
便秘とは、一般に『3日以上排便がない』『毎日出ても残便感がある』状態を指し、日本では成人の3人に1人以上が悩むといわれる身近な不調です。便秘はいくつかのタイプに分けられ、腸のぜん動が弱まる『弛緩性』、ストレスで腸がけいれんする『けいれん性』、便意を我慢しがちな『直腸性』などがあります。
同じ“便秘対策”でもタイプによって合う方法は変わるため、まずは自分がどのタイプに近いかを知ることが、遠回りに見えて一番の近道です。この記事では、良かれと思ってやりがちな“間違った対策”を正しながら、食べ物・ツボ・生活習慣まで順に解説していきます。
腸活しても便秘になる
お腹に不調を持つ日本人の数はやく1,700万人とも言われており、約7人に1人が腸に問題を抱え、お腹の張りや長引く便秘や下痢に悩まされています。また腸の状態が悪ければ、お肌の状態にも悪影響を及ぼします。
様々なメディアでお腹に良い腸活をはじめましょうと、特に納豆、ヨーグルト、キムチなどの発酵食品を摂りましょうと言われていますが、実はそれらによって腸内環境が乱されているケースがあります。
実はこういった腸活食品が合わない方がいます。お腹に良いとされる納豆やヨーグルトなどの発酵食品をたくさん食べていて、それなのに便秘に悩まされている場合は、むしろ腸活すればするほど腸内環境が悪化していくタイプの人と言えます。
このような健康法はある方には合っても、自分には全く合わないということが良く起こります。つまり発酵食品を食べるだけで便秘が解消する人もいれば、発酵食品を食べることで便秘に苦しむ人もいるのです。
しっかり便が出る人の特徴
腸内細菌のバランスが良好である
2023年に発表されたオーストラリアの大学の研究によると、体内時計と同じように腸にも「概日リズム」があり、朝から朝食後にかけて排便しやすい生理的メカニズムがあることが分かっています。1日のうちいつ出てもいいという考え方もありましたが、この研究により朝一番の便が健康のバロメーターであることが明らかになりました。
腸内には約100兆個ともいわれる腸内細菌が生息しており、これらが食物繊維を発酵させて作るのが短鎖脂肪酸です。代表的なものに酢酸、酪酸、プロピオン酸があり、なかでも酪酸は大腸の細胞を元気にし、ぜん動運動を促す働きがあります。腸内環境が良い人ほど短鎖脂肪酸が多く作られ、朝の自然な排便につながりやすいのです。
実際にある研究では、酪酸を多く生成する菌を持つ人ほど毎朝の排便が安定していると報告されています。また、朝にすっきり便が出る人の多くは朝食を食べる習慣があり、食べ物が胃に入ると大腸の運動が活発になる「胃結腸反射」が働きます。腸内環境が良いとこの反射がスムーズに機能し、食後に自然と便意が訪れます。逆に腸内環境が乱れているとこの反射が鈍くなり、朝食を食べているのに便が出ないという状態になります。
夕食の時刻が早く、適度な脂質を摂っている
40代・50代は仕事や付き合いで夕食が遅くなりがちですが、実は夕食の時間は翌朝の腸の動きに直結しています。夜遅くに食事をすると、本来休むべき時間に胃腸が働かされて消化が不完全になり、朝になっても腸がすっきり動かず便が出にくくなります。逆に夕食を早めに済ませると、寝るまでに十分な時間があるため、食べ物が胃腸をスムーズに通過し、朝には押し出される準備が整った便が大腸に届きます。
ある研究では、夕食の時間が遅い人は早い人に比べて翌朝の排便率が有意に低下すると報告されており、食後から就寝までに最低3時間空けることが便秘予防に有効だと結論づけられています。また夕食の内容も重要です。特に意識したいのが食物繊維と適度な油分です。野菜や海藻、きのこ類に含まれる食物繊維は便のかさを増すだけでなく、腸内細菌に分解・発酵されて大腸を刺激します。
一方、油はカロリーを気にして控えがちですが、脂質は胃腸に入るとコレシストキニンという消化ホルモンを分泌させ、大腸のぜん動運動を活発にします。サラダにオリーブオイルを少しかけたり、魚を食べたりといった適度な油分のある夕食は、翌朝の排便を促す助けになります。
さらに夕食を早めに済ませると睡眠の質も向上します。寝る直前に食べると胃腸が働いたまま眠ることになり、深い睡眠が取りにくくなります。浅い眠りは自律神経を乱し、翌朝の腸の動きを鈍らせてしまいます。実際にある研究では、夕食が早い人は睡眠効率が高く、便秘の有病率も遅い人に比べて30%低いという結果が報告されています。
慢性的なストレスがない
腸は「第2の脳」と呼ばれるほど神経と深く結びついています。特に重要なのが自律神経で、交感神経と副交感神経のバランスが腸の動きをコントロールしています。ストレスを抱えると交感神経が優位になり腸が収縮して動きが悪くなり、逆にリラックスした状態では副交感神経が活発になって腸が柔らかく動き出します。
ある研究では、成人にストレス負荷を与える実験を行ったところ、ストレス後には腸の推進運動が有意に低下し、副交感神経の活動が抑制されることが確認されています。またストレスを感じると副腎からコルチゾールというホルモンが分泌され、慢性的に多く分泌されると腸の粘膜を荒らしたり水分調節を乱したりして、便が硬くなったり下痢になったりします。
中高年男女を対象にした研究では、ストレス耐性が低いグループは便秘または下痢の頻度が1.8倍高く、コルチゾールが安定している人ほど朝の排便が規則的であると報告されています。さらに睡眠の質も排便に大きく影響し、睡眠が良好な人は便秘のリスクが不眠傾向の人に比べて40%低いという報告もあります。
よく噛んで食べている
現代人は忙しさから早食いになりがちですが、噛む動作には朝の便通を促す力があります。よく噛むことで食べ物が細かく砕かれ唾液と混ざり、含まれるアミラーゼによって口の中である程度消化が進みます。反対に噛まずに飲み込むと、大きな塊のまま胃腸に送られて消化に時間がかかり、夜の間に食べ物が腸に残りやすくなって翌朝の便が鈍くなってしまいます。
