
私たちには2種類の脂肪があります。大きさや機能の違いにより白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類に分けられます。それぞれ役割があり、白色脂肪細胞は、脂肪をエネルギーとして蓄える「エネルギー貯蔵庫」として働きます。褐色脂肪細胞は白色脂肪細胞を分解して熱にする「脂の燃焼組織」です。因みにベージュ脂肪細胞という白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の中間にあたるものが発見されています。
白色脂肪細胞
白色脂肪細胞は、過剰な脂質や糖分を中性脂肪として蓄える「エネルギー貯蔵庫」としての働きがあります。皮下や内臓周囲など全身のいたるところにあり、脂肪を蓄えすぎると肥大化します。
またある分子(Bmal1)の増加によって細胞内の脂肪蓄積量が増えることが分かっており、特に22時以降に発現が急増するため、夜中の食事は太りやすい原因のひとつと考えられています
褐色脂肪細胞
白色脂肪細胞より小さくて、数も白色脂肪細胞ほど多くなく、肩甲骨、首筋、心臓、腎臓の周囲に存在しています。
特徴は、細胞内にミトコンドリアが多く存在しており、白色脂肪細胞から遊離された脂肪酸を取り込んでミトコンドリア内で熱エネルギーに変換しています。つまり、褐色脂肪細胞は白色脂肪細胞を燃焼させエネルギーを作り出すことで体温を維持しています。それがいわゆる平熱です。また寒い環境下では、交感神経が活発化して体温が下がりすぎないよう熱を生み出します。
これまで褐色脂肪細胞は乳児期にのみ存在し、成長するにつれ無くなると考えられていましたが、近年成人であっても肩甲骨周囲や脊椎周囲に存在していることが明らかになっています。そしてこの褐色脂肪細胞の機能低下や数の減少が、生活習慣病やメタボリックシンドロームの原因になることも分かっています。
脂肪を燃やしミトコンドリアを増やす方法
ミトコンドリアは細胞内で酸素と栄養素を原料にして、細胞が活動するのに必要なATPというエネルギー源を作り出す役割をしています。一方でミトコンドリアが上手く働けないと、新しい細胞がつくれなかったり、細胞を修復することができなくなり、細胞はどんどん老化していきます。つまりミトコンドリアの機能を維持することや増やすことができれば細胞の老化を遅らせることができます。
このミトコンドリアを増やす方法が酸素と一緒に脂肪を燃焼させることです。脂肪を燃焼させる方法には、以下の3つがあります。
- 空腹から3回お腹が鳴ってから食事をする
- 寒さの刺激を与える
- 有酸素運動
- 持久力トレーニング
空腹から3回お腹が鳴ってから食事をする
空腹になると体に蓄えられている脂肪が燃え、ミトコンドリアが増えます。多くの人が決められた時間に食事をしていますが、ちゃんとお腹が空いてから食事をすることが大切です。
1回目のお腹が鳴った時には、若返りホルモンの成長ホルモンが分泌され粘膜や皮膚が蘇ります。2回目のお腹が鳴った時には、若返り遺伝子のサーチュイン遺伝子が活性化して、細胞を若返らせます。3回目のお腹が鳴った時には、脂肪からアディポネクチンという若返りホルモンが出て、血管を若返りさせてくれます。
寒さの刺激を与える
寒さの刺激を感知すると、ミトコンドリアは細胞が死なないようにエネルギーを作り出してくれます。なぜならエネルギーを作り出さなければ生命活動ができなくなるからです。つまり寒さを感じると私たちの体は必死にミトコンドリアを増やそうとします。
例えば寒中稽古、寒中水泳、30秒の冷水シャワー、サウナで水風呂に入るなど何でも良いですので、ミトコンドリアに寒さという刺激を与えて上げましょう。
褐色脂肪細胞を活性化させる「寒冷療法」
ダイエットとして全身が温まった後に、肩甲骨とその間に存在する「褐色脂肪細胞」を刺激するという方法があります。脂肪には、脂肪を蓄積する白色脂肪細胞と脂肪を燃焼させる働きがある褐色脂肪細胞があります。
