天気痛と偏頭痛(低気圧と台風)

    天気痛と片頭痛

    大型台風による急激な気圧の変化によって、頭痛だけでなく肩首こりが酷くなる方のご来院が多くなっています。特に台風が強ければ、気圧が低くなるため体の不調を感じられる方が多くいらっしゃます。

    また、天気が悪いと体調が悪い、曇りの日に頭が痛くなるという方など、その症状は「天気痛」と呼ばれています。多くの人が「天気痛」を自覚しており、自覚していない方も含めると推定1千万人以上と推定されています。

    症状が出る理由は、天気が悪くなると気圧が下がるためと考えられています。気圧を感じるセンサーである内耳には、平衡感覚を司る「前庭器官」があり、その中にリンパ液で満たされています。気圧が変わると、このリンパ液が揺れることで変化を感じ、「前庭神経」が反応することから生じます。

    つまり、気圧の変化が起きると「前庭神経」がつながる「前庭器官」がその情報をキャッチして興奮します。するとその近くにある「三叉神経」が刺激され、神経伝達物質を放出します。これに反応し、脳の血管が拡張することで炎症物質が放出され頭痛につながります。このメカニズムを世界で初めて発見して、「天気痛」と名付けたのが愛知医科大学内科医の佐藤医師です。

    天気痛になりやすい方の特徴として、内耳が敏感な人、例えば飛行機に乗った時に詰まるような感じなる人は注意です。また乗り物酔いしやすい人も気圧の変化を感じやすいそうです。また女性は男性よりも筋肉量が少なく、気温の変化を受けやすいことや、月経や更年期など女性ホルモンの乱れに影響されることが多いと言われています。

    偏頭痛も同じ原因

    天気の変化によっても生じる「天気痛」は、特に梅雨の時期、台風の上陸など急激な気圧の変化が頭痛の原因となるケースが多くなっています。一方で片頭痛は、ストレス、緊張、疲労、睡眠不足などで生じますが、はっきりとした原因は分かっていません。

    先述した佐藤医師によると「天気痛の根本治療には、自律神経の働きを整えることが重要」と述べています。つまり片頭痛も同じく、血管の拡張と神経の刺激によって引き起こされるため、血管や神経の働きを司る自律神経のバランスを整えることによって、片頭痛の症状を軽くできると考えられます。

    また、女性ホルモンの乱れ、ストレス、疲労なども、偏頭痛の誘因とされており、特に週末など心身のストレスから解放されたときに急に血管が拡張することで偏頭痛が起こることがあります。

    いずれも、天気痛のように、刺激を受けた三叉神経から、神経伝達物質が放出され、血管の周りに炎症が起こり、さらに血管が拡張して、この刺激が大脳に伝わって痛みとして認識されることで偏頭痛が発症します。

    天気痛と偏頭痛の改善

    以上から、偏頭痛に対しては、痛い頭への直接鍼をするのではなく、頭以外の場所に施術することで、頭へ血液が行き過ぎないようにします。頭の方に集まった血液を散し、血管が拡張しないようにすることで痛みを改善します。

    具体的には、まず主に首肩背中の筋肉の緊張を取り除き、血流を改善して痛みの原因にもなる体の冷えを取り除きます(お灸やラジオ波なども利用)。また東洋医学に基づいたツボの状態や反応から全体のバランスを整えることで、自律神経のバランスを整えます。このように免疫力や抵抗力を改善し、自然治癒力によって根本的な改善を目指します。全身的な治療をすることで、治療後の良い状態を保ちやすくなります。

    偏頭痛には足のツボ

    脈に合わせてズキン、ズキンとした痛みの偏頭痛は頭部の血管が拡張し、炎症を起こして痛みが発生する頭痛で、男性より女性に多いと言われます。偏頭痛を誘発する食べ物は、赤ワインやチョコレートなどのポリフェノールが豊富な食べ物。頭の血管を拡張するので控えましょう。辛い偏頭痛には、直接頭のツボを押すのではなく、足にあるツボが効果的です。

    ○陽輔(ようほ):ふくらはぎの外側、外くるぶしから親指の幅4本分上のところ

    効果:偏頭痛、冷え性や立ちくらみ、腰痛、坐骨神経痛に効果

    ○陽陵線(ようりょうせん):膝の外側で、お皿の下にある、丸く飛び出した骨の真下

    効果:筋肉や関節の炎症・熱・腫脹・痛みを抑える作用

    偏頭痛のツボ

    「陽」とは足の外側部を指し、どちらのツボも足の外側にあります。代謝を高め、体を温めてくれる陽陵線は痛みを緩和する働きがあります。陽輔は水や気の流れを良くする働きがあり、どちらも頭痛に効果的です。

    緊張性頭痛

    頭痛には種類があり、それぞれに対処法も変わり、間違えた対処法は頭痛を悪化させますのでご注意ください。今回は頭痛の中で1番多い緊張性頭痛のツボを紹介します。

    首から肩、後頭部周辺の筋肉が収縮して血行が滞ることで、溜まってしまった乳酸などの老廃物が神経を刺激して起こります。デスクワークなど長時間同じ姿勢を続けていると起こりやすい頭痛です。

    ・特徴

    頭全体が締めつけられるように痛む。
    一定の痛みが長時間続く。
    体を動かすことで痛みが軽くなる。
    目の疲れ、肩や首のこりを伴う事がある。

    ・対処法

    血管の収縮が原因で起きるので、まずは血行をよくすることが大切です。体を温めて筋肉の緊張をほぐし、血行を促しましょう。

    ・緊張性頭痛に効くツボ

    緊張性頭痛に効くツボ

    ○肩井(けんせい):乳頭から真上に手をすり上げ、肩の一番高いところを押して痛みを感じるところが肩井です。

    ○風池(ふうち):首の後ろの左右のスジに指をおき、指をすり上げていきます。髪の生え際まできたら、左右外側のくぼみでいちばんへこんでいるところが風池です。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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