隠れ炎症で老化が加速

    隠れ炎症で老化が加速

    やる気が出ないのは、メンタルのせいではなく体の中の隠れ炎症のせいです。多くの方が、気付かずに体内の隠れ炎症のせいで体の不調、やる気が出ないなどに悩まれています。この炎症は体中に拡がり、健康であった組織の機能を低下させ、さらに不調を悪化させる原因になります。また体の炎症は老化現象にも密接に関係しており、体内の炎症を抱える方ほど、肌がたるみシミやシワも増えることになり、当然のことながら年齢以上に高齢に見られやすくなります。若々しく免疫力の高い体づくのためには炎症ゼロを目指しましょう。

    炎症とは

    炎症は、私たちの免疫細胞が活性化することを意味します。例えば風邪を引くと熱が出て顔が赤くなりリンパ節が腫れます。これらの症状は免疫細胞が活発に活動していることの何よりの証拠です。風邪の多くはウイルスが原因となって起こりますが、感染すると免疫細胞はそれを排除するために活発になります。

    多くのウイルスは熱に弱く、逆に免疫細胞は温かいところで活発に働くという性質を持っています。つまり体温が上がることによって免疫細胞がウイルスを排除するのに最適な環境が整います。また顔が赤くなるのは、全身の血管が拡張しているからであり、血色という言葉がある通り血の色によるものということが言えます。

    また、風邪を引いて血管が拡張するのも、免疫細胞が最大限の力を発揮するための体の防御機構の一つです。ウイルスは細胞の中に直接入り込み、DNAを乗っ取ることで自らを複製して増殖していきます。このようなウイルスを排除するためには、感染した自分自身の細胞を直接攻撃する必要があります。この時に働くのがキラーT細胞という免疫細胞です。そしてウイルスに侵された感染細胞の多くは血管の外に存在しています。もちろん血管の中には血管内皮細胞や血球など様々な細胞が存在していますが、それらの細胞は私たちの体を構成する全ての細胞の中のごく僅かに過ぎません。多くの細胞は血液の外に存在しており、キラー細胞を含む免疫細胞の多くはリンパ節や脾臓などの液体の中に存在しています。

    このように液体に存在しているキラーT細胞が感染などの非常事態時に血管という高速道路に乗り、感染した細胞のある場所まで輸送されます。しかし感染した細胞の多くは、血管の外にあるため血液中に存在するキラーT細胞はあくまでその近くにまでにしか行くことができません。つまりキラーT細胞が直接感染細胞を攻撃するためには血管の外に出る必要があります。

    そこで登場するのが好中球などの別の免疫細胞が発するサイトカインという物質です。このサイトカインには様々な種類があり、その中の一つに血管を拡張させる作用を持つものがあります。私たちの血管は一つ一つの細胞が結合してできており、血管が拡張するというのはつまり細胞同士のつながりが弱くなるということに他なりません。血管の細胞同士の結合が弱まればその間に隙間ができてキラーT 細胞のような免疫細胞が血管の外に通り抜けられるようになります。

    こうして血管の壁を通り抜けることができたキラーT 細胞は感染細胞に直接赴いてウイルスを排除してくれます。風邪を引いて顔が赤くなるのは、免疫細胞を手助けするための体の防御機構の一つです。このように非常時に働く免疫システムを急性炎症と言います。

    一方で炎症が体に悪いと言われている際の炎症は慢性炎症を指しています。慢性炎症は生活習慣病をはじめとする様々な不調をきたします。慢性炎症が厄介なのは、目立った症状が出ないことです。例えば慢性炎症が膵臓で起これば、インスリンの作用が低下し、血糖値が少しずつ上がっていきます。こうして 徐々に血糖値が上がった先には、2型糖尿病に至ります。

    また、慢性炎症が皮膚で起きればシワやたるみ、シミなどの老化現象として現れます。さらに最近では脳で慢性炎症が起こることによって、頭痛や認知症、うつ病などの症状をきたすことも分かってきています。

