感謝することの科学的なメリット

感謝することの科学的なメリット

頑張り屋さんは、常に頑張ろうと無意識のうちに自分を追い込みすぎる特徴があります。ですが、追い込みすぎると交感神経が常に緊張し、睡眠も悪化して健康に悪いことが分かっています。頑張ることや勝ちたい気持ち、執着を手放すことも時には大事です。

例えば、潔ぎ良く負けを認めることも大事であるということです。当然、自分自身の能力で最大限頑張れることをやり尽くして、それでもどうにもならないことに対しては負けを認めて手放す。そうすることで私たちは執着から解放されて新たな一歩をスタートさせることができるはずです。

ハーバード大学の研究によると、極度のストレス下で現実を受け入れる態度を取ると、脳内で恐怖や不安といった負の感情が静まることが分かっています。それによって心拍数や血圧が安定し、免疫系が活性化することも科学的に確認されています。つまり諦める、手放すことは、戦いの状態から安全な回復モードへと脳をスイッチさせ、身体を癒す力を最大化する効果があります。

自己受容と回復力

実は様々な心理学の研究によって自己受容と回復力には高い相関関係があるということが分かっています。自己受容とは、自分の長所だけでなく短所も含めて、ありのままの自分をそのまま受け入れることです。この力が高い人は、困難や病気から回復する力が高い傾向があります。

さらに自己受容が高い人は、免疫力も高いことが科学的にも実証されています。自分はこのままでよいと受け入れてあげる安心感が自律神経の安定につながり、それが免疫細胞の活性化へとつながります。

そして、もう1つ大切なのが自分1人で頑張ろうとしないことです。そしてそのために大事なのが人に任せる生き方、つまり他者を信頼する力です。自分1人で頑張らなければいけないと思い込んでしまうのは、自分1人で何もかも抱え込むという辛い生き方につながってしまいます。

ですが他人を信じることで人に仕事や役割を任せることができれば、自分の肩の荷をもっと下ろすことができるはずです。頑張りすぎず他者を信頼することで人生はもっと自然に穏やかに流れ始めます。

リラックスすることの大切さ

また、人生においてはリラックスすること、これは筋トレを例に取ってみればよく分かるはずです。筋トレで筋肉をがむしゃらに鍛えるだけでは、筋肉は成長しません。筋トレと同じぐらい大事なのが休息をすることです。

筋トレをして筋繊維を破壊してもそれに見合った休息を取らなければ筋肉は成長しません。人生もそれと同じで、頑張ったらそれと同じだけ休息を取らなければいけません。つまり筋繊維の回復と同じで頑張れば頑張った分だけリラックスしなければ人生は前に進まないのです。

常に体や精神が緊張状態になれば、体内では自律神経のうち交感神経という神経が活性化し続けている状態です。交感神経が優位になり続けると白血球のうち顆粒球というタイプだけが増えることが分かっています。この顆粒球が増えると、がん細胞を監視したり攻撃したりするリンパ球が減ってしまいます。

また、交感神経が高ぶって緊張モードのままでいると、副交感神経によってコントロールされている胃腸の働きが低下し、それによって消化不良となり、食べているにも関わらず栄養失調という状態になってしまいます。

そして体が常にリラックスできないため、疲労の蓄積が慢性化してしまいます。さらに副感神経が働かなくなることで睡眠も浅くなってどんどん疲弊してしまいます。ここから分かることは、やはり人生においては走り続けることではなく休息が大事なことが分かります。

また、私たちがリラックスしている時、何もしていないようで、実は無意識のうちに脳がフル稼働しています。リラックスしている時は脳のデフォルトモードネットワークという部分が活性化され、潜在意識が働き、直感やひらめき、想像力が最大化されることが脳科学の研究でも明らかになっています。

例えば、お風呂の中でリラックスしている時、不思議なひらめきがあったという経験はないでしょうか?これはまさに湯舟に使って副交換神系が活性化している証拠です。このようにリラックスというのは単に体を休めるだけでなく、頭の中で想像力を働かせながら発想を生み出すという非常に前向きで生産的な行為です。だからこそリラックスの時間を、サボりとか怠けとは思わず、より前向きに捉え、是非ともしっかりと休息を取り入れてみて欲しいと思います。

幸せを勘違いする

日本人というのは、世界的に見ても幸福度が低い人が多く、自分は幸福ではない、全然幸せを感じられていない特徴があります。また中には日々幸福感を感じながら生活できています方も、その幸福感は本当の幸福なのかと問いかける必要があります。

例えば、仕事をして成果や評価を積み上げて幸福に生きていると信じ込んでいたとしても、心の中では満たされず、常に乾いたままのこともあります。成果を積み上げるとことは、未来の成功を目指して駆け上がるタイプの幸福です。

このような幸福は、ドーパミン系の幸福と呼ばれています。ドーパミン系の幸福は、例えばパチンコで当たったり、ギャンブルで儲けるといった類いのもので、当たれば当たるほどもっと成果が欲しくなり、その幸福には終わりがありません。

心の乾きや活望感といったものが残ってしまい、もっとと再現なく結果を求め続けてしまいます。一方で本当の幸福というのは未来にあるのではなく、今ここにしかありません。そして幸せというのは将来を思い描いて考えるものではなく、今この瞬間に感じるものだということに気づく必要があります。

