シワが多い人と少ない人の違い

    シワが多い人と少ない人の違い

    顔の老化が進む人の共通点には、大きく分けて 3つあると言われています。その3つが糖化、酸化、炎症です。人は20 歳をピークに老化が進みますが、その老化のスピードは個人差が大きく、年齢がそれほど変わらない人、すごく若く見える人、残念ながら老けて見える人がいます。

    その差には遺伝的要因は少なく、多くは生活習慣と関わっていることが分かっています。老化の進んでいる人は、そうでない人に比べて約3倍のスピードで老化しているとも言われています。老化現象のサインとしては、肌のたるみ、シミ、シワ、筋力低下、基礎代謝の低下で太りやすいなどが挙げられます。

    老化と酸化

    老化の原因である酸化は細胞が錆びることを指しています。私たち人間は呼吸をして、酸素を取り込んで生命を維持していますが、取り込んだ酸素の一部は様々な刺激を受けて他の分子と結びつくことで体内で活性酸素に変化します。この活性酸素は有害物質を除去する免疫機能として働く一方、活性酸素が過剰 に増えると細胞を傷つけて老化を引き起こしてします。また増えすぎた活性酸素が体内に蓄積されることで病気など体に悪影響を及ぼす恐れもあります。

    私たちの体には本来、活性酸素から生体を防御する抗酸化という働きが備わっていますが、この機能は20代をピークに加齢によってその働きは低下すると言われています。特に40代から急激に低下すると言われています。

    一方で酸化の原因は他にもあり、ストレス、紫外線、食品添加物などが挙げられます。老化原因の酸化の対策はいかに抗酸化機能を向上させるかが大事なポイントになり、抗酸化作用のある食べ物を積極的に摂取したり、生活習慣を見直すことが大切です。

    老化と糖化

    老化の原因の糖化は体が焦げることです。焦げることは、お肉や魚を焼いた時にできる焦が体内で起こっているようなイメージです。糖化は、体内でタンパク質と余分な糖が結合して、タンパク質が変化、劣化することでAGEsという老化物質になります。この老化物質は1度できてしまうと分解されにくいのが特徴で、このAGEsが増えると肌など全身の老化を進行させます。さらに体調不良や様々な疾患を引き起こす可能性も指摘されています。糖分や脂肪の多いファストフードを好んで食べたり、運動不足や睡眠不足は要注意です。

    糖化によって実年齢よりも体中の老化が早く進行することになります。ただし私たちの細胞はタンパク質と脂肪で作られており、糖は生命を維持するためのエネルギー源でもあります。糖分を過度に摂取しなければ何の問題もありませんが、過度に摂取した糖分からAGEsが生成されて肌のコラーゲンに蓄積すると肌の弾力が失われたるみ、シワ、くすみに繋がってしまいます。

    またAGEsが血管に溜まると動脈効果、骨なら骨粗しょう症と細胞や臓器に悪影響を与えます。何れにせよ糖化予防のために過度な糖分摂取は控えましょう。

    老化と慢性炎症

    老化の原因の炎症は、体内で内臓などに長時間くすぶり続ける慢性炎症のことです。慢性炎症の厄介なところは、炎症が起きていることを自覚しづらいことがほとんどであり、別名サイレントキラーとも呼ばれています。サイトカインと呼ばれる炎症性の分子が血流に放出されて細胞の老化を早めると考えられています。慢性炎症は免疫システムにも影響が大きく、加齢で自然低下する機能が、さらに悪化する可能性があります。また老化だけでなく、糖尿病、癌、認知症などの原因の可能性が高いともも言われています。

    慢性炎症は肥満、内臓脂肪、睡眠不足、ストレスなどが原因で引き起こされます。慢性炎症の予防として有効とされているのは、オメガ3を積極的に摂取することです。オメガ3とはEPA、DHA 、αリノレン酸を多く含む不飽和脂肪酸で、主に青魚に含まれています。

    老化と紫外線

    老化の3大原因と言われる酸化、糖化、炎症は、どれもシミやシワ、たるみにつながりますが、残念ながら老化を早める原因は他にもあります。それが紫外線です。紫外線を浴び続けると肌のコラーゲンやエラスチンが変化し、肌を支える皮下組織にも影響が及び、シワやたるみを引き起こしてしまいます。さらに紫外線のダメージによって肌が乾燥ことで肌のターンオーバーが乱れる原因にもなります。

