週1断食のメリット

    週1断食のメリット

    週1断食は、週にまる1日食事を摂らない日をつくる「24時間断食」です。長期間に渡る断食や間違った断食で脱水症状を起こして体調が悪くなることがありますが、週1断食は初心者にもある程度安全に断食できることがメリットです。

    断食は最強の健康法とも言われ、ダイエット効果だけでなく、様々な病気の原因となる過食や偏食を防ぐことで体を健康に変えていくことができます。世界で広く断食が宗教の垣根を越えて実践されていた歴史があります。科学的に断食の効果が研究される以前から、人は断食の健康効果を知り行なっていました。医学の祖であるヒポクラテスは、「満腹が原因の病気は、空腹によって治る」という言葉通り、過食と偏食によって様々な不調や病気が引き起こされている現代では、断食によって体調が良くなる可能性がとても高くなっています。

    断食の健康効果

    現代の不調や病気の背景に、過食と偏食があります。糖尿病、高血圧、心疾患、肝硬変、腎不全、がんなどの生活習慣病は不健康な食事によって発症リスクが劇的に上がります。特に過食になった原因が1日3食の習慣が定着したことです。農業が中心だった頃は1日2食の生活でしたが、トーマスエジソンがオーブントースターを発明して使ってもらうために朝食(朝食文化)を推奨したことが1日3食の始まりと言われています。実は朝食の健康効果は科学的には解明されておらず、朝食を抜くことで不健康になるという事実もありません。人の体は満腹であることを想定しておらず、間食なども含めて1日3食は体にとっては負担となってしまいます。

    過食によって引き起こされるのは腸の免疫異常であり、アレルギーの原因になっているとも言われています。一方偏食においても、栄養不足(ミネラル)によって神経伝達物質が少なくなり、脳機能の低下、うつ症状につながってしまいます。また糖分の過剰摂取によって血糖値を下げるためにインスリンが体内で過剰分泌されてしまうと、自律神経が乱れて心や体にも様々な症状を引き起こしてしまいます。

    内臓を休ませる

    断食による大きな効果の1つが内臓を休ませることです。食べ物は胃や十二指腸で消化分解し、小腸や大腸で栄養素を吸収、毒素を排出します。アルコールや脂肪、糖や栄養素の分解に肝臓や膵臓が関わり、体中の臓器が働くことになります。

    現代人は食べ過ぎにより常に臓器が働いており、オーバーワークで疲れているため、本来の機能を取り戻すためには休ませる必要があります。食べ過ぎだけでなく、処理できなかった食べ物の残りが排出されず腸の中に溜まって便秘を引き起こします。この場合は断食によって腸を活発にさせるホルモンを分泌させることで、腸内の運動を促進することになるため腸内の便が排出されることになります。

    また、腸の機能が弱まると栄養吸収ができなくなり、体調不良や生活習慣病を引き起こすことになります。このように断食の効果は、腸の働きを良くすることをベースにしており、それだけ腸は全身の健康状態に大きく影響を与えています。さらに断食で血糖値が上がらなければ膵臓が休息し、毒素を排出することもの必要なくなるので肝臓も休むことができます。

    一方で、ファーストフードや加工食品には有害な添加物が多く含まれています。代表的な食品添加物である防腐剤や殺菌剤はあらゆる加工食品に含まれています。これらの有害物質が体の中で蓄積すると腸内の善玉菌や悪玉菌を死滅させてしまいます。医学的には悪玉菌から発生すると言われており、そうなると腸の環境が悪化して小腸での栄養素の吸収や消化吸収、排泄機能が弱まります。

    免疫力がアップ

    病気に対する抵抗力に欠かせないのが免疫機能です。免疫力を司るのは血液細胞のリンパ球で、その約7割は腸管に存在しています。過食や偏食で腸内環境が乱れると腸壁のバリアが脆くなり、異物が血液にたくさん流れ込み常にリンパ球が働くことになります。筋肉や内臓と同じく、働き過ぎると疲れていまい本来の免疫力も保てなくなります。また健康的な腸の粘膜は、胃や十二指腸で細かく分解された物質しか通しません。しかし腸内環境が乱れると、腸粘膜の目が粗くなり未消化の物質を通すようになります。これをリーキーガット症候群と言い、腸のバリア機能が壊れている状態のため異物や有害物質が血中に入りアレルギーや自己免疫疾患を引き起こします。

    何れにしても、週1断食によって腸に溜まったものを排出して有害物質の発生を最低限に抑えることが大切です。腸内環境が回復すれば免疫システムも回復して、病気への抵抗力がアップします。

    血糖値を抑える

    白米、パン、麺類などの炭水化物の摂取によって、短時間に血糖値が急激に上昇し、それを下げるために大量に膵臓からインスリンが分泌され、今度は急激に血糖値が減少します。このような乱高下が自律神経のバランスを乱して様々な不調や病気を引き起こします。一方で過剰なインスリン分泌は低血糖症状を引き起こし、イライラ、不安感、集中力の欠如など精神的な不調に繋がります。

    また、過食によって常に膵臓からインスリンが分泌し続けることでどんどん疲弊していきます。血糖値が上がらなければ膵臓は休息を取ることができ、血糖値が安定すれば自律神経のバランスが整います。また体内炎症が原因となる炎症性の腸疾患、皮膚炎、肝炎などにも断食には有効です。

