何をしたら美肌になれるのかを考えると、一番は肌のターンオーバーを正常化することです。まず肌の細胞は表皮と真皮があり、その間に基底層があります。基底層の基底膜から表皮の細胞は生まれて、それが成長していくことをターンオーバーと言います。成長していく過程でセラミドや細胞間脂質を生み出しながらターンオーバーを繰り返し、最終的には角層となって剥がれます。
このターンオーバーは28日と言われており、年を取れば取るほどターンオーバーは長くなると言われています。40代や50代近くになると2ヶ月ぐらいなると言われています。ターンオーバーが遅くなると乾燥しやすくなり、肌のバリア機能は低下してしまいます。その結果、紫外線などの外的刺激が表皮だけではなく真皮まで影響することによって全体的に肌がくすむようなことになります。
美肌のために大切なこと
そのため美肌のためには、ターンオーバーを正常化させて肌の潤いをしっかり作って、それによって肌のバリア機能が守られ、肌自体が綺麗に見えていきます。またシミの原因のメラニンもターンオーバーが正常化していれば排出もされます。このターンオーバーは、長くなりすぎてもダメですが、速くなりすぎてもダメです。
例えばレチノールは、表皮のヒアルロン酸を増やすことができますが、ターンオーバーを速めることもできます。しかしターンオーバーが速くなりすぎるとセラミドや細胞間脂質が作れなくなって皮剥けすることがあるのは、そのような理由だからです。
ターンオーバーを正常化する時に大事なことは基底膜のケアです。基底層をケアすることによってターンオーバーを正常化ことができます。基底膜や基底層のケアで唯一認められている美容成分がライスパワーナンバー11です。ライスパワーナンバー11は基底層に働きかけることによってターンオーバーを正常化さ せ、セラミドや細胞間脂質を作るのを増やすことによって肌の水分保持能力を上げる効能が厚労省から認められている唯一の成分です。
また角質ケアも大事で、ターンオーバーが遅くなって角質が溜まってくるので、この角質を薄くしてあげるとターンオーバーが促進されます。ことによって遅くなっていたターンオーバーが正常化します。最近は敏感肌でも使えるような ピーリングもたくさん出ています。
もちろん保湿する角質ケアも大事ですが、ターンオーバーを正常化していくがまずは大事です。ターンオーバーが正常化されて肌の水分がしっかり上がっていくと肌のバリア機能が高まります。ターンオーバーを正常化させると言うと表皮だけのイメージがあるかも知れませんが、その下にある真皮と連携しているデータが沢山あるため、美肌に大切なのがターンオーバーを正常化させることです。
また日焼け止めも大切で、日焼けをすると基底膜が損傷されると言われているからです。基底膜が壊れることによってターンオーバーは乱れて、肌が美しく見えなくなります。以上からターンオーバーを正常化するような成分を入れ、画質ケアもしつつ、しっかり日焼け止めを塗ることが美肌に大切なポイントになります。
美容鍼でターンオーバーを整える
肌は、表皮、真皮、皮下組織という3つの層から成っており、ヒアルロン酸で大切なのは、真皮のヒアルロン酸をしっかり保つことだけでなく、表皮と真皮の間にある基底膜をケアすることによって表皮のヒアルロン酸を増やすこと、表皮の細胞をちゃんとターンオーバーを促すことがすごく大事です。ちなみに表皮のヒアルロン酸は表皮細胞、 真皮のヒアルロン酸は線維芽細胞が作っています。
肌に鍼を刺すことで、真皮や基底層、その下の皮下組織を刺激することで細胞が活性化し、ヒアルロン酸だけでなく、コラーゲンやエラスチンの代謝が活性化、また血流やリンパの流れを増やすことで、細胞組織が新たに生まれ変わりを促し、肌に潤い、ツヤ、ハリが蘇ります。また表皮に微小の鍼による穴によって美容液を、より奥まで浸透させることができるため、美容液本来の効果を狙うことができます。
ヒアルロン酸とは
ヒアルロン酸と言えば保湿を思い浮かべますが、実はヒアルロン酸は保湿だけではなく、肌の透明感を生んだり、老化防止に役立ちます。そしてどうやったらお肌のヒアルロン酸を維持できるかが分かっています。
ヒアルロン酸は、私たちの体の中で作られ、グルクロン酸とN-アセチルグルコサミンと言う2つの糖から成り立つ高分子の成分です。その分子量は大きく、肌の中に入ってきたお水をしっかり抱えることによって保湿します。このヒアルロン酸は体のいろんなところにあり、例えば骨、目、関節の中にもあります。そして体の半分以上のヒアルロン酸は皮膚にあると言われています。