    このように何だか疲れやすい、何だか最近謎の体調不良がずっと続いているのであれば、この慢性炎症が起こっていると疑ってみても良いでしょう。

    慢性炎症はサイレントキラー

    長引く炎症を一般的に慢性炎症と呼び、細胞や血管が傷ついて細胞が劣化し不調や病気を引き起こす原因になります。また加齢による肌のたるみ、抜け毛などは、慢性炎症によって老化が加速することで起こっているケースがあります。そして近年のコロナ後遺症(倦怠感、息切れ、集中力欠如、物忘れ、臭覚や味覚異常、うつなど)も慢性炎症が関係しているのではないかと考えられています。

    この慢性炎症が難しいのは、自分で気づかないまま同じ場所で炎症が続き、細胞が破壊され、臓器や血管の機能低下によって初めて自分の不調や病気に気づくことです。このため慢性炎症は「サイレントキラー」と呼ばれています。体内で炎症が起こるとサイトカインという物質がつくられ、体内に異物が侵入してきたことを知らせて炎症を引き起こす働きがあります。しかし炎症が長引くとサイトカインがつくられ過ぎて、さらに血管を通じて体中に拡がります。例えば歯周病は、歯周病菌によって炎症が起きると、炎症物質が血管に乗って全身に運ばれて様々な不調や病気を引き起こすことが知られています。

    慢性炎症の原因は「焦げ、サビ、肥満」

    慢性炎症の原因は、外部からの細菌やウイルス、大気汚染や環境汚染だけでなく、体の内部の活性酸素やAGEなどによることが挙げられます。

    体の焦げ(糖化)と言われるAGEは糖とタンパク質が結びついて劣化することですが、老化の原因になる悪玉物質として知られています。例えば肌のくすみは、肌の焦げであり、肌の細胞で糖化が起こり褐色のAGEがつくられるからです。また肌のコラーゲンで糖化が起これば、コラーゲンが編成して肌の弾力が失われ、シワ、たるみ、くすみ(STK)の原因になります。

    この糖化によってつくられたAGEが細胞を傷つけ、その防御反応として炎症が起こり、日常化して慢性炎症になります。この焦げを増やさないためには糖質を摂り過ぎないことが重要になります。

    一方で、体のサビと呼ばれる活性酸素も慢性炎症の原因になります。活性酸素は、呼吸によって取り込んだ酸素によってつくられ、何らかの原因(ストレス、疲れなど)で過剰に増え過ぎてしまうと細胞を傷つける原因になります。私たちの体には増え過ぎた活性酸素を取り除く抗酸化力が備わっていますが、年齢を重ねるにつれて低下します。そのため食事からしっかり抗酸化物質が豊富に含まれている食物を摂取することが老化防止には大切です。

    さらに肥満も慢性炎症も引き起こすリスクがあります。脂肪細胞には脂肪を蓄える役割がありますが、その容量には限界があり、それを超えると細胞が破壊され白血球の働きが活性化します。また肥満になると炎症を抑える物質の分泌量が減ることも分かっています。特に運動や食生活の改善によって内臓脂肪を減らすことが必須です。

    慢性炎症を引き起こす副腎疲労

    体を病気から守るために最も重要なものは、腸内環境がピカピカの状態であること、肝臓のデトックス効果がちゃんと働いていること、脳がキビキビ動くことなど、人によって様々重要なものがあると思います。しかしコルチゾールこそが病気から私たちの体を守るための司令塔だと考えられています。このコルチゾールを分泌するのが副腎です。

    副腎は、腎臓の上にある直径わずか3cmの小さな臓器で、副腎が様々なホルモンを分泌して私たちの心身のバランスを維持してくれています。アドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンもこの副腎で産生されています。そして様々なホルモンの中でも重要なホルモンが、病気から体を守る司令塔コルチゾールです。

    コルチゾールは、一般的にはストレスホルモンと呼ばれ、ストレスから守ってくれるホルモンのことです。コルチゾールは、実に様々な働きを体内で担い、タンパク質や脂肪を分解したり、血糖値を上げたりする作用によってエネルギーを引き出す、抗炎症作用や免疫抑制によって慢性炎症を抑える効果、睡眠のリズムやストレスをコントロールし、1日の生活リズムを整えることが挙げられます。簡単にまとめてしまえば、毎日元気に規則正しく生活できるようにしてくれているのがコルチゾールです。

