薄毛や抜け毛と聞くと中年以上の男性と言うイメージを持っている人も多いことでしょう。しかし女性の薄毛が増えていることが分かっています。40代から 50代の女性1133名を対象にした調査によると、約7割の女性が髪の毛について悩みがあると回答しています。さらに全体の27%もの女性、40代から50代の女性の4人に1人以上の割合で、薄毛に悩んでいることが明らかになっています。
一方で、薄毛対策をしている女性は全体の1割程度しかいないという調査結果も報告されています。男性は世間的にも薄毛になりやすいというイメージがあることから、多くの男性が比較的若いうちから薄毛のケアを始めます。一方で多くの女性は、自分が薄毛に悩まされるはずなんてないと思い、薄毛対策を怠ってしまっています。
男性と女性の薄毛の違い
男性の脱毛症をAGAというのに対し、昨今増え続けている女性の脱毛症をファーガと言います。男性のAGAと女性のFAGAは、その原因も毛の抜け方も全く異なります。男性のAGAと女性のFAGAの大きな違いの1つとして、薄毛の進行の仕方、つまり禿げ方の違いがあります。
男性のAGAでは、一般的に頭頂部やおでこから部分的に薄毛になりますが、それに対し女性のFAGAでは、髪全体が均一に薄くなっていくのが特徴的になっています。そのためFAGAは、男性のAGAよりも気づきにくく、気づいた時にはもう手遅れになってしまっているケースがよくあります。
このようなFAGAが特有の薄毛の成り立ちを、びまん性脱毛と言い、びまん性脱毛を早めに見分けるための危険サインは、髪の分け目にあります。多くの方は髪の毛を頭のどこかで左右に分けており、フサフサの方であっても分け目の部分だけは髪が薄く、頭皮が露出していますが、FAGAの場合は髪全体が薄くなることで、この分け目が広がってクリスマスツリーのように見えることで有名です。しばしば頭のてっぺんから禿げると言われている男性のつむじハゲは、自分自身で気づくのは難しいですが、FAGAのクリスマスツリーのような分け目であれば鏡で気づくことができます。
また女性のFAGAが特有の特徴として、このような髪全体が薄毛になってしまうという特徴の他に、FAGAが特有の原因も存在しています。FAGAの特有の原因には、過剰なダイエット薬の副作用、間違ったヘアケアといったものが 報告されています。男性のAGAは、主に男性ホルモンのバランスが原因であると言われています。実は女性のファーガもまた男性ホルモンが原因であることが多いですが、ファーガの原因はそれだけではありません。
女性の体内にも男性ホルモンが存在しており、特に閉経後の女性ではエストロゲンという女性ホルモンの分泌が大きく減ることで男性ホルモンが優位になり、FAGAを発症しやすくなると考えられています。また過剰なダイエットや避妊薬なども女性ホルモンのバランスが、不自然になることで男性ホルモンが優位になり、関節的にFAGAの原因になると言われています。
そして自分自身で避けられるFAGAの原因の1つとして、間違ったヘアケアに十分気をつけて欲しいです。女性は男性に比べ、若い頃からヘアカラーやパーマー、1日数回のシャンプーをすることが多いと思います。そのような過剰なヘアケアによって頭皮がダメージを受けてしまい、蓄積したダメージによって40代頃になって薄毛が始まってしまうケースが後を立ちません。
AGAとFAGAの治療法の違い
すでに薄毛が進んでしまっている場合は、どれほど習慣に気をつけても再び髪が生えてくる可能性は低くなってしまいます。そのようなケースでは、副作用に注意しながら医学的な治療法に助けを求めるというのも一つの方法のです。
実は女性のFAGAにも男性のAGA治療は効果があるとされています。男性のAGA治療薬としては、男性ホルモンの産生を抑制し、抜け毛を防止するフィナステリドや血管を拡張することで育毛を促進するミノキシジルなどが有名です。だたしホルモンバランスが大きく崩れることで様々な副作用があるため、フィナステリドの女性への投与は一般的に禁忌とされています。一方でミノキシジルは禁忌ではないものの内服によって髪の毛だけではなく、全身の毛が増えてしまうので、女性にとってはあまり嬉しくない副作用と言えます。
