おしっこになるまでの体の仕組み
おしっこの元になってる物質は、飲んだ水分や食べ物に含まれている水分と思われるかも知れませんが、実は血液です。おしっこが作られる場所は、腎臓です。まず尿の元となる血液は、体に不要な老廃物となる物質を運ぶゴミ収集者のような働きをしてくれる血液が全身を巡り、老廃物を集めてそれを腎臓に運びます。そうして血液が腎臓に流れ込むと腎臓の中の糸球体で老廃物や水分など尿として体の外に出す物質を選びます。そして血液の血球やタンパク質など、まだ働く捨てなくても良い物質をブロックします。この過程を通過した尿が原尿と呼ばれ尿の元になる物質です。さらに体に使える水分やミネラルの成分それに栄養をブロックして、もう1度しっかり体に摂り込みます。そして体に本当に必要がないと判断されて始めて尿は腎臓から尿管を通って膀胱に貯められます。
ちなみにおしっこの元は血液なのに、なぜ尿は黄色いのか不思議に思われるでしょう。そもそも血液が赤いのは赤血球に含まれるヘモグロビンという赤い物質の影響です。この赤血球には寿命があり、古くなると壊れて体外に出る準備をします。まず赤血球の中のヘモグロビンは、肝臓などでビリルビンという成分になり、この途中で色も変わってビリルビンは黄色っぽい色に変色します。そして肝臓から胆道という通路を通り、腸から腎臓へと送られます。この過程でさらに変身を繰り返し、最後にウロビリンという物質となり、おしっこの黄色になります。ウロビリンの量は基本的に一定のため、水分を摂る量が少なければ尿中のウロビリンの割合が増えておしっこの色は濃い色になります。反対に水分をたくさん摂るとおしっこは薄黄色になります。例えば朝起きた時におしっこの色が濃くて心配になったことがあるかも知れませんが、腎臓が正常に機能している証拠でもあります。
おしっこで分かる体の状態
おしっこの泡立ち
泡立ちのある尿はある病気のサインにもなるため要注意です。なぜ尿が泡立つのか、その原理を知る必要があります。泡立つか立たないかの違いは、表面張力による違いがあります。例えば水は表面張力が大きいため、水が床に落ちるとできるだけ小さくなろうとまん丸くなります。ただ石鹸を含んだ水は表面張力が小さいから逆にどんどん大きく広がり、薄い膜になって泡立ったりシャボン玉のようになったりします。それを石鹸の界面活性作用と言います。
おしっこの場合は、本来必要以上に入ってはいけない余計な成分が石鹸と同じような界面活性作用を持っていることになります。余計な成分、つまりおしっこがいつもより泡立っていることは、いつもより水分ではない成分が増えている可能性があることになります。
泡立ちの原因として最も怖いのがタンパク質です。タンパク質は体を作る上で重要な栄養素であり、腎臓の機能が正常であれば、タンパク質はブロックされて再利用に戻されるはずです。しかし腎臓に菌が入り込んで炎症が起きたり、機能が落ちて腎不全になったりしていると腎臓の審査機能が弱まって体に本来必要なタンパク質が尿の方へと流れ出します。その状態が体の中で起きているということを知らせてくれるSOSのサインがまさに尿の泡立ちです。例えば糖尿病によって糖が多く含まれていると泡立つこともあります。そのため糖尿病で腎臓がダメージを受けて、糖分もタンパク質も漏れて、おしっこがブクブクと泡立っているというケースも珍しくありません。
一概に泡立てばすぐに危険とはなりませんが、特に気にしなくていいパターンと要注意なパターンがあります。特に気にしなくていいパターンの泡立ちのおしっこは朝1番の尿の泡立ちです。朝に最初に出る尿は、寝ている間水分を摂らないため、ある程度濃縮される影響で多少泡立つのは仕方がありません。ただし要注意なのは、日中明らかにいつも泡立っている場合や普段より泡立ちが目立つようになると病気の影響を疑う方が良いでしょう。
おしっこの匂い
健康な人の尿は無臭です。本来腎臓で尿が作られた後の通り道は、ほぼ無菌の状態のため特に匂いはしないのが正常です。もしおしっこした時にツンとした匂いが少しでもすれば、それは病気のサインの可能性があります。