    ターンオーバーとは、新しい皮膚が生まれて古い皮膚が剥がれ落ちる肌の生まれ変わるサイクルのことで、皮膚は大きく分けて3つの層があります。ターンオーバーに関係するのは1番上にある表皮の部分で、古くなった角質が皮膚の奥から徐々に表皮へと移動し、そして押し出された角質は表皮で垢として剥がれ落ちます。ターンオーバーが乱れるとは、本来のサイクルで古い皮膚が剥がれ落ちて新しい皮膚が生まれなくことで、ターンオーバーが乱れると色素沈着が起こり、シミやニキビ跡の原因になります。剥がれ落ちるべき皮膚が角質層に蓄積することでくすみの原因にもなって肌の透明感が失われていきます。

    大きな差を生む肌の奥のシワ

    シワにも種類があり、代表的なものは「乾燥小ジワ」「癖ジワ」そして「肌の奥のシワ」の3つです。乾燥小ジワは、肌の潤い不足が原因でできるシワです。肌の水分量が足りなくなって乾燥している状態になると、肌の肌理が乱れることで細かいシワが目立つようになります。一方で目の下に小さなシワが目立ってきている場合は、乾燥小ジワの1つのちりめんジワです。乾燥小ジワは比較的浅いシワですが、肌の乾燥を守るバリア機能が低下して起こるシワです。

    肌の表面は、通常角質層が潤いを蓄えることで乾燥や外部刺激から肌を守ってくれていますが、乾燥しやすい季節や長時間のエアコン、それにスキンケアを怠ったりすることで乾燥した状態が長く続くと、バリア機能の低下と角質層内の潤いの減少によって乾燥小ジワができてしまいます。そして癖ジワの代表的なものが、眉間のシワです。その名の通り、癖ジワは長い間何度も同じ表情を繰り返すことで肌に定着して出来上がるシワです。

    最後の肌の奥のシワは、同じ年齢でもシワがある人とない人に大きな差を生むシワです。そもそも肌と一言で言っても、人の皮膚は表皮と真皮、それに非組織の三層でできており、この3つの中で肌の奥つまり表皮の内側にある真皮は肌のハリや弾力を保ち維持する役割があります。その役割を担っている重要な 成分2つコラーゲンとエラスチンです。肌の奥のシワは、俗に肌の機能が衰えるシワと言われることもあり、肌の機能が衰えるというのはまさにこのコラーゲンとエラスチンが減少することです。特にコラーゲンは、真皮の約70%を構成し、肌のハリや弾力を保つ役割があります。

    これらが減る理由には、加齢が挙げられますが、年は誰でも同じように取るのに、同じ年齢でもシワがない人がいます。つまり年齢や加齢のせいにしていれば、シワの本質的な改善にはなりません。もちろん加齢と共にエストロゲンというホルモンが減っていくと肌の美肌成分が減少してしまいますが、それに対する正しい対策が大事になります。スキンケアや紫外線対策も重要ですが、それらはあくまで肌の外側の話です。年を取っても見た目が若い人は、なぜシワができるのかを知り、逆に老化を促進する食べ物を避けています。

    寝る姿勢とシワの関係

    寝る姿勢や枕の高さが肌の老化に深く関係していることは、科学的にも明らかになっています。特に一方方向ばかりを向いて寝る習慣がある人は要注意で、例えば左側を下にして寝る人は心臓への負担が軽減されるという利点はありますが、片側の顔に長時間圧力がかかることで皮膚のたるみやシワが偏ってしまいます。

    皮膚は一定の圧力を受け続けると弾力性を失い、シワが固定化されやすくなります。実際、睡眠時の圧迫が長期間続くことで顔の片側のほうれい線が深くなったり、頬のたるみが左右非対称に進行したりするケースが多く報告されています。

    また、皮膚だけでなく筋肉にも影響を与え、長時間同じ側を下にして寝ると顔の表情筋が左右でアンバランスになり、目元や口元の歪みが目立ちやすくなります。さらに血流にも影響があり、人間の血液は重力の影響を受けるため、寝る姿勢が傾けば顔の片側だけに血液が多く流れやすくなり、むくみやすくなります。当然むくみが続けば皮膚が伸び、たるみの原因となります。朝起きた時に片側の顔だけむくんでいると感じる人は、寝る向きを意識的に変えることが必要です。

