ダイエット方法の変化

    ダイエット方法の変化

    近年、ダイエットに関する変化が起こっています。これまでは低炭水化物ダイエットや低糖質ダイエットなど、主栄養素の量を減らすことに主眼が置かれていました。それに対して主栄養素の質に注目した研究がスタンフォード大学で発表されています。

    ダイエット方法が変化している

    この研究では、低炭水化物食グループと低糖質食グループに分けて12ヶ月後の体重の変化を調査しました。両グループには栄養士が参加し、参加者は超加工食品を避け、未加工または最小限に加工された健康的な食品を自宅で調理するように指導されました。

    低脂肪食グループでは、玄米、大麦、オート麦、豆類、脂肪を除いた赤肉、低脂肪の乳製品、新鮮な果物、マメ科植物を摂取し、低炭水化物食グループでは、オリーブ油、サーモン、アボガド、チーズ、野菜、ナッツと種子などの栄養化の高いものが中心に摂取されました。興味深いのは被験者は、好きなだけカロリーを気にせずに食べて良いことになっていたことです。

    結果は、両グループ共に平均5kg以上の体重減少、体脂肪率とウエストサイズの減少も示し、1日のエネルギー摂取量が平均500kcalも減少していました。つまり研究では、健康的な炭水化物や脂質という「良質な主栄養素」の摂取がエネルギー摂取量を自然と減らし、体重減少に寄与したことを示唆しています。

    これまでのダイエットでは食事量を減らすことにより、エネルギー摂取量を減らし、体重を減らすことが手法でした。しかし良質な栄養素を含む食品であれば好きなだけ摂取しても、結果的にエネルギー摂取量を減らすことができる「新たなダイエット手法」が注目されています。

    炭水化物脂質

    炭水化物や脂質には痩せるものと太るものがあることが分かってきました。まず痩せる炭水化物は、含まれる「食物繊維の量」が大事で、代表が玄米や全粒粉などの茶色い炭水化物です。

    2015年にハーバード大学で発表された調査結果によると、野菜と果物の摂取量と体重の増減の関連について13万3468名の男女を対象に24年間に及ぶ大規模な調査が行われ、野菜や果物の各品目の体重の減少効果の関係が発表されています。

    ここから野菜には太る野菜と痩せる野菜があり、最も痩せる野菜は大豆で、その他はブロッコリーやカニフラワーなどのアブラナ科の野菜、ピーマン、芽キャベツ、ほうれん草などの緑色の葉野菜に高い減量効果がありました。一方でジャガイモ、さつまいも、とうもろこしには増量効果が確認されています。

    特に大豆に含まれる食物繊維には、満腹感を高め、腸での糖質や脂質の吸収を遅らせて腸内環境を整え、腸内細菌の活動を促すなど、肥満を防ぐ多くの作用があります。さらに含まれるイソフラボンには、脂質の生成を抑制し、脂質の蓄積を減らし、肥満の要因となるインスリン抵抗性を改善する効果があります。

    果物には増量効果が認められたものがなく、ブルーベリーやプルーン、いちごなどのベリー系の果物、りんご、グレープフルーツには、食物繊維とともにフラボノイドが豊富に含まれ、いずれも高い減量効果があることが分かっています。このフラボノイドの摂取がエネルギー摂取量を減少させるとともに、筋肉のグルコースの取り込みを増加させることが報告されています。

    続いて太る脂質の代表がトランス脂肪酸と飽和脂肪酸です。超加工食品や加工肉に多くふくまれています。一方でオリーブオイルは、最も痩せる脂質であるαリノレン酸を多く含み、熱にも強いため調理油として最適です。またエゴマ油や亜麻仁油をスプーン一杯程度を食材に加えることもおすすめです。

    最後がタンパク質で、痩せるタンパク質の代表が鶏肉、ヨーグルト、プロテインです。特にホエイプロテインの摂取によって食物促進ホルモンであるグレリンの分泌が抑えられ、食物抑制ホルモンであるコレシストキニンの分泌が促進させることが示されています。

    脂肪を減らすための食べ方

    厳しい食事制限はむしろ健康を害してしまうこともあります。過剰な食事制限によって、エネルギー源である糖質や脂質が不足するため、筋肉や内臓に含まれるタンパク質を分解してエネルギーを得ようとします。このような方法ではなく、健康的に美しくなるためには、緩くても効果が出る安全な方法があります。

    調理法

    脂肪とカロリーを減らすためには、揚げるよりも焼く、焼くよりも煮る・蒸すです。つまり揚げる→焼く→煮る→蒸すの順で脂肪とカロリーが小さくなり、つまり同じ食材でも調理法によって脂肪とカロリーが変化するのです。

    例えば、もも肉を油で揚げると、衣が油を吸ってもともとの肉のカロリーと脂質に油が上乗せされます。一方で焼くや蒸すは調理中に肉に含まれる脂肪が溶け、肉汁として外に出ていくため調理前よりもカロリーや脂質が少なくなります。

    青魚

    青魚の代表は鯖やイワシといった背中が青い魚です。青魚に含まれるDHAやEPAは体脂肪の増加を抑える効果があることが分かっています。これらは不飽和脂肪酸の一種であり、摂取することで体内に溜まった中性脂肪を減少させ、さらに内臓脂肪を付き難くすることができると言われています。他にも心臓病や脳卒中、糖尿病や癌、認知症の予防にも役立ちます。缶詰の魚でも同じ効果があります。

