私たちは、脳の使い方を誰かに教わることがありません。その結果、潜在能力を十分に発揮できず、自分は能力が低い、自分は頭が悪いと間違った思い込みをしている可能性があります。一方で世の中には、脳をうまく使えている人もいます。
例えば、脳の使い方がワンパターンにならないように常に心掛けワクワクした気持ちで毎日を過ごし、意識的に行動を変え続けることによって脳をいつも洗練されたクリアな状態にキープできている方がいます。彼らは、常に脳を冴えさせることを意識し、脳を冴えさせる習慣を実行しています。
思考回路が固定化してしまっていると、脳の一部しか使わないことによって行動がパターン化し、思い浮かぶアイデアも考えも固定化され、脳はガチガチの状態にあります。普段私たちは気づかないうちに、脳の特定の領域ばかりを使いながら生活してしまっています。
脳は自分自身を守るために機能しており、危険を避けるために過去に経験してきたことの中から安全なものや楽なものばかりを選択するようにできています。その結果、考え方が次第に固定化してしまうのです。しかし固定観念にとらわれていると脳そのものの進化が止まり、老化してしまいます。脳の老化は、やる気を奪う、引きこもり、認知症、目に見えた老化へとつながってしまいます。
脳の老化の影響
実は、脳の老化が体や見た目に大きな影響を与えます。例えば脳の老化に伴ってホルモンの分泌が減少します。特に成長ホルモンなどの減少は、皮膚のたるみ、骨密度の減少など体の老化現象に密接に関係しています。これらのホルモンの減少は、見た目や身体機能にも影響を与えます。また脳の神経細胞同士の情報を伝達には神経伝達物質と呼ばれる化学物質が使用されており、脳の老化により神経伝達物質の生成や放出が減少し、体の機能や見た目に影響が出てしまいます。
また、脳の老化に伴い脳への血流が低下することもあります。これによって脳への酸素や栄養素の供給が不十分になってしまい、脳の機能が低下してしまいます。脳の血流の低下は、認知機能や運動機能の低下につながり、ひいては体の老化、見た目の老化などにもつながります。
慢性炎症とフレイル
当然のことながら認知症と老化は大きく関わっています。体が若々しい人は脳も若々しいということが分かっており、老化を食い止める習慣を実行してあげることは認知症を予防することにつながります。そして中でも老化を進めるものとして近年注目されているのが慢性炎症です。
慢性炎症というのは老化に伴ってじわじわと長く続く炎症のことです。弱い炎症で気づかないうちに進みますが、様々な病気を引き起こすと考えられています。認知症も慢性炎症によって引き起こされると近年考えられるようになってきています。さらに慢性炎症は、高血圧や糖尿病、肥満、高コレステロール値といった認知症のリスクを高める病気の発症にも大きく関わっています。
そして慢性炎症に加えて老化を進めてしまうもう一つの大きな原因がフレイルです。フレイルとは心身の機能が大きく低下しつつある体が弱っている状態のことです。身体的機能や認知機能の低下が見られ、介護が必要な一歩手前の状態がフレイルです。一旦フレイルになっしまうと老化がどんどん加速してしまうので、筋肉量を維持するとかタンパク質をしっかり取るといった対策が重要です。
この2つにはどちらも共通しているものが多く、お互いに関連し、フレイルを予防するための運動は慢性炎症を抑え、血圧や血糖値を下げることができます。また口のフレイルを予防するための口腔ケアは、慢性炎症を起こす歯周病の予防につながります。認知症を予防するには慢性炎症とフレイルの予防の2つが重要になります。
認知症の誤解
まずよくある誤解は、認知症になると何もかもできなくなるという思い込みです。認知症初期は一言で言うと記憶ができなくなる病気です。認知症の初期は新しいことを覚えられなくなり、認知症中期はこれまで覚えていたことを忘れていきます。何れにせよ記憶力は衰えますが、認知症の初期中期の前半あたりまでは判断力や思考力といった知能は正常に保たれています。そのため認知症と診断されたとしても普通に暮らしていける人が多くいます。中には認知症を発症してから性格が穏やかになったと言われる人が大勢います。
また、認知症は高齢者が徘徊するというイメージを持っている人がいますが、徘徊する人はほんの一握りに過ぎません。さらに多くの人が認知症は急速に進行する病気であるという誤解を持っています。多くの場合は発症後ゆっくりと進行することになります。
大人の脳は、30代にはもう萎縮し始め、認知機能の低下も40代には既に始まっています。さらに認知症の原因となる悪玉タンパク質(アミロイドβ)の蓄積も40代には開始していると言われています。例えばアルツハイマーだと診断されたのが70代であっても、アミロイドβの蓄積は50代に始まっています。
現在の医療では認知症を根本的に治療することができません。ですが認知症は ゆっくりと進行する病気のため、その間に様々な手を打ち、発症を遅らせることは可能です。例えば軽度認知障害(MCI)の間ならば、食事、運動、生活習慣の改善の3本柱で認知症の発症を食い止められることが世界中の様々な研究調査によって明らかになっています。
老人性うつ
