脂肪がお腹周りに溜まりやすくなる原因はストレスと言われています。それはストレスがかかった時に副腎から分泌されるコルチゾールの原因が挙げられます。そもそもコルチゾールはストレスから体を守るために血圧を上げたり、糖質や脂質を分解してエネルギーとして利用しやすくする役割があるホルモンです。
確かにコルチゾールは短期的には体脂肪の分解を進めますが、ストレスが慢性的になってコルチゾールが出続ける状態になると、体の中心に対し脂肪が蓄積する中心性肥満に陥りやすくなります。これを明確にしているのがクッシング症候群の人たちです。クッシング症候群は、コルチゾールが過剰に分泌される病気であり、クッシング症候群の症状の一つに中心性肥満があります。
また、トランス脂肪酸の摂取も原因の一つに挙げられます。トランス脂肪酸は単に脂肪を増やすだけでなく、体の他の部分の脂肪を腹部に移動させてしまうことが分かっています。アメリカのウェイクフォレスト大学で6年間行われた研究では、トランス脂肪酸を8% 摂取したサルは、一価不飽和脂肪酸を8% 摂取した猿に比べてお腹周りの脂肪が33%多くなっていました。
他にも腸内環境の悪化も原因にあり、人間の腸内ではバクテロイデーテス門と ファーミキューテス門という2つのグループの日和見菌で支配されています。このバクテロイデーテス門はよく痩せ菌って呼ばれており、この数が肥満の人は痩せた人に比べて減少していることが研究で分かっています。別の研究でも、腸内細菌の多様性が低い人ほどお腹に脂肪がつきやすいことが証明されています。
お腹のお肉が落ちにくい理由
人間の体は運動することで交感神経が優位になって副腎からアドレナリンが分泌されます。このアドレナリンが血流に乗って全身の脂肪細胞にあるアドレナリン受容体に作用します。それがホルモン感受性リパーゼを活性化させて脂肪が分解(脂肪酸とグリセリン)されます。そして使えるエネルギーの脂肪酸とグリセロールになって血液中に放出されます。つまり運動でエネルギーを使うとエネルギー不足にならないためにアドレナリンを出し、そして全身の脂肪細胞から貯め込んだエネルギーを取り出して、それをエネルギー源として体を活発に動かしています。
実は、お腹やお尻はそのアドレナリン受容体が少ないため脂肪が分解されにくかったり、血行が悪い部分でもあるため、せっかく脂肪分解したとしてもエネルギーの通り道の血流が悪いので、中々エネルギーを取り出せません。そのため他の部分の脂肪が使われて、お腹の脂肪は残ってしまうことになります。
ぶどう糖果糖液糖で太る
私たちを太らせてしまう食べ物や飲み物というのは世の中にたくさんありますが、まず最優先で避けるべきものがぶどう糖果糖液糖を含む甘い飲み物です。これは私たちの健康に悪影響をもたらすにも関わらずぶどう糖果糖液糖は広く流通し、糖質の実に40%以上がドウ糖化糖液糖であると言われています。
また、ぶどう糖果糖液糖を摂取すると劇的に太り老化を引き起こすだけでなく、別の意味でも全身の老化を引き起こします。なぜならぶどう糖果糖液糖をたくさん摂取すると体内の炎症反応を引き起こしてしまうことが研究で指摘されているからです。過剰な糖分摂取は体内で酸化的ストレスを増加させることが知られています。これは炎症反応を引き起こし長期的には慢性炎症につながってしまいます。
そして、ぶどう糖果糖液糖は通常の砂糖よりも吸収速度が速いことも分かっています。その結果、血糖値を急激に上昇させ、急激に上がった血糖値は足の血管や筋肉の細胞や組織にダメージを与え炎症が生まれます。
体を劇的に太らせ、不健康に導くぶどう糖果糖液糖入りの食べ物によって、体重が増加すると膝や股関節などの関節にはさらなる負担がかかります。これによって関節軟骨がすり減りやすくなります。関節軟骨は関節の骨同士が直接こすれ合わないようにするためのクッションの役割を果たしていますが、摩耗してすり減ると間接痛や関節炎、 膝の痛み、股関節の痛みなどといったトラブルが生じる可能性があります。
関節軟骨は年を取るにつれて擦り減っていきますが、体重が増加するとより関節に負担がかかることによって関節軟骨がすり減るスピードが速くなり、足の老化が加速します。特に膝には相当の負担は大きく、膝には体重の5倍ぐらいの負担がかかっています。膝に痛みを抱えている人や変形性ひざ関節症の人がお医者さんに体重を減らすことを真っ先に進められるのは、こういったことが理由になります。