    逆にコルチゾールの分泌が乱れてしまうと朝起きることができない、中途覚醒するといった睡眠の問題が現れます。またちょっとしたことで気持ちが落ち込んだり、物事に熱中できない、やる気が出ないといった意欲の問題も現れます。さらにアレルギー症状や何だか体が重いといった体調不良の問題も出てきてしまいます。日中よりもむしろ夕方以降の方が元気が出るという人も、コルチゾールの分泌が乱れている可能性があります。こういったコルチゾールの分泌が乱れている状態を、その分泌器官である副腎が疲れていることに例えて、副腎疲労と言います。この副腎を回復させれば、コルチゾールが分泌されると思われるかもしれませんが、コルチゾールの分泌には複雑なメカニズムが絡んでいます。

    このコルチゾールの分泌をコントロールする基本的なメカニズムを、HPA軸の フィードバックシステムと言ったりします。HPA軸とは視床下部、下垂体、副腎、この3つの頭文字を取っています。視床下部も下垂体も脳にある部位の名前で、副腎は勝手にコルチゾールを分泌しているわけではなく、視床下部から下垂体へ、下垂体から副腎へと指示が伝わります。

    あらゆる病気の元となる5つの根本原因は、慢性炎症、低血糖、睡眠不足、ストレス、運動不足で、この5つがなぜあらゆる病気の元となってしまう根本原因なのかと言うと、それらはコルチゾールの分泌を乱してしまう副腎疲労を引き起こす原因だからです。

    体内炎症の意外な原因は歯周病

    歯周病は健康状態に影響を与えます。これは言い換えると、歯周病予防することで、それらの病気リスクを減らせる可能性があります。歯周病が関連している病気は心血管疾患です。

    研究によれば、歯周病は心血管疾患のリスクを高める要因の一つとされていて、歯周病が全身炎症をもたらし、動脈硬化を進行させる可能性があります。実際に2012年に行われた調査によると、様々な研究を分析した結果、歯周病が心臓発作や脳卒中のリスクを高めることが示されています。

    また歯周病が関連している病気に糖尿病が挙げられます。糖尿病と歯周病は、お互いに影響を与え合う双方向の関係があります。歯周病がひどいと、血糖値のコントロールが難しくなることがあり、逆に糖尿病を患っている場合は、歯周病が進行しやすくなると言われています。

    歯周病がひどい場合は、血糖値のコントロールが難しくなる理由も、やはり炎症が関係しており、炎症に関連するタンパク質である炎症性サイトカインが増えると、血糖値を下げる作用があるってインスリンの効果を低下させてしまいます。

    その他の歯周病が関連している病気が呼吸器疾患です。最近の研究によると、歯周病が呼吸器疾患と関連していることが明らかになっており、研究者たちは歯周病が慢性閉塞性肺疾患などの症状を悪化させたり、肺炎、気管支炎、肺気腫を引き起こす可能性があると結論づけています。

    慢性閉塞性肺疾患はCOPDとも呼ばれ、日本ではがんや糖尿病が同じく生活習慣病の中でも特に対策が必要とされていて、厚生労働省の調査によると、2022年には1万6676人の方がCOPDで死亡しています。

    歯周病が呼吸器疾患を引き起こす理由は、まず細菌の拡散があります。歯周病を引き起こす細菌が簡単に肺に入り込んで、肺炎を引き起こしたり、COPDなどの症状を悪化させます。さらに歯周病による炎症が肺の内膜の炎症を引き起こし、呼吸影響を与えることもあります。

    また慢性的な呼吸器疾患がある方は免疫力が下がりやすく、その影響を受け歯周病が悪化したり、肺の病気リスクが上がります。この他、早産や低出生体重のリスクを高めたり、アルツハイマー型認知症との関連が指摘されていたり、歯周病は体全体に様々な影響を与えるとされています。