認知症よりも恐ろしいのが「老人性うつ」です。うつ病は心のがんとも言われ、厚生労働省のデータでは約120万人も罹患しています。これはあくまで医者にかかっている人の数のため、実際はかなり多く、国際的にうつ病の有病率は3から5%と言われています。日本の人口に当てはめて考えてみると患者数は400から600万人の計算になります。
その他うつ病とまではいかなくとも 抑うつ気分の人まで含めると多くの専門家が人口の10%近くに上っているだろうと推測しています。その内65歳以上の老人性うつの人は、現在人口の約30%が高齢者であり、かつ高齢者のうつ病発症率は若い人よりも高いということを考えれば、全患者の3分の1以上が高齢者であるということはほぼ確実でしょう。また世界的に見てもうつ病患者の自殺率は高齢になるほど上がることが分かっています。
ただし、老人性うつと認知症は初期症状がよく似ており、その区別するのが難しいのが現状です。しかしうつ病は短い間に一気に様々な症状が現れる病気であるため、外出するのが急に億劫になってしまったりなど様々な症状が1ヶ月ぐらいの間にまとまって現れることが挙げられます。
その他の判断ポイントとしては食欲や睡眠の状態や変化がうつの大きなシグナルになります。うつ病では食欲障害と睡眠障害が同時に生じることが多いです。一方で認知症の場合は、食欲は逆に増えるケースが多く、またよく眠りロングスリーパーになる傾向があります。
脳が冴える習慣
脳の老化は40代から水面下で進行していると言われており、若年層でも若年性認知症に至るケースがあります。ボケや脳の老化は真剣に考えなければいけない極めて重要なテーマですが、何が原因で私たちはボケてしまったり、脳の老化が起こってしまうのかはあまり知られていません。
厚生労働省が発表しているデータによると、2025年の認知症患者は730万人になると予測されており、これにMCIと呼ばれる軽度の認知障害も含めると1000万台の大台を超えてしまうということがほぼ確実になっています。なおMCIと呼ばれる経度認知障害の60%は3年以内に認知症を発症するとされています。さらに認知症とともに高齢者の脳の大敵である老人性うつ傾向の人は、抑うつ気分の人も含めると300万人はいるのではないかと言われています。この 2つの脳の病を防いで、脳の健康を保つことが高齢化社会を生き抜く大事なことになります。
脳のブロックを解除する
脳が冴えるというと瞬時に記憶したり、仕事を高速でこなせることだというイメージを持っている人も多いかもしれません。しかし脳の高次機能は、これまでの経験や思い込みにとらわれないで柔軟な発想ができるということであり、つまり自由な発想力が持てることでしょう。
脳に自由な発想をさせるには、それを妨げている脳のブロックを外す必要があります。実は脳のブロックを外すのは簡単で、常日頃からありがとうと感謝の言葉を口にするだけです。ありがとうとか君がいて助かったよなど、他人に愛情や感謝を伝えることによって脳が自由な発想ができるようになります。
これには脳科学的な理由があります。人の脳はネガティブな感情に一旦縛られてしまうとブロックがかかり固定化されてしまいます。そしてネガティブな感情から思考が固定化してしまうと、脳へ情報を伝達するシナプスの働きがパターン化します。その結果、これまでの経験や知識にとらわれ、新しい発想が生まれにくくなります。
また、感謝や愛情を積極的に伝えることによって私たちの脳内ではオキシトシンというホルモンが分泌されます。オキシトシンは信頼感やつながりを感じることでストレスを低減し、幸福感を高める効果があります。その結果、脳の機能が向上します。そして感謝や愛情を伝えることでストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑制されます。ストレスが軽減されることで脳がリラックスし、集中力や創造性が高まります。また感謝や愛情を表現することによってポジティブな感情が活性化されます。ポジティブな感情は学習や記憶、問題解決能力など脳の機能に良い影響を与えてくれます。またポジティブな感情はネガティブな感情を和らげる効果があるため、ストレスや不安が軽減され、脳の働きが向上します。
コンフォートゾーンを抜け出す
脳は何もしなければどんどん怠け放題になっていきます。快適な場所に居続けてしまうと老化が進行していく傾向にあります。脳は神経可塑性という性質を持っていて、経験や環境に応じて構造や機能が変化します。しかし何も刺激を受けない快適な場所では、脳は新しい回路を作り出すことが難しくなって機能が低下しやすくなります。また脳内の神経細胞はシナプスと呼ばれる接合部を通して情報を伝達します。何もしないような状態では、シナプスの数が減少し、情報伝達が効率的に行われなくなります。また何もしない状態では脳の認知機能が低下したり、脳の老化が進む可能性があります。