ある研究では、50回噛んだ場合に消化効率が最も高まり、胃への移行がスムーズになることが確認されています。また噛む刺激は自律神経を介して消化ホルモン(ガストリンやモチリンなど)の分泌を促し、腸のぜん動運動を高めて便を送り出す流れを良くします。噛むというリズミカルな運動そのものが脳を落ち着かせ、副交感神経を優位にする効果もあります。
自分に合った腸活
腸活を続けていても一向に腸内環境が良くならず便秘に悩まされている人は、悪玉菌のエサになるような糖質の摂取を控えることが大事です。腸内には善玉菌、日和見菌、悪玉菌の3種類がいますが、この中で悪玉菌が便秘や下痢を引き起こしたり、おならの原因となるガスを大量に発生させます。ただ最近では、悪玉菌は悪さだけをしているのではないことも分かってきています。
最も悪玉菌のエサになり、腸内環境を乱して悪化させる食事が高カロリー、糖質及び脂質過多のジャンクフード(ファストフード)です。また甘いフルーツジュースなどの糖分過多のものや加工食品などもNGです。
これらは絶対避けるべき食品ですが、特に悪玉が優勢になっている腸では、発酵食品でさえ悪玉菌のエサになってしまいます。このように小腸で吸収されづらく大腸まで届かないで悪玉菌のエサになってしまう糖質のことをFODMAPと言います。このFODMAPは二糖類、オリゴ糖、単糖類、糖アルコールの頭文字を取った発酵性の糖質です。
お腹の調子が悪いのに、それを改善させる前にこのようなものが含まれた食品を摂ってしまうとさらに悪化します。これらは腸内で吸収されにくいため、腸内に糖質が溜まっていき、糖質の濃度が上昇します。この小腸内の濃度を薄めるために血管から水分が流れ込み、下痢の原因になります。
そして大腸まで到達すると悪玉菌がその糖質を爆食して大量のガスを発生させます。最悪の場合、腸管がうまく動かなくなり、便秘になってしまう人もいます。このような方は、FODMAPを避けることでお腹の調子を取り戻すことができます。
また、腸活を行う際に腸に良いと言われていることを適当に一斉に行なっている方が多くいらっしゃいます。腸活には明確なステップがあり、まずは善玉菌優勢の環境をつくり、その次に善玉菌を増やすことが大事です。
日頃からバランスの良い健康的な食事生活を送っている人は、腸内環境のバランスが整っているため食物繊維の量を増やすだけで腸内環境が劇的に良くなります。一方ジャンクフードなどで腸内環境が腐敗している人が野菜を食べたところで腸内環境が良くなることはありません。
このような方は、まず整腸剤やプロバイオティクスを優先的に摂って腸内環境を整えることが必要です。その後に水溶性食物繊維を中心に腸内細菌のエサとなる食事をしましょう。
3つの腸に悪い食べ物
3つの腸に悪い食べ物は、小麦、乳製品、砂糖(糖分)です。これらの食べ物で体調不良になられる方がいますので要注意です。
小麦は、腸を荒らすグルテンが含まれています。グルテンはパン、ピザ、パスタ、うどんなどに含まれており、リーキーガットの原因になると言われています。グルテンが小腸の粘膜を刺激して、細胞同士の繋がりを緩め、その小腸の粘膜から血液へ有害物質が入り込みやすくなります。またグルテンがアレルギー症状や慢性炎症を引き起こすことが分かっています。
次に乳製品ですが、ヨーグルトやチーズなどの発酵食品に含まれる乳酸菌は腸に良いと言われていますが、メリット以上のデメリットがあると考える専門家も多くいます。なぜなら乳製品にはカゼインというタンパク質が含まれており、グルテンと同じくリーキーガットを促してしまいます。
さらにカゼインは、アレルギー、めまい、アトピーを引き起こす可能性が指摘されているため、グルテンフリーと同じく、カゼインフリーの食生活を心がける必要があります。
最後の砂糖(糖分)ですが、白米、スイーツなどは腸に住むカンジダ菌の大好物です。腸で繁殖したカンジダ菌を排除するため免疫細胞が集まり炎症を起こします。つまり甘いものや炭水化物は腸の粘膜を傷つける原因になります。また食後の血糖値の乱高下によって、血糖値スパイクが起こってしまいます。
腸内環境と食品添加物
腸内環境に重要なのが、プレバイオティクスとプロバイオティクスです。プレバイオティクスは食物繊維や発酵食品、オリゴ糖など腸内細菌が活性化するための餌になる食品です。一方でプロバイオティクスは、乳酸菌やビフィズス菌など腸内フローラを改善してくれる微生物です。
例えば、納豆やヨーグルトなどの乳酸菌、すなわちプロバイオティクスを増やすことも大切ですが、それは腸活の1つにしか過ぎません。腸活には乳酸菌やビフィズス菌などを多種多様で有益なプロバイオティクスを摂ること、腸内細菌の餌となる食物繊維や発酵食品などのプレバイオティクスを摂ること以外にも、食生活の改善、ストレスフリーを考えることなども必要です。
腸内環境が悪化してしまう大きな原因の一つが食品添加物の摂取です。なんと現代人が1日に摂取する食品添加物は50種類、年間で4kgも摂取していると言われています。野菜や果物、天然の魚以外のほぼ全ての食品に添加物が入っていると言っても過言ではありません。
特に食品添加物の一種であるソルビン酸は、ハムやソーセージパンやケーキなどほとんどの加工食品に含まれており、これらを毎日食べ続ければ腸内細菌が死滅し、腸内環境が悪化していきます。また納豆そのものは発酵食品ですが、付属している納豆のタレにもたくさんの食品添加物が含まれています。
因みに現代の日本人の腸内細菌は戦前の日本人の腸内細菌数の1/3にまで減っているとも言われています。このような食品添加物を避けるためには、食品のパッケージの裏側に記載されている栄養成分表示を見ることを心がけましょう。
果糖ブドウ糖液糖、たん白加水分解物、調味料(アミノ酸など)、この3つの添加物は特に要注意しましょう。これらは腸内細菌を殺し、腸の機能の一つである解毒が作用しなくなり、血液の質が低下します。そして有害物質が全身を巡るようになり、疲労感、体調不良の原因となります。
