ニキビと美容鍼灸

    生理前になると顎に必ずニキビができる、ニキビが繰り返しできるなどの顎のニキビでお悩みの方が多くいます。顎のニキビは非常に厄介で、放置してしまうとニキビ跡にもなりやすく、その跡で悩む方も多くいらっしゃいます。

    顎のニキビの原因

    ニキビと一言で言っても、様々なタイプのニキビがあります。よくあるのは思春期ニキビや、女性の大人ニキビです。この女性の大人ニキビのことを英語ではアダルトフィメールアクネ(Adult Female acne)と言い、思春期ニキビとは治療が少し異なります。

    この女性の大人ニキビの定義は、25歳以上の女性の方で繰り返し、フェイスラインや顎などにニキビができる症状のことを言います。この女性の大人ニキビには、色々な要因があり、その1つに過剰な皮脂が挙げられます。

    過剰な皮脂があると毛穴が詰まりやすくなり、そこに排出できなかった皮脂を餌に、アクネ菌と呼ばれる常在菌が増加します。アクネ菌はそこで炎症ももたらし、それによって炎症が波及して赤いニキビに発展するのがニキビの一連の病体です。

    つまりニキビの大元は、この過剰な皮脂と毛穴詰まりが重要になってきます。この2つの要因に、大きく影響を及ぼしてくるのがホルモンです。具体的には女性の場合、生理周期によって性ホルモンが大きく変動します。

    具体的には排卵のタイミングで皮脂の分泌量が多くなり、その後排卵から生理の時期にかけて毛穴が詰まりやすくなり、ニキビもできやすくなります。そのため繰り返しできる顎のニキビでお悩みの方は、生理前に特に悪化する方が多いです。

    また、ホルモンに影響を及ぼすのが生活習慣やストレスです。具体的には睡眠や食生活、それからストレスが大きく影響します。それ以外にも、顎のニキビの場合はつい触ってしまったり、マスクような物理的な要因もありますが、やはり大きいのはこのホルモンの影響です。このホルモンバランスを整えるためには、トータルでアプローチする必要があります。

    ニキビができる5ステップ
    ニキビの原因内容
    皮脂の過剰分泌皮脂腺から分泌された皮脂は、皮膚に潤いを与え、皮膚を保護する役割がありますが、過剰な皮脂があると毛穴が詰まりやすくなります。
    毛穴のつまり通常、皮脂は毛穴から汗とともに排出されますが、ターンオーバーが乱れている場合、毛穴の角質が厚くなり、毛穴の出口が塞がれて皮脂が詰まってしまいます。
    アクネ菌の増殖皮脂を栄養源にするアクネ菌が過剰に増殖し、炎症を起こしてニキビとなります。
     ホルモンバランスの乱れ女性ホルモン(黄体ホルモン)も、にきびの悪化と関係があります。排卵後から次の生理までの期間は、女性ホルモン(エストロゲン)よりプロゲステロン(黄体ホルモン)が優位になります。プロゲステロンは、皮脂を増加させ、にきびの原因となります。

    美容鍼灸がニキビに効く3つのメカニズム

    美容鍼灸がニキビに効果的な理由は、鍼が皮膚に与える物理的な刺激にあります。微細な鍼を刺すことで体は「修復が必要な状態」と判断し、局所的に血流を増加させ白血球・栄養素・酸素を届けます。この反応を医学的には「創傷治癒反応」と呼びます。

    ①血行促進・ターンオーバー改善
    鍼の刺激で毛細血管の血流が促進されると、肌細胞の代謝が活発になり、古い角質が適切に剥がれてニキビの元となる毛穴詰まりが起きにくくなります。

    ②コラーゲン生成の促進
    鍼が真皮層の線維芽細胞を刺激すると、コラーゲンの産生が高まります。これはニキビの炎症後に残る赤みや凹みの回復を助ける効果が期待できます。

    ③ホルモンバランス・自律神経の調整
    鍼刺激は自律神経系に働きかけ、副交感神経の活動を促進します。ストレスが引き起こす皮脂分泌の過剰を抑制し、ホルモンバランスの安定にもつながると考えられています。

    美容鍼灸の3つのメカニズム

    生活で気をつけるべきこと

    生活習慣は、顎のニキビに非常に大きく影響を及ぼします。まず1つが睡眠ですが、睡眠不足が続くと皮脂の分泌量が増えて毛穴も詰まりやすくなります。そのため睡眠時間を最低限確保するようにしましょう。具体的には、7時間以上が推奨されますが、6時間を切ってしまうと睡眠不足になり、ニキビの原因になりやすくなります。

