若返りの秘訣オートファジー

若返りの秘訣オートファジー

今回は、2016年ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅博士が発見した、老化した細胞が若返るという話です(タンパク質の自食作用と呼ばれる身体の仕組み)。その鍵となるのが、「オートファジー」です。オートファジーとは、古くなった細胞を、内側から新しく生まれ変わらせる人間がもともと持っている体のしくみのことです。

オートファジーが注目されるのは、多くの病気、感染症の予防などに深くかかわっていることが分かってきたからです。例えば、オートファジーには腫瘍(癌)抑制効果があり、癌を予防する可能性があります。異常細胞ができた場合、これを分解してリサイクルすることによって、腫瘍が増殖していくのを抑えることが考えられます。

研究が進めば、病気の画期的な予防法や治療法の解明につながると期待されています。
ただし、オートファジーは、食べ物により栄養が十分にある状態では、ほとんど機能しません。しかし、最後に食べ物を口にしてから16時間たつと、いよいよオートファジーが活躍し始めます。

オートファジーの役割

私たちの体を維持するためには、毎日約300gのタンパク質が必要とされています。しかし、実際に食事で取れるタンパク質は80g程度にしか過ぎません。

実は、この不足しているタンパク質は、オートファジーによってリサイクルされたタンパク質を利用しています。

オートファジーの役割
https://jho.jp/2020/05/25/autophagy/

オートファジーの仕組みは、細胞内のタンパク質を食べてアミノ酸に分解し、アミノ酸から必要なタンパク質を作り出すという巧妙な仕組みが明らかになりました。またタンパク質を作り出すだけではなく、オートファジーは細胞内の掃除屋としての役割もあります。

細胞内ではタンパク質などが常に合成されており、上手く合成されなかったものは、ゴミとして蓄積します。そのため細胞内にはオートファジーとユビキチン・プロテアーム系という二大分解系が存在し、定期的に細胞内を掃除してくれるという仕組みも備わっています。16時間の空腹を作ることで不要なものや老廃物が一掃され、全身の細胞が活性化し、肥満の解消はもちろん、病気になりにくい若々しい体になります。

オートファジーを機能させるためのポイント

睡眠時間を含めると比較的16時間の空腹はつくりやすいです。例えば、夜19時までに夕食を済ませれば、翌11時で16時間となります。オートファジーのスイッチが入るには、少なくとも16時間の絶食が必要で、お腹を空にしておく時間が長いほど、体内クリーニングと体内リセットが頻繁に行われます。

また、空腹時間中でも食べていいものと飲んでいいものとして以下があります。

  • 無塩ナッツ
  • 生野菜サラダ
  • チーズ
  • ヨーグルト
  • お水
  • ブラックコーヒー

日常的に、オートファジーのスイッチを入れる生活を送っていると、疲労予防、あらゆる病気の予防、老化予防などにつながります。そのためには、過食・飽食を避けて、シンプルな食事にすることが大切です。過度の負担を内蔵に与えないために、加工度の高い食品、農薬が多く含まれるもの、動物食品などは、極力控えることも心がけて下さい。

プチ断食と軽い運動を組み合わせる

空腹時に運動を行うことでオートファジーがより活性化することが分かっています。運動で筋肉を動かすと、その部位にオートファジーが起こりやすくなります。運動と言っても、過激な運動ではなく、1回20分程度の全身の筋肉を軽く動かす運動を空腹時に週2回程度行えば良いです。

空腹時をつくりオートファジーを誘導し、内臓を休めることの唯一の欠点は筋肉が落ちてしますことです。なぜなら空腹時間が長く続くと、血液や筋肉、あるいは肝臓の中に蓄えられていた糖質が分解され枯渇します。そのため筋肉(タンパク質)を分解してエネルギー源にしようとするため筋肉が落ちてしまうのです。筋肉量の低下を防ぎながらオートファジーをよりいっそう促し、健康を維持することが重要です。