このようなヒアルロン酸は、実は作られたらすぐ壊されことになっています(半減期)。例えばコラーゲンは、半減期が長くて年単位ですがヒアルロン酸は新しく作られたものは、翌日にはもう壊されて新しいものが作られています。ただし半減期は、加齢と共に長くなり、1日間から5日間ぐらいで、できたものは壊されていきます。
このような合成と分解のバランスが取れてれば良いですが、30代ぐらいからバランスが崩れ、60代になると30代の半分ぐらいのヒアルロン酸の量になると言われています。もちろん肌の水分量も減っていきますが、肌自体が乾燥してしまうのは、水分量が減るだけではありません。実はヒアルロン酸には水分を抱える以外の能力もあることが最近分かってきています。
ヒアルロン酸お肌の中の角層、表皮、真皮にもありますが、その多くは真皮にあります。ハリ感やツヤ感を出すためには真皮のヒアルロン酸をしっかり保つことで真皮のヒアルロン酸の分解を抑えてくれることも分かってきています。
表皮のヒアルロン酸
ヒアルロン酸は表皮の細胞間を埋めるように存在しており、水分を抱え込むことができるため、保湿の効果としてヒアルロン酸を肌に入れましょうと言うことですが、それだけではなく、栄養を表皮の細胞に渡したり、老廃物を回収したりするのもピアルロン酸と言うことが分かってきています。
真皮には血管がありますが、表皮には血管がありません。そのためヒアルロン酸が細胞と細胞の間にあることによって水路のような役割をしているため、表皮のヒアルロン酸が少なくなると水分量が低下するだけではなく、細胞同士の連携や細胞自体のエネルギーが低下してしまいます。
表皮の細胞のエネルギーが低下してしまうと、紫外線が当たってメラノサイトがメラニンを作って表皮の細胞に受け渡す時に、ターンオーバーが正常であればメラニンを含んだ表皮の細胞は出ていきますが、ターンオーバーが低下することによって濁り感みたいなものが起こり、シミがピンポイント現れるというより全体的になんとなくくすんでいるなどの肌全体のくすみや肌の色ムラは、表皮のピアルロン酸が低下していることも関係があることが分かって来ています。
ヒアルロン酸は肌に浸透しない!?
そう考えるとヒアルロン酸をお肌に入れ込むことが大切になりますが、ただしヒアルロン酸は分子量が大きいため、中々お肌に浸透しません。単に膜を張っていくだけでなく、しっかり入れ込んでいけないため、各化粧品メーカーが低分子のヒアルロン酸を開発しています。
低分子のヒアルロン酸は水分を抱え込む能力が少なくなるため、例えば炎症を抑えるようなヒアルロン酸などが考えられています。その他にも以前、話題になったビオパフォーマンススキンフィラーを開発した資生堂は、夜1剤、2剤を朝入れることによって表皮まで浸透したヒアルロン酸の分子を大きいものにしていく独自の技術があります。まずは浸透が開発のトレンドでしたが、ヒアルロン酸は毎日作られて毎日壊されているため、合成の能力 を高めて透明感やふっくら感を起こすことになるため、その合成を促進させるかに研究のペースがシフトしています。
このヒアルロン酸研究は、ロート製薬や資生堂は小さくする技術が上手いメーカーですが、合成を促進する成分を研究しているのはカネボウです。ヒアルロンさん研究の神様と言われる研究者の方がおり、表皮のヒアルロン酸合成のメカニズムや抑制のメカニズムを長年研究しています。もちろん真皮の研究もしており、真皮での合成と抑制も同じく分かっています。
真皮のヒアルロン酸の合成を促進するアクアセリン120、分化抑制するワレモコウエキスを発見したのがカネボウの研究チームです。表皮の合成促進は分かっていますが、抑制することはまだまだ研究の途中のようです。しかし表皮の合成を促進させれば、表皮のヒアルロン酸もアップするという中でカネボウが研究して見つけたのが天然のNAGです。この成分が入っているのがTWANYのスキンオーラジェニックです。NAG2.0が入っており、効率よく表皮のヒアルロン酸を増やす美容液になっています。