そこでFAGAの治療としては、パントガールという特別な治療薬が進められることが一般的に多いです。パントガールは先ほど述べたFAGA特有のびまん性脱毛や出産後の産後脱毛といった女性の脱毛に効果があるとされていて、抜け毛を予防してくくれる効果が実証されています。そしてパントガールは化学物質ではなく、タンパク質を主成分としていることから副作用が少ないため、比較的安心して使えるものです。とはいえ医薬品に違いはないため、副作用が全くゼロなわけではありません。
髪が生えてくる習慣
16時間断食
髪の毛の健康のためにも生活の中に取り入れていただきたい習慣はプチ断食です。プチ断食と言っても10時間断食、12時間断食など時間は様々ありますが、特に健康効果があるのが16時間断食です。その 理由は大きく2つあります。
まず1つ目の理由が、16時間断食を行うことによって腸などの内臓をしっかり休めることができるからです。例えば1日3食のご飯を食べていたり、間食でおやつを食べたりしていると胃腸は常に消化で働くことになります。ずっと動いていると疲れてしまうのは筋肉や内臓も同じです。疲れた内臓にさらに食べ物を詰め込んでしまうと胃腸に負担がかかり、どんどん内臓の機能が落ちていってしまいます。その結果、栄養素の吸収や毒素の排泄がうまくいかずに、血液は栄養不足の状態になってしまいます。その結果、質の悪い血液が頭皮の毛細血管で詰まり抜け毛や薄毛の原因となってしまいます。
16時間断食をすることで胃腸の体力回復期間を作ることで、内臓が本来持っていた消化機能が回復し、血液の質や血行も改善し、栄養豊富な血液が頭皮までしっかりと行き届いて健康的な髪が作られるようになります。
そして16時間断食が効果的な理由の2つ目は、16時間断食をすることでオートファジーと呼ばれる細胞の若返り効果が発揮されるからです。私たちの細胞は断食によってエネルギー不足に陥ると不要なタンパク質の分解と再生を繰り返して新しい細胞に生まれ変わります。
オートファジーは、16時間以下の断食では発動しないため、可能な限り16時間以上を目安に断食を行う必要があります。また寝ている間はしっかりと休めて機能を回復させたいため、寝る前の少なくとも3時間以上前から断食を行いましょう。
運動
運動によって血行が改善すれば、頭皮の毛細血管まで血液が巡り、髪の毛に栄養や酸素が行き届くようになります。髪の毛の健康のためにお勧めの運動が、腰回りの筋肉を意識したウォーキングです。その理由は腰回りの筋肉を動かすことで腎臓の機能を活性化させるからです。
腎臓は、血中の毒素を尿として排泄する役割を担っているため、毎日大量の血液が送り込まれています。腎臓の機能が衰えてしまうと送り込まれた血液を送り返す力が弱まっていき、全身の血流が悪くなってしまいます。そのため血行を改善するには腎臓の機能を改善することが大切になってきます。
骨盤と股関節周りをしっかりと動かすウォーキングは、東洋医学では腎臓と腰回りの筋肉が密接につがっていると考えられており、腰回りの筋肉を動かす運動をすることによって腎臓の機能が活性化してくれます。
具体的な歩き方としては、膝をまっすぐに伸ばして大股で歩きましょう。この時右足を前に出したら右の腰も前に出ていることを意識してください。逆に左足を前に出したら右の腰も前に出ていればOKです。腰と足を同時に前に出すことで腰回りの筋肉がほぐれて全身の血行が改善されます。