    これらの対策としては左右交互に寝ることを意識したり、仰向けで寝る時間を増やしたりするのが効果的とされています。また枕が高すぎると首の角度が不自然に曲がり、首の皮膚にシワが刻まれやすくなります。特に横を向いて寝る人は高すぎる枕によって首に折り目のようなシワがつきやすく、それが長時間続けば深いシワとして定着します。

    また、枕が高すぎれば首の血流が悪くなり、顔全体のくみやむくみの原因になります。そして寝ている間に十分な酸素や栄養が顔の細胞に生き渡らなければ、肌のターンオーバーが乱れ、ハリが失われやすくなります。逆に枕が低すぎると首の骨である頸椎に過剰な負担がかかり、肩こりや頭痛を引き起こすことが あります。肩こりが慢性化してしまえば、顔の血流やリンパの流れが悪くなって、たるみやシワができやすくなります。

    シワに効果的な「ボーンブロス」

    美肌になる食べ物と言えばコラーゲンを多く含む食材をイメージしますが、それらを食べたからと言ってそのまま肌のコラーゲンになるわけではありません。

    コラーゲンは、タンパク質の一種で人間の体重の約30%はタンパク質でできており、そのうちの3 割を占めるのがコラーゲンと言われています。そのコラーゲンの内 4割は、皮膚に存在しており、残りの6割は、2割ほどが骨や軟骨に存在し、残りは血管壁とか内臓など幅広く存在しています。

    タンパク質は球状で水に解ける性質があり、それに対してコラーゲンは繊維状で水に溶けにくい性質があります。つまりコラーゲンと言うと多くの人がコラーゲンを摂ればそのまま肌に吸収されると思っていますが、そうではないと言うことです。コラーゲンはアミノ酸が集まったタンパク質で分子量の大きな成分です。大きなサイズのコラーゲンを口から摂取して消化されると小さなアミノ酸やペプチドと言うアミノ酸がくっ付いたような細かいものに分解されます。そしてそれが小腸から吸収されてアミノ酸やペプチドとして血液中に流れ込んで目的地に辿り着き、また合成されます。つまりコラーゲンを含む食べ物をそのまま食べてもコラーゲンがコラーゲンのまま肌に運ばれて、真皮を構成するコラーゲンにはならないと言われています(最近ではある程度の効果も認められるようになっていますが、、。)

    しかし、シワを防ぐおすすめの食べ物として「ボーンブロス」が注目されています。ボーンブロスは簡単に言うと動物の骨をじっくり煮込んで作るスープのことです。以前から世界でも天然の美容食品や飲む美容液と呼ばれ、注目されており、欧米のセレブや健康に敏感なナチュラリストたちにも支持されている食べ物です。

    実は、コラーゲンを含む食べ物をそのまま食べても効率的ではない理由として、コラーゲンは消化しにくいタンパク質であることが挙げられます。しかし超時間煮込むことで、固かった部分がゼラチン状になってトロけるように変化します。それがゼラチンであり、それこそが肌のコラーゲンを効率的に増やすものです。ゼラチンは動物の骨や皮に多く含まれるコラーゲンから作られたものであり、コラーゲンの構造を見ると螺旋状の細長い分子が3本合わさって三十螺旋のような形になっています。それに水を加えて長時間加熱することで、その3本の分子が外れバラバラの状態になり、これをゼラチンと呼びます。

    ボーンブロスにはコラーゲン他にも、美容液の有効成分として使用され、皮膚や細胞の肌理を整えるヒアルロン酸、肌の炎症を抑えシミの発生を抑えるコンドロイチン、それに様々なビタミンを多く含んでおり、アンチエイジングにはおすすめの食べ物になります。

    作り方は簡単で、基本の作り方は骨付き肉を野菜と一緒に長時間煮込み、骨から栄養成分や旨味をしっかり煮出すことができたらOKです。使用するお肉には、鶏のスペアリブや手羽先に手羽元、それに豚のスペアリブや牛テールが挙げられます。香味野菜としてネギ、生姜、ニンニク、セロリやパセリ、ハーブのローレルを入れると良いでしょう。

    シワになる食べ物

    見た目が若い人は炭水化物の摂取量が少ないということが挙げられます。炭水化物は、私たちの体にとって大切なエネルギー源であることに間違いはありません。しかし炭水化物は体にダメージを与えて老化を促進させ、肌にもダメージを与えることが分かっています。それは炭水化物を摂取することによって血糖値が高くなり過ぎて、肌に悪影響を与えるからです。

