鍼灸を受けるとどうなるの?

    鍼灸を受けるとどうなるの?

    現代人の多くが悩む首肩こり、慢性腰痛はストレスなどによって交感神経が優位になりすぎるのが原因とも言われています。また筋肉のこりは、運動神経や交感神経の興奮によるものと考えられています。

    鍼灸の効果は、特に痛み・こり・しびれの早期根本治療が期待できることです。鍼灸刺激は血行を促進し、刺鍼によって固くなっていた筋肉の緊張がほぐれて柔らかくなります。また痛みや疲労の原因となる発痛物質を老廃物として排出する作用もあり、筋疲労の回復や浮腫(むくみ)を改善します。また鍼によって筋肉が緩むのは、交感神経優位の状態を抑えることができるからです。

    ただし、痛み・こり・しびれの多くの原因は、ひとつの部位の筋肉だけが原因になっていることは少ないため、局所的な治療(発痛点)だけでなく原因点を深く探っていかなければいけません。この原因点を考える上で大事なことが体の動きを診ることです。

    身体の動きを診る(運動学的視点)

    身体の動きを診るとは、単に動かして痛いという単純な見方ではありません。なぜなら動きは様々な筋肉によってつくり出されており、ひとつだけの動きではないからです。さらに上半身の動きが下半身の動きにもつながっている場合もあります。しかしながらこれらの連続した動作は、脳が反復した動作を記憶することで無意識に行っている筋肉の動きであり、その動きの起点となる部分に「ツボ」が存在しています。

    動かして痛い場合は、「ツボ」に異常が生じており、多くの場合に違和感を感じます。それが所謂、こりの状態であり、筋肉の動きの要である「ツボ」が正常に動いていない結果であるとも言えます。

    また、肩こりには肩こりのツボ(発痛点)に刺鍼すれば良いと思われるかもしれませんが、多くの場合は肩に原因点はありません。つまり肩こりを起こす原因は肩ではなく、その先の手や腕にあることが多くあります。

    肩こりが酷い人は、腕の曲げる部分にあるツボを押すと痛いなど、問題のある動作のツボ(原因点)に刺鍼すると動きが正常化します。もちろん肩であれば、肩に刺鍼することで痛みは治まりますが、この作用は一時的なものです。なぜなら局所的に筋肉の緊張を緩め、血行が良くなることで発痛物質が流されたとしても、問題のある動作のツボ(原因点)を改善しなければ、動き自体は改善されていないため、再び発痛物質が溜まるからです。

    ツボと経絡の流れ

    東洋医学には「経絡」という概念があり、経絡とは「気血が体内を巡る流通路」と考えられています。 例えば「電車の線路」でイメージすると、線路=経絡、駅=ツボです。この関係を見極めて気の流れに対してアプローチしていきます。実際は、経絡上にある筋肉や関節をイメージするのですが、いずれにせよ重要なのは「ツボ」ではなくて「経絡」です。つまり経絡上にあるのがツボであり、ツボを刺激することで対応する経絡の問題が改善するということです。そしてこの経絡の概念を考えるメリットは、内臓を含めた全身に波及した効果を見込めることです。

    脳の痛みの記憶を書き換える 

    慢性腰痛などの痛みが改善されていても、脳が慢性的な痛み・こり・しびれのイメージを記憶したままになってしまい、身体の機能に対して痛み・こり・しびれを感じ続けることがあります。

    一方で、脳が錯覚している状態であれば、いくら原因点への刺鍼によって動作が正常になっても、脳のイメージのままに身体の状態を維持しようとして再発してしまいます。そのため、脳が誤認し続けないように、原因点に刺鍼を繰り返すことで脳のイメージを書き換えていく必要があります。脳のイメージの書き換えは、慢性化した期間、症状の重さ、体質などによって施術回数は異なります。いずれにせよ、原因点となるツボに刺鍼して、動作を正常化して再発しないように脳のイメージを書き換えていく必要があります。

    その他の鍼灸の効果

    その他の鍼灸の効果として代表的なものが、刺鍼刺激による鎮痛作用です。鍼の刺激によって鎮痛作用のホルモンが分泌されるため、痛みを抑える効果があります。また痛みを伝える脳の神経経路をブロックすることもできるため、痛みの緩和が期待できます。

    さらに鍼の刺激によってセロトニンなどのリラックス・ホルモンの分泌が促進され、乱れた自律神経のバランスが整い、交感神経・副交感神経の切り替えもスムーズになります。また自律神経が調節している内蔵や血流も改善されるため、身体全体の機能回復が期待できます。

    このように鍼灸治療は、運動器疾患(腰痛や肩の痛みなど)、神経疾患に効果がありますが、その他にも様々な疾患に効果が期待できます。WHO(世界保健機構)が鍼灸適応疾患として以下を挙げていますのでご参考にしてください。

    鍼灸の効果

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

    関連記事

    1. 東洋医学で診る、体内時計を知る

    2. 補完代替医療について

    3. 東洋医学的体質診断(カウセリング)とは

    4. 東洋医学で診る、ストレスと感情

    5. 腸とメンタルの関係

    6. 東洋医学の瞑眩(めんげん)好転反応について

    7. 東洋医学で診る、眉間のシワ

    8. 東洋医学「水滞」→水の巡りが悪い

    9. 東洋医学で診る、舌の位置で美しい横顔を作る

    10. 東洋医学で診る、美しいツヤ髪の要素

    11. 首肩こりの原因は深層筋

    12. 美容と東洋医学の五臓の関係

    13. 美容鍼と女性ホルモン

    14. 東洋医学で診る「シミ」「シワ」「たるみ」がでやすい人

    15. アレルギーと鍼灸