低FODMAP食
FODMAPは、発酵性(Fermentable)、オリゴ糖(Oligosaccharides)、二糖類(Disaccharides)、単糖類(Monosaccharides)、ポリオール(Polyols)の頭文字を取ったもので発酵性の糖質のことです。
一方で低FODMAP食は、腸に良いと考えられている多くの食材を取り除く食事法です。例えば便秘や下痢、腹痛を繰り返している人、腸活を試しても一向に腸内環境が良くなっている気がしない人、そしてお腹がいつも張って苦しい人が行うべき食事法です。
例えば不溶性食物繊維は便のカサを増し、便秘の原因になってしまうことがあります。便秘の方は不溶性食物繊維(ブロッコリー、おくら、サツマイモ、ごぼう、キノコ類、枝豆や大豆、おからなどの豆腐)を減らし、水溶性食物繊維を増やすことで便秘が解消されます。
今、お腹の調子が悪く、低FODMAP食を実践しようとなった場合には以下の食材はなるべく控えましょう。
| オリゴ糖 | ガラクトオリゴ糖 | レンズ豆やひよこ豆などの豆類 |
| フルクタン | 小麦、玉ねぎ、にんにくなど | |
| 二糖類 | 乳糖(ラクトース) | 牛乳やヨーグルトなどの高乳糖食 |
| 単糖類 | 果糖(フルクトース) | 果物(りんご、もも、なし)や蜂蜜など |
| 糖アルコール(ポリオール類) | ソルビトール、キシリトール、エリスリトール | マッシュルーム、カニフラワー |
お腹の調子が悪く低FODMAPを実践する場合の具体的な方法は、まずは豆類や小麦、玉ねぎなどを控えることです。オリゴ糖類が多く含まれているこれらの食品は、少量であれば食べても問題がないことがほとんどです。しかしその中でも避けるべき食材が、玉ねぎとニンニクです。
なぜなら玉ねぎとニンニクは、過敏性腸症候群の症状を引き起こす最大の原因になります。そして小麦を含むパン、ラーメン、パスタ、ピザ、お好み焼きなどもお腹の不調に悩んでいる人にはお勧めできない食品です。
糖類、二糖類の代表はラクトース(乳糖)で牛乳やヨーグルトといった乳製品に含まれております。一般的には乳製品は内臓脂肪を減らしてくれたり、血圧を下げてくれる効果があり、腸の調子が良い人には良い影響をもたらしてくれます。しかしお腹の調子が良くない人にとっては乳糖がお腹のトラブルの原因になります。
また、単糖類の中でも注意すべきなのがフルクトースです。別名果糖に代表される糖類で果物やハチミツなどに含まれています。実は、この果糖を消化できない人がかなりの割合でおり、果糖を腸内でうまく吸収できないためお腹がゴロゴロとしたり、下痢という症状を引き起こしてしまいます。
リンゴ、桃、梨などの果物は果糖の割合が多く、お腹の調子が悪い人は避けるべき食べ物になります。逆にバナナ、ブドウ、いちごなどはお腹に安心の果物です。
一方で、ポリオール(糖アルコール)はソルビトールやキシリトールなどに代表される糖類で、マッシュルームやカリフラワーなどに含まれています。エリスリトールといった砂糖の代わりに使われる甘味もここに入ります。ダイエット食品や低糖質食品を食べるとお腹を壊してしまう人がいますが、その場合は糖アルコールの取りすぎの可能性があります。
便秘に効くツボ
鍼灸の視点では、お腹や手足のツボへの刺激も便秘対策のひとつです。代表的なのは、へそから指3本分外側にある『天枢(てんすう)』。腸のはたらきを整えるとされ、あたためながらやさしく押すのがおすすめです。
手では、親指と人差し指の骨が交わるくぼみの『合谷(ごうこく)』、手首の小指側のしわの上にある『神門(しんもん)』が、自律神経のバランスを整える目的でよく用いられます。いずれも息を吐きながら5秒ほど、痛気持ちいい強さで数回。強く押しすぎず、体調のすぐれないときや妊娠中は控えめにしましょう。ツボ押しはあくまでセルフケアであり、症状が続く場合は専門家に相談してください。
運動・お腹のマッサージ
腸を外から動かすことも、便秘対策として取り入れやすい方法です。ウォーキングなどの有酸素運動は腸のぜん動を促し、腹筋まわりの筋肉が保たれることで排便に必要な力も維持しやすくなります。座ったままの時間が長い方は、腰を左右にひねるストレッチもおすすめです。
お腹のマッサージは、あお向けで手のひらを使い、おへその周りを『の』の字を描くように、大腸の流れに沿ってやさしくなでるのが基本。朝起きた直後や入浴後など、体があたたまっているタイミングだと行いやすいでしょう。痛みがある場合は無理をしないでください。
便秘解消に役立つ食材
玄米の2つの効果
低FODMAP食を実践する場合、不足がちな食物繊維を摂取できる食べ物に玄米が挙げられます。玄米は短鎖脂肪酸の中で酪酸だけを増やすことができる食材です。玄米などの全粒穀物は豊富に食物繊維を含んでおり、気軽に食物繊維量を確保できる優秀な食材です。特に玄米は低FODMAP食であり、胃腸が弱っている方に非常におすすめです。
また、酪酸やプロピオン酸などの短鎖脂肪酸は一般的には健康や美容に良いとされています。しかし腸の調子が悪い人にとっては、酢酸やプロピオン酸は良くないこともあります。なぜなら過剰な酢酸やプロピオン酸は腸の粘膜のバリア機能を低下させてしまうということが分かっています。そのため腸から血中に毒素が入り込むリーキーガット症候群や過敏性腸症候群が悪化してしまうことが分かっています。
酪酸には腸の粘膜のバリア機能を高め、免疫機能の改善、全身の炎症を抑えるなどの効果が期待できるため、できる限り酢酸やプロピオン酸を減らして酪酸だけを増やすためにも玄米はオススメです。
酪酸菌で便通の改善
酪酸菌とは大腸に存在する腸内細菌で、酪酸を作り出す細菌の総称のことを言います。腸内には100兆もの細菌が存在しており、それぞれが様々な作用を及ぼしています。それらには体内に良い作用を引き起こす善玉菌や反対に有害物質を作り出す悪玉菌、他にも腸内の状態によって良くも悪くも作用する日和見菌があります。ちなみに腸内環境の理想的な比率は、善玉菌が2割、日和見菌が7割、悪玉菌1 割と言われています。