    また、良質な睡眠のためには寝る前のリラックスも重要です。寝る前にハーブティーを飲んだり、リラックス効果のある音楽を聞くなどがおすすめです。もちろん、人によってリラックスの方法は違ってくると思いますので、自分の合っている方法を見つけることをお勧めします。

    さらに、生活習慣で大きく影響してくるのが食生活です。これまでの報告では、ニキビと関係がある食生活がいくつか指摘されており、その1つに乳製品が挙げられます。特に乳製品の中でもスキムミルクがニキビの大きな原因となると言われています。

    それ以外にも、牛乳や生クリームなど乳製品をたくさん摂ってしまうとニキビになりやすい可能性があります。なぜなら乳製品を多く摂ると皮脂の分泌が増えます。元々皮脂が増える排卵から生理前のタイミングにかけては、特に乳製品は気をつけていただくと良いでしょう。

    また、もう1つニキビと大きく関係していると言われているのが血糖値が急激に上昇するような食事です。具体的にはスイーツなどが挙げられますが、そういった砂糖を多く含むもの以外にもラーメンや牛丼というような¥ファーストフードも血糖値が急激に上昇してしまうので注意が必要です。

    理想としてはいくつか前菜があってそれからメインがあって、ご飯とお味噌汁というようなバランスの良い食事が推奨されます。食べる順番も重要で、最初にご飯を食べるのではなく、最初に食物繊維の多い前菜から摂り、最後にご飯などの炭水化物を摂ると血糖の上昇は緩やかになると言われています。

    また、血糖の上昇を抑える食品を積極的に取るのもおすすめです。具体的には、まず1つに緑茶が挙げられます。緑茶は、ポリフェノールであるカテキンを多く含んでおり、血糖の上昇を抑える効果があると言われています。またハーブの中にも血糖の上昇を抑えるものがいくつかあります。例えばルイボスやカモミールといったようなハーブです。

    またハーブティーでお勧めしたいのがミントティーです。これまでの報告では、ミントティー、特にスペアミントにおいては抗炎症作用や抗菌作用があると言われていて、ニキビの改善効果があると言われています。

    ニキビの種類と対策

    段階状態と症状対策
    白ニキビ(初期)白ニキビは、毛穴の中に皮脂がたまり、排出できなくなった皮脂がブツブツと盛り上がった状態です。 白ニキビには、自覚症状はなく、できていることに気づかない方もいます。毛穴をふさいでいる古い角質や皮脂を取り除き、排出するために肌のターンオーバーを促す角質ケアが必要です。 白ニキビは、ツボに刺鍼して血の巡りを良くします。血行を促進することでターンオーバーを整えることできます。
    黒ニキビ(酸化)進行すると毛穴が開き、毛穴に詰まっていた皮脂などが空気にさらされて酸化して黒く変色した状態です。 白ニキビと同じく、自覚症状は見られません。毛穴が詰まった状態のため、古い角質や皮脂を除去して、排出できるようにする角質ケアが必要です。 鍼灸治療では、自律神経を整えるツボを鍼で刺激します。体がリラックス状態になることで皮脂の分泌量を抑えることができます。
    赤ニキビ(炎症)毛包の中でアクネ菌が繁殖し、炎症を引き起こし、赤みや腫れが生じた状態です。さらに毛穴の中の皮脂がアクネ菌の栄養源となり増えます。 炎症が起こり、赤みが強く、皮膚が盛り上がり、痛みやかゆみを感じこともあります。炎症を抑える治療が必要で、悪化するとニキビ跡になります。内服薬などの使用と並行して院内施術を行うと治りが早くなります。 鍼灸治療では、ニキビ周辺に鍼を打ち、さらに体にも刺鍼して内臓の働きを調整することで上体部に上がった熱を下に下げます。
    黄ニキビ (化膿)赤ニキビが進行すると、黄色ブドウ球菌が増殖し、膿ができてしまう状態です。この炎症が真皮にまで到達してしまうと、クレータ状のニキビ跡を作ります。  毛穴の中や周りで炎症が広がり、毛包壁が破れると、周辺の真皮にまで内容物が漏れ出し、さらに強い炎症を引き起こします。そのため早期に炎症を抑える内服薬が必要です。ここまで炎症が進むとニキビをきれいに治すことは難しくなります。
    白→黒→赤→黄ニキビの4段階と鍼灸アプローチ

