体は体重が減ることに抵抗し、脂肪細胞に蓄えられたエネルギーを失うことを恐れる性質があります。なぜなら脂肪は大きなエネルギー源であり、体温を維持し、脳へのエネルギーを供給し、内臓器官を外部の衝撃から守る働きがあるからです。このように脂肪は生命維持に欠かせないものであり、体がダイエットに抵抗するのは当然のことです。つまり食事制限は生命維持のための体の性質に反するものであり、無理なダイエットを続けることは容易ではないのです。
ダイエットが難しい理由
体にはセットポイントという体を維持する仕組みがあり、ダイエットによって脂肪細胞がなくなると適正体重から離れるため、体はこの動きに抵抗しようと様々な抵抗をします。この抵抗力は4つあります。
抵抗1:代謝の低下
ダイエットすると最初に代謝が低下します。つまり体のエネルギー消費量が減少するため、体がより効率的に働くようになります。そのため効率よくなった体に合わせてさらに相当量の運動が必要になってしまいます。
しかし、どんな運動でも健康に良い効果をもたらします。運動はエネルギー消費を促す絶好の機会であり、体が正しく機能するように助けてくれます。食事制限にはリバンドが避けられませんが、運動による体重減少は非常に緩やかに起こります。緩やかだからこそ健全なダイエットが持続できるのです。
抵抗2:満腹感がなくなる
ダイエットによってホルモンも大きな影響を受け、食欲ホルモンであるグレリンの血中濃度が上昇し、満腹ホルモンであるレプチンが低下します。こうして食べても空腹を感じやすくなり、高カロリーな食べ物をさらに欲してしまいます。
抵抗3:脂肪細胞が増える
代謝の低下やホルモン変動に加え、脂肪細胞も問題のひとつです。ダイエットによって脂肪細胞のサイズは小さくできても、細胞の数自体は変わりません(脂肪細胞の寿命は10年)。ダイエットによって脂肪細胞が減らない一方で、体重増加する際に新しい脂肪細胞がつくられることを示す研究があります。つまりダイエット後にリバウンドすると、体が新しい脂肪細胞をますますつくる可能性が示唆されています。
抵抗4:ストレスで甘いものが欲しい
ダイエットを阻む最後の抵抗がメンタルです。私たちは栄養やエネルギーを摂るためだけでなく、心理的な欲求やホルモンの影響を大きく受けています。根本原因にストレスがあり、摂食行動は大きく左右されます。ストレスを感じると、体の中ではコルチゾールというストレスホルモンが産出されます。これがきっかけで体が甘いものやジャンクフードを欲するようになります。なぜならこれらの食べ物は砂糖や脂肪、塩分など脳内でドーパミンを産生するものが沢山含まれています。ストレスに疲弊した体をリラックスさせるための作用です。しかし急激なドーパミンの上昇は脳の不快感を和らげますが、短時間で効き目が切れるため、さらに甘いものを欲しがり依存していきます。またインスリンとコルチゾールの相互作用によって脂肪細胞が多くの脂肪を蓄積させてしまうようになります。
このようなストレスの問題は、そもそも現代人の睡眠や休息の時間が減り、疲労回復ができていないことが挙げられます。適切に休むことができればストレスはかなり減るでしょう。
これらのように体はダイエットを食い止めようとし、カロリー制限のあとに発動して元のセットポイントに戻るまでずっと抵抗し続けます。そもそもダイエットの目的は単に痩せるだけでなく、健やかな心身を手に入れることではないでしょうか。ダイエットは長期的に無理なく続けられるものが大切であり、急激に減らした体重は当然のようにリバウンドします。
食生活と運動習慣について考える場合、体が喜んでいるかどうか、心の安定を左右する要因が大切です。特にストレスを管理できるようになれば、健康的な習慣づくりにつながり、ストレスをうまく処理して、少しずつ健康的な生活習慣を維持できるようになります。そうすることで体重のバランスがとれ、自然に健康的なセットポイントになります。人それぞれに心地よいセットポイントがあり、適正体重や理想の体型だけが基準ではありません。無理に他人の体重に合わせるよりも、精神的に安定することの方が大切です。
