌の状態を左右していると言っても過言ではありません。毛細血管の長さは約10万kmもあると言われており、全身の血管の 95%が毛細血管で、体中の組織細胞に網の目状に分布しています。毛細血管の働きで体中に必要な栄養や水分が届きますが、毛細血管の機能が低下すると毛細血管の本来の働きである老廃物を回収する機能も低下します。
その結果、老廃物が溜まり、細胞から出た老廃物や細菌が溜まっていくと組織や臓器の機能が低下しやすくなると言われています。老廃物が溜まった状態になると肌トラブルだけでなく便秘、むくみ、冷え症にもなります。また老廃物で血流がうまく流れなくなれば、倦怠感や疲労感も現れる可能性もあります。
毛細血管に必要な栄養素
毛細血管は肌にとっても健康にとっても重要な役割を持っており、その血管のために必要なのに私たちに圧倒的に足りていないものがカリウムと言われています。カリウムは成人の体内に約200g含まれている栄養素で、大部分は細胞内に存在しており、ナトリウムと相互に作用しながら細胞の浸透圧や水分を保持しています。
このカリウムと血管には強い関係性があり、半年から1年間カリウムを1.6gから6g、約400人を対象に摂取させた研究があります。その結果では、血管の柔らかさに関する全ての数値が驚くほど向上しました。つまりカリウムを必要な量摂取できていれば、血管が若える可能性が示唆されています。また東京大学が1歳から79歳の日本人4450人を対象に、全国規模調査を実施した結果、日本人は多くの栄養素の摂取量が不足し、過剰であることが明らかになっています。そして不足している栄養素の中にカリウムもあり、目標量の下限値を下回っている人が多いことが分かっています。
日本人の食事摂取基準では、体内のカリウム平衡を維持するために適正と考えられる値を設定しています。18歳以上男性では1日2500mg、女性では2000mg必要であるとされています。あくまで簡易的ではありますが、セルフチェック項目があります。1日に野菜を4種類未満しか摂取していないと要注意です。日頃野菜を食べることを意識しない人は同じく要注意で、当てはまる人はカリウム不足の可能性大です。カリウム不足のまま生活を見直さないでいれば、血管が老化して肌の老化もどんどん進んでいくでしょう。
さらにカリウム不足であることと加齢と共に毛細血管が減少していくというダブルパンチ状態になります。毛細血管は20代をピークに減少傾向にあり、60代には約40%も減少すると言われています。逆に言えばカリウム不足を解消できれば血管が柔らかくしなやかに肌も若えることになります。
完璧な栄養価「アボカド」
アボカドは、世界一栄養価が高い果物としてギネス認定されるスーパーフードです。健康的な脂質、カリウム、ビタミンE、食物繊維、カルシウム、亜鉛、18種類の必須アミノ酸、14種類以上のミネラル、ビタミン類などが豊富に含まれています。特に脂質にはオレイン酸やリノール酸などの一価不飽和脂肪酸が含まれており「森のバター」とも言われています。
これら不飽和脂肪酸の多くを占めるオレイン酸は悪玉コレステロールを増やさない性質があり、そしてビタミンEの抗酸化作用によって血液をさらさらな状態に保つことが期待できます。この脂質は体に良い油で体の内側から若返らせてくれます。さらにオメガ3脂肪酸も多く含まれています。
また、食物繊維も豊富で、アボカド1つに約14gも含まれています。この食物繊維と脂質がたっぷり含まれているため、満腹感を与えてくれて食べ過ぎを防いでくれます。そしてアボカドにはカリウムが100gあたり720mgも含まれています。カリウムが多いとされている食材の中でトップクラスに分類されています。
体の内側からケア
アボカドには、沢山の抗酸化物質と抗炎症物質が含まれています。例えばポリフェノールやカロテノイドなどは、老化を促進させる活性酸素から私たちの身を守り、老化の引き金となる炎症を抑えてくれる働きがあります。
他にもビタミンC、ビタミンE、フェノール化合物、ルテイン、カロテンなどの抗酸化・抗炎症物質が大量に含まれており、慢性疾患のリスク減、老化を抑制、認知機能の改善、心臓の健康を維持してくれることが様々な研究によって認められています。例えばルテインやカロテンなどのアボガドに含まれるカロテノイドは、強力な抗酸化作用を持ち、多くの慢性疾患のリスクを高めてしまう酸化ダメージから私たちを守ってくれます。