研究によれば、脳を活性化させる活動や運動を行うことで脳の老化を遅らせることができます。その脳を活性化するための方法が、不愉快な場所に飛び出すという方法です。人は無意識にコンフォートゾーン、すなわち居心地の良い場所を作ってその中にとどまろうとしてしまう性質があります。思い切ってコンフォートゾーンを抜け出すことによって、新しいスキルや知識を習得することができたり、自己成長することができます。痛みなしでは成長することができないし、痛みなしでは何も得ることができないのです。
さらに新たな挑戦や経験を通して揺るぎない自信を築くことにもつながるでしょう。また新しい状況とか変化に適応する能力が鍛えられて柔軟性が向上します。柔軟性は変化の激しい現代において、特に重要な力であると言われています。さらにコンフォートゾーンを抜け出すことによって居心地の良い人とばかりつるむのではなく、新しい出会いがあったり、少々苦手であってもあえて付き合うことによって様々な価値観に触れ合うことができコミュニケーション 能力も向上します。新しいことに挑戦するには、最初は面倒くさかったりとエネルギーが必要です。脳を研ぎ澄まし、老化を防ぐためには不愉快な場所に飛び出すことが時には必要です。
脳の構造を大きく変えるのは運動
運動が健康に良いのは明らかですが、脳にも非常に良い影響を与えます。ランニングやウォーキングなどの運動は、脳を活性化させる働きがあることが分かっています。それは足の大きな筋肉や背中の筋肉を効率的に使い続けることによって、脳がしっかりと刺激されるからでます。
さらに走りながら目にする景色が変化することで脳が活性化します。さらに運動によって全身の血流が向上し、脳への酸素や栄養素の供給が増加します。これによって脳のエネルギー代謝が向上し、神経細胞の機能が活性化されます。また運動はBDNFなどの神経成長因子の分泌を促進します。
神経成長因子は神経細胞の生存や成長をサポートし、シナプスの形成や可塑性を促してくれるため脳の機能が向上します。また運動によってストレスホルモンの分泌が抑制され、ストレスが軽減されることで脳の機能が改善される効果も期待できます。
そしてランニングやウォーキングに加えて、ヨガも非常におすすめです。例えばヨガは集中力や記憶力をさせることができます。その理由に、ヨガのポーズや呼吸法によって脳の活性化が促進されることが原因とされています。またヨガによって脳の神経細胞が活性化され、メンタルが安定することも指摘されています。さらにヨガは、睡眠の質を向上させることができ、脳にとって大切な良質な眠りを与えてくれます。
フロー状態とFF状態
実は、脳は何かに一所懸命取り組んでいる時に最も働いているというのがこれまでの常識でした。しかし近年、脳科学では何も考えずいる時も同じくらい活発に働いていることが明らかになっています。その活動スイッチが、脳幹や島皮質(とうひしつ)と呼ばれる脳の部位です。
例えば、スポーツなどではよく、フロー状態という特別な集中状態なると普段と違うパフォーマンスが発揮できると言われています。そこに入るスイッチが脳幹や島皮質にあると言われています。しかし脳幹や島皮質は無意識領域にあるため、自分で意図してスイッチを入れることはできません。
また、リラックスした状態であるフロー状態とは逆のFF状態もあります。FF状態は、動物が外敵に直面した時のような極度の緊張状態であり、脳内の他のあらゆる回路をシャットダウンして、戦うか逃げるか選択と行動だけにエネルギーを集中します。FF状態になれば、一時的に大きな力を発揮して戦うもしくは逃げることができますが、過度なストレス反応でもあるために慢性化すると、無気力状態に脳が陥ってしまいます。
近年、脳科学で明らかになってきたフロー状態は、「Awe(オウ)体験」の一部だと考えられています。例えば宇宙飛行士が、宇宙から青く美しく光る地球を見ると、自分自身は何者かに生かされていると実感し、深い感謝の念が湧いてくるといいます。こうした心が震えるような感動体験をAwe体験といい、その状態になると脳は活性化し、謙虚な気持ちになることが明らかになっています。Awe体験は大自然の前でちっぽけな自分を感じた時や、徳の高い人の言動に感動した時などに体験することがあります。
脳をサポートする食事
脳の機能をサポートするための食事には条件があります。それは認知機能をサポートする栄養素や成分をしっかりと取ること、腸内環境を整え免疫力をアップし、病気にならない体づくりを心がけること、老化を促す活性酸素の害から体を守る抗酸化物質を取り入れることです。
そして脳の働きを最大化する上で非常に重要な役割を担っているのが食事です。特に 大きな役割として以下の4つの点を挙げることができます。
脳が必要とするエネルギーを脳に供給する役割 | 脳内のエネルギーが不足すると脳はスリープ状態になってしまい、その機能は低下してしまいます |
脳や体の細胞の材料を供給する役割 | 脳内の海馬は90歳でも新しい細胞が 繰り返し生まれ変わっています。また脳の機能に大きな影響を与えている血流も、血管の健康状態に左右されています。 血管の新陳代謝のためにも細胞の材料を食事から摂取し続けなければなりません |
脳や体を老化させる原因を遠ざける役割 | 抗酸化物質が含まれている食品の摂取は、脳や体の酸化、老化を予防する役割があります |
良いサイクルを生む体質に体を変える役割 | こうした体質づくりには運動や生活習慣とともに食事が大きな役割を果たします |
