新月と満月の東洋医学

    新月と満月の東洋医学

    月の満ち欠けが体調に影響を及ぼすと考えられています。東洋医学では人と自然は大きく関係しており、中国医学の黄帝内経には、「月の満ち欠けが人体に影響を与える」と書かれています。また患者の治療法については、「天と地にはその巡り方に法則がある。その天光(太陽・月・星)に合わせるべき」とあります。

    例えば太陽については、1年を太陽の位置で分ける二十四節気、それに従った体づくり、鍼の刺し方が指南され、月についても同様な法則があります。

    満月(まんげつ)は夜にしかでない「完全な丸い形の状態の月」のことです。

    新月(しんげつ)は昼にしかでない「何も見えない状態の月」のことです。

    月と太陽の間に地球が一直線に並んだ状態が満月で、地球と太陽の間に月が並んだ状態が新月です。


    新月 ( 天文学 ) – 徒然随想録 – Yahoo!ブログ

    新月は、地球(昼)から月を見たときに太陽からの光が当っていないので見えないのです。

    2023年の新月カレンダーは以下になります。

    2023年新月
    1月1月22日(日)5:54
    2月2月20日(月)16:07
    3月3月22日(水)2:24
    4月4月20日(木)13:13
    5月5月20日(土)0:54
    6月6月18日(日)13:38
    7月7月18日(火)3:32
    8月8月16日(水)18:38
    9月9月15日(金)10:40
    10月10月15日(日)2:56
    11月11月13日(月)18:28
    12月12月13日(水)8:33

    そのような法則の中で、体調については、満月では気血が充実して、肉体が堅く引き締まります。新月では、気血の動きが鋭くなり、体表を守る力も巡りやすいと考えます。つまり満月と新月でケア方法に違いがあり、満月では溜まった気血を巡らせるケアをし、新月では、体調を整えるケアを行います。

    月の状態ケア方法
    新月から満月の時満月に向かい、少しずつ体のエネルギーが増えて、全身を気が巡り始め、体調も上向きます。様々なものが満ちていくので、不足を補うような体のケアは不向きです。
    満月の時補いすぎると気血が浮き上がってあふれ、鬱血や気分のつまりが生じます。溜まっているものを流し巡らせる方法が必要になります。
    満月から新月の時満月でエネルギーが充満し、活発に活動した後は回復させる循環ケアが必要です。
    新月の時  さまざまなものが動いているので、気血などを強く動かすようなケアは不向きです。動かしすぎると、エネルギーである気が消耗し、臓腑が弱ってしまいます。

    これをどうやって応用する??

    月の満ち欠けと体調の関係性を知ることで、体の調子を整えるタイミングがわかります。例えば、ダイエット。

    満月の頃は蓄えて充実する傾向があるので、なかなか体重が落ちません。逆に新月の頃は、循環がよいので体重が落としやすいタイミングです。一方で吸収する力が最大限に強まりますので、暴飲暴食は要注意が必要です。この時期は、溜め込む力が強く、むくみやすく太りやすい時期です。

    スキンケアはパックや美容液など普段より少しスペシャルなケアを行うと◎

    新月の過ごし方

    【Body】
    新月は不要なものを排泄しようという働きが高まる時。体内の浄化や解毒(デトックス)に取り組むのに適しています。水分をたくさん摂りましょう。肌は乾燥しやすくなるのでパックや美容液などでしっかりと保湿してください。また、悪い習慣を断ち切るのにも適していますので、新しい目標を立てるのも良いです。例えば、禁酒や禁煙をスタートする!など。

    【Mind】
    今までの活動がひとつ実ったり、転機や始まりを迎えます。インスピレーションが冴えて、決心したことが現実化しやすい時です。新たなものを取り込むために、部屋を掃除したり、静かに瞑想したりして、身の回りの空間や心の中をクリーンにしておきましょう。岩盤浴や半身浴、鍼治療など血行を良くすることがこの時期は特に適しています。