中でも抗酸化作用が強いビタミンEは、血管の健康維持や過酸化脂質の生成抑制に期待できると言われています。さらにビタミンEには、血管を拡張する働きもあるため、オレイン酸とビタミンEのダブル効果で血流改善、血管年齢の若返りが期待できます。
また、アメリカ心臓協会で発表された研究の中にアボカドに関してのものがあり、11万人以上のライフスタイル調査に参加した医療専門家を30年間に渡って調査したところ、アボカドを週2食以上食べる人とアボカドを全く食べない人やほとんど食べない人を比較した結果、週 2食以上を食べている人は心血管疾患、冠動脈疾患リスクが16から21%ほど低くなっていました。つまりアボカドを食べることは心臓の健康にとっても有益であることがよく分かる結果となっています。
食べる美容液「アボカド」
アボカドには、一価不飽和脂肪酸のオレイン酸が含まれており、悪玉コレステロール値を下げる作用があり、血液をサラサラにしてくれます。血液の流れが良くなれば酸素や栄養を体の隅々まで運ぶことができ、体の各細胞で発生した老廃物を回収することができ、その結果、内側からお肌がキレイになります。また血液がサラサラになることで動脈硬化や高血圧の予防効果も期待することができます。さらに含まれる良質な脂質は、肌の乾燥を内側から防ぐ働きがあります。
一方で、皮膚や粘膜の健康維持に役立ち、肌荒れを防ぐビタミンBや、シミやそばかすの原因となるメラニン色素が作られるのを抑え、肌の弾力を保つビタミンC、そして抗酸化力のあるビタミンEなどが多く含まれます。さらに不飽和脂肪酸、ビタミンE、ルテインなどの抗酸化物質の作用により、お肌だけでなく髪の毛の健康も保ってくれます。また含まれるカリウムには、むくみを解消する効果があり、老廃物の排出することにも役立ちます。
美肌には外側からのケアも大事ですが、体の内側が乱れていては本当のキレイにはなりません。しっかりと含まれる食物繊維によって腸内を整えてあげましょう。
実際にアボカドの持つ美肌効果が確認された研究を紹介します。700人の日本人女性を対象とした2010年の研究では、皮膚の状態と脂肪の摂取量の関係が調べられています。その中でアボカドに含まれる脂肪のような健康な一価不飽和脂肪酸を大量に摂取すると皮膚の弾力性が高まり、シワが減少することが分かっています。また2011年の研究では、アボカドは日焼けによるダメージや炎症から肌を保護するのに役立つことが示されています。つまりアボガドは体の内側から塗る日焼け止めとも言えます。
腸をキレイにする「アボカド」
腸は健康や美容にとって重要なものであり、アボカドに含まれる食物繊維が腸内環境を整えてくれます。食物繊維は食べ物を消化管内に移動させて、腸内の微生物のエサとなるため、腸の健康維持に欠かせない栄養素です。
近年、多様な自然な食品を摂ることで腸内環境の多様性を確保することが重要であるとされています。しかし世界の食料供給量を見ても、12の植物と5つの動物種だけで約75%占めており、食品の多様性が全くない状況になっています。結果的に同じものばかり食べており、腸内細菌の多様性を失っていることになります。
アボカドは腸内細菌の多様性を増やすことに貢献することを示す研究があります。肥満163人の成人を対象にした研究では、男性で毎日175g、女性で毎日140gのアボガドを12週間摂取した人たちは、対照群と比較して細菌の多様性が増加していることが確認されています。さらにアボカドを摂取したグループでは、フィーカリバクテリウム、ラクノスピラ、アリスティペス菌が多く見られ、これらは全て酪酸を含む短鎖脂肪酸を生成してくれる菌です。
短鎖脂肪酸によって大腸内のpHが酸性に傾き、善玉菌が増えて悪玉菌を抑制することができます。また大腸のエネルギー源となり炎症を抑える、免疫力の向上、便秘の改善、アレルギーの抑制、ダイエット効果、コレステロールの減少などが期待できます。
一方で、日本人の食物摂取量の基準(2020年)では、18から64歳は男性1日21g以上、女性18g以上が推奨されていますが、ほぼ全ての年代で不足しています。しかしアボカド1つで約14gの食物繊維が含まれています。
まとめると、アボカドに含まれる必須ビタミン、ミネラル、化合物は体の炎症を抑え、腸の多様性を改善し、重要な栄養素を供給してくれる果物です。
