お灸の基礎知識

    お灸の基礎知識

    お灸の歴史は古く、中国では2,000年前には医術として体系化されていました。その後、遣隋使や遣唐使によって日本へもたらされたと言われています。近年、誰でも手軽にお灸することができる商品が普及し、よりお灸は身近な存在になっています。

    もぐさとは

    もぐさは蓬(ヨモギ)の葉の裏にある白く光る綿毛であり、蓬を臼や機械でくだき、蓬の葉や茎を取り去り、それを十分に乾燥させたものです。この綿毛は乾燥した蓬から1/200しかとれない貴重なものです。蓬の葉にある綿毛のみから作られたもぐさが良質もぐさと言われ、綿毛以外の葉など不純物を含んだものは粗悪もぐさと言います。このもぐさの産地や不純物の有無など様々なもぐさの種類があります。近年は、誰でも簡単に使えるようにお灸の形が形成された状態で販売されている「せんねん灸」などがあり、産地や不純物の有無などをあまり気にしなくなりつつあります。

    一方で、鍼灸院などの用いられている、もぐさを固めてお灸の形をつくることを「ひねり」といいます。このひねり方によって熱さや効果にも変化出るため、灸師の技量が求められます。基本的には、柔らかく固めて内部へ充分な酸素を貯めることで、満遍なく燃えることになり、患者様にも心地良い熱となります。逆に固くひねると、酸素のバランスが悪く、燃え方にムラができてしまうため、急に熱くなって不快に感じることもあります。

    お灸の効果

    一般的なお灸の効果は、刺激効果、温熱効果、漢方的効果、アロマ(香り)効果があり、これらの複合効果によって様々な疾患や症状の軽減または改善へと繋がります。

    刺激による効果お灸の刺激には、ジワジワと温まる温熱刺激とチクッとした痛みのような刺激とがあり、刺激量はお灸のやり方や種類によっても異なります。
    このようなお灸の刺激により、筋緊張の緩和、血液循環の改善、自律神経の安定、免疫機能への影響などの効果によって様々な疾患や症状の軽減や改善へと繋がります。
    温熱効果お灸の温熱効果には、独特な熱感と輻射熱による熱感があります。これらの熱感により効果は変わってきますが、基本的には筋緊張の緩和、血流の改善、自律神経・ホルモンバランスの安定などの効果を期待することができます。
    漢方的効果蓬の成分による漢方としての効果も期待することができます。
    アロマ効果もぐさの煙による香りには、リラックス効果などにも期待することができます。最近は、アロマの香りがする商品などもあります。

    具体的には、お灸の温熱刺激にて、リラックス効果と共に、自律神経バランスや筋緊張緩和などが見込め、冷え性改善へと繋がります。そして冷えの改善によって生理痛や生理不順にも有効とされています。その他にも不眠の緩和、首や肩のこり、腰痛などの筋緊張による症状などが挙げられます。

    これら以外にも、アレルギーなどの疾患や症状において、お灸は有効な療法とされています。その理由として、肌に軽い火傷をつくることでタンパク質変性が起こり、その部分に白血球が集まり、結果的に免疫力が向上するというお灸独自の効果が期待できます。ただしお灸の熱量や時間などの調整には、鍼灸師の相当の習熟が必要となります。

    ハリニーでは患者様の症状(重症度や緊急性の有無)、体調や体質、お灸への慣れなどを考慮して、より患者様に合ったお灸の種類、方法、数、回数などを決めて、より効果が高いお灸を致します。

    灸あたり

    お灸の刺激は強ければ強いほど、よく効くというわけではございません。特にお身体が弱っている状態で強い刺激のお灸をすると逆効果になることもあります。そのような時によく見られる症状が「灸あたり」です。

    お灸直後または翌日から全身の倦怠感、疲労感、脱力感、めまい、吐き気などが伴い、数時間から数十時間自覚して、そのあとに急速に症状の改善がみられる現象です。その他にも、頭が重い、食欲不振、寒気、発熱なども生じることがあります。

    「灸あたり」の原因としては灸刺激に対する生体の過剰反応と考えられています。例えば、体の状態に対して、お灸の数が多すぎたり、お灸の刺激量が多すぎることも要因と考えられています。

    お灸でセルフケア

    一般の方がご自身へお灸を行う場合、お灸を据える場所には2つの方法があります。1つが東洋医学の経穴(ツボ)に据える方法、もう1つが筋緊張などの状態に合わせた方法です。

    気になる不調に合わせた経穴(ツボ)と選ぶことはそれほど難しくはないと思いますが、後者については少し難しいかも知れません。例えば足の症状にお悩みの場合は、足の筋肉の解剖学的な視点が必要になり、かつ筋緊張、血流、リンパの流れを触診して、より効果の出るポイントを選んでお灸をする必要があります。

    何れにせよ、経穴(ツボ)と筋緊張などの反応から、お灸の場所を組み合わせることが最も効果的になります。効果的にセルフケアされる場合は、担当の鍼灸師にご相談下さい。

    女性特有の不調に効くツボ

    三陰交(さんいんこう):内くるぶしの一番高いところから指幅4本分上がったところ

    効果:冷え、むくみ、月経痛・不順、更年期障害など

    三陰交

    心の疲れに効くツボ

    内関(ないかん):手首の内側に出来るしわの中央から指幅2本分ひじ側に上がったところ

    効果:ストレス、イライラ、不眠、不安など

    内関(ないかん)

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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