    歯周病の予防方法

    まずは何と言っても歯磨きです。これは歯茎を保護するために、歯ブラシは柔らかい毛のものを選んで、歯茎の境目を丁寧にブラッシングしましょう。また歯ブラシは1ヶ月に1回変えるのが理想的です。歯ブラシを使っていると毛先が広がるため、その状態で磨いてもうまく汚れが取れません。

    そして歯周病を予防するためには、フロスや歯間ブラシを使用しましょう。歯と歯の間や歯茎のラインには、食べカスやプラークがたまりやすいので、フロスや歯間ブラシを使用しましょう。フロスや歯間ブラシをすることで口臭も抑えられます。

    慢性炎症を引き起こす食べ物、減らす食べ物

    慢性炎症を予防や改善するのであれば、まずは食べ過ぎに注意しましょう。食べ過ぎは肥満になるだけでなく、長寿遺伝子であるサーチュイン遺伝子の老化を抑える働きが機能しなくなります。腹八分目を意識して食事をしましょう。またよく噛んで活性酸素を除去する働きの持つ唾液をしっかり分泌させましょう。ちなみに唾液を多く分泌させるためにはよく噛むことです。

    慢性炎症を減らす食べ物

    炎症を抑えるためには、腸の状態を整えることが大事です。スタンフォード大学の研究では、発酵食品(納豆、キムチなど)を食べると腸内細菌が健康的に変化し、炎症を促進する19種類のタンパク質の血中濃度が低下したことが明らかになっています。

    体の活性酸素を取り除くには、抗酸化物質の代表であるポリフェノールを摂りましょう。ポリフェノールは、納豆、豆腐、高カカオチョコ、生姜、コーヒーなどに豊富に含まれています。またスパイスとして有名なターメリックは慢性炎症を抑えることが分かっています。そして青魚(鯖、鰯、秋刀魚、鮪)に含まれるオメガ3系脂肪酸は、抗炎症作用や抗酸化作用を持ち、有名なものがEPAやDHAです。

    マッシュルーム

    マッシュルームを初めとするキノコ類には様々な健康効果があります。例えば日本でもよく食されている舞茸の栄養素ナイアシンには、お肌の保湿する効果があります。また椎茸には強力な抗がん作用があるということが知られています。そして中でもマッシュルームには強い抗炎症作用があるということが様々な研究によって明らかにされています。

    マッシュルームが持つ抗酸化作用の高い栄養素の代表がポリフェノールです。ポリフェノールは、植物が持つ苦みや渋みを出す成分の総称のことです。特にマッシュルーム由来のポリフェノールは特別で、腸内腐敗産物として知られているアンモニアやP-クレゾールを減らすことによって腸内環境を良好にしてくれるということが最新の研究で分かってきています。

    腸内には様々な細菌が生息し、腸内フローラという細菌層を構成しています。善玉菌は私たちの食べた食物の消化吸収を手助けしてくれる細菌で、一方の悪玉菌は私たちの食べた食物を餌として増える過程で有害な影響をもたらす様々な毒素を排出します。その毒素の代表がアンモニアやP-クレゾールです。これらの毒素は腸管を侵し、消化吸収に様々な害を及ぼします。またアンモニアは血液中に回りやすいという性質を持っているため、血液を通して全身に巡り、体中の細胞を破壊します。そしてアンモニアが脳にまで達すると脳症という恐ろしい病気を発症することもあります。

    因みにキノコは調理をすることによって抗炎症作用が大幅に減少してしまうという研究があります。従ってマッシュルームは生で食べるかまたは軽く調理して食べるぐらいにするのが最善です。

    因みに食事から摂ったエネルギーのその多くが活動に使われますが、余ってしまったものは中性脂肪として蓄えられていきます。このような中性脂肪を蓄えた細胞を脂肪細胞と言い、この脂肪細胞は非常に炎症を引き起こしやすいということで知られています。体に脂肪細胞が蓄積すると、脂肪細胞内の免疫細胞が異常に活性化し、TNFαを初めとする炎症物質を放出し始めます。

    マッシュルームの一種のヤマブシタケには、炎症を抑えるエルゴステロール類の一種が含まれているということが最近の研究によって分かってきています。このヤマブシタケは、スーパーでは中々手に入らないため、サプリを活用するというのもよいかもしれません。