    ニキビケアの基本

    スキンケアの基本には洗顔、保湿、UVケアがあります。まず洗顔で重要になってくるのが繰り返しできる顎のニキビは、朝と夜1日2回洗顔料を用いて洗顔するようにしてください。

    中にはTゾーンはテカリやすいけれども、頬などは乾燥しやすいという方もいらっしゃるかと思います。そういった方は、頬は水洗いのみにしてTゾーンのみ朝は洗顔料を用いるというようなやり方も有効です。また洗顔の際にお勧めしたい成分がサリチル酸です。サリチル酸は、ピーリング成分の1つで、皮脂汚れを効率的に除去する効果があります。

    次に保湿についてですが、保湿の際、ニキビの場合はノンコメドジェニックのものから選ぶのをお勧めしています。ノンコメドジェニックは、ニキビができにくいと謳っている製品のことです。洗顔と同様、Tゾーンのみ皮脂が多い方は、保湿アイテムも部分的に使うことをお勧めします。

    なぜなら皮脂が多いところにスキンケアアイテムで油分を過剰に足してしまうと、それによってニキビができやすくなる可能性があるからです。例えば化粧水を全顔に使って、それから頬だけ乳液を塗るなど、アイテムを部分的に使い分けると良いケースがあります。保湿でお勧めしたい成分がナイアシンアミドです。

    ナイアシンアミドは、バリア機能をサポートする成分ですが、それ以外に皮脂の分泌を抑える効果があります。ナイアシンアミドは、ビタミンB3の水溶性のビタミンなので化粧水などにも配合しやすく、過剰な油分にもなりにくい成分です。

    最後にUVケアです。紫外線はニキビの悪化にもなります。そのため繰り返し、顎のニキビでお悩みの方も必ず毎日、日焼け止めを塗るようにしてください。

    ニキビへの保湿は間違いではないが要注意

    「ニキビの人は皮脂が出るから保湿は不要、むしろ保湿すると悪化する」という考え方が広まっていますが、これも正確ではありません。まず知っておきたいのは、肌のタイプによって皮脂の出方が異なるということです。

    • 乾燥肌の人:皮脂を分泌する能力自体が低く、どんなに乾燥していても皮脂はあまり出ません
    • ニキビができやすい人:皮脂分泌が活発で、油分は出やすい一方、肌内部の水分が不足している場合がある(いわゆるインナードライの状態)

    つまり、乾燥して皮脂が出にくい人と、皮脂は出るのに内部が乾燥している人がいるわけです。後者の場合、肌内部の水分を補うための保湿は必要になります。ただし、ここで重要なのは「保湿の仕方」です。油分を与えるタイプの保湿はおすすめできません。水分を与えるタイプの保湿を選ぶことがポイントです。

    具体的には、細胞間脂質や天然保湿因子(NMF)を補うような成分は問題ありません。一方で、「ニキビにも保湿が必要」と聞いて、なぜか乳液やクリームのような油分の多いアイテムを重ねてしまう人が多く見られます。これは皮脂をさらに足してしまっていることになり、すでに皮脂が多い状態にさらに油分を重ねることで、ニキビが増えたり毛穴が広がったりする原因になります。

    化粧水などで、天然保湿因子やセラミドといった水分保持に関わる成分を補うのがポイントです。「ニキビだけど乾燥するから乳液やクリームをつけている」という対応は、見直したほうがよいケースが多いといえます。

    ノンコメドジェニックなら選択肢に入る

    乳液やクリームであっても、ノンコメドジェニック処方(コメド・ニキビができにくいよう設計された処方)であれば、選択肢として問題ありません。

    ただ、ここでよくある誤解があります。乾燥性敏感肌向けに設計されたブランド(例:キュレル®)を、ニキビがあって乾燥も感じるという理由で使っている人が一定数います。これらのブランドが悪いわけではありませんが、もともと「皮脂が出にくい、乾燥性の敏感肌」向けに設計された処方です。

    ニキビがあって肌の乾燥も感じるという状態は、多くの場合「皮脂は多いが内部の水分が少ない(インナードライ)」であり、乾燥性敏感肌とは異なるタイプです。インナードライの人向けには、べたつきを抑えつつ保湿もできる製品が出ているので、そうした製品をうまく選ぶことが大切です。

    まとめると、皮脂が少なく乾燥しやすい肌でニキビができることは基本的に多くありません。ニキビができている場合、多くは皮脂の分泌が多いタイプであり、その上で角層の水分保持力が低下している可能性があります。「ニキビ=保湿が必要」と思い込んでクリームや乳液で油分を重ねるのではなく、水分を補うタイプの保湿を意識して選ぶことが大切です。