一方で、表皮のヒアルロン酸が真皮に落ちている可能性を示唆した論文が2022年に発表され、表皮と真皮の間にある基底膜をケアすることによって表皮のヒアルロン酸を増やすことができるのではないかと研究で分かってきています。基底膜の研究と言えばディオールが肌細胞を再生していくことを研究しており、カプチュールトータルヒアルショットは、低分化したヒアルロン酸だけでなく、基底膜の穴を塞ぐような成分が入っており、表皮のヒアルロン酸が真皮に落ちていかないようにして、表皮のヒアルロン酸の量がアップする、抑制のアプローチからの新技術が入っています。
これらから考えると改めて表皮のヒアルロン酸を増やすようなものを今のうちに使い、表皮を元気にしておくことは、これから紫外線が増えていく時期にもすごく良いでしょう。また表皮の細胞がちゃんとターンオーバーしていかないと、そもそも肌はヒアルロン酸を作らず、肌がターンオーバーすることによってヒアルロン酸や細胞間脂質を増やしていくため、基底膜にどれだけアプローチをしてターンオーバーを促すかと言うこともすごく大事です。
外からのケアではなく内からのケア
実年齢よりも肌年齢がグっと若い人がいるのは、外から内へのケアではなく、内から外へのケアがポイントです。そしてシミのない人の共通点は、食事内容を徹底していることです。どうしてシミがない人の共通点が食事内容なのか、それを知るためには、シミができる仕組みを知っておく必要があります。
まず、肌は大きく分けて3つの層があり、1番上が表皮、その下に真皮、1番下が皮下脂肪です。肌の下で正常に細胞分裂が起きると、その細胞は上へと押し上げられ、最終的には垢となって落ちていきます。この一連の流れをターンオーバーと言い、細胞が生まれては死ぬ、この繰り返しだけならシミは理論上出てきません。
しかし、肌に紫外線や摩擦などの刺激が加わると表皮の奥にいる細胞が黒いバリア、メラニンと言われるシミの元凶になるものを作り出します。年齢が若い時であれば28日周期のターンオーバーで排出されますが、ターンオーバーは20代でピークを迎えて、40代50代と年齢を重ねるにつれて周期が遅くなってしまいます。シミの原因となるメラニンが下に沈着し、上に上がれなくなり結果的にシミができてしまいます。
もしも代謝が落ちずにターンオーバーがしっかり繰り返せれば、シミは上に押し上げられて、いずれは必ず消えるはずです。もっと言うと理論上シミは一生 できないことになります。つまり肌の代謝を落とさないこと、ターンオーバーの28日周期を維持することが、シミを作らない上で大切になります。
腸内環境とターンオーバー
実は、肌の状態を決めているのは腸と言われています。そして腸の状態は基本的に食べたものによって決まります。だからこそ食事から腸の状態を整えてあげれば顔の肌はもちろん、体全体の状態は良くなって28日周期のターンオーバーも維持しやすくなります。
そして腸にとって最高の状態が善玉菌が優位な状態です。もし腸内が悪玉金優位だと、腸の壁から毒素が溢れ、体中を巡ってしまいます。毒素が体中を巡るとそれを解毒するために肝臓に負担が掛かり、体全体の代謝が落ち、新しい細胞が生まれになってターンオーバーの周期が遅れ、シミを外に追い出せなくなります。
悪玉金を増やしてしまう食品
まずは悪玉金を増やす食品の中でも特に代表的なものは動物性のタンパク質です。残念ながらお肉は悪玉菌の大好物のため、食生活がお肉中心の食事になっているなら、まずはお肉を少しずつ減らして、タンパク質は主に豆類から取るのが無難でしょう。また和食中心の食事にすることも大事です。
実は美肌やアンチエイジングに良い食べ物と言われているコーヒーとナッツは、胃の状態を悪くするカビに注意が必要です。例えばブラジル産のコーヒーを検査した研究では、加工前の90%以上の豆がカビに犯されていたことが分かっています。別の研究ではレギュラーコーヒーのほぼ50%にカビが生えているということが判明しています。実際コーヒーのカビ毒に安全基準を設けている国は多く、コーヒーの豆の質にはこだわるべきでしょう。また最近ではデカフェコーヒーも流行っていますが、これにも低品質な豆が使われる傾向にあるから注意しましょう。
そして、ナッツ類も特にカビが発生しやすい食品の1 つとされています。ナッツにカビが生えてしまうと発がん性の高いアフラトキシンという物質が発生してしまう危険性が分かっています。当然ながら海外から輸入されたナッツは収穫されてから時間が経っているため、その分カビが発生しやすくなると考えてもおかしくないでしょう。ちなみに日本で栽培されているナッツは安全性が高く、国内産でアフラトキシンが検出されたことはないそうです。
