アンチエイジングのALA

アンチエイジングのALA

あらゆる分野で注目されているALA(5-アミノレブリン酸)は、私たちの体で不足すると様々な健康問題を引き起こします。アミノ酸は体を構成する要素(水分、脂肪、タンパク質)の中で、タンパク質の原料となるものです。そのタンパク質は20種類から構成されており、そのうち9種類が必須アミノ酸です。この必須アミノ酸は体内で合成できず、残り11種類の非必須アミノ酸は体内でつくることができます。

また、タンパク質にならない細胞や血液中に蓄えられる遊離アミノ酸があります。有名なものにGABAやタウリンがあり、ALAもこの一種になります。このALAが注目されている理由に、がん、糖尿病、パーキンソン病、脂質異常症などの様々な疾病を改善できるという報告があり、さらに疲労回復や睡眠の改善など、健康的な生活を送るためのサポートをしてくれることが分かってきたからです。またシワ・ニキビの改善、育毛効果などスキンケアやアンチエイジングの分野でも効果を上げています。

ALAの健康促進メカニズム

私たちの活動エネルギーはミトコンドリアによってつくられるATP(アデノシン三リン酸)です。このATPは細胞内の化学変化や筋肉の収縮などの様々な活動に使われ、1日に作られる総量は50〜70kgと言われ、その全てが消費されます。このエネルギー生産の過程においてミトコンドリアを活性化させるのがALAです。つまり細胞内で活動に欠かせないエネルギーを増産することに直接関与する「生命の根源物質」です。

このALAが豊富に供給されている場合は、ミトコンドリアがエネルギーを順調に生み出します。しかしALAの供給が滞ればミトコンドリアのエネルギー生産量が減少します。その結果、老廃物が溜まる、筋肉が弱くなる、代謝の低下、体温が下がるなどの老化現象が見られるようになります。

ALAは、17歳前後をピークに年齢とともにその生産量が減り、50〜60歳になるとかなり減少することが分かっています。その他にも睡眠不足や過労、ストレス、運動不足、飲酒、喫煙、食生活の乱れなども減少する原因です。

この不足したALAは食べ物から摂取することもでき、その量は1日約2mgです。含有量が多いのがタコ、イカ、バナナ、ピーマン、ほうれん草、巨峰です。また黒酢、ワイン、日本酒、納豆、醤油などの発酵食品にも多く含まれています。しかしALAは1日に大半の量が尿などによって体外に排出されてしまうため、食品だけで補うことは難しいとも言われています。そのためサプリメントなどで摂取するのが効率的と考えられています。

ALAのアンチエイジング効果

乾燥肌の改善

シワ、育毛、老化防止、生活習慣病の改善などでALAを活用することでアンチエイジング効果があるという研究が美容分野で発表されています。

まずは化粧品分野ですが、ALAを配合した化粧品を塗ると、肌に浸透したALAによってATPが豊富につくられ、その副産物として二酸化炭素と代謝水が発生します。健康的な成人の場合、この代謝水は1日に200〜500mlつくられ、年齢とともに少なくなります。体内の水分が衰えると肌の乾燥やシワができやすくなりますが、ALAによって肌の細胞内で代謝水を増加させることで、細胞レベルで乾燥肌の改善を期待することができます。

育毛促進

毛根から生えた毛が成長して抜け落ち、また新しい毛が生えてくるヘアサイクルがあります。しかし老化によってこのサイクルが機能しなくなります。その理由として、毛母細胞やメラニンをつくる細胞が弱る、幹細胞のミトコンドリアが弱るため、若い時ほど発毛のためのエネルギーをつくり出せなくなるからと考えられています。

ALAは毛母細胞を活性化して、新しい毛の育成を促す効果が確認されています。ALAは毛穴周辺に集まりやすい性質があり、毛母細胞のミトコンドリアに直接働きかけることで発毛効果が期待できます。

ニキビ

大人ニキビの原因はストレス、食生活の乱れ、ホルモンの影響、睡眠不足、肌の乾燥が関係しています。軽症の場合はスキンケアで対処できますが、ひどくなると皮膚科で治療を受けなければ症状の改善は難しくなります。

毛穴の入口の角質が厚くなり毛穴がふさがる「角栓」ができることで、皮膚が詰まりやすくなり炎症がひどくなります。また毛穴に溜まった皮脂にアクネ菌が増殖して炎症になったり、紫外線による活性酸素の影響などもあり慢性的かつ難治性になりやすく、跡が残らないためにも短期間で効果的な治療法が望まれていました。

そこで注目されているのがALAを使った光線力学療法によるニキビ治療です。肌に塗ったALAは皮脂周辺にあつまり、プロトポルフィリンⅨに変化して光に反応します。この光化学反応によって活性酸素が発生し皮脂線を破壊します。またALAはアクネ菌に取り込まれて光によって死滅させる効果もあります。