実際、心理学の研究では、将来のことばかり考えている人よりも今この瞬間に集中している人の方が圧倒的に幸福度が高いことが明らかになっています。またポジティブ心理学の研究によって、成功によって幸福が得られるわけではなく、むしろ幸福になることによって、私たちは初めて成功できることも実証されています。

つまり先に幸福感を感じることによって仕事も健康も人間関係も全てがうまくいくようになって、それが成功につながるということなのです。成功すれば幸せになれると思い、頑張るのではなく、実際は幸せだから成功する、この順番です。

幸せな状態で楽しみながら努力できている人と、毎日辛い辛いと言いながらネガティブな気持ちで無理やり努力している人、どっちが幸せかは明らかでしょう。幸せは、未来にある理想ではなく、それは今この瞬間呼吸をして、今ここに存在している私たちの元にいつでもあるものです。

これが理解できた時、世界の見え方はガラっと変わるはずです。幸福と言う青い鳥は探しに出かけるものではなく、最初から今ここにいることに気づくことが大切です。この気づきこそが大切であり、例え今自分が成功していなくても、それに気づくことができれば、人は今この瞬間から幸福になることができます。

あなたの人生を幸福にしてくれるちょっとした一言

それは会話をポジティブな一言で始めるということです。ある研究によると会話の最初の一言が、その結末を決定すると言います。つまり最初の一言目に、「最近は忙しい、大変な1週間だった」などと言葉を言った日には、その会話はネガティブな会話になります。

そうではなく、久しぶりにあなたに会えて嬉しいとか、電話の場合は声を聞けて嬉しいといったポジティブな言葉から始める癖をつけましょう。そこまで過剰なポジティブなことじゃなくても良く、「今日は天気が良いですね、なんだか気持ちがいい日ですね」などの軽い言葉でも全然OKです。

会話の最初のポジティブな一言が、その会話自体をポジティブなものにし、人間関係をポジティブに変え、あなたの人生をポジティブにするとても簡単な方法です。

感謝することの科学的なメリット

感謝で健康になっていく

感謝の持つ力というのは、あなたの体に大きな恩恵をもたらすことが分かっています。特に心血管系の健康への大きな影響があります。まず感謝が心臓にどのような良い影響を与えるのかは、ロンドン大学の研究では2週間感謝日記をつけることで、ポジティブな感情が増して睡眠の質が向上するとともに、血圧が低下することが確認されています。

また南フロリダ大学が行った13の研究を分析した結果、感謝は体内炎症の数値を下げ、健康的な行動を促してくれることが示されています。この研究では感謝の気持ちは低コストの医療介入として、心血管疾患の予防や改善に有用であると結論付けられています。

また、感謝が心臓に良い影響を与える理由として、自律神経系への作用が上げられています。研究では感謝の感情を持つ人ほど健康的な行動を取りやすく、自律神経のバランスも整いやすいことが分かっています。これらの効果が血圧の低下や心血管系の機能の改善につながっています。

また感謝は痛みを和らげるという力まであります。例えばニュージーランドのオタゴ大学が行った研究では、関節炎の患者がオンラインで感謝とマインドフルネスのワークを4週間行ったところ、痛みの強さや不安が軽減されることが確認されています。またアメリカのアラバマ大学の研究では、慢性的な膝や股関節の痛みに悩んでいる高齢者が、2週間感謝日記をつけることで痛みが軽減され、幸福感が増したという結果が得られています。

これらの変化は、炎症マーカーの減少と関連していると考えられおり、つまり感謝の効果とは単なる気の持ちようではなく、生理学的な変化として現れること、さらに感謝は重い病気の苦痛を和らげる可能性もあります。

マレーシアのマラヤ大学では、進行がん患者に1週間の感謝日記を書いてもらう実験が行われています。その結果、苦痛や不安、抑うつが軽減され、幸福感が向上しています。この研究は絶望的に思える状況であったとしても、感謝が心の支えになることを示しています。また感謝をすることによって、より健康的な行動を取りやすくなります。

例えば、大学生を対象に行われた研究では、感謝の作文活動を行った後、健康的な食事や運動への意欲が増したことが確認されています。また高校生に感謝の手紙を書く活動を週に1回行わせたところ、ジャンクフードの摂取が減り、栄養バランスの良い食事を選ぶようになったという結果もあります。

つまり感謝がネガティブな感情を減らし、自分を大切にする気持ちを育むことで、こうした行動変化が起きることを表しています。このように感謝をすることによって自動的に良い食事、運動習慣といった健康に良い習慣を続けやすくなるかも知れません。

そして、感謝が寿命を伸ばす可能性があります。2024年に発表されたハーバード大学の研究では、感謝の気持ちを持つ人は、持たない人に比べて死亡率が9 %も低いということが報告されています。特に心血管疾患における死亡率は、15%も低かったことが分かっています。この結果は、感謝が単に心の健康に良いだけでなく、体の健康全般に関わって深い影響を 及ぼすことを示しています。