ターンオーバーの周期を維持するための善玉菌を増やす食品
「まごわやさしい」を聞いたことがありますか。これは善玉菌を増やす食品の頭文字、和の食材の頭文字を覚えやすく語呂合わせにした合言葉です。「ま」=豆、「ご」=ごま、「わ」=わかめ、「や」=野菜、「さ」=魚、「し」=しいたけ、「い」=芋です。7種類の食材をまんべんなく摂り入れることで、善玉菌を増やすことができます。
もう1つの善玉菌を増やす食品は、納豆やキムチなどの発酵食品です。これらの食べる上で気を付けることはたった1つ、偏った発酵食品を食べないことです。ぬか漬けや味噌、酒粕、ヨーグルトなど、いろんな種類の発酵食品を幅広く摂ることで腸内細菌の多様性が維持しやすくなります。
そして腸の健康のためにおすすめの食材に大麦があります。大麦は日本では明治時代の一般庶民で挽割飯(ひきわりめし)として摂取していました。挽割飯は、米4から6に対して大麦を6から4の割合で焚いたものです。昭和40年頃まで日本人が米の次に多く食べていたのは大麦です。大麦には、現代人が不足しがちな水溶性食物繊維が豊富に含まれており、特に次のような効果が認められています。
- 大腸内に存在する善玉金の栄養原になり善玉金を増やす
- 全玉菌が増えることで腸内環境が整えられ、悪玉金の増加を抑制する
- 大腸の表面細胞を正常にして癌細胞に変化するのを予防する
超加工食品で老化する
加工食品の中でも「超加工食品」は、極めて危険であることが様々な研究で指摘されています。超加工食品は、加工の度合いで分類した場合に最も加工度が高い食べ物で、インスタント食品、スナック菓子や菓子パン、加工肉食品、高カロリーの清涼飲料水などです。
超加工食品は栄養価のバランスが著しく欠いているだけでなく、砂糖、質の悪い脂肪、塩分、そして化学物質(添加物)がたっぷりと添加され、高カロリーであるにも関わらず、ビタミン、ミネラル、食物繊維があまり含まれていません。さらに超加工食品を食べると食欲増進ホルモンのグレリンが増えてしまいます。つまり超加工食品を食べ続けると、カロリーを余分に摂りやすくなり、体重が増え、不健康になるおそれがあります。
ナバラ大学の研究によると、砂糖、油、脂肪、でんぷんを多く含む超加工食品を多く含む食事はより早く老化させる可能性が明らかになっています。研究では57から91歳までの886人のスペイン人の食事を約20年間追跡調査しました。研究者は高度に加工された食品の消費量に合わせて4つのグループに分けて、その参加者のテロメアの長さの変化を測定しました。
テロメアは染色体の末端に位置するDNAの保護構造のことで細胞分裂ごとに短くなります。そのため細胞の老化を評価する指標として用いられます。つまりテロメアが短いほど老化が進んでいるということです。その結果、最も加工食品を消費するグループ(3サービング以上/日)は、最も消費量が少ないグループ(2サービング未満/日)に比べてテロメアが短くなる可能性が2倍になっていました。このように加工食品は体に悪いだけでなく、老化を加速させることも明らかになっています。
また、テロメアは短いほどがんや2型糖尿病などの加齢に伴う病気リスクも高くなることが分かっています。例えば、超加工食品とがんにかかるリスクの関係を調べた研究があります。その研究では、フランスの成人約10万人を平均5年間追跡調査したところ、食事に占める超加工食品の摂取量とがん全体、そして乳がんのリスクの上昇との間に関連が認められています。
他にもナバラ大学では、約2万人を対象に超加工食品の消費と全死亡率との関連を調査しています。1日1から2食程度以上(1日4サービング以上)の超加工食品を食べることは、全ての原因による死亡率のリスクが62%増加することが分かっています。
さらに超加工食品は脳への影響も研究で明らかになっています。米国神経学会は、約7万人を対象に超加工食品を多く食べる人は、認知症を発症するリスクが高いことを明らかにしています。具体的には超加工食品を毎日10%増えるごとに認知症リスクは25%高くなります。
アンチエイジング効果が高い食べ物
若返りビタミンが含まれる「オーツ麦ご飯」
オーツ麦ご飯と聞いてもすぐにイメージできる人は、そんなに多くないかもしれません。オーツ麦ご飯は、オーツ麦と白米を1対1の割合で炊いたご飯のことです。白米にオーツ麦を混ぜることで違和感なく食べられるのがポイントです。オーツ麦と白米を1対1で混ぜたオーツ麦ご飯のアンチエイジング効果は、白米による血糖上昇が抑えられる、整腸効果、老化スピードを遅くしてくれる効果です。