    実際、女性を対象にした研究では炭水化物の量が多いとシワができたり、頬がたるむリスクが高まる結果になりました。具体的には炭水化物の量が50g増えるだけでシワのリスクが約1.3倍になっています。これは高血糖によって肌を支えるコラーゲンが損傷することが原因だと考えられています。

    高血糖によってコラーゲンが損傷するのは、血糖値が上昇して高血糖な状態になると活性酸素の増加や体内の糖化など様々な老化現象を引き起こすからです。コラーゲンの損傷は、特に目立つ顔の部分への影響がすぐに現れるため、炭水化物を毎日たくさん食べて、長年高血糖な状態に晒された人と炭水化物をできるだけ減らしてきた人とでは、長期的に見ると圧倒的な見た目の差になります。

    老化と野菜

    肌の老化対策でおすすめが野菜を食べることです。野菜には、老化対策に必要なビタミンA、ビタミンC、ビタミンE などがたっぷり含まれています。特に体の酸化に対抗する力である抗酸化作用を持つビタミンなどが含まれています。野菜の中でも老化対策でおすすめが緑黄色野菜です。濃い色の野菜には、沢山のカロテノイドが含まれており、カロテノイドは、体内に過剰に発生した活性酸素を除去する働きがあります。

    特に赤いパプリカにはカロテノイドの中でも、抗酸化力が強い成分が豊富に含まれています。そしてビタミンAは、主要な成分のレチノールが真皮の働きを活性化する効果があります。肌が活性化され肌のターンオーバーが促進されることでメラミン色素の蓄積を防ぐことが可能と言われています。

    一方で、ビタミンC はメラミンの生成抑制の他、ビタミンAと同様にコラーゲンの産生やシミなどの改善が期待できます。特に紫外線が関与する老化の予防 及び改善効果を示すことが報告されています。ビタミンCは肌のコラーゲンを合成し、肌のダメージを与える活性酸素を抑えてくれる優れたビタミンです。

    老化とタンパク質

    一説によるとベジタリアンの人は動物性タンパク質を取らないために肌が栄養不足となり、肌が乾燥してしまうためにシワが目立つ人が多いと言われています。もちろんベジタリアンに限ったことではなく、肌が栄養不足になる食生活をしていたら同じことです。お肉にはタンパク質を始めとする美肌の栄養素がたっぷり含まれています。

    タンパク質は、皮膚や筋肉、骨、髪の毛などを作るのに欠かせない栄養素であり、またタンパク質の一種であるコラーゲンは、肌にハリと弾力を与える役割があります。コラーゲンの合成には、タンパク質の他に鉄分、ビタミンCも必要です。タンパク質が不足すると体内の細胞の機能が低下、肌荒れや筋肉の衰えを引き起こす原因になります。

    特に豚肉には牛肉の10倍とも言われている豊富なビタミンB群が含まれています。ビタミンB群は肌の潤いを保つ効果、肌の代謝を促進させる効果があり、また肌トラブルの予防やニキビの改善も期待できます。豚肉の中でも脂質が多いバラ肉ではなく、脂質が少なくビタミンや鉄分が豊富なヒレ肉がおすすめです。そして鶏肉は、高タンパク、低脂質な肉で美容に嬉しい成分も多く含まれています。鶏肉に含まれているビタミンAは、肌のシミやたるみ改善などが期待できます。

    勇心酒造「ライスパワーNo.11+」

    シワ改善の有効成分として認可されている「ライスパワーNo.11」は、最初に発売されたのがKOSEのセラムシールドです。一方で「ライスパワーNo.11+」は、勇心酒造が開発した成分です。勇心酒造からは、ライスリンクルクロスを発売しており、いずれも医薬部外品になっています。

    ライスパワーNo.11+は、表皮や真皮、そして基底膜に効く成分です。元々ライスパワーNo.11は、基底膜に働きかけて新しい細胞を生み出して、皮膚のターンオーバーを促すというものになっており、ターンオーバーを促した時には細胞間脂質やヒアルロン酸を増やすため、乾燥肌対策としての有効成分として知られています。ライスパワーNo.11+も同じように基底膜に働きかけて、基底膜の健全化、つまり基底膜を修復してくれる機能があります。

