若返りの秘訣オートファジー

    若返りの秘訣オートファジー

    今回は2016年ノーベル医学生理学賞を受賞した大隅博士が発見した、老化した細胞が若返るという話です(タンパク質の自食作用と呼ばれる身体の仕組み)。その鍵となるのが、「オートファジー」です。オートファジーとは、古くなった細胞を、内側から新しく生まれ変わらせる人間がもともと持っている体のしくみのことです。

    研究が進めば、病気の画期的な予防法や治療法の解明につながると期待されています。ただしオートファジーは、食べ物により栄養が十分にある状態では、ほとんど機能しません。しかし、最後に食べ物を口にしてから16時間たつと、いよいよオートファジーが活躍し始めます。

    オートファジーの役割

    私たちの体を維持するためには、毎日約300gのタンパク質が必要とされています。しかし実際に食事で取れるタンパク質は80g程度にしか過ぎません。実は、この不足しているタンパク質は、オートファジーによってリサイクルされたタンパク質を利用しています。

    オートファジーの役割
    https://jho.jp/2020/05/25/autophagy/

    オートファジーによって細胞内のタンパク質を食べてアミノ酸に分解し、アミノ酸から必要なタンパク質を作り出すという巧妙な仕組みが明らかになりました。またタンパク質を作り出すだけではなく、オートファジーは細胞内の掃除屋としての役割もあります。

    細胞内ではタンパク質などが常に合成されており、上手く合成されなかったものは、ゴミとして蓄積します。そのため細胞内にはオートファジーとユビキチン・プロテアーム系という二大分解系が存在し、定期的に細胞内を掃除してくれるという仕組みも備わっています。16時間の空腹を作ることで不要なものや老廃物が一掃され、全身の細胞が活性化し、肥満の解消はもちろん、病気になりにくい若々しい体になります。

    内臓をリセットする

    科学的に正しい運動とプチ空腹によって胃、腸、肝臓、あらゆる臓器が健康的な身体づくりが可能です。それが週1回、まとまった空腹時間をつくること、週2回、科学的に正しい簡単な運動をすることです。この2つの組み合わせが、内臓の疲れを取り、機能を高め、弱った体を細胞レベルで修復し、心身の不調や病気を遠ざけてくれます。

    週1回、まとまった空腹時間

    空腹の時間とは、具体的には睡眠時間も含めた食べない時間を16時間以上つくることです。この時間によって、内臓の疲れが取れ、脂肪が分解され、オートファジーが活性化されます。

    1日3食にすると内臓はフル回転して休みなく働き疲弊してしまいます。つまり空腹の時間をつくることで内臓を休ませる必要があるのです。また私たちの体は糖質を分解してエネルギーとして利用し、余った糖質は筋肉や肝臓、脂肪細胞に蓄えられます。しかし食べなければ血中の糖質が消費され、筋肉や肝臓に蓄えられたグリコーゲンも消費されていき、体は脂肪を分解してエネルギーを作り出します。つまり空腹の時間が長ければ長いほど脂肪が分解されるのです。

    そして空腹の時間によって、多くの病気や老化の原因である細胞の異常や劣化をくい止めるオートファジーが活性します。細胞は加齢、食生活の乱れ、ストレス、細胞の劣化によって遺伝子が傷つくと、細胞のコピーミスが起こります。このコピーミスを起こした細胞が集まったものがガンです。またエネルギーを作り出すミトコンドリアによって、細胞が酸化し活性酸素が発生します。細胞やミトコンドリアが劣化すると、活性酸素が多く発生して細胞が劣化し、疲労や体の不調、老化が引き起こされます。

    このように細胞さえ正常に機能していれば、私たちは常に健康でいられるため、細胞を正常に保つために空腹時間によってオートファジーが必要なのです。オートファジーは古くなった細胞を新しくするメカニズムです。古くなった細胞(タンパク質)の多くは体外に排出されますが、排出しきれなかったものは体の中に溜まっていき、様々な心身の不調や老化の原因となります。空腹時間が長ければ、この古くなった細胞からタンパク質を集めて分解してエネルギーにします。この古くなったタンパク質を分解して、細胞を新しくするメカニズムがオートファジーなのです。