白米は食後の血糖値の上がりやすさを示す指標 GI値が非常に高く、その構成成分のほとんどが糖質という大きなデメリットがあることが数々の研究で明らかになっています。しかし白米を食ないと言われても難しいと感じている人が多いでしょう。そんな時にオーツグロートを混ぜることで白米のデメリットが最小限に抑えられるのがオーツ麦ご飯です。
オーツ麦ご飯は他の雑穀米と違って匂いの癖もなく、白米の美味しさを損ねることなく食べられます。白米のデメリットを打ち消してくれるオーツ麦の効果の鍵は、その圧倒的な食物繊維にあります。しばしば健康のためには、白米を食物繊維たっぷりの玄米に置き換えるのが良いと言われていますが、確かにそれは科学的にも正しいことではありますが、食物繊維という点に限って言えばオーツ麦には玄米以上の健康効果があります。
大麦に含まれている食物繊維の量は、玄米の3倍、そして白米の18倍です。この圧倒的な量の食物繊維がクッションになることで白米が持つ糖質の吸収が緩やかになって血糖上昇を抑えてくれる効果があります。実際、白米のGI値が90近くあるのに対し、大麦の GI値は50程度であり、これらを1対1で掛け合わせたオーツ麦ご飯は中間の70程度のGI値になると予想されます。実際には他にも様々な要因によってオーツ麦ご飯のGI値は70よりもさらに下回ると考えられています。
その要因の1つが大麦にたっぷりと含まれるタンパク質です。オーツ麦は穀物でありながら植物性タンパク質が豊富で、その量は白米の2倍であると言われています。タンパク質もまた食物繊維ほどではないにせよ、糖質の吸収を緩やかにしてくれる効果があるため、オーツ麦は食物繊維とタンパク質の合わせ技によって白米のデメリットを最小限に抑えてくれる効果が期待できます。
そしてオーツ麦は陸上の穀物でありながら水溶性食物繊維をたっぷりと含んでいます。オーツ麦に含まれているβグルカンという水溶性食物繊維は、便にぬめりを持たせて便秘を解消してくれるだけでなく、腸内の善玉菌の餌となって腸内細菌のバランスを整えてくれる効果もあります。さらに腸の活動を活発化することで病原菌による感染を予防してくれる効果まであります。
この他にも、オーツ麦ご飯には老化スピードを抑えてくれる様々な若返り効果があります。例えばオーツ麦に豊富に含まれているビタミンEは、別名若返りビタミンとも呼ばれ高い抗酸化作用によって体内の老化物質を除去してくれます。またオーツ麦が持っている亜鉛とビタミンB の相乗効果によって毛穴の黒ずみが改善できるとも言われています。さらにオーツ麦ご飯の白米をさらに玄米に置き換えたオーツ麦玄米ご飯も健康効果が期待できます。
コハク酸による脂肪燃焼効果を持つ「しじみの味噌汁」
しじみの味噌汁は、発酵大豆食品である味噌と魚介類であるしじみを使ったアンチエイジングのためのスープです。そして味噌汁を作る際に使って頂きたいのが玄米味噌です。味噌には若返りビタミンであるビタミンEや女性ホルモンに似た作用で若しさを維持してくれる大豆イソフラボンなど、老化を防止してくれる素晴らしい栄養素が詰め込まれています。日本人を対象とした大規模な研究では、味噌や納豆といった発酵大豆食品の摂取量が多いほど脂肪リスクが低下することが分かっています。
また、味噌汁はしょっぱいにも関わらず血圧を上げない食べ物であるということが知られています。被験者に同じ塩分量の塩水と味噌汁を飲んでもらった実験では、塩分量は全く同じであるにも関わらず、味噌汁を飲んだ被験者の場合は血圧が上がらないことが分かっています。
また若返りのための味噌汁の具は、しじみではなくてあさりでも構いません。しじみとあさりも同じ2枚外で、形も味も結構似ていますが、大きな違いは生息している場所になります。しじみは主に塩分濃度が低い河口付近に生息し、一方であさりは塩分濃度が3%以上の海水に生息しています。そのためあさりはしじみに比べて海水由来のミネラルが豊富であるという特徴があります。一方で河口付近の水で育ったしじみは、アサリよりもタンパク質が豊富というメリットがあります。
またしじみとあさりの両方に共通する健康効果としては、コハク酸による肌を 引き締める効果、ビタミンB12による血を作る効果、タウリンによる疲労回復効果が挙げられます。