    ダイエット効果

    太る原因は過食です。私たちの体は余分な糖質を中性脂肪に代えてエネルギーを蓄える機能が備わっています。そのため私たちの体は必要以上に食べて体にエネルギーを蓄積しようとします。肥満は脂肪肝や脂質異常症へと繋がる恐れがあり、コレステロールが蓄積すれば動脈硬化のリスクも高まります。週1断食によって新たなエネルギー吸収を抑えて、蓄積したコレステロールを消費し、その後脂肪を溶かしてエネルギーへと変換することでダイエットにも繋がります。

    東洋医学で診る「週1断食」

    断食の目的は病気の改善と健康維持の2つあります。病気の改善であれば断食によって血糖値を下げる時間を作ることを意識しましょう。一方で健康維持が目的であれば、腸を含めた内臓を休ませること大事です。

    週1断食は1日1食、週に1回、24時間体に食べ物を摂らない時間を作ることです。理想は朝食を抜くことです。東洋医学では、朝の4時から昼の12時までは排泄の時間として考えます。食事をすると便が出ますが、腸内に溜まった便の1部が押し出されているだけで、腸内がキレイになっているわけではありません。そのため朝食を摂ってしまうと、排泄したところにまた食べ物が腸に届いてしまうためいつまでも腸内に食べ物が溜まっている状態となってしまいます。排泄の時間である午前に断食をすることで、腸内に溜まった老廃物を排出するためにも、できれば午前中は断食しましょう。

    断食する曜日は、ダイエットが目的であれば月のリズムに合わせて行うことが効果的です。新月から月が満ちていく時期は「増える」エネルギー、満月から月が欠けていく時期は「減る」エネルギーです。そのため脂肪を減らすのは満月からスタートして1週間ごとに4回続けてみましょう。「減る」エネルギーが満ちている場合は食欲も抑えられます。

    NO砂糖こそが大事

    砂糖を止めると体に起こる変化として挙げられるのが若返る効果です。老化を引き起こす糖化は、タンパク質と脂質がブドウ糖と結合することで、劣化する反応です。糖化によって体内では糖が過剰にこびり付いて本来の機能を失ったAGEが産生されます。このAGEが老化させる大きな原因であり、あらゆる病気を引き起こしてしまうことが明らかになっています。つまり砂糖とか糖質を食べれば食べるほど体内で増えて老化や病気が促進されます。またAGEは肌のコラーゲンと結びつくことでシワ、シミなどの外見トラブルの原因にもなります。

    一方で、AGEは細胞や組織を攻撃し、細胞や臓器に炎症を引き起こしてしまうことが近年の研究で明らかになってきています。例えば動脈を詰まらせる血栓の原因は炎症であり、AGEによって傷つけられた血管の内壁に血液中に流れるコレステロールが染み込み、炎症が起きます。それを防ぐために免疫細胞や血小板が集まり血栓をつくります。この血栓が脳梗塞や心筋梗塞などの命を脅かす重篤な病気につながりかねません。また炎症は様々な病気の背後にある原因とも言われています。糖尿病の人は普通の人より血管が10年早く老いるとも言われており、それはAGEが体内に沢山存在して炎症が起こって血管壁が劣化してしまうからだとされています。さらに謎の体調不良を抱えている人ほど、体内の炎症レベルが高いことも分かっています。

    また、現代人の多くが慢性的な疲れに悩まされており、その原因に甘いお菓子やジューズなどを食べていることが挙げられます。この慢性的な疲れを取るためには、糖質をエネルギー源として使う糖質燃焼型から、脂質をエネルギーとして使う脂肪燃焼型の体に変えていく必要があります。私たちの体は、本来糖質を燃やしてエネルギーを取り出すのに適した状態につくられていません。そもそも精製された炭水化物や砂糖が手に入るようになったのは、人類の歴史から見ればごく最近のことです。糖質から取り出したエネルギーを使うことで、体に炎症が起こり、疲れやすくなったりします。そのため砂糖断ち、タンパク質や脂質を摂ることで圧倒的に疲れにくくなることです。

    最後にNO砂糖にすることで、メンタルが安定するメリットが挙げられます。複数の研究では、甘いお菓子や砂糖の入ったジュースによって抑うつ症状やうつ病のリスクを高めることが示唆されています。例えばジュースなどは、胃で消化する必要がないため、糖分が小腸ですぐに吸収されます。血糖値が急上昇すると脳内ではセロトニンやドーパミンなどの幸福物質が放出され幸せな気持ちになります。しかし幸せになれるのは一瞬であり、膵臓から血糖値を下げるためにインスリンが分泌されて低血糖状態に一時的に陥ります。この低血糖状態になるとイライラ、不安感、眠気、吐き気などに襲われることになります。この不快な症状に耐えられず、あの幸せな気持ちを求めて糖質を求めてしまいます。このような状態を一般的に糖質中毒と言い、血糖値が1日に何度も乱高下して、いずれ血管がボロボロになり、インスリン分泌能力は衰え、インスリンの効き目も悪くなり、糖尿病をはじめとした様々な生活習慣病のきっかけになります。

    さらに甘いジュースを飲むと死亡リスクが上昇するという研究があります。2019年に発表された研究によると、砂糖が添加された甘い飲み物の摂取量が1日あたり約350ml増えることに全ての原因による死亡リスクが11%高くなったことが明らかになっています。また1日に飲むフルーツジュースが約350ml増えるごとに死亡リスクが24%も高くなることが分かっています。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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