認知機能のアップにはLSP
例えば、認知機能のアップには、認知症の原因物質を減らす、通称免疫ビタミンとも呼ばれる LPSという物質が注目されています。さらにビタミンB群、ビタミンDなども重要です。これらの要素は認知機能を低下させる物質を減らしてくれたり、長寿遺伝子を増やしてくれたりします。
そして健康で若々しい体をキープし、できるだけ病気にかからずに暮らしていくためには、免疫力をしっかりと高め、病気を遠ざけることが重要です。体には感染症などの病気から身を守るために免疫というシステムがあらかじめ備わっています。そして私たちの免疫細胞はストレスに弱いという弱点があります。例えば短期的にストレスがかかった場合、免疫力は一時的にガクンと低下します。また長期にわたる慢性的なストレスの場合は、免疫力により深刻な悪影響がもたらされてしまいます。
しかし、その弱点を補ってくれるのがLPSと呼ばれる物質です。LPSは免疫ビタミンとも呼ばれ、免疫細胞を活性化してくれる物質です。土の中の多くに存在する細菌に由来しているため、土壌細菌が多い畑での農作物に多く含まれていす。例えばほうれん草やオクラ、小松菜、きゅうり、レンコンといった野菜にLPSが豊富に含まれています。
このLPSは、免疫細胞を活性化してくれるだけでなく、直接脳に入り込んで脳のマイクログリアという細胞を刺激します。このマイクログリアは、認知症の原因物質であるアミロイドβを食べてくれるという細胞です。このマイクログリアがうまく働かないとアミロイドβが脳に蓄積し、認知症の原因になってしまいます。
LPSは人の体内では作り出すことができません。そのため私たちは食事から摂取する必要があります。 LPSは土の中に多く存在する細菌の成分のため、自然な土地で栽培されたものにはLPSが豊富です。できるだけ無農薬や減農薬栽培された泥付きの野菜を選ぶのがおすすめです。
また、LPSは皮の部分に多く含まれており、食べられる皮はできるだけ剥かずに調理すると良いでしょう。ただしLPSは熱に弱いという特徴を持っています。生で食べられるものはできるだけ生で食べるのが理想です。
食物繊維とフィトケミカル
一方で、免疫力を語る上で必ず欠かせないものが腸の健康です。なぜなら免疫細胞の約70%は腸に存在しているからです。腸が健康であれば老廃物がしっかりと体の外に排出され、腸内細菌のバランスが整い、免疫力アップにつながります。その腸内環境を整えるためには、食物繊維が重要な鍵となります。食物繊維や発酵食品をしっかりと摂取して腸が健康になると免疫力がアップするだけでなく、肥満や糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防改善にも役立ちます。
もう一つの重要な条件が、抗酸化物質を取り入れることです。体の老化を進め 免疫力を低下させるのは、活性酸素という物質です。活性酸素からしっかりと身を守るためには、植物が持っている天然の抗酸化成分フィトケミカルが重要です。ベータカロテン、リコピン、アントシアニンなどがフィトケミカルの一種です。
フィトケミカルは、植物が外敵から自分の細胞を守るために作り出した色素や香り、辛味、苦味などの成分です。実際に、これらの成分は第7の栄養素と呼ばれ、私たちにとって非常に重要なものです。またフィトケミカルは、旬の野菜ほど多く含まれるという特徴があります。野菜や果物の旬を意識して選ぶことも大切です。フィトケミカルは植物にしか含まれていないため、野菜や果物をしっかり摂ることが活性酸素の害から身を守ることにつながります。
野菜や果物をしっかりと食べている人は、若々しく肌や髪が綺麗なイメージあります。それは野菜や果物に豊富に含まれるビタミンやミネラル、フィトケミカルが含まれており、これらの成分には抗酸化作用があって、若々しさを保つことができるのです。
さらに野菜や果物は栄養価が極めて高いです。ビタミンやミネラル、食物繊維などが含まれていて、これらの栄養素は健康な皮膚や髪の成長、血液循環の改善、免疫力向上などに役立ってくれます。また野菜や果物には、炎症を軽減する成分が含まれているという点も見逃せません。
慢性的な炎症は老化や疾患の進行に関連していることが知られています。野菜や果物の摂取によって炎症反応が抑制され、細胞や組織の健康を維持することができます。
脳を活性化するプラズマローゲン
脳が若い人が食べているものが、プラズマローゲンたっぷりの海産物です。プラズマローゲンは、脳を活性化させ、認知症を防ぐのに欠かせない栄養素と言われています。九州大学の報告によれば、プラズマローゲンを摂取すると認知機能が改善するということが分かっています。
プラズマローゲンを含む食材の代表は、ホタテです。ホタテから摂取できるプラズマローゲンには、脳に良いとされているEPAやDHAも含まれていています。またホタテには、疲労回復に効果的なタウリンやアスパラギン酸なども豊富に含まれています。さらにホタテには高品質なタンパク質も豊富に含まれているのに加えて、亜鉛、鉄、ビタミンB12などのミネラルやビタミンも含まれています。またホタテには、抗酸化物質であるセレンやビタミンEも含まれています。
