
加齢に伴って女性が感じる心身の変化には、女性ホルモンが大きく関係しています。ホルモンの役割は、体内で分泌される物質で様々な器官や組織をコントロールすることです。特に体のリズムに大きな影響を与えるのが女性ホルモンです。
この女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があります。
女性の美しさや健康の源(エストロゲン)
エストロゲンは、妊娠に不可欠な卵胞を受精卵へと成長させるホルモンですが、骨の密度を保ち、血管を強くして動脈硬化を防ぐ役割、また血圧やコレステロールをコントロールする作用もあります。
40歳を過ぎると、エストロゲンの分泌量が減少するため、骨密度が低下し骨の質も劣化して骨が脆くなります。女性特有の骨粗しょう症は、50歳以上の女性の約24%がこの病気になるといわれています。エストロゲンとよく似た働きをする大豆由来成分エクオールを摂取することで、骨粗しょう症の減少を食い止めることができることが分かっています。
またエストロゲンは肌や髪の潤いを守ってくれ、女性らしさを引き出すホルモンでもあります。このように女性の美しさや健康はエストロゲンによって守られています。
基礎体温を上昇させる働き(プロゲステロン)
プロゲステロンは妊娠のために子宮内膜を整えたり、基礎体温を上昇させる働きがあります。主に妊娠を継続させる働きを担い、その他にも美容や健康に重大な影響を与える作用があります。
例えば、体脂肪や血糖値の数値を下げる、利尿作用、体内のホルモンバランスの調整など、その働きは様々です。また腰痛や腹痛、イライラなど、生理前に体に変化が現れるのは、プロゲステロンの影響だと言われています。
ホルモンバランスの乱れ
生理周期の中でプロゲステロンの分泌が急激に多くなる時期を「黄体期」、エストロゲンの分泌が盛んな「卵胞期」と呼びます。この2つのホルモンの分泌量に急な変化(ホルモンバランスの崩れ)が生じることで、気持ちが不安定になったり、気分の落ち込みやイライラを感じやすくなります。
また、体温が高めになるため、眠気やだるさを感じる方もいます。さらに肌荒れが起きやすくなり、胃腸の調子が悪くなる方も多いため、吹き出物やにきびが出来ることもあります。
このように女性ホルモンの分泌量の変化は、自律神経にも影響しその結果、自律神経自体のバランスも不安定になってしまいます。自律神経の乱れによるホルモンバランスの乱れは、手足の冷え、生理不順、更年期障害、便秘、生理不順、ほてり、不妊症、倦怠感、イライラなどの様々などの様々な不定愁訴の症状に繋がります。
成長ホルモンも大事
大人にとっても成長ホルモンは大事で、別名「若返りホルモン」とも言われ、肌や身体の健康にとって重要な役割を担います。また成長ホルモンは女性ホルモンと違い、いくつになっても分泌して細胞の修復や再生を担う大事なホルモンです。
この成長ホルモンは、質の高い睡眠によって分泌が促進され、コラーゲンの産生、肌のターンオーバーに関わるだけでなく、疲労回復、免疫力アップ、さらには体の脂肪が燃えやすい状態へと変えてくれます。その結果、翌日運動すると、脂肪が燃えやすいため痩せやすく、かつ健康的な体質づくりに繋がります。
特に寝始めの最初の3時間に深い眠りになっているかどうかで、成長ホルモンの分泌量は決まります。成長ホルモンを沢山分泌させるための質の高い眠りにつくための方法を紹介します。
成長ホルモンの分泌を促す方法
加齢によって女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少するため、美しさと健康を維持する為にも、しっかりと成長ホルモンの分泌を促しましょう。そのための方法を、いくつかご紹介します。
血糖値を下げましょう
血糖値が高いままだと深い睡眠になりません。例えば寝る前に食事をすれば、寝つきが悪くなるのは、消化に血液が使われるからです。少なくとも2から3時間前には食事を済ませましょう。糖分は睡眠の質を良くしてくれますが、寝る直前に食べてしまえば血糖値が上がる原因になります。
体温を上げましょう
寝た後に体温が下がっていくことで睡眠は深くなります。そのため寝る前にお風呂に入ってしっかり体を温めておきましょう。コツは指先や足先を布団から出しておき、末端の毛細血管から放熱することで体温を下げることができます。お風呂上がりは少しゆっくり本を読むなどして、体温が下がり始めた時にお布団に入るとスムーズな眠りになります。
30分以上の昼寝はNG
30分以上昼寝をしてしまうと深い眠りになることで、夜の睡眠の質が下がることが分かっています。10分から20分程度の睡眠は脳の認知機能や疲れが改善し、30分以内の昼寝で体内の炎症が改善されます。
夜にカフェインを取らない
コーヒーなどに含まれるカフェインの効果は最低でも4時間、長くて6時間続きます。特にカフェイン過敏な人は眠れなくなるため、夕方以降は摂らないようにしましょう。
成長ホルモンの分泌を促すツボ
成長ホルモンを分泌させるために、深い眠りを促すツボを紹介致します。
風池(ふうち):後頭部にある髪のはえぎわ

失眠(しつみん):かかとの真ん中

成長ホルモンをしっかり分泌させることで、肌の代謝が促進され美しい肌へと導きます。ぜひ活用してみてください。
自律神経を整える鍼灸
女性の方の多くは、冷え症で悩まれる方が多くいらっしゃいますが、冷えの原因に自律神経の乱れが関わっている場合があります。まず自律神経の乱れると血行が悪くなります。血行が悪くなると、特に心臓から遠く離れた手や足の指先ほど、血液が流れにくくなり、手足に冷えが生じやすくなります。血行不良や低体温は、自律神経の乱れを知らせるアラームのようなものです
鍼灸施術は、ホルモン分泌の乱れが原因となって生じる不妊症、生理不順、更年期障害などの婦人科系疾患ついては、世界保健機関(WHO)より、その効果が公式に認められています。自律神経機能を整え、身体の免疫力を高めることができるのが鍼灸治療です。自律神経が整うことによって、血行が改善され、生殖器官への血行不良も改善されるようになります。生殖器官の働きが改善されれば、ホルモンの働きも正常な状態に戻り、ホルモンバランスが安定するようになります。
施術においては、自律神経やホルモンバランスを整えるツボを選んで施術することになりますが、お客様の体質に合わせて、悩んでいる身体の様々な不調に合わせて適切なツボを選び、施術を行ってまいります。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。