ダイエットの基準
ダイエットを短期間で結果を出すために、多くの人は食事量を一気に減らしたり、炭水化物を極端に避けたりしがちです。しかしその方法は、短期的に体重を減らすことができても、栄養が不足して体調を崩したり、かえって太りやすい体質になってリバウンドしてしまう可能性もあります。
ダイエットには、1ヶ月で体重5%以内の体重減少に抑えるのが理想です。無理しないダイエットの目標は1ヶ月におよそ2kg減を目安にすると良いです。なぜならそれ以上体重を減らしてしまうと、体脂肪だけではなく、基礎代謝量の約22%を消費する筋肉も減少するため、より痩せにくい体質になってしまうからです。つまり極端に食事制限して筋肉量を減らすのは良いダイエット方法とは言えません。
筋肉を落とさずに健康的に痩せるためには、適度な運動を取り入れながら、無理なく痩せる食習慣が必要です。特に痩せられない人に多いのが、糖質と脂質の摂りすぎです。
毎日体重を測るのは無意味
日々体重が増えたり減ったりすることに一喜一憂する必要はありません。なぜなら1から2kgの増減は体内の水分量の変化によるものが大きいからです。実は炭水化物を摂ると筋肉内の水分量が増えます。それはお米を炊くと水分を吸って体積が増えるように、筋肉の中でもブドウ糖が長い鎖状になったグリコーゲンという物質が増えたことで筋肉の水分量が増えます。また糖質制限するとすぐに痩せるのは、グルコースの摂取量が減り、体内の水分が抜けるからです。さらに筋トレをした後は筋肉に水分が集まってむくむため、体重が一時的に増えたりします。
痩せたいのであれば減らすべきなのは体重ではなく体脂肪量です。そして脂肪よりも重たい筋肉の量を増やす必要があります。体内の水分量で体重は数キロ変動するため、その数字だけ太った痩せたと判断しないことが大切です。
ダイエットするためにまず普段の食事の内容を変える必要がありますが、ただ闇雲に食事量を減らして、摂取カロリーをカットすれば良いと言うわけではありません。必要な栄養が不足し、体脂肪だけでなく筋肉まで落ちてしまうと基礎代謝が落ちてしまい痩せにくい体になってしまいます。つまりしっかりと栄養を摂りながら摂取カロリーを減らすことが大事です。
減らすべきは精製糖質
まず第一に減らすべきは精製糖質です。精製糖質は砂糖や白米、小麦粉など精製過程を経て白くなった糖質のことを指します。これらの生成糖質を食べると、 私たちの体内の血糖値はすぐに上昇します。この血糖値の上昇を抑えるために体はインスリンというホルモンを分泌します。特に空腹時に甘いジュースなどの精製糖質を摂取すると血糖値は一気に急上昇し、それに対処するために体は大量のインスリンを分泌します。すると大量のインスリンによって血糖値が急激に下がり、その結果として低血糖状態に陥ってしまいます。
この低血糖状態を正常に戻すために体はグルカゴン、アドレナリン、コルチゾールなどの血糖値を上げるホルモンを分泌します。つまり精製糖質を大量に摂ると体内でこれらのホルモンが大量に必要となり、その結果ビタミンB群やミネラルがどんどん消費されて不足するようになります。ビタミンB群やミネラルが不足するとセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンといったモノアミン神経伝達物質が作れなくなります。
セロトニンは心の安定、ノルアドレナリンはやる気の生成、ドーパミンは快楽の産生に関わっています。これらの物質が減少するとうつ病が起こる一因になるとも考えられています。
特にダイエットで糖質制限をするときにタンパク質や脂肪をしっかりと摂取することが必須にも関わらず、糖質だけを減らす人が多くなっています。女性が糖質制限を始めるときには、まずは高タンパク質の食と鉄の摂取で体質を改善しつつ、緩やかな継続可能な形での糖質制限が望ましいでしょう。
