ダイエットは、体重がどれくらい減少したかで成功したかどうかの指標とされています。もちろん体重も大事な指標の一つですが、体重が減ったとしても脂肪ではなく筋肉が減っている可能性があります。
ダイエットと体脂肪の関係
左と右の画像の体重は、どちらも同じ58キロです。ただし左の画像は体脂肪率が33%なのに対し、右の画像は体脂肪率が20%であると同時に筋肉量が多いです。このように同じ体重なのに見た目の違いがあるのは、筋肉は脂肪に比べて重いからです。つまりダイエットは体重が減少しているかどうかではなく体脂肪が減少しているかどうかを見る必要があります。体重が落ちていたとしても脂肪ではなく筋肉が落ちている場合、基礎代謝も落ちています。
筋肉量を増やすまたは維持するためには筋トレが必須です。もちろん筋トレをしなくても、食事制限をすれば体脂肪は減っていきます。ただ筋トレをしないと体脂肪を減らすのが難しくなります。なぜなら食事制限をすると脂肪と同時に筋肉も減りやすくなり、筋肉が減ると基礎代謝が下がるため食事制限がさらにきつくなっていくからです。筋トレをして筋肉量を維持することができれば、基礎代謝を下げずに筋肉が増えた分だけ体脂肪の減少につながります。
タンパク質をしっかり摂る
ただし、その増えた分の筋肉を合成するためには十分なタンパク質を取る必要があります。またタンパク質の摂取は、筋肉の合成だけでなく脂肪の減少とも関係があります。なぜならタンパク質を多く摂った方がより多くの脂肪が減少するからです。だからといってタンパク質を取れば取るほど体脂肪が減るかと言ったらそうではありません。なぜなら 筋肉の合成能力にも限界があるからです。最新の研究では体重1kgあたり1.6gのタンパク質を摂取すると筋肉の合成が最大化すると言われています。
2018年に17人の女性を対象として行われた研究では、17人の女性をランダムに2つのグループに分け、一方のグループは体重1kgあたり2.5gのタンパク質を、もう一方のグループは体重1kgあたり0.9gのタンパク質を日々摂取してもらいました。
8週間後の体型の変化を調べたところ、高タンパクのグループは、筋肉が2.1kg増加し、脂肪は1.1キロ減少しました。それに対して低タンパクのグループは筋肉が0.6kg 増加し、脂肪は0.7kg減少しました。このように低タンパクのグループは、高タンパクのグループに比べて体脂肪の減少が少なかったことが判明しました。さらに高タンパクのグループの方が低タンパクのグループよりも摂取カロリーは多かったのです。つまり摂取カロリーが多かったグループの方が体脂肪の減少が多かったのです。
普通に考えれば、摂取カロリーを少なくした方が体脂肪は減りますが、タンパク質を多く摂取したことによって筋肉量が増え、筋肉を増やすために食事からのエネルギーだけでなく、体脂肪を分解したことによって放出されたエネルギーも使うことになります。
ダイエットと睡眠
一方で、睡眠を最適化することも大切です。研究によると、睡眠不足になると体脂肪が減りにくくなることが分かっています。例えば2012年に行われた研究では睡眠時間が5時間半のグループと8時間半のグループを比較したところ、睡眠時間が5時間半のグループは8時間半のグループに比べて体脂肪の減少が55%も少なく、さらに筋肉などの減少が60%も多かったことが判明しています。つまり睡眠不足になると体脂肪が減りにくくなり、逆に筋肉は減りやすくなります。
また、数々の研究で寝不足だと筋肉が落ちやすくなると同時に脂肪がつきやすくなることが分かっています。例えば2016年に行われた研究では、睡眠を改善しただけで食事制限や運動なしでも筋肉量が増えると同時に体脂肪が減ったことが報告されています。睡眠不足の悪影響は他にもあり、食欲の増加、基礎代謝の低下、インスリン抵抗性の増加などが挙げられます。
二の腕が太くなる理由
年齢を重ねてくると二の腕が太くなりやすくなるのはなぜでしょうか。その理由は、主に生理的及び生活習慣の変化が挙げられます。
生理的変化
代謝の低下年齢を重ねるにつれて人の基礎代謝率は自然と低下します。これは筋肉量の減少によるものが大きく、特に40代以降はこの傾向が顕著になります。代謝が低下すると同じ量のカロリーを摂取しても以前より簡単に脂肪として蓄積されやすくなります。
一方で加齢による筋肉量の減少は、特に40代から加速度的に進むことが知られています。筋肉量が減ると脂肪が燃焼されにくい体質になり、結果として脂肪が蓄積しやすくなります。特に上腕三等筋の衰えは、たるみやすさに直結します。