メンタルが健康になる

感謝が肉体的な健康に影響を及ぼすだけでなく、感謝は心の健康においても重要な役割を果たします。例えば夜寝る前に、今日1日感謝できることを思い出してみるだけの行動で、睡眠の質が向上する研究結果があります。イギリスのマンチェスター大学の調査では、感謝の気持ちを持ちやすい人ほどぐっすり眠れることが分かっています。

これは寝る前にポジティブな考えが増え、不安や心配といったネガティブな感情が軽減されるためです。感謝の気持ちは、睡眠を妨げるネガティブな感情を減らし、リラックス状態をもたらすため、睡眠の質を向上させます。

また、ロンドン大学の研究では、2週間感謝日記を書くことで睡眠の改善とポジティブ感情の増加が確認されています。また感謝は睡眠の質を上げるだけでなく、ストレスや不安を軽減する効果もあります。香港の大学の研究によると医療従事者が週に2回感謝日記を書くことで、ストレスやうつ症状が緩和されることが分かりました。

同様に、アイルランド国立大学の研究では、感謝の日記と振り返りを3週間実践することで、ストレスやうつ症状の改善が観察されました。これらの研究は、ランダム化比較試験に基づいており、その信頼性が高いことが特徴です。

また、感謝は自己肯定感と自己効力感を高めることも分かっており、感謝の気持ちを持つことで自分をありのままに受け入れて、自分を肯定する力が強まります。また感謝を表現することで他者との関係が深まり、自分の価値を再認識する助けにもなります。さらに感謝をされる経験を通じて、自分はできるという感覚が高まり、新しい挑戦への意欲も湧きます。

一方で、人間関係においても感謝の力は絶大で、感謝の言葉をかけられた人は、その関係を深めたいと感じやすくなります。つまり親子関係や恋愛関係においても感謝の気持ちを示すことで信頼が強まり、関係が良好になります。これによって孤独感の軽減や外交性の向上といった効果が期待できます。

さらに感情はレジリエンス、つまり心の回復力まで高めてくれます。アメリカの研究では、感謝の実践がポジティブ感情を長く保ち、ストレスを受け流す力を強化することが示されています。また楽観的な思考を促すことで困難な状況でも落ち込みにくくなります。マレーシアの大学生を対象とした調査でも、感謝の気持ちが強い学生ほどレジリエンスが高くて学業成績も良いという結果が得られています。

そして感謝は、あなたの幸福度を高める力も持っています。感謝の手紙を書く、感謝の日記をつけることで生活の満足度が向上し、抑うつ症状が減少することが数多くの研究で確認されています。例えばインドネシアの研究では、感謝が幸福度に大きな影響を与えることが分かっています。

このように感謝の気持ちは、心と体の健康を支え、人間関係を深め、幸福な人生を気づくための大きな鍵となります。たった数分の習慣があなたの生活に驚くべき変化をもたらすかも知れません。今日から感謝の気持ちを日々の生活に是非取り入れましょう。

人生が前向きに好転する

感謝をすることでモチベーションや、やる気が上がり、仕事にも良い影響が出ることが分かっています。まず感謝を受けることで自分の努力が認められたと感じ、自然と頑張ろうという気持ちが湧いてきます。

この感覚は心理学では自己効力感と呼ばれるもので、自分にはやれる力があると信じる力のことです。例えば「ありがとう」と言われた瞬間、今までの努力が報われたように感じ、新たな挑戦への意欲が湧いてきたという経験があるでしょう。

また、感謝の言葉には個人の仕事のパフォーマンスも向上させます。具体的には感謝の気持ちが活力を生んで従業員同士の関係も改善します。例えば職場で助け合いの精神が育まれれば、自然とチームワークが良くなって結果的に個人の成果も向上します。これは数多くの研究によっても実証されています。

また、職場での人間関係も感謝によって大きく改善できます。感謝を口にすることで同僚や上司との信頼関係が深まって、より良い強力体制が築くことができます。ある研究では感謝の表現が職場のストレスを軽減し、助け合いの行動を促してくれることが分かっています。これによって職場全体がより働きやすい環境へと変わり、あなたはストレスなく働くことができます。

そして、感謝が持っている力には、ストレスの軽減が挙げられます。多くの人にとって仕事のストレスの原因は、人間関係にあると言われますが、感謝の習慣がそれを改善します。例えば週に数回感謝日記つけるだけで、ストレスやうつ症状が緩和される研究結果もあり、感謝の力をうまく取り入れることで職場がストレスフリーの空間になる可能性が広がります。

また、仕事の満足度についても感謝は大きな役割を果たします。例えば、教員を対象とした研究では、感謝の介入により仕事の満足度が約18%も向上した結果があります。感謝の感情は単に他者から評価されるだけではなく、自分自身で感謝を表現するだけでも満足度を高める効果があります。日々の小さな感謝が仕事に対する見方を大きく変えるかもしれません。

そして感謝は自己成長の意欲を高めてくれる効果もあります。感謝されることで自分は期待されているという感覚が芽生えれば、それが自分を高める行動や新しい目標への挑戦を後押ししてくれます。