    紫外線やエイジングで基底膜が弱くなると、そこから生まれる細胞も少なくなるだけでなく、表皮のダメージが真皮にも伝わり、真皮のコラーゲンとかエラスチンが減ってしまうことが分かっています。そのため医療分野でも基底膜をどうすれば、しっかりと再構築できるかを考え、医療用レーザーなど開発されています。

    このライスパワーNo.11+は、基底膜の修復しつつ、表皮では細胞のターンオーバーを促すことによって肌の水分量をアップしてくれます。また真皮ではコラーゲンやエラスチンの産生を増やしてくれるため、表皮、真皮、基底膜をケアできるものになっています。よりエイジングケアがしたい方にとっても、基底膜は細胞が生まれる場所であるため、この基底膜の接着や健全化されることで エイジングに纏わる様々な悩みが改善できると言われています。

    その他にも、シワ改善の有効成分は全部で4つあります。ポーラのニールワン、資生堂のピュアレチノール、KOSEのナイアシンアミド、メナードのVEP-Mです。

    老け見えの健康リスク

    デンマークで2001年に行われた研究で、70歳以上のデンマーク人1826人の双子を、どっちが老けて見えるかを第三者に判断してもらったところ、老けて見える方はそうでない方に比べて明らかに死亡率が高いことが分かりました。これはテロメアと言う、私たちの細胞寿命を決めている遺伝子が短くなっていることが分かっています。テロメアは、細胞分裂の回数券のようなもので、このテロメアが長い人ほど健康で長生きしやすいと考えられています。

    他にも、老け顔の人が早死にしてしまう理由は、血管年齢も高く、またテロメアも短い傾向にあり、それが早死につがると考えられています。血管年齢は血管の柔軟さを表しており、血管が若ければ血の巡りも良くなり、逆に動脈効果が進行して血管のしなやかさが失われると血行不良になって様々な体調不良につがってしまいます。

    特に美容や健康寿命にも血管年齢が大きく関わっていることが分かっており、例えば日本の愛媛大学医学部付属病院では、抗加齢ドックを受信した約300人の血管年齢と実年齢を比較したところ、実年齢よりも外見が老けて見える人は、頸動脈の壁が厚く、つまり血管年齢の方も高かったことが分かっています。

    他にもニュージーランドで行われたダニーデン研究という有名な研究では、 1000人の健康状態を出生から約45年間追跡調査した結果、同じ年齢でも医学的な年齢が30歳以下の若々しい人もいれば、逆に生物学的な年齢が60歳近く年齢よりも吹けてしまっている人がいることが分かっています。同い年であっても1番若い人と1番老けている人では約30歳も生物学的な年齢が異なるという結果が出ています。

    血管年齢や体の老化は、生活習慣や食生活といった後天的な要因の影響も受け やすく、ストレスや過労はもちろん、高血圧、高血糖、運動不足など様々な危険因子が重なるほど体は老化しやすく、実年齢よりも老けて見えやすくなります。

    一方で、1975年デンマークで行われたコペンハーゲンシティハートスタディという研究では、約2万人の男女対象とした大規模な追跡調査を行い、あらゆる病気と背後関係、例えば体質、生活環境など何が1番関係しているのかを調査した研究があります。この研究の中では、40歳以上の10885人を35年間(1976から2011年)追跡し、その中で老け顔の人は老け顔でない人よりも心筋梗塞になるリスクが57%も上昇していました。そして心臓病のリスクは、39%も上昇しており、老け顔と病気、または寿命が関係していることが研究から分かっています。

    このような老け顔のどこが心臓病発生の指標(心臓病危険因子)になっているのかも明らかになっており、頭がハゲている方(前頭部脱毛)は40%上昇、それから同じハゲでも頭頂部のハゲは14%、そしてまぶたのところに黄色腫という腫瘍がある人は35%上昇、そして耳たぶにシワがあると11%上昇という結果になっています。

    レチノイドについて

    ビタミンA、ビタミンAの誘導体の総称をレチノイドと呼ぶことが多いです。そしてレチノイドの中に、レチノール、レチノイン酸、パルミチン酸レチノール、グラナクティブレチノールなどがあります。このようにレチノイドの中にもたくさんの種類があり、その種類によって効く濃度や効き方が少し違ってきます。

    このレチノイドは、体の中に入るとレチノイドの受容体に作用して、細胞に直接働きかけます。またパルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、プロピオンレチノールを合わせてレチニルエステルと呼んだり、守りのレチノールと呼んだりしますが、これらは全部ビタミンAの誘導体になっています。

