目の周りは他の箇所にくらべて皮膚が薄く、また血管も細く内出血する可能性が高くなるため、通常は美容鍼(散鍼)をすることはありません。またエステによって血行をよくすることは可能ですが、肌に摩擦を与えるマッサージ法はトラブルになりやすい部分です。
そのためパソコンやスマホなどで、目を酷使して凝り固まった筋肉には、目元用パッド(パルス)を使い、目元の筋力(眼輪筋)を細かく振動させて、目の周りの筋肉がほぐして、血行を促進することで目の下のクマ、小シワが解消されます。さらにインディバで目元のたるみケアをすることで、目の周り全体のたるみをスッキリさせることができます。
目の下たるみの原因
一般的に目の下のたるみは加齢による場合が多いですが、長時間のスマホの使用は表情筋を固まらせ、目の下のたるみの要因ともなります。そして目の下のたるみはマッサージやアイクリームでも取れない場合があります。自分のたるみの原因をしっかり理解して、自分に合ったケアをすることが大事です。特に目の周りの筋肉やリンパもたるみに関係してくるため、その相互関係も含め確認しましょう。
目の下がたるむ仕組み
アンチエイジングの中でも目が一番顔の印象を左右します。しかし目の周りの皮膚は顔の中でも特に薄いデリケートな部分で、乾燥しやすくたるみやシワになりやすく、気づいたら目の下がカラスの足跡になっているかも知れません。カラスの足跡とは、目尻にできる笑いジワのことで、複数の細かいシワが放射状に広がることからカラスの足跡と呼ばれています。通常、カラスの足跡は細かくて浅いシワですが、加齢によって深く目立つシワへと変化 することがあります。
目の下のたるみの原因は、主に加齢により弾力や筋力の低下が大きいですが、目の下の脂肪が下がってもたるみは起こります。他にも目の酷使や刺激などでも起こり、何気ない生活習慣が原因で引き起こしている場合もあります。加齢によって目元の弾力や筋力が低下するのは、皮膚が老化する仕組みにあります。
皮膚は老化すると皮膚のハリを維持するコラーゲンや弾力を作るエラスチンが減少し、加えて水分を保つヒアルロン酸も減少します。コラーゲンとは、タンパク質の一種で体内にあるタンパク質の約30%を占め、組織や細胞をつなぎ合わせる接着剤のような機能があります。コラーゲンは体内の形成や機能を保つために必要不可欠なものであり、コラーゲンは肌とも深く関係し、肌は表皮、真皮で構成され各役割に違いがあります。
表皮は水分の保持や体温の維持など、外側から体を保護し、真皮は表皮の内側で肌のハリや弾力を保持します。コラーゲンは真皮に約70%構成されており、真皮にはコラーゲン繊維とエラスチンが張り巡らせていて、肌にハリや弾力を持たせてくれます。しかしコラーゲンは加齢や紫外線などで減少してし、これは加齢によりコラーゲンを作り出す力が弱くなるからと言われています。
エラスチンは、皮膚や血管など弾力性のある組織に含まれているタンパク質です。コラーゲン繊維を束ね、真皮を支えていますが、皮膚中のエラスチン量は20歳代後半をピークに減少します。例えば肌にシミができたらエラスチンが減少している証拠にもなります。
ヒアルロン酸は体内に存在する粘着質な物質のことで保水力に優れ、たくさんの水を蓄えられます。その保水力は 1gで水6リットルとなり、ヒアルロン酸単体の重量の約6000倍も吸収します。人は約60%水分で構成されているため、保水率が高いヒアルロン酸は体にとっても大切な物質です。しかし肌に水分を与えてくれるヒアルロン酸は、加齢とともに減少し、肌のヒアルロン酸量は30代から急激に減少し、40代で赤ちゃんの50%まで減少します。60代になると赤ちゃんの25%まで減少してしまいます。ヒアルロン酸の減少は、肌の瑞々しさやハリを低下させ、乾燥肌やシワシミ形成の原因になります。
そして弾力や柔軟性が減った肌はたるみやすくなるのに加えて、紫外線も肌に打撃を与えます。中でも紫外線A波は、肌に悪影響を及ぼし、真皮のコラーゲンやエラスチンにまで届き、変性させ目元をたるませる原因になります。
目の下のたるみと眼窩脂肪
他にも目の下のたるみには目の下にある眼窩脂肪も影響しています。眼窩脂肪は目の下にある眼球のクッションとなる脂肪のことで、位置的には涙袋と間違えやすいのですが、眼窩脂肪と涙袋は違います。涙袋はまつ毛の生え際にあるぷっくりした膨らみで、眼窩脂肪は涙袋の下にある膨らみのことを言います。