    オートファジーは飢餓状態など強いストレスを受けても生き残れるように体内に埋め込まれた仕組みであり、体や細胞が飢餓状態になったときや、低酸素状態になった時に活性化します。具体的には最後にものを食べた時から12時間後に始まり、しっかり働かせるためには最低16時間の空腹時間が必要です。

    プチ断食でケトン体代謝

    ブドウ糖に比べて細胞におけるエネルギー効率が非常に高いケトン体と呼ばれるエネルギー源があります。摂ったブドウ糖は細胞で利用されず、血中に残ったものは中性脂肪として変換され、皮下脂肪に蓄えられますが、ケトン体は脂肪燃焼することで生成されます。つまりケトン体を利用した代謝に体がシフトすることによって健康的に痩せることができます。またケトン体はブドウ糖に比べて約40%も血流を増やしてくれるという効果があることも分かっています。

    さらに最近では、脳にケトン体が存在するとある遺伝子経路が活性化されBFNFと呼ばれる物質が生成されるということが分かっています。BDNFは脳の成長ホルモンであり、学習能力や脳の柔軟性を高めたり、神経細胞を様々なダメージから守ってくれる働きがあります。またBDNFは、気分を改善することで心の調子を整えてくれる作用があります。

    このようにブドウ糖ではなく、ケトン体をエネルギーとして使うためには、最後に栄養を摂ってから16時間何も食べない状態を維持することが必要です。例えばイシアナ州立大学の研究によれば、夕食を抜いて午後2時以降に食べるのをやめた被験者では、ケトン体が増加したということが分かっています。この他にも1日おきのファスティングや断続的な超低カロリー食なども有効であることが分かっています。また朝食や夕食を除いて1日1食にすることは、ケトン体代謝のみならずオートファジーを作動させて体中の老廃物を取り除くためにも有効です。

    科学的に正しい運動

    空腹時間に運動を行うことでオートファジーがより活性化することが分かっています。また運動によって筋肉を動かすとその部分にオートファジーが起こりやすくなるということも分かっています。

    しかし運動と言ってもアスリートのような運動ではなく、1回あたり20分程度、全身の筋肉を軽く動かす程度の運動を土日いずれかの空腹時間中に1回、平日に1回すれば十分です。また週二回運動することで筋肉量の低下も防ぐことができます。

    空腹時をつくりオートファジーを誘導し、内臓を休めることの唯一の欠点は筋肉が落ちてしますことです。なぜなら空腹時間が長く続くと、血液や筋肉、あるいは肝臓の中に蓄えられていた糖質が分解され枯渇します。そのため筋肉(タンパク質)を分解してエネルギー源にしようとするため筋肉が落ちてしまうのです。筋肉量の低下を防ぎながらオートファジーをよりいっそう促し、健康を維持することが重要です。

    科学的に正しい運動とは、腕立て伏せ、腹筋、背筋、そして階段昇降です。階段昇降は有酸素運動と下半身の筋トレを同時に、しかも簡単に効果的に行うことができる非常に優れた運動です。

    オートファジーを機能させるためのポイント

    睡眠時間を含めると比較的16時間の空腹はつくりやすいです。例えば、夜19時までに夕食を済ませれば、翌11時で16時間となります。オートファジーのスイッチが入るには、少なくとも16時間の絶食が必要で、お腹を空にしておく時間が長いほど、体内クリーニングと体内リセットが頻繁に行われます。

    また、空腹時間中でも食べていいものと飲んでいいものとして以下があります。

    • 無塩ナッツ
    • 生野菜サラダ
    • チーズ
    • ヨーグルト
    • お水
    • ブラックコーヒー

    日常的に、オートファジーのスイッチを入れる生活を送っていると、疲労予防、あらゆる病気の予防、老化予防などにつながります。そのためには、過食・飽食を避けて、シンプルな食事にすることが大切です。過度の負担を内蔵に与えないために、加工度の高い食品、農薬が多く含まれるもの、動物食品などは、極力控えることも心がけて下さい。

    抗酸化物質がオートファジーを狂わす

    老化で最も大きな原因と言われているのが活性酸素による細胞の酸化です。酸化とは、身体の細胞の錆びつきのことであり、活性酸素は細胞を傷つけて細胞を酸化させ、老化を加速させます。

