
肌トラブルの原因の多くは腸にあり、例えば便秘などのトラブルを抱えた腸であれば、ニキビや吹き出物などの原因になってしまいます。一方で腸の状態や働きがよければ、腸で吸収された栄養が血液にのって全身に運ばれて肌も生き生きとしてきます。
美しい肌を手に入れたいのであれば、化粧品や美容鍼と同じくらい、あるいはそれ以上に入念に腸をケアする必要があります。
腸活と腸の働き
腸の働きは大きく分類すると、消化、吸収、排泄、免疫、合成、解毒、浄血の7つの機能があります。特に免疫、合成、解毒、浄血の4つの機能が腸活には欠かせません。
免疫は病気に対する抵抗力を高める働き、合成は食べたものから体に必要なビタミンやホルモンを作り出す働き、解毒は有害物質や老廃物を外に出す働き、浄血は栄養成分を血液に吸収する入り口となる腸の状態や環境が血液の質に大きく関わることを指しています。
腸の機能が正常に働くことで、全身を血液がきれいになり、血中に免疫細胞や栄養成分が行き渡るため病気に強くて健康的な肌や体を作ることが可能になります。つまり腸活とは全身を巡る血液の質を上げることに他ならないのです。
このような腸の7つの機能が正常に働くために大切なのが腸内細菌です。腸内細菌は100兆個、その種類は数千種類いると言われ、約1kgから2kgの腸内細菌が体内に生息しています(腸内フローラとも呼ぶ)。この腸内環境を整えることで肌や体の健康だけでなく、心の不調も改善できるのではないかと考えられています。
腸内環境を整える食べ物
誰もが歳を重ねるにつれて、記憶力の低下、体力の低下などの老化の悩みに直面しますが、それ以上に大きな悩みがお肌などの見た目の老いです。しかし食べるだけで実年齢より若く見られる食べ物が世の中には存在します。食べるだけで美肌になる食べ物を科学的な根拠に基づいてお伝えします。
昆布やワカメに含まれる「フコイダン」
昆布茶に含まれる「フコイダン」には、美肌効果があることが分かっています。「フコイダン」は、昆布、ワカメ、もずくなどの褐藻類のみに含まれる特有のヌメリ成分で水溶性食物繊維の一種です。水溶性食物繊維は、里芋、大麦、ごぼうなどにたくさん含まれていますが、美肌のためと言っても毎日摂取することは難しい側面があります。水溶性食物繊維は腸内の善玉菌の餌になり、腸内環境を整えて溜まった老廃物を排出することを促す働きがあります。
老廃物などの毒素が腸内で溜まってしまうと、腸内から血中に入りお肌の細胞が老化する原因になります。昆布茶に含まれる水溶性食物繊維は便と一緒に毒素を排出してくれる働きがあります。
この「フコイダン」の、1つ目の美肌効果は、肌のバリア機能の保つことです。肌表面に天然の潤い膜を形成し、外部刺激から肌を守ってくれます。2つ目はフコイダンが持つヌメリ成分が肌の保水力を高めてくれることです。3つ目がヒアルロン酸やコラーゲンの分解を抑制して、お肌をぷるんぷるんに保ち、シワやたるみを抑制する効果が挙げられます。その他にも創傷治癒など肌に関わる無数のメリットがあります。昆布茶であれば、簡単に毎日摂取することができ、このような美肌効果が期待できます。
漬物に含まれる「植物性乳酸菌」
消化吸収を助けてくれる腸内細菌には、善玉菌と悪玉菌がありますが、善玉菌はさらに細分化した分類があります。その1つである乳酸菌は、主に糖を分解してくれる善玉菌で、大きく分けて動物性乳酸菌と植物性乳酸菌があります。動物性乳酸菌は主にヨーグルトなどに入っており、植物性乳酸菌は味噌やキムチに入っています。
近年の研究では、ヨーグルトに含まれる動物性乳酸菌の多くは胃や小腸で消化されて死滅してしまうため、大腸まで届きにくいことが分かってきています。一方で植物性乳酸菌は、胃や小腸で分解されず生きたまま腸に届きます。この植物性乳酸菌の代表が日本の漬物です。漬物の中でも赤じそとなすと塩で作られた「しば漬け」は植物性乳酸菌が多く含まれています。腸内細菌のバランスを整えてあげることが美肌には最も大切なことです。
