お腹周りの脂肪はなかなか落とすことができません。その理由は、お腹周りの脂肪は燃えにくく、脂肪を燃やすスイッチであるレセプターが少なくスイッチオンにするのが難しいからです。脂肪が燃えて脂肪酸になり血液中に出て、それをエネルギーに使うサイクルをオンにするため、脂肪を溶かすための方法について紹介します。
内臓脂肪が溜まりやすい人の特徴
内臓脂肪は生活習慣病の原因になることが知られており、内臓脂肪がつく原因は様々ありますが、遺伝的な要素と後天的な特徴が挙げられます。
倹約遺伝子が内臓脂肪を溜め込む
日本人のほとんどが内臓脂肪を溜め込みやすい「倹約遺伝子」を持っています。人類は少ない食事でも効率的にエネルギーを蓄えることができるように進化してきました。その進化の過程で獲得したのが「倹約遺伝子」です。しかし現代のような飽食の時代には肥満になりやすいというデメリットになってしまいます。その結果脂肪燃焼がうまくいかなくなったり、食後の基礎代謝が低下したりします。また高脂肪食を食べても熱産生が十分に行うことができない遺伝子も見つかっています。何れにせよ私たち日本人は内臓脂肪が溜まりやすい体質と言えます。
白色脂肪細胞が激増している
既に太りやすい傾向がある人は、さらに太りやすくなる細胞があります。脂肪細胞には、脂肪を燃やして熱を生み出す「褐色脂肪細胞」と、食事から摂った余分なエネルギーを貯めておく「白色脂肪細胞」があります。この「白色脂肪細胞」が多ければ多いほど、内臓脂肪を溜め込む余地が増え、太りやすくなります。さらにこの細胞が肥大化すると分裂してさらに数が増えることが分かっています。このように脂肪の倉庫がいっぱいになると、さらに倉庫をつくって脂肪を溜め込むようになります。また一度増えた白色脂肪細胞はほとんど死滅しないことも分かっています。
内臓脂肪のポーションサイズ
ポーションサイズとは、一回の食べる量のことで肥満になる人は、このポーションザイズが標準体型の人に比べて大きいという研究結果があります。実は多くの人が無意識にポーションサイズを大きくしています。内臓脂肪が溜まる人は、空腹か満腹かに関わらず、提供された食品の大きさに合わせて食べる量を調節する傾向があります。つまりお腹が空いているから大盛りを食べるのではなく、大盛りを提供されるとお腹が空いてなくても食べてしまうのです。
内臓脂肪を減らすには、このポーションサイズを意識的に小さくすることが有効で、例えば食器を一回り小さくする、外食であれば小盛やもったいなくても残すことも大切です。
寝不足で空腹ホルモンUP
つい食べ過ぎる方は食欲でなく睡眠に問題がある可能性があります。肥満と睡眠時間は密接に関係しており、睡眠時間が短い人は肥満のリスクが高いことが数々の研究で明らかになっています。
私たちの食欲はレクチンとグレリンという2つのホルモンでコントロールされています。レクチンは脂肪細胞が分泌される食欲抑制ホルモンで、グレリンは空腹の時に分泌される食欲増進ホルモンです。睡眠が十分取れていると、これらのホルモンがバランスよく分泌されます。しかし睡眠が短くなると自律神経が乱れ、レクチンが減少し、グレリンが増加して食べる量がどんどん増えていきます。さらに寝不足は基礎代謝や身体活動などのエネルギー消費を低下させてしまいます。
腸内細菌が肥満の原因
内臓脂肪は腸内環境にも大きく影響を受けています。研究では、太っている人の腸内には脂肪を溜めやすい細菌が多く見られ、痩せている人の腸内には脂肪や糖を好まない細菌が沢山いることが分かっています。このように肥満になりやすい細菌を減らすためには、善玉菌を増やして腸内フローラを改善することが大切です。そこで活用したいのが肥満を抑制するビフィズス菌です。
特に注目されているのがビフィズス菌B-3です。このビフィズス菌は腸内フローラと肥満の関係から生まれた菌で内臓脂肪を効果的に減らす作用が確認されています。
太りやすい人の特徴