感謝の効果を台無しにする行動

もちろん生きていれば不快なことや嫌なことは誰にでもあるでしょう。そのため、ついつい悪口や愚痴を発してしまいたくなる瞬間もあるでしょう。しかし、それはあなたにとってデメリットしかありません。悪口を仮に言い続けてしまえばどうなってしまうのか、それには科学的な結論があります。そしてネガティブな言葉や悪口が多いと、感謝の効果を十分に得ることは難しくなってしまいます。

まず、ネガティブな言葉や悪口が多いと認知症リスクへの影響が挙げられます。東フィランド大学の研究では、皮肉や批判が多い人は、認知症のリスクが3倍になることが分かっています。悪口を言うことでストレスホルモンであるコルチゾールが過剰に分泌され、記憶を司る海馬や意思決定を行う前頭前野に深刻なダメージを与えます。具体的には、コルチゾールの影響で前頭前野の神経ネットワークが40%以上破壊されるとされています。こういった影響が積み重なることで認知症のリスクが大幅に高まってしまいます。

一方で、ポジティブ思考を持つ人がネガティブ思考の人よりも寿命が10年以上長いという研究があります。また別の研究では、楽観的な人の寿命が、平均よりも15%長いことが明らかになっています。一方でネガティブ思考の人は、心疾患のリスクが2倍以上高まり、東フィンランド大学の研究でも皮肉や批判が多い人の死亡率が1.4倍高くなるとされています。

そして、悪口はストレス解消になると思っている人いるかもしれませんが、逆ストレスを増加させることが分かっています。悪口を言うとアドレナリンとコルチゾールというストレスホルモンが分泌されて、脳は戦闘状態に入ります。

この状態では一時的に高揚感を感じることがありますが、これはストレス解消ではなく脳が過剰に興奮している状態です。さらにアドレナリンの持続的な分泌は、心臓に負担をかけ体全体に悪影響を及ぼします。

また他人への悪口は、結局自分自身に跳ね返ってきます。オランダの研究では、侮辱的な言葉が自分に向けられたものでなくても脳に同じダメージを与えることが確認されています。つまり他人に向けた悪口は、自分自身に対する悪口と同じ影響を与えてしまいます。

また、扁桃体の肥大化という問題も挙げられます。ネガティブな感情が多い人は、扁桃体が過剰に肥大化する傾向にあります。扁桃体は脳の警報装置として機能し、危険を察知する役割があり、これが肥大化すると不安や恐怖を過剰に感じるようになります。その結果、他人の些細な行動にも敏感に反応し、感情をコントロールすることが難しくなります。こういった状態が続けばメンタルヘルスに深刻な影響を及ぼすのは当然でしょう。

さらに悪口は、感謝の効果を相殺してしまいます。心理学の研究によると、ポジティブな感情とネガティブな感情の理想的な比率は3対1と言われています。つまり悪口を1回言うごとに感謝やポジティブな言葉を3回以上言わなければバランスが取れないことになります。いずれにせよ、ネガティブな言葉や悪口を控えることが健康と感謝の効果を高める鍵と言えるでしょう。

ありがとうの感謝言葉

たった五文字の、誰もが知っている簡単な言葉があります。それを唇に乗せるだけで、人生を取り巻く景色が一変するとしたら、あなたは信じられるでしょうか。突飛な話に聞こえるかもしれませんが、これは個人的な気休めの言葉ではなく、世界を貫く法則であり、生命を蘇らせる力だとされています。その言葉こそ「ありがとう」という感謝の響きです。どれほど苦しい現実の中にあっても、この言葉を口にした瞬間から、運命の歯車は動き始めます。

 朝起きてから今この瞬間まで、自分がどのような言葉を口にし、心の中でつぶやいてきたかを振り返ってみてください。眠い、仕事に行きたくない、あの人が嫌いだ、お金がない。こうした言葉が無意識のうちに漏れ出ているとしたら、それは自分自身の手で自分の人生を苦しくしているのと同じことになります。言葉には魂が宿るという「言霊」という考え方がありますが、これは単なる縁起担ぎではなく、言葉そのものが、つまりエネルギーであるという理解に基づいています。

そして世の中は、発した波動と同じものを送り返してくるという、精密な鏡のような性質を持っているとされています。山に向かって叫べば同じ言葉がこだまして返ってくるように、不平や不満、愚痴といった暗い波動の言葉を発すれば、世の中は忠実にそれにふさわしい現実を引き寄せます。逆に明るく力強い感謝の言葉を発すれば、喜びに満ちた現実が返ってきます。

この法則には例外がなく、年齢や職業、貧富の差にかかわらず、誰にでも等しく働くとされています。理屈も条件も資格も一切いりません。ただ腹の底からありがたいと感じること、それが人間の心を正しく育てる最初の一歩です。

感謝は「条件付き」であってはならない

 良いことがあったから感謝する、というのは単なる取引に過ぎません。多くの人は、何か良いことがあった時にだけ「ありがとう」と口にします。親切にされた時、欲しかったものが手に入った時、病気が治った時などです。もちろんそれ自体は美しいことですが、ここで伝えたいのはそうした受け身の感謝ではありません。むしろ、辛い時や苦しい時にこそ、理由がなくても先に感謝してしまうという積極的な実践です。