また、血管内には栄養素や酸素の他に様々な老廃物が含まれて流れています。このような老廃物が全身を巡り、肌に蓄積してしまうと大きなダメージを受けてしまいます。私たちの体には、「細胞分裂」という傷ついた細胞を修復するプロセスが備わっており、常に新しい細胞に生まれ変わることで正常に保たれています。しかし細胞分裂の回数は決まっており、その回数を決めているのがテロメアという遺伝子です。テロメアは命の回数券とも言われて、細胞分裂するごとにテロメアの数は減り、その数が底をつくと細胞は分裂を止めてしまいます。
この細胞分裂を止めた細胞を「老化細胞」と言い、この老化細胞が肌に蓄積することでシワやシミ、たるみの原因になってしまいます。つまり老廃物によって肌の細胞がダメージを受けると、それを修復するために細胞分裂が加速し、やがてテロメアが消費されて細胞分裂が停止します。分裂を停止した細胞が「老化細胞」であり、この細胞老化が、美肌を損なう原因となり、その根本原因が腸内細菌の乱れなのです。
食物繊維+発酵食品=「温酢キャベツ」
腸が喜ぶ食事の基本5原則は、食物繊維、発酵食品、良質な水と油、添加物が入ったものを避ける、夜の糖質は可能な限り控えることです。
食物繊維は野菜や果物などに多く含まれ、腸内細菌の餌になるプレバイオティクスです。発酵食品はヨーグルトや発酵食品などに含まれ、ビフィズス菌や乳酸菌が代表的なプレバイオティクスです。基本的に食物繊維と発酵食品は別物であるとイメージする人が多いと思いますが、同時に満たせる食材が温酢キャベツです。食べやすい大きさにカットしたキャベツを電子レンジで温めて、塩麹、純リンゴ酢、きび糖で味付けしたレシピです。
まず、キャベツには不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランスよく含まれており、不溶性食物繊維は消化管の中で水分を含んで膨張し、便が柔らかくなることで便秘の改善効果が期待できます。またキャベツのカロリーは100gあたり23kcalと低く、糖質量も100gあたり3.4gと低く、ダイエット食として重宝されています。さらにキャベツの効能は、胃腸ケア、免疫力アップ、美肌効果、高血圧の予防、鎮静作用、疲労回復効果まで万病予防となる食品です。
このキャベツに発酵食品であるお酢を加えるこれによって様々な効果が期待できます。例えばキャベツの有効成分がお酢に溶け出し、体内に吸収されやすくなるため、脂肪の吸収を抑えて内臓脂肪を燃焼し、血中の脂質を下げてくれる働きも期待できます。また便秘改善や血管の浄化を促し、高血圧予防にも効果的です。さらに疲労回復効果が高く、炭水化物の消化スピードを遅らせて糖質の吸収を緩やかにしてくれます。その結果として、インスリンの過剰分泌や活性酸素の発生を防ぐ効果まであります。ちなみに米酢よりも純リンゴ酢を使うことでお酢の酸味が和らぎます。
インディバで腸を刺激する
「腸ケア」で大切なことは「腸を動かす」ことです。働きの弱まった腸に外から刺激を与えることで、腸を活性化させることができます。
腸の後ろには「腸腰筋(ちょうようきん)」という筋肉があり、通常のマッサージでは届かないインナーマッスルです。インディバはこういった深い筋肉にもアプローチすることができ、深部加温によって血管拡張や血流増加、代謝亢進などを促すことができ、腸や内臓機能の働きが良くなり活性化します。またその温熱刺激が腸管の運動を亢進させることで便秘症状を緩和する効果があります。
インディバでリンパ・血液の流れを改善
