スローエイジングのすすめ

    年齢を重ねるごとに、フェイスラインが崩れてきた、髪の毛が薄くボリュームがなくなってきた、肌が乾燥してきたなどと、年齢を重ねることにネガティブなイメージを持たれる方が多いように思います。

    しかし、工夫次第で楽しく健康的に美しく年齢を重ねることは可能です。エイジングケアの選択、食習慣、姿勢など普段から少し意識を向けること、私たちの体は毎日の小さな積み重ねでできているので、小さな習慣を変えることで美しく年齢を重ねることは難しいことではないはずです。

    必要なのは、医学的に正しい知識とちょっとした工夫です。世の中にはありとあらゆる美容法や健康法があり、美容グッズやサプリも多種多様で何を選べは良いか分からないかも知れません。中には体調が悪くなってしまうもの、高い金額を払っても効果がないものもあり、その中で自分にあった美容法を選べるように正しい知識が必要です。他にも例えば、老化について体や心に起こる根本的な変化を知ることも大切です。

    年齢を重ねることで起こる体の変化

    年齢を重ねることで起こる体の変化は以下の5つが挙げられます。

    • 筋肉量と体の抵抗力が低下する
    • 太りやすく痩せにくくなる
    • ホルモンの分泌量が低下する
    • 消化機能、視力などの感覚機能が低下する
    • 血管が固くなる、免疫力が低下する

    このような変化が起こることを知っていれば、この変化に対応するためにどうすれば良いのか正しい解決策を選択することができます。

    また、年齢を重ねることで起こる美容の変化は以下が挙げられます。

    • 骨格が変化し脂肪がたるむ
    • 脂肪組織が萎縮しシワやたるみができる
    • 皮膚に弾力が無くなる

    しかし、このような変化の度合いは人それぞれで、実年齢よりも老けている人もいれば、若く見られる人もおり、老化のスピードには個人差があります。そのスピードの違いは、毎日の生活習慣の小さな積み重ねによって起こります。だからこそ日々のメンテナンスとお手入れを欠かさず行うことで良い状態を保つことができます。

    テロメアの長さで老化が決まる

    テロメアの長さを維持することが歳を取らないための方法です。テロメアとは、私たちの遺伝子情報が書かれている染色体DNAの両端に存在するキャップのような構造体で、DNAを保護しています。このテロメアが細胞の寿命に関与していると言われており、生命の回数券とも言われています。細胞が分裂するたびにテロメアが短くなり、これに伴って細胞分裂の回数が減り、やがて分裂しなくなります。これが細胞の老化です。そしてこのテロメアが短くなるスピードと体が衰える老化のスピードは大きく関係しており、テロメアが短くなることで老化プロセスが加速するだけでなく、様々な病気が発症してしまう主な原因と考えられています。つまりこのテロメアこそが人の寿命を決める指標になっているのではないかと注目されています。

    テロメアが健康や長寿に与える影響を調べた研究では、テロメアの長さが同じ年齢の平均よりも長い人と短い人を比べると、短い人は深刻な病気や早死にのリスクが高くなっているということが判明しています。またテロメアの短縮が、心臓病や感染症による死亡率の増加との間に関連性があることや、がんや動脈硬化、心筋梗塞、認知症といった病気との関係も明らかになっています。

    長くなりましたが、スローエイジングにはこのテロメアの短縮を防ぐことが、健康的な毎日を送るために大切なことです。

    テロメアが短くなるのを防ぐ方法

    テロメアの短縮を防ぐために心がけたいことは、以下の4つです。

    • 体重を落とす/食事制限をする
    • 食物繊維と抗酸化物質を摂取する
    • 精神的なストレスを出来る限り減らす
    • 運動と睡眠を最適化する

    年齢を重ねることに太りやすくなるのは、運動をしなくなったり、筋肉量が低下したり、外食が増えてしまうことなど様々な原因がありますが、1番の要因は基礎代謝が低下してしまうからです。基礎代謝は生きていくための最低限必要なエネルギーのことで、基礎代謝は10代をピークに年齢とともに低下します。若い頃のよりより省エネになっている体で、食事量が変わらなければ、太っていくのは当たり前のことです。

