美容・健康知識のアップデート

    美容・健康知識のアップデート

    世の中には美容・健康に関する本が沢山あり、本によってまるっきり正反対なことを言っていることもあります。糖質制限をしているのに思ったほど体重が落ちない、ジムに通っているのに健康診断で引っかかったなど、健康思考に気つけて努力しているにも関わらず、なぜかあまり成果が得られない方が多くいらっしゃいます。健康的に痩せられる方法や病気や老化を予防する方法など試しても一向に効果が出ないのは、正しい知識と正しい情報に基づいた美容・健康法を選んでいない可能性があります。

    医学の世界は日進月歩であり、新しい発見に合わせて私たち自身の知識もアップデートしていく必要があります。時代遅れの健康法や誤ったダイエット法など、過去の常識が今は非常識になっていることがあります。

    正しい知識を身に付ける

    私たちの身の回りには間違った食の常識が溢れかえっています。朝ごはんを食べないと元気が出ない、牛乳を飲むと骨が丈夫になる、果物をデザートに食べるのは健康的、栄養不足はサプリメントで補おう。このような根拠のない食の常識が世の中に溢れかえっているのは、残念ながら政府や食品業界のプロパガンダに流されているからに他なりません。

    例えば、朝ごはんを食べる習慣がつけばそれだけ多くの食品が売れることになります。またアメリカは日本に向けて家畜の餌となる穀物や肉や果物を多く輸出したいという意図があるため、日本人が肉食となって乳製品を積極的に摂取し、果物をたくさん食べてほしいと考えています。このような意向に日本政府は従い、日本には遺伝子組換えされた穀物を餌にして育った牛肉や農薬防腐剤まみれの果物が大量に輸入されています。

    また、日本における健康サプリメントの市場はもはや年間1兆円とも言われています。日本人がサプリメントを飲めば飲むほど儲かる企業が存在するわけです。何が言いたいのかと言えば、私たちの食生活は人間の健康ではなく、食糧生産のシステムと結びついています。巨大企業が私たちの健康を食い物にして儲かっているというのは日本に限らず世界で見られる縮図です。

    私たちは自分の健康は自分で守らなければなりません。自分の健康を守るためには世の中に広まっている食の常識に流されるのではなく、正しい知識を持って自分の頭で考えて、日々の食生活を自分で決めることがとても大切です。

    菜食主義とサプリメント

    牛肉のような赤み肉は、大腸がんや高コレステロール血症の原因として体に悪いと言われていますが、一方で肉を全く食べない菜食主義の人は、様々な栄養素が不足しやすく骨が衰えて歯の状態が悪くなる危険性があります。栄養学的にはビタミン、タンパク質、カルシウムが不足しやすく、体全体の不調の原因になることが指摘されています。野菜だけでなくそのほかの食物もバランスよく摂ることが大切です。何れにせよ極端な菜食主義、肉食主義はそれ相応のデメリットがあり、何事もバランスよく食べることを心がけましょう。

    またサプリで栄養を補充しようと考える方がいますが、24種のサプリの健康へ影響を評価した最新の研究では、ほとんどのサプリは飲んでも飲まなくても健康への影響はなかったという結論が出ています。それだけでなく私たちの健康を害するサプリも存在しています。

    その1つがカルシウムです。カルシウムをサプリで摂取すると腎結石になりやすいことが分かっています。食事では野菜などに含まれるシュウ酸がカルシウムの吸収を調節します。しかしサプリの場合は、この調整機構が働かずに過剰に吸収されて腎結石のリスクとなってしまいます。またビタミンには水溶性と脂溶性ビタミンがあり、後者は水に溶けずに尿として排出されないため過剰症の恐れがあります。過剰症になる恐れのあるビタミンがビタミンDやEです。

    短期集中ダイエット

    1ヶ月に1kgを超えるペースでのダイエットは、基礎代謝量の低下やリバウンドなどの弊害があります。さらに短期集中ダイエットで、脳内にある満腹感のスイッチが壊れ、長期間に渡り食欲が増進することが分かっています。私たちの体は飢餓状態になると、満腹ホルモンが抑えられ食べ過ぎやすい状態になります。たまに食事にありつけたときに沢山食べて蓄えておけるように体が変化するのです。

    そしてこのような飢餓モードになると、その後は中々元の状態に戻りません。例えばある調査では、10週間の厳格な摂取カロリー制限を行い、カロリー制限終了一年後に調査したところ、依然として食欲ホルモンの高値と満腹ホルモンの低下が確認されています。