    ニキビ跡への効果

    「もうできてしまったニキビ跡にも効果はあるの?」というご質問をよくいただきます。ニキビ跡には大きく3種類あり、美容鍼灸の効果は種類によって異なります。

    赤み・炎症後紅斑タイプ
    炎症が治まった後に残る赤みには、血行促進と抗炎症作用が働き、色が薄くなる効果が期待できます。比較的早期(3〜5回)に改善が見られます。

    色素沈着(茶色いシミ)タイプ
    メラニン色素による茶褐色の跡には、ターンオーバー促進によって徐々に薄くなる効果が期待されますが、時間がかかる場合もあります。

    クレーター(凹み)タイプ
    皮膚組織が失われた凹み型のニキビ跡は、美容鍼灸だけでの改善は難しいですが、コラーゲン生成促進で凹みの浅化を助ける効果が期待できます。フラクショナルレーザーとの組み合わせが有効な場合もあります。

    施術頻度・回数の目安

    個人差はありますが、初めて美容鍼灸を受ける方は「週1〜2回×5〜10回」が集中ケアの目安です。ニキビが落ち着いてきたら「月1〜2回」のメンテナンスに移行するのが一般的です。

    施術頻度の目安
    ・集中ケア期(1〜2ヶ月) : 週1〜2回
    ・移行期(2〜4ヶ月) : 2週間に1回
    ・メンテナンス期(以降) : 月1回

    こんな方におすすめ

    以下に当てはまる方は、特に美容鍼灸のニキビケアが効果的です。

    ✅ ストレスや疲れが重なるとニキビが悪化する
    ✅ 生理前に決まってニキビができる(ホルモン性ニキビ)
    ✅ 皮膚科の薬を試したが再発を繰り返す
    ✅ 薬を使わずに自然な方法でニキビを改善したい
    ✅ 肌全体の調子を整えながらニキビもケアしたい
    ✅ 顎・頬・フェイスラインなど大人ニキビが多い

    逆に、急性期の強い炎症がある赤・黄ニキビが多数ある場合は、まず皮膚科で炎症を抑えてから美容鍼灸を組み合わせるのがおすすめです。

    施術頻度の目安 + おすすめの方チェックリスト

    よくある質問FAQ

    Q. 美容鍼灸は痛いですか?
    A. 使用する鍼はとても細く(0.12〜0.16mm程度)、注射針とは異なります。「チクッ」という感覚を感じる場合もありますが、多くの方はほとんど痛みを感じません。初めての方はまず気軽にご相談ください。

    Q. 施術後にニキビが増えることはありますか?(好転反応について)
    A. まれに施術後1〜2日間、一時的にニキビが増えたり赤くなることがあります。これは「好転反応」と呼ばれ、血行が促進されて皮膚内の老廃物が排出される過程です。通常は数日で落ち着き、その後肌の状態が改善していく方が多いです。

    Q. ニキビが出ているときでも施術を受けられますか?
    A. 炎症が強い赤ニキビや黄ニキビがある場合は、症状に応じて施術部位を変えたり刺激量を調整しながら対応します。まずはご来院時にご相談ください。

    Q. 何回通えば効果を感じますか?
    A. 個人差がありますが、一般的に3〜5回の施術で変化を感じ始める方が多く、10回程度で安定した効果が得られることが多いです。

    ニキビ予防に効果的なツボ

    合谷(ごうこく):手の親指と人差し指の間くらい

    効果:老廃物の代謝を促進させるだけでなく、全身の体調も整えることができます。

    曲池(きょくち):肘を曲げて出来るシワの外側端にあるツボ

    効果:肌の調子を整えます。特にニキビ、湿疹など皮膚に関わる不調に効果的です。

    足三里(あしさんり):場所: 膝のお皿の外側下から指4本分下のくぼみ

    効果: 消化機能を整え、腸内環境を改善する作用があります。腸の状態が皮膚に影響する「腸皮膚軸」の観点から、ニキビの根本原因である腸内環境の乱れにアプローチできるツボです。

    ・鍼の創傷治癒反応(Journal of Acupuncture and Meridian Studies等)
    ・ホルモンバランスと皮脂分泌の関係
    ・ターンオーバー周期と美容鍼の関係

    【本コラムの監修】

    恵比寿院長

    HARRNY 院長/鍼灸師 菊地明子

    ・経歴
    大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。

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