そもそも尿はバイ菌によって反応し、鼻をつくアンモニア独特の匂いを発生させることになります。尿の通り道のところにバイ菌がいるとそれに反応し、ツンとした匂いを放つおしっこになって体外に排出されます。例えば女性がなりやすい膀胱炎もそのバイ菌が原因で、膀胱からさらに上へバイ菌が上がると腎臓の感染症の腎盂腎炎になることもあります。その主な症状は、背中や腰の痛み、バイ菌が血流に乗って腎臓から全身に広がった場合は、最悪命に関わることもあります。
その他にもいつもと尿の匂いが違う臭い、なんだか体調も悪くなるような場合は尿路感染症と呼ばれる尿の通り道に悪い菌が入って起こる病気の可能性もあります。また糖尿病の人のおしっこは、尿の中に糖分が多く含まれるため、実際甘い匂いがする場合があります。
おしっこの色
健康で正常な時の人の尿の色は黄色です。赤血球の中のヘモグロビンが外に排出される時にウロビリンに変化して黄色くなりますが、違う色になることもあります。しかし特に尿が白っぽい時は要注意です。
白く濁ったような色をしている場合、同じようにバイ菌が体内で悪さをしていることがあります。同時にチェックして欲しいポイントが、ツンとした匂いがしてないかどうかです。白い尿に加え、ツンとした匂いがしている場合は、膀胱炎など感染症の疑いが高くなります。
そしてもう1つ、色で注意して欲しいのが色の濃さです。朝一番のおしっこは濃くても大丈夫ですが、それ以外の時間帯でオレンジかかった濃色の尿が出たら要注意です。そもそもこんな色が出た時は、おしっこの成分自体が普通の尿と全く異なっている場合があります。そもそも尿の黄色の元となるウロビリンという物質は、肝臓で処理されたヘモグロビンが腸内で分解されることで黄色に変化したものです。
しかし、肝臓から腎臓へ流れてくる途中の胆管というところで何らかの原因で流れが止まってしまうと元の成分が体を逆流して腸を通過せず、処理される前の状態で腎臓にたどり着くことがあります。そのため腸内で分解されず濃いオレンジ色になることがあります。腸の処理前の状態をビリルビンと呼ぶため、このオレンジの尿をビリルビン尿と呼んだりします。人によっては、オレンジではなく茶色っぽく見えることもあり、茶色っぽい時の原因は胆管に石が詰まったり、肝臓で炎症が起きていたり、膵臓にできたがんが隣の胆管を圧迫しているなど 非常に危ない病気であることも多くあります。
一方で赤い尿、つまり血尿は激しい運動をした後や生理の血が混じっている場合など心配いない場合もあるので、数日続く場合は必ず病院に行きましょう。なぜならがんの可能性が高くなるためです。膀胱がん、腎臓がん、それに前立線がんなど、これらのがんに共通する症状が血尿です。
おしっこの回数
実は頻尿にも時間帯で少し考え方が違います。昼間の頻尿は、一般的には起床から就寝までの間に8回以上おしっこに行っていれば頻尿です。夜間に1回おしっこに行っていれば頻尿です。そして頻尿の人全てが病気というわけではなく、水を飲む量が多ければ当然トイレに行く回数も増えるため、必ず問題だというわけではありません。
しかし、例えば糖尿病になると、糖分は水を引き込む作用があるためおしっこの通り道で水分をたくさん連れてきてしまい、その結果として尿量が多くなって頻尿になります。他にも女性であれば子宮筋腫、男性であれば前立線が大きくなる病気の前立線肥大症、これらによっておしっこの通り道が刺激され、頻尿 になる場合もあります。
そして時間的にリスクの高い頻尿は、夜間頻尿の方です。夜間頻尿は転倒のリスクを上げたり、うつ病の原因になったり、性機能の低下を引き起こすというデータもあります。何より睡眠の質の低下などにより死亡リスクが1.3倍にもなったというデータもあります。つまり夜間頻尿は原因に関わらずリスクが高いためしっかりとした対策が必要であることを憶えておきましょう。
うんちで分かる体の状態