    また、短期間で痩せるために無理な食事制限をして急激に体重を落とすと肌が一気にたるむ恐れがあります。そもそも皮膚というのは 一度伸びると縮まない性質を持っているため、一度太ってしまった体を過度なダイエットして急激に痩せさせてしまうと伸びた皮膚を持て余してしまい、その皮膚がたるんでしまいます。

    さらに過度なダイエットは、単に皮膚が余ってたるむだけではなく、過度なダイエットをして体全体が栄養不足になると骨まで痩せてしまいます。特に人間の骨は腰など体の骨よりも先に顔の骨が真っ先に痩せていきます。骨が痩せると言っても骨格が変化するわけではなく、顔の皮膚と骨の間に隙間ができてしまうようなイメージです。つまり顔の骨が痩せると皮膚と骨のサイズが合わなくなって隙間ができ、それによって肌がたるんでしまうことになります。

    朝食とPFCバランス

    朝ごはんを抜くと脳のエネルギーが不足して、イライラしたり集中力が欠けると言われていました。しかし朝食が必ず必要であるという科学的なエビデンスはありません。また朝食を食べると代謝がアップするということも科学的に否定されています。

    PFCバランスとは、プロティン(タンパク質)、ファット(脂質)、カーボンハイドレート(炭水化物)の3大栄養素のバランスで、厚生労働省は2:3:5が理想的なバランスと定めています。これも時代遅れの考え方で、脂質の摂りすぎが動脈硬化を引き起こすというのは否定され、むしろ脂質摂取は大に推奨されています。さらに様々な研究により、タンパク質の摂取が腎臓に悪影響を与えるという説の根拠が揺らいできています。また炭水化物を5割というのも明らかに糖質の摂りすぎになります。つまりこのようなPFCバランスには拘らず、糖質摂取を減らし、その分脂質の摂取を増やすことを意識しましょう。

    果物は朝に

    体に悪い食習慣の一つに朝ごはんをしっかりと食べることが挙げられます。人間は太陽の昇り降りに合わせた一日24時間の体のリズム、サーカディアンリズムがあります。太陽の光を浴びれば目が覚め、日中は交感神経が働いて活力が増し、太陽の光が落ちて暗くなると副交感神経が働いてリラックスし、だんだんと眠くなるという自然なリズムが備わっています。

    この24時間の自然なサイクルに従うと午前4時からお昼の12時頃までは、排泄の時間となります。前日の夜までに食べたものの老廃物を体外に排泄し、体内をリセットする時間帯が午前中です。しかし朝食を摂取すると余計な食べ物をまた体内に入れることになり、老廃物が排泄されて体内がリセットされるタイミングが無くなります。つまり常に胃腸が働き老廃物が胃に残っている状態が続いてしまいます。

    そこでおススメなのが果物の摂取です。多くの果物は水分量が80%から90%を占めているため、果物を摂取することで胃腸が緩やかに刺激されて、排泄行為を促してくれます。また果物は30分から40分程度で消化されるため、胃腸の負担も大きくありません。体内のリセット機能を高めると同時に、ビタミンやミネラルなどの栄養成分を補給することができます。

    食後は果物NG

    果物は栄養価が非常に高い優秀な食材です。ビタミンやミネラル、食物繊維、ポリフェノール、カロテノイドなどのヒトケミカルなどを健康のために欠かせない栄養成分が多く含まれているのが果物の特徴の一つです。

    デザートとして果物を食べることで、さらに栄養バランスがとれた食事になりそうですが、実は食後に果物を摂取することが、健康に悪影響がある説があります。そもそも食後のデザートに果物を食べるという習慣が広まったのは、フランス料理から始まっています。フランス料理といえば、本来は野菜を使った料理が多く、クリーム系の肉料理は少ないです。日本のフランス料理は特別な記念日に作られるような豪華なメニューばかり取り入れられています。その結果バターや生クリームがたっぷりと使われたフランス料理が日本に広まっています。これらの料理を食べると、口の中が油っぽくなるため、口の中をすっきりさせたいということで果物がデザートとして出されるようになりました。