肝臓が健康になる「アボカド」
肝臓は、体内の老廃物や毒素をろ過して排出し、脂肪を代謝してエネルギーを作り出し、余分な栄養素を貯蔵して必要な時にそれを取り出して使用するなどの役割を担っています。またホルモンバランスを維持することや、脂肪の分解を助ける胆汁を分泌して、食物からビタミンやミネラルの吸収を助ける働きがあります。
2015年に、非アルコール性脂肪肝疾患の人が、バランスの取れた食事に加えてアボカドを適度に摂取することが、体重を減らすことと、全体的な肝機能検査の改善に関連していることを発見しました。この研究以外にもアボカドが健康に良いことを示している研究は多数あります。
また、含まれる不飽和脂肪酸、抗酸化物質、19種類の必須ビタミンは肝臓を病気やダメージから守り、代謝を高め、肝機能を強化することに役立ってくれます。さらに含まれる脂肪酸は、脂肪とタンパク質の消化に伴う副産物である「トリグリセリド」の分解を助けてくれる働きがあります。中性脂肪はほっておくと肝臓にダメージを与えるため、アボカドの脂肪は代謝を促進する力と肝臓を保護する力を両方兼ね備えています。
「アボカド」の食べ方
まずは完熟していないアボカドは食べないようにしましょう。なぜならアボカドに含まれる健康に良い脂肪酸は、アボカドが熟すにつれて多くなるからです。皮が黒く柔らかな熟したアボカドを選びましょう。反対にバナナは熟す前の緑色の方が健康に良いことも覚えておきましょう。バナナは黄色くなるにつれて、レジスタントスターチが糖質に変わり甘くなるからです。
気をつけて欲しいのは、アボカドはトマトやレモンと組み合わせて食べないようにすることです。レモンとアボカドの消化速度が大きく違うため腸にとってあまり良くありません。消化速度が大きく違うと、結果的に腸全体の流れが遅くなり、長期に渡って食べ物が腸内に留まってしまいます。同様にトマトも同じです。
カリウムが豊富な食材
ほうれん草
ほうれん草は緑黄色野菜で、βカロテンや鉄などを豊富に含み、栄養化が高いことで有名な野菜です。ほうれん草を調理する過程で栄養素が減ってしまうとは言え、それでもカリウムが豊富で効率よく摂取できる食材です。ちなみに冷凍ほうれん草は、生のほうれん草を調理するよりもカリウムが少なめになっているため生がおすすめです。
ほうれん草にはカリウム以外にもβカロテンが含まれており、体内の活性酸素を除去する働きと血中の脂質の酸化を防ぎ、血管を若々しく保つ働きがあるため、動脈効果の改善や予防に効果を発揮すると言われています。またほうれん草の緑色は、カロテンの黄色と葉緑素の色素であるクロロフィルの緑色が合わさったもので、クロロフィルは血液中の悪玉コレステロールを強力に低下させ、同時に善玉コレステロールを増やすため、血液がさらさらになり動脈効果の予防に効果的と言えます。
さらにほうれん草のピラジンという香り成分は血栓を防いだり、血流を改善する効果が期待できます。そしてβカロテンから変換されたビタミンAは、皮膚や粘膜を丈夫に保ってくれる働きがあり、肌の乾燥や肌荒れの改善が期待できます。他にもほうれん草には若返りのビタミンと言われているビタミンEも入っています。このような様々な栄養素の相乗効果により美肌を導く効果があると言われています。
さつま芋
芋類は全体的にカリウムが多いと言えますが、サツマイモのカリウム含有量は飛び抜けています。カリウムの量は生の状態では100gあたり470mgありますが、調理方法や食べ方によってカリウムの含有量が変わってきます。他の栄養同様、調理段階でカリウムは水にさらしたり茹でたりすると減る傾向があるため、カリウムを効率よく摂取できる方法は、皮を剥いて焼いて食べるのがおすすめです。皮を剥いて焼くと100gあたり470mgだったカリウムが100gあたり540mgまで増えます。またカリウムの他にも美容に嬉しい栄養素が入っており、中でも食物繊維が豊富に含まれています。
食物繊維は腸内の健康を維持する善玉菌を増やす働きがあり、腸内に腐敗物を貯めようとする悪玉菌や毒素を吸着して、体外へ排泄する働きもあります。便秘が続くと腸内環境が悪化して、悪玉菌や有害物質がニキビや肌荒れなどトラブルを引き起こす原因になるため、サツマイモは便秘で悩んでいる人にもおすすめの食材と言えます。