効率的に痩せるためには、まず太りやすさの特徴に気づくことが大切です。
普段使っているお皿が大きい
太りやすい人の特徴は、普段使っているお皿が大きいということが挙げられます。もし太りやすい理由がお皿の大きさであれば、痩せるためにこんなに簡単なことはありません。私たちは食べ物を味や匂いだけで感じているわけではありません。色や盛り付け方といった視覚的な情報もまた、私たちの満腹感に大きく影響しています。当然、食器の形や色は食事において大切な要素の一つです。
実は、料理を盛る器のサイズが私たちが食べる量に直接影響しています。食器を普段より小さなものに変えるだけで、食べる量が普段より10%も少なくなる研究結果があります。逆に普段食べている器を大きいものに変えただけで同じ食材であっても31%も多く食べるようになっています。
正しい食べ方に拘り過ぎ
科学的に正しい食べ方には正解がありません。もちろんアルコールやポテトチップスなど科学的にほぼ100%を体に悪い食品は存在します。一方で白米と玄米のどちらを食べるべきか、タンパク質と脂質の割合をどのぐらいにした方が良いのかといった答えが曖昧な問題もたくさん存在しています。
そのような曖昧な正しさに拘り過ぎるあまり、それがストレスになって逆に太る原因になってしまうこともあります。常にあれを食べなきゃこれを食べなきゃと何をどれだけ食べるかに気を配りながら、漠然とした不安を募らせている状態は、食事制限をしている人によく見られ典型的な不健全状態です。このように自分自身を抑圧している状態ではストレスによるデメリットが食事制限から得られるメリットを上回ります。
世に出回っている食に関する健康本には2種類あります。一つは栄養学や医学の観点にフォーカスしたもの。そしてもう一つは私たちのメンタルにフォーカスしたものです。現代社会では科学的なエビデンスというような言葉がもてはやされ、客観的な数値を示すことができる前者のタイプの本ばかりが一人歩き しがちです。ですが私たちは、栄養素だけで生きているわけではありません。メンタルもまた健康を維持する上で決して無視してはならない要素の一つです。
健康的に痩せるには、栄養学的な知識だけでは不十分です。食事に向き合うメンタルから食器の色、形に至るまであなた自身の食習慣を総合的に見直す必要があります。
食べ物のことばかり考える
朝から晩まで食べ物のことばかり考える食べ物中毒ではないでしょうか。食べ物中毒になってしまう原因はストレスです。仕事や人間関係などを現代社会にはストレスで溢れ返っています。そんなストレスから一時的に逃れるために暴飲暴食をしてしまうと、体はその快楽に溺れ、後戻りできなくなってしまいます。
ストレスからくる過食によって体重が急激に増加し、階段を上るだけで息切れするようになったとしても、体はすぐにそのような太りすぎの体重に慣れてしまいます。しかし体がすぐに増加した体重に慣れてしまうのとは逆に、私たちの心はすぐには体重増加に順応できません。太ってしまったことに落ち込み、さらにストレスを溜め込んでしまいます。
ストレスによって食べたくなるものは、甘いパンやデザートなどお腹の贅肉が喜んでしまう食べ物をばっかりです。こうして食べ物中毒はエスカレートしますが、助かる方法はただ一つ、感情で食べるのを止めることです。
食べ物中毒の人にとって食べ物はある種の麻薬のようなものです。嫌なことがあるとそのことを解決するのではなく、すぐに食べ物に手を伸ばし、現実から逃げてしまいます。そのような負の連鎖を断ち切るためには、嫌なことがあったらその都度それを意識化することが大事です。
中には人間関係など自分がどんなに頑張っても解決できない問題もたくさんあると思いますが、そのような場合にも今自分はイライラしているな、というような言葉にして意識するだけで十分に効果があります。もし何か嫌なことがあった時は、今私は嫌な気持ちになっていると心の中でつぶやいてみてください。その一言を心の中で念じるだけで、あなたは冷静になってストレスから距離を置いてみることができるようになります。