糖質制限をうまく進めるためには、最初に糖質を無理して減らすよりもまずは肉や魚、玉子、チーズなどをしっかり摂ること、つまり糖質を制限するというイメージよりもタンパク質を摂取することをイメージして始めた方がうまくいくと思います。
タンパク質不足は痩せにくい
私たちの代謝には、基礎代謝+「身体活動代謝」や「食事誘発性熱産生」があります。食事誘発性熱産生とは、食べ物が消化・吸収された栄養の一部が、体熱となって消費されることを言い、エネルギー消費量の10%を占めるとされています。この食事誘発性熱産生は栄養素の種類によって変わり、三大栄養素で比較すると、糖質のみで約6%、脂質のみで約4%、タンパク質のみで約30%にもなります。
このようにタンパク質は他の栄養素に比べてエネルギー消費量が格段に高いため、食事でタンパク質が不足すると、食後のエネルギー消費の効率が悪くなり、痩せにくくなります。またタンパク質は筋肉を維持したり、増やすためにも大切な栄養素です。なおタンパク質は体に貯蔵することができないため、食事の度に補うことが重要です。毎日の運動量や体重によって摂取するタンパク質量は異なります。
また、糖質制限には賛否両論があり、糖質を制限すればすぐに体重が落ちますが、半年もすれば体が慣れて、少ないカロリーでも動けるようになり体重が減らなくなります。また高血糖が改善されるというメリットがある一方で、長期に続けると心筋梗塞や脳卒中などの心血管系の病気になりやすくなり、死亡リスクが高くなると言う結果もあります。
そのため1から2ヶ月程度、体重や体脂肪がある程度減少したらタンパク質、脂質、炭水化物をバランス良く摂る食生活を心掛けてください。
ダイエットには深部体温を上げる
ダイエットにおすすめな食材に納豆があります。納豆は大豆からできたタンパク質が豊富な食材であり、そのタンパク質として注目されているのが「大豆ペプチド」です。タンパク質は複数のアミノ酸が連なってできる物質ですが、アミノ酸から構成されたタンパク質が分解される過程で生み出されるタンパク質とアミノ酸の中間の大きさの物質がペプチドです。中でも大豆タンパク質を分解してできる大豆ペプチドは、体の基礎代謝を高めて体脂肪の燃焼を促進する効果があることが分かっています。
基礎代謝は生存になくてはならない最低限のエネルギーのことで、私たちは全く動かない状態でも最低限のカロリーを消費しています。この生命を維持するために最低限必要なエネルギーが基礎代謝であり、体脂肪が燃焼されるかどうかは単純なカロリー計算によって決まります。食事によって得られるカロリーが運動や基礎代謝によって消費されるカロリーを上回れば中性脂肪が蓄積します。一方で下回れば中性脂肪が減ります。つまり中性脂肪を減らしたいのなら食事を減らすか、運動や基礎代謝による消費カロリーを大きくするしかありません。
しかし、食事を減らせば確かに摂取カロリーは低くなるものの同時に摂取できる栄養素も減少します。一方で普段から運動習慣がない人が、いきなり運動をすることは難しいでしょう。そこで食事を減らさず、運動もせずに中性脂肪を燃焼するために、基礎代謝を上げるためには「大豆ペプチド」が効果的です。特に朝に摂取することで体温を高め、基礎代謝を上げてくれる効果があります。
様々な研究によって、私たちの深部体温が1℃上がるだけで基礎代謝が約10%以上もアップすることが分かっています。一般的な成人の基礎代謝量は1400kcal程度のため、その10%の140kcalになります。つまり1℃深部体温を上げるだけでおにぎり1個分のカロリー消費を促すことができます。