    ココナッツウォーター

    ハワイではココナッツウォーターは天国の雫とも呼ばれ、健康や若々しさを維持するために不可欠な食材として親しまれています。このココナッツウォーターにプロスタグランジンの生成を阻害するという抗酸化作用があることがわかってきています。

    プロスタグランジンとは強い生理活性作用を持つ炎症物質の一つであり、その強力な生理活性作用から病院で処方される薬としても用いられています。このプロスタグランジンは、私たちの体内にも自然に存在している物質であり、発熱を促す作用があります。またプロスタグランジンには、痛みを催す作用があります。発熱が免疫細胞をサポートするために重要ですが、同時に痛みも身体を安静にさせて休養し、エネルギーを蓄えさせるという働きがあります。

    一説によると肩こりや腰痛といった慢性的な痛みは、慢性炎症によってプロスタグランジンが分泌され続けてしまうからではないかとも言われています。このようなプロスタグランジンを消すために役立つのがココナッツウォーターの持つ抗炎症物質です。さらにココナッツウォーターには抗炎症物質の他にも、若返りのために役立つ様々な栄養素が含まれています。その一つがLアルギニンです。Lアルギニンはアミノ酸の一種ですが、体内に吸収されると一酸化窒素に変換されます。この一酸化窒素には血管拡張作用があり、血管が拡張すると血圧が下がり血行が良くなるため、体の細胞の隅々まで栄養が届くようになります。そのため血行が滞っていた組織にまで酸素や栄養が届くため、細胞がみるみる内に若返ります。またこのLアルギニンが肌の角質層を保護してくれる作用があります。

    最近では、ココナッツウォーターが悪玉コレステロールの値を低下させるという効果が注目されています。実はコレステロールそれ自体はそれほど悪いものではなく、私たちの細胞を構成する脂質としてなくてはならない存在です。コレステロールで問題となるのは悪玉コレステロールと呼ばれる物質で、油は血液には溶けないため、血液中ではコレステロールはHDLや LDLといった水に溶ける物質と一緒になって運ばれています。このうちHDLと結合しているコレステロールを善玉コレステロール、LDLと結合しているコレステロールを悪玉コレステロールと言います。

    善玉コレステロールは、血液のコレステロールを肝臓に運んでくれ、一方で悪玉コレステロールは肝臓に溜まっているコレステロールを血液中に放出します。血液中に油であるコレステロールがいっぱいになると、油まみれの水道管がドロドロになって詰まってしまうのと同じように血管は詰まってしまいます。そして血管が詰まれば様々な老化現象が起こります。悪玉コレステロールを減少させてくれるココナッツウォーターはまさに若返りのエキスであるということができます。

    一方で、ココナッツウォーターが持つ効果が尿路結石の予防効果です。尿路結石は、加齢によって起きる泌尿器系の病気で最も多いものの一つです。ココナッツウォーターにはクエン酸という物質が多く含まれており、クエン酸には尿路結石を溶かす効果があります。またクエン酸には、疲労回復など様々な効能があります。

    ココナッツウォーターの飲み方は、どれだけ素晴らしい天国の雫であってもやはり摂り過ぎは禁物です。ココナッツオイルという製品がある通り、ココナッツには大量の油が含まれています。ココナッツに含まれる油のほとんどは中鎖脂肪酸であり、大量に取ることによって下痢になってしまうことがあります。

    パイナップル

    パイナップルは糖質が気になりますという人いるかもしれませんが、パイナップル100g あたり50kcal程度で、果物の中では糖分が低めです。パイナップルが持つ抗酸化物質がブロメラインです。ブロメラインはパイナップルだけが持つ特別な抗酸化物質で、全身の様々な腫れを治めてくれるという機能を持っています。腫れも炎症の一種であり、何かにぶつかり赤く腫れたりするとそこが 熱を持ちます。それはその部分の血流豊富であることの証拠です。