また他にもプラズマローゲンを含む食材として、見た目の若さを維持してくれる海の恵みがタコです。タコには、プラズマローゲンに加えて若さを維持する のに役立つビタミンE、血行を良くするナイヤシン、肌を健康に保つ亜鉛が豊富に含まれています。また肥満防止効果があり、粘膜を保護するビタミンBも含まれています。
ホタテやタコに加えて、プラズマローゲンを含む食材であり、強力な抗酸化作用を持つ魚が鮭です。鮭には、プラズマローゲンに加えて、ピンク色の色素アスタキサンチンが含まれており、アスタキサンチンは抗酸化作用が強く、老化の原因となる活性酸素から私たちを守ってくれる物質です。さらに鮭にはEPA、DHAも豊富に含まれているため、脳にとても良い影響をもたらしてくれます。
脳にとって重要なオメガ3脂肪酸
イワシ、アジ、サンマなどの青魚に含まれるEPA、DHA、あるいはエゴマ油や亜麻仁油に含まれているαリノレン酸といったオメガ3脂肪酸は。老化を溶かす最強の脂です。
オメガ3脂肪酸は、認知症の原因になる脳内のアミロイドβなどの老化物質を 溶かしてくれる働きがあると言われており、さらにオメガ3脂肪酸は脳の中にも存在し、脳の情報伝達の際に重要な働きをしているシナプスや細胞膜の働きを活性化してくれます。また脳の機能を高めてくれるため、加齢とともに低下する記憶力や認知機能の低下を緩やかにしてくれる効果もあります。
ただし注意していただきたいのは、オメガ3脂肪酸は酸化しやすい、つまり熱に弱いです。摂取するにはエゴマ油や亜麻仁といったオメガ3脂肪酸が豊富な油を加熱せずにサラダやその他の料理に直接かけて食べるといった工夫が必要です。
ダークチョコレートで脳機能が高まる
ダークチョコレートを食べ続けることで脳の機能が高まって頭が良くなる可能性が示唆されています。その鍵には、まず脳の血流が良くなるということが挙げられます。実際にフラボノイドが含まれたダークチョコレートやココアを摂取することによって脳の血流が改善されることが研究によって明らかになっています。
脳の血流が改善されれば、注意力が上がったり、記憶力が向上する効果が期待できます。実際にある研究では、記憶力と反応速度を測定する2時間前にダークチョコレートを食べると、その両方が向上したことが分かっています。
またココアやダークチョコレートに含まれているフラボノイドは、軽度認知障害のある高齢者の認知機能を維持し、認知症に進行する可能性を減らしてくれる可能性も指摘されています。さらに2018年の研究では、カカオ70%のオーガニックチョコレートを定期的に48g食べた人たちは、新しいシナプスの結合を形成する脳の力が増加して、記憶力にプラスの影響がもたらされたことも分かりました。またその他の研究でもダークチョコレートを摂取することによって、記憶と学習が強化されることも分かっています。またカカオがたっぷりと含まれたダークチョコレートは BDNFという脳にとって重要な物質を増やしてくれるのではないかと言われています。
BDNFの正式名称は脳由来神経栄養因子で、これは脳や神経系の健康と発達に 重要な役割を果たしているタンパク質です。私たちの脳は神経細胞の塊でできており、非常に複雑な働きをしています。そういった複雑な脳をいつも支える 代表的な栄養素がBDNFです。脳に非常に良い影響を与えてくれ、脳を育ててくれることから、BDNFは脳にとって奇跡の肥料などとも呼ばれています。
例えばBDNFは、脳内のニューロンの生存と成長を支援します。これによって脳を健康に保ち、新しい情報を学習し、記憶する能力をキープすることができます。またBDNFは、シナプスの可塑性を高めてくれます。シナプスは神経細胞間で情報を伝える接続点となるもので、その可塑性とはシナプスの強さや数を調節する能力のことを指しています。これは学習と記憶に対し重要な役割を果たしています。
またBDNFは、新た神経細胞の生成を促進します。特に海馬と呼ばれる脳の部位では、新たな神経細胞の生成が記憶形成や学習に重要であり、BDNFのレベルがこれらのプロセスに影響を与えると考えられています。BDNFは、特に海馬に多く存在し、海馬で神経細胞の働きを活性化してくれることが分かっています。
一方で、年を取るにつれて私たちの認知機能や脳の機能は衰えていってしまいます。そして年を取るにつれて認知症の発症リスクも自然と上がってしまいます。その理由は、年を取るにつれてBDNFが減ってしまうことが挙げられています。つまり加齢による認知機能の衰えを防ぐにはBDNFを増やすことが効果的な予防方法の一つです。
ダークチョコレートを摂取することによってBDNFが増加し、認知機能が高まる可能性が指摘されている調査があります。2014年の大規模な調査では、カカオポリフェノールがBDNFを含む脳の血流を増やし、認知機能を高める可能性が示唆されました。ダークチョコレートを摂取することによってBDNFが、ダークチョコレート摂取前よりも上昇していることが確かめられました。
もちろんBDNFを増やす方法は、ダークチョコレートを食べることだけではありません。例えば代表的なものが有酸素運動になります。有酸素運動を続けることができれば、BDNFが増えて頭が良くなるのは最近の科学の世界ではとても有名な話になっています。