また、善玉菌と言われる腸内に住む乳酸菌やビフィズス菌は、健康維持に必要な短鎖脂肪酸を作ります。この短鎖脂肪酸には酪酸、酢酸、プロピオン酸があり、これらは腸内に含まれる最も多い短鎖脂肪酸です。
短鎖脂肪酸の役割は腸内を弱酸性に維持して悪玉菌の活動を抑成、他にも大腸の蠕動運動を促進して便通を良好に保ってくれます。また殺菌、抗炎症作用で腸のバリア機能を高め、腸管の粘液の分泌や水やナトリウムの吸収を促します。
一方で、腸の炎症の原因は細菌やウイルス感染の他に、ストレスや不規則な生活などでも発症すると言われています。日常的な暴飲暴食やストレスなどでも発症します。腸の炎症は腹痛、下痢、血便、発熱などの症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことが特徴です。長期間続くことで大腸がんを引き起こすきっかけになりかねません。
ちなみに、短鎖脂肪酸の役割で注目すべきは大腸に備わるバリア機能を高めるという点です。腸の中でも大腸には特に多くの細菌が存在しているため、細菌が腸の組織に接触や侵入しないように大腸の表面には分厚い粘液のバリアをまとっています。このバリアの役割は有害な細菌から腸を守っているだけではなく、大腸を通過する便を潤滑油のようにコーティングして便のスムーズな排泄を促します。
しかし、大腸の粘液層が減少するとバリア機能が低下、細菌から体を守れなくなり、腸の炎症を引き起こしたり、便の通過に支障をきたしたりします。そのため酪酸は、このバリア機能を維持する免疫にとても重要な細菌です。
また、酪酸は大腸にとって重要なエネルギー源でもあり、大腸の粘膜上被細胞が必要とするエネルギーの約60から80% は酪酸によって賄われています。実際、腸の粘膜上被細胞に酪酸を投与すると、大腸の粘液分泌が促進されるという報告もあります。また便秘の患者さんと同じ腸内フローラを再現したマウスの実験もあり、マウスに酪酸を与えると排便の頻度や便通の状態の動きが改善されています。
加えて、短鎖脂肪酸の中でも酢酸はビフィズス菌でも作り出せる菌ですが、酪酸を作れるのは酪酸菌だけです。酪酸には有害物質を作る悪玉菌の発育を抑制する働きに加えて、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が滞在しやすい腸内環境に促します。また酪酸は、大腸が活動するエネルギー源となり、腸内環境を整える働きもあります。
酪酸菌を増やす「ぬか漬け」
酪酸菌を含む食事は非常に少なく、その中でも効果的なのがぬか漬けです。近年、ぬか漬けの効果について注目されており、その理由の1つがぬか漬けに豊富に含まれる善玉菌です。
一般的にぬか床には、12から30 種類ほどの善玉菌が含まれていると言われており、ぬか漬けを定期的に食事に取り入れることは腸内環境の改善につながります。ぬか漬けには、酪酸以外にも乳酸菌や酵母なども多く含まれており、特に豊富に含まれているのが乳酸菌です。
乳酸菌は、ぬかの糖質を消費し、乳酸を作る細菌で腸内細菌を正常に整えることで体内に良い影響を与えます。例えば腸内を酸性にし、消化物の腐敗を防止したり、腸の蠕動運動を補い、便秘を改善する効果があります。他にも免疫機能の向上や中性脂肪や血中コレステロール値の低下といった作用もあります。
ぬか漬けの植物性乳酸菌は、ぬか床のような塩分の多い過酷な環境で生き抜くことで体内でも高い生存力を維持できるため、動物性入酸菌は胃酸で消滅してしまいますが、植物性乳酸菌は生きたままで届いてくれます。また酪酸や乳酸菌だけでなく、ぬか漬けに含まれる酵母も良い作用をしてくれます。
酵母とは糖類を食べてアルコールや有機酸、ビタミン B群を作り出す細菌です。糖質の吸収を抑え、腸の蠕動運動を助け、便秘を改善、免疫力向上、疲労回復にも貢献してくれます。他にも新陳代謝や栄養吸収率が高まることで悪玉菌の繁殖を抑え、免疫力向上や肌質の改善し、さらにダイエット効果も期待できます。
ちなみに、ぬか床のぬかは、玄米を白米に精米する時に取り除く胚芽や表皮の部分のことです。実はこの部分にはお米に含まれるビタミンやミネラルの約95%が含まれており、またタンパク質や脂質、食物繊維、ビタミンA、ビタミンB 群など栄養素が豊富に含まれています。そのため、このぬかに含まれる豊富な栄養素がぬか床の水分に溶け、この溶けた水分が漬けた野菜に染み込み、ぬか漬けの栄養化が高くなります。
実は野菜をそのまま食べるより、ぬか床につけた方が栄養化が上がる場合もあります。例えば大根のぬか漬けの場合、生よりビタミンB1が約16倍、B2が約4倍、B6が約6倍、カルシウムが約2倍など、ぬか漬けだとほとんどが倍以上の栄養素になっています。
他にもキュウリをぬか漬けにした場合、カリウムは約3倍、ビタミンB1は約8.7 倍と増えます。ただし酪酸菌を含む食べ物には、刺激臭が強い場合が多い場合が多く、ぬか漬けの匂いや味が独特で苦手な人は、酪酸菌の餌となる栄養素を含んだ食べ物を摂取して酪酸菌を育てていきましょう。
例えば食物繊維で、その中でも特に水に溶けやすい水溶性食物繊維を含む食べ物には、納豆、きなこ、ごぼう、オクラ、アボガド、海藻などがあります。どうしてもうまく食事から摂取できないという時はサプリメントを活用するのも良いでしょう。酪酸菌をサプリメントで摂取するなら乳酸菌と一緒に摂取するのがより効果的です。酪酸菌だけで摂取するよりも菌数が10数倍に培養されると言われています。
また、酪酸菌を増やすには運動も効果的です。人は食べ物を摂取すると体内で腸の蠕動運動によって奥に運ばれますが、その過程で食べ物は栄養や水分が分解吸収され、便となって排泄されます。実は腸の蠕動運動は自律神経の働き次第で、腸の蠕動運動に浮き沈みが出ます。