納豆を朝食べると大豆ペプチドによって深部体温が上がり、結果的に基礎代謝が向上してカロリー消費を促すことができます。さらに納豆には、納豆にしか含まれない酵素である納豆キナーゼや大豆イソフラボンなどの栄養素が大量に含まれています。この納豆キナーゼは血管にできた血栓を溶かし、血液の流れを良くしてくれる働きがあります。また大豆イソフラボンには女性ホルモンの一つであるエストロゲンに似た作用があり、女性らしい美しさや若々しさを保つのに最重要な栄養素の一つです。
食欲や代謝が乱れる原因
食欲や代謝の乱れには、必ず原因があります。これらは基本的にホルモンと自律神経によってコントロールされており、睡眠、食事、ストレス、運動といった生活習慣に大きく関係しています。
例えば、寝不足になると食欲に関わるホルモンバランス(レプチンやグレリン)が崩れて食べ過ぎになります。また寝起きが悪い、夜中に目が覚める、日中に眠気がある、疲れやすいという人で食べ過ぎる前に強い眠気を感じる人は睡眠が食欲に影響している可能性が高いです。
また食欲が増してしまう原因に、そもそもエネルギーが足りていないことが挙げられます。また糖質やカロリーをしっかり摂っていても鉄やビタミンBなどの栄養素が不足してしまうとエネルギーが作られずに食欲が乱れる原因になります。そして適度な運動によって自律神経を整えることも大切です。特に運動のし過ぎによって過度に疲れている場合に食欲の増進に繋がります。
一方で、過去に食事や糖質制限をして代謝が落ちている人が多く、体が省エネ状態になって痩せにくくなっている場合があります。この場合は、運動して痩せるのではなく、糖質や脂質をしっかり摂ってエネルギー不足を解消してあげることが必要です。
ダイエットの優先順位を考える
人それぞれ痩せない原因には、睡眠、ストレス、運動不足もしくはし過ぎ、栄養不足など様々な生活習慣が関係しています。これらは痩せない原因の1つですが、人によってはこれらが複雑に絡み合っています。例えば睡眠とストレスの場合で寝不足が根底にあり、その結果ストレスが強くなっているのであれば、まずは睡眠の改善を優先すべきです。しかし仕事や家事育児などで睡眠の改善が難しいのであれば他の方法を考えなければいけません。複数考えた原因の中から複数同時に改善していくのではなく優先順位をつけて改善することが大切です。
また、自分自身でコントロールできるものかどうかを判断することも必要です。例えば職場の環境がストレスの原因で寝不足などストレスを悪化させている場合は、自分でコントロールできないものです。その場合はストレスを減らすための代替方法をうまく取り入れていくことが必要でしょう。
そして、沢山のことを一気に変えてしまうと何が影響していたのか分からなくなります。あくまでも1つ1つ優先順位の高いものから改善していくことです。今までの生活習慣を短期間で一気に変えることはできないので、体調を深く観察しつつ、何かしら良い変化があれば改善に向かっているはずです。
逆に痩せてきたのに便秘になっている、イライラしているなどを感じるのであれば、それは一旦ストップして原因の見直しをするべきです。ただし生活習慣の改善は最低でも2週間から4週間必要なため、短期間で改善が見られないからといって止めてしまわないように食欲や体調の変化を注意深く確認しましょう。あくまでも体調が良くなった先に、食欲が収まったり、代謝が改善していくことがほとんどです。
またダイエットする人の中には完璧に食欲を抑えないといけないと思っている人がおり、少し食べ過ぎただけでも落ち込む人がいます。そもそも体重は日々変動し、むくみや便の影響も大きいため、少し食べ過ぎたことがあっても、即ダイエットに失敗するわけではありません。またすぐに食欲が落ちないので不安になるのも判断が早過ぎることがあります。また糖質や食事制限しているのに体重が落ちていない場合は、代謝が落ちている可能性が高くなります。その場合は、食事を戻してあげる必要があり、時には体重が増加してしまうこともあるため不安になることが多いです。
プチ断食