    ただし、活性酸素は体内の病原菌やウイルスから体を守る免疫機能としての側面もありますが、ストレスや加齢が重なると活性酸素の働きを中和するSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という酵素の働きが弱まり、活性酸素ばかりが増えて細胞の酸化が進んでしまいます。

    SOD は、細胞内の過酸化物を分解する酵素であり、抗酸化物質の一つで増えすぎた活性酸素を減らす働きがあります。酸化の主な原因にはストレスや紫外線、酸化した食べ物やトランス脂肪酸、お酒の摂取、タバコ、激しい運動があります。

    活性酸素による健康被害には、生活習慣病や糖尿病、そしてシミ、シワ、たるみなどの肌トラブルやアートピー性皮膚炎もあります。その他の老化の原因としては遺伝や細胞の炎症があります。炎症には急性炎症と慢性炎症があり、慢性炎症は内臓などで長時間くすぶり続け、炎症が起きていることを自覚しづらいため、別名サイレントキラーとも呼ばれています。慢性炎症の原因には、肥満や内臓脂肪、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れなど様々があり、他にも免疫機能低下や腸内環境の乱れ、歯周病なども原因になります。

    慢性炎症による健康被害として動脈硬化や高血圧、糖尿病や認知症などがあります。また肌の老化やシミ、シワ、たるみなどの肌トラブルも発生しやすくなります。

    一方でアンチエイジングに抗酸化物質を積極的に摂ることを心がけている方も多いと思います。抗酸化物質はその名の通り、体を酸化することを防いでくれる物質ですが、抗酸化物質と癌の関係性が示唆されています。中でもビタミンEは、前立腺癌の発病率が17%増加したという研究もあります。つまり抗酸化物質は、むしろ癌の増殖させているのではないかと考えられています。

    なぜ、このような結果になるのかは、オートファジーの仕組みを理解する必要があります。抗酸化物質は、酸化ストレスを減らし、DNAの損傷を減らす役割を担います。またオートファジーが古くなった細胞や損傷した細胞を分解してくれます。しかし本来オートファジーで分解されるはずの細胞(ミトコンドリア)を、抗酸化物質によって細胞から発する酸化物質を除去してしまうため、リサイクルが必要であるという信号が弱まり、活性酸素を出し続けているにも関わらず除去されなくなってしまいます。そのため古いミトコンドリアが残り続けるため、新しいミトコンドリアが生まれない状態になります。

    結果として、体全体としてまともにエネルギーを作り出すこともできず、代謝や細胞の働きに様々な悪影響が生じてしまいます。実際にミトコンドリアに損傷があると病気や老化が進行することが分かっています。

    では、抗酸化物質は摂らない方が良いのかですが、結論はオートファジーが発動している時に抗酸化物質は摂らない方が良いということです。つまりオートファジーが起きていないときには積極的に抗酸化物質を摂ることで、体の中の酸化物質を減らしてくれます。

    健康や美容のために酵素ドリンク断食をしている場合は注意が必要です。酵素ドリンクに含まれる抗酸化物質が前述したように悪影響を与える可能があります。カロリー制限も同じです。断食中は水を積極的に摂取して、オートファジーを促進することが最も基本的なことになります。オートファジーは細胞内の特定のアミノ酸の濃度に反応して起きていると考えられているため、水を飲むことによってその濃度を下げてあげることでより活性化できると考えられています。

    ただし、抗酸化物質の研究は発展途上であり、例えばレスベラトロールは、ポリフェノールの一種で、抗酸化作用を持っていますが、オートファジーを促進するとも言われています。

    リンゴが若々しさを保つ秘密

    最新の研究で、毎日1個リンゴを食べることで加齢よる虚弱リスクを下げることが分かっています。研究を行ったのはアメリカのベス・イスラエル・ディーコネス医療センターで、 2023年4月13日に、アメリカの臨床栄養学会誌に研究結果が掲載されています。

    この研究で果物に多く含まれるフラボノール類の一種であるケルセチンが加齢によって起こる虚弱リスクを減らすことを突き止めました。虚弱リスクはフレイルと呼ばれ 、具体的には身体機能や認知機能が衰えることを言います。体や認知の機能が低下すると 最終的に転倒や骨折、身体障害、入院や死亡まで様々なリスクが上がります。