またスクワットや踏み台昇降などの下半身を動かす筋トレも血流アップに効果的です。下半身には全身の筋肉の6割から7割が集まっており、下半身を重点的に動かすことで血液が頭皮まで巡るようになります。また顔回りの運動も取り入れると効果的です。ちなみに顔の運動だけでなく頭皮、こめかみ、おでこなど顔回りの筋肉やツボを軽くマッサージしてあげるのも血流改善に非常に効果的です。指の腹や手のひらの柔らかい部分を軽く押し当てながら頭皮全体を動かすように優しくマッサージしてあげましょう。
睡眠
睡眠時間が短くなったり、睡眠の質が低下すると自立神経が乱れ、体にストレスがかかります。その結果、頭皮の毛細血管が収縮して薄毛や抜け毛が進行してしまいます。またそのストレスによって体内に活性酸素が大量に発生することで血管がダメージを受けます。その結果、動脈効果の原因となり、血液の巡りが悪くなって頭皮に栄養が行き届かなくなってしまいます。
また睡眠不足は成長ホルモンが分泌されなくなるというデメリットもあります。成長ホルモンは、頭皮や全身のエネルギーの代謝を促して、細胞が受けたダメージの修復や成長を促してくれます。成長ホルモンは睡眠直後の深い眠りの時に大量に分泌されるという性質があるため、頭皮の健康を守るためにも質の高い睡眠を確保することが大事です。
ただし注意点があり、成長ホルモンが分泌される時間帯は、個人の体質や睡眠習慣によっても変わってきます。重要なのは特定の時間に集中して成長ホルモンが分泌されることは事実であるため、何より大切なのは毎日同じ時間に寝るという習慣です。またストレスやイライラで深く眠れない場合も成長ホルモンが正常に分泌されません。成長ホルモンの分泌量は、10代後半がピークで、加齢と共に分泌量はどんどん少なくなってしまいます。成長ホルモンの分泌量は、40代でピークの1/4、50代から60 代になればピークの1/6と少なくなることから、高齢になるにつれて抜け毛や薄毛が目立つようになってしまいます。
抜け毛や薄毛を予防し、髪の毛がふさふさでいるためには、成長ホルモンをしっかりと分泌させ続けることが必要不可欠です。そのためには夜の12時前には寝ていただき、しっかりと質の高い睡眠を取ることが大切です。
ブラッシングで薄毛対策
女性の薄毛対策は、シャンプーをする前に軽くブラッシングをするという方法です。冒頭で女性のFAGAに特有の原因として間違ったヘアケアというものを挙げました。逆に言うと正しいヘアケアをするだけでもFAGAは十分予防できます。そこで是非やって欲しいのが毎日シャンプーする前に必ずブラッシングをすることです。
実は、シャンプーをする前のブラッシングは、シャンプー後のブラッシングよりもはるかに大切です。なぜならシャンプー前のブラッシングには、髪や頭皮の汚れを浮かせ、シャンプーの泡立ちをアップさせ、洗髪時の摩擦を軽減する、頭皮の血行を良くするなど様々な効能があります。
シャンプー前にブラッシングをして軽くお湯で流すだけで皮脂のみならず埃や微小な粒子などが洗い流され、その後のシャンプーの効果を最大化してくれます。またブラッシングには、日中の紫外線や乾燥によるダメージで開いてしまったキューティクルの方向を正しい方向に整えてくれる効果があります。
キューティクルは、私たちの髪の毛を覆っている一番外側にある組織のことで、キューティクルは非常に繊細で日中の活動によってダメージを受けて開いてしまうということが知られています。このようにキューティクルが開いてしまった状態でシャンプーをすると摩擦抵抗が生まれて、余計に髪の毛を傷つけてしまうことになります。またシャンプーをする手が引っかかって、抜け毛の原因にもなってしまいます。そのため、まずはブラシによって優しく髪を撫でてキューティクルの方向を一方向に慣らすことが重要です。またブラッシングそれ自体が頭皮マッサージになるというメリットもあります。
女性用スカルプシャンプー
洗髪前のブラッシングによって髪の毛の状態を整えることができたら、使用するシャンプーには女性用のスカルプシャンプーを選びましょう。最近では女性用のスカルプシャンプーも売られ始めています。