そのためストレスや不摂生などの原因で自律神経の働きが乱れると蠕動運動は停滞してしまいます。蠕動運動が停滞することで腸内に滞在する時間が長くなり、そのことで水分が必要以上に吸収された結果、便が固くなり便秘の原因となります。
また、日常的な運動が腸の蠕動運動を促す効果が期待できると言われています。研究では、スポーツ選手の腸内環境を調査したところ、善玉菌の増加があることが報告されています。また腸粘膜は温度、圧、化学物質などの様々な刺激を受け取る構造があるとされており、運動で物理的な刺激を与えることは腸の蠕動運動の刺激につながります。
他にも、運動を習慣つけることは腸内の酪酸菌を増やすのに役立つとも言われています。研究で在宅ワーク中心の人を対象に6 週間に渡り、有酸素運動を週3回継続する実験をしました。大体30から60分程度、段階的に運動の激しさを上げながら実践してもらったところ、腸内フローラの構成に変化が見られ、酪酸を生む細菌の数が増加することが分かっています。
ただし運動を継続的に行わないと腸内フローラは元の状態に戻ってしまうため、運動は週3から4回ペースで1日30から60分程度が良いとされています。主にウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動が効果的です。
植物性食物繊維の梅干し
梅干しの効能の一つが腸を整えてくれることです。腸を整えるために、乳酸菌が大事であると言われていますが、乳酸菌には動物性乳酸菌と植物性乳酸菌の2つがあります。動物性乳酸菌は、ヨーグルトなどに含まれている乳酸菌であり、口から摂取しても大腸に届くまでに消化され死滅してしまうと考えられています。そのため、ヨーグルトを食べることの有効性はあまりないのではないかとも考えられています。
一方で、植物性乳酸菌は小腸などで消化されてしまうことがなく、生きたまま大腸まで届きます。この植物性乳酸菌は、大腸の善玉菌の餌となることで腸内環境が改善され、腸内細菌層のバランスを良好にします。
腸内環境が悪くなり、悪玉菌が大量発生してしまうと、その悪玉菌が作り出した毒素が腸の中で溜まり、腸管で吸収されて血液をめぐり全身の細胞に漏れ出します。梅干しにはカテキン酸という殺菌作用のある栄養素も含まれており、腸内の悪玉菌を抑制する働きがあるということも分かっています。
エキストラバージンオリーブオイルで便通を良くする
エキストラバージンオリーブオイルには、研究によって様々な健康効果が認められていますが、特に含まれる抗酸化物質が腸壁を保護し、腸の炎症を抑えてくれることが分かっています。この抗炎症作用により過敏性腸症候群の軽減や消化器系疾患の治療にも役立ちます。
また研究段階ですが、腸のpHを正常化し、有益なバクテリアの成長を促進して、腸内細菌のバランスを整え、ガスや膨満感の軽減に役立つことが示されています。
またヨーロッパでは古くから便秘解消効果があるとして用いられています。含まれるオレイン酸は吸収されにくい性質があるため、小腸内で長く留まることができ、小腸を刺激したり、大腸内の滑りを良くすることによって便通を促すと考えられています。
そばで便秘解消
そばは、様々なメカニズムによって私たちの腸内環境を正常化してくれる効果が期待できます。そばによる腸内環境の保護作用の1つとして、豊富な食物繊維によるものが挙げられます。そばには100gあたり1.5gという豊富な食物繊維が含まれていて、その量は同じ麺類であるうどんの2倍以上を誇ります。特にそばには、食物繊維が多いというだけでなく、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の両方がバランスよく含まれています。
不溶性食物繊維は便の傘を増し、水溶性食物繊維は便にぬめりを持たせる作用があるため、この 2つがバランスよく腸内に届かなければ、便通は良くなりません。水溶性食物繊維は、海藻やごぼうなどの限られた食材からしか摂取できないため、多くの日本人が不溶性食物繊維に偏りがちです。食べるだけで不溶性水溶性の両方の食物繊維をバランスよく摂取できてしまうそばは、便秘解消のためにうってつけの食品と言えるでしょう。
さらにそばに含まれるヘミセルロースという不溶性食物繊維は、善玉菌の餌となることで腸内細菌のバランスを整えてくれるとも言われています。腸内環境は、脳や肌など私たちのあらゆる部位の健康に密接に関係しており、腸内環境が悪化すると脳腸相関によって、その信号が脳に伝わり、集中力の低下やイライラといった精神症状が出てくると言われています。
また腸内で悪玉菌が優位になると腸で発生した有害なガスが血液中にばらまかれ、それが皮膚の細胞に吸収されことで肌荒れなどのトラブルを招いてしまいかねません。
海藻で便秘解消
海の野菜である「海藻」ですが、陸上の野菜より栄養価が高いと言われ、特にカルシウム、鉄、マンガン、マグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。またフィコシアニンやカロテノイドなどの生理活性化合物が含まれ、これらの物質のいくつかは強力な抗炎症能力を持つ抗酸化物質です。この炎症を抑える作用のためにも、海藻を食べるべき大きな理由になります。
そして全身の代謝を制御する甲状腺ホルモンをつくるためのメネラルであるヨウ素が多く含まれています。ただしヨウ素の過剰摂取は甲状腺の働きを乱すことになるため、昆布などを大量に食べるのは控えましょう。
また、海藻には食物繊維も多く含まれており、例えばひじきには水溶性と不溶性の食物繊維がたっぷりと含まれています。他にものりに含まれるポルフィランの保水力が腸内フローラを改善する役割を担うことができます。
一方で食物繊維の摂取量が多い人は少ない人に比べ、早期死亡率23%減、がんの発症率17%減、食物繊維の摂取量が1日10g増えるごとに早期の死亡率が11%ずつ減ることが分かっています。この食物繊維の健康効果は、日本で行われた大規模な研究によってもその効果が裏付けられています。