ダークチョコレートの中毒症状
チョコレートには中毒症状があります。全てのチョコレートの原料はカカオの木という熱帯植物で、学術名はテオブロマカカオと言います。ギリシャ語でテオは神、ブロマは食べ物を表し、カカオの木は神の食べ物という意味となります。
カカオの木の実であり、チョコレートの原料であるカカオ豆には、デオブロミンと呼ばれている成分が含まれています。カカオ成分が高いダークチョコレートに含まれているデオブロミンは約800mg、カカオ成分が低いミルクチョコレートにはデオブロミンが約200mg 含まれています。このテオブロミンがカフェインとよく似た働きをしています。
テオブロミンを摂取することで脳が覚醒したり、眠気や疲労感が回復するという効果を期待できます。ただしデオブロミンはカフェインと同じく大量に摂取することで毒性が現れます。テオブロミンを大量に摂取すると食欲低下、発汗、震え、頭痛、血圧の低下、心拍数の増加といった様々な症状が出る危険性があります。どんな健康に良い食べ物であっても食べ過ぎには注意が必要です。
ボケないための栄養素
カテキンとクルクミン
カテキンというポリフェノールには、アミロイドβが固まるのを抑えて、認知機能を改善する効果があることが実験で明らかになっています。またカテキンの元になるテアニンというアミノ酸が、老人斑が持つ毒から脳の神経細胞を守ることも分かっています。実際、国立長寿医療研究センターが行った実験によると、緑茶を1日2杯以上飲んでいる人はほとんど飲んでいない人に比べて認知機能が下がりにくいという報告があります。また金沢大学の研究グループが行った研究でも緑茶を毎日飲む人は全く飲まない人よりも認知症の発症率が3分の1程度だったという報告もされています。ただし緑茶はカフェインが含まれており、午後以降に摂取すると睡眠の質の低下を引き起こす可能性があります。
一方で、70歳代から80歳代のインド人はアメリカ人に比べてアルツハイマー病の発症率が約4分の1というデータがあります。その理由にカレーをよく食べるからではないかと考えられており、カレーにはターメリックと呼ばれるスパイスが含まれています。このターメリックに含まれているのがクルクミンというポリフェノールです。クルクミンは、ポリフェノールと同様にアミロイド βを柔らかくし、溜まりにくくする効果があることが分かっています。
ただし一般的にはカレーライスは、血糖値を正常に保つという観点からは避けた方が良いメニューです。日本のカレーは小麦粉を使っており、白ご飯の上に小麦粉をかけることになるため、糖質の取り過ぎにつながります。糖質が気になる方は白米を玄米に置き換えるなどの健康的なものに置き換え、小麦粉を使用していない本格的なインドカレーを選択しましょう。
脂質(不飽和脂肪酸)
脳の約6割が資質でできており、脂質の摂り方が脳に大きな影響を与えます。脳の中には、約1000億個の神経細胞が存在し、頻繁に情報のやり取りを行っています。その通信となるケーブルを覆っている物質の約8割は資質で作られており、脂質が不足すると通信、電気信号が上手く伝わらなくなります。
また、飽和脂肪酸の量が増えると神経細胞の膜が硬くなり、不飽和脂肪酸の割合が増えると神経細胞の膜が柔らかくなるため、基本的には硬くなればなるほど情報をスムーズにやり取りすることができません。そのため不飽和脂肪酸の摂取割合を増やすことを心掛けましょう。因みに飽和脂肪酸は、常温で固体の油でありバターやラード、牛脂や豚の脂などを指します。一方で不飽和脂肪酸は、常温で液状の油であり、健康に良いと言われているオリーブオイルや魚の油などです。特に体内で作ることができない必須脂肪酸のオメガ3脂肪酸、オメガ6 脂肪酸は積極的に摂る必要があります。
このオメガ3 脂肪酸とオメガ6脂肪酸は1対1の比率で摂取することが望ましいと言われています。ですが現状は1対4以上、欧米型の食事に近い食事の場合は1対20にもなると言われています。つまり過剰にオメガ6を摂取してしまっています。そのため基本的に意識して摂取すべきなのはオメガ3です。
オメガ3脂肪酸には、DHA、EPA、αリノレン酸などがあります。特に重要な のがDHAです。なぜならオメガ3が脳を構成する脂肪酸の割合は、DHAが11%から20%であるのに対し、EPAとαリノレン酸はと少量です。つまり脳に多く使われるのはDHAであり、DHA をより積極的に摂取する必要があります。
またDHAは、その多くが神経細胞の膜に含まれおり、特に記憶や学習に司ると言われている海馬に集中しています。記憶や学習を司る海馬に含まれているということは、それだけDHAが認知機能に重要だということを示しています。
このようにDHAが脳の働きを高めるということは研究によっても示されています。その理由として挙げられているのが、DHAがシナプスを作る細胞膜の材料になるからです。DHAを摂るとシナプスが増えて、脳の働きが良くなり、逆にDHAが不足するとシナプスが劣化して情報伝達がうまくいかず、高齢者の場合は認知症の原因にもなります。