スカルプは頭皮という意味になりますが、スカルプシャンプーは頭皮の健康を保つために意図的に開発されたシャンプーのことを指しています。一般的なシャンプーが髪の毛を主体に開発されているのに対し、スカルプシャンプーは頭皮をターゲットにしているという点が特徴的と言えます。薄毛対策のために髪の毛だけではなく、頭皮もしっかりとケアするのは重要なことです。
髪の毛が生えてくるのは他でもなく頭皮であり、すでにある髪の毛だけをどれだけケアしたところで薄毛は改善しません。もちろん髪の毛の健康は頭皮の健康に直結するため、髪の毛自体のケアも重要ですが、そのために頭皮のケアを怠ってしまったら本末転倒と言えます。
スカルプシャンプーの選び方ですが、女性が男性のAGA用のシャンプーを使うのはお勧めできません。男性と女性を比べると大抵の場合は、男性の方が皮脂の分泌が多いと言われており、実際に成人男女を比較すると皮脂の分泌量にはおよそ2倍もの開きがあります。また女性は加齢とともに皮脂の分泌量が減っていくのに対し、男性は高齢になるまで皮脂の量がほとんど減りません。つまり男性用スカルプシャンプーは、女性の2倍の量の皮脂を落とすように設計されているため、女性が使うには洗浄力が強すぎるのです。
そこで女性におすすめなスカルプシャンプーが、洗浄力の弱いアミノ酸系のシャンプーです。アミノ酸系シャンプーはアラニンやグリシンといった自然に存在するアミノ酸が元となっており、子供用のシャンプーにも使われているぐらいマイルドで優しいシャンプーとなっています。また弱酸性で刺激が少ないことから乾燥や敏感肌の肌にもお勧めです。またスカルプシャンプーには、防腐剤やシリコンなどといった添加物が使われているものが多いので、植物由来のオーガニック成分を配合したシャンプーを選ぶと良いでしょう。
頭皮用日焼け止め
どれほど高品質なスカルプシャンプーを使って皮脂を洗い流したところで、頭皮そのものがダメージを受けていては、正常に髪の毛が生えてくることはありません。お肌の日焼け止めを塗らずに外出する方は少ないと思いますが、頭皮の日焼け止めをしている方は少ないはずです。
私たちは外出中ほとんど頭を空に向けています。つまり頭皮は太陽の紫外線を最も受けやすい部位であり、紫外線は頭皮に存在する毛母細胞という髪の毛を 作る細胞にダメージを与えることで薄毛の原因になってしまうこともすでに知られています。また最近では紫外線によって薄毛だけでなく白髪になってしまうということも分かってきています。
そこでお勧めしたいのがスプレータイプの日焼け止めです。ただしスプレータイプには、頭皮が乾燥しやすいという多少のデメリットも存在しており、女性の方は男性より皮脂の分泌量が少なめのため、特に冬場などは頭がカサカサになりやすいです。そんな乾燥肌の方にはミストタイプがお勧めになります。
頭皮オイルパック
帰宅後にする薄毛対策として、頭皮パックをする方法があります。一般的な毛穴な汚れは、スカルプシャンプーで綺麗に洗い流すことができますが、それだけではどうしても落とせない汚れが「過酸化脂質」です。キッチンの古い油汚れと同じく、そう簡単に取ることができない汚れです。このような取りきれない毛穴に詰まった加算化脂質を取り除いてくれるのが、オイルによる毛穴パックです。
やり方は簡単で、化粧用の天然オイルを頭皮全体に塗って蒸タオルで頭部を巻いて15分ほど置き、その後普段通りシャンプーをするだけです。この時のポイントは、化粧用のオイルには100%のホホバオイルやアボカドオイルなど無添加のものを使うことです。また化粧用の100%天然のものであれば、アーモンドオイルやオリーブオイルなどお好きなものを自由に選んでいただいて構いません。
さらにポイントは、たっぷりとオイルを使用することです。オイルの量が少ないと頭皮の汚れに馴染まず、しつこい過酸化脂質が取れていきません。週に1回程度で効果があるため、しっかりとオイルを使っていきましょう。頭皮用クレンジング剤を見かけることがありますが、このようなクレンジング剤には界面活性剤などの添加物を含んでいることがあります。界面活性剤は、頭皮の常在菌などの重要なものまで洗い流してしまうからお勧めできません。