    デトックスの意味

    デトックスと言うと何を体の中から外に排泄することだと思いますか。よく言われているのが毒素ですが、その毒素って何だろうということも考えていきましょう。

    体の中に溜まっている毒素として、例えば食品添加物や農薬などが有名です。しかし日常的に摂取してしまっている毒素は食品添加物や農薬だけではありません。その他にも食品添加物や農薬に加えて着色料、トランス脂肪酸、特に鉛などの重金属は非常に厄介な毒素です。重金属には、鉛、水銀、ニッケル、ウラニウム、ヒ素、カドニウムなどがあります。これらの重金属は猛毒であり、例えばこれらの少量の毒に短時間晒されるだけでミトコンドリアのエネルギー生成を損ない、ミトコンドリアの死滅を増大させることが分かっています。ある研究によれば、ミトコンドリアを重金属に3時間暴露しただけで、重度のミトコンドリア機能不全が起こったことが分かっています。さらに48時間の暴露ではエネルギーの生成が50%も低下することが分かっています。

    さらに重金属が体に溜まってしまうと免疫力が低下し、甲状腺機能を低下させ、目に見えない細胞の損傷を引き起こすことも分かっています。年々疲労感が増し、頭が冴えなくなるように感じる原因は、単に加齢ではなく、実際には重金属の蓄積が体に必要以上の負担をかけ、老化を早め、疲労感が増し、頭が冴えなくなります。

    汗をかく

    デトックスで最初に試して頂きたいのは、シンプルに汗をかくという方法です。汗をかくことで重金属以外にも、農薬とか食品添加物といった毒素が汗と一緒に排出されることが分かっています。例えば2012年に50件の研究報告を体系的に調査したレビューでは、汗をかくことが、鉛、カドミウム、ヒ素、水銀の除去に役立つということが明らかになっています。

    運動以外で効率的に汗をかく方法が低温サウナや赤外線サウナを利用することです。低温サウナや赤外線サウナは強制的に大量の汗をかくことができるため、デトックス効果も高いと言えます。他にも岩盤浴、酵素風呂、砂風呂、ホットヨガなどでも、しっかりと汗をかくことができれば一定の効果を得ることができます。

    ただし、汗をかく際の注意点があります。それは汗をかくと体内から電解質と微量ミネラルが失われることです。そのため汗をかいてデトックスする時などは、水分と塩を補給する必要があります。そして汗をかいた後はしっかりと栄養のある食事をする必要もあります。

    東洋医学に診る、デトックス

    東洋医学では、体内の毒素や老廃物を『三毒』と呼び、「食毒・水毒・血毒」の3つの種類に分けています。

    食毒添加物、農薬、薬など以外にも、消化不良による食べ物の腐敗、胃腸の汚れ、便秘などで便が停滞することによる毒など。
    水毒水分が体内に滞り、代謝がうまくできていない状態で、溜まった水分が浮腫みなどを引き起こす
    血毒血不足、ドロドロ、血行不良による毒

    私たちの体には、有害物質を取り除く機能である肝臓や腎臓があります。しかしこれらの働きが悪くなり、体内から毒素や老廃物を排出されにくくなると体にどんどん蓄積されていきます。特に体に害を及ぼす重金属や化学物質がアレルギーなどを引き起こす原因になっているとも言われています。

    そのためにデトックス「解毒」しようとなるわけですが、実は汗をかいてもデトックスされないということが分かっています。その研究によると大量に汗をかいたとしても体内に取り込まれた有害物質の1%すら排出されないという結果になっています。本来のデトックスは排尿や排便のみで行われており、その比率は排尿20%、排便75%以上を占めています。

    そのため、老廃物や有害物質を排出するために肝臓や内蔵の働きを整えること、特に腸内環境を整えることがデトックス本来の姿です。

    デトックスには食物繊維

    便通を良くする最も有名な食物繊維は、体内の毒素を排出してくれる働きがあることに加え、便を柔らかくして便のカサを増やし、腸の動きを活発にし、排便を促進してくれる栄養素です。また食物繊維は、腸の善玉菌の餌となり、腸の善玉菌を育て、腸内環境が整うことで悪玉菌が有害物質を作るのを防いでくれます。

    食物繊維は、食品に含まれる消化されない炭水化物のことであり、小腸で消化吸収されずに大腸まで達する食品成分です。この食物繊維には、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維があり、この両方をバランスよく摂取することが重要とされています。