眼球にはロックウッド靭帯と呼ばれる眼窩を吊るす頑丈なハンモックのような靭帯がある眼窩とは眼球が入っている頭蓋骨の穴のことで、眼球は眼窩脂肪に包まれクッションの役割をしています。このロックウッド靭帯が眼窩脂肪と眼球が頭蓋骨の穴に沈まないように支えています。
加齢やスマホなどで目に負担をかけるとロックウッド靭帯が緩み、支えきれなくなります。すると眼球が下がり、その下の眼窩脂肪を圧迫、その結果、眼窩脂肪が前に出てきてしまい、下まぶたの組織を押し出し目に下に膨らみができます。この膨らみがたるみとなり、目の下に影ができてクマとなります。目の下の皮膚は薄く、少しのたるみでも顔の印象を大きく変えてしまいます。
最近は、スマホを頻繁に見るため下を向いている時間が増加しています。すると目の周りの筋肉は固まったままになり、筋肉の下の眼窩脂肪を支えられなくなり、次第に上まぶたから下まぶたに眼窩脂肪が落ちてしまいます。それが目の下のたるみになってしまいます。例えば、下まぶたを指の腹でそっと押し、押した分だけ上まぶたが膨らんだら眼窩脂肪が下がっていることになります。
長時間のパソコンやスマホを使用して目を酷使すると目の周りの筋肉が緊張して血流が滞ります。それが筋肉を弱らせ、老化の要因となります。また目の下への刺激の代表例として手荒なクレンジングや乾燥でも目元のたるみは助長します。クレンジングなどで皮膚の油分が少なくなると角質層の内側の保湿成分が排出されてしまいます。
角質層は表皮の一番外側にあり、外側から角層、顆粒層、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層の4層に分かれています。基底層から誕生した細胞は2週間かけ表面に向かい、その過程で細胞の核を失い、古くなっていきます。
一見剥がれ落ちるだけの角質層として思われがちですが、吸水性や保湿性に優れ、水分を貯蔵できる特徴があります。これは角質細胞の中にある天然保湿因子NMFが角質細胞同士の隙間を埋める役割の細胞間脂質、皮膚表面に分泌される皮脂膜などがそれぞれ吸水性や保湿性を高める役割を果たしているからです。
ただし、角質層はアルカリ性に弱く、皮膚表面の抵抗力が落ちると赤みを引き起こす加えて、 角質層は古い細胞が垢になって剥がれるだけなので防御力はそんなに高くありません。つまり手荒なクレンジングは保湿性の高い角質層を傷つけ、剥がれ落としてしまいます。そのため十分に保湿したとしても角質層が剥がれたことで角質層の内側にある保湿が流れ出てしまいます。
一方で、ビタミンCやセラミド配合の化粧品を活用すると保湿効果が高まります。コラーゲンを生成するビタミンCは、抗酸化作用や保湿作用があり、他にもコラーゲンの生成を促したり、たるみのリフトアップが期待できます。
また、保湿力アップにはセラミドが配合された化粧水がおすすめです。セラミドは肌に元々ある成分で、角質層にある細胞間脂質の約50%を占めています。皮膚から水分が蒸発するのを防いだり、外からの病原体や異物の侵入を防ぎます。そのためセラミドは皮膚内部の水分量を維持するために欠かせません。そのためセラミドが配合された化粧水でケアすることで肌は潤いを持続することができます。
「緩む」と「たるむ」の違い
前述通り、目元のたるみは目の周りの眼窩脂肪が加齢などで上から下へ急降下します。目の周りを囲む眼輪筋は決して大きな筋肉ではありません。眼輪筋は顔の表情筋の一つで、まぶたを動かしたり、涙の量を調整する機能を持つ、目の周りをドーナツ状に囲んでいる筋肉です。反対に眼輪筋とつながるオデコの前頭筋や耳の上の側頭筋の方が大きく強い筋肉のため、まず前頭筋と側頭筋を緩める方が眼輪筋も緩みやすくなります。
一見同じように聞こえる「緩む」と「たるみ」ですが、大きな違いがあります。緩んだ筋肉はふっくらと柔らかく、赤ちゃんの肌のような筋肉のことです。たるみとは、収縮した筋肉の表面の皮膚の状態のため、奥にある収縮した筋肉をふっくらとハリのある状態に戻すことで表面のたるみは自然と解消されます。例えば目が疲れた時に首や肩が凝るのは、後頭部 の後頭下筋群が目と頭や首の動きを連動しているからです。つまり目の下のたるみを取るために目の周りだけマッサージをしても効果が薄く、頭の筋肉全体を緩めることで効果を一層高めることができるのです。
目の下のたるみとリンパ節
リンパとは、リンパ管を流れるリンパ液のことで、リンパ管は動脈や静脈のように体中を くまなく巡る管のことです。リンパ管を流れるリンパ液は、体内に侵入した細菌やウイルスを捕らえ、リンパ管が集まるリンパ節に運びます。リンパ節は、首や脇の下、鼠径部などにあり、各部分で異物と戦う役割を担っています。リンパマッサージは、停滞しているリンパの流れを促進するために施すマッサージ法になります。
