隠れ炎症で老化が加速

    隠れ炎症で老化が加速

    やる気が出ないのは、メンタルのせいではなく体の中の隠れ炎症のせいです。多くの方が、気付かずに体内の隠れ炎症のせいで体の不調、やる気が出ないなどに悩まれています。この炎症は体中に拡がり、健康であった組織の機能を低下させ、さらに不調を悪化させる原因になります。また体の炎症は老化現象にも密接に関係しており、体内の炎症を抱える方ほど、肌がたるみシミやシワも増えることになり、当然のことながら年齢以上に高齢に見られやすくなります。若々しく免疫力の高い体づくのためには炎症ゼロを目指しましょう。

    慢性炎症はサイレントキラー

    長引く炎症を一般的に慢性炎症と呼び、細胞や血管が傷ついて細胞が劣化し不調や病気を引き起こす原因になります。また加齢による肌のたるみ、抜け毛などは、慢性炎症によって老化が加速することで起こっているケースがあります。そして近年のコロナ後遺症(倦怠感、息切れ、集中力欠如、物忘れ、臭覚や味覚異常、うつなど)も慢性炎症が関係しているのではないかと考えられています。

    この慢性炎症が難しいのは、自分で気づかないまま同じ場所で炎症が続き、細胞が破壊され、臓器や血管の機能低下によって初めて自分の不調や病気に気づくことです。このため慢性炎症は「サイレントキラー」と呼ばれています。体内で炎症が起こるとサイトカインという物質がつくられ、体内に異物が侵入してきたことを知らせて炎症を引き起こす働きがあります。しかし炎症が長引くとサイトカインがつくられ過ぎて、さらに血管を通じて体中に拡がります。例えば歯周病は、歯周病菌によって炎症が起きると、炎症物質が血管に乗って全身に運ばれて様々な不調や病気を引き起こすことが知られています。

    慢性炎症の原因は「焦げ、サビ、肥満」

    慢性炎症の原因は、外部からの細菌やウイルス、大気汚染や環境汚染だけでなく、体の内部の活性酸素やAGEなどによることが挙げられます。

    体の焦げ(糖化)と言われるAGEは糖とタンパク質が結びついて劣化することですが、老化の原因になる悪玉物質として知られています。例えば肌のくすみは、肌の焦げであり、肌の細胞で糖化が起こり褐色のAGEがつくられるからです。また肌のコラーゲンで糖化が起これば、コラーゲンが編成して肌の弾力が失われ、シワ、たるみ、くすみ(STK)の原因になります。

    この糖化によってつくられたAGEが細胞を傷つけ、その防御反応として炎症が起こり、日常化して慢性炎症になります。この焦げを増やさないためには糖質を摂り過ぎないことが重要になります。

    一方で、体のサビと呼ばれる活性酸素も慢性炎症の原因になります。活性酸素は、呼吸によって取り込んだ酸素によってつくられ、何らかの原因(ストレス、疲れなど)で過剰に増え過ぎてしまうと細胞を傷つける原因になります。私たちの体には増え過ぎた活性酸素を取り除く抗酸化力が備わっていますが、年齢を重ねるにつれて低下します。そのため食事からしっかり抗酸化物質が豊富に含まれている食物を摂取することが老化防止には大切です。

    さらに肥満も慢性炎症も引き起こすリスクがあります。脂肪細胞には脂肪を蓄える役割がありますが、その容量には限界があり、それを超えると細胞が破壊され白血球の働きが活性化します。また肥満になると炎症を抑える物質の分泌量が減ることも分かっています。特に運動や食生活の改善によって内臓脂肪を減らすことが必須です。

    慢性炎症を引き起こす食べ物、減らす食べ物

    慢性炎症を予防や改善するのであれば、まずは食べ過ぎに注意しましょう。食べ過ぎは肥満になるだけでなく、長寿遺伝子であるサーチュイン遺伝子の老化を抑える働きが機能しなくなります。腹八分目を意識して食事をしましょう。またよく噛んで活性酸素を除去する働きの持つ唾液をしっかり分泌させましょう。ちなみに唾液を多く分泌させるためにはよく噛むことです。

    慢性炎症を減らす食べ物

    炎症を抑えるためには、腸の状態を整えることが大事です。スタンフォード大学の研究では、発酵食品(納豆、キムチなど)を食べると腸内細菌が健康的に変化し、炎症を促進する19種類のタンパク質の血中濃度が低下したことが明らかになっています。

    体の活性酸素を取り除くには、抗酸化物質の代表であるポリフェノールを摂りましょう。ポリフェノールは、納豆、豆腐、高カカオチョコ、生姜、コーヒーなどに豊富に含まれています。またスパイスとして有名なターメリックは慢性炎症を抑えることが分かっています。そして青魚(鯖、鰯、秋刀魚、鮪)に含まれるオメガ3系脂肪酸は、抗炎症作用や抗酸化作用を持ち、有名なものがEPAやDHAです。

    慢性炎症を引き起こす食べ物

    慢性炎症を引き起こす食べ物は小麦粉(グルテン)です。日本人の8割はグルテンに合わない体質であると言われており、パン、うどん、ラーメンなど小麦からつくられた食品によって、腸に慢性炎症(リーキーガット)が起こっている可能性があります。まず1ヶ月グルテンを控える食生活をして体調をチェックしてみましょう。また牛乳に含まれているカゼインというタンパク質も慢性炎症を引き起こす可能性があります。グルテンフリーやカゼインフリーも意識してみましょう。さらに血糖値を上げないためにすぐに甘いと感じるお菓子やジュースは避けましょう。

    【本コラムの監修】

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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