    このフレイルには5つの判断基準があり、そのうち3つを満たすと虚弱の程度が強いことが分かります。フレイルの判断基準の1つ目は歩行速度の低下です。2つ目は疲れやすさ、3つ目は活動性の低下、4つ目は筋力の低下、5つ目が体重の低下です。この判断基準の中でも老化を表す状態として重要なのが速度の低下です。

    フレイルの判断基準に当てはまる場合には適切なケアする必要があり、ケアの一つとして食生活の改善が挙げられます。この研究では、フラミンガム心臓研究のデータを基に約1700人の対象者を絞り出し、その平均年齢は58.4歳で男女比は半々でした。1998年から研究をスタートし、当時対象者にはフレイルの状態は見受けられませんでした。それから約12年間追跡調査を行い、2011年から2014年に、フレイルの状態を再び評価した結果、フラボノール類の摂取が1日10mg 増えるとフレイルにつながるリスクが20%低下すると分かっています。

    中サイズのリンゴ1個には、フラボノール類10mg含まれているため、「1日リンゴ1 個で医者を遠ざける」と昔から言われるのは正しいと考えられています。因みに毎日リンゴ1個が難しければ、玉ねぎからもケルセチンは摂取できます。

    アンチエイジングは内側から

    シワやたるみ、くすみ(STK)などといった加齢に伴う様々なお肌のトラブルを改善し、いつまでも美しくありたいという願いを叶えること、その一方で、病気にかかるリスクを軽減してより健康に長生きを目指すことを背景に、アンチエイジングが重要な意味を持つようになっています。

    アンチエイジングのための様々な美容法、化粧品、健康法などが世の中にありますが、外見だけをいくらキレイにしても、内面の美しさや健康を伴っていなければ、一時的な効果に限定されてしまいます。アンチエイジングのためには、運動、食事、水分補給、睡眠などといった生活習慣の改善が大切です。その結果として、外見が若く美しく見えることが理想です。なぜなら、内面のアンチエイジング効果があるからこそ、お肌を美しく健康的に長く保つことができるからです。

    また、内面的なアンチエイジングのためには、能動的な人生を送ること大切です。加齢に伴い、多くの人が頑固になったり、頭の柔軟性がなくなっていく最大の原因は、脳の前頭葉の働きが衰えるからです。前頭葉の衰えは、全身の老化の引き金になる“感情老化”の引き金になってしまいます。

    感情老化には注意

    感情老化とは、感情や意欲、創造性などをつかさどる脳の中の「前頭葉」が老化することをいいます。加齢によって脳が均等に萎縮するわけではなく、前頭葉が最も早く萎縮し、早い場合は40代から始まっているケースもあります。

    前頭葉が萎縮すると、怒りが収まらない、意欲が湧かない、柔軟性がなくなるといった「感情老化」の症状が多くなります。特に女性の場合、40歳を超えると感情老化、ホルモンの低下による更年期、神経伝達物質セロトニンの減少によるうつ、とさまざまな変化が同時多発的に起こります。

    感情老化は人から意欲を奪い、気持ちを切り替えにくい状態にします。しかも、そのままの状態で放っておくと老化は進行し、身なりに構わなくなって外見も老け込んでしまったり、何かにつけおっくうになって体を動かさなくなったり。全身の老化の引き金になります。

    脳に刺激のない暮らしが続くと前頭葉が老化しやすくなりますので、大切になるのが、人とのコミュニケーションです。他の人と話すと、予想外の言葉に対応しなくてはならないため、脳が刺激されやすくなります。また感情老化をさせないためには、初めての事にチャレンジし続けることです。毎回チャレンジすることで前頭葉の働きが活発になっていきます。

    感情老化は、身なりに構わなくなり外見も老け込む、何かにつけて体を動かさないなど、ますます老化が進行してしまいます。この感情老化の進行を遅らせるためには、適度な負荷がかかる仕事や運動をすることで、前頭葉の働きを保つことが分っています。能動的な人生を送ること、すなわち新しいことにチャレンジして脳に刺激を送ることが、感情老化を抑えるのに有効です。