なぜ何もないのに感謝するのか。まずは自分が今、呼吸をしているか、心臓が動いているか、目でものを見て耳で音を聞けているかを考えてみてください。多くの人にとって答えはイエスのはずです。しかし、その心臓を動かし続けるために自分自身の意思を使った人はいません。自分の意思とは関係のない大きな力によって、私たちは生かされているのです。この事実だけでも、感謝すべき理由はすでに数えきれないほど存在しています。

朝目が覚めること、太陽が昇ること、空気が吸えること、水が飲めること。これらは決して当たり前ではなく、奇跡の連続だといえます。空気がなくなれば数分で命が尽き、太陽が消えれば世界は凍りついてしまいます。私たちはぎりぎりのバランスの中で守られ、生かされているのです。この巨大な奇跡にまず感謝することで、心は欠乏や絶望ではなく、充足と豊かさへと向き始めます。感謝する心は、自分の意思で選び取れるものです。

言葉はまず自分自身の心が聞いている

言葉はただ空気を震わせる音ではありません。口から出た言葉を最初に耳にするのは、ほかでもない自分自身です。「もうだめだ」と口にすれば、その言葉を真っ先に受け取るのは自分の心であり、「嫌だ」「辛い」「どうせうまくいかない」といった言葉を繰り返し使っていると、心はだんだんその言葉に似た姿になっていきます。

暗い言葉を口にしながら明るい人生を望むのは、畑に雑草の種をまきながら花が咲かないと嘆いているようなものだと天風はたとえます。人生を明るくしたいのなら、まず自分が発する言葉そのものを明るくする必要があり、そのために最も簡単で、しかも最も強い力を持つ言葉が「ありがとう」なのです。

感謝は結果ではなく、始まり

多くの人は、健康になったら、お金に余裕ができたら、家族が優しくなったら、人間関係がうまくいったら――そうした良いことが起きてから感謝しようと考えます。しかし、良いことがあったから感謝するのではなく、先に「ありがとう」という心をつくるからこそ、良いものを見つけられる自分になります。

多くの人は、自分の心の状態が外側の出来事によって決まると思い込んでいます。親切にされたから気分がよく、冷たくされたから腹が立ち、お金があるから安心し、褒められたから自信が出る。こうした生き方では、心の主人が自分ではなく他人になってしまいます。誰かの一言で一日が暗くなり、誰かの態度で一晩眠れなくなる暮らしを続けていて、本当の心の平安が得られるでしょうか。

心の主導権を自分の手に取り戻す

心の主導権を自分に取り戻すための第一歩は、日々口にする言葉を変えることです。嫌なことが起きてもすぐに「嫌だ」と言わない。困ったことが起きても、すぐに「最悪だ」と言わない。思い通りにならなくても、すぐに「運が悪い」と言わない。そこで一度立ち止まり、「ありがとう」という言葉に置き換えてみるのです。

はじめのうちは、心から本当にそう思えなくても構いません。感情が追いつくのを待つ必要はなく、心が暗いからこそ、あえて明るい言葉を選ぶことに意味があります。人間は不思議なもので、繰り返し使っている言葉に少しずつ心が引っ張られていくものだからです。

目が覚めたこと、自分の足で歩けたこと、温かい食事を口にできたこと、話をしてくれる人がいること、雨をしのぐ場所があること――当たり前だと思っていたことの多くは、実は当たり前ではないと気づかされます。天風は、失って初めて価値に気づくものが人間には多いからこそ、あるうちに、元気なうちに、会えるうちに、働けるうちに、食べられるうちに感謝することが大切です。

何度も心の向きを戻す、その繰り返しが力になる

福を特別な出来事だと思わないことも大切です。大金が入ることや、誰かに認められること、願いがすべて叶うことだけが福ではありません。穏やかに目を覚まし、温かいお茶を飲み、誰かと何気ない言葉を交わし、空を見て今日も一日を生きられると感じる。その中にこそ福はあるのに、心が不平不満で満たされているとその福が見えなくなってしまいます。

「ありがとう」という言葉は、その曇った心を拭う布のようなものです。一度で完全にきれいになるとは限らないからこそ、何度でも拭う必要があります。不満が出てきたらありがとう、腹が立ったらありがとう、心配になったらありがとうと、そのたびに何度でも心を戻せばよいのです。大切なのは一度も心を乱さないことではなく、乱れた心をそのまま放置せず、自分の言葉で明るい方向へ戻してやることです。

豊かさを引き寄せる感謝の力

例えば人間関係で悩んでいる人にとって、自分を攻撃する相手や見下してくる相手に感謝するのは難しいことかもしれません。しかし、あえて心の中で「私を強くしてくれてありがとう」「忍耐力を試してくれてありがとう」と唱えてみることで、相手との間にあった対立の波動が消えていきます。

自分が争いの土俵から降りることで、相手は拍子抜けして攻撃する意欲を失ったり、不思議な巡り合わせで疎遠になったりすることがあるとされ、感謝は敵対関係を和らげる力を持つと説明されています。経済的な不安を抱えている場合も、お金がない、足りないと嘆くのをやめ、今あるものに感謝することが勧められます。住む家がある、着る服がある、今日の食事がある。財布の中にたとえわずかなお金しかなくても、そのお金に対して感謝の思いを向けるのです。

