
美容整形は抵抗感なく簡単にできる時代ですが、大事なのは整形後の長期的な変化やそれに伴うリスクを知っておくことです。美容整形でも人気の高い二重整形や鼻整形をした後について考えてみましょう
二重整形
二重整形には埋没法と切開法の2種類があり、どちらも理想の目元に近づける整形手術ですが、いつまでも術後の目元を維持できるとは限りません。年を重ねると二重の形が変わり、この変化は手術方法による違いに加えて、個人差が大きい部分でもあるため、医師でも10年、20年先にどのような変化が現れるかは実際のところ確信を持って予想はできません。二重整形の経年変化に多い例としては、二重の幅が狭くなる、二重のラインが変わる、溝が浅くなって目立たなくなる、奥二重になっていく、この4つが挙げられます。
特に二重整形が消えたり、変化したりする理由は2つあり、その 1つが顔の加齢によるものです。年を重ねていくと二重の上の皮膚は少しずつたるみ、特に高齢にもなると眼瞼下垂という瞼が下がってくる症状が出やすくなってきます。目に負担をかける時間が長い人ほど現れやすい症状ですが、年を取ると誰にでも発生する自然な変化の1つです。そうなると整形して二重だった人でも、二重の上に皮膚が重なってきて、二重幅が狭くなったり、奥二重になったり、それに二重のラインが変わってしまうことになります。
そしてもう1つ二重整形が消えたり変化したりする理由は、埋没法で使用した糸のトラブルが大きく関わります。二重整形の埋没法は皮膚と挙筋腱膜を糸で止めて、二重を作る手術方法ですが、この手術では目を閉じたり開いたりを長年することによって組織がすり切れて緩んだり、取れやすくなります。糸の取れやすさは個人差と結び方による差が大きく出る部分ですが、長年の経過によって老後に起こりやすい現象の 1つになります。
もう1つの施術方法が切開手術で、単純に皮膚を切って二重の折れ込み癖を作るものや筋肉や靭帯を操作して、目の開け方や下まぶの形や角度を変えるものまで沢山の手術方法があります。一概に長期的な変化としてどうなるかは難しいですが、加齢によって年を重ると確実に変化は起こり、皮膚がたるんできて二重幅が狭くなったり、奥二重や二重のラインが 変わったりします。
どの手術方法だとしてもベストな状態を永久的に維持することは不可能で、年を重ねることで二重の上に皮膚は被さるため、実際それが気になる人は2回3回と二重整形を繰り返すことになります。例えば二重の幅が狭くなって昔の二重に戻したいと思い、また二重幅を広くするということはよくあることです。ただ目の形によって作れる二重の限界もあるので、すでに幅が広くなりきってしまった場合、たるんできたからもっと広くしてくださいと言ったとしても二重幅は変えられない時があります。そうなると、たるみを取る手術、切開法などでまぶのたるみを取って二重の幅をすっきりさせて、広く見せるということになります。
鼻整形と豊胸
そもそも美容整形を繰り返すと顔が変形し、崩れていくというのは事実であり、忘れてはいけないのは美容整形の本質はあくまで若返りではなく整形です。美容整形はレーザーとかハイフ、つまり超音波エネルギーを使ってシワやたるみを改善させる切らないリフトアップ治療は別ですが、美容整形外科でやっている手法というのは必ず、次3つの分類に分けられます。それが①膨らませる、②引っ張り上げる、③抜く、の3つです。
例えばシワだったら膨らませてシワを目立たなくする、重力によって皮膚が下がってきたら引っ張り上げる、重力によって上から脂肪が下に降りてきて溜まっているなら脂肪を抜くという風になります。同じ人に何回も何回も膨らませたり、引っ張ったり、抜くことを繰り返しことが、簡単にできないことは容易に想像できるでしょう。これが整形をやりすぎると顔が変形する理由になります。
特に日本人に1番多い鼻を高くしたいという悩みに、一般的に行われる治療法の鼻整形には、ヒアルロン酸を注入する方法やプロテーゼを使う方法がります。まず人気の高いヒアルロン酸を使った整形ですが、ヒアルロン酸は人体の皮膚に存在する柔軟性や弾力性を支える保湿補水成分です。このヒアルロン酸を注射して鼻筋を形成するため、鼻を高くしたい、鼻筋を手に入れたい方で、顔にメスを入れたくないという人にはおすすめの方法です。しかし注入されたヒアルロン酸は日が経つに連れ少しずつ吸収されるため、良い状態を保つためには、大体3ヶ月ごとの再注入が必要になります。