    また、善玉菌は酢酸プロピオン酸、酪酸などの炭酸脂肪酸を作り出し、結腸の細胞に 栄養を与え、腸の炎症を軽減し、過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎などの消化器疾患を改善する効果があります。

    これら以外にも、食物繊維の摂取量が多い人は少ない人に比べて、早期死亡率がなんと23%を低下、さらにがんの発症率は17%ほど低下するということが研究によって分かっています。食物繊維の摂取量が1日10g増えるごとに早期の死亡率が11%ずつ減っていくことが分かっています。また9万人以上の日本人を対象とした研究でも同様 の結果が報告されており、食物繊維の摂取量が多い人は、摂取量が少ない人に比べて 男性で23%、女性で18%死亡リスクが低いということが明らかになっています。

    モディファイドシトラスペクチン(MCP食物繊維)

    このMCPが、重金属の除去や若々しさの保持に驚異的な力を発揮することが分かっています。ある研究では、毎日約15gのMCPを5日間飲んだところ、被験者の脳から排泄される金属が大幅に増加したという結果が得られています。 具体的には、体から排出されるヒ素量が130%超え、カドミウム量は50%、鉛量は560%も増えました。さらにMCPは体内でがんが増殖する能力を弱めることも分かっています。

    梅流し

    梅干しと大根を一緒に煮て食べる「梅流し」というデトックス方法があります。この梅流しというのはよく断食の最終日に用いられることが多い食事法です。

    梅流しに含まれている梅干しには、クエン酸が豊富に含まれており、腸を適度に刺激して便の排泄を促す効果があります。そこに合わせて大根を摂取することによって豊富な食物繊維を摂取することができるため、便秘改善に非常に効果が高いと言われています。また腸内環境が乱れている人が梅流しを食べることで一気に腸内環境を改善させることができると考えられています。

    スパイスのデトックス効果

    スパイスは自然の力が凝縮された薬効の高い食べ物であり、インドでは実際に薬として使われています。スパイスはそれぞれ異なる効能を持っていますが、共通している のは消化、吸収、排泄を担う内臓機能を向上する効果です。内臓機能を向上させることによって、速やかに体内の毒素を外に出すことできます。

    ターメリック

    代表的なスパイスとして挙げられるのが、ターメリックです。ターメリックはカレーの黄色い色の元となっているスパイスであり、インドでは古くから薬草としても使われてきました。近年、ターメリックには薬効のあるクルクミンが含まれており、強力な抗炎症作用を持ち、かつ非常に強い抗酸化作用があることが分かっています。また新陳代謝を促し、血液をサラサラにする効果やデトックス効果があります。またクルクミンは、認知症のリスクを減少、脳機能の低下を抑えてくれる効果があるとされています。

    コリアンダー(パクチー)

    コリアンダー(パクチー)は、栄養価も非常に高く、解毒作用を持つ硫黄化合物も含んでいます。コリアンダーとパクチーは同じ植物であり、葉っぱを生野菜として使用する場合はパクチー、香辛料として種子を乾燥させてパウダー状にしたものをコリアンダーと言います。

    このコリアンダーは消化と腸の健康を促進してくれるということが示唆されています。過敏性腸症候群の22人を対象とした8週間の研究では、1日3回30滴のコリアンダーエキスを服用すると、プラセボグループと比較して腹痛、膨満感、不快感が著しく 減少するということが分かりました。またコリアンダーには、免疫力を高めてくれたり、老化を抑えてくれる抗酸化物質が豊富に含まれており、体内の炎症が減少するということも示されています。さらに抗酸化物質が肌の老化を促進させる細胞のダメージや紫外線による肌のダメージを防ぐのに役立つとされています。

    シナモン

    シナモンはスパイスの王様とも言われ、漢方の生薬としても用いられているほど素晴らしい健康効果が認められています。血管をツルツルにしてくれたり、血流を促進してくれるということがまず挙げられます。細胞に十分な酸素や栄養素が届けられることで、肌がきれいになったり、髪がツヤツヤになったりといった美容効果が期待できます。またシナモンには抗酸化物質が多く含まれており、特にポリフェノール系の抗酸化物質が豊富に含まれているということが分かっています。