腕立て伏せ、腹筋、スクワットなどがオススメですが、階段昇降は有酸素運動と下半身の筋トレを同時に、しかも簡単に効果的に行うことができる非常に優れた運動です。

アンチエイジングは内側から

シワやたるみ、くすみ(STK)などといった加齢に伴う様々なお肌のトラブルを改善し、いつまでも美しくありたいという願いを叶えること、その一方で、病気にかかるリスクを軽減してより健康に長生きを目指すことを背景に、アンチエイジングが重要な意味を持つようになっています。

アンチエイジングのための様々な美容法、化粧品、健康法などが世の中にありますが、外見だけをいくらキレイにしても、内面の美しさや健康を伴っていなければ、一時的な効果に限定されてしまいます。アンチエイジングのためには、運動、食事、水分補給、睡眠などといった生活習慣の改善が大切です。その結果として、外見が若く美しく見えることが理想です。なぜなら、内面のアンチエイジング効果があるからこそ、お肌を美しく健康的に長く保つことができるからです。

また、内面的なアンチエイジングのためには、能動的な人生を送ること大切です。加齢に伴い、多くの人が頑固になったり、頭の柔軟性がなくなっていく最大の原因は、脳の前頭葉の働きが衰えるからです。前頭葉の衰えは、全身の老化の引き金になる“感情老化”の引き金になってしまいます。

感情老化には注意

感情老化とは、感情や意欲、創造性などをつかさどる脳の中の「前頭葉」が老化することをいいます。加齢によって脳が均等に萎縮するわけではなく、前頭葉が最も早く萎縮し、早い場合は40代から始まっているケースもあります。

前頭葉が萎縮すると、怒りが収まらない、意欲が湧かない、柔軟性がなくなるといった「感情老化」の症状が多くなります。特に女性の場合、40歳を超えると感情老化、ホルモンの低下による更年期、神経伝達物質セロトニンの減少によるうつ、とさまざまな変化が同時多発的に起こります。

感情老化は人から意欲を奪い、気持ちを切り替えにくい状態にします。しかも、そのままの状態で放っておくと老化は進行し、身なりに構わなくなって外見も老け込んでしまったり、何かにつけおっくうになって体を動かさなくなったり。全身の老化の引き金になります。

脳に刺激のない暮らしが続くと前頭葉が老化しやすくなりますので、大切になるのが、人とのコミュニケーションです。他の人と話すと、予想外の言葉に対応しなくてはならないため、脳が刺激されやすくなります。また感情老化をさせないためには、初めての事にチャレンジし続けることです。毎回チャレンジすることで前頭葉の働きが活発になっていきます。

感情老化は、身なりに構わなくなり外見も老け込む、何かにつけて体を動かさないなど、ますます老化が進行してしまいます。この感情老化の進行を遅らせるためには、適度な負荷がかかる仕事や運動をすることで、前頭葉の働きを保つことが分っています。能動的な人生を送ること、すなわち新しいことにチャレンジして脳に刺激を送ることが、感情老化を抑えるのに有効です。

軽度なプレッシャーによって内面が若く美しく保たつことが、抜本的なアンチエイジングです。さらに生物学的にも若く見える人の寿命は長くなる傾向があります。そういった方々は、善玉コレステロールが多く、悪玉コレステロールが少ないため、血管年齢が若くなり、病気になりづらく、予防している傾向があります。

老化は一定のペースで進行しない

老化は一定のペースで進行するのではなく、34歳、60歳、78歳で急激に進むという最新研究結果が発表されました(米スタンフォード大学)。その研究では血中のタンパク質の量により人の年齢、老化の度合いが測定できることが分かっています。その量の変化のタイミングが多くの人の場合、34歳、60歳、78歳なのです。

しかし、アンチエイジングを意識した生活習慣を保つことによって、急な老け込みを防ぐことはできます。アンチエイジングの中で最も効果が高いと考えられているのが「空腹状態を保つ」「カロリー制限をする」の2つです。例えば、1日1食にする、腹八分目で抑える、週末にファスティングするなど、日常に取り入れやすい方法で食事制限をおススメします。