実際に複数の研究で体重と膝関節症の発症リスクとの間には強い関連性があることが示されています。例えばある研究では、肥満者は膝関節症のリスクが肥満でない人と比べて4倍高いとされています。こういった理由から適切な体重の維持は関節を健康に守る上で、とても重要な要素となります。
ダイエット食品で太る
たくさんの食品に人工甘味料が使われており、代表的なのはダイエット食品です。甘いにも関わらず砂糖を不使用にして0キロカロリーを実現したダイエット食品は、あらゆるところで非常によく見かけるようになりました。さらには低カロリーを売りにしているお菓子やその他のジュース、あるいは朝食用のシリアル、シュガーフリーのソースやドレッシングなどといった調味料、そしてヨーグルトなどの健康に良い食べ物にも、この人工甘味料が使われてしまっています。
しかし、多くの医師や専門家が様々なエビデンスをもとにして人工甘味料を厳しく否定しています。例えば人工甘味料が減量に有効であることを証明しようとアメリカで約1万人の女性を対象に調査を行いました。しかし現実はまるで反対の結果が出ており、当初の体重と比べたところ 1年後人工甘味料を摂っていた女性は体重が増える傾向がとても高いことが分かっています。その他にも約5000人を対象とし8年間に渡って行われた長期的な研究でも、ダイエット飲料は肥満を減少させることはなく肥満になるリスクを逆に47%も高めてしまうことが指摘されています。これらの結果を受けて研究者は、人工甘味料の使用は 肥満の広がりを抑えるものではなく、むしろ助長させるものではないかと指摘しています。
また、ダイエットに関する有効性を調べた多くの研究において、普通の炭酸飲料を飲んだ人より人工甘味料が入ったダイエット飲料を飲んでいる人の方が体重が増えていることも分かっています。
なぜ人工甘味料によって体重が増えてしまうのか、その理由の一つが食欲が高まってしまうことが挙げられます。人工甘味料は、甘いにも関わらずカロリーがありません。そのため脳はカロリーのない甘味料を感じ取ると、これでは十分な報酬にならないよと考えて食欲を増進させ、脳はもっと甘いものを食べろと指示するようになります。
私たちは甘いものを食べると脳の報酬系が刺激されて幸せな気分になります。しかし人工甘味料では甘いにも関わらず報酬系が刺激されません。その結果、食欲を増やしたり、欲望を高めたりすることで結局、甘いものを食べてしまうことになります。またその他にも人工甘味料を摂取することによって味覚が鈍くなり、より甘いものを求めてしまうことも指摘されています。
また、人工甘味料は体重を増やすだけでなく脳や心臓、そして血管にも悪いという研究があります。さらにダイエット飲料を飲むと脳卒中や心臓発作などのリスクが43%高まり、さらにはメタボリック症候群になる確率が34%高まり、1日に2杯以上のダイエット飲料を飲む人は、心血管イベントのリスクが約30%高まることまで分かっています。また人工甘味料には最近発表された最新の研究によって発がんリスクが認められています。
ゼロカロリーで太る理由
アスパルテーム、スクラロース、アセソルファムカリウム、サッカリンナトリウム、ネオテウム、アドバンテームの6つは避けて欲しい人工甘味料です。人工甘味料が危険なのは、腸と腸内細菌に悪影響を及ぼす可能性があるからです。腸の状態が悪化すると脳腸相関と言って脳が不安になります。その結果、精神的に不安定になります。
また、カロリーゼロや特定保健用食品にもこれらの人口甘味料が使われています。このような人工甘味料は痩せたい人や糖尿病の人が飲むのに逆効果だと示す論文が多数あります。逆効果になってしまうのは、例えばゼロカロリーの清涼飲料水は、砂糖ゼロでカロリーゼロにも関わらずとても甘いです。すると脳は砂糖たっぷりのジュースを飲んだと勘違いします。血糖値が急上昇してくることを見越して、甘さを感じた段階であらかじめ血糖値を下げるインスリンというホルモンを分泌します。
ところが実際に飲んでいるゼロカロリーの飲料には糖類が入っていないため、血糖値がインスリンを作った分だけ低下してしまいます。血糖値が低下すると体はすぐに血糖値を回復しようとして空腹の信号を出します。つまり人工甘味料の飲料を飲めば飲むほど食欲が増加してしまいます。糖尿病の人やダイエットを考えている人が、ゼロカロリーの飲料を飲んでしまうことによってかえって太ってしまったり、血糖値コントロールを乱し 糖尿病になってしまうのです。