    軽度なプレッシャーによって内面が若く美しく保たつことが、抜本的なアンチエイジングです。さらに生物学的にも若く見える人の寿命は長くなる傾向があります。そういった方々は、善玉コレステロールが多く、悪玉コレステロールが少ないため、血管年齢が若くなり、病気になりづらく、予防している傾向があります。

    老化は一定のペースで進行しない

    老化は一定のペースで進行するのではなく、34歳、60歳、78歳で急激に進むという最新研究結果が発表されました(米スタンフォード大学)。その研究では血中のタンパク質の量により人の年齢、老化の度合いが測定できることが分かっています。その量の変化のタイミングが多くの人の場合、34歳、60歳、78歳なのです。

    通常、老化はタンパク質の栄養状態が良いと老化速度が遅く、疾病リスクも低いと考えられています。多くのタンパク質は一定のペースで増減したり、生涯同じレベルを維持するわけではなく、一定期間同じレベルを保ちつつ、特定のポイントで突然上下に変動しているのです。その上下の変動が34歳、60歳、78歳で起こっています。この年齢はあくまで平均値なので、かなり個人差がありますが、タンパク質の栄養状態が悪いと骨格や筋肉量が減少して、老化を早めてしまいます。

    しかし、アンチエイジングを意識した生活習慣を保つことによって、急な老け込みを防ぐことはできます。アンチエイジングの中で最も効果が高いと考えられているのが「空腹状態を保つ」「カロリー制限をする」の2つです。例えば、1日1食にする、腹八分目で抑える、週末にファスティングするなど、日常に取り入れやすい方法で食事制限をおススメします。

    老化予防は食事が全て

    老化を防ぐためには糖質についてまず理解しなければいけません。この糖質ですが、血糖値が最高値になるまでの時間によって「早い炭水化物」と「遅い炭水化物」に分けられることが最近の研究で分かってきています。この時間が短ければ短いほど体に悪影響を及ぼすことになります。それを分かりやすく示したものが“GI値”です。

    このGI値とは血糖値の上昇度合を数値化したものになります。数値が高ければ、血糖値の上昇が速いため、それだけ血糖値を下げようとインスリンホルモンが過剰に分泌されます。これにより一時的に血糖値は下がりますが、低血糖状態となるため疲労感、眠気につながります。

    この現象は高GI値炭水化物を食べるとよく起こり、この乱高下を「血糖値スパイク」と呼びます。この状態が長期に渡ると、インスリン抵抗性やメタボリックシンドロームといった2型糖尿病予備軍の状態になります。よって大切なのはGI値の低い炭水化物、玄米や全粒粉パンのような精製されていない炭水化物や茶色い炭水化物を食べることが大切です。また糖質制限が向いていない方もおり、例えば女性で多いのが生理が止まってしまうことがあります。そのため今までの食生活を白い炭水化物を置き換えるだけの茶色い淡水化物(玄米など)を取ることをおすすめします。

    一方で、炭水化物を摂る人の方が全死因死亡率が最も低いというデータもあります。全く炭水化物を摂らないと決めつけるのではなく、適度に茶色い炭水化物を摂りつつ、時々断食することで老化を予防するなど、自分の日常生活で取り入れやすい健康に生きる食事法を取り入れていきましょう。

    健康の先に美しさがある

    医療の最前線にいる医師が「アンチエイジング医学(抗老化医学)」に注目しています。例えば、東京大学医科学研究所は、内臓の抗老化による障害の改善を研究していますし、数多くある大学病院でも美容外科治療には「心の改善を図り、潤いのある充実した生活を提供する重要な役割」があるとしています。

    外見、つまり老化の象徴は肌の衰えと考えられがちですが、それは現象の一つであり、老化は体だけでなく心も含めた全身で起きています。だからこそ、老化、長生き、美しさは永遠のテーマとして実践・研究されているのです。

    一方で、中国において、いつまでも若く美しく、健康でありたいという美容法の起源は二千年以上遡ることになります。その発展は、主に歴代の医家による実践によって培われ、これまでの思想や手法に現代医学を取り入れ「中医美容」として今に受け継がれています。