    パイナップルに含まれるブロメラインには、鼻腔粘膜の腫れである副鼻腔炎や 歯肉などの痛み、また筋肉痛などに効果的であるとされています。

    果物であるパイナップルには豊富な食物繊維が含まれており、βカロテンという 皮膚のアンチエイジングに必須の栄養素も含まれています。βカロテンもまた 抗酸化力の非常に強い物質です。βカロテンはビタミンAの前駆体であり、ビタミンCやEと共に「抗酸化ビタミン」と呼ばれています。体内でビタミンAに変換されたβカロテンは、皮膚の粘膜を保護したり、癌の予防に働いてくれます。

    メープルシロップ

    メープルシロップには、健康効果が沢山あります。メープルシロップには、メープルシロップしか持っていないポリフェノールのケベコールが含まれています。ケベコールは2010年に発見されたばかりのポリフェノールで、医学会で大注目され、様々な研究が進んでいます。ゲベコールは抗酸化作用を持つ他に、2型糖尿病の発症原因となる腸管の炎症を抑えてくれる作用があることが最新の研究で明らかになりました。

    2型糖尿病の発症原因として腸管のバリアの脆弱化により、腸内の悪玉菌や食事由来の細菌が細胞内に侵入してしまうことが挙げられています。ケベコールには腸管バリアを守ることで間接的に2型糖尿病の発症を抑える作用があることが分かってきました。さらにケベコールにはLDLコレステロールを下げる働きもあるほか、非常に有益な抗がん作用があると指摘する研究も存在します。

    また、メープルシロップにはミネラルが豊富に含まれています。その中でも最も注目したいのは日本人に不足しがちな亜鉛です。亜鉛には髪の毛の成分であるケラチンを生成する作用があり、メープルシロップを摂ることで髪の毛を太く強くしてくれることが期待できます。また亜鉛には、皮膚の粘膜を保護するビタミAを細胞の中に留めてくれる効果があり、喉や鼻といった体の弱い部分の粘膜を強くする作用もあります。亜鉛の他にもカリウムやカルシウム、ナトリウムなど無数のミネラルが含まれています。

    一方でカロリーが低いというメリットもあります。例えばメープルシロップはハチミツよりも平均15%もカロリーが低いとされています。またカロリーだけではなく、炭水化物の値もメープルシロップの方が低めとなっています。

    因みにメープルシロップの選び方は、原材料がカエデ樹液100%の純粋メープルで原産国がカナダのものを選ぶようにしましょう。純粋メープルシロップにはカナダグレードAと呼ばれる認証がついています。

    慢性炎症を引き起こす食べ物

    慢性炎症を引き起こす食べ物は小麦粉(グルテン)です。日本人の8割はグルテンに合わない体質であると言われており、パン、うどん、ラーメンなど小麦からつくられた食品によって、腸に慢性炎症(リーキーガット)が起こっている可能性があります。まず1ヶ月グルテンを控える食生活をして体調をチェックしてみましょう。また牛乳に含まれているカゼインというタンパク質も慢性炎症を引き起こす可能性があります。グルテンフリーやカゼインフリーも意識してみましょう。さらに血糖値を上げないためにすぐに甘いと感じるお菓子やジュースは避けましょう。

    市販のドレッシング

    サラダが健康に良いということで定期的にサラダを食べている方もいると思いますが、間違っても市販のドレッシングを買ってはいけません。いくら健康に良いとされているサラダを食べたとしても、それに健康に悪い市販のドレッシングをドバドバかけていれば何の意味がないと言えます。

    なぜなら、市販のドレッシングには不健康な成分、糖質、塩分、サラダ油、化学調味料、トランス脂肪酸などが含まれています。例えば市販のドレッシングの多くには味を良くするために砂糖やシロップが加えられています。また成分表示を見ても砂糖とは明確に書いていないパターンが多く、コーンシロップ、糖蜜、ブドウ糖、果糖といった別の言葉が使われています。またドレッシングには大量の塩分が含まれています。さらにはサラダ油が含まれており、含まれるリノール酸はアラキドン酸に変化するとアレルギーを促進したり、血栓を引き起こす要因になります。