プチ断食をして夜にまとめて食べる方は、時間栄養学の観点では間違った食べ方になります。プチ断食をしても効果を感じられない方は、夜にまとめて食べている方が多く、朝食べたものはエネルギーとして燃やされやすいことや、夜食べたものは脂肪として溜め込まれやすいという体の仕組みを無視している可能性があります。
私たちの体には体内時計という仕組みがあり、朝は体温や血圧を上げて活動の準備をし、夜になると体温や血圧を下げて眠りにつくリズムがあります。この体内時計リズムに合わせた食べ方を考える「時間栄養学」という概念が注目されています。
最近発表された16時間断食の効果を調べた研究では、朝を主体としたグループ、昼から夜を主体としたグループ、時間制限を設けない時間帯自由のグループで食べる時間帯を制限した場合、朝を主体としたグループが最も効果が高かったことが分かっています。このグループでは、インスリン抵抗性、空腹時血糖値、体重、体脂肪量で最も高いダイエット効果が得られています。
同じく13時間断食の効果を調べた研究でも、朝を主体とした時間帯に食べた方が効果が高いという結果になっています。余談ですが断食時間が長くなりすぎると、オートファジーが過剰になり、分解された脂肪が肝臓に取り込まれて脂肪肝になったり、高齢者では筋肉が減少するサルコペニアのリスクが高まったりするなど健康を害する可能性も指摘されています。また16時間断食で、食べる時間帯が短くなるとタンパク質不足に陥りやすく、筋肉量が減るためタンパク質を意識して摂る必要があります。
また、糖質は朝食べることで速やかにエネルギーで消費されるため、血糖値の上昇を余り気にしなくても良いということも言われています。そして遅い時間に沢山のものを食べないようにしましょう。このようにプチ断食をするのであれば、体内時計のリズムを理解し、そのリズムにあった方法で行いましょう。
短期集中ダイエット
1ヶ月に1kgを超えるペースでのダイエットは、基礎代謝量の低下やリバウンドなどの弊害があります。さらに短期集中ダイエットで、脳内にある満腹感のスイッチが壊れ、長期間に渡り食欲が増進することが分かっています。私たちの体は飢餓状態になると、満腹ホルモンが抑えられ食べ過ぎやすい状態になります。たまに食事にありつけたときに沢山食べて蓄えておけるように体が変化するのです。
そしてこのような飢餓モードになると、その後は中々元の状態に戻りません。例えばある調査では、10週間の厳格な摂取カロリー制限を行い、カロリー制限終了一年後に調査したところ、依然として食欲ホルモンの高値と満腹ホルモンの低下が確認されています。
また、短期間で痩せるために無理な食事制限をして急激に体重を落とすと肌が一気にたるむ恐れがあります。そもそも皮膚というのは 一度伸びると縮まない性質を持っているため、一度太ってしまった体を過度なダイエットして急激に痩せさせてしまうと伸びた皮膚を持て余してしまい、その皮膚がたるんでしまいます。
さらに過度なダイエットは、単に皮膚が余ってたるむだけではなく、過度なダイエットをして体全体が栄養不足になると骨まで痩せてしまいます。特に人間の骨は腰など体の骨よりも先に顔の骨が真っ先に痩せていきます。骨が痩せると言っても骨格が変化するわけではなく、顔の皮膚と骨の間に隙間ができてしまうようなイメージです。つまり顔の骨が痩せると皮膚と骨のサイズが合わなくなって隙間ができ、それによって肌がたるんでしまうことになります。
朝の1分運動を取り入れる
健康的にリバウンドしないダイエットを成功させるためには、無理なく長続きするやり方で食習慣を改善することが重要です。そして適度に「運動」を取り入れることが大切です。運動は摂取カロリーをエネルギーに変えて、消費する代謝をアップするだけでなく、体脂肪の蓄積を抑えるための血糖コントロールにも役立ちます。代謝には基礎代謝の他に、身体活動代謝、食事誘発性熱産生があります。この内、最も消費エネルギーが多く、全消費エネルギーの60から70%を占めるのが基礎代謝です。