9万人以上の日本人を対象とした研究では、食物繊維の摂取量が多い人は、男性で23%、女性で18%の人が死亡リスクが低いことが分かっています。余談ですが、古来から日本人は長い間食習慣として海藻を食べ続けてきたため、世界で日本人だけが腸内細菌で海藻を発酵させられる民族です。
黒イチジクで便秘解消
黒イチジクは、水溶性繊維と不溶性食物繊維の両方をバランスよく含んでいる優秀な食材です。不溶性食物繊維は、腸内で水を抱えつつ便の傘を増やして全蠕動運動を促す効果が期待できます。一方で水溶性食物繊維は、腸内細菌によって酪酸などの良質な脂肪酸に変換され、腸管の運動や粘膜の代謝を後通ししています。
このような複数の食物繊維を含んだ黒イチジクを夜に食べて、寝ている間に腸を整えておくことによって、翌朝の自然な排便につながることが分かっています。
実際、研究では乾燥イチジクを摂取することによって、便秘傾向のある人の排便回数が改善し、大腸の通過時間が短縮されたことが報告されています。このようなことから、便秘しがちな人にとっては夜に黒イチジクを1つ食べるということが自然な整腸剤となって働いてくれることでしょう。
また黒イチジクは、独特の黒い色をしています。そしてこの色の正体がアントシアニンです。アントシアニンは、体内の活性酸素を効率的に除去してくれる抗酸化ポリフェノールの1つです。特に黒イチジクは、ポリフェノール量が高く、抗酸化作用は果物の中でもトップクラスであると言われています。
アントシアリンは、血管内皮細胞の酸化ストレスを提減したり、酸化LDLを抑制したりすることによって生活習慣病のリスクを下げることが知られています。特にこのような酸化ストレスの解消は、夜間の睡眠中に進むため、夜に黒イチジクを食べることで寝ている間に血管がピカピカになってくれることでしょう。
さらに注目すべきは、イチジクに含まれているアブシシン酸という独特の栄養素です。アブシシン酸は植物ホルモンの一種ですが、私たちの体内では糖代謝を調節して、食後の血糖やインスリン反応を穏やかにする方向に働くことが分かっています。実際、健康な成人を対象にイチジクの抽出物を加えた飲料を摂取してもらったところ、食後2時間の血糖やインスリン反応が優位に改善したことが分かっています。
このようなことから夜に食べる黒いイチジクには、夜ご飯で上がってしまった血糖値を穏やかにしてくれる作用があると言えます。またポリフェノールは、皮の部分に集中してあるため、皮ごと食べるのが基本です。基本的に果物は皮ごと食べることによって、初めてその健康効果が得られることが分かっており、是非フルーツは皮ごと食べることを覚えておいて欲しいです。
ヨーグルトは朝NG、夜OK
私たちの腸にとって乳酸菌を摂取することが重要ですが、ただ単に乳酸菌を摂取すれば良いわけではないことが分かってきました。乳酸菌には大きく分けて動物由来の動物性乳酸菌と植物由来の植物性乳酸菌があります。
ヨーグルトは牛乳からできているため、動物性乳酸菌が含まれていますが、植物性の乳酸菌と比べて胃液よって消化されやすい性質があることが分かっています。そのためせっかくヨーグルトを食べて乳酸菌を摂取しても胃酸で分解されて腸まで生きて届かない可能性があります。
このように乳酸菌が胃酸で分解されてしまうとすれば、朝は胃の中は空っぽの状態になっているため、ヨーグルトの持つ乳酸菌が直接胃酸に触れてしまいます。生きたまま届かなかった乳酸菌の死骸は、腸内で何の効果も発揮しないばかりか、場合によってはその死骸悪玉菌の餌になってしまうケースもあると言われています。
朝の空腹時にヨーグルトだけを食べるのではなく、ヨーグルトは他の食べ物を先に食べて胃酸が中和された状態で飲み込むようにしてください。
逆にヨーグルトを食べるべき最適な時間が存在します。その時間帯とは夜寝る前です。私たちの胃腸は、副交感神経によって支配されています。副交感神経はリラックスした時に働くため、24時間の中で最も副交感神経が優位になるのは夜寝ている時です。
つまり胃腸は朝の便通に向けて夜寝ている間によく働くようになっています。このような胃腸の性質を利用して夜の時間帯を狙って、寝る前にヨーグルトを食べることで胃腸が働いている時間に合わせて栄養素を送り込むことができます。
その結果、腸の蠕動運動が円滑になり、便の排出作用が高まります。さらに良質なヨーグルトには、タンパク質がたっぷり含まれており、無添加で糖質のない豆乳ヨーグルトであれば カロリーも低いため、夜摂取することで代謝が高まり、眠っている間に効率よく脂肪を燃焼してくれる効果も期待できます。
納豆はよく噛むことが大事
納豆に限らずありとあらゆる食べ物は、噛めば噛むほど健康に良いということが分かっています。噛むというのは私たちの胃腸が消化するのと同じで、消化吸収の行為の1つです。噛むことによって私たちの唾液にしか存在しない消化酵素が働くことになります。逆によく噛まなければこの唾液の消化酵素のステップを通過せずに、食べ物がそのまま胃腸に行ってしまい、全く吸収されなくなってしまう栄養素もあります。
また、よく噛むことによって胃腸消化を助けることができ、胃もたれになるのを防ぐことができます。また納豆に限って言えばよく噛むことによって、私たちの腸が常に元気な状態になることも分かっています。納豆は大豆の殻に囲まれているため、噛まずに 飲み込んでしまえば、この殻のせいで納豆の中身の重要な栄養素が全く吸収されずに便として外に出ていってしまいます。
さらに、納豆は噛むことで健康効果がアップすることも分かっています。実は納豆に含まれている納豆菌や食物繊維は、口の中の唾液としっかり混ざることで初めて発酵のスイッチが入ることが分かっています。唾液に含まれているアミラーゼやリパーゼといった消化酵素が、納豆のネバネバ成分を分解することで、それが腸内細菌が喜ぶ餌に変わってくれます。