髪が若返る食品
唐辛子
唐辛子は、薄毛対策に凄まじいパワーを持っています。薄毛の原因に、遺伝やホルモンバランス、食生活など様々な原因が考えられていますが、近年薄毛となってしまう原因として注目されているものが、髪の毛の成長を促進するIGF-1というホルモンの減少です。このIGF-1は、加齢によって分泌量が減少するため、年齢を重ねるにつれてだんだんと髪の毛の元気がなくなってくるのはある 意味当然のことであり、自然な現象と言えます。
実は唐辛子に含まれているカプサイシンと、大豆に含まれているイソフラボンを一緒に摂取することで、IGF-1を増やす効果があることが分かっています。日本で行われた研究では、薄毛で悩んでいる30名の男女が、カプサイシンと大豆イソフラボンを5ヶ月に渡って毎日摂取したという研究では、結果として20名の髪の毛の量が増えたり、髪の毛が太くなるという効果が見られています。特に男性の効果が大きく、男性は17人のうち効果が現れたのは16 人、約95%の男性が育毛や発毛の効果が見られています。
また唐辛子の発毛育毛効果というのは、このIGF-1を増やす効果だけではありません。実は唐辛子の辛さにも薄毛対策の秘密が隠されています。唐辛子がたっぷりと入った料理を食べると体がポカポカと温まってきていますが、この体を温める作用は唐辛子に含まれているカプサシンが関係しています。カプサイイシンを摂取すると脳の神経を刺激してアドレナリンの分泌が促進されます。その結果、全身でエネルギーが消費されて体が温まり、血の巡りがどんどん良くなっていきます。この血行促進作用が薄毛対策に効果的です。
そもそも髪の毛がどんどん細くなったり、抜け落ちてしまったりする大きな原因の1つが血流不足です。人の頭皮の血管は非常に細く、不摂生な食生活や運動不足が続いてしまえば、血液がドロドロになったり、血管が傷んだりして血行が悪くなってしまいます。すると頭の上の毛細血管まで血液が届かなくなり、頭皮に血液が行き届かなくなれば毛根に十分な栄養や酸素が供給されなくなってしまいます。
このようにIGF-1の分泌の効果と血行促進のダブルの効果で、薄毛に効果的な食材です。ただし唐辛子ばっかり食べると喉や胃の粘膜が荒れて、吐き気、腹痛、下痢などの症状が現れる可能性もあるので、摂取目安量は1日約2gです。
大豆
カプサシと大豆イソフラボンを一緒に摂取することで発毛育毛効果があるホルモンであるIGF-1の分泌量が増えます。また大豆には、イソフラボンの他にも髪の毛に良い成分が含まれています。その成分は豊富な植物性タンパク質です。
黒くてしっとりとした髪を作るためには、良質なタンパク質の摂取が欠かせません。なぜならばタンパク質は髪の毛の原料となるからです。いくらカプサイシンを摂取して血流を良くしても、髪の原料であるタンパク質が不足してしまえば、そもそも髪を作ることができません。つまり抜け毛を予防、髪の毛を増やすためには、髪の育成に必要なタンパク質を摂取すること、そして血行を促進することで摂取したタンパク質を頭皮の隅々まで届けることの両方が必要不可欠です。
そして大豆食品には植物性の良質なタンパク質が多く含まれています。さらに大豆には、レシチンと呼ばれる脂質が含まれています。このレシチンには血液中の悪玉コレステロール値を下げたり、血管に付着した悪玉コレステロールを除去してくれる働きが期待できます。血中の悪玉コレステロールが少なくなれば、血液がサラサラになったり、血管の老化の予防につながります。
レシチンを摂取して血液がサラサラになれば、頭皮全体に血液が行き渡るので、血流改善という観点からも大豆食品は発毛や育毛に効果的です。具体的にお勧めしたい食材は納豆です。納豆にも大豆イソフラボンやタンパク質が含まれており、腸内環境を整えてくれる納豆菌や乳酸菌が含まれています。腸内環境が整うことによって毒素がしっかりと体の外に排出されるようになり、腸内から栄養素をしっかりと血中に摂取することができるようになります。その結果質が良い栄養の血液が頭皮まで届くようになります。