褐色脂肪細胞は、白色脂肪細胞に比べると非常に数が少なく、成人でも40gほどしかありません。そしてこの褐色脂肪細胞が集中しているのが肩甲骨の周囲と、その他には首筋、脇の下などに集中しています。褐色脂肪細胞には、白色脂肪細胞の1,000倍ものミトコンドリアが存在していると言われており、褐色脂肪細胞を刺激することで、ミトコンドリアによる脂肪燃焼の効果を得ることできます。
そして、この褐色脂肪細胞は、寒さによっても活性化することが分かっています。簡単な方法が、お風呂で最後のシャワーの30秒を冷水に切り替えることや、15℃程度の水風呂に30秒入ることです。その他にも、肩甲骨の間に熱めシャワーを当て温まってきたところで、30秒ほど冷水に切り替えてシャワーをあてる、これを2から3回繰り返すことで、脂肪の燃焼効率を高めることができます。
有酸素運動
運動の中でも有酸素運動によってミトコンドリアが増えることが分かっています。運動をしない生活になれば、ミトコンドリアはエネルギーを生み出す必要がなくなるため、ミトコンドリアの数を減らします。体を動かさなければ老化が加速するというのは、身体機能が衰えるだけでなくミトコンドリアの数も大きく関係しています。逆に有酸素運動によってエネルギーが必要になれば、ミトコンドリアが必要と体が判断して数を増やしてくれます。特に有酸素運動を続けることで、僅か1ヶ月で体内のミトコンドリア量が1.5倍になることが分かっています。有酸素運動は始めキツく感じますが、やがてミトコンドリア量が増えてエネルギーを沢山作り出せるようになって運動が楽になっていきます。
持久力トレーニンング
マグロは赤身魚、ヒラメは白身魚ですが、私たちの体にも赤い筋肉と白い筋肉があります。赤い筋肉は持続力の強い筋肉であり、白い筋肉は瞬発力の強い筋肉です。ミトコンドリアが特に多い部分が赤い筋肉です。つまり赤い筋肉を鍛えてあげることで、ミトコンドリアの量を効率的に増やすことができます。冒頭のマグロは回遊魚のため、常に泳ぎ続けるために赤い筋肉が発達しており、海の底でじっとして、瞬発的に動くヒラメは白い筋肉が発達しています。つまり持久力をつけるマグロトレーニングが有効になります。
実は持久力をつける運動は、マラソンのような息が切れるほどの運動は必要なく、ゆっくりとした運動でも赤い筋肉が発達して、ミトコンドリアが増えるように私たちの体はできています。具体的には最大心拍数が60%(30歳114、40歳108、50歳102、60歳96)を維持する運動が確実にミトコンドリアを増やしてくれます。またミトコンドリアの変化は短時間で起きることが分かっており、効果が実感できるでしょう。
ミトコンドリアを増やす「タウリン」
私たちの細胞には、大量のエネルギーを作り出す工場であるミトコンドリアが存在します。この工場を稼働させるために必要な栄養素が鉄で、ミトコンドリア内でエネルギーを産生する仕組みをクエン酸回路と言います。しかしクエン酸回路が一度に産生できるエネルギーの量が限られています。
そのため工場(ミトコンドリア)そのものの数を増やすことが大切になりますが、それを可能にする栄養素が「タウリン」です。タウリンを積極的に摂取して、ミトコンドリアを増やすことで、クエン酸回路の稼働率もアップし、エネルギー産生量は増大します。このタウリンはイカやタコの刺身、スルメ、ブロッコリースプラウトに多く含まれています。
こうして体中に栄養素が行き渡ることで、最初に変化が出てくるのがお肌です。栄養学においては、肌は栄養のバロメーターと言われています。栄養が不足すると、心臓や肺などの生命の維持に不可欠な臓器に栄養を優先的に行き渡るようにするため、肌の健康は非常に優先順位が低いとも言えます。
逆に肌の健康が良ければ全身の栄養状態が良いことを意味するということになります。このように肌は体の栄養が足りているかどうかを映し出す鏡でもあるため、ヘム鉄とビタミンC、そしてタウリンをしっかり摂ることで肌は確実に美しくなります。
食べて脂肪を燃やす
「フコキサンチン」による脂肪燃焼効果
海藻には私たちの体の余分な脂肪を減らして健康的に痩せる効果のある栄養素がたっぷりと含まれています。そもそも海藻というのは海の野菜であり、非常に低カロリーでダイエットにはうってつけの食べ物です。最近では海藻に含まれているフコキサンチンという栄要素がお腹についた余分な内臓脂肪を落としてくれるということが分かってきました。