一方のプロテーゼを使う整形は、ヒアルロン酸と違って体内に吸収されることがない治療法です。プロテーゼは、シリコン製で人の軟骨に近い柔らかな感触がするもので、鼻の形に整えて、鼻筋に固定していく方法です。しかし年を重ねると皮下脂肪が薄くなり、鼻先の形を支えている軟骨も強度を失ってしまいます。
皮下脂肪が薄くなるとプロテーゼの輪郭が浮き出てくることもあるため、この場合は鼻のプロテーゼが崩れているわけではありませんが、その状態の皮膚には大きすぎたり高すぎたりしてるので、1度取り出してもう少し低く小さいプロテーゼに入れ替えてあげる手術が必要になります。
これは豊胸手術の場合も基本的には同じで、使用した材料によって長期経過は異なってきますが、ヒアルロン酸なら吸収されるからメンテナンスが必要になります。ヒアルロン酸は体に吸収されるなら安全と考えられていましたが、実は完全に吸収されずに周りに膜を作って残ることがあり、その膜が周りを巻き込んで固くなることもあることが分かってきています。
もう1つの方法としてシリコンバックを入れる豊胸手術もありますが、これは時間と共に形が変わりません。しかし若い時にシリコンバックを入れることで年を取っても胸だけ若い時のまま、そんな不自然な胸になり、結果取り出す人も実は多いようです。
フェイスリフト
フェイスリフトは、顔のたるみを引き上げる手術ですが、主に頬や顎下のたるみを改善するために行われ、皮や筋肉を引き上げて余分な皮膚を取り除く手術になります。
手術直後は腫れや内出血が出ることがありますが、適切なアフター ケアをすればこれらの症状は徐々に軽減されます。そしてフェイスリフト後に経年変化が起こるといくつかの症状が出ることあります。
まず手術で引き上げられた皮膚は、時間と共に再びたるむことが考えられます。また手術の際に取り除かれた余分な皮膚がなくなっているため、再手術の際には難易度が上がります。そして年齢と共に皮膚の弾力が失われると傷跡が伸びたり、色が変わったりすることがあります。確かに手術後の変化には注意が必要ですが、適切なスキンケアや生活習慣を保つことで症状を軽減することができます。
頬の脂肪吸引
加齢と共に頬がブルドッグになると言われたりするケースがありますが、その場合に脂肪吸引を選択される方が多くいます。しかし脂肪を取ると当然たるむわけですが、傷が治ってく時に瘢痕拘縮が起き、凸凹に硬くなることがあります。
また、瘢痕拘縮を避けるために、擦るだけで脂肪を吸引しないフェザーリングをして、それだけでは効果がないため糸リフトを加えるケースがあります。ただし糸リフトは、やった直後は綺麗にフェイスラインが上がりますが、2ヶ月ぐらいで戻ったという人が多い傾向があります。いずれにせよ、たるみに対して脂肪吸引をすることはリスクが高いと覚えておくべきです。
唇のボトックス
ボトックスは、ボツリヌス菌の毒素を利用したもので、筋肉の動きを一時的に抑制する効果があります。唇に使う場合は、主に唇の筋肉の動きを抑えて、シワや細かな線を減少させる目的で使われます。ボトックスは希釈されているため使用量を守って正しく施術すれば安全だと言われています。具体的には、ボトックスを唇に入れると、唇の筋肉の動きが抑えられるため、細かなシワや縦ジワが目立ちにくくなります。また唇が少しリフトアップする効果あるから若々しく見えることがあります。ボトックスの効果は、一般的には3 から6ヶ月ほど持続することが多いでしょう。効果が薄れてきたら再度注射することで効果を維持できます。
副作用としては、一時的な腫れや痛み、打った部分に青あざができることがありますが、大抵の場合は数日で治ります。また何度もボトックスを注射して、長期的にボトックスを使用することで筋肉が弱まることあります。唇の筋肉が 弱まると自然な表情を作るのが難しくなります。一方でボトックスを繰り返し受けると注射の回数や量によっては皮膚が薄くなったり、変色することがあります。ただし適切な量と適切な間隔で注射を受ければ、それほどのリスクは低いとも言われています。
一方でリップフィラーは、唇にボリュームを持たせるための注射治療です。主にヒアルロン酸という成分を使って唇をふっくらさせます。ボトックスは筋肉の動きを抑えるのに対して、リップフィラーは直接的に唇のボリュームを増やす目的で使われます。