老化予防は食事が全て

老化を防ぐためには糖質についてまず理解しなければいけません。この糖質ですが、血糖値が最高値になるまでの時間によって「早い炭水化物」と「遅い炭水化物」に分けられることが最近の研究で分かってきています。この時間が短ければ短いほど体に悪影響を及ぼすことになります。それを分かりやすく示したものが“GI値”です。

このGI値とは血糖値の上昇度合を数値化したものになります。数値が高ければ、血糖値の上昇が速いため、それだけ血糖値を下げようとインスリンホルモンが過剰に分泌されます。これにより一時的に血糖値は下がりますが、低血糖状態となるため疲労感、眠気につながります。

この現象は高GI値炭水化物を食べるとよく起こり、この乱高下を「血糖値スパイク」と呼びます。この状態が長期に渡ると、インスリン抵抗性やメタボリックシンドロームといった2型糖尿病予備軍の状態になります。よって大切なのはGI値の低い炭水化物、玄米や全粒粉パンのような精製されていない炭水化物や茶色い炭水化物を食べることが大切です。また糖質制限が向いていない方もおり、例えば女性で多いのが生理が止まってしまうことがあります。そのため今までの食生活を白い炭水化物を置き換えるだけの茶色い淡水化物(玄米など)を取ることをおすすめします。

一方で、炭水化物を摂る人の方が全死因死亡率が最も低いというデータもあります。全く炭水化物を摂らないと決めつけるのではなく、適度に茶色い炭水化物を摂りつつ、時々断食することで老化を予防するなど、自分の日常生活で取り入れやすい健康に生きる食事法を取り入れていきましょう。

健康の先に美しさがある

医療の最前線にいる医師が「アンチエイジング医学(抗老化医学)」に注目しています。例えば、東京大学医科学研究所は、内臓の抗老化による障害の改善を研究していますし、数多くある大学病院でも美容外科治療には「心の改善を図り、潤いのある充実した生活を提供する重要な役割」があるとしています。

外見、つまり老化の象徴は肌の衰えと考えられがちですが、それは現象の一つであり、老化は体だけでなく心も含めた全身で起きています。だからこそ、老化、長生き、美しさは永遠のテーマとして実践・研究されているのです。

一方で、中国において、いつまでも若く美しく、健康でありたいという美容法の起源は二千年以上遡ることになります。その発展は、主に歴代の医家による実践によって培われ、これまでの思想や手法に現代医学を取り入れ「中医美容」として今に受け継がれています。

「中医美容」は、中国伝統医学(中医学)の理論をベースとして、体の内外両面を重要視する思想のもと、美容と疾病の予防の要素を併せ持つものです。例えば中医学では、お肌にシワやシミ、ニキビ、凝りがある場合、臓腑に疾病が生じて経絡の流れに異常が生じていると考えます。

このような、内部の異常は外見にあらわれるという考え方に基づけば、アンチエイジングにより見た目の若さや美しさを保つには、五臓六腑、陰陽気血の機能を高めるなど、内側からのアプローチが不可欠になります。このようにアンチエイジング分野においては、西洋医学も東洋医学も身体の内側から健康と美容にアプローチすることで、美しく健康的に長生きできることを目指すものとも言えます。

究極のアンチエイジングは自分らしくあること

多くの人が、心と身体を別のものとして考えてきましたが、心と身体のつながりは深く、その関係に気づくことが大切です。私たちが学んできた知識は、とても画一的なものであり、これを心や身体に当てはめようとすると、今度はそれが窮屈に感じてストレスが生じてしまいます。東洋医学を通じて自分の体質を知り、それに合ったライフスタイルを営むこと、その究極の目的は「自分らしくあること」です。

私たちを取り巻く環境は、とても複雑で、様々な情報に溢れ、どう整理すればいいのかわからない状況にあります。自分が何を望み、現状に満足できているのかはっきりしない状況に苛立ちさえ感じてしまうこともあります。そんな時、あなたにとって、気持ちのよい、心地のよいと思うものを見て、聞いて、感じて、触れること、それら五感を研ぎ澄まして、心と身体を透明にすることができれば、人は歳を重ねても美しいものです。

【本コラムの監修】

HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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