実際、腸内環境の乱れ自体が髪の毛の老化にも影響を及ぼしていると言われていて研究が進められている最中です。また納豆菌や乳酸菌などの善玉菌は、育毛や発毛に必要なホルモンIGF-1を増やす働きがあることが近年の研究で明らかになっています。大豆イソフラボン自体にIGF-1の分泌を増やす効果があり、善玉菌はIGF-1を増やすという相場効果が納豆にはあり、抜け毛対策や薄毛対策に効くことになります。ちなみに良質なタンパク質は、白髪を予防する上でも欠かせません。黒髪の色素であるメラニン色素の原材料もタンパク質です。
玄米
玄米は、ビタミンやミネラル、食物繊維など様々な栄養素が含まれている健康食品ですが、特に薄毛対策に効果的なのはビタミンB群です。髪の毛の量を増やすためには、髪の毛の原料になるタンパク質の摂取が必要不可欠ですが、実はそれだけでは不十分です。なぜならタンパク質を髪の毛の原料として利用するためには、摂取したタンパク質を体内に吸収して代謝するプロセスが必要不可欠だからです。
そこでタンパク質と一緒に摂取するべきなのがビタミンB6です。ビタミンB 6は、タンパク質の体内への吸収をサポートしてくれます。摂取したタンパク質を効率よく髪の毛の原料に使えるように手助けしてくれる働きがあります。そのためビタミンB6を摂取するか、しないかで抜け毛対策の効果がまるで変わってしまいます。また髪の毛の健康のためには、ビタミンB2の働きも重要です。
ビタミンB2の主な作用は、エネルギー代謝を高めてくれることで、エネルギー代謝が良くなることは、頭皮が血流に乗って運ばれてきた栄養素を取り込んで髪の毛を育てる力が強くなるということです。代謝が良くなるほど抜け毛はなくなり、髪の毛がしっかりと作られるようになため、ビタミンB2も抜け毛対策には欠かせません。
さらにビタミンB2は、皮脂をコントロールしてくれる働きもあります。例えば皮脂が不足して頭皮が乾燥している場合、刺激に敏感にになって炎症や痒み、痛みなどの原因になります。頭皮が痒くなったり、痛くなったりすると無意識のうちに頭皮をかきむしってしまうというのが人間です。すると毛根を傷つけて抜け毛の原因になってしまうこともあります。また頭皮が乾燥すると水分不足で頭皮への血流が悪くなることから髪の毛が栄養不足に陥ってしまい、抜け毛や薄毛に繋がる可能性もあります。
逆に皮脂が過剰で頭皮が脂ぎってしまっている場合は、毛穴が皮脂で詰まってしまいます。毛穴が詰まることによっても血液が滞ってしまい、こちらも結局髪の毛まで栄養が行き届かなくなる原因になります。そこで皮脂の分泌量をコントロールしてくれるビタミンB2をしっかりと摂取し、頭皮の環境を整えて あげることが大切になります。
このビタミンB2は玄米に含まれています。さらに玄米に含まれているビタミンB12は、ヘモグロビンを作る働きもあります。ヘモグロビンには、酸素を運ぶ役割があるので血中のヘモグロビン量をしっかりと保つことで、頭皮まで安定的に酸素を供給することが可能となります。逆にヘモグロビンが不足すると、私たちの体は貧血状態に陥ってしまい、貧血状態になれば頭皮のエネルギーの代謝が落ちて髪の毛を作り出す力が失われてしまいます。このようにビタミンB2、B6、B12、ビタミンB 群には頭皮の環境を整えて髪の毛までしっかりと栄養を届けてあげる働きがあります。
ちなみに玄米には、ミネラルもたっぷりと含まれており、ミネラルの中でも亜鉛が特に抜け毛予防に効果的になります。亜鉛には、抜け毛の原因となる物質を抑制する働きがあり、亜鉛が不足してしまうと抜け毛が促進してしまいます。亜鉛を摂取すれば髪の毛の量が増えるというわけではありませんが、亜鉛が不足すると抜け毛が増えて髪の量自体が減ってしまうため、亜鉛の摂取も髪の毛の健康のためには必要不可欠であることを覚えておきましょう。