フコキサンチンは海藻が持つ天然色素の1つで、脂肪を燃焼して熱に変える働きがあります。実は私たちの体には大きく分けて2種類の脂肪が存在し、1つは白色脂肪、もう1つは褐色脂肪と呼ばれるものです。白色脂肪はいわゆる悪い脂肪で私たちのお腹回りについて体を太らせてしまう脂肪です。一方で褐色脂肪は良い脂肪で、自分自身や周りの白色脂肪の燃焼を促してくれる脂肪です。
フコキサンチンには、褐色脂肪を増やすことで脂肪燃焼を促す効果があります。実際、フコキサンチンをマウスに与えた実験では、褐色脂肪細胞内の脂質を燃焼するタンパク質が増加し、白色脂肪が減少することが確認されています。さらに別の実験では、高濃度のフコキサンチン単体ではなくとも、ワカメ粉末を与えるだけでラットの脂肪組織が白色脂肪から褐色脂肪に置き換わるということが確認されています。この実験では餌に添加したワカメ粉末の濃度が高いほどに脂肪が実際に褐色に変化していることが分かります。
このように褐色脂肪の生成を促して脂肪燃焼を促すのみならず、フコキサンチンにはそもそもの脂肪蓄積を防いでくれる効果もあると言われています。糖尿病マウスにフコキサンチンを混ぜた餌を4週間与えた実験では、血糖値の上昇が最大50%も抑制されたことが分かりました。
食後に血糖値が上昇するとその反動で大量のインスリンが分泌され、糖が中性脂肪として蓄積されていきます。フコキサンチンは食後、血糖を抑制することで脂肪の蓄積を未然に防いでくれる効果があると言えます。このフコキサンチンもフコイダン同様に褐藻類にのみ含まれる栄養素です。
体温を上げて代謝を促す「生姜」
生姜は体温を上げて代謝を促す効果があるというのを聞いたことありませんか。食品の中には、自律神経に作用して体温を上げて脂肪の燃焼を促すものがあります。その代表が唐辛子や生姜です。
唐辛子や生姜の辛み成分のカプサイシンやジンゲロールが胃腸にある『温熱受容体』に作用すると、脳を経て脂肪細胞の交感神経活動が高まります。その結果、白色脂肪では脂肪の分解が、褐色脂肪では脂肪の燃焼が促進されます。また、白色脂肪細胞を、褐色脂肪細胞のように脂肪を燃やす「ベージュ細胞」に変化させる働きがあることもわかっています。

https://doors.nikkei.com/atcl/wol/column/15/012200052/112500123/
生姜の健康効果
生姜には私たちに素晴らしい効果をもたらしてくれる有効成分が400種類以上含まれています。その健康効果をまとめると以下が挙げられます。
- 体を温めてくれる
- 免疫力を高めてくれる
- 血栓ができるのを抑えてくれる
- 消化を促進する
- 血中コレステロールを下げてくれる
- 脳の血流をよくすることでうつを改善する
- 解毒促進、体内浄化効果
この中で特に①の体を温めてくれる効果が私たちの体には大切です。なぜならあらゆる病気は体温の低下によって引き起こされるからです。
体温が1℃上がれば最大5から6倍免疫力がアップし、1℃下がると免疫力が30%ダウンすると言われています。また体温が1℃下がると代謝が12%下がります。
この低体温に陥っている原因が、筋肉労働や運動不足、体を冷やす食べ物の摂りすぎ、水分の摂りすぎです。こういった原因を取り除くとともに、体を温めることを意識しましょう。
体温を上げることによるダイエット効果
褐色脂肪細胞は簡単にいうと「体熱発生装置」で、体の中でエネルギーを消費して体温をあげる役割があります。痩せ型の人は褐色脂肪細胞が活性化しているため太らないと言われており、褐色脂肪細胞が多い人は、エネルギー代謝が活発で太りにくい体になります。
ただし、褐色脂肪細胞は筋肉の強さや骨格の太さと同じように個人差があります。褐色脂肪細胞は首の後ろ、肩甲骨の間、脇の下などに集中していますので、この部分を集中的にケアすることで褐色脂肪細胞を活性化して、脂肪燃焼しやすいお体にすることが可能です。
美容高周波温熱器は、ジュール熱による「深部加温」が可能です。怠けていた褐色脂肪細胞の活動を活発化させて、太りにくい体にしていくことができます。体の深部から体温を上げることで基礎代謝が良くなり、褐色脂肪細胞が活性化するため、ダイエットで効果が期待できます。