    女性ホルモンと月の関係

    月の満ち欠けには大きく分けて満月、下弦の月、新月、上弦の月があります。一方で女性ホルモンにも月経期、卵胞期、排卵期、黄体期があります。女性の月経周期は平均すると29日前後と言われており、新月と満月の周期とほとんど同じです。つまり女性ホルモンによる月経周期は、月の満ち欠けに大きく影響を受けていると考えられます。このように潮の満ち引きと同じように、60~70%が水分でできている体は、月の引力の影響を同じように受けているのです。

    女性ホルモンと自律神経の関係

    自律神経は、私たちの脳にある視床下部というところでコントロールされています。この視床下部のコントロールによって脳下垂体で様々なホルモンを分泌されています。逆にこのホルモンによって視床下部は影響を受けて自律神経の働きに影響を及ぼします。つまりホルモンのバランスが乱れると自律神経も不安定になります。
    一方で女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があり、脳下垂体からの刺激によって卵巣から分泌されます。エストロゲンは卵胞の発育などの生理作用だけでなく、骨を強くする、血管壁を緩めてコレステロールを下げる働きなど心臓疾患系のリスクを防いでいます。

    この2つのホルモンに大きな変化が起こるのが思春期、妊娠や出産の成熟期、閉経を迎える更年期です。特に更年期は、卵巣機能が低下してホルモンのバランスが崩れやすくなり、自律神経の乱れにつながります。また脳の認知機能を維持することも知られています。このようにエストロゲンには多様な作用があり、一生涯を通じて心と体の健康維持に働いています。
    この女性ホルモンと関係が深いのが自律神経失調症です。女性の社会進出に伴い仕事と家庭の両立などのストレスによって自律神経が上手くコントロールできないことで、動機、めまい、ほてり、頭痛、胃痛、吐き気、筋肉痛、疲労感、倦怠感などの身体的症状(不定愁訴)が現われます。

    ストレスが脳の視床下部に影響を及ぼし、卵巣のエストロゲンの分泌が低下すると考えられており、またストレスが交感神経を活発にさせることにもなります。さらに交感神経は卵巣にも分布しており、その影響によっても卵巣からのエストロゲンの分泌も低下させてしまいます。

    ホルモンとメンタルの関係

    加齢とともにホルモンの量が減少し、それが老化に繋がっていくことが分かっています。例えば女性ホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンがあり、このようなホルモンが私たちをいつまでも若々しくさせてくれています。

    一方で男性ホルモンには、テストステロンがあり意欲を保ってくれる重要なホルモンです。その他にも、ドーパミン、メラトニン、セロトニン、オキシトシンなどの重要なホルモンがあり、こういったホルモンもしっかりと分泌させてあげることが大切です。また老化に伴い、病気になりやすくなる原因の1つもホルモンの低下であると考えられています。

    老化によってホルモンが減少してしまうのは仕方のないことですが、人によってその度合いには大きな差があります。もちろん遺伝による影響等はありますが、大切なのは日々の習慣です。

    ホルモンの減少をできる限り食い止める方法の1つが筋トレです。筋トレには様々な効果がありますが、その中で認められているのがホルモンを増やす効果です。最も知られている効果が、メンタルに良い影響を与えてくれる様々なホルモンや神経伝達物質が分泌されることです。

    その中で分泌される大切なホルモンとして、テストステロンがあり、怒りや不安などのネガティブな感情を落ちつかせるなどの精神状態の安定につながります。さらにはモチベーションアップ、多幸感の元になるドーパミンの産生を促すなどの効果があります。他にも幸福物質のドーパミンや気分を高揚させるセロトニンも分泌させることができます。セロトニンは心と体を安定させ、幸せを感じやすくするホルモンであり、活動的な思考、アンチエンジング、直観力を高める効果が期待できます。さらに筋トレでエンドルフィンも分泌され、簡単に幸せになることが分かっています。

    体質改善を行いたい方、ご不安な方、ハリニーではお一人おひとりに合った治療を行っております。ぜひご相談ください。

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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