お金もエネルギーの一種であり、感謝という高いエネルギーが宿る場所に集まる性質があるとされます。支払いをする時も、減ってしまうと惜しむのではなく、そのお金のおかげで物やサービスを受け取れることに感謝して送り出すことで、そのお金はやがて形を変えて自分のもとへ巡ってくるといいます。不平不満を言いながら幸せを求めるのは、北へ歩きながら南へ行きたいと望むようなもので、目的地にはたどり着けません。今どちらの方向を向いているかが、すべてを決めるのです。

逆境の中でこそ「ありがとう」

人生を長く生きていれば、大きな病や大切な人との別れ、長年勤めた職場を去ること、信頼していた相手からの裏切りなど、予期せぬ苦難に直面することもあります。そのような時に感謝などできるわけがないと感じるのは自然な反応ですが、真に人生を好転させる力を持つ人は、そんな時こそ歯を食いしばって感謝を口にするといいます。これは苦しみを喜ぶという意味ではなく、災難が持つ毒を薬に変えるための、唯一といってよい方法だからです。

どれほど辛い出来事であっても、長い人生という視点で振り返れば、必ず何らかの意味を持っています。病気を経験したからこそ健康のありがたさや人の優しさが身にしみ、生活習慣を見直すことができた。事業に失敗したからこそ自分の傲慢さに気づき、本当の信頼関係を築くことができた。別れがあったからこそ新しい自分に出会うことができた。後になってそう思える日が必ず訪れるとされ、人生における経験には無駄なものが一つもなく、すべてが魂を磨く砥石であると位置づけられています。

だからこそ、苦しみのただ中にいる今のうちから、先取りして感謝してしまうことが勧められているのです。この出来事は自分をより大きく成長させるために起きたのだと受け止めた瞬間、人は被害者ではなく、自分の人生の主導権を握る主人公に戻ることができます。

恐怖や怒り、憎しみといった否定的な感情は、免疫力を下げ、体そのものを蝕むとされています。誰かを憎んでいる時、その毒は相手ではなく自分自身の心と体を傷つけているというのです。反対に感謝や肯定的な心は生命力を燃え立たせ、細胞の一つ一つを蘇らせる働きを持つといいます。心を暗くせず、常にその火を絶やさないための燃料こそが感謝であるという考え方です。

感謝が脳と心にもたらす変化

人間の脳には、口にした言葉に合わせて理由を探し始めるという性質があります。「ありがとう」と唱えると、脳はその瞬間から感謝したくなる理由を探し出します。今日は天気が良い、家族が元気だ、食事がおいしい、道端の花が美しい。こうした日常に埋もれていた小さな幸福を、次々と発見し始めるのです。今まで灰色に見えていた景色に、鮮やかな色がつき始めます。

反対に、ため息をつきながら「つまらない」「疲れた」「許せない」とつぶやいてみると、脳は今度はその言葉を裏づける証拠を集め始めます。相手の態度が気に入らない、体の調子が悪い、世の中がうまくいかない。現実そのものは何も変わっていないのに、物事の捉え方という心のレンズが曇ることで、世界は暗く見えてしまうのです。地獄も極楽も、遠い場所にあるのではなく、自分自身の心の中にあるということになります。

日常のあらゆる瞬間に感謝を捧げる

理由を探す必要はなく、ただひたすらに「ありがとう」を言い続けることが勧められています。朝起きたら目が覚めたことに感謝し、顔を洗う水の冷たく心地よい感覚に感謝する。朝食を作ってくれた人や、食材を育ててくれた人に感謝の思いを向ける。

駅の改札をスムーズに通れることにも、会社で顔を合わせる苦手な相手にさえも、自分を鍛えてくれる存在として心の中で感謝を送る。そして夜、布団に入ったら、今日一日を無事に過ごせた自分の体に感謝しながら眠りにつく。こうした習慣を続けていくと、周囲から嫌な人間関係が自然と消え、トラブルが解決し、思いがけない収入や仕事の話が舞い込んでくることがあります。

これは特別な現象ではなく、発する波動が変わったことで、自分が引き寄せる現実そのものが切り替わっただけです。テレビのチャンネルを変えれば映る番組が変わるように、心の波動を感謝に合わせることで、人生という物語の展開も変わっていくのです。

心がこもっていない感謝には意味がないと考える人も少なくありませんが、まずは形から入り、口の筋肉を動かして声に出すという物理的な行動そのものが重要だとされます。感情が伴わなくても構わず、繰り返し唱えているうちに、言葉の波動が潜在意識にまで浸透し、こびりついた否定的な感情や執着を少しずつ洗い流していくのです。

今日から始める感謝の実践

今、人生のどん底にいると感じているとしても、それはむしろ好機だと捉えることができます。これ以上落ちようがない場所からは、あとは上がっていくだけだからです。その上昇の流れを生み出す鍵が、「ありがとう」というひとことになります。

特別な道具も場所も必要とせず、いつでもどこでも実践できるため、まずは実験のつもりで、一日に何百回、何千回でも「ありがとう」とつぶやいてみることが提案されています。最初は違和感やばかばかしさを感じるかもしれませんが、それでも続けていくうちに、三日、三週間、三か月と経つ頃には、鏡に映る自分の表情が以前とは違って見えてくるといわれます。