    一方で市販のドレッシングの多くには不健康な油の代表であるトランス脂肪酸が含まれています。トランス脂肪酸を摂取すると血管を傷つけ心臓病のリスクを高めるとも言われています。さらにトランス脂肪酸は肥満、脳卒中、2型糖尿病との関連も指摘されています。

    またドレッシング以外にも多くの食べ物に調味料(アミノ酸等々)書かれたものが入っています。このような化学調味料は、うま味調味料といって主成分はグルタミン酸ナトリウムです。なぜ化学調味料が良くないのかと言うと、グルタミン酸ナトリウムは興奮性の神経伝達物質だからです。つまり食べることによって脳を興奮させ多幸感が得られ、さらに摂取量が増加して容易に依存症になってしまうからです。

    慢性炎症を解消する栄養素

    慢性炎症を予防、改善したいのであれば、ポイントとなるのは抗炎症作用を持つ栄養素の摂取です。抗炎症作用を持つ栄養素には、抗炎症性脂質、抗炎症性ハーブ、ビタミンDの3つがあります。

    抗炎症性脂質は、オメガ3系の脂肪酸です。青魚や亜麻仁油、えごま油を意識して摂取するようにしましょう。また実は悪いと言われているオメガ6系脂肪酸も炎症を抑える働きがあります。ただし摂取しすぎると逆に炎症を広げてしまうことが分かっており、現代人は過剰摂取している人が多いです。オメガ3とオメガ6の摂取割合は1対2から1対 3が理想です。基本的にはオメガ3を意識して摂取するようにして下さい。

    抗炎症性ハーブの代表は、ベルベリン、ケルセチン、クルクミンの三大抗炎症ハーブです。ベルベリンは腸の蠕動を緩め、腸内の腐敗や異常発酵を抑える作用があるほか、消化促進、炎症抑制効果があります。ケルセチンは免疫細胞の活性化増加を抑え、炎症を抑制する働きがあります。さらにミトコンドリア機能を改善する効果や高アレルギー作用もあります。

    クルクミンは胃の調子を良くする作用があるとともに、胆汁の分泌を促進し、肝機能を向上させます。もちろん抗炎症作用もあります。

    ビタミンDについては、重要栄養素ですので 1日15分程度は日光を浴びるといった習慣を続けて下さい。

    なぜ足三里への鍼灸が炎症を改善するのか

    そのメカニズムを解明したのがベニートフアレス自治大学のラファエル教授です。敗血症(細菌やウィルスなどの感染により全身に炎症が広がる)の治療に鍼灸が有効ではないかと考えて採用したツボが「足三里(あしさんり)」です。敗血症では、本来体を守る免疫細胞が暴走し、炎症物質が大量に放出され、その過剰な炎症によって血管や臓器が破壊されてしまいます。

    研究では、敗血症のマウス4匹を2つのグループに分け、片方のグループのマウスの足三里に鍼で刺激を与えたところ、何もしなかったグループはすべて死亡してしまいましたが、刺激を与えたグループの半数が生き残りました。これらより足三里のツボには、炎症を抑える効果や組織を修復する効果が確認されました。

    そのメカニズムには、迷走神経への働きが確認されています。足三里を鍼で刺激すると、そのシグナルが神経へ伝達、それが脊髄を通って脳へ到達します。さらに先にシグナルが伝わるのが迷走神経で、脳から肺や心臓などの多くの臓器に命令を伝える重要な神経です。ちなみに迷走神経は、臓器と臓器の間に迷走するように張り巡らされているためこのような名前が付いています。

    そして脳から伝わったシグナルは最終的に副腎に到達します。すると副腎はドーパミンという物質を放出し、血管を介して全身を巡っていきます。このドーパミンは脳内では、意欲や幸福感をもたらす物質ですが、暴走していた免疫細胞に結合すると炎症物質の放出がストップします。この結果、免疫機能が回復し、全身の炎症が治まります。このように鍼灸により炎症を抑えることができれば様々な治療に役立つことが考えられます。

    足三里(あしさんり):ひざのお皿のすぐ下、外側のくぼみに人さし指をおき、指幅 4 本そろえて小指があたっているところ

    足三里(あしさんり)

    【本コラムの監修】

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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