腸の状態を維持する上で大切なのが老廃物を運ぶリンパの流れです。リンパの流れが滞っていると、腸と肌とのやりとりが妨げられてしまいます。
リンパ液が流れるリンパ管は、血管と同じように全身に巡らされており、このリンパ菅がたくさん集まる中継地点をリンパ節と言います。このリンパ節は、わきの下、首、鎖骨、脚のつけ根、ひざ裏などに存在しています。これらの中で重要なのが、脚のつけ根にある「鼠径リンパ節」です。
現代人は座りっぱなしで、この部分が常に圧迫を受けている状態で、さらに運動不足も重なり、ますます悪循環となっています。リンパの流れはどこか一部分でも詰まると、その詰まりが全身に影響してしまいます。老廃物が滞りなく運ばれて、排出を促すことが肌の美しさに大きく影響します。
また、血流と密接な関係にあるのが冷え性です。体温が下がると毛細血管が縮み、毛細血管に送られる血の量が少なくなり手足が冷えます。血は酸素や栄養素を体の隅々まで運ぶと同時に「熱」も運んでいます。つまり血流が滞ると、熱が体中に届かなくなり冷えの悪循環となってしまいます。「熱」をしっかり運ぶためにも血流の循環が必要不可欠になります。特にお腹の冷えは、便秘、生理痛、内蔵機能の低下などを引き起こします。下腹部には腸や子宮・卵巣・膀胱があるので、月経前症候群(PMS)などの生理前の症状には下腹部を温めることが大切です。
インディバでセルライトを燃やす
セルライトとは、皮下脂肪に体内の老廃物や余分な水分によって固まったものですが、その原因には血行不良やリンパの流れが悪いことが挙げられます。加齢や生活習慣の乱れなどで脂肪に老廃物が溜まりやすくなります。
インディバの高周波によって、深部から温めることで、血行が良くなり、脂肪細胞が消費されやすい状態になります。またリンパも老廃物の排出を促しやすい状態になります。この状態で深部に働きかけるリンパマッサージを行うことで、体内に溜まった老廃物や水分を体外に排出することができます。
インディバで自律神経のバランスを整える
腸で吸収された栄養を全身に運ぶ血液循環も美肌と健康には大切です。この血の巡りをコントロールしているのが自律神経です。自律神経には、日中の活動を支える「交感神経」と、夜に心身をリラックスさせる「副交感神経」があります。
この両者のバランスがとれていることが大切ですが、現代人はどうしても交感神経優位のままになり、夜眠れなくなったり、首肩こり、頭痛など様々な症状を引き起こしてしまいます。また自律神経と腸内環境はお互い影響し合っており、自律神経のバランスが乱れると、腸内環境も乱れ、腸内環境が乱れると自律神経のバランスも乱れます。
例えば、緊張やストレスなどで交感神経が高まり、自律神経のバランスが乱れると、腸の蠕動運動が停滞するため、便秘などの腸の不調が起こります。一方で腸内環境が良くなると副交感神経の働きが良くなり、自律神経も整っていきます。
インディバの深部加温によって、交感神経と副交感神経のバランスが整い、辛い症状を根本から改善していくことができます。特に首肩周りを温めることで副交感神経の働きを高めることができます。首には交感神経と副交感神経の要所があり、脳から腸まで届いている大切な神経の通り道と言われているからです。
さらに鍼灸を組み合わせることによって、お客様一人ひとりの症状の根本原因(経絡の乱れ)から、その原因となる要素にアプローチします。お身体のバランスの乱れによって様々な症状を引き起こす状態から、総合的なアプローチ(ホリスティック美容鍼灸)から、本来の生命力を高めることで、心と身体を美しい状態に戻すことを治療の目的としています。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。