    このビタミンAの誘導体は、お肌の中に入るとレチノールに変わり、レチノールがレチナールになって、最後はレチノイン酸という順番で変化していき受容体にくっつきます。例えばパルミチン酸レチノールは、レチノール、レチナール、レチノイン酸に変わっていきます。一方で純水レチノールやピュアレチノールは体に入るとレチナールになって、そしてレチノイン酸になる働きになっています。

    またレチノールにはA反応があり、皮が捲れたり、赤くなることが起こります。中にはA反応がビタミンの関係で起きない方もいますが、もちろんA反応は徐々に鳴らしていくとなくなるとも言われています。ただしA反応がずっと続くものを使っているとあまり肌に良くありません。基本レチノールはA反応が出ないように長期間使っていくことがとても大切になります。

    レチノールの種類

    レチノールは体の中に入るとレチノイン酸になりますが、このレチノイン酸は、レチノールの中で1番強いもののため、日本では皮膚科医の元でニキビの治療などに使われます。またターンオーバーを促進する、皮脂の分泌を抑制、真皮のコラーゲンやエラスチンの生成を増やしてくれるため、ハリ感に繋がります。

    ただし、レチノール酸は強いA反応が生じるため化粧品には配合はできません。そのためレチノイン酸を使いたい時は、必ず医師の処方によるものになります。

    一方で、化粧品に入っているのがレチノールです。このレチノールは、日本ではピュアレチノールや純粋レチノールと呼ばれるものです。安定性と反応のバランスが良く、レチノイン酸に比べて副作用が生じにくく、赤みも出にくい安定性も高いものになります。

    これらはレチノイン酸の1/10 から1/20の効果と言われています。推奨の濃度が0.25から1%ぐらいと言われていますが、パーセンテージが高ければ高いほど良いわけではありません。1%はかなり肌に強く、初心者の方が使うと赤みが出ると思ってください。ただし輸入化粧品以外で日本では1%も入っている化粧品はほとんどありません。

    レチノールの次によく見かけるのがパルミチン酸レチノールです。パルミチン酸レチノールは、ビタミンAの誘導体なのでマイルドなものです。そのため濃度が高くても赤みとかA反応が起きづらいのが特徴です。実は私たちの肌では、レチノールはパルミチン酸レチノールの形であると言われています。なぜなら紫外線が当たった時に肌に、このパルミチン酸レチノールがいることによって肌が守られているからです。つまり肌にパルミチン酸レチノールを貯蔵しておくことによってUVからのダメージを防いでいると考えられています。

    パルミチン酸レチノールは、肌にしっかりとあるとSPFが大体20前後あると言われています。以前はパルミチン酸レチノールが紫外線に当たるとがん化すると言う論文もありましたが、今はパルミチン酸レチノールはしっかり入れておくことで紫外線からの肌ダメージを軽減すると言われています。通常のレチノールは夜使い、昼間に紫外線で変性してしまうため、しっかり日焼止塗る必要がありますが、パルミチン酸レチノールに関しては、日に当たる時にしっかり塗って肌を防御する効果もあります。

    このパルミチン酸レチノールは、シワに効果があるというより、使い続けていくうちに肌のハリ感やツヤ感を出していくものです。レチノール配合と書いてあってもパルミチン酸レチノールであることもあります。そのためシワ改善で使いたい時にはレチノールをしっかり使う、レチノールの効能をゆっくり感じたい方はパルミチン酸レチノールのようなビタミンAの誘導体を使う方が良いでしょう。

    レチノール美容液

    資生堂エリクシールレチノパワーリンクルクリーム

    資生堂の純粋レチノールは肌の潤いに欠かせないヒアルロン酸を生み出して、水分量を増やすことで柔軟な肌に導いて、真皮のコラーゲンの密度を高めて、口元や目元、首のシワを改善してくれます。

    またレチノールを使うとピリピリしたり、赤くなりやすかった方も多いと思いますが、資生堂は純粋レチノールを油分で包み込んで肌に刺激がないように浸透をコントロールする独自技術を採用しています。

    また資生堂の純粋レチノールは日本で唯一シワ改善と明記しているレチノールです。資生堂のシワ研究では、シワができやすい人、できにくい人がおり、年齢が高くなるとシワが深くなる人、年齢がいっても意外とシワが深くならない人、その差には何があるのかを研究されています。