プチ断食でお腹の脂肪を減らす
一定の期間だけカロリーを断つと体がエネルギー不足になるのを回避しようとアドレナリンやドーパミンを分泌します。このアドレナリンやドーパミンが血液に乗ってお腹周りまで行くと、ホルモン感受性リパーゼが活性化して脂肪の分解が進みます。
これらは食事をストップしてから12時間から18時間で理想的な状態になります。またプチ断食には胃腸を休ませる時間を作ることで逆に消化機能が良くなります。胃腸を休ませる時間を持つことで腸内細菌のバランスも整って肌の調子が良くなったり、アレルギー症状の緩和にもつながります。
また、プチ断食によって細胞の工場生産を保つオートファジーが働きます。細胞が常に同じ状態を保たれると私たちは年齢を重ねても若くいられ、さらに有害物質が発生すると排除する働きもあるため、オートファジーは細胞一つ一つの免疫機能とも言えます。
オートファジーは常に緩やかに働いていますが、体が飢餓状態になることで活発化すると言われています。その鍵がケトン体代謝です。ケトン体は栄養が足りなくなったり、長時間の運動をした時にエネルギー源として使われるものです。このケトン体は脂肪が分解されてできるもののためダイエット効果が期待できます。そのためプチ断食が12時間くらいでも体内の脂肪が分解されてケトン体代謝が主になってきます。
食べるほど痩せるスイカ
スイカって90%が水で、100gあたり約 30kcalしかない低カロリー食材です。ただカロリーが低いだけなく、スイカの特有成分であるシトルリンは肥満を改善する効果が高いことが知られています。また含まれるアミノ酸は、血流を良くし代謝を活発にしてくれる効果もあるため、体内の脂肪が燃焼しやすくなります。実際、肥満傾向のある人を対象とした実験でシトルリンを摂取させてみるとすると体重や中性脂肪が減少した研究報告もあります。
他にも痩せる理由に、スイカに含まれるアルギニンにも脂肪を素早く燃焼させる働きがあります。一方で含まれるアントシアニンは脂肪貯蔵遺伝子の働きを抑えてくれることが分かっています。他にも満腹感を高める効果や痩せるために効果的なフラボノイドもたっぷり含まれています。
美容面では、スイカには美肌効果があり、ハリのある肌に導く効果があります。スイカに含まれるシトルリンは、実は他の果物にはほとんど含まれていません。これは天然保湿因子の一つで、角質層や角質細胞の中に存在し、水分をがっちり捕まえてくれる保湿作用があります。
さらに、スイカに含まれるβカロテンは、体内でビタミンAに変換され、新陳代謝を促し、肌の老化を予防してくれます。アンチエイジング食材の緑黄色野菜の条件は、100g中にβカロテン600mg以上含むことが条件ですが、スイカに含まれるβカロテンの量は100g当たり800mgもあります。
他にも美肌に有効なビタミンC、リコピンも豊富に含まれています。リコピンには活性酸素を除去する強力なパワーがあり、スイカに含まれるリコピンは、トマトより多くのリコピンが含まれています。
さらにスイカに含まれるカリウムは、サイレントキラーと呼ばれる高血圧など循環器疾患の予防に効果的で、その他にもカルシウムの骨の蓄積を高め、骨粗鬆症の予防効果も明らかになっています。スイカの理想的な1日の摂取量は200g、 およそ2切れ分なので、今年の夏は意識して食べてみましょう。
畑のお肉とも呼ばれる大豆
大豆は私たち日本人にとって納豆や味噌汁、豆腐などの原材料で身近な食べ物です。そんな大豆には、ダイエットやアンチエイジングの効果があります。まず大豆を食べると満腹感がアップするため食欲が抑えられます。実験結果によると1日1回普段の食事に大豆を使った料理を追加するだけで満腹感を30%も増加させる事が分かっています。
私たちの食欲を止めるにはタンパク質しかなく、大豆には良質な植物性のタンパク質が多く含まれています。タンパク質には動物性タンパク質と植物性タンパク質がありますが、動物性タンパク質は、植物性と違い、体内で代謝される過程で人体にとって有害なアンモニアを多く発生せると言われています。アンモニア自体は肝臓や腎臓で無毒化されて排出されますが、動物性タンパク質を多く摂る ことで肝臓や腎臓を酷使し、体に大きな負担をかけてしまいます。