誰に何を言われようと、世の中がどう動こうと、自分の心の中だけは常に感謝の波動で満たしておくことが大切です。そうすることで、目に見えない守りのようなものが自分の周りに生まれ、代わりに同じように高い波動を持つ人やチャンス、豊かさが引き寄せられてくるとされています。人生は思っているよりもずっとシンプルで、思っている以上に自分の発する言葉に従順です。難しい修行や特別な訓練は必要なく、ただ日常の中で淡々と、しかし情熱を持って感謝の言葉を紡ぎ続けること。それだけで、最高の品格と運気をまとうことができます。

過去の出来事に、これ以上心を縛らせない

世の中には、嫌な出来事を何日も何年も握りしめて生きている人がいます。昔言われた一言を思い出しては腹を立て、あの人にされたことが許せないと繰り返す。しかし今日のあなたを苦しめているのは、過ぎた出来事そのものなのか、それとも今日もその出来事を心の中で繰り返していることなのか、と。過去はすでに過ぎ去っているにもかかわらず、人間は言葉によって何度でもその過去を生き直してしまうというのです。

あの出来事そのものに感謝できなくてもかまいません。今ここにいる自分がありがたい、今日まで生きてきたことがありがたい、これから変えられる時間が残っていることがありがたいと考えればよいのです。過去そのものに感謝できなくても、今に感謝することはできます。そして今への感謝が大きくなるほど、過去の影は少しずつ小さくなります。

人間関係の悩みほど、言葉に気をつける

人間関係に悩んでいるときほど、言葉には注意が必要です。人は相手の悪いところを見つけ始めると際限なく見つけてしまうもので、返事が遅い、言い方が冷たい、自分勝手だと心の中で相手を責め続けていると、会う前から表情や声まで冷たくなっていきます。すると相手も身構え、その空気を自分で作っておきながら、やはり嫌な人だと決めつけてしまうのです。

相手を無理に好きになる必要はなく、合わない人とは距離を取ってもかまいません。ただし、自分の心まで相手に支配させてはいけません。嫌な相手を思い出すたびに腹を立てるのは、その人を自分の心の中に住まわせ続けているようなものだからです。感謝とは相手の行為をすべて肯定することではなく、自分自身の心を憎しみから解放することなのです。

心配性な人ほど、「今」に心を戻す

心配というものには癖があり、まだ起きてもいないことを頭の中で何度も繰り返してしまいます。病気になったらどうしよう、お金が足りなくなったらどうしよう、失敗したらどうしよう。本来は希望を描くためにも使えるはずの想像力を、心配ばかりしている人は不幸を先取りするために使ってしまい、まだ起きていないことのために今日の元気を使い果たしてしまいます。

未来への備えは必要でも、未来への恐怖に今日を差し出す必要はありません。心配が湧いてきたら、未来を考える前に今を見ること。今息をしていること、今食べるものがあること、今できることが残っていること――そのたびに「ありがとう」という言葉で今に心を引き戻すのです。すると心配そのものがすべて消えなくても、心配に飲み込まれることは少なくなります。不安がゼロになるから行動できるのではなく、不安があっても心を明るい方向へ向けられるからこそ行動できるようになり、行動する人には新しい道が開けていきます。

朝と夜の一言が、一日の空気を決める

運を良くしたければ、運そのものを追いかけるのではなく、まず自分の口から出る言葉を整えることです。特に大切なのは朝の時間です。目を覚ました瞬間から昨日の嫌なことを思い出し、今日も大変だ、疲れた、行きたくないと言って一日を始めてしまう人がいますが、それではまだ何も起きていないうちから自分で一日の空に黒い雲を広げてしまうことになります。目が覚めたら、まず「ありがとう」と一言口にすること。今日も朝を迎えられたこと、今日も一日自分の心を明るく使えることに、それだけで十分です。

夜も同じです。眠る前にうまくいかなかったことばかり数えながら眠ると、心は暗い材料を抱えたまま休むことになってしまいます。無事に帰って来られたこと、食事ができたこと、誰かの笑顔を見られたこと、何か一つ学べたこと――眠る前にはその日あった小さな「ありがとう」を思い出すことが大切です。大きな幸運は毎日起きるわけではありませんが、小さなありがたいは毎日いくつもあり、幸せの材料が少ないのではなく、気づいていないだけなのです。

自分自身にも、感謝の言葉を向ける

「ありがとう」という言葉を続けていると、人の長所が見えるようになるという変化も起こります。不満の多い心は人の欠点を探しますが、感謝のある心は人の良さを見つけます。家族に対しても、長く一緒にいるとしてくれていることが当たり前になり、その瞬間から人は感謝を失い、そこから不満が増えていきます。だからこそ、ありがとう、助かりました、嬉しかったという言葉を惜しまず、できるなら本人に伝えることが大切です。

そして忘れがちなのが、自分自身への感謝です。自分はだめだ、もっと頑張らなければ、まだ足りないと、真面目な人ほど自分に厳しい言葉を浴びせ続けてしまいますが、毎日自分を責めながら明るく力強く生きることは難しいものです。今日までよくやってきた、転んでもまた立ち上がろうとしている、まだ変わりたいと思っている――そうした自分の中にある力を、ありがとうという言葉で認めてやること。人間は責められ続けると縮こまり、認められると伸びていくものであり、それは他人だけでなく自分自身にも当てはまります。