その他にはビタミンも多数含んでおり、糖分をエネルギーに変えてくれるビタミンB群、抗酸化作用を持つビタミンE、肌にハリを与えるコラーゲンの生成を促すビタミンCなども入っています。1日大体70から100g、約から1/2本を目安に摂取すると良いでしょう。
豆類
豆類は炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をバランスよく含んでいる食材で、さらに食物繊維やポリフェノール等の機能性成分も豊富です。また豆類は栄養素が豊富で低カロリーで低脂質なのも嬉しいところです。
豆腐で摂取する場合は、充填豆腐が100g中に含まれるカリウム量が1番多く、木綿豆腐が1番少なくなっています。豆腐にはカリウムだけでなくカルシウムやマグネシウムも含まれています。
若返りフルーツの「バナナ」
もし、慢性的なストレスを抱えているとすれば、おそらく体内で活性酸素が知らない間に大量発生しているでしょう。この活性酸素が増えることによって、細胞や組織などが酸化し、錆びついてしまうとシミやシワなどの外見の老化が引き起こされるだけでなく、血管が老化してしまいます。
このような老化を引き起こす活性酸素に対抗するのが抗酸化物質です。そしてバナナには、抗酸化物質が豊富に含まれており、中でも強い抗酸化力を持つポリフェノールが豊富に含まれています。
また、バナナには肌トラブルの予防や美肌効果を持ち、美容ビタミンとも呼ばれるビタミンB 群が豊富に含まれています。さらに肌の炎症を防いでくれるビタミンB3や肌荒れを防ぐビタミンB6、皮膚の新陳代謝を助けるビタミンB2などが豊富に含まれています。このように天然の美容サプリメントと言っても過言ではありません。
一方で、バナナには腸を整えるメリットがあります。腸は単なる消化吸収する臓器であるという認識はもはや古く、腸は全身に大きな影響を与えているということが分かっています。私たちの心と体の健康は、全て腸から始まると言われており、腸は全身の臓器に影響を及ぼすため、腸をきれいに保つことで当然のことながら、炎症が減らし、老化を抑制することができます。
逆に、腸内環境が乱れると腸内で有害物質が作られ、それが血液に乗って全身に行き渡り、その毒素が肌に溜まり、肌が新しく生まれ変わるのを妨げてしまいます。その結果、肌に吹き出物ができたり、肌荒れが酷くなってしまったりと肌の調子が悪くなります。
バナナが腸を整えてくれる理由は、食物繊維のレジスタントスターチが豊富に含まれているからです。一般的に食物繊維は、腸に存在している善玉菌の餌になるため、食物繊維を摂取することで腸内環境が良くなると言われています。そして食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の2 種類があり、この両者のバランスを取ることが腸内環境を整える上で非常に重要であるとされています。
とはいえ、このバランスを取るのは難しいため、レジスタントスターチという不溶性と水溶性の食物繊維の機能を兼ね備えているバナナがお勧めです。またバナナには、レジスタントスターチに加えて、フラクトオリゴ糖が含まれています。このフラクトオリゴ糖は、腸内環境を良くする善玉菌の餌となって善玉菌を増やし、腸内環境を改善してくれることが分かっています。
また、バナナを定期的に食べることによって善玉菌が元気になり、その結果善玉菌は短鎖脂肪酸と呼ばれる物質を作り出します。この短鎖脂肪酸は脂肪の取り込みを抑え、さらにGLP1というホルモンの分泌を促すことによって満腹感を持続させ、食べ過ぎを防いでくれます。
さらに善玉菌が生み出す短鎖脂肪酸によって体温が上がったり、心拍が上がったりすることで基礎代謝が上がり、痩せやすくなるということも言われています。つまりバナナを食べて腸内環境を整え、善玉菌に短鎖脂肪酸を多く生み出してもらうことが、痩せ体質につながることになります。
一方で、バナナには100gに360mgのカリウムが含まれており、1本分の場合およそ450mg含まれています。これはりんごの3倍、みかんの2倍の含有量です。またバナナは食物繊維が豊富なため、腸内環境を整える効果も期待でき、さらに必須アミノ酸のメチオニンやリジンなどが鉄に働きかけて脂肪燃焼を促進する成分を合成します。