さらには、運動をすることでその褐色脂肪細胞は増えるため、体温を上げて、運動して褐色脂肪細胞を増やすことができれば、より効果的なダイエットが可能になるでしょう。
東洋医学で診る「代謝」とセルフケア
東洋医学では、代謝の巡りを、体を温める力(「陽気」)の不足や、巡りの滞りという体質面から捉えることがあります。特に「脾(ひ)」は消化・代謝を司るとされ、脾の働きが弱ると代謝が落ちやすいと考えられています。
セルフケアに使えるツボ
代謝を意識したセルフケアとして、東洋医学の伝承の中で用いられてきたとされるツボを2つご紹介します。足三里(あしさんり・膝のお皿の下指4本分外側)と大椎(だいつい・首の付け根、うなじの下)は、東洋医学で古くから親しまれてきたツボです。

温める心地よさや体感には個人差があり、これらのツボによる特定の症状改善効果を保証するものではありません。指の腹で心地よい強さで押す、または手のひらで温めるように当てるのを目安にしてください。強い痛みがある場合はすぐに中止してください。妊娠中の方や持病のある方は、事前に医師や施術者にご相談の上お試しください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 褐色脂肪細胞はどうすれば増やせますか?
A1. 寒冷刺激、有酸素運動、よく噛んで食べることなどが一般的に知られています。生活習慣を見直すことで、代謝を意識したケアにつながるとされています。効果の感じ方には個人差があります。
Q2. ミトコンドリアを増やす食事や生活習慣はありますか?
A2. タウリンを含む食品(魚介類等)や適度な運動、規則正しい生活習慣が一般的に知られています。特定の食品だけに頼らず、生活習慣全体を見直すことが大切とされています。
Q3. インディバは脂肪燃焼にどのくらい効果がありますか?
A3. インディバは高周波の熱で体を温め、巡りや代謝をサポートするとされる施術です。脂肪細胞そのものを分解・消滅させるものではなく、生活習慣の見直しと組み合わせることで実感につながりやすいとされています。効果の感じ方には個人差があります。
Q4. 生姜は健康にどのような効果がありますか?
A4. 体を温める食材として古くから親しまれ、消化を助けるとされています。特定の疾患の予防・治療を目的としたものではなく、健康上の不安がある場合は医療機関にご相談ください。
Q5. インディバと美容鍼を組み合わせると代謝にどんな変化が期待できますか?
A5. ハリニーでは、東洋医学のツボ・経絡へのアプローチを取り入れた美容鍼灸と高周波温熱機器インディバを組み合わせた「統合美容鍼灸コース」をご用意しています。全身の巡りやこわばりへのケアを目的としたコースで、特定の疾患の治療を目的とした施術ではなく、効果には個人差があります。詳しくはカウンセリングでご相談ください。
出典・参考情報
本記事で紹介した脂肪細胞・ミトコンドリアに関する情報は、一般的に知られている健康情報や、細胞実験・動物実験レベルの研究をもとに構成しています。体調に不安がある場合や症状が続く場合は、自己判断せず医療機関へのご相談をおすすめします。効果や体感には個人差があります。
【本コラムの監修】

国家資格登録番号
はり師 第173245号
きゅう師 第177978号
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入りセラピストとして活動。豊富な美容知識と実務経験を活かし、その後10年間は大手企業内講師として美容部員・エステティシャンの育成やサロン店舗運営のサポートに従事。表面的なケアだけでは限界があると実感したことから鍼灸の道を志し、2016年にはり師・きゅう師の国家資格を取得。現在は美容業界歴20年以上のキャリアと、セラピスト・エステティシャン・美容カウンセラー・鍼灸師としての知見を融合し、肌・こころ・体を整えるトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

