体の中を滞留しているリンパの流れが悪くなると余分な老廃物や水分が溜まり、むくみの原因になります。実はリンパは筋肉からの刺激がないと水分を回収しにくくなります。よくデスクワークなどで足がむくむ女性が多いのは、筋肉が動かないことでリンパの流れが悪くなっていることが要因です。
また、耳の付近には、耳下腺リンパ節などの多くのリンパ節が流れており、複数のリンパ節の流れが悪くなることでむくみが発生し、目の下のたるみにつながります。そのため耳たぶや顎の付近をストレッチしてケアしていくことが大切です。
たるみには頭皮ケアも大事
たるみケアのためには、頭皮ケアも大事です。特に頭の筋肉が硬くなっている場合が多く、頭皮がカチカチに固まっていると全然動きません。固まった頭の筋肉は、目周りの筋肉も縮め、下まぶたのたるみにもつながります。加えて顔がたるむと、たるみ毛穴と言って肌のたるみによって元々丸い毛穴が縦長に広がってしまいます。肌の張りや弾力が20代を過ぎる と肌がハリや弾力を失い、だんだん下に垂れ、垂れた肌に引っ張られて毛穴が広がってしまいます。たるみ毛穴はそのまま放置すると毛穴同士でつながり、帯状の溝となってシワになります。そのため耳の上こめかみから頬骨をくぐって下顎に付着している側頭部をマッサージすることが大事です。この側頭筋はストレスや姿勢の悪さでも凝り固まりやすく、日頃からケアが大事です。
目元のたるみを目立たなくする
目元のたるみを目立たなくする方法は以下の3つです。
- 目元の血行や筋力の回復(低周波通電療法)
- コラーゲンを増やす(高周波温熱治療法)
- 僧帽筋をほぐす
目を酷使して凝り固まった筋肉には、目元用パッド(低周波通電療法)を使うことで、リンパや血液循環が良くなるため、クマや小ジワには効果的ですが、なかなか改善が難しいのが目の下のたるみです。
目の下の三日月形のたるみは、加齢により目の周りにある筋力(眼輪筋)が落ち、目の周りに覆われている眼窩脂肪(がんかしぼう)を支えられなくなるため、目元がたるみます。また目元の筋力(眼輪筋)が衰えると、目の周りの眼窩脂肪の膨らみが目立つようになります。
インディバの深部加熱によって、眼窩の奥の方の細胞の温度を上昇させて眼輪筋の疲労をとり除き、血流を改善することで、筋肉の衰えを改善し、目の下のたるみやふくらみを軽減します。またインディバの高周波によって肌の真皮に働きかけ、肌の弾力を支えるコラーゲンやエラスチンなどの生成を促し、肌の弾力アップ、ハリを取り戻します。
さらに頭の凝り(主に僧帽筋)も目元のたるみの原因になるため、美容鍼やリンパマッサージで血流の流れを促進してコリをほぐします。僧帽筋をほぐすのは、頭皮が1ミリたるむと顔が1センチたるむといわれるくらい、頭皮のたるみは顔に深く影響しているからです。
お顔を集中的に対策しても、すぐに戻ってしまうのは、頭皮と、それを引き上げている背中に続く筋肉の僧帽筋凝り固まっていたり衰えたりしているからです。
また、瞼(まぶた)が下がってくる状態は「眼瞼下垂(がんけんかすい)」と呼び、より目を見開いてモノを見ようとするようになるため、さらに額の筋肉を多く使うようになります。額のシワが深くなる場合、前頭筋と呼ばれる額の筋肉が後頭部にある後頭筋に繋がっているため、前頭筋が収縮すると後頭筋も常に収縮して筋緊張性頭痛の原因になります。そのためしっかりとコリをほぐして、肩こりや疲労の原因を取り除きましょう。
目の下のクマやくすみを解消
クマやくすみは血行不良から生じます。目元の毛細血管が血行不良に陥ると、血液の色が透けて見えるためにクマができ、乾燥すると小ジワも目立つようになります。透けるのは、目の周りの皮膚はとても薄く、0.6mmと頬の1/3程度の厚さしかありません。またクマには、目を擦るなどでメラニンの色素沈着によるものがありますが、いずれも目の周りの静脈の流れを改善することで肌のトーンをあげて目立たなくさせることができます。
その他、インディバの高周波(0.448MHz)によって、代謝活動や細胞代謝の増加、組織のデトックス、細胞栄養の活性化、更には血流改善や組織及び細胞の循環化が行われます。
当院では、インディバフェイシャルを提供しています。一般的なフェイシャルのエステ施術にはあまりない、広範囲にわたる効果が期待できます。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。