特に、コハク酸による美肌効果は絶大です。コハク酸は数ある食材の中でもなんと2枚貝にしか含まれていない貴重な栄養素で、お肌を引き締める収斂効果を持っていることが知られています。収斂効果は、お肌の密度をぎゅっと凝縮する効果のことで、この作用によってたるんでしまった肌のキメが細かくなり、お肌に潤いがもたらされます。またキメが細かくなることで化粧のノリが良くなります。
また有名な科学雑誌ネイチャーに掲載された論文によるとコハク酸には脂肪燃焼の促進効果や糖尿病の予防効果があり、肥満を防いでくれる作用があること も分かっています。味噌が持っている大豆イソフラボンとの合わせ技によって、あさりやしじみの味噌汁には、若々しく見せてくれる効果があることが分かるでしょう。
食べるサングラス「生ピスタチオ」
ナッツ類には数々の健康効果がありますが、是非積極的に食べて欲しいのがピスタチオです。特におすすめのピスタチオがノンローストの生ピスタチオです。
実は市販の多くのピスタチオが、ローストされてしまった塩味のピスタチオになっており、その食塩によるデメリットがあります。あまり知られていないのがピスタチオをロースとしてしまうことで失われてしまう栄養素についてです。
実は、ピスタチオはローストすることで消化を助ける健康的な酵素や不飽和脂肪酸が失われてしまうことが分かっています。ピスタチオを含む様々なナッツが持っている不飽和脂肪酸の多くは熱に弱くなっています。やはりどんな食べ物もできる限り生に近い状態で食べるのが理想的です。
生ピスタチオには、これらの酵素や不飽和脂肪酸以外にも、ビタミンやミネラル、食物繊維を始めとする様々な栄養素がぎっしりと詰め込まれています。そのためピスタチオは天然のサプリメントと呼ばれるほど体に良いです。また若さを維持するという点では、ピスタチオが持っているルテインとゼアキサンチンは、紫外線のような強い光刺激から目を守る働きをしてくれる栄養素で、食べるサングラスとて呼ばれることもあります。
実は、お肌のシミやそばかすの原因は、目から入る紫外線が原因であるともされており、美肌を維持するためには、お肌に直接日焼け止めを塗るだけでなく日中は必ずサングラスをかける必要があります。ですが、私たち日本人はあまりサングラスをかける習慣がないため、ピスタチオを食べることでルテインとゼアキサンチンを摂取し、目からの紫外線の流入をできる限り防ぎましょう。
ちなみに、ピスタチオを食べる時に意外と重要なポイントが殻付きであるという点です。これは単純に体つきだとピスタチオが食べづらくなって物理的に食べすぎを予防してくれるという効果があるからです。ピスタチオは非常に体に良いとは言っても脂質が多く、カロリーが少々高めであるデメリットもあります。
少食のすすめ
世界中で老化防止やアンチエイジングの研究が行われ、これらの分野に莫大な投資が集まっています。例えば、日本の順天堂大学では「老化細胞」を除去するワクチンが開発されたりしています。このワクチンを投与したマウスは、関節炎や動脈硬化などと関連のある老化細胞が減少したことが分かっています。また糖尿病の処方薬のメトホルミンは、老化に効果があるのではないかと考えられています。
メトホルミンを服用している患者は、そうでない人より際立って健康状態が良いことから、マウスに投与したところ寿命が6%延びた結果となりました。これは人であれば5年分の健康な寿命にあたります。このようにさらなる研究が必要であり、今後の研究成果に期待したいところです。しかし、誰でもできる方法が少食にすることです。
食べる量や食べる回数を減らすことが、今すぐ誰でもできる老化を止める方法です。なぜならカロリー制限をすることによってあらゆる生物の長寿につながることが研究され、体を一時的な飢餓状態を保つことで長寿遺伝子が発現することが分かっています。
必要以上に食べ物を摂るのではなく、必要最低限の質の良い食べ物を食べて、一時的な飢餓状態をつくることで、長寿遺伝子が働くと若返り酵素がつくられます。そのスイッチを入れることが、結果として免疫機能が高まり、病気や体の劣化を防ぎ、老化を遅らせることができます。
ただし、当たり前ですが食べる量を減らすのであれば、より質の高い、栄養価の高い食べ物を意識して食べることが必要です。
【本コラムの監修】
・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。