    果物は最も消化しやすい食材で、本来果物を食べると胃で約30分から40分で消化され腸へと流れていきます。しかし食後はまだ肉や魚、ご飯やパン、パスタなどの消化が遅い食べ物が胃に残っています。肉や穀物類は、胃で消化するのに3時間から4時間ほどかかり、消化されやすい果物が後から胃の中に入ってくると先に食べた肉やご飯、パンなどが腸への通り道を塞いでいるため、消化された果物は腸に進むことができません。

    その結果、果物に含まれている酵素が胃の中で発酵を始めます。果物が発酵を始めると、肉やご飯などの発酵も連鎖して進み、場合によっては腐敗が進むケースがあります。この果物や肉、穀物類の発酵や腐敗の過程で人にとって毒性のある有害物質が発生してしまい、有害物質の分解のために肝臓に余計な負担をかけてしまうことになります。しかも肝臓で分解しきれなかった毒素は、肝臓や皮下脂肪に蓄積され、疲れやだるさといった体の不調に繋がります。

    間違ったフェイシャルパックの使い方

    お風呂の後や寝る前などに、お肌にしっかりと保湿クリームを浸透させる目的でフェイシャルマスクをつけていらっしゃる方も多いでしょう。確かにフェイシャルマスクには効果があり、お肌の細胞にしっかり水分を浸透させて細胞の瑞々しさを保ってくれる商品も存在します。

    ですが、フェイシャルパックやマスクも使い方を間違っては全く無意味なものになるばかりか、お肌がボロボロになってしまう原因になります。フェイシャルマスクやパックの使い方で一番注意しなければいけないのが、長時間パックをつけてしまうことです。パックやフェイシャルマスクには必ず使用時間が書かれています。そのような使用時間を超えてマスクやフェイシャルパックを使うと、お肌の最も外側にある角質層という部分がふやけていてしまいます。

    角質層は、皮膚の最も外側にある死んだ細胞の塊です。皮膚のターンオーバーにおいては、内側から新しい細胞が供給されることで外側の細胞が死んで脱落していきます。この脱落する直前の層が角質層です。角質層は、お肌を保護するために重要な働きを担っています。角質とはお肌の最も外側にあり、私たちの見た目を左右するのはまさしく角質の健康状態であると言えるでしょう。

    この角質層は死んだ細胞であり、自己修復能力がないため傷ついてしまった角質は決して修復することはできません。また角質等は血液が届かないため放っておくとどんどん水分が失われてしまいます。そのため外側からケアをして保湿してあげる必要があります。

    フェイシャルマスクやパックによって角質に水分を供給してあげることで、皮膚の表面が瑞々しく保たれますが、長時間使いすぎると角質層が水分でいっぱいになってしまいます。そして角質が水浸しになってふやけてしまいます。角質層は死んだ細胞の塊であり、血管が通っておらず水を供給できないのと同時にすでに供給されてしまった水を回収することもできません。そのため一度角質がふやけてしまうとふやけてそのままになり、ふやけてブヨブヨになってしまうと角質が剥がれやすくなり、皮膚が損なわれてしまいます。そうなればフェイシャルマスクを貼っている部分は、湿度が高くカビや細菌にとって最も繁殖しやすい絶好の環境になります。

    また長時間のシートマスクは、逆に水分が肌から蒸発し乾燥肌になってシワやたるみなどの肌トラブルの原因を一気に加速させます。例えば夜にシートマスクをして乾ききるまで顔につけたり、シートマスクをしたまま寝たりする人もいますが、それは全くもって逆効果です。

    水分は一度肌に浸透してもより乾燥しているところへ移動する性質を持っているため、一定時間が経過すると肌へ入れた水分は 乾いたシートマスクの方へと出て行ってしまいます。

    夜遅くのスキンケアvs睡眠

    夜遅くのスキンケアと睡眠のどちらを優先すべきだと思いますか。本来、優先すべきは睡眠です。例えば、赤ちゃんは1日何時間も寝て、そして寝る前にスキンケアなんかやっていません。しかいs、どんな赤ちゃんでも、ぷるんぷるんでマシュマロのようなお肌をしています。つまりスキンケアと睡眠とでは大切なのは睡眠です。ですからお肌の健康のために、睡眠を犠牲にしてまでも夜遅くのスキンケアをするのは本末転倒になってしまいます。

    もちろん、お化粧した顔のまま寝てしまってはお肌が呼吸できなくなって、ニキビを始め様々な肌荒れの原因になってしまうので、化粧を落としたり顔を洗うといった最低限のケアは必要でしょう。ですが睡眠時間を削ってまで、夜遅くまで美容液を塗ったりするのは正解ではありません。お肌の汚れを落としたら軽く保湿してさっさと寝てしまうのが一番です。