内臓脂肪の減少

糖尿病、高血圧、心臓病、脳卒中、動脈硬化などを引き起こす原因となるのが内臓脂肪です。内臓脂肪を簡単に減らすことは難しいと考えられていましたが、ALAと鉄を摂るだけで内臓脂肪が減っていくことが発表されています(京都府立大学)。

ALAと内臓脂肪の蓄積に関する研究では、ALAの量に比例して内臓脂肪が減少することがマウス実験で分かっています。これはALAがミトコンドリアを活性化して内臓脂肪をエネルギーに変わりやすくさせているからだと考えられています。また安静時の酸素消費量が増加して、体温を上昇させるUCPを増加させることも分かっています。

UCPはミトコンドリアに存在するタンパク質で、体の熱を生み出す役割を担います。実験によるとALAと鉄を投与したマウスは、90〜150分にかけて酸素消費量が上昇しました。つまりALAと鉄を投与することで基礎代謝が上がり、脂肪が燃焼しやすくなった推測できます。この結果をもとに健康な9人の男性に同じ実験したところ、ALAと鉄を投与したグループで酸素消費量が1.4倍、体温情処率が1.3倍になり、基礎代謝が上がったことが分かっています。

最新研究のアンチエイジング物質

アンチエイジング研究の第一人者の今井教授(ワシントン大学)の研究により注目されているのが、「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」という物質です。この物質は老化を遅らせ、実年齢よりも身体機能を若く保つことが期待されています。

これはビタミンB3からつくられており、ブロッコリーやアボカド、トマトなどにも微量に含まれる食品成分です。以前は、高価格でしたが、日本国内での生産体制の整備などによって価格も下がり、一般的なサプリメントとして人気を呼んでいます。

NMNの効果

研究によると、加齢による臓器機能、認知機能、免疫機能の低下を抑える効果があり、さらに血管の弾性を若い頃と同じように保つ、身体活動量のアップ、血糖値をダウンなど、非常に多岐にわたるアンチエイジング効果が、世界各国の研究論文で証明されています。

ビタミンB3由来のサプリメントとして、NR(ニコチンアミドリボシド)もありますが、NRは飲んでも腸内細菌で100%分解されてしまいます。一方でNMNを飲むと、すぐにNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という、生きていくうえで欠かせない補酵素に変換されます。

このNADの減少が、老化の引き金になるのではないかというのが世界中の研究者の共通認識になりつつあります。

NMNの効果は本当?

NADの加齢に伴う減少を、NMNで補うことで、アンチエンジングの効果があるというのは、あくまで仮説です。つまり研究はマウスでの実験結果です。人のNMNの効果を検証する臨床試験は発表されておらず、あくまで安全性確認試験(第Ⅱ相試験)が進行している状況です。そのため、NMNサプリメントの摂取がどのような影響を長期的に体に及ぼすのかは分かりません。

例えば、NADを増加させるとがんを悪化させる可能性が指摘するような研究論文もあります(NAD Metabolism in Cancer Therapeutics)。サプリメントビジネスからすれば、臨床試験で有効性や安全性が確認されなくても、利益を得るため、たくさんサプリを売るための良い宣伝文句かもしれません。

NMNを研究している研究者たちも、効果に期待はしつつも人への応用は今後の研究が必要という認識を示しています。サプリメントの多くは「健康食品」であり、「医療品」ではありません。医療品であれば、どの病気や症状に効くのかをはっきりと表示することができますが、サプリは栄養補助食品です。

間違いのない事実

サプリ以外でNADを増加させる一つの方法は「適度な運動」です。運動が老化を遅らせることは、複数の研究で科学的にも証明されている間違いのない事実です。運動によって、サーチュイン(老化や寿命をコントロールする酵素)の活性化に不可欠なNADの量が増えます。

また、1日の始まりのエネルギー源となる朝食をしっかり摂ることで、NADを日中の活動期に増やすことも大切です。結局は、日の出と共に体を動かして働き、夕食を軽めに食べて日が暮れると共に寝ること、それが生活リズムを整え、老化を遅らせることなのです。

【本コラムの監修】

恵比寿院長

HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

関連記事

  1. アンチエイジングと細胞老化(セネッセンス)

  2. 健康・ダイエットには糖質制限

  3. お家でセルフケア、代謝をあげるツボ

  4. 3つをやめて体重コントロール

  5. 3つのツボで美顔を保つ

  6. 【お顔のセルフケア】二重あご・たるみに効くツボ

  7. 美と若さの新常識、シナモンで若返り

  8. 目の下のたるみ・上まぶたのたるみに効くツボ

  9. 東洋医学で診る、肩こりと美肌

  10. 新月と満月の東洋医学

  11. 痩せる方法が変化している

  12. 新月はデトックスをしましょう

  13. 痩せ願望は緩やかな体重制限で

  14. 鍼の好転反応(ニキビと余分な熱)

  15. お粥は胃に優しくない