便は、摂取した食べ物が胃や腸で消化され、吸収もされずに残ったものの塊りです。しかし成分としては食べカスは全体5%しかなく、20%は細胞の死骸、15%が細菌類の死骸、残りの60%が水分です。ちなみに芋類や豆類に多く含まれる食物繊維をたくさん食べると便が普段より増えたり大きくなり、逆に肉や魚などの動物生食品をたくさん食べると便が減ったり小さくなります。
また便の状態を判断する要素は5つあり、まず排便する回数が挙げられます。排便の回数は個人差が大きく出る部分ですが1日に1回から1週間に3回の範囲に収まっているのが理想です。次に便の量は食べた量や食べ物の種類で異なりますが、平均して1日100から 200gが理想的とされています。便の重さを判断する目安としては、便の大きさがバナナ2本分、大体それに値するぐらいです。大抵思っていたより大きいと思います。
また便の性状については、便がどんな状態で排泄されたかで判断するもので、柔らかくて形の保ったねばり状態が理想的だとされています。水っぽかったり、ドロドロしたり、逆にウサギのフンのようにコロコロとして硬いのはあまり良くありません。そして便の匂いは、便というのは誰しも臭くて当たり前のものでそれ自体は気にしなくて良いでしょう。ただしあまりの臭さに顔をしかめるようなものは理想的な匂いではないため注意が必要です。便の匂いが酷くなる原因は、ストレスや運動不足などが挙げられます。最後は便の色についてですが、理想的な便は茶色や黄土色で、それ以外の色は体の状態で変化します。
そして、うんちの状態で体のどこに異常があるのかが分かります。自覚症状が出づらい危険な病気もうんちの状態から早期発見につながり命が助かったという事例もあります。基本的にうんちは毎日出るものなので、体の調子を測るバロメーターになります。そしてうんちの状態の変化は、体が発しているSOSのサインかも知れません。
うんちになるまでの体の仕組み
食べ物を口の中に入れると食道を通って胃の中に入ります。胃の中では食べ物と胃液が混ざり合ってドロドロの形状に変化します。いわゆる消化です。胃の中で消化が終わると小腸に送られる前に十二指腸を通過します。十二指腸に消化された食べ物が入ってくると肝臓で作られる胆汁と膵臓で作られる水液が十二指腸に送られてきます。
胆汁は脂肪を乳化して、腸で脂肪を吸収しやすくする働きを持っています。そして水液は、糖質を分解するアミラーゼやタンパク質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素を含んでいます。
このように胃の中で消化した食べ物が十二指腸でさらに細かく分解されると小腸へと送られていきます。小腸に送られたドロドロの食べ物は、胆汁と水液の働きによって消化吸収しやすくなった液体です。小腸の1番の役割は、このドドロの液体から栄養素を吸収することです。そして消化されずに残った食物繊維や水分が大腸へと送られます。この時点で食べてからおよそ7時間から9時間ほど経過しています。
最後に大腸で残った栄養素や水分を吸収しつつ、ほぼ食べカスとなった食物がゆっくりと直腸へ向かって進んでいきます。その際に水分と電界質が吸収されて食べカスが集まっていき、排泄されやすいように固まったのがうんちです。そのうんちが肛門から出ていきますが、食べ物や体質にもよりますが24時間から72時間ほどかかります。
このように食べ物からうんちになるまで食道、胃、十二指腸、肝臓、膵臓、小腸、大腸と様々な臓器が関わり合っているのが分かります。だからこそうんちの状態が悪い場合、これらの臓器のどこが悪いのかを推測できるのです。
危険なうんちの特徴
危険なうんちの特徴は以下の5つに分類することができます。
- 黒いうんち
- 白いうんち
- 赤いうんち
- 細長いうんち
- 急な便秘や下痢の繰り返し
黒いうんち