さらに大豆には食物繊維が豊富に含まれており、食後の糖の吸収スピードを緩やかにし、血糖値の急上昇を抑える効果があります。食後の血糖値の急上昇を抑えることによってインスリンの分泌も抑えられて、体に脂肪がつきにくくなり、太りにくい体質に変わっていきます。
さらに大豆に含まれるポリフェノール、大豆サポニンや大豆イソフラボンには強い抗酸化作用があり、アンチエイジングには最適な食材になります。他にも大豆に含まれるゲニステインという植物由来の自然なエストロゲン、つまりホルモンが乳房の細胞にある受容体に適切に結合し、体に悪影響を与える物質をブロックすることで乳がんのリスクを下げる働きがあることが報告されています。
クオリティダイエット
食事に関してはいろんな意見が分かれていますが、アンチエイジングに良い食事に関しては正解が分かっています。ポイントは一つだけで、カロリーの質を高めようということです。カロリーの量じゃなくてクオリティにこだわる食事法のことをクオリティダイエットと言います。
これは健康的な食事としてよく言われているように、加工食品を減らし、野菜や果物をたくさん食べ、上質な肉と魚を積極的に摂取しようと言った当たり前のことです。
一方で、たんぱく質を摂取して快眠を促すことも大事です。タンパク質を摂取すると睡眠の質が上がります。研究によると睡眠の質を上げるためにはだいたい1日120gから150g が必要です。これは意識して多めのタンパク質摂取を心がけないと達成できないレベルです。そして食物繊維を摂ると睡眠の質が上がることも研究で分かっています。
早歩き運動
人は下半身の筋肉が全体の約7割を占めているので、早歩き運動は効率よく消費カロリーを多くすることができます。早歩きの効果はたくさん研究されており、新陳代謝を高めたり、老化を遅くしたり、メンタルヘルスの改善、骨と関節を強化したり、ホルモンバランスを整える効果が言われています。
ちなみにアシックスによるとランニングよりも早歩きの方が、エネルギー消費が高く、膝元の筋肉の活動量もより多くなるそうです。この早歩きの最適速度は時速7kmと言われています。特に午前中に積極的に体を動かすと、その後5時間から6時間は代謝の良い状態が続きます。
Mind Body Work
マインドボディワークは体を動かしながらメンタルもケアする方法です。ヨガや太極拳が代表例で、どちらもゆっくりと動きながら深い呼吸や集中力のコントロールを行い、精神の安定をはかるところが共通点です。近年ではマインドボディワークがエイジズムを和らげるのに有効との知見が出てきました。このような効果について、大半の研究者はヨガのおかげで自分の外見への理解が深まったのが原因と考えています。
ヨガのポーズを正しく取るためにはじっくりと動きながら繰り返し自身の肉体を観察せねばなりません。すると作業を続けるうちに体に関する正確な情報が脳に送り込まれ、結果的にSNSやメディアで歪んだボディイメージが改善します。
カフェインの効果
アドレナリンが作用すると脂肪を分解して脂肪酸として血液中に放出されます。デンマークの研究でカフェインを飲んで運動をすると、この脂肪酸の血液濃度 が53%増加していることが分かっています。他にもロンドン大学の研究では、100mgのカフェインを摂取したグループが、その後 150分に渡って安静時の代謝が3%から4%アップしていたことが分かっています。
カフェインは脂肪を分解燃焼する働きがあり、クロロゲン酸もカフェインと同じく脂肪を燃焼することを証明する研究報告もハーバード大学から出ています。その結果では、コーヒーを飲むことで体脂肪が4%も落ちることが分かっており、さらにダイエットでなく若返り効果もあります。
一方で、コーヒーは昼前あたりに飲むと良いことが分かっています。研究によるとカフェインを摂ることがコルチゾールの分泌に影響するかを調べた結果、生体リズムに合わせて、コルチゾールが低い時間帯にカフェインを摂ると効果的なことが分かりました。
コルチゾールは朝6時頃から分泌量が増え、午前8時から9時に最も高くなり、午前中の9時半から11時半には分泌が少なくなります。この11時半前後に、コーヒーを飲むと効果が最大化します。また運動の30分から60分前に飲むと良く、カフェインが運動パフォーマンスや脂肪燃焼を助けます。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。