苦しい日にこそ、この言葉は本当の力を発揮する

「ありがとう」という言葉は、気分の良い日だけに使う飾りではありません。思い通りにならない、努力したのに結果が出ない、人から理解されない、先が見えない――そうした苦しい日にこそ、本当の力を発揮します。多くの人はそうした場面で「なぜ自分だけが」と考えてしまいますが、そこであえて言葉を変えてみる。まだ終わっていない、ここから何かを学べる、今までとは違う道を考えるきっかけになった。無理に喜べという話ではなく、苦しみを苦しみとして認めたうえで、心まで苦しみに明け渡さないということです。

出来事そのものは選べなくても、その出来事にどんな言葉を与えるかは選ぶことができ、選んだ言葉が次の心をつくっていきます。「もうだめだ」と言えば心は閉じてしまいますが、「ありがたい」と言えば心のどこかに小さな隙間ができ、その隙間から希望が入ってきます。希望が入れば人は動くことができ、動けば状況が変わる可能性が生まれる。だからこそ「ありがとう」という言葉は単なる礼儀ではなく、自分の心を絶望の中に閉じ込めないための言葉なのです。

小さな習慣の積み重ねが、人生をつくっていく

人は複雑な方法をありがたがり、難しいことほど価値があると考えがちですが、人生を支えているのはたまに一度の大きな決意ではなく、毎日繰り返す小さな習慣です。どんな言葉で一日を始めるか、嫌なことが起きたときにどんな言葉を選ぶか、人に会ったときにどんな言葉を渡すか、眠る前にどんな言葉を心に残すか。その積み重ねがその人自身をつくり、その人の人生の空気をつくっていくのです。

人間の心は長年の癖で暗くなることがありますが、ならば新しい癖をつければよいです。不満を言う癖があるなら感謝を言う癖をつける。心配する癖があるなら今あるものを見る癖をつける。人の欠点を見る癖があるなら人の良いところを見る癖をつける。自分を責める癖があるなら自分の中の力を認める癖をつける。そのすべての入り口に「ありがとう」という言葉を置いておけば、やがて努力しなくても自然にありがたいものに目が向くようになります。

福を呼ぶ人とは、福ばかりに恵まれた人ではなく、どんな日にも福を見つける習慣を持っている人であり、運の良い人とは不運が一度もない人ではなく、不運のなかでも心を腐らせず次の一歩を選べる人です。明るい人とは悲しみを知らない人ではなく、悲しいときにも自分の心に明るい言葉を与えられる人のことです。その強さに年齢は関係なく、五十代でも六十代でも、何歳からでも、今日から使う言葉を変えることができ、今日から心の向きを変えることができれば、今日から人生の流れを変えていくことができます。

今日、何気なく口にした一言が明日の心をつくり、その心が明日の表情をつくり、その表情が明日の行動を変え、その行動が人との縁を変えていきます。そしてその縁と行動の積み重ねが、やがて運命と呼ばれるものになっていくのです。声に出せるときは声に出し、出せないときは心の中で唱える。回数を競うものではなく、大切なのは暗い言葉に心を奪われそうになるたびに、何度でもこの言葉に戻ってくることです。「ありがとう」という言葉を、自分の心の帰る場所にすること。それができたとき、失ったものを数える人生から、残されているものを大切にする人生へと変わっていく。今この瞬間からでよいのです。まず一言、「ありがとう」と自分自身に聞かせてみることから、新しい人生は始まります。

心が先、現実は後

 心の状態が現実として映し出されます。感謝・信頼・勇気で心が輝けば、現実もチャンスと希望に満ちた姿へと変わります。不平・不満・恐れで曇った心には、問題だらけの現実が映ることになります。毎朝目が覚めたら、まず「ありがとう」と声に出して繰り返しましょう。最初は気持ちがこもっていなくても良いです。また形から入っても構いません。続けていくうちに心が整い、物の見方が肯定的に変わり、やがて現実も良い方向へと動き始めます。

感謝は礼儀作法でも美しい習慣でもありません。人生を根本から照らし出し、真の幸福・真の成功・真の自由へと導く「生命の光」そのものです。どんな状況にあっても、まず感謝してしまう、そこから輝かしい新しい人生が始まります。

(ただ先に理想を演じきれ|中村天風より)

【本コラムの監修】

鍼灸師 菊地明子

ハリニー院長/鍼灸師 菊地明子

国家資格登録番号
はり師 第173245号
きゅう師 第177978号

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入りセラピストとして活動。豊富な美容知識と実務経験を活かし、その後10年間は大手企業内講師として美容部員・エステティシャンの育成やサロン店舗運営のサポートに従事。表面的なケアだけでは限界があると実感したことから鍼灸の道を志し、2016年にはり師・きゅう師の国家資格を取得。現在は美容業界歴20年以上のキャリアと、セラピスト・エステティシャン・美容カウンセラー・鍼灸師としての知見を融合し、肌・こころ・体を整えるトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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