5つのうんちの中で最も危険なのが黒いうんちです。コールタールのようにドス黒い色をしていることからタール便とも呼ばれます。イカミパスタを食べた時や鉄剤を飲んでいる方は、うんちが黒ぽくなることがありますが、それとは違い、墨汁のような黒いうんちが出た場合はかなり要注意です。
この黒いうんちが出る原因は、胃がん、胃潰瘍、食道がん、十二指腸がん、十二指腸潰瘍などの可能性があります。うんちが黒くなる原因は胃腸からの出血が考えられ、臓器から出血しているのでもちろん最初は赤い色をしていますが、血液は時間が経つと酸化して黒ずんでいきます。
食べ物からうんちになるまでの過程の中で、小腸で消化吸収されるまでに7時間から9時間程度、直腸から排便されるまでに24時間から72時間程度かかります。つまり血液が酸化して黒ずむほどに時間が経過しているということで、消化吸収の後半部分の小腸や大腸から出血しているのではなく、前半部分の食道や胃、十二指腸からの出血が疑われます。
ちなみに食道がんになりやすいとされている方は、飲酒や喫煙の量が多い方です。胃がんになりやすいとされている方は、ピロリ菌に感染している方や塩分の過剰摂取、野菜不足が続いている方だと言われています。日々の生活で強いストレスを受けている方は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍に注意した方が良いでしょう。こういったことに全く心当たりがないという方も黒いうんちが出た時は、医療機関を受診することをお勧めします。
白いうんち
白いうんちは、黄土色というよりはやや白っぽい色味のうんちが出た場合も要注意です。白いうんちで疑われるのは肝炎や胆管がん、胆管結石、膵臓がんなどが挙げられます。そもそもうんちの色味が黄土色をしているのは、肝臓で作られている胆汁の色が反映されているからです。胆汁は十二指腸に食べ物が送られてきた時に脂肪を消化吸収しやすいように乳化させるという働きがあります。この胆汁に含まれているビリルビンという成分が黄土色っぽい色味の正体です。元々便は白っぽい色味をしていて、胆汁が正常に機能をしていれば便は黄土色に変色するというイメージです。
なぜ白いうんちが出るのかと言えば、胆汁が正常な役割を果たしていないからと分かります。つまり肝臓で胆汁を作る機能が衰えている、もしくは作られた胆汁が胆管を流れて十二指腸に行く過程に問題があるということが推測できます。肝臓で胆汁が作ることができないという状態は肝炎の疑いがあります。
肝炎は、ウイルスに感染していたり、大量のアルコール摂取が原因と考えられるので注意しましょう。また糖質の摂り過ぎも要注意です。また胆汁が十二指腸に流れる過程に問題がある場合は、胆管がん、胆管結石、膵臓がんなどが疑われます。
白いうんちが出る時に合わせて、体が黄色くなる黄疸の症状が出ていると肝臓や胆管、膵臓に何か問題がある可能性が高いことが分かります。特に膵臓がんは、5年生存率が約10%とあらゆるがんの中でも生存率がダントツに低いがんです。しかも膵臓がんは、早期発見が難しく、がん検診も確立されていない恐ろしい病気です。白いうんちが出る場合、特に黄疸の症状と合わせてうんちの色が白くなっている場合は、黒いうんちと並んで医療機関の受信をお勧めいたします。
赤いうんち
赤いうんちは、黒いうんちと同じく臓器の出血が原因と推測できます。黒いうんちは、血液が酸化するほど時間が経過していることから、食道や胃、十二指腸など消化吸収の前半部分の臓器で出血していることが考えられます。
一方で赤いうんちは、血液が酸化する前にうんちが出ているので消化吸収の後半の臓器の出血だと推測できます。つまり大腸や肛門などの排泄間際の部分で出血している可能性が非常に高いです。具体的な病名で言うと最も恐ろしいのは大腸がんでしょう。他にも大腸憩室出血や潰瘍性大腸炎、そして痔といった 病気のリスクがあります。
大腸がんは、5年生存率が70%前後とがんの中では比較的生存率が高い部類です。また赤いうんちの 7から8割は痔が原因と言われています。そのため黒いうんちや白いうんちに比べれば緊急性は高くありませんが、がんは放っておけばステージが悪化して症状は重くなっていくので、早めに医療機関を受信するに越したことはありません。