この基礎代謝を簡単に底上げする方法が、寝起きに1分だけ体を動かす方法です。基礎代謝は起床時には低く、昼過ぎにピークを迎えるまで徐々に上昇します。この基礎代謝の低い時間に軽い運動をして体の活動量を増やしておくと、基礎代謝が刺激されて1日の代謝量が増加すると考えられます。それを毎日コツコツと続けることでエネルギーを消費しやすく、体脂肪が付きにくい体質になることができます。
特に肩甲骨周辺を回したり、広げたりする運動を20回程度、1分程度することがおすすめです。なぜなら肩甲骨周辺の体脂肪の燃焼を助ける褐色脂肪細胞が集中しているため、腕を大きく動かすことで活性化されて僅かですが代謝が上がります。これを毎日代謝の低い朝にすることで痩せやすい体質に変わっていく効果が期待できます。
また、朝コップ一杯150ml程度の水を飲むことで、寝ている間に汗となって失った水分を補給すると同時に、胃腸が刺激され活動を始めます。すると排泄が促され便秘の予防ができます。便秘の人は腸に便が長く留まり、悪玉菌が繁殖して胃腸の働きが低下して、基礎代謝を低下してしまうこともあるからです。
MCTオイルで痩せる
MCTオイルは、中鎖脂肪酸すなわちMCTを豊富に含むオイルであり、中鎖脂肪酸は一般的な油に含まれている脂肪酸とは異なる代謝経路を持っています。中鎖脂肪酸は腸管から肝臓に運ばれ、肝臓で速やかに代謝されエネルギーに変換されます。このため中鎖脂肪酸は脂肪として蓄積されにくいという性質を持っています
痩せるためには糖質制限をすることが重要であるとよく言われていますが、MCTオイルは体内で速やかに燃えてエネルギーを供給してくれため、糖質制限をしている際のエネルギー補給として重宝されています。またMCTオイルは、肝臓で速やかにケトン体という物質に変換されるため、ケトン体がエネルギー源として利用されるケトーシス状態に導くことができます。ケトーシス状態で は、体は脂肪をエネルギー源として利用しやすくなり、結果として脂肪の燃焼が促進されます。
そして、ケトン体は中枢神経に作用し、満腹感を促すということが報告されています。このためMCTオイルは食欲抑制効果があり、間接的に食事量やカロリー摂取を減らすことができます。実際にMCTオイルは、体内の満腹感を促進してくれる2 つのホルモン、ペプチドYY(PYY)とレプチンの放出を増加させるということが研究によって示されています。
ある研究では朝食の一部として大さじ2杯のMCTオイルを摂取した人は、ココナッツオイルを摂取した人と比べて、昼食の食事量が少なくなったという結果が出ています。また同じ研究で、MCTオイルを摂取した場合、中性脂肪やブドウ糖の上昇が少ないということも判明しており、これが満腹感にも影響していると考えられます。
つい食べすぎてしまう、食欲が止まらない、食べる量を減らしたいと思っているのにいつも食べ すぎてしまう場合、このMCTオイルを活用してみるのが良い選択だと思います。特にプチ断食などを行っている人は、空腹感に耐えられないことがしばしばあるでしょう。そんな時はMCTオイルが強い味方になってくれるかもしれません。
またMCTオイルの摂取は、熱産生効果を高めることも報告されています。これはエネルギー消費が増加し、脂肪燃焼が促進されていることを意味しています。実際に研究でもMCTオイルを摂取することによって、体重やウエストを減らす ことができると示されています。
さらにMCTオイルには様々な健康効果をもたらしてくれることが分かっており、例えば能機能の向上に役立つ可能性が指摘されています。アルツハイマー病の患者さんは、脳がグルコースを効率的にエネルギーとして利用できなくなってしまうことが報告されています。MCTオイルによって生成されるケトン体は、グルコースの代替エネルギー源として利用され、脳機能の改善が期待できます。いくつかの研究でMCTオイルを摂取することで、アルツハイマー病患者の認知機能の一部が改善される可能性が示されています。