毎日体重を測っている
世の中には標準体重だとか1ヶ月で何キロ痩せたとか体重の増減を煽るような広告が溢れています。もしかして毎日、体重計に乗っては日々の数字の増減に一喜一憂してはいないでしょうか。しかし体重はあなたの健康を左右する客観的 な指標としては全く役に立たないものです。なぜなら健康的な筋肉と不健康な内臓脂肪とでは、前者の方が圧倒的に重たいからです。
例えばあなたが筋トレを始めたとしましょう。筋肉は人体の組織の中でも非常に密度が高く、筋肉が付けばおのずと体重も増加します。これは良い体重増加です。逆にあなたが自分を律する生活に疲れて運動をやめてしまい、脂肪が蓄積したら、その脂肪は筋肉の逆で非常に密度が低いため、元々あった筋肉が脂肪に置き換わる過程で体重は一時的に減少します。これは悪い体重減少という ことができるでしょう。
この例からも分かる通り、体重に一喜一憂するというのは健康維持において全く無意味です。ただ無意味であるだけならまだしも、体重が増えていないことに安心し、もう少し食べる量を増やしても良いと安易に考え、つい食べ過ぎてしまうこともあります。
一方で体重計に乗らない人は体重という無意味な数字ではなく、自分自身の体の声に耳を傾ける習慣がついています。私たちの体は日々刻々と変化しているので、毎日決まって同じ量を食べれば良いというわけではありません。体調によって食事の内容や量を柔軟に変えていく必要があります。
親の肥満の影響
遺伝学的には親の肥満が子の体に与える影響は僅かであると言われています。同じ親から生まれた兄弟でも、それぞれ別の家庭で育てられると、環境次第で痩せた体型にも肥満体にもなることが知られています。しかし親が太っていると、子供も肥満になりやすい理由があります。
それは、太っている親の家庭の食事は太りやすい食事であることが挙げられます。食習慣や味付けの好みは、概ね幼少期の家庭環境でほぼ決まると言われています。このため子供の頃から、太りやすい食事ばかり食べさせられていると、必然的に太りやすい食事習慣が体に身についてしまっています。
まずはストレス対策が基本
私たちの体は、ストレスを受けるとコルチゾールというストレスホルモンが体内で分泌されます。このストレスホルモンは中性脂肪を分解する働きがあるのですが、その分内臓脂肪が増加させることが分かっています。またコルチゾールが増えるとインシュリンの分泌が減り、空腹感を強く感じるようになります。ストレスを感じていると無駄に食べてしまう、無性に食べたくなる経験をされている方も多いと思いますが、それはインシュリンが空腹を抑える作用が弱くなるからです。ストレスを受けると太りやすくなる、つまり脂肪がつきやすくなるのです。
また、睡眠不足は脳にストレスを与えてしまい、結果として食欲を増加させてしまいます。睡眠不足や睡眠の質が悪くなることによって脳内物質であるドーパミンが弱くなり、いくら食べても満足感を感じることができなくなり、結果的に太ってしまうのです。
一方で睡眠の質が上がると、体内で脂肪の燃焼を助けてくれる成長ホルモンが分泌されるため、脂肪がエネルギーとして使われやすくなり痩せやすくなります。
運動で脂肪を減らす
ポッコリ膨らんだお腹、特に内臓脂肪は一度ついてしまうとなかなか思うように落ちません。嫌な内臓脂肪をごっそり落とすために最も効率的な方法は有酸素運動です。多くの研究で有酸素運動は食事によるダイエットしなくても内臓脂肪を落とすことに役立つと示されています。
例えば、852人を対象とした15の研究分析で、様々な種類の運動が内臓脂肪をどれだけ減らすかを比較したところ、中強度および高強度の有酸素運動が内臓脂肪を減らすのに最も効果的であることが分かっています。例えばテニス、バスケット、縄跳びなど負荷が高い運動を毎日を行うことが脂肪燃焼には有効です。ただし長期的な有酸素運動は体内のコルチゾールを増加させてしまうため、ダイエットのために短期的に行うようにしましょう。