また、噛むという行為は腸にメッセージを送るという大事な役割も担っています。腸には腸管神経系という独自の神経ネットワークが張り巡らされており、食べ物を噛んで味わうことでこの神経系にメッセージが飛んで腸がこれから働くぞというスイッチがオンになります。つまりよく噛んで食べるのは、これからたくさんの栄養が行くからちゃんと準備するという腸への準備信号を送って いることになります。
実際、便秘になりやすい人はよく噛んでいないことが統計的にも分かっています。よく噛まないと腸が消化の準備をする前に食べ物が腸に大量に到達してしまい、腸がびっくりしてすぐに動き始めることができず、腸の中に食べ物が滞留してしまいます。
ちなみに、納豆と生たまごを混ぜて温かいご飯にかけて食べるのはNGです。なぜなら納豆を噛まずに丸のみしてしまうだけでなく、納豆に含まれているビオチンというビタミンは、生たまごの卵白に含まれるアビジンという物質によって吸収が妨げられてしまうからです。
さらに納豆を温かいご飯の上にかけてしまうと、納豆に含まれている納豆キナーゼという私たちの血液をサラサラにしてくれる酵素が死んでしまうことも分かっています。納豆キナーゼは70℃以上の熱で効果を失ってしまうことが明らかになっています。
無添加こんにゃくと納豆
こんにゃくに含まれるグルコマンナンは、水分を含んで膨らみながら腸壁にこびりついた老廃物を物理的に絡め取って排出する性質を持ちます。一方、納豆菌は悪玉菌が作る有害物質を分解し、大豆サポニンの天然の界面活性作用が腸内をクリーンにします。これらのダブル効果により、便秘やお腹の張りに悩む人に特に有効です。
またグルコマンナンには腸内で脂質や糖の吸収を緩やかにする働きもあり、腸内環境が整うと脂肪細胞から分泌されるレプチン(食欲を抑えるホルモン)の感受性が正常化され、自然に食欲がコントロールされやすくなるという研究報告があります。
ただし、黒い生芋こんにゃくが最も食物繊維が豊富で効果的ですが、こんにゃくには添加物が含まれているものが多いため、必ず無添加のものを選ぶことが大事です。
便の70から80%が水分
健康な状態であれば固形であることが多い便ですが、実は水分が70から80% を占めています。このうちの水分が70%より少ないと硬くてコロコロとした便になってしまいます。逆には80%よりも多いとゆるーい便になり、便には意外と固形成分が少ないということです。
さらにその固形成分の内訳は、腸内細菌、腸壁から剥がれた細胞、食べ物の残りカスで構成されており、健康な便であればそれらがほぼ同じ割合で含まれています。
ちなみに戦後すぐの日本人に比べ、現代の日本人の便の量は約半分になったと言われています。これは当時の日本人の食生活が食物繊維の豊富な、いも類や穀物、玄米食が中心で、今よりもずっと食物繊維が豊富であったのに対し、現代は肉食や生成された小麦やお米が主食となり、食物繊維の摂取量が減少したことが要因と考えられています。
便秘の時は水分補給をすれば良い!?
健康な便には70から80%の水分が含まれていて、適度な形と固さを保って一定の水分があることは排出の上で重要な要素であり、そのため適度な水分補給がとても大事です。ただそれだけでは不十分で、食物繊維も重要な要素の1つです。
腸内で消化されない不溶性食物繊維は腸内の水分を含んで膨らみ、便の傘を増やします。これにより腸が刺激され、蠕動運動が活発になることからスムーズな配便が期待できます。
また、便秘解消ためにサラダを食べることを意識している人は多いでしょう。実は生野菜は、大量に摂らないと便の傘は増えません。ここで大切なのは適量の炭水化物しっかり摂ることです。
食物繊維の摂り過ぎに注意
排便のトラブルと言うと、最も多くの人が悩んでいるのが便秘でしょう。逆に1日に何度も便やオナラが出てしまうという人も多いのではないでしょうか。そういった人はもしかすると食物繊維の取り過ぎが原因になっているかもしれません。
最近では野菜や食物繊維が健康のためには大事だと盛んに言われるようになりました。このような流れから積極的に食物繊維を摂取しているという人も多いかもしれませんが、実は食物繊維というのは摂り過ぎてはいけません。体に良いものでも過剰になると逆効果になることがあります。
食物繊維の中でも発酵性が高い種類のものは、大腸で腸内細菌によって分解されます。その過程で水素や二酸加炭酸などのガスが発生します。これらのガスは適量であれば腸を刺激してプラスになりますが、急に食物繊維の量を増やしたり、毎食大量に摂ると腸が処理しきれずにガスが一気に増えてしまいます。その結果、オナラの回数が増えて腹部の膨満感が強くなってしまいます。
また、食物繊維は腸の壁を刺激して蠕動運動を促します。適量であれば便通は改善しますが、過剰になると刺激が強すぎて腸が落ち着かなくなってしまいます。その結果、便が十分に固まる前に少量ずつ押し出されやすくなり、1日に何回も少しずつ出て出しきれない感じが残る状態が起きやすくなってしまいます。これは腸が元気というよりも過剰な刺激によって調整が乱れている状態であると考えるのが妥当でしょう。
また、食物繊維には水溶性と不溶性があることが知られていますが、中でも水溶性食物繊維は水分を抱え込む性質があり、便を柔らかくします。ところが水 食物繊維をたくさん摂っているのに水分の摂取が追いつかなければ、腸内の水分バランスが乱れてしまいます。それによって便が緩くなったり、配便回数が増えやすくなってしまいます。
そして、注意しなければいけないのが急激に食物繊維を摂りすぎてしまうことです。腸は急な変化を嫌います。普段あまり食物繊維を摂っていない人が健康目的で急に食物繊維などを大量に食べると腸内の処理能力が追いつかず、ガスや便通の乱れが一気に表に出てきてしまいます。
重要なのは食物繊維の量、そのものではなくて徐々に増やしていくことです。少しずつ増やすことで腸が順能して過剰な反応を起こしにくくなるからです。
女性は便秘になりやすい
体の構造上、女性は腹筋の力が弱く、便を送り出す力が弱いことが女性が便秘になりやすい理由の1つと考えられています。また女性ホルモンの1つである黄体ホルモンの影響という生理的な要因もあります。