    肥満は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病との関連性が非常に強く、肥満が心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気へと進む原因にもなります。さらに肥満はテロメアを短くし、老化のプロセスを短くするという研究があります。肥満は活性素種を増やし、その結果酸化ストレスを増加させることが分かっており、それがDNAにダメージを与え、テロメアを短くすることが起こることが示唆されています。実際に肥満の人はテロメアが短く、寿命では8.8年に相当するという研究結果もあります。また食べる量を減らすことは、酸化ストレスを減らすことが分かっています。

    食事は食物繊維や抗酸化物質をしっかりと補給することが健康にとって重要であるというのはご存知かもしれませんが、これらがテロメアに素晴らしい影響を与えることが分かっています。2018年に行われた5000人以上の成人を対象とした研究では、食物繊維を多く食べるとテロメアの長さが長くなるという結果になりました。それは食物繊維が血糖値の上昇を緩やかにしてくれるからであり、血糖値の急激な上昇は、体の炎症と酸化ストレスに関連しており、それらがテロメアを短くしてしまうからです。

    一方で、抗酸化物質もテロメアに良い影響を与えてくれるという研究があります。例えば、オメガ3脂肪酸を含む食事はテロメアが短くなることを防いでくれ、逆に抗酸化物質が不足すればテロメアが短くなります。また別の研究では、抗酸化物質を含まない食事を摂取した女性は、テロメアが短く、乳がんの発症リスクが中程度でしたが、ビタミンE、C、ベータカロテンなどの抗酸化物質が豊富な食事を摂取すると、酸化ストレスが減り、DNAの損傷が減るため、テロメアが長くなり、乳がんのリスクが低くなることが分かっています。

    肌のケアだけでなくメンタルケアも大切

    慢性的なストレスによってテロメアが短くなる速度と老化の速度が早まります。なぜならストレスによって酸化ストレスが増加するからです。私たちの体は、ストレスを感じると副腎からコルチゾールというストレスホルモンを分泌しますが、このホルモンは抗酸化作用を持つタンパク質のレベルを低下させます。

    また、メンタルの状態が悪ければ、日々のケアをする気持ちもなくなってしまいます。特に40代を境目にして、心も体も乱れがちになります。ホルモンバランスが乱れ、メンタルに影響し、ミッドライフクライシスと言われ、人生の中盤を迎える40代から50代の頃に、自分のこれまでの人生やアイデンティティについて問い、葛藤したり不安を感じたりする時期であり、大人が迎える第二の思春期とも言われています。

    しかし、このような不安定さはそもそもホルモンの仕業であり、不安定になってしまうのはしょうがないと理解することも大切です。

    健康的に生きるためには、定期的な運動と睡眠が大切だということは、当たり前ですがテロメアにも大切なことです。特に睡眠は、テロメアの長さに大きな影響を与えています。実際、5、6時間しか眠らない高齢者のテロメアは短い傾向があり、7時間以上睡眠をとる高齢者の場合は、中年の人と同じか、それ以上の長さになっていたという研究結果もあります。

    以上より、テロメアが短くなるスピードと体を衰えるスピードは大きく関係しており、テロメアが短くなってしまうことは、老化プロセスの加速や様々な病気が発症してしまう主な原因とも考えられています。スローエイジングを意識して、テロメアを短くならないようにしていきましょう。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

    関連記事

    1. タンパク質不足で老化する

    2. 若返りの秘訣オートファジー

    3. お粥は胃に優しくない

    4. 鍼の好転反応(ニキビと余分な熱)

    5. お家でセルフケア、代謝をあげるツボ

    6. アンチエイジングには『ごぼう茶』

    7. ダイエットで老けないために

    8. お家でセルフケア、薄毛のツボ

    9. 食べる薬「ごま」、飲む薬「コーヒー」

    10. 炭水化物(糖質)中心の生活で太る

    11. 円皮鍼(えんぴしん)で小顔・美肌効果

    12. 酸性体質とアルカリ性体質

    13. 美と若さの新常識、シナモンで若返り

    14. 美肌にビタミン・サプリはNG

    15. アンチエイジングと細胞老化(セネッセンス)