    「中医美容」は、中国伝統医学(中医学)の理論をベースとして、体の内外両面を重要視する思想のもと、美容と疾病の予防の要素を併せ持つものです。例えば中医学では、お肌にシワやシミ、ニキビ、凝りがある場合、臓腑に疾病が生じて経絡の流れに異常が生じていると考えます。

    このような、内部の異常は外見にあらわれるという考え方に基づけば、アンチエイジングにより見た目の若さや美しさを保つには、五臓六腑、陰陽気血の機能を高めるなど、内側からのアプローチが不可欠になります。このようにアンチエイジング分野においては、西洋医学も東洋医学も身体の内側から健康と美容にアプローチすることで、美しく健康的に長生きできることを目指すものとも言えます。

    究極のアンチエイジングは自分らしくあること

    多くの人が、心と身体を別のものとして考えてきましたが、心と身体のつながりは深く、その関係に気づくことが大切です。私たちが学んできた知識は、とても画一的なものであり、これを心や身体に当てはめようとすると、今度はそれが窮屈に感じてストレスが生じてしまいます。東洋医学を通じて自分の体質を知り、それに合ったライフスタイルを営むこと、その究極の目的は「自分らしくあること」です。

    自分に自信がないという感覚を持つ人が沢山いらっしゃいます。一方で自分に自信があるというのは、自分を信じられている状態のことです。自分に自信を持つため、自己肯定感(ありのままの自分を肯定する感覚)を持ちましょうと、そのための方法は、、、という話が沢山あります。

    自身が持てない理由は、人によって様々ですが、ハーフの方で、素朴な日本人らしい顔つきで、その顔のギャップに悩んで、そのハーフのイメージに近づけなきゃと強制的に髪を金髪にしたり、外国人メイク風にされている方がテレビで取り上げられていました。

    自分らしく生まれてきたのだから、周囲の目は関係ないとアドバイスすることは簡単ですが、具体的にどうすれば良いのかは難しい問題です。容姿ではなく、自分のしていることや生き方に自信を持つということが一つの解決策にはなるでしょう。

    世の中は変わらないかもしれないけど、世の中の見え方は変わるヒントは「こだわりを大切にする」ことだと思っています。

    こだわりから新しい自分が見つかる

    こだわりという言葉は、良い意味で捉える人もいれば、悪い意味で捉える人もいます。あの店はこだわりのある食材を提供しているという妥協しない姿勢という良い意味や、あの人は自分のやり方にこだわりすぎるという悪い意味での使われ方があります。この「こだわる」は、本来「気にしなくてもいいようなことが心にかかる。気持ちがとらわれる。」という意味で、どちらかと言えば否定的な意味合いで使われることが多くありました。

    そのため、人から外れたことをすると、どうしても心理的に抵抗感がある方がいらっしゃいます。例えば、人から変わっていると思われるのではないか、こだわりにお金を使いすぎていることに罪悪感を感じるなど。ついつい周囲の目を気にしてしまう、一般的な価値観から外れているのではなかと不安になるなど、でも標準的な人なんてどこにもいないし、それぞれの個性は、その平均値から外れたところに必ずあります。

    もちろん、こだわりすぎて家計に影響が出るとか、他人に迷惑をかけることは避けなければいけません。しかし、自分の生活が豊かになる方向であれば、全く問題ありません。こだわりは悪い事ではないし、バカにするものでもありません。そのこだわりから新しい発展、考え方がいつの時代も生まれてきました。

    そこにその人の個性があり、特徴があるのだから、それを生かすことができれば、社会での役割が明確になり、仕事でも活かせるようになることもあるのでしょう。どんなに他人から何を言われようとも、他人に迷惑をかけていないかぎり、そのこだわりを生かして人生を豊かにしましょう。こだわりこそが、個性だし、人生であり、自分の幸せに繋がります。

    私たちを取り巻く環境は、とても複雑で、様々な情報に溢れ、どう整理すればいいのかわからない状況にあります。自分が何を望み、現状に満足できているのかはっきりしない状況に苛立ちさえ感じてしまうこともあります。そんな時、あなたにとって、気持ちのよい、心地のよいと思うものを見て、聞いて、感じて、触れること、それら五感を研ぎ澄まして、心と身体を透明にすることができれば、人は歳を重ねても美しいものです。

    【本コラムの監修】

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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