そしてホルモンバランスの変化が大きく現れることも影響します。女性の場合、40代は更年期の始まりにあたりエストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンは脂肪の分布をコントロールする役割を持っており、そのバランスの変化 によって体脂肪が増加しやすくなり、特に上半身や腕に脂肪がつきやすくなることがあります。
一方でインスリンは血糖値を調節するホルモンで、インスリンのバランスが乱れると体がインスリンに反応しづらくなるインスリン抵抗性が高まります。これが原因で、体内の糖質がエネルギーとして使われにくくなり、代わりに脂肪として蓄積されやすくなります。その結果、全身や二の腕に脂肪がつきやすくなります。
さらにコルチゾールは、ストレスホルモンとして知られており長期間のストレスが原因で、コルチゾールの分泌が過剰になると食欲が増加し、特に糖質や脂質を多く含む食べ物を欲するようになります。これが原因で体脂肪が増え、二の腕が太くなることがあります。
また、甲状腺の分泌が 不足すると代謝が低下し体内の脂肪が燃焼しにくくなります。これにより体全体の脂肪が増え、二の腕を含む体の核部位が太くなることがあります。
生活習慣の変化
40代は仕事や家庭の責任が増える年代でもあり、忙しさの運動不足になりがちです。またストレスや睡眠不足も増えることが一般的で、これらは代謝の低下や不健康な食生活へとつながり、結果的に体脂肪の増加を促します。
また悪い姿勢、特に前鏡の姿勢や猫背は胸部や肩の前側の筋肉が縮んで固くなり、背中や肩の後ろ側の筋肉が伸びて弱くなる傾向があります。この結果、筋肉のバランスが崩れて二の腕が太く見える原因となります。さらに悪い姿勢は血流やリンパの流れを妨げ、特に腕を下に垂らした状態で長時間、前屈みでいるとニの腕の血流が悪化し、腕のむくみやすさが増します。これが二の腕が太く見える一因になります。
体の余分な水分
体内に余分な水分が溜まることは腕を含む体の各部位が太く見える原因の1つです。これは一般にむくみと呼ばれ、ニの腕が太く見える現象にも関係しています。長時間の同じ姿勢や運動不足により血液循環が悪くなると体の末端部分、特に腕や足などに水分が溜まりやすくなります。
血液の流れが悪いと細胞に栄養を届けたり、老廃物を回収する効率が悪くなり結果として水分が組織にたまりむくみが生じます。リンパ系の流れが悪いと体内の余分な水分や老廃物の排出がスムーズに行われなくなります。リンパの滞りもむくみの原因となり、荷の腕などの体の部位が一時的に太く見えることがあります。
一方で塩分を過剰に摂取すると体内で水分を保持しようとする性質があります。これにより体内に水分が溜まりむくみが生じやすくなります。このような理由で二の腕に水分が滞留すると非組織に水分が溜まり、腕が太く見える原因となります。
お腹と二の腕の脂肪が落ちない理由
皮下脂肪が落ちない女性にはある共通の特徴があります。それは、そもそもお腹の皮下脂肪が落ちるメカニズムを知らないということです。お腹の皮下脂肪が落ちるまでには必ず次のステップがあります。
- ステップ1:摂取カロリーが消費カロリーを下回るアンダーカロリーの状態を作る
- ステップ2:脳が脂肪を分解するように体に命令を出すことで、初めてアドレナリンなどのホルモンが体内に分泌される
食事量を減らすとアンダーカロリーがつくれない
このホルモン分泌が皮下脂肪を分解するために必要な鍵で、アドレナリンなどのホルモンが皮下脂肪についている鍵穴と合って始めて皮下脂肪は分解され落ち始めます。
しかし残念ながらほとんどの人は、お腹周りにこの鍵穴が少なくなっています。実際あるアンケート調査で体脂肪が落ちにくいと感じる部位で二の腕やふくろはぎ 答える人は6%だったのに対し、お腹周りの体脂肪を落とすのが難しいと答えた人は約10倍の56%もいました。
二の腕やふくろはぎの体脂肪には鍵穴が多くあり、ダイエットし始めでも痩せやすいのに対し、お腹の皮下脂肪は鍵穴が少なく最後までしぶとく残るため、正しい知識がないと皮下脂肪は落ちません。お腹の皮下脂肪が落ちるペースは、落ちても1 日で50gから多くて100g程度です。この体脂肪が落ちるペースを知らないと、例えば1週間で-5kgや糖質制限1ヶ月で-1kgのような仮に体重は落ちても実はそのほとんどが水分や内臓に蓄えられているもので、体脂肪はほとんど落ちていないということもあります。
実際、アメリカ国立衛生研究所の研究によると6 日間の糖質制限により体重は1.8kg 落ちましたが体脂肪は200gしか減っていなかったことが分かっています。このペースなら仮に1ヶ月頑張っても1kg程度の体脂肪くらいしか落とせません。しかし仮に1ヶ月で1kgの体脂肪を落として、これを3ヶ月続けたら見た目にも嬉しい変化が現れます。