    その違いに角層が硬くなっていくこと、例えば表情が動いた時に、その振動が柔らかい人に比べてコラーゲンやエラスチンがある真皮に振動がかなり強く伝わることが分かりました。その振動が深く伝わることによって真皮にあるコラーゲンを壊す酵素の活性を促してしまうことが分かっています。

    つまり、コラーゲンも生まれ変わって新しいものに再生されるのですが、角層が硬くなって刺激が加わることによってコラーゲンの分解酵素だけが働いて壊されると、それによって角層が硬くなり、真皮のコラーゲンなどが少なくなることでシワが深くなることが分かっています。

    レチノールは表皮の水分量もアップさせ、真皮のコラーゲンやあらすじの酸性も促しますが、角層が硬くなると真皮のコラーゲンをいくら作っていても、逆に壊す酵素がたくさんになってしまい、その生成が追いつかなくなるため、レチノールによる効果があまり感じられないことがあります。

    そのため資生堂は、この角層を柔らかくする成分を追加しています。その3つの油分が、アジピルさんクリーゼリル混合脂肪酸エステル、ひまし油、ジピパリン酸トリプルピレングリコールです。基本的には3つの油性の成分を組み合わせることによって角質を柔らかくします。角層が硬い人は柔らかい人に比べて40%も圧がかかりやすいと言われているため、真皮にそれを軽減して圧がかかることによってコラーゲンの分解酵素が亢進するのを抑えてくれる事になっています。ちなみにこの角層の硬さは、年齢だけでなく乾燥や紫外線でも硬くなるため、紫外線対策や保湿も重要です。

    ドクターシー ラボエンリッチデュオセラム

    Duoには2つという意味があり、上がオイルの層、下が美容液の層になっており、これを振ると一つの美容液になります。オイルの層にピュアレチノール、下にはビタミンCが入っています。ビタミンCとレチノールは、一緒に使うことでコラーゲンの産生を促し、ハリ感やツヤ感に繋がります。

    ただしビタミンCはアスコルビン酸(酸性)、レチノールは弱アルカリのため安定性が悪くなってしまいます。そのため通常は、ビタミンCやビタミンC美容液、レチノールはレチノール美容液に分けていますが、シーラボは独自の処方でオイルの層には レチノール、美容液のところにはビタミン Cを入れています。

    そして資生堂のエリクシールと違い、全顔に届けられる事になっています。資生堂のようにシワ改善という風には謳えないですが、全体的なハリ感やツヤ感を出す美容液です。

    無印良品高濃度美容液

    無印良品の高濃度美容液シリーズとして、ビタミンC誘導体、レチノール誘導体、セラミドの3つの高濃度美容液が発売になっています。価格も手頃ですが、容量は少なく30mlです。これはレチノール誘導体配合の高濃度の美容液になりますがパーセンテージは書いていません。ただしレチノール誘導体はピュアレチノールとは違うためパーセンテージにこだわる必要はないと思います。

    このレチノール誘導体は、パルミチン酸レチノールという誘導体になっており、肌に入るとそこから肌の酵素で代謝をされて、これが体の中でレチノールに変わっていく成分です。肌にはパルミチン酸レチノールが豊富にあり、天然の日焼け止め効果もあると言われており、紫外線が当たった時に肌にパルミチン酸レチノールがあった方が光老化を抑えやすい、つまり紫外性によるダメージを抑えやすいと言われています。

    このパルミチン酸レチノールは、守りのレチノールと言われており、紫外線のダメージからも守ってくれ、A反応もほとんど出ません。また長期間使うことによって肌の水分量を上げていくため、ピュアレチノールのように速効性はありませんが、使い続けることで肌のハリ感を出します。

    コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

    関連記事

    1. 砂糖の代わりに蜂蜜!?

    2. 肌老化を招くスキンケア

    3. ダイエットには「味噌」「唐辛子」

    4. オートファジーダイエット

    5. アンチエイジングには『ごぼう茶』『オートミール』

    6. 間違った便秘対策

    7. 睡眠の質を改善する食べ物

    8. 糖質疲労がだるさの原因

    9. 栄養学の基礎知識

    10. クエン酸でアンチエイジング

    11. アンチエイジング飲料「緑茶」

    12. 食べる薬「ごま」、飲む薬「コーヒー」

    13. 若返りの秘訣オートファジー

    14. 老ける人・老けにくい人の違い

    15. 階段を上ると起こる体の変化