また、MCTオイルによって作られるケトン体は、糖質が不足した際に脳のエネルギー源として利用されます。MCTオイルによるケトン体の生成が促されることでアルツハイマー病などの神経疾患の予防や改善に効果があるのに加え、頭が働きやすくなるということを実感される方も結構いるようです。
さらに、なんだかいつもすぐに疲れてしまう、疲れがいつまでも抜けないと いう慢性疲労に悩まされている方にも、MCTオイルが役立つ可能性があります。MCTオイルは速やかに代謝されてエネルギーを供給してくれ、短期間でエネルギー不足を補うことができるため、疲れにくくなる可能性があります。またMCTオイルから作られるケトン体は、糖質が不足した際にエネルギー源として 利用されるため、脳や筋肉などのエネルギーを必要としている組織に対して、持続的にエネルギーを供給してくれます。このため疲れにくくなる可能性があります。実際にMCTオイルを摂取することによって運動中に疲れにくくなったり、あるいは運動後の疲労回復が早くなるという研究があります。
ただし、MCTオイルを摂取したことがない人が、いきなりたっぷりと摂ってしまうと腸が吸収しきれなくなり、下痢になってしまったり、お腹が痛くなってしまったりする可能性があります。まずは少量から始めて、徐々に体を慣らして量を増やしましょう。そしてMCTオイルの摂取量には個人差があるため、自分に適した量を見つけるということが重要です。
インディバ (ラジオ波)で痩せる
痩身(そうしん)目的でエステサロンに通う方が多くいらっしゃいますが、インディバ (ラジオ波)で痩せる理由についてご説明します。
ラジオ波で痩せる効果については、医学論文が沢山発表されています。ラジオ波で痩身効果が得られるのは、ラジオ波を人体に流すことで、体内内部に「ジュール熱」を発生させることができるからです。この熱によって、脂肪を燃やしたり、肌を引き締めたりして痩身効果を出すことが出来ます。
ラジオ波は、機械の種類よって使用している周波数は違いますが、最も有名なのがインディバ の0.448MHz(高周波中波領域)でしょう。特許である0.448MHzによって温熱、非熱、電流の3作用でより多くの有用性が確認されています。
- 0.448MHzの高周波により細胞自体に熱をつくる「深部加温」
- 鎮静作用や腫脹・むくみなどに有効な「非熱」
- 0.448MHzの「電流」自体が細胞膜電位の平衡・幹細胞や脂肪細胞に関与
当院ではインディバとラジオスティムの美容高周波温熱器(ラジオ波)を採用しておりますが、周波数以外の要因も大きいので機械の効果を考える際にはそこまで気にしなくても大丈夫でしょう。
インディバ (ラジオ波)の痩身効果
ラジオ波を発信する電極とアースの間で体内に「ジュール熱」を発生させます。このジュール熱は、全てを加温するのでなく抵抗の高い場所に熱が発生する習性があります。この習性を利用して、狙った場所へピンポイントに加温することができます。
ラジオ波で深部加温することで、体内の脂肪が溶け出す最適な温度の41度まで上昇させます。溶け出した脂肪は血中に流れ込み、肝臓で分解、尿や汗と一緒に排出されます。また脂肪だけではなく凝り固まったセルライトの分解まで効果を発揮します。
その他にも、ラジオ波の温熱が真皮層まで届き、コラーゲンやエラスチンなどの肌を引き上げるための弾力繊維の生成を促します。
インディバ (ラジオ波)でヒートショックプロテインを増やす
