
食べる薬とも言われる「ごま」は栄養素が高く、タンパク質、ビタミン、ミネラル、セサミンなどの抗酸化物質、食物繊維、脂質など、健康で生きるための必要な栄養素が凝縮されています。さらに炎症を軽減し、血糖値のコントロールも担うなど様々な効果をもたらしてくれます。
「ごま」の栄養価の高さ
「ごま」には科学的に証明された様々な健康上の利点があり、小さな一粒に凝縮された食物繊維を摂取することで腸が整い死亡率が下がることが知られています。大さじ3杯約30gには3.5g程度の食物繊維が含まれており、これは1日に摂取すべき食物繊維量の12%に相当します。簡単に食べ物にふりかけるだけで補えることができるため、お手軽に始めることができます。
また、「ごま」には抗酸化物質も多く含まれており、その中で有名なのが「セサミン」です。活性酸素などによって体の細胞や遺伝子が酸化し、ダメージを受けて、体が錆びついていくことで老化が始まりますが、「セサミン」などの抗酸化物質を摂取することで、活性酸素などによる酸化やダメージを防ぐことができます。ある研究では、セサミンが体の炎症を抑えてくれる可能性も示唆しています。またゴマリグナン、ガンマトコフェロールなどの抗酸化物質も含まれており、そのゴマリグナンは肝臓まで届いて、抗酸化作用を発揮する数少ない抗酸化物質です。
さらに、「ごま」は約20%がタンパク質であり、50%が脂質です。脂質は体に良いとされている不飽和脂肪酸(リノール酸、オレイン酸)が多く含まれており、コレステロールが含まれていない特徴があります。いくつかの研究では「ごま」を定期的に食べることによって、心臓病の危険因子である高コレステロールとトリグリセリドを減らすのに役立つ可能性が指摘されています。
その他にも、「ごま」の特徴である炭水化物が少なく、高品質なタンパク質、健康的な脂肪が多いなどにより、血糖値コントロールに役立つ可能性があります。糖質は、タンパク質や脂質と一緒に食べると血糖値の上昇が緩やかになるため、例えば白ごはんに「ごま」をふりかけて食べるだけで血糖値の上昇が緩やかになります。
このように、私たちが健康的に生きる上で絶対に必要な栄養素が非常に多く含まれており、様々な健康効果をもたらしてくれます。
飲む薬「コーヒー」
コーヒーは健康に悪いというのは過去の話で、1日3杯ぐらいのコーヒーを飲む習慣は健康に良いということが常識になりつつあります。そのきっかけとなったのが、2012年の米医学誌に発表された内容で、コーヒーを1日6杯以上飲む人は男性で10%、女性で15%総死亡リスクが低下し、心臓病、呼吸系疾患、脳卒中、感染症、糖尿病などによる死亡リスクの低下が認められています(2017年に全データ解析でも同様以上の結果が確認)。
このように飲むだけで死亡リスクが減少するというデータがあるものは、サプリだけではなく、薬においてもほとんどありません。また40万人以上の大規模調査でもコーヒーは寿命を伸ばすことが確認されています。さらに2015年に行われた日本人を対象にして行われた9万人以上の住民に対する18.7年の長期間の健康調査(経過観察)において、コーヒーを飲む人と飲まない人を比較すると、コーヒーを2杯/日で15%、3〜4杯/日の人は24%総死亡リスクが低下したという結果となりました。
また、コーヒーは老化の2大原因である脳卒中と認知症のリスクを下げてくれることが分かっています(2009年、2011年発表論文)。コーヒーは脳内の抑制神経伝達物質の働きを弱め、気分を高揚させ、脳の機能を刺激すると考えられているからです。さらに2011年に行われた研究では、1日4杯以上のコーヒーを飲む女性(5万人、25年間追跡)は、うつ病のリスクが20%低い結果が発表されています。
このようにコーヒーは数多くの予防効果が研究されており、その中で最も多く研究されているのが肝臓病に対する研究です。これらからコーヒーはほとんど全ての原因による肝機能障害を改善させることがこれまでの膨大なデータから確認されています。そしてコーヒーには糖尿病を予防してくれる効果(クロロゲン酸の糖尿病予防効果)があるというのが110万人以上のデータで証明されています(2010年糖尿病専門誌)。
コーヒー含まれるカフェインは体の中にあるリパーゼという酵素を活性化させる作用があります。リパーゼによって脂肪(トリグリセライド)が遊離脂肪酸とグリセロールに分解され血液中に流れて筋肉で燃焼されます。また血行促進、代謝の向上などのダイエット効果があります。同じくクロロゲン酸(コーヒーポリフェノール)も脂肪の分解や蓄積を防ぐ効果があります。
また美容面では、抗酸化作用により酸化を防ぐ効果があるためシミやシワ、たるみなどのアンチエンジング効果もあります。
コーヒーを飲み過ぎた場合の副作用