    お肌というのは寝ている間に修復されていきます。睡眠不足になってしまうと 修復される時間がなく、お肌の傷や汚れが貯まってしまいます。お肌の傷や汚れがたまったままでは、その上にスキンケア用品を塗り重ねたところで意味がありません。あくまで美容や健康の土台は、睡眠と良質な食事であり、スキンケアは二の次であるということを覚えておいてください。

    クレンジングオイルの使い過ぎ

    クレンジングオイルは毛穴の汚れを落としてくれますが、あまりにもゴシゴシと使いすぎると汚れのみならず私たちの皮膚の表面にある大切な皮脂も落としてしまいます。皮脂はたくさんありすぎると皮膚が油まみれになってテカテカしてしまいますが全くないのも問題です。

    皮脂は私たちの角質を乾燥などから保護してくれる大切なバリアです。ですがクレンジングオイルをゴシゴシ使いすぎると、このような皮脂が剥がれて皮膚のバリア機能が失われてしまいます。そうすることでお肌がカサカサになってしまいます。またクレンジングオイルのみならず一般的な洗顔石鹸にも注意が必要です。

    顔の表皮というのは非常にデリケートで、指の腹を立ててゴシゴシ洗ってしまうと皮膚が傷ついてしまいます。そのため洗顔をする時はしっかり泡を立てて、指ではなく泡で顔を触ってあげるぐらいの優しい洗顔を心がけることが重要です。

    また丁寧すぎるクレンジングも問題です。クレンジングにかける時間は1 分くらいがベストと言われています。力を入れずに指の腹で軽く押さえる程度の優しいタッチで指を動かす程度で十分です。そして1分程度でさっと洗い流してクレンジングは終了し、アイメイクなどの落ちにくい箇所はポイントリムーバーなどを使ってクレンジングの時間を短くするように工夫しましょう。

    歩き方が大切

    歩くことは良いということで、美容・健康のために日常生活の中で歩くことを心掛けている方も多くいらっしゃると思います。しかし美容・健康効果は単に歩くだけでは得られません。特に歩数や時間を基準にしている場合、実は歩いた歩数や時間は美容・健康にあまり関係ありません。

    なぜなら、筋トレを思い浮かべて頂くと分かりやすいですが、ある程度負荷がなければ筋肉は鍛えることはできません。例え1万歩を歩いたとしても、ゆっくり歩いていただけなら体に負荷はかかっていません。運動したと思っていてもそれは単に歩き疲れただけで、美容・健康にあまり効果がないのです。効果を得るためには体に負荷をかけた歩き方が重要で、歩き方には「速度」が大変重要な要素であり、欠けてしまうと効果が半減します。

    「速度」を意識した歩き方の一つがインターバル早歩きです。この歩き方は、早歩き3分、ゆっくり歩き3分、これを1日5セット、週4日を目安に行う方法です。中高年の方々がこのインターバル早歩きを5ヶ月間行ったところ、体力年齢で10歳も若返ったという結果が報告されています。その他で効果的なのが、ややキツイと感じる速度で歩く方法があります。いずれにせよある程度負荷をかけることが大切になります。

    また「姿勢」も歩き方に重要な要素です。体をしっかり使えていないと、猫背歩き、反り腰歩き、ガニ股歩きになっており、体全体の筋肉を正しく使うように姿勢にも注意しましょう。

    アンチエイジングのメカニズム

    外見や美容に関するアンチエイジングは、その正確なメカニズムは良く分かっていません。老化は人によって進み方が異なります。だだし老化は病気であると捉える考え方は、医学会では常識になりつつあります。老化は原因を突き止めて、ある程度は予防や対策ができる時代になってきています。

    老化の原因は「酸化」「糖化」「慢性炎症」の3つです。特に「酸化」と「糖化」は、私たちの細胞の劣化の引き金になっていると考えられています。

    私たちの体に欠かせない「酸素」は、その一部が「活性酸素」に変化して、細胞の主な成分であるタンパク質を傷つけ、劣化させてしまいます。次に「糖化」は、体の中でタンパク質がブドウ糖に結合して起こる反応であり、この反応により「終末糖化産物(AGE)」がつくられ、これが肌のシミやシワの最大の原因になります。また見た目の問題だけでなく様々な病気の原因になります。