また、実は食事量をむやみに減らしたり、運動をがむしゃらに頑張ってもアンダーカロリーは作れません。確かに皮下脂肪を落とすためにはアンダーカロリーを作る必要がありますが、実は食事量を減らしすぎてしまうと代謝が低下してアンダーカロリーが作れなくなり、皮下脂肪が落ちないという状況に陥ります。そのため食事量の目安として摂取カロリーが体重×23以上にするのがベストです。例えば60kgの人の場合、60kg×23で1380kcalが1つの目安になります。
お腹周りの脂肪が落ちづらい理由
皮下脂肪と比べて内臓脂肪の方が分解されやすく、皮下脂肪は分解されにくいことが分かっています。脂肪の分解は、血液中に含まれるアドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンが脂肪細胞の細胞膜上にあるβ受容体に結合することでATGLやHSLといった脂肪を分解する酵素が働き始めます。
内臓脂肪では、このβ受容体の量が皮下脂肪に比べて多く、それによって脂肪分解のスイッチが入りやすいです。逆に皮下脂肪は、このβ受容体の量が少ない上に脂肪の分解を抑制するα受容体の量が多いことが分かっています。
筋膜リリースとダイエット
ダイエットのためには、筋膜リリースが有効です。筋膜リリースは、筋膜のコリ固まり、捻れ(歪み)を元の状態に戻すことです。筋膜のコリや捻れは、長時間同じ体勢を維持したり、体の一部分に負担が掛かる状態を続けたり、筋肉の使いすぎだけでなく、冷え、ストレス、疲労などによっても起こります。
筋肉に筋膜が癒着していると、筋肉がコリやすく血行が悪くなり、体全体に酸素や栄養が行き届きにくくなり、代謝が低下します。特に30代以上になると基礎代謝が下がってくるため、よりお腹や背中に脂肪が付きやすなります。筋膜リリースによって、固くなっていた筋肉がほぐされて、血液の流れが良くなり、筋肉内部の血流もスムーズになるため、基礎代謝が上がってエネルギー消費量が増え、脂肪が付きにくくなる効果があります。
また、筋膜が固いと血液やリンパの流れが滞り、老廃物の排出がスムーズにできなくなるためむくみやセルライトの原因になります。筋膜リリースをすることで、筋膜内部にある繊維を柔らかくすることができ、血行やリンパの促進につながり、結果として溜まった老廃物が排出されてむくみの解消や脂肪の蓄積が改善する効果が期待できます。
一方で、血行不良によって起こる首肩こりや腰痛、冷えなどの解消にも繋がります。また筋肉の可動域が広がるため、トレーニング効果やパフォーマンスの向上、怪我の防止、疲労回復のスピードがアップするなどの効果も期待できます。
インディバファシアでダイエット
当院では、世界中のスポーツ治療分野に導入されているインディバアクティブを導入しております。日本でも治療器として医療機器承認番号(22300BZ00167000)を取得しており、様々なプロチームなどで活用されています。
また、INDIBA FASCIAは、筋膜を柔らかくし滑りを良くして解きほぐす「筋膜リリース」をおこなう為のツールで、筋肉の柔軟性を引き出すことが可能です。この筋膜リリースのツールとインディバの温熱作用と電流作用を加えることが可能です。
実は、痩せたいとか脂肪を燃焼したいという目的で運動するのはおすすめできません。例えば体脂肪率1桁のボディビルダーが、ランニングマシーンを使っているイメージはありますか。実は運動は痩せるためにはコスパが悪いです。例えばランニングのような激しい運動しても、1km走るごとに体重1kgあたり約1kgのカロリー消費しかしません。つまり体重50kgの人なら1キロのランニングで約50 kgのカロリーを消費します。これはバナナ半分と同じくらいのカロリーです。
インディバの高周波によって体内深部が加温されると、代謝が上がり、脂肪燃焼が促進されます。表面だけでなく、体の深部の温度を上げることで基礎代謝が高まり、自律神経や細胞・組織を活性化することが可能です。つまり内臓脂肪の燃焼を促進し、全身の血行促進と体脂肪の燃えやすい体づくりが可能です。
さらに体内の温度が上がることで、血流やリンパの流れを改善し、代謝が促進されることで、老廃物の排出やお肌のターンオーバーも活発になり、 そして脂肪・セルライトの燃焼にも繋がります。また様々な病気の原因といわれている活性酵素を除去するという効果も期待でき、肌・心・体も健康的になります。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。