DHAを効率よく取るためにはサンマ、アジ、いわし、サバなどの青魚を食べることです。実際DHA が認知症発症リスクを抑える可能性があることは様々な研究で明らかになっています。国立長寿医療研究センターの研究によるとDHAの濃度が最も低い人たちに比べて中程度あるいは高い人たちは、認知機能が低下しにくいことが分かっています。さらにDHAには悪玉コレステロールを減らす働きがあり、脳の血管を守る効果があることも分かっています。
また、脳の血管を守るという意味ではEPAも非常に有効な成分で、血栓を防ぐ作用があります。血栓ができると血管が詰まりやすくなり、脳の血管に血栓ができれば脳血管性認知症につながる脳梗塞を引き起こす可能性があります。
ヨウ素
認知症になってしまう原因はいろいろありますが、甲状腺ホルモンの異常もその一つです。甲状腺ホルモンが少なくなることで発症する甲状腺機能低下症は認知症のリスクを高めてしまうことが明らかになっています。そして重要なのは、甲状腺ホルモンの数値が正常値の範囲内でも下限だと認知症になりやすくなってしまうことです。つまり認知症を予防するためには、甲状腺を正常に保つために食事から甲状腺を健康に保つ栄養素のヨウ素を摂取することが重要です。
ヨウ素は海藻類に多く含まれているため、食事の際には海藻類を意識して摂取していただきたいと思います。海藻類の中でもヨウ素を特に多く含んでいる食材は、海苔、わかめ、ひじき、メカブの4つが挙げられます。
ココナッツオイル
ココナッツオイルに含まれている中鎖脂肪酸は、青魚のオメガ3と並んで認知症予防のために積極的に摂りたい脂質です。この中鎖脂肪酸はエネルギーとして分解されやすいため、脂肪として蓄積されにくい特徴があります。そのためココナッツオイルに含まれている中鎖脂肪酸は、脳のエネルギー源として使われることが明らかになっています。実はアルツハイマー型認知症になると脳のエネルギー源であるブドウ糖をうまく利用できなくなるため、ブドウ糖の代用としてココナッツオイルに含まれている中鎖脂肪酸が認知機能が低下した人の脳でうまくエネルギー源になります。実際、脂肪酸が認知機能低下に及ぼす影響を8年間調査した結果、認知機能に好ましい影響を与えたという内容の論文が発表されています。
ボケないための習慣
食事、運動、睡眠、余暇の過ごし方などなど私たちの生活のあらゆる行動は脳に大きな影響を与えています。脳にとって良い生活習慣が身についていれば、脳は常に若々しく、やる気や集中力記憶力などの脳の機能を良い状態に保つことができます。逆に脳にとって悪い生活習慣を続けていると、頭が上手く働かない、意欲が湧かないといった脳の機能の劣化に悩み、あっという間に認知症やアルツハイマー病にかかってしまう恐れがあります。
まず良く噛むことが認知症を予防し進行を遅らせてくれることが数の研究から明らかになっています。特に年を取るにつれて噛む力が衰えます。そして噛む力が衰えてしまうと食事が億劫になり、肉や生野菜を食べにくくなります。その結果、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどを十分に摂取できなくなり、神経伝達物質であるセロトニンが減少し、認知症の発症リスクを高めることにもつながります。
一方で、料理は脳のトレーニングです。料理をするためには、メニューと調理手順を考え、味付けや火加減を調節するなど様々な脳の機能を働かせる必要があります。また料理をすると手を細かく使うため、脳の血流量が約10%上がることが分かっています。さらに料理をするには計画力や判断力も必要です。例えば冷蔵庫に残っている食材を組み合わせて主菜と副菜を作るにはどうすればいいかと考えるためには相当の計算力が必要になります。
さらに料理は全身運動にもなります。約10分経った状態で料理をすると700 歩歩いた時と同じカロリーを消費します。1日3度台所に立てば2000歩ほど歩いた計算になり、相当の運動量が確保できると言えます。さらに言うまでもなく、自分で料理を作ることにより健康的な食事をとることが可能です。
また、一人暮らしの方が認知症は悪化しないことが知られています。実際にも明らかに認知症の症状が出ているにも関わらず一人で元気に暮らしているお年寄りが大勢います。一人暮らしで、家族に頼ることなく自分の頭と体を使って生きるということが認知症の進行を遅らせていると考えられています。
何れにせよ、脳の老化を遅らせたいと思うのであれば、脳を普段からしっかりと使ってあげる必要があり、体の老化を遅らせたいと思うのなら普段から自分の足で歩き回って積極的に体を動かす必要があります。そういった意味で一人暮らしというのは自分の頭で考え、自分の体で動く必要があるから老化や認知症を遅らせてくれることになります。
記憶力のトレーニング
年をとって記憶力が落ちたなぁと感じている方も多いかもしれませんが、記憶力はトレーニング次第で向上する余地があります。言い換えれば記憶するという作業をしないほど記憶力は劣化します。