また、ある特定の筋肉を使う運動ではなく、全身の筋肉を使う運動や筋トレをした方が脂肪は燃えやすくなります。女性が筋トレして、太くなったと感じる方もいますが、それは筋肉がダメージを受けて、水分が集まるからです。さらに女性はテストステロンの分泌が少ないため、無駄に筋肉が付くことは難しく、むしろ痩せる効果の方が高くなります。
しかし、どんな種類であっても運動が内臓脂肪を減らすことは間違いないため、少しずつ運動習慣を取り入れてみて下さい。
食事で脂肪を減らす
基本的にはダイエット効果がある食事であれば脂肪を減らす効果が期待できます。いくら高強度な運動しても消費されるエンルギーは300〜500kal程度のため、入ってくる食事の量を減らさなければ脂肪を減らすことはできません。糖質制限、低炭水化物ダイエットが効果的だと言われています。特に運動に合わせて、食事量を減らしつつ、タンパク質を多めにとると筋肉は落とさず体重を減らすことができ、長期的に見れば体重を維持しやすい体になります。
太りすぎの男女65人に対して行われた8週間の研究では、低炭水化物ダイエットを行った人は、低脂肪ダイエットを行った人よりも内臓脂肪を10%、総脂肪を4.4%多く減らせることが分かっています。他にも様々な研究で低炭水化物ダイエットが内臓脂肪を減らすということが示唆されています。
低炭水化物ダイエットは日本人には難しい側面があるため、白米を玄米に変えるなどGI値を意識した食事するなど、自分の中で取り入れやすい方法を考えましょう。また減らした糖質をタンパク質や豆類・穀類に変えていくことも大切です。
タンパク質は代謝を高め、体重の減少や内臓脂肪の減少を促進することが研究で明らかになっています。実際タンパク質を多く摂取する人は内臓脂肪の量が少ないというデータもあります。また豆類や玄米に含まれている水溶性植物繊維も内臓脂肪を減らす効果があります。水溶性植物繊維にはきくらげ、オートミール、サツマイモなどがあり、腸内の善玉菌のエサになるため積極的に摂りましょう。
ツボで代謝を促進する
足臨泣(あしりんきゅう):足の薬指と小指の付け根
代謝を促進し、内臓脂肪の減少を助けます。
公孫(こうそん):親指の横にある骨の出っ張りから、かかとのほうに指3本分の位置
脾臓の機能を高め体内の湿気を取り除く効果があります。
インディバで脂肪を溶かす
ラジオ波で痩せるのは、脂肪を分解することができるからです。脂肪は生命活動のエネルギー源になる他、体温の保温や内臓や骨を守るクッションの役割があります。そして過剰に増えた脂肪は、アドレナリンなどのホルモンが分泌されると、白色脂肪細胞内(細胞質内)の油滴内にある脂肪が、脂肪分解酵素リパーゼと結びつくことで遊離脂肪酸とグリセロールに分解されます。
しかし、分解されると言っても、この油滴表面(油滴膜)には鍵(リン脂質)があり簡単に取り出せないのです。そこでこの鍵を開けるためにアドレナリンなどのホルモンが必要になります。そして分解された脂肪は、血液に乗り筋肉に運ばれ、筋肉にあるミトコンドリアによってエネルギーとして使われます。
ラジオ波で生体熱を体の内側から体温を上げると、アドレナリンが放出されやすくなり、結果として脂肪が代謝されやすくなります。また体内深部温度が上昇することで筋肉が柔らかくなり、血流が改善し、溜まった老廃物や不要な水分が流れてむくみが取れます。このように脂肪が代謝されやすくなることを、脂肪燃焼という意味で溶けるという表現が使われています。
ただし、油滴から取り出された脂肪が使われなかった場合には、肝臓に運ばれて中性脂肪に再び合成されてしまうので、日常運動などと組み合わせて痩せやすい体をキープすることが大切になります。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。