    高野豆腐

    高野豆腐は豆腐を冷凍して低温熟成した後、解凍して乾燥させた保存食品です。栄養成分が凝縮されており、タンパク質や脂質(不飽和脂肪酸)が多く含まれています。また白米や麺類などの主食と比べて糖質量も圧倒的に少ないです。高野豆腐にはΒコングリシニンが多く含まれており、これが内臓脂肪を燃焼させ、血液中の中性脂肪を抑える効果が分かっています。さらに脂肪細胞から分泌される善玉物質であるアディポネクチンが増えて内臓脂肪が燃焼されやすくなります。さらに含まれるレジスタントタンパクが肝臓での中性脂肪の合成を抑え、血液中の中性脂肪の上昇を抑える作用もあります。

    つまり、高野豆腐は健康にもダイエットにも非常に効果が高いスーパーフードなので積極的に食べてください。

    ダイエットのためには肝臓を労わる

    日本人成人の3人に1人が脂肪肝であると言われています。肝臓は末期状態で機能がかなり低下してからようやく症状が出始めます。このように肝臓は機能が低下しても自覚できないため「沈黙の臓器」とも言われています。脂肪肝は肝臓全体の60%以上が脂肪化した状態でも症状が全く出ません。

    肝臓の機能は代謝、解毒、免疫機能です。代謝は栄養素を体が利用しやすいように分解し、合成する働きのことです。肝臓に運ばれた栄養素は生命維持のための必要な物質に作り変えられます。また食べていない時には、貯めた栄養(脂肪)をブドウ糖に変えて、細胞のエネルギー源にしているのも肝臓の大切な働き(糖新生)です。肝臓の機能が低下すると脂肪をブドウ糖に変えることができません。つまり脂肪をエネルギーに変換することができないため、体に必要なエネルギーを食事から摂らざる得ないため、空腹感が強く生じてしまいます。

    解毒には、代謝の過程で生まれた有害物質を毒性の低い物質に変えて尿や胆汁の中に排出する機能です。この肝臓の機能が低下すると有害な物質を処理できなくなり、全身に巡って様々な不調を引き起こします。

    そして免疫は、身体に入ってきた異物を食べてしまう免疫細胞の80%は肝臓内に存在しています。肝機能が弱まればウィルスなどの外部からの感染に弱くなります。

    「脂肪肝」は肝細胞内に脂肪が溜まることですが、この脂肪によって代謝、解毒、免疫を始めと様々な機能が低下します。脂肪がつく原因は、食事(お肉や脂身)で付く割合は15%程度、肝臓で作られた糖質由来の脂肪が25%、最も多いのが皮下脂肪や内臓脂肪で60%を占めています。つまり糖質のもととなるご飯やパン、麺類などの炭水化物の方が脂身よりも2倍のインパクトがあります。特に注意しないといけないのが、脂肪肝が進行して初めて脂肪肝炎(肝臓の炎症)になるのではなく、脂肪肝が軽度の状態でも肝炎になる可能性があることです。

    肝臓に脂肪が溜まる理由は、入ってくる脂肪と出て行く脂肪がイコールではないことです。そのため食べ物由来の糖や脂肪、特に糖のもととのなる炭水化物の摂取量を減らすこと、溶けて肝臓に流れ込む皮下脂肪や内臓脂肪を減らすこと、肝細胞の機能に悪さを働く毒を減らすことです。つまり食べるものを気おつけ食事制限と運動で身体の脂肪を落としましょうということです。

    美容鍼で体重コントロール

    太りにくい身体をキープするために美容鍼は効果的です。なぜなら鍼によって身体にアプローチすることで、基礎代謝を上げて脂肪が燃えやすい身体に改善することができるからです。例えば、おなかや足などのツボに鍼でアプローチし、内臓の働きや新陳代謝を高め、老廃物や水分の排出を促進させて代謝機能を改善します。

    その他にも、耳には食欲を抑制するツボ、腕には自律神経の乱れを整えて過剰な食欲を抑制するツボがあります。また、自律神経のアンバランスで睡眠不足にならないように、鍼治療によって『副交感神経』と『交感神経』の活動のバランスを調整することができます。

    鍼で体重コントロールすることは、心身への負担やストレスが少なく、健康的な状態を維持しながらキレイになることができます。

    【本コラムの監修】

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

    関連記事

    1. お粥は胃に優しくない

    2. 美肌のためにはタンパク質

    3. 血管が老化する習慣

    4. 脂肪燃焼(ダイエット)の耳ツボ

    5. ブロッコリーでアンチエイジング

    6. ほうれい線・フェイスラインの崩れに効くツボ

    7. 鍼の好転反応(ニキビと余分な熱)

    8. 脂肪肝を減らす食材

    9. アンチエイジングには『ごぼう茶』『オートミール』

    10. 美肌にビタミン・サプリはNG

    11. 正しい美容・健康法?!

    12. グルテンフリーにするべき理由

    13. 心と体に最適な食べ物

    14. 3つのツボで美顔を保つ

    15. 円皮鍼(えんぴしん)で小顔・美肌効果