細いうんち
うんちは色味だけでなく、形状からも病気を推測することができます。健康的なうんちはバナナや柔らかいソーセージのような形をしています。うんちが切れないままヘビのようにトグろを巻く形も非常に健康的と言えます。
また健康的なうんちの太さは直径でおよそ3cmから4cmくらいと言われています。しかし鉛筆のように細い直径1cmほどの細いうんちが続いた場合、これは大腸がんの危険性を疑わなければなりません。大腸がんの腫瘍が腸内で大きくなると腸内が細く狭くなってしまうことがあります。その細くなった通路を通り抜けるためにうんちが細長く絞られた形となって肛門から排泄されている可能性があります。
特に肛門に近いS状結腸や直腸部分は大腸がんになりやすい部分です。たまに細いうんちが出るくらいなら、体調や食べ物の消化具合の影響なのであまり心配はいりません。ですが毎日のように細いうんちが続くようなら腫瘍ができて、腸の経路が細くなっている可能性があります。是非医療機関を受信するようにしましょう。
急な便秘や下痢の繰り返し
大腸内に腫瘍ができてうんちの通り道が細くなった場合、大きめのうんちが流れてくると腸内の細くなった部分を大きめのうんちは通り抜けることができません。すると後から流れてくるうんちもどんどん大腸内に溜まっていってお腹が張ったり、腹痛を感じたりします。いわゆる腸閉塞と呼ばれる状態で、悪化した場合は手術をして治療する必要があります。
また同じく大腸が狭くなっていると、少しずつうんちを出そうとするので腸の運動が激しくなります。すると腸液が分泌されて便汁となり、1日に何度も何度も下痢のようなうんちを繰り返してしまうといった症状が見られることもあります。大腸がんの下痢は特に進行している状態で見られるので要注意です。
便秘や下痢の繰り返しは、ストレスによる過敏性腸症候群などが原因の場合もあるので、一概に大腸がんでないかも知れませんが、急な便秘や慢性的な下痢は腸に異変があるサインであることに違いはないので、不安を覚えた方は医療機関を受診しましょう。
うんちの形で分かる便秘のタイプ
色以外にも、うんちの形状から分かることがあります。それが便秘のタイプです。まずウサギの糞のような、小さい粒が集まったウンチは、痙攣性便秘の可能性が考えられます。例えばストレスが原因で腸の蠕動運動が強くなり過ぎて、便が通りにくくなる状態です。この場合は、ストレスを解消するために、趣味やマッサージなど、なるべくリラックスして過ごすことを心がけてみましょう。
一方で、上述した大腸がんの疑いのある細いうんち以外で細いうんちになる原因には、食物繊維が足りていないことが挙げられます。例えばダイエットなどで食べる量を制限し過ぎていることや、うんちの材料になる野菜や食物繊維もしっかり摂ることを心がけてください。
また、ドロドロで刺激臭のあるうんちは、肉類や脂肪分が多い食事が原因で悪玉菌が増えすぎている可能性があります。オナラが臭いのも、腸内の悪玉菌が硫化水素、インドール、スカトールなど悪臭の原因となる物質を活発に放出している結果です。何れにせよ野菜や発酵食品を多く摂り、腸内環境を整えることが大事です。
便の改善方法
特に硬い弁が続く人に試してもらいたいのが小まめな水分補給です。便が固くなる原因は、腸内に長時間いるためですが、小まめに水分補給することでその問題を軽減することができます。その際に飲むものを温かい白湯にすれば腸が刺激されて、より便が排泄しやすくなります。またオリゴ糖を摂取することで便の排泄を助け、便秘や状態が悪い便を改善する効果があります。
一方でカフェインやアルコールを控えることも必要です。これらは強い利尿作用があるため体内の水分が一気に排泄されてしまい、便の水分が不足してしまいます。
東洋医学で診る「便秘症」