ヒアルロン酸は、元々人の体にも存在する成分のためアレルギー反応などのリスクは低いと言われています。ただし手術の方法や量によっては腫れや打ち跡が残ることもあるため、しっかりとしたクリニックでの施術が大切です。持続時間は、大体半年から1年ほどの持続時間です。
耳たぶ縮小
大きい耳たぶを気にする人向けの整形手術で、耳たぶのサイズや形を整えることができます。大きな耳たぶが吹けて見えると感じる人やピアスの穴が伸びてしまった人などが手術を希望することが多いでしょう。基本的には、耳たぶの皮膚を切除して縫合する方法が一般的です。局所麻酔を使用して行われることが多いため、施術時間もそれほど長くありません。施術後のダウンタイムでは、腫や内出血が出ることがありますが、大体1、2週間で落ち着くことが多いでしょう。ただし縫合部分のケアや紫外線からの保護はしっかりと行う必要があります。
顎のボトックス
顎のボトックスは、主に顎の筋肉を緩和させるために行われる治療です。顎の筋肉が発達していて顔が四角く見える人が、よりスリムな顔の形になるために受けることが多いです。ボトックスの効果は一時的で、大体3から6ヶ月ほど持続し、効果を維持するためには定期的に治療を受ける必要があります。
ボトックスは、比較的安全な治療とされていますが、注射の後に腫れや内出血が出ることもあります。そして施術者の技術や経験も大切で、不適切な場所に注射されると表情が自然でなくなったり、他の筋肉に影響が出ることもあります。また定期的にボトックスを受け続けると筋肉が徐々に緩和されることが続くため、注射の頻度や量を減らすことができることがあります。
ただし顎の筋肉の強さや形は年齢と共に自然に変化するため、ボトックスを受けることとは別に、加齢と共に変わる部分もあります。つまりボトックスの影響だけではなく、加齢による変化も考慮しないといけません。長期的な視点で考えると自分の体や顔の変化を理解して必要な手段を選ぶことが大切でしょう。
エラのボトックス
エラの部分を触って奥歯をグっと噛むとボコっと出る筋肉が咬筋と言われる筋肉です。ここにボトックス注射して、筋肉を小さくして小顔にする治療があります。加齢でたるみが気にされる場合、筋肉が小さくなることで、たるみが出るような感じを受ける方もいます。もちろんエラの筋肉が張って、お顔が大きく見えるより、多少たるんでもスッキリする方が良い方もいます。
ボトックスの良いところは、大体4ヶ月から6ヶ月ぐらいで元に戻るため、脂肪吸引と比べて失敗するリスクが小さいことが挙げられます。
ボトックスと感情表現の関係
顔の表情を科学的に研究する歴史は古く、表情は感情表現の役割としての機能だけではなく、顔自体が感情そのもの引き起こしたり、調節したりすることがあることが研究で分かっています。それが顔面フィードバック仮説と言われるものであり、例えば楽しそうな顔を作ると余計楽しくなる、逆に顔の表現を抑制するとその感情体験の強さが減ることがあります。
そして顔の表情とその感情体験の関連性を、よりコントロールするために使われたのが実はボトックスです。現代では、ボトックスはシワの治療のために使われており、注射された場所の筋肉が麻痺することによって動かなくなり、シワが寄らなくなる美容施術の1つとして使われています。
顔の表情とその感情体験の関連性を研究したものとしては、うつ症状の人10人にボトックスの注射をして、2ヶ月後には10人のうち9人が改善したという研究があり、つまりうつの表情を作ることがしにくくなったことでメンタルが改善したと考えられています。
また美容関係では、シワが感情に与える影響が研究されており、27歳から60歳の女性72人を対象に、ボトックスを打つ場合と打たない場合の2つの群に分けて感情体験を調査しました。この研究ではネガティブな動画、ポジティブの動画を見てもらい、それに対してどんな刺激を受けたかをボトックスをしたことによって、上がったのか下がったのか確認しています。
その結果、ボトックスで表情筋をコントロールすれば、当然シワは改善されるのですが、同時に感情表現の幅と深さが制限され、結果的に社会的な共感、その感情的なコミュニケーションと阻害する可能性が指摘されています。
つまり顔の表情は、相手のより深い感情を読み込んだり、それから相手に共感したり、感情を伝えたりなど人とのコミュニケーションを取る上で重要な役割があります。しかしボトックスによってこれらの役割が抑制され、共に感情認識を損なう可能性があるので人間関係に大きな影響を与えてしまう可能が指摘されています。