どんなに体に良いものであっても、食べ過ぎ、飲み過ぎは体に良くありません。何でも適度にバランス良くが基本です。アメリカ医師会では2、3杯を標準として、10杯は飲み過ぎとしています。また心臓の健康に関する35万人以上の参加者のデータを調べた研究では、1日4杯までは効果があるとされています。このあたりが参考になると思いますが、カフェインに強い人、弱い人もいるため、自分の体がどの程度カフェインに強いのかに応じてカーヒーを飲む量を決めてください(例えば夜眠れなくなるなど)。
- 腎臓に負担がかかる
- 胃が荒れる
- 不安やストレスが増す
- カフェインオーバードーズ
腎臓に負担がかかる
「コーヒーの消費と慢性腎臓病の発症に関連する代謝物」という論文では、コーヒーの飲み過ぎは、腎臓への負担が大きく、慢性腎臓病を発症するリスクが高い可能性があることが指摘されています。その根拠は、約3800人を調べたところ、コーヒーの摂取に関連する41の物質が見つかり、そのうち3つの物質が多いほど慢性腎臓病を発症するリスクが大幅に高くなることが分かっています。またカフェインの利尿作用が腎臓に良くないのではないかとの指摘もあります。また腎機能が低下している方は、コーヒーに含まれるカリウムをうまく排出ことができないため、負担が大きいと言われています。
胃が荒れる
コーヒーで「胃が荒れる」というのは、コーヒーに胃を荒らす成分が入っているからです。その成分はカフェインと苦味成分のクロロゲン酸です。この2つには胃の粘膜を刺激して胃酸の分泌を増やす性質があるため、胃の粘膜が傷ついてもおかしくないと考えられています。また下痢を招く作用もあるため、欧州食品安全機関はカフェインの摂取量を1日400mg未満(コーヒー4から5杯)と提言しています。カフェインが体に与える影響は個人差が大きいため、無理して飲む必要はありません。
不安やストレスが増す
カフェインを摂取すると頭が冴えるというのは、それは疲れを感じさせる脳内化学物質のアデノシンの働きをカフェインがブロックするからです。同時にアドレナリンも分泌されるためエネルギーが高まります。一方でカフェインを摂り過ぎるとカフェイン誘発性不安障害、つまり不安を引き起こされることがあります。例えばカフェインを摂ると、めまい、下痢、不眠症、頭痛、心拍数の増加、イライラする、ストレスかかる、メンタルが落ち込むなどの症状がある場合は、自分にカフェインの適量がどの程度なのか見極めていく必要があります。
カフェインオーバードーズ
カフェインの過剰摂取によって夜眠れない方は、正午19時以降はコーヒーを飲まない方が良いかもしれません。アメリカ睡眠学会によると、カフェインの半減期(血中濃度が半減するまでの時間)は5時間です。またジャーナルオブスリープメディスンの研究によると、就寝前6時間以内にコーヒーを飲むと、睡眠時間が1時間短縮されるという指摘もあります。体内にカフェインが就寝時に残っていると、身体の回復、記憶の強化、徐波睡眠とレム睡眠の量などに影響があります。結果的に睡眠の質、睡眠時間が足りないなど様々な悪影響が出てしまいます。
「みそ汁」のパワー
日本独自の発酵食品の「みそ」は、日本人の食生活を支えてきた伝統食品です。みそは、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、有益な食物性化合物が豊富に含まれ、特にナトリウム、マンガン、ビタミンK、銅、亜鉛などが豊富で栄養価が高い食品です。この「みそ」の材料は大豆、塩、麹だけで、これらを混ぜ合わせて酵母や細菌などの微生物の力によって発酵・熟成させたものです。
最も有名な発酵食品の健康効果は、味噌や納豆のように善玉菌が多く含まれているものが多く、腸内環境を整える効果が期待できます。また大豆を発酵させた味噌は、必須アミノ酸を豊富に含んでいるため、素晴らしいタンパク質の供給源になります。また体が食べ物を消化吸収する能力を向上させてくれ、研究によれば味噌に含まれる微生物が、炎症性腸疾患などの消化器系の問題に関連する症状を軽減するのに役立つ可能性が示唆されています。
さらに味噌には免疫システムが最適に機能するのを助けてくれる栄養素が含まれています。研究によれば、味噌に含まれる有益な微生物は腸内細菌層を強化し、免疫力を高め、有害な細菌の増殖を抑えるのに役立つことが分かっています。
味噌の選び方は、食品添加物が添加された味噌でなく、なるべく原材料がシンプルなものを選ぶこと。そして減塩や塩分控えめと書かれたものは選ばないことです。塩分を減らすと腐りやすくなるため、防腐剤を添加したり、味が低下するのを防ぐためにpH調整剤や化学調味料などを使用されているからです。いずれにせよ、自然発酵や天然醸造と書かれたものを選ぶのがベストです。ゆっくりと手間をかけてつくられることで、味噌本来の風味や発酵食品ならではの豊富な栄養素がたっぷりと詰まった味噌となるからです。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。