東洋医学で便秘は、大便秘結(だいべんひけつ)や大便不通(だいべんふつう)」と言います。一方で排便困難は、排便の周期は正常であるが、排便がスムーズに行われていないことことで、
数日間排便がない便秘とは異なります。
そして便秘には、胃腸に熱が籠ることによって起こる便秘の「陽明実熱(ようめいじつねつ)」や、感情の起伏によって起こる便秘の「肝鬱気滞(かんうつきたい)」「肝火上炎(かんかじょうえん)」などがあります。
陽明実熱(ようめいじつねつ)
陽明実熱(ようめいじつねつ)は、諸病源候論に大便が通じない者は、熱が腸胃に入り、津液を枯渇させ、糟粕(便)が通じなくなる、と記載されています。
東洋医学では、胃腸を陽明(ようめい)胃と陽明大腸とし、この陽明は人体の機能に働き、運動性、熱性に富む陽気が最も盛んな所であり、気と血が多い(多気多血)と考えられています。ここに邪(六淫:病を起こす風・寒・湿・熱・燥・火)が侵入すると、気血の流れが停滞し、そこから熱化、人体の体液(津液)が消耗し、腸胃が乾燥し便秘を発症すると考えます。
主な症状としては、便秘だけでなく、お腹の膨満感、腹痛、夕方に熱が出る、多汗、尿が濃い、冷たい物を欲する、口臭、呼吸が粗いなどが挙げられます。何れにせよ、腸胃の滞りの排除や熱をさばく為に、下さすように大便を通じさせる(攻下泄実)ことが必要です。
肝鬱気滞(かんうつきたい)、肝火上炎(かんかじょうえん)
肝鬱気滞、肝火上炎は、症因脉治に怒りは気を上げ、思いすぎは気を結ぶ、憂悲思慮は諸気を塞いでしまう。気が大腸で塞がれば、大便は秘結するとあります。
つまり悩みや心配事、イライラが続く事によって肝の気を動かす働き(疏泄)が失調して気が滞り、臓腑の動きが停滞して便秘になったり、肝火(過度の情緒の乱れから、肝の気が炎上した病態)して、肺が侵されてしまうことで粛降(気を降ろす)機能が失調し、表裏関係の大腸の伝導(便を排泄させる)機能も失調した結果便秘となると考えます。
主な症状には、便秘、抑鬱感、イライラ、胸や腹が張る、頭痛、目が痛む、咳が出る、胃の不調などが挙げられます。何れにせよ、気の滞りを散らして気を降ろし、便が出るようにさせます(降気通便)。
脾肺気虚(ひはききょ)
脾肺気虚(ひはききょ)は、脾と肺が弱ったことによる便秘で、黄帝内経素問には、太陰が司天となれば、湿気が旺盛になって雲が広がり、雨が異常に降り、草木を枯らしてしまう。人々はこの時に、大便が出にくい、食欲がない等の症状が出てくる、と記されています。五臓の一つで、栄養物を全身に運んだり、血液を調節したり、内臓が下垂・弛緩しないようにしたり、肺に精気(食物からつくられた気)を送る役割が脾にあります。
この脾が弱ることで、大腸の伝導力が弱まったり、肺に精気が送られず肺も弱ってしまい、その結果、肺の表裏関係である大腸が弱って便秘が起こります。主な症状には、便秘、排便時に汗が出て疲労する、脱肛、息切れなどが挙げられます。治療は、脾肺を助け、併せて腸を潤します(補益脾肺・潤腸)。
脾腎陽虚(ひじんようきょ)
脾腎陽虚(ひじんようきょ)は、脾と腎が弱ったことによる便秘です。先述した脾の弱りと、生殖・成長・発育の機能を持ち、二便を調整する腎が弱ることで、体の機能全般が弱り、その結果、大腸の伝導力が弱って便秘が起こります。この場合は頻尿多尿となってしまい、体液(津液)が不足し、大腸が熱化してしまうのも原因となります。主な症状としては、便秘、多尿、寒気、顔色が青黒いなどが挙げられます。治療は、脾と腎を補うことになります(補益脾腎)。
便秘に効くツボ
便秘に効く手のツボとして有名なのが、合谷(ごうこく)です。合谷は万能のツボとも言われています。 反対側の手の親指と人差し指ではさむように刺激しましょう。 左右両方を刺激すればより強い効果が期待できます。
合谷(ごうこく):親指と人差し指の付け根の中間のあたり、手の甲側にあり、骨と骨の間
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。