もちろんボトックスは深刻な副作用がないと考えられていますが、皮膚のシワを予防する上で頻繁にやりすぎることに関しては、このような感情の負の側面、コミュニケーションの負の側面があることに関しては知っておきましょう。
またアロエ、カカオ、緑茶などの自然の植物性の食品が、過去の研究では肌を引き締めたり、シワを軽減する上でボトックスと同じぐらいの効果があったという研究があります。何れにせよボトックスだけではなく、様々な総合的な肌のケアが必要で、特に生活習慣の改善、食事の見直しが肌の健康に大きく影響します。
どんなことに気をつけたら良いのか
いずれもクリニックで経験豊富な医師に手術をしてもらえれば、これらのリスクは低減できます。つまり年を取った時にどう見えるかは手術の技術や方法によっても変わります。そのため手術の前には、しっかりと医師と相談して長期的な結果も考慮することが大切です。
また、人それぞれで自分が気になる場合は再手術を検討することもできますが、必ずしも必要ではないと思います。大事なのは自分の体を受け入れること、自分の選択に納得することでしょう。自分の選択を後悔しないためにも情報収集や準備が大切です。また手術を受ける前の自分と比べて、どれだけ満足しているか自分自身の気持ちを大切にすることも忘れちゃいけません。
自分の体を大切にするためには、短期的な美しさだけでなく、長期的な健康や美しさも考慮することが大切です。整形技術が進化して様々な部の整形が可能になっていますが、整形手術はリスクもあるため、しっかりと情報収集して信頼できるクリニックや医師を選ぶことが大切です。
まず1番大切なのは、手術の理由と期待する結果をしっかりと自分自身で確認することです。整形手術は自分の外見を変える大きな決断であるため、他人の意見や流行に流されず、本当に自分が望む変化なのかを考える必要があります。そして手術のリスクや後遺症、そして手術の結果に対する満足度などをよく理解するためには信頼できる専門意のカウンセリングが大切です。経験豊富な医師を選ぶことで安全性や満足度が高まる可能性があります。
そして手術のコストやアフターケアについてもしっかりと情報を得ることが大切です。また手術後の生活習慣やケアも重要で、手術の結果を長持ちさせるためには日常のスキンケアや健康的な生活を心がけることも大切です。
整形依存症について
整形する人は整形依存症になる可能性はありますが、必ずしも全員がそうなるわけではありません。しかし怪我や病気で仕方なくする人を除いて、元々整形する人は、美意識が人より高く、コンプレックスを克服したいという気持ちが強い人であることは間違いありません。
そのため年相応という言葉が苦手で、その年齢にあったシワや皮膚を受け入れることが難しく、年を重ねるごとに気持ちも憂鬱になる傾向があります。精神的に追い込まれるほどもっと綺麗にならなきゃという思いが強くなり、ついには整形依存症になってしまうこともあります。こうしてアンチエイジングとして整形を行い、若さを保とうという気持ちが 強くなった依存症の人は、ここも直したい、ここを直したいという欲求も強くなります。
また、美容整形の技術は日々進化していて、新たな技術や美容に良い成分もどんどん世の中に広まり、当然高価なものもあり、お金はいくらあっても足りません。何れにせよ整形にはやっぱり財力が必要だということであり、整形管理をすることは難しいことです。整形には賛否両論はありますが、事情によっては決して整形をすることは悪いことではありません。ただ結局、どの手術を受けてもずっと良い状態が保たれることはないことやリスクが伴うことをきちんと理解した上で、本当に必要だと思えて初めて美容整形を受けることが大事です。
インディバ 術後ケア
『術後ケア』とは、美容整形により傷ついた組織を修復するために、インディバの効果を利用したリハビリ的ケアです。
- 美容整形・脂肪吸引直後のダウンタイムにお悩みの方は、一刻も早くその状況から解放されたいと思います。そこでお勧めが『インディバ術後ケア』です。
- インディバは術後の体の修復をアシストしてくれる強い味方と言われ、術後の痛みやむくみ、内出血の早期回復をサポートします。
【コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。