
お顔のシワ・たるみ・くすみ(STK)ケアに必要なのは「抗酸化ケア」です。活性酸素が生まれる原因と肌の影響を考えてみましょう。
活性酸素の基礎知識
活性酸素は細胞呼吸の過程で発生し、体への影響が看過することはできません。この活性酸素の酸化力は強く、いろいろな物質を酸化させ、体の錆びとなってしまいます。酸素は生命にとって必要不可欠ですが、体内に取り込まれるとタンパク質を破壊して炎症の原因になったり、DNAを破壊して癌の原因をつくりだしたりします。そのため万病の原因とも言われています。

もちろん、体内には破壊されたDNAを修復する力が備わっており、またビタミンCやβカロテンなどは活性酸素に電子を与えることで、他の組織が傷つけられるのを防いだり、分子エネルギーを下げたりします。これらを「抗酸化作用」呼び、美容や健康で注目されている作用です。
例えば、活性酸素はお肌のコラーゲンを破壊して炎症の原因になったりしますが、お肌から化粧品などで浸透させるにはビタミンC誘導体が効果的とされ、抗酸化作用が注目されている物質の一つです。ただし活性酸素に対する抵抗力は個人差があり、体内の酸素の約90%はミトコンドリアで消費され、そのうち1〜3%程度が活性酸素に変換されています。そして約90%の活性酸素はミトコンドリアから発生していると推測されています。
細胞老化遅くする方法
細胞の年齢は細胞分裂などを制御するテロメアによって決まります。テロメアは遺伝子の末端の部分にあり、細胞分裂が繰り返されるたびに長さが短くなります。そして一定以下の長さになると細胞は分裂できなくなり死滅します。つまりテロメアが長くする、もしくは短くならないような生活ができれば、細胞レベルが若返ります。例えば、お肌で長い間細胞分裂が起こってくれればシワやシミなどの肌トラブルを起こす可能性が減ったりします。体内でも同じようにテロメアの長さがしっかりあれば、分裂が長い間起こり老化に伴う症状が起きづらくなります。
このテロメアの長さを維持するためには運動が効果的だということが研究で分かっています。アメリカで行われた栄養調査の中から、5,823人の健康データを使った研究では、普段の運動とテロメアの長さに相関関係があり、運動量が多ければ多いほどテロメアが長いことが分かっています。
一方で、体内で生じる酸化ストレスがテロメアを短くすることも分かっており、お肌の線維芽細胞や角化細胞、さらには脾臓・腎臓・肝臓などの細胞でも同じような短縮が確認されています。さらには高ストレス状態、喫煙、肥満、睡眠不足などの生活習慣によっても同じく短縮が促進されます。
酸化ストレスと美容鍼灸
呼吸で取り込まれる酸素の一部が活性酸素になり、それが細胞やDNAを酸化させて、老化や病気を招く原因となります。この酸化を防ぐために体内の酸化ストレスの防御系のバランスを高める必要があります。
鍼灸で代表的な経穴(ツボ)を刺鍼して、その前後の抗酸化力を評価した研究がありまます。鍼施術後には酸化ストレスが低減し、滞在的抗酸化力が上昇したことが確認されています。これらは「向ホメオスタシス効果」と言われ、鍼には身体を最も望ましい状態に誘う力があり、これらまでの臨床研究で明らかになっています。
また、刺鍼による深部体温を上昇、もしくは正常化作用が確認されており、さらに過去行われた5,000人を超える大規模な検証では、血圧が高い人の場合は抑制し、低い人の場合は上昇させ、平常の人は変化しないという、血圧レベルを整える作用も確認されています。このように同じ鍼刺激でも体の状態によって正反対の効果を生じるとういう、科学的に説明が難しい鍼の効果が実証されています。
日本では腰痛や肩こりなど機能的な慢性疼痛が鍼灸の対象になることが多いですが、欧米ではアンチエイジングの代替治療として位置づけられています。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。