そもそも記憶は神経細胞同士の連結が必要で、新しい情報を記憶するためには何千もの神経細胞が関わっています。一度記憶した情報はすぐに思い出さなければ失われてしまいますが、逆に情報を何度も思い出して記憶を活用すると神経細胞の連結が強化されて記憶を固定化することができます。
一般的な人は、記憶を長期的に保存できる場所に移さないとすぐに忘れてしまうため、ある研究によると新しい情報が長期記憶に保存されるには少なくとも8秒間が必要という報告があります。つまり覚えたい情報について少なくとも8秒間考えるということが必要です。人の名前や電話番号など、何か新しい情報を記憶する必要があるときは、8秒以上集中して頭の中で繰り返してみましょう。
そして記憶の8秒ルールで記憶した人物名や電話番号などを7日後に思い出せるかを試してみるのもトレーニングです。記憶して思い出すことを繰り返すと脳が活性化するため、脳の神経細胞の連結を強化して記憶力の向上につながります。
言語学習で脳活性化
新しいことを学ぶことで脳の機能が高まることが分かっています。特におすすめなのは言語学習です。言語を学習すると新しい単語や文法などを大量に暗記する必要があり、暗記した内容を会話の練習の際に思い出して言語化する必要があります。そのため言語学習は脳の様々な領域を使用し大きな負荷がかかり ます。このような負荷や新しい学びに対する興味や意欲は前頭葉を刺激して、認知症予防にも絶大な効果があります。
また、脳を活性化させるのに効果的な習慣の一つに音読があります。モントリオール大学の研究によると、リストに書かれたものを暗記するとき声に出して読み上げた被験者は声を出さずに読んだ被験者よりも優れた暗記力を発揮し たと言います。声に出して音読すると、文字を読む口を動かして発生する声に出した自分の音を聞き取るなど、脳は様々な情報を処理する必要があります。
ウォーキングで想像力アップ
定期的な運動は体に良いだけではなく、脳にもとても良い影響を与えます。毎日少なくとも20分、できれば30分から1時間ほど運動することで集中力や意欲が高まったり、認知症予防効果も期待できます。運動には、ストレッチなどの軽いものから筋トレやスポーツなどを激しいものまでありますが、中でもウォーキングは、脳に大きな効果があると言われています。またウォーキングには、脳の創造性を司る領域や記憶力を司る領域を刺激するという研究結果もあります。
老化を防止するためには、体を動かすことが重要です。どうしても年を取ると特に病気をしていなくとも全身の筋肉が衰えるように、脳も衰えていきます。その体と脳の衰えを防ぐ方法が歩くことです。歩くことと脳は密接な関係を持っており、実際に1週間に90分つまり1日中数分程度歩く人は、40分未満しか歩かない人よりも認知機能が良好に保たれることが分かっています。また週に5回20分歩くと、認知症の発症率がなんと40%下がるという研究報告もあります。
またウォーキングだけでも脳に良い効果を期待できますが、ドイツの研究によると肉体面と頭脳面の両方を同時に刺激することで脳の機能がさらに高まる効果が得られることが分かりました。例えば新しい言語を勉強しながら歩いたりすると学んだ単語がより長く記憶に残ります。
編み物は瞑想と似ている
近年では、健康法の一つとして呼吸と思考に集中する瞑想(マインドフルネス)が身近な存在となりました。瞑想法は、記憶力や集中力、認知機能の大きな向上につながると言われています。しかし瞑想と言われてもなかなか実践するのは難しいのではないでしょうか。
そこで編み物などの手芸にはリラックス効果があり、脳の健康を促進すると言われています。医学博士のハーバードベンソン氏によると、編み物のリズミカルな反復運動により脳が自然と瞑想状態になると言います。編み物は集中力が必要ですが、作業に慣れてくると非常にリラックスできます。編み物をしていると脳内のストレスホルモンであるコルチゾールが減少することが分かって いる他、ネガティブな思考が減って気分が良くなる効果があるとも言われています。
アメリカのある科学雑誌に掲載された研究報告によると、編み物をする高齢者は新聞や雑誌を読む高齢者と比べて、記憶障害や認知障害を発症しづらい傾向にあることが分かっています。編み物により新たな神経回路が刺激されて、認知機能の衰えが防がれることから、記憶障害や認知症の予防に効果があると考えられています。
また編み物は、脳のあらゆる領域を使用するためパーキンソン病などの治療効果を期待する研究も進められています。編み物により脳のすべての部位が同時に活動することで、脳の機能の向上が見込めます。このように編み物をすることで、脳が自然と瞑想状態に入り非常にリラックスしながら認知機能を高めることができます。
インディバヘッドで脳細胞活性化
全ての生体細胞に対して細胞活性化、血行促進、新陳代謝を促すのがインディバヘッドです。さらに脳神経細胞が活性化されると脳内ホルモン(ドーパミン、セロトニン、エンドルフィン、成長ホルモンなど)の分泌を促進させるという効果も期待できます。また脳細胞に微弱な高周波でリスクなくアプローチできるため、脳細胞の活性だけでなく、自律神経バランスを整える効果も期待できます。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。