黄体ホルモンには着床した卵子が無事に成長していくように、子宮周辺の刺激から卵子を守るため周辺の臓器の動きを抑える働きがあり、排卵後から生理前の期間はいつでも卵子が受精しても大丈夫なように黄体ホルモンが活発に分泌されます。
一方で腸は子宮のそばに位置しており、黄体ホルモンの働きによって生理前の期間は腸の蠕動運動が低下します。さらに比較的男性よりも女性の方がダイエットに励む方が多いことも要因の 1つです。食事量が少ないと摂取する水分や食物繊維も必然的に減少し、便の傘も減るため排出されにくくなります。
横向き寝で、便秘解消
食後に胃もたれを感じやすい人や夜中に胃酸の逆流で目が覚めてしまうという方はいませんか?そんな方にとって左を下にして横向きで寝ることは極めて効果的な対策になります。その理由はシンプルで、私たちの胃の構造そのものが左向き寝に適した形になっているからです。人間の胃は、体の左側に偏って存在するC字型の袋状の臓器です。胃の入り口は左上に、出口は左下に位置しています。
この構造によって青向きや右向きで寝ると胃液や食物が胃の中で不自然に滞留しやすく、逆流や消化不良のリスクが高まります。一方で、左向きで寝ることで重力の力によって内容物が自然に胃の底の方へと移動します。胃の入り口が上に持ち上がる形になるため、逆流や圧迫が起きにくくなります。
実際、アメリカの研究では、逆流性食道炎の患者に対し、左向きと右向き寝をしてもらったところ、左向きの方が明らかに胃酸の逆流の頻度と持続時間が減少したということが分かりました。また同じ研究では、右向きでは胃酸が食道に流れ込みやすく、食道のpHが低下する時間が長かったとされています。
さらに別の研究では、左向きで寝ることで胃酸の逆流を最大で6から8割も軽減できる報告もあります。このようなことから逆流性食道炎に悩まされている方は、是非とも左向きで寝る習慣を取り入れてみましょう。また左向きで寝ることで、他にも様々な消化系への良い影響も期待できます。
左向きには胃酸の逆流を防ぐだけでなく、胃から十二指腸への自然な流れをサポートし、消化をスムーズに進めることができます。また仰向けで寝ると内臓全体が腹部に圧をかけてしまい、腸に負担がかかってガスの滞留であったり、腹部の膨満感を感じやすくなることもあります。左向きであれば、このような腸への圧迫も分散されるため、自然な腸の蠕動運動が促されます。
ちなみに、こうした横向きによる消化器系の負担軽減は、女性に特に効果があると言えます。女性は子宮や卵巣などお腹にたくさんの臓器を抱えています。仰向けで寝ると、これらの骨盤内臓器が腸を圧迫し、便秘の原因になります。ですが横向きで寝ることで子宮などの臓器が横にずれ、腸への圧迫が解除されるため、便秘解消に効果的だと分かっています。
便秘が慢性的な疲れの原因
体調不良や慢性的に疲れの原因は、体の中には老廃物が溜まっているかも知れせん。そもそも私たちの体には毒を出す仕組みがあり、それが排便です。まずは便通を良くすることこそがデトックスの基本です。
便秘が酷くなる体内には老廃物が溜まり、腸の中で病気や老化を促進する活性酸素や悪玉菌が増加し、腸内が乱れます。悪玉菌が作り出す有害物質によって、腸の消化吸収能力が低下し、栄養素が十分に吸収できなくなり、体中の細胞に十分な栄養素が供給できなくなります。
また悪玉菌が優勢になり、腸内細菌のバランスが乱れてしまうと老化が促進されたり、アレルギーが起こっ たり、高血圧や糖尿病などのリスクが高まってしまうことも分かっています。
さらに、便秘によって便が腐敗すると、その増えた老廃物は、腸の粘膜から再吸収され、全身を巡り、体の細胞や臓器などに悪影響をも齎します。
よくある質問(Q&A)
Q1. 便秘に効く食べ物は何ですか?
A1. 水溶性食物繊維を含む海藻やオートミール、発酵食品のぬか漬け・納豆などが便通のサポートに役立つとされています。ただし発酵食品は体質によって合う・合わないがあるため、自分に合うものを少量から試すのがおすすめです。オリーブオイルを料理に取り入れるのも一つの方法とされています。
Q2. 発酵食品のヨーグルトは、朝と夜どちらがいいですか?
A2. 腸のはたらきが活発になりやすい夜に摂るとよいとされる考え方があります。ただし効果の感じ方には個人差があり、朝が絶対に悪いというわけではありません。まずは1〜2週間続けて、自分の体に合うタイミングを見つけるのがよいでしょう。
Q3. 便秘のとき、水をたくさん飲めば解消しますか?
A3. 水分は便の70〜80%を占めるため補給は大切ですが、水を大量に飲めば必ず解消するわけではありません。食物繊維や運動、生活リズムとあわせて総合的に整えることがポイントとされています。
Q4. 便秘に効くツボはありますか?
A4. お腹では、へそから指3本分外側の「天枢(てんすう)」、手では「合谷(ごうこく)」「神門(しんもん)」などがよく用いられます。息を吐きながら痛気持ちいい強さで数回押すのが目安です。あくまでセルフケアであり、妊娠中や体調不良時は控えめにしてください。
Q5. どのくらい便が出なければ病院に行くべきですか?
A5. 一般に3日以上出ない状態が続く、急に便秘になった、血便・強い腹痛・体重減少をともなう場合は、別の病気が隠れていることもあるため早めに医療機関へ相談しましょう。セルフケアで改善しないときも受診の目安になります。
【本コラムの監修】

・経歴
大学卒業後、美容の世界に入り、セラピストへ。豊富な美容知識や実務経験を活かし、その後、10年間は大手企業内講師として美容部員やエステシャンの育成、サロン店舗運営のサポートを行う。現在は、セラピスト、エステティシャン、美容カウンセラー、鍼灸師の経歴を活かし、お肌とこころと身体のトータルビューティースタイルを提案。表面だけでなく根本からのケアとして、老けない生活についてのコーチングを行う。



