シナモン
スパイスの一種であるシナモンも髪の毛の健康のために摂取していただきたい食品の1つです。シナモンはスパイスの王様と呼ばれているほど歴史が古い食材です。古代から世界中で漢方として使われていて、強力な抗酸化作用や抗炎症作用を持つスーパーフードです。
抗酸化作用は、血管にダメージを与える活性酸素の働きを抑制し、高炎症作用は血管を若々しく健康な状態に保つ効果があります。またシナモンは、インスリンの働きをサポートしたり、腸内での炭水化物の分解を送らせて血糖値を下げてくれる働きもあります。血糖値が下がるということは、血中の糖分が少なくなるため、血液がサラサラなります。さらにシナモンに含まれているエキスには、血管の収縮を促してポンプのように血流をよくする働きも期待できます。
2010年に報告されたアメリカの研究で、シナモンの成分は抗酸化作用、高炎症作用、インスリン抵抗性の減少などの様々な効果から血圧低下、血糖値の低下、メタボ予防など新血管系のあらゆる病気の予防効果があることが示されました。つまりシナモンは血液の質を良くして、血管の健康を維持する効果を期待できるスーパーフードであることが研究からも明らかになりつつあります。
たまご
たまごは、ビタミンCと食物繊維以外の全ての栄養素を含む完全栄養食です。髪の毛の健康ための栄養素が詰め込まれています。特に髪の毛の健康に効果的なのは、ビタミンB7です。ビタミンB7は、ビオチンと呼ばれる水溶性ビタミンで、新陳代謝の促進やコラーゲンの生成をサポートする働きから、皮膚、粘膜、爪や髪の毛の健康維持に大きく関わっています。そして研究では抜け毛で悩んでいる人の体内の栄養素を調査したところ、ビオチンが少ない人が多いということが明らかになりました。逆に言えば、ビオチンをしっかりと摂取することで抜け毛を予防することができると考えられています。
ただしたまごを食べる際に注意すべきポイントがあります。卵白にはアビジンというタンパク質が含まれており、このアビジンがビオチンにくっつくことでビオチンの働きを阻害してしまいます。つまり卵白を食べすぎると卵からビオチンを摂取できるどころか、むしろビオチン不足に落ってしまい薄毛になるとよく言われています。
ただし、人間がビオチン欠乏症に陥るというのは、生たまごを毎日10個以上食べるといった極端な食べ方をするケースです。1日にたまごを3個とか食べる程度では、まずビオチン欠乏症になることはありえません。アビジンは熱に弱いため、加熱調理すればアビジンの働きをほぼ完全に失わせることが可能です。ただしたまごを黄身まで加熱してしまうと黄身に含まれているビタミンB群や脂質などの栄養素が失われてしまうので、栄養素最大限に効率よく摂取するためには半熟たまごを食べましょう。
インディバ ヘッドは天然ミノキシジル
薄毛の人の特徴に頭皮が硬いことが挙げられます。頭皮が硬い原因は、血行不良が挙げられ、髪を成長させるための栄養素が毛母細胞に届きにくくなる状態です。当然、毛母細胞に栄養が届かなければ髪は十分に成長せず、その結果薄毛になってしまうリスクが高くなります。
また、頭皮が硬いままであれば筋肉が血管を圧迫し、首や肩回りの筋肉も硬く なり、肩こりを引き起こす原因になります。そして脳に送られる血液の量まで減り、頭痛の原因にもなります。そのため頭皮が硬いことに気づいたら、ほったらかしにせず頭皮マッサージをして柔らかくすることが大事です。
インディバヘッドで頭皮マッサージをするのもお勧めです。AGA治療で有名なミノキシジルは、頭皮の血行を促進することで薄毛を改善させますが、インディバヘッドによる頭皮マッサージには、ミノキシジルと同じく頭皮の血流をアップさせる効果があります。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。