ただし、バナナは全体が黄色の完熟バナナをチョイスするのはおすすめできません。バナナは、熟してしまうとレジスタントスターチが糖質に変換され、その量が減ってしまうとともに、糖質の量が多くなってしまうからです。黄色に熟す前の緑色のバナナ(グリーンバナナ)、もしくは茎の部分に緑が残っているグリーンチップのバナナを選びましょう。
若返りフルーツの「スイカ」
スイカの実に91%が水分でできているため、甘くても血糖値を急激に上げることがないため、安心して食べることができるフルーツです。スイカにはビタミンC、ビタミンA、ビタミンB5、カリウムなどのビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。
特に、特徴的な栄養素がシトルリンというアミノ酸です。このシトルリンは、血管に非常に良い影響をもたらしてくれます。シトロリンは体内で必須アミノ酸のアルギニンに変換されます。そしてシトルリンとアルギニンはどちらも一酸化窒素の合成に重要な役割を果たします。そしてこの一酸化窒素には、血管をしなやかにして、血管の老化を防いでくれる効果があることが分かっています。
血管の一番内側には、血管内皮細胞と呼ばれる細胞があります。この血管内皮細胞は、普段一酸化窒素を作り出し、この一酸化窒素によって血管は柔らかくしなやかに若々しく保たれます。さらに高血圧や動脈硬化を予防することができ、血栓が作られるのを抑えてくれる働きもあります。
しかし、加齢によって血管内皮細胞が衰えて、血管内皮細胞の一酸化窒素を作り出す能力が低下します。そのため、スイカのような一酸化窒素の合成に重要な役割を果たしているシトルリンが豊富な食材を食べることで、一酸化窒素の 減少を食い止めることできれば、老化を防ぎ、血管を若々しく維持できます。
実際、スイカ成分抽出サプリメントを服用したグループは、プラセボのサプリメントを服用したグループと比べて、優位に血管のしなやかさを示す指標が改善し、血圧も低下したということが2013年の研究で報告されています。おそらくスイカに含まれているアルギニンとシトルリンによって、一酸化窒素がより作られるようになったことで、血管のしなやかさが取り戻されたと考えられます。
一方で、スイカにはもう一つの特徴的な栄養素リコピンが含まれています。実はトマトよりもスイカの方が効率的にリコピンを摂取できることが分かっています。
スイカやトマトの赤い色の原因となるのが抗酸化物質であるリコピンです。リコピンが発揮する強力な抗酸化作用によって、老化を防止する効果が期待できます。またスイカジュースを飲むことによって、インスリン抵抗性が改善するということも研究によって明らかになっています。
インスリン抵抗性とは、インスリンが効きにくくなった状態のことを言い、インスリンが効きにくくなった結果、血液中の糖が余り、減らずに高血圧や糖尿病などにつながってしまいます。スイカジュースとアルギニンを摂取することによってインスリン抵抗性が改善する研究があります。
若返りフルーツの「イチゴ」
イチゴも非常に栄養価が高く、ビタミンCを豊富に含み、必須ビタミンも豊富に含まれています。さらに植物由来の抗酸化物質も豊富に含まれています。イチゴの抗酸化レベルは、非常に高いということが2006年の研究によっても明らかになっています。
またイチゴには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が 豊富に含まれていて、腸の健康を促進するとともに鉄、マグネシウム、亜鉛、マンガンなど脳と体が健康的に働くため欠かせない重要なミネラルが含まれています。
さらにイチゴには、炎症を抑え、コレステロール値を下げ、健康的な血圧をキープできる可能性が研究によって示されています。特に慢性疾患を予防してくれる有益な植物性化合物が含まれていて、それらの抗酸化作用と抗炎症作用は 認知機能とメンタルの健康を改善することができます。
16000人以上の高齢者を対象とした6年間に渡る研究でも、ブルーベリーとイチゴが精神的な老化を最大で2.5年も遅らせることが判明しています。またいくつかの研究では、イチゴや他のベリーを食事に取り入れることで、心血管疾患、がん、アルツハイマー病、その他の健康障害を予防できることが示されています。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。