体温を38℃以上にすることで、効果的にヒートショックプロテイン(HSP)を増やすことができます。しおれたレタスを50度のお湯にしばらく浸けていると、シャキッと鮮度が戻ります。これと似た現象が肌にもあります。細胞の温度が上昇すると、その熱エネルギー負荷によって傷ついたタンパク質を早期に修復する働きを持つHSPの産生が活発化します。これは人が本来持つ自己回復力を支える仕組みであり、HSPという自らの力で私たちの肌を守ってくれるタンパク質です。
インディバ (ラジオ波)は、「深部加温」することができるため、効果的に素早く、ヒートショックプロテイン(HSP)を増やすことが可能です。さらに体温が上昇することによって、免疫力と代謝アップをする事ができます。体温が1度あがると基礎代謝が12%上がると言われており、インディバ で、体内の熱を通常の3~5℃、部位によっては7℃まで上昇させることができ、体の芯から温めることができます。
結果として、血流やリンパの流れを改善し、代謝が促進され、老廃物の排出やお肌のターンオーバーが活発になり、デトックス効果、肌トラブルの予防につながります。また血流が改善され、コリをほぐし、さらに脂肪やセルライトの燃焼をすることで、ダイエット効果も期待できるなど、さまざまなメリットがあります。
インディバ (ラジオ波)でリンパドレナージュ
インディバ(ラジオ波)で深部加温することで、基礎代謝が上がり、血液やリンパの流れが良くなっているため、同時にリンパドレナージュすることで、体の引き締め効果も期待できます。
特に鎖骨にあるリンパ節は、全身を巡るリンパの老廃物の出口のようになっています。リンパ液は一方向に流れているため、この部分に詰まりが生じることが多く、ここの流れを良くすることで、全身の流れを整えていきます。
リンパの流れがよくなると、体内の老廃物や、疲労物質の排出を促してくれるため
・むくみが取れ、たるみが引き上げられる
・基礎代謝が良くなることで、ダイエット効果が期待できる
・血行が促進され、冷えが解消する
などの効果が期待できます。また様々な痛み(むち打ち、腰痛、肩こり、膝の痛みなど)を改善するだけでなく冷え症、アンチエイジング等の体質改善効果、自律神経バランスの改善、ホルモンバランスの改善効果もあり免疫力が向上することで、ストレスに負けない体がつくれます。
インディバで肩甲骨をほぐす
肩甲骨周辺には「褐色脂肪細胞」という体脂肪の燃焼を助ける脂肪が集中しています。肩甲骨を動くようにインディバで温めながらほぐして動かすことで褐色脂肪細胞が活性かします。その結果代謝の底上げをすることができ、痩せやすい体質の変わっていく効果が期待できます。
内臓脂肪(お腹の脂肪)への効果
近年、特に注目されるのが、皮下脂肪や血中の脂肪だけでなく、内臓脂肪にラジオ波が効果的なことです。以下のCTスキャンの画像は、インディバ施術後、それぞれの施術パターンで内臓脂肪が実際に燃焼している事が確認できます。
内臓脂肪が増えすぎると脂質や糖の代謝を助ける生理活性物質の分泌異常が起こり、生活習慣病などのリスクを高める一因になることは、健康診断などでよく指摘されているためご存知の方も多いはずです。
一方で、大きな影響を与えるのが成長ホルモンへの影響です。成長ホルモンが不足すると、代謝にかかわるさまざまな症状がみられます。心筋梗塞、動脈硬化、糖尿病、肥満症、疲れやすくなる、乾燥肌など多岐に渡ります。
特にお腹に脂肪をついている場合は、成長ホルモンに悪影響が及び、病気のリスクが高まることが分かっています。ある研究では、ある男性25人を二つのグループに分け、その片方のグループはもう片方のグループに比べて約3倍もお腹に脂肪を蓄えている人たちでしたが、このグループの人たちは成長ホルモンの量が半分未満であることが観察されています。また別の研究でも肥満の人は成長ホルモンが低いことが分かっています。
当院の美容高周波温熱器(ラジオ波)は、痛みもなく、温感ハンドマッサージされている感覚でリラックスしてお受けいただけます。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。