
幸福に感じる瞬間は人それぞれですか、科学的には人はなぜ「幸せ」を感じるかが解明されつつあります。それは「幸せ」は脳内に幸せホルモンが溢れている状態です。この幸せホルモンには、オキシトシン、セロトニン、ドーパミンがあり、幸せを感じている時には、これらの脳内物質が分泌されていたとうことです。
哲学的に幸せとは何かと考えるのではなく、科学的に幸せを考えれば、ものすごくシンプルです。つまり科学的に「幸せ」になる方法は、幸せホルモンを分泌させる行動をとることです。
幸せホルモンのオキシトシン
心と体を幸せにするためにオキシトシンを分泌させる方法は、そんなに難しいものではありません。例えば研究では、可愛い動物の動画を見るだけでも、ペットに触れるだけでも良いですし、植物を育てることでも分泌されることが分かっています。
また、人に親切にするだけでも、オキシトシンは分泌されることが分かっており、別名「親切の物質」と言われる所以です。「人に親切にすることで幸せになれます」というのは綺麗事かもしれませんが、脳科学的には、実際にオキシトシンが分泌されて幸福感を感じるのです。ブリテッシュコロンビア大学の研究によると、不安感を抱えている人が親切な行為をするだけで、不安感が減りポジティブな気分になれるということも示唆されています。
さらに人に親切にすることは病気のリスクまで下げてくれるという研究もあります。57歳〜85歳の成人を対象とした研究では、ボランティア活動が体内炎症のレベルが低いことと最も強い関連性があったということです。
一方で、相手にも自分にも感謝をするだけでも、幸せになるというのも科学的に正しいというのが解明されています。感謝をすると脳内にオキシトシンやエントルフィンが分泌されて、人が前向きになったり、幸せを感じたりします。
オキシトシンのメリット
愛情を持って人や動物、植物に触れ合うと脳内でオキシトシンが分泌され、人は幸せを感じます。さらに幸福感以外にも、不安やストレスがなくなることも分かっています。
人は外部からストレスを感じると、体内にはストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。そのステレス過多が続くと、頭痛、胃痛、メンタル疾患へと繋がってしまいます。オキシトシンは、ストレスに過剰反応した体をケアし、平常な状態に戻してくれる効果があります。つまりオキシトシンがストレスホルモンの分泌を抑制してくれることが研究によって示唆されています。
また、オキシトシンには他人を信頼できるかどうかにも関わっていると言われています。ある研究では、オキシトシンの量が多ければ多いほど相手への信頼度合いが高くなるそうです。私たちは良質な人間関係を作ることは極めて重要であり、他人を信頼して強い絆をつくることが何をするにしても大切です。
栄養素と神経伝達物質
心と栄養素は無関係のように思いますが、心は脳で生み出されるものであり、脳も他の臓器と同じように食べ物の影響が非常に大きい器官です。例えば脳の神経伝達物質の材料となるタンパク質が不足すると、幸福感や意欲落ち着きを生み出す神経伝達物質がうまく作れなくなります。またタンパク質が神経伝達物質に合成されるためにはビタミンB群、鉄、亜鉛などの栄養素が必要となります。特に生理中の女性は鉄欠乏に陥りやすいので、生理中は普段よりも気持ちが沈んだり、鬱っぽい気分になってしまいます。
そこでまず心がけて欲しいのが十分なタンパク質の摂取です。気持ちが沈んだ時は大豆製品や魚、卵、お肉などからタンパク質を摂取して心のパーツともいえる神経伝達物質の材料を補給しましょう。神経伝達物質の合成を促す亜鉛は記憶力を保つ役割や認知症予防効果も期待されている重要なミネラルです。亜鉛が最も豊富に含まれている食べ物は牡蠣ですが、牛肉や豚レバー、煮干し、ごま、うなぎや海苔などにも含まれています。
また、2017 年のアメリカの研究によると生理が始まった思春期の女の子は、同年代の男子の2倍も鬱になる可能性があることが分かっています。これは生理によって体内の鉄が不足することで脳の神経伝達物質の合成が滞ってしまうことが原因です。
美容鍼灸とオキシトシン
カリフォルニア大学の研究(2012年)によるとオキシトシンはマッサージによって分泌されることが分かっています。研究では15分のマッサージを受けるグループと、マッサージは受けずに静かに休憩するグループに分けて、血液検査を前後でしたところ、前者はオキシトシンが有意に上昇していることを発見しています。また2015年の研究では、マッサージを受けている人だけでなく、マッサージをしている人のオキシトシンレベルも増加することが分かっています。
これらの研究のベースには、人とのスキンシップによってオキシトシンが分泌されるということがありますが、同じく鍼灸によっても同じ効果が期待できるでしょう。
さらに鍼灸による皮膚刺激が、感覚神経を伝わり脳内への影響し、様々な脳内物質が分泌されます。その結果、オキシトシンの分泌だけでなく、痛みの鎮痛作用、心の緊張状態の緩和、ストレス軽減につながることが分かっています。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。