    一方で「酸化」と「糖化」は、細胞の劣化を引き起こすだけでなく、「慢性炎症」を引き起こし、様々な病気や不調の原因なってしまいます。

    これら原因の対策には、食生活と運動の習慣を変えること以外あり得ません。「酸化」を防ぐ食べ物は、ビタミンA,C,Eなどの抗酸化ビタミンやポリフェノール、カロテノイドといった成分を含む食品です。具体的には、人参、かぼちゃ、ピーマン、パプリカ、ブロッコリーなどの色の濃い緑黄色野菜を積極的に食べましょう。また果物、ワカメや昆布などの海藻類、キノコ類などもおすすめです。

    「糖化」を防ぐためには、まずはできるだけ高温調理されたお肉やお魚は避けることが対策の一つです。なぜならAGEは高い熱を加えた調理によって大量にできてしまう特徴があるからです。具体的には肉や魚を揚げたもの、直火で高温で焼いているものです。そして悪性のAGEはブドウ糖からつくられることが分かっているため、血糖値が上がる糖質やタンパク質の過剰な摂取は控えましょう。具体的にはお菓子、ジュースは絶対に控えましょう。沢山食べることで、血糖値が急激に高まり、この急激な変化がAGEを体内に貯めてしまう原因になることが指摘されています。

    プチ断食

    プチ断食をして夜にまとめて食べる方は、時間栄養学の観点では間違った食べ方になります。プチ断食をしても効果を感じられない方は、夜にまとめて食べている方が多く、朝食べたものはエネルギーとして燃やされやすいことや、夜食べたものは脂肪として溜め込まれやすいという体の仕組みを無視している可能性があります。

    私たちの体には体内時計という仕組みがあり、朝は体温や血圧を上げて活動の準備をし、夜になると体温や血圧を下げて眠りにつくリズムがあります。この体内時計リズムに合わせた食べ方を考える「時間栄養学」という概念が注目されています。

    最近発表された16時間断食の効果を調べた研究では、朝を主体としたグループ、昼から夜を主体としたグループ、時間制限を設けない時間帯自由のグループで食べる時間帯を制限した場合、朝を主体としたグループが最も効果が高かったことが分かっています。このグループでは、インスリン抵抗性、空腹時血糖値、体重、体脂肪量で最も高いダイエット効果が得られています。

    同じく13時間断食の効果を調べた研究でも、朝を主体とした時間帯に食べた方が効果が高いという結果になっています。余談ですが断食時間が長くなりすぎると、オートファジーが過剰になり、分解された脂肪が肝臓に取り込まれて脂肪肝になったり、高齢者では筋肉が減少するサルコペニアのリスクが高まったりするなど健康を害する可能性も指摘されています。また16時間断食で、食べる時間帯が短くなるとタンパク質不足に陥りやすく、筋肉量が減るためタンパク質を意識して摂る必要があります。

    また、糖質は朝食べることで速やかにエネルギーで消費されるため、血糖値の上昇を余り気にしなくても良いということも言われています。そして遅い時間に沢山のものを食べないようにしましょう。このようにプチ断食をするのであれば、体内時計のリズムを理解し、そのリズムにあった方法で行いましょう。

    脳トレより運動

    脳の研究が進んだことにより、脳は思いのほか柔軟であることが分かってきています。脳の中では絶えず新しい細胞が生まれ、互いに繋がったり離れたりします。特に体を動かすことが脳に大きな影響を与えており、運動すると気分が晴れやかになるだけでなく、記憶力、集中力、ストレス抵抗性、創造性が高まり、情報処理能力(思考の速度)が上がることが分かっています。

    一時期、パズルや脳トレのような学習能力を高めるメソッドが人気になりましたが、戦略的に運動する方が遥かに効果的であることが研究で明らかになっています。

    脳は運動することでドーパミンを分泌し、気分が爽快(多幸感)になります。その理由は、人は狩りし、猛獣から逃げ、住みやすい場所を探すことで生存の可能性を高めることが記憶に刻まれているからです。脳は1万年前から進化はしていないため、現代の私たちにもこのメカニズムが残っており、祖先と同じ行動をすることで脳は快楽を与えてくれる物質を分泌し、多幸感を与えてくれます。

    他にも、狩りをする時には集中力を高め、素早く行動する必要があります。また新しい住処や環境を探すのには記憶力も必要です。つまり運動することで集中力を高め、記憶力を必要として脳の働きを高めさせるのです。

    座り過ぎには注意

    私たちは昔に比べて圧倒的に座り過ぎています。この習慣は体に悪く、座っている時間が長いと死亡率が高くなり、その時間が11時間以上になると4時間未満の人と比べて死亡率が40%高くなることが分かっています。

    実は、私たち人類は1万2000 年前から体の構造は、ほとんど変わっていないということが判明しています。そして私たちの生活習慣と原始時代の人々の生活習慣には一つ根本的な違いがあり、それは原始時代の人々は遥かに良く動くという点です。人類の歴史においては、ほとんどの間、体を動かさなければ食料を手に入れることも、生き延びることさえできません。だから私たちの体は当然動くのに適した作りになっています。つまり動くのが当たり前という構造になっており、動かなければ不調を起こしてしまいます。

    当然、1日中座ってばかりいれば食べ物を得ることも出来ず、新しい住みかも見つけることはできません。現代人が心や体を病んでしまう理由は、脳と私たちの環境の矛盾にあります。体を動かせば生存の可能性が増え、私たちに報酬が与えられる。一方で座り過ぎていると生存の可能性が減るため調子が悪くなるということになります。

    こうして考えれば運動によって他の様々な機能を強化できるということも理解できます。例えば祖先が狩りをする時は集中力を保つことが必須でした。獲物を仕留めるには、精神を集中して忍び寄り、僅かな動きも見逃さず素早く行動する必要があったからです。つまり運動をすると集中力が高まるのはそのため です。また運動は記憶力も高めてくれます。それは祖先にとって動き回ることは新しい住みかや環境を探すことでもあったからです。

    座ってばかりいて動かないと脳は新しい体験をしていないと解釈し、記憶力を高める必要はないと考えます。それにスマホを座って画面を眺めていても、脳はそれを新しい経験だとは考えません。つまり覚える必要なしとみなすので記憶力は高まりません。

    だから活発に動くことに脳は何よりも敏感に反応します。脳にとっての最高のエクササイズが体を動かすことであり、運動をすれば集中力が増す、気持ちが晴れやかになる、不安やストレスが減る、記憶力が向上する、創造性が増す、知能が高まるといった多くのメリットが得られます。

    実は、どんな運動をするか、どこで運動するかは重要ではなく、とにかく体を動かすことが大事です。つまり好きな体を動かす活動をすれば良く、体を動かせばたちまち心と体が健康になり、脳の働きもよくなります。そして運動を習慣にして、長く続けるほどその効果の素晴らしさが実感できるでしょう。より高い効果が欲しいと思うのなら、まずは最低30分のウォーキングをしましょう。

    重要なポイントは心拍数を増やすことです。そして有酸素運動を中心に行うことが好ましいと言われています。

    そして運動は根気強く、決して諦めずとにかく続けることが重要です。脳が再構築されて構造が変化するまでにはある程度の時間がかかります。たまにでも 走ったり歩いたりすると、すぐに脳の血流が増えて脳がクリアになるのは確かですが、新しい細胞や血管が形成されたり、領域同士の結合が強化されたりするまでにはある程度の期間が必要です。

    無表情とたるみの関係

    人は無表情でいる時、顔の筋肉いわゆる表情筋が使われず、ハリを感じられない顔になっています。人は年を取ると筋肉が硬くなりますが、硬くなった表情筋は重力でだんだん下がってしまいます。特に広角から首につながっている筋肉が下がってしまうと顔のたるみが目立つようになります。

    そもそも表情筋は顔の皮膚を支える土台のようなもので、その筋肉が無表情の 影響で衰えていけば皮膚を支えきれなくなり、顔のたるみにつながってしまうのはごく自然なことです。無表情で表情筋が衰え、年を取ることでさらに硬くなってしまう負の連鎖になってしまいます。また無表情は表情筋だけでなく顔の血行も悪くなり、脂肪や水分などの老廃物が蓄積しやすくなる原因にもなります。

    表情筋を動かすためのポイントは口角を上げることです。いつもほんの少し広角を上げた表情をキープするように意識し、姿勢を正して顎を軽く引いた状態を保つとさらに効果的です。一方で、お肌や心の健康のためにも笑顔でいることが大事え、人と話をすると笑顔になる機